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JP6259292B2 - フルオレン骨格を有するビニルエーテル化合物およびその製造方法 - Google Patents

フルオレン骨格を有するビニルエーテル化合物およびその製造方法 Download PDF

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JP6259292B2 JP2014009740A JP2014009740A JP6259292B2 JP 6259292 B2 JP6259292 B2 JP 6259292B2 JP 2014009740 A JP2014009740 A JP 2014009740A JP 2014009740 A JP2014009740 A JP 2014009740A JP 6259292 B2 JP6259292 B2 JP 6259292B2
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Description

本発明は、フルオレン骨格を有する新規なビニルエーテル化合物、その製造方法および前記ビニルエーテル化合物又はその硬化性組成物が硬化した硬化物に関する。
ビニルエーテル化合物は、モノマー(カチオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマーなど)用途や硬化剤用途などとして、種々の用途(例えば、接着剤、塗料、フォトレジストなど)に用いられている。中でも、ポリビニルエーテル化合物は、ビニルオキシ基(ビニルエーテル基)を2個以上有しており、架橋性又は硬化性化合物として用いられている。
このようなポリビニルエーテル化合物としては、例えば、脂肪族ジビニルエーテル(例えば、ジビニルオキシエタン、ジビニルオキシプロパン、ジビニルオキシブタン、ジビニルオキシヘキサン、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテルなど)、脂環式ジビニルエーテル(例えば、ジビニルオキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノールのジビニルエーテルなど)などの脂肪族系化合物が一般的である。しかし、このような脂肪族系のポリビニルエーテル化合物は、耐熱性などの特性において十分でない。
ポリビニルエーテル化合物として、芳香族骨格を有する化合物も知られている。このような芳香族ポリビニルエーテル化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジビニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAのジビニルエーテル、ビスフェノールFのジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加体のジビニルエーテルなどが挙げられる。しかし、このような芳香族ポリビニルエーテル化合物でも、依然として耐熱性などの特性を十分に向上できない場合がある。
一方、芳香族骨格としてフルオレン骨格を有するポリビニルエーテル化合物も開発されつつある。例えば、特開2005−283905号公報(特許文献1)には、光カチオン重合性化合物(A)、ビニルエーテル化合物(B)及び光酸発生剤(C)を含む光重合性樹脂組成物であって、光カチオン重合性化合物(A)及びビニルエーテル化合物(B)の少なくとも一方がフルオレン誘導体で構成されている光重合性樹脂組成物が開示されている。そして、この文献では、フルオレン誘導体であるビニルエーテル化合物として、9,9−ビス(4−(2−ビニルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ビニルオキシエトキシ)−2−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ビニルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレンなどの9、9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するジビニルエーテルを使用できると記載している。
このような中、ポリビニルエーテル化合物における種々の特性(例えば、耐熱性、屈折率、撥水性などの特性)のさらなる改善が望まれている。
特開2005−283905号公報(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、9,9−ビス多環式アリールフルオレン骨格を有する新規なビニルエーテル化合物、その製造方法、前記ビニルエーテル化合物の硬化物、前記ビニルエーテル化合物を含む硬化性組成物およびその硬化物を提供することにある。
本発明の他の目的は、種々の優れた特性(例えば、高屈折率、高耐熱性、低誘電正接など)を有するビニルエーテル化合物、その製造方法、前記ビニルエーテル化合物の硬化物、前記ビニルエーテル化合物を含む硬化性組成物およびその硬化物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、9,9−ビス多環式アリールフルオレン骨格と、ビニルエーテル骨格とを組み合わせて有する新規なビニルエーテル化合物が、従来のビニルエーテル化合物(特に、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するビニルエーテル化合物)などと比べても、高耐熱性、高屈折率、高撥水性、低誘電正接などの特性において優れているとともに、これらの特性をバランスよく有していること、しかも、このようなビニルエーテル化合物は、分子内に極性基部分が少なく、非常に炭素密度が高い化合物であるであるにもかかわらず、十分な硬化性(又は反応性)を有しており、高い架橋密度で上記のような優れた特性を硬化物などに効率よく付与できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のビニルエーテル化合物(ポリビニルエーテル化合物)は、下記式(1)で表される。
Figure 0006259292
(式中、環Zは多環式アレーン環、RおよびRは同一の又は異なる置換基、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、Rはアルキレン基、nは0以上の整数、pは1以上の整数を示す。)
上記式(1)において、環Zは、縮合多環式アレーン環(例えば、ナフタレン環)又は環集合アレーン環(例えば、ビアレーン環)であってもよい。また、式(1)において、Rはシアノ基、ハロゲン原子、又は炭化水素基(例えば、アルキル基)であってもよく、kは0〜2(例えば、0〜1)程度であってもよく、Rは炭化水素基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基)又はアルコキシ基であってもよく、mが0〜3(例えば、0〜2)程度であってもよく、RはC2−6アルキレン基(例えば、C2−4アルキレン基)であってもよく、nは0〜3(例えば、0〜2)程度であってもよく、pは1〜4(例えば、1〜3)程度であってもよい。
代表的には、式(1)において、環Zがナフタレン環又はビフェニル環、RがC1−4アルキル基、kが0〜1(特に0)、RがC1−4アルキル基又はC6−10アリール基、mが0〜1(特に0)、RがC2−3アルキレン基、nが0〜1(特に1)、pが1〜2(特に1)であってもよい。
本発明には、下記式(1A)で表される化合物と、下記式(1B)で表される化合物を反応させ、前記ビニルエーテル化合物(詳細には、前記式(1)において、nが1以上である化合物)を製造する方法も含まれる。
Figure 0006259292
(式中、Xはヒドロキシル基と反応してエーテル結合を形成可能な基、R3aおよびR3bはそれぞれアルキレン基であり、n1は0以上の整数、n2は1以上の整数を示し、n1+n2の合計はnであり、Z、R、R、k、m、n、pは前記に同じ。)
上記式(1A)において、特に、n1は0であってもよい。また、上記式(1B)において、Xはハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)であってもよい。
前記方法において、代表的には、式(1A)においてn1が0、pが1であり、式(1B)においてXがハロゲン原子、R3bがC2−4アルキレン基であり、n2が1であってもよい。
前記方法において、式(1B)で表される化合物を、式(1A)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、1.1モル以上(例えば、1.5モル以上)となる割合で反応させてもよい。
本発明には、前記ビニルエーテル化合物(式(1)で表される化合物)が硬化した硬化物も含まれる。
また、本発明には、前記ビニルエーテル化合物(式(1)で表される化合物)および重合開始剤を含む硬化性組成物およびこの硬化性組成物が硬化した硬化物も含まれる。
本発明の新規なビニルエーテル化合物は、主たる骨格が9,9−ビス多環式アリールフルオレン骨格からなり、高い炭素密度を有している。このような本発明のビニルエーテル化合物は、特定のフルオレン骨格構造や高い炭素密度に由来してか、種々の優れた特性(例えば、高屈折率、高耐熱性、低誘電正接など)を有している。しかも、このような剛直で高炭素密度の構造を有しているにもかかわらず、架橋性モノマーとしての十分な硬化性又は反応性を有しており、汎用性が高い。そのため、本発明のビニルエーテル化合物によれば、容易に上記のような優れた特性を、樹脂や硬化物に効率よく、また、バランス良く付与できる。
[ビニルエーテル化合物]
本発明のビニルエーテル化合物(ポリビニルエーテル化合物)は、下記式(1)で表される。
Figure 0006259292
(式中、環Zは多環式アレーン環、RおよびRは同一の又は異なる非反応性置換基、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、Rはアルキレン基、nは0以上の整数、pは1以上の整数を示す。)
上記式(1)において、環Zで表される多環式アレーン環(多環式芳香族炭化水素環)には、非縮合アレーン環(非縮合芳香族炭化水素環)、縮合多環式アレーン環(縮合多環式炭化水素環)が含まれ、非縮合アレーン環は、芳香族炭化水素環がオルト又はペリ縮合することなく、複数の炭化水素環を有する環集合アレーン環(環集合芳香族炭化水素環)であってもよい。
環集合アレーン環としては、ビアレーン環、例えば、ビフェニル環、ビナフチル環(1,1’−ビナフチル環、1,2’−ビナフチル環、2,2’−ビナフチル環など)、フェニルナフタレン環(1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環など)などのビC6−12アレーン環、テルアレーン環、例えば、テルフェニレン環(p−テルフェニレン環、m−テルフェニレン環など)、テルナフタレン環などのテルC6−12アレーン環などが例示できる。好ましい環集合アレーン環は、ビフェニル環、ビナフチル環などのビC6−10アレーン環、テルフエニレン環などのテルC6−10アレーン環などである。
縮合多環式アレーン環としては、縮合多環式C8−20アレーン環(好ましくは縮合多環式C10−16アレーン環)、例えば、縮合二環式アレーン(例えば、ナフタレンなどの縮合二環式C8−16炭化水素、好ましくは縮合二環式C10−16アレーン)環、縮合三環式アレーン(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)環、縮合四環式アレーン(ナフタセン、ピレン、クリセンなど)環などの縮合二乃至十環式アレーン環(例えば、縮合二乃至四環式アレーン環)などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特にナフタレン環が好ましい。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
前記式(1)において、基Rで表される置換基としては、特に限定されないが、通常、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などである場合が多く、特に、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)であってもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜2、好ましくは0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
また、前記式(1)において、置換基Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、などのC6−14アリール基、好ましくはC6−10アリール基、さらに好ましくはC6−8アリール基など)、アラルキル基(例えば、ベンジルなどのC6−8アリール−C1−2アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−12アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(C5−10シクロアルコキシ基など)、アリールオキシ基(C6−10アリールオキシ基など)などの基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−20アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、さらに好ましくはC1−6アルキルチオ基など)などの基−SR(式中、Rは前記に同じ。);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基;アミノ基;カルバモイル基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基など);スルホニル基;ヒドロキシル基;ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基(例えば、2−ヒドロキシエトキシ基などのヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ基など);メルカプト基;これらの置換基同士が結合した置換基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基などのC1−4アルコキシC6−10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニルC6−10アリール基など)]などが挙げられる。
これらのうち、代表的には、基Rは、非反応性置換基、例えば、炭化水素基、−OR(式中、Rは炭化水素基を示す。)、−SR(式中、Rは前記に同じ。)、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などであってもよい。
好ましい基Rとしては、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、ベンジルなどのC6−8アリール−C1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などが挙げられる。特に、Rは、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)など]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)など]などの炭化水素基(特に、アルキル基)であるのが好ましい。なお、Rは、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なる基であってもよい。
なお、前記式(1)において、基Rの置換数mは、環Zの種類やpの数などに応じて適宜選択でき、例えば、0〜4(例えば、0〜3)程度であればよく、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1(例えば、0)程度であってもよい。
前記式(1)において、基Rで表されるアルキレン基(又はアルキリデン基)としては、特に限定されないが、例えば、C1−10アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基、ヘキシレン基などのC2−6アルキレン基)などが例示でき、好ましくはC2−4アルキレン基(特に、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基などのC2−3アルキレン基、特にエチレン基)であってもよい。なお、Rは、同一の又は異なるアルキレン基であってもよい(すなわち、nが複数である場合、Rは同一又は異なっていてもよい)。すなわち、nが2以上の場合、ポリアルコキシ(ポリオキシアルキレン)基[−(OR−]は、同一のオキシアルキレン基で構成されていてもよく、異なる複数のオキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基など)で構成されていてもよい。なお、このような異なるRを有するポリアルコキシ基は、例えば、後述の方法で用いられる式(1A)における複数のR3a又は式(1B)における複数のR3bが異なる場合や、式(1A)におけるR3aと式(1B)おけるR3bとが異なる場合(例えば、R3aがエチレン基、R3bがトリメチレン基である場合など)において、式(1)に導入される。また、Rは、異なる環Zにおいて、同一又は異なる基であってもよい。
オキシアルキレン基(OR)の数nは、0〜15(例えば、0〜10)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜8(例えば、1〜8)、好ましくは0〜6(例えば、1〜6)、さらに好ましくは0〜4(例えば、1〜4)、特に0〜3(例えば、1〜3)程度であってもよく、通常0〜2(例えば、1〜2)であってもよい。特に、高炭素密度の観点からは、nは0〜2、好ましくは0〜1程度であるのが好ましく、硬化性やハンドリング性などの観点からは1以上(例えば、1〜4)、好ましくは1〜2程度であってもよい。そのため、式(1)において、nが1〜2(特に1)である化合物は、高炭素密度などの優れた特性を有しつつ、十分な硬化性やハンドリング性をバランス良く有しており、好適である。なお、異なる環Zにおいて、nは同一又は異なる数であってもよい。
式(1)において、基−[O−(OR−CH=CH]の数pは、環Zの種類などに応じて選択でき、例えば、1〜6(例えば、1〜4)、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2(特に1)であってもよい。なお、pが1である場合、式(1)で表される化合物は、ジビニルエーテル化合物である。また、異なる環Zにおいて、pは同一又は異なる数であってもよい。
なお、基−[O−(OR−CH=CH]の環Zに対する置換位置は、特に限定されないが、縮合多環式アレーン環Zにおいて、フルオレンの9−位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環に置換している場合が多い。例えば、環Zがナフタレン環である場合、基−[O−(OR−CH−CH=CH]の置換位置は、5〜8位である場合が多く、例えば、フルオレンの9−位に対して、1−,5−位、2−,6−位などの関係(特にpが1である場合、2−,6−位の関係)である場合が多い。また、pが2以上である場合、基−[O−(OR−CH−CH=CH]の置換位置は、特に限定されない。また、環集合アレーン環Zにおいて、基−[O−(OR−CH=CH]の環Zに対する置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9−位に結合したアレーン環及び/又はこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環Zの3−位又は4−位がフルオレンの9−位に結合していてもよく、ビフェニル環Zの3−位がフルオレンの9−位に結合しているとき、基−[O−(OR−CH=CH]の置換位置は、2−,4−,5−,6−,2’−,3’−,4’−,5’−,6’−位のいずれであってもよく、通常、2−,4−,6−,3’−,4’−,5’−位、好ましくは、6−,3’−,4’−,5’−位(特に、6−位、4’−位など)に置換していてもよい。
前記式(1)において、環Zが縮合多環式アレーン環(例えば、ナフタレン環)である代表的な化合物としては、(1a)nが0である化合物である9,9−ビス(ビニルオキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(6−ビニルオキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−ビニルオキシ−1−ナフチル)フルオレンなど]など;nが1以上(例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1)である化合物である9,9−ビス(ビニルオキシアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[6−(2−ビニルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ビニルオキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(3−ビニルオキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ビニルオキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(4−ビニルオキシブトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[(ビニルオキシC1−6アルコキシ)ナフチル]フルオレン、好ましくは9,9−ビス[(ビニルオキシC2−4アルコキシ)ナフチル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[(ビニルオキシC2−3アルコキシ)ナフチル]フルオレンなど}、9,9−ビス(ビニルオキシポリアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス{6−[2−(2−ビニルオキシエトキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{5−[2−(2−ビニルオキシエトキシ)エトキシ]−1−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{6−[2−(3−ビニルオキシプロポキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{6−[2−(2−ビニルオキシプロポキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{6−[2−(4−ビニルオキシブトキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{6−[2−(2−ビニルオキシエトキシ)プロポキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{6−[2−(3−ビニルオキシプロポキシ)プロポキシ]−2−ナフチル}フルオレンなどの9,9−ビス[(ビニルオキシジ乃至テトラC1−6アルコキシ)ナフチル]フルオレン、好ましくは9,9−ビス[(ビニルオキシジ又はトリC2−4アルコキシ)ナフチル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[(ビニルオキシジC2−3アルコキシ)ナフチル]フルオレンなど}などが挙げられる。
前記式(1)において、環Zが環集合アレーン環(例えば、ビフェニル環)である代表的な化合物としては、(1b)nが0である化合物である9,9−ビス(4−ビニルオキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなど;nが1以上(例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1)である化合物である9,9−ビス[4−(ビニルオキシアルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ビニルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ビニルオキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ビニルオキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(4−ビニルオキシブトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[4−(ビニルオキシC1−6アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、好ましくは、9,9−ビス[4−(ビニルオキシC2−4アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、さらに好ましくは、9,9−ビス[4−(ビニルオキシC2−3アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなど}、9,9−ビス[4−(ビニルオキシポリアルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ビニルオキシエトキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(3−ビニルオキシプロポキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2−ビニルオキシプロポキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(4−ビニルオキシブトキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2−ビニルオキシエトキシ)プロポキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(3−ビニルオキシプロポキシ)プロポキシ]−3−フェニルフェニエル}フルオレンなどの9,9−ビス[4−(ビニルオキシジ乃至テトラC1−6アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、好ましくは9,9−ビス[4−(ビニルオキシジ乃至テトラC2−4アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[4−(ビニルオキシジ乃至テトラC2−3アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなど}などが挙げられる。
(1b)の化合物において、フルオレンの9−位に直接結合したフェニル基の3位に置換基[O−(OR−CH=CH]、4−位にフェニル基が置換した9,9−ビス(3−ビニルオキシ−4−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス[3−(ビニルオキシアルコキシ)−4−フェニルフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[3−(2−ビニルオキシエトキシ)−4−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[3−(ビニルオキシC2−3アルコキシ)−4−フェニルフェニル]フルオレンなど}、9,9−ビス[3−(ビニルオキシポリアルコキシ)−4−フェニルフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス{3−[2−(2−ビニルオキシエトキシ)エトキシ]−4−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[3−(ビニルオキシジ乃至テトラC2−3アルコキシ)−4−フェニルフェニル]フルオレンなど}などが挙げられる。
[ビニルエーテル化合物の製造方法]
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法は、特に限定されず、汎用の方法、例えば、式(1)で表されるビニルエーテル化合物に対応するアルコールを直接的にビニルエーテル化する方法、例えば、(i)下記式(A)で表される化合物とアセチレンとを反応させる方法、(ii)下記式(A)で表される化合物とモノビニルエーテル化合物[例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの低級アルキルビニルエーテル(例えば、C1−4アルキルビニルエーテル)]とを反応させてエーテル交換させる方法などであってもよい。
Figure 0006259292
しかし、上記方法(i)では気体であるアセチレンとの反応を要し、方法(ii)では平衡反応によるため、いずれも反応条件や反応装置が煩雑となったり、目的物を得るために多段階の反応を要したり、高価な触媒を要する場合もある。
そこで、本発明では、特に、下記式(1A)で表される化合物と、下記式(1B)で表される化合物を反応させて、ビニルエーテル化合物を製造してもよい。このような方法では、簡易な反応系を採用できるとともに、平衡反応的な要素は小さく、副生物HXの生成(脱離)とともに反応を効率よく進行させることができ、反応条件の制御も容易である。また、特に、式(1A)で表される化合物と式(1B)で表される化合物とを組み合わせることにより、このような簡易な反応系および反応条件であるにもかかわらず、高収率で目的物(式(1)で表される化合物)を得ることができ、好適である。
なお、この方法では、前記式(1)においてnが1以上である化合物を得ることができる(すなわち、nが0である化合物は製造できない)ため、式(1)においてnが0である化合物を得る場合には、前記のような方法(例えば、方法(i)や(ii)など)を採用する必要がある。
Figure 0006259292
(式中、Xはヒドロキシル基と反応してエーテル結合を形成可能な基(脱離基、官能基)、R3aおよびR3bはそれぞれアルキレン基であり、n1は0以上の整数、n2は1以上の整数を示し、n1+n2の合計はnであり、Z、R、R、k、m、n、pは前記に同じ。)
式(1A)において、R3aは、前記式(1)におけるRと同じ(すなわち、アルキレン基)であり、代表的にはC2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基などのC2−3アルキレン基、特にエチレン基)であってもよい。なお、R3aは、同一の又は異なるアルキレン基であってもよい(すなわち、n1が複数である場合、R3aは同一又は異なっていてもよい)。また、R3aは、異なる環Zにおいて、同一又は異なる基であってもよい。さらに、R3aは、後述のR3bと同一の又は異なる基であってもよい。
式(1A)において、n1は、n2との合計でn(前記式(1)におけるn)となるように適宜選択でき、例えば、0〜10(例えば、0〜8)、好ましくは0〜4、さらに好ましくは0〜2(例えば、0〜1)、特に0であってもよい。
なお、式(1A)において、Z、R、R、k、m、pは、式(1)における場合と同じであり、好ましい態様も同様である。
式(1A)で表される化合物において、環Zがナフタレン環である代表的な化合物としては、(1c)n1が0である化合物である9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−ヒドロキシ−1−ナフチル)フルオレンなど]など;前記式(1A)においてn1が1以上(例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1)である化合物である9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[(ヒドロキシC2−6アルコキシ)ナフチル]フルオレン、好ましくは9,9−ビス[(ヒドロキシC2−4アルコキシ)ナフチル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[(ヒドロキシC2−3アルコキシ)ナフチル]フルオレンなど}、9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス{6−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{5−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−1−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{6−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、などの9,9−ビス[(ヒドロキシジ乃至テトラC2−6アルコキシ)ナフチル]フルオレン、好ましくは9,9−ビス[(ヒドロキシジ又はトリC2−4アルコキシ)ナフチル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[(ヒドロキシジC2−3アルコキシ)ナフチル]フルオレンなど}などが挙げられる。
前記式(1A)において、環Zがビフェニル環である代表的な化合物としては、(1d)n1が0である化合物である9,9−ビス[4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル]フルオレンなど;前記式(1A)においてn1が1以上(例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1)である化合物である9,9−ビス[4−(ヒドロキシアルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[4−(ヒドロキシC2−6アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、好ましくは、9,9−ビス[4−(ヒドロキシC2−4アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、さらに好ましくは、9,9−ビス[4−(ヒドロキシC2−3アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなど}、9,9−ビス[4−(ヒドロキシポリアルコキシ)3−フェニルフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[4−(ヒドロキシジ乃至テトラC2−6アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、好ましくは9,9−ビス[4−(ヒドロキシジ乃至テトラC2−4アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[4−(ヒドロキシジ乃至テトラC2−3アルコキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなど}などが挙げられる。
(1d)の化合物において、フルオレンの9位に直接結合したフェニル基の3位に置換基[O−(OR3an1−H]、4位にフェニル基が置換した9,9−ビス(3−ヒドロキシ−4−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス[3−(ヒドロキシアルコキシ)−4−フェニルフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[3−(2−ヒドロキシエトキシ)−4−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[3−(ヒドロキシC2−3アルコキシ)−4−フェニルフェニル]フルオレンなど}、9,9−ビス[3−(ヒドロキシポリアルコキシ)−4−フェニルフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス{3−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−4−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[3−(ヒドロキシジ乃至テトラC2−3アルコキシ)−4−フェニルフェニル]フルオレンなど}などが挙げられる。
なお、式(1A)で表される化合物は、市販品を使用してもよく、慣用の方法により合成したものを使用してもよい。例えば、式(1A)においてn1が1以上である化合物は、n1が0である化合物に、対応するアルキレンオキシドやアルキレンカーボネートを反応させる方法などにより合成できる。
式(1B)において、Xとしては、ヒドロキシル基(詳細には式(1A)の化合物におけるヒドロキシル基)と反応してエーテル結合を形成可能な基であれば特に限定されず、代表的には、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子など)、スルホン酸エステル基[例えば、アルカンスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基などのC1−4アルカンスルホニルオキシ基)、ハロアルカンスルホニルオキシ基(例えば、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などのハロC1−4アルカンスルホニルオキシ基)、アレーンスルホニルオキシ基(例えば、トシルオキシ基などのC6−10アレーンスルホニルオキシ基)などの炭化水素基が置換したスルホニルオキシ基など]などが挙げられる。特に、本発明では、式(1B)においてXがハロゲン原子である化合物を好適に使用してもよい。
式(1B)において、R3bは、前記式(1)におけるRと同じ(すなわち、アルキレン基)であり、代表的にはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのC1−10アルキレン基、好ましくはC1−6アルキレン基、さらに好ましくはC2−4アルキレン基であってもよい。なお、R3bは、同一の又は異なるアルキレン基であってもよい(すなわち、n2が複数である場合、R3bは同一又は異なっていてもよい)。また、R3bは、前記R3aと同一の又は異なる基であってもよい。
式(1B)において、n2は、n1との合計でn(前記式(1)におけるn)となるように適宜選択でき、例えば、1〜10(例えば、1〜8)、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3(例えば、1〜2)、特に1であってもよい。
代表的な式(1B)で表される化合物には、例えば、ハロアルキルビニルエーテル(例えば、2−クロロエチルビニルエーテル、2−ブロモエチルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、4−クロロブチルビニルエーテルなどのハロC1−10アルキルビニルエーテル、好ましくはハロC1−6アルキルビニルエーテル、さらに好ましくはハロC2−4アルキルビニルエーテル、特にハロC2−3アルキルビニルエーテル)、ハロ(ポリ)アルコキシアルキルビニルエーテル[例えば、2−(2−クロロエトキシ)エチルビニルエーテルなどのハロモノ乃至テトラC2−4アルコキシC2−4アルキルビニルエーテルなど]などの式(1B)においてXがハロゲン原子である化合物;これらの化合物においてハロゲン原子がスルホン酸エステル基(トリフルオロメタンスルホニルオキシ基など)に置換した化合物などの式(1B)においてXがスルホン酸エステル基である化合物などが挙げられる。式(1B)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、式(1B)で表される化合物は、市販品を使用してもよく、慣用の方法により合成したものを使用してもよい。例えば、式(1B)においてXがスルホン酸エステル基である化合物は、塩基触媒の存在下、Xがヒドロキシル基である化合物(例えば、ヒドロキシアルキルビニルエーテルなど)と対応するスルホン酸又はスルホニルハライド(例えば、トリフルオロメタンスルホニルクロライドなど)とを反応(スルホン酸エステル化反応)させる方法などにより合成できる。
反応において、式(1B)で表される化合物の使用割合は、例えば、前記式(1A)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、例えば、1〜5モル(例えば、1.05〜4.5モル)、好ましくは、1.1モル以上(例えば、1.1〜4モル、好ましくは、1.2〜3.5モル、さらに好ましくは、1.3〜3モル)程度であってもよい。さらに、1.5モル以上(例えば、1.5〜5モル、好ましくは、1.6〜4モル、さらに好ましくは、1.8〜3.5モル)程度であってもよい。
反応は、塩基の存在下で行ってもよい。塩基としては、例えば、水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属塩;水酸化カルシウムなどの水酸化アルカリ土類金属塩)、水素化物(水素化ナトリウム、水素化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸アルカリ金属塩)、炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素アルカリ金属塩)、などの無機塩基;アミン類[例えば、脂肪族アミン(例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルエチルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、1,2,2’,6,6’−ペンタメチルピペリジン、1−メチルピロリジン、1−エチルピロリジン、4−メチルモルホリン、4−エチルモルホリン、2,6−ジメチルピペラジンなどの脂肪族第三級アミン)、芳香族アミン(例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの芳香族第3級アミンなど)、複素環式アミン(ピリジン、ルチジン、コリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、4−ピロリジノピリジン、イミダゾール、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセンなど)など]、金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシドなど)、有機金属化合物(ブチルリチウム、フェニルリチウム、イソプロピルマグネシウムクロリド、シクロヘキシルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミドなど)、有機酸塩(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの有機酸金属塩など)などの有機塩基などが挙げられる。
塩基は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
塩基の使用量は、例えば、式(1A)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、1モル当量以上(例えば、1〜10モル当量)、好ましくは1.1〜8モル当量、さらに好ましくは1.2〜5モル当量(例えば、1.3〜3モル当量)程度であってもよい。
なお、反応は、必要に応じて、触媒[例えば、金属触媒(パラジウム触媒などの遷移金属触媒など)、相間移動触媒など]を使用してもよい。本発明では、このような触媒を使用しなくても、式(1)で表される化合物を効率よく得ることができる。
反応は溶媒の存在下(溶媒中)で行ってもよい。溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルカノール類)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類;1,3−ジメトキプロパン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類など)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのアルカノン類;シクロヘキサノンなどのシクロアルカノン類)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、アミド類(例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのN−モノ又はジC1−4アルキルホルムアミド;N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのN−モノ又はジC1−4アルキルアセトアミド;N−メチルピロリドンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、スルホン類(例えば、スルホランなどの環状スルホン)などの有機溶媒が挙げられる。なお、溶媒は有機溶媒と無機系溶媒(水など)との混合溶媒であってもよい。また、前記塩基としてのアミンを溶媒として用いてもよい。なお、水との混合溶媒を使用する場合、相間移動触媒を反応系に存在させてもよい。
溶媒の割合は、特に限定されないが、例えば、式(1A)で表される化合物と式(1B)で表される化合物との総量1重量部に対して、0.1〜50重量部(例えば、0.2〜30重量部)、好ましくは0.3〜20重量部(例えば、0.4〜10重量部)、さらに好ましくは0.5〜5重量部(例えば、0.7〜3重量部)程度であってもよい。
反応温度は、例えば、0〜200℃(例えば、20〜180℃)、好ましくは30〜150℃(例えば、40〜120℃)、さらに好ましくは50〜100℃(例えば、60〜90℃)程度であってもよい。また、反応は、溶媒を還流させながら行ってもよい。本発明のビニルエーテル化合物は、比較的熱に対する安定性が高い。また、高温下での副生成物の生成も少なく、固体状で結晶性も高く、精製も容易である。そのため、本発明の方法では、加温下において、効率よくビニルエーテル化合物を得ることができる。
反応時間は、特に限定されず、反応温度などに応じて適宜選択できるが、通常、30分〜72時間、好ましくは1〜48時間(例えば、2〜36時間)、さらに好ましくは3〜24時間(例えば、5〜12時間)程度であってもよい。また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、減圧下、常圧下又は加圧下で行ってもよい。
なお、生成した化合物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製してもよい。
本発明のビニルエーテル化合物は、前記のように固体状で結晶性も高いようであり、反応混合物から、抽出などにより容易に高純度で分離できる。
[ビニルエーテル化合物の用途]
本発明のビニルエーテル化合物(式(1)で表されるビニルエーテル化合物)は、高耐熱性、高屈折率、低誘電正接などの優れた特性を有している。しかも、剛直な骨格を有しているにもかかわらず、十分な硬化性を有しており、溶剤溶解性に優れるなどハンドリング性の点においても優れている。このようなビニルエーテル化合物は、複数のビニルオキシ基(ビニルエーテル基)を有しており、単独硬化可能である。そのため、本発明のビニルエーテル化合物は、硬化物(単独硬化物)としてそのまま使用することができる。
また、本発明のビニルエーテル化合物は、硬化性組成物(又は重合性組成物)を構成する樹脂成分(硬化性又は架橋性樹脂成分)として使用することもできる。すなわち、硬化性組成物は、樹脂成分又は硬化性成分として、本発明のビニルエーテル化合物を含む。
硬化性組成物において、硬化性成分は、本発明のビニルエーテル化合物のみで構成してもよく、他のモノマー[硬化性成分又は架橋成分、例えば、他のビニル重合系モノマー(例えば、(メタ)アクリル系モノマーなど)などのラジカル重合性モノマー、エポキシ化合物などのカチオン重合性化合物など]と組み合わせて樹脂成分を構成してもよい。このような他のモノマーと組み合わせる場合、本発明のビニルエーテル化合物は、他のモノマーの硬化性成分又は架橋性成分として用いることもできる。
硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、用途や組み合わせるモノマーなどに応じて適宜選択でき、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤などが挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、熱重合開始剤(熱ラジカル発生剤)であってもよく、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)であってもよく、これらを組み合わせてもよい。
熱重合開始剤としては、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類[ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイドなど)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイドなど)など]、過酸エステル類[過酢酸t−ブチル、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過カルボン酸アルキルエステルなど]、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物;アゾニトリル化合物[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など]、アゾアミド化合物{2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}など}、アゾアミジン化合物{2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩など}、アゾアルカン化合物[2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)など]、オキシム骨格を有するアゾ化合物[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)など]などのアゾ化合物などが含まれる。熱重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤又は光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など);アセトフェノン類(アセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなど);プロピオフェノン類(p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノンなど);ブチリルフェノン類[1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンなど];アミノアセトフェノン類[2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンなど];ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど);チオキサンテン類(チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテンなど);アントラキノン類(2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノンなど);(チオ)キサントン類(チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなど);アクリジン類(1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタンなど);トリアジン類(2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなど);スルフィド類(ベンジルジフェニルサルファイドなど);アシルフォスフィンオキサイド類(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなど);チタノセン系光重合開始剤;オキシムエステル類などが例示できる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
カチオン重合開始剤としては、酸[例えば、プロトン酸(硫酸、リン酸など)、ルイス酸(三フッ化ホウ素など)など]の他、酸発生剤が挙げられる。酸発生剤は、熱酸発生剤、光酸発生剤のいずれであってもよく、光・熱酸発生剤(熱及び/又は光に酸を発生する化合物)であってもよい。
酸発生剤としては、光又は熱の作用により酸(プロトン酸、ルイス酸)を発生する化合物(成分)であれば特に限定されず、慣用の化合物を用いることができ、例えば、オニウム塩、メタロセン錯体などを好適に使用できる。オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩などが例示でき、これらの対イオンとしては、CFSO 、BF 、PF 、AsF およびSbF などのアニオンが用いられる。
代表的な酸発生剤(光酸発生剤)としては、スルホニウム塩{例えば、トリアリールスルホニウム塩[トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのトリフェニルスルホニウム塩など]、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)など}、ジアゾニウム塩(4−クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなど)、ヨードニウム塩{例えば、ビス(アルキルアリール)ヨードニウム塩[例えば、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのビス(アルキルフェニル)ヨードニウム塩など]、アルコキシカルボニルアルコキシ−トリアルキルアリールヨードニウム塩[例えば、4−[(1−エトキシカルボニル−エトキシ)フェニル]−(2,4,6−トリメチルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなど]、ビス(アルコキシアリール)ヨードニウム塩[例えば、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのビス(アルコキシフェニル)ヨードニウム塩など]など}、ホスホニウム塩(ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネートなど)、セレニウム塩(トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェートなど)、メタロセン錯体[例えば、(η又はη−イソプロピルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートなど]などが挙げられる。カチオン重合開始剤(特に酸発生剤)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
重合開始剤の割合は、重合開始剤の種類などに応じて適宜選択でき、樹脂成分(例えば、ビニルエーテル化合物単独、ビニルエーテル化合物と他のモノマーとの総量)100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.03〜20重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部程度であってもよい。
なお、硬化性組成物は、慣用の添加剤、例えば、顔料、着色剤、増粘剤、増感剤、消泡剤、レベリング剤、塗布性改良剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、光安定剤など)、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性剤、充填剤、帯電防止剤、硬化剤、増感剤などを含んでいてもよい。添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
硬化物(ビニルエーテル化合物の単独硬化物、硬化性組成物の硬化物)は、樹脂成分としての他のモノマーの有無、重合開始剤の有無などに応じて、慣用の方法により製造できる。例えば、ビニルエーテルモノマーの単独硬化物又は重合開始剤を含まない硬化性組成物の硬化物は、ビニルエーテル化合物又は硬化性組成物を、加熱及び/又は光照射することにより、得ることができる。
また、重合開始剤を含む硬化性組成物の硬化物は、硬化性組成物を、重合開始剤の種類に応じて、加熱、光照射などすることにより得ることができる。
なお、ビニルエーテル化合物又は硬化性組成物は、所望の形態(例えば、フィルム状など)に成形し、硬化させることができる。成形は、ビニルエーテル化合物又は硬化性組成物を、溶融成形する方法、溶媒に溶解させて成形(フィルム成形)する方法など、慣用の方法により行うことができる。
なお、フィルム状硬化物の厚み(平均厚み)は、用途によって応じて適宜選択でき、例えば、0.01μm〜10mm(例えば、0.03〜1000μm)、好ましくは0.05〜500μm(例えば、0.05〜300μm)、さらに好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.1〜50μm)程度であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例において、各種測定は以下のようにして行った。
(HPLC)
(株)日立ハイテクノロジーズ製 高速液体クロマトグラフLaChrom Eliteを用いて、LC純度を測定した。
H−NMRスペクトル)
日本電子(株)製、400MHz FT−NMR(ECX−400)を用い、溶媒はテトラヒドロフラン(THF)−d8を用いて測定した。
(実施例1)
1Lのフラスコに、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)56.3g(0.13mol)およびジメチルスルホキシド(DMSO)136.0gを入れ、溶液を得た。さらに、48%の水酸化ナトリウム水溶液47.5g(0.57mol)を入れて75℃に保ち、等圧滴下漏斗を通じて2−クロロエチルビニルエーテル(東京化成工業(株)製)50.6g(0.48mol)を滴下投入した。そして、75℃を保持したまま6時間反応させた。反応混合物における9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンの転化率は100%であり、目的物の選択率は95%であった。反応後、フラスコに水113gを投入し、酢酸エチルで抽出(120mLで1回、60mLで3回抽出)した。抽出物を、水(60gで4回)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、抽出物から溶媒を留去した。さらに、溶媒留去後の抽出物をトルエン150gに溶解し、イソプロパノール(IPA)675g中に滴下して沈殿させ、ろ過し、固体状の目的物を得た。目的物の重量は69.4g(収率94%)であり、上記のような簡便な操作であるにもかかわらず、高い回収率で目的物を回収できた。
得られた目的物をNMRにて分析した結果、下記式で表される化合物{すなわち、9,9−ビス[6−(2−ビニルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン}であった。また、目的物をHPLCにて分析したところ、純度は98%であり、上記方法では簡便な反応条件および精製操作であるにもかかわらず、高収率および高純度で目的物が得られることがわかった。
Figure 0006259292
H−NMR(THF−d8−400MHz):δ(ppm)=7.85(d,2H,J=6.4Hz)、7.03−7.64(m,18H)、6.49−6.55(m,2H)、4.25−4.28(m,4H)、4.18−4.19(m,2H)、4.02−4.06(m,4H)、3.93−3.97(m,2H)
得られた目的物を、汎用の溶剤であるトルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどに溶解させたところ、いずれも容易に溶解した。このように得られた化合物は、剛直な骨格を有する高炭素密度の化合物であるにもかかわらず、汎用の溶剤に溶解する汎用性の高い材料であることがわかった。
(実施例2)
2−クロロエチルビニルエーテルを50.6g(0.48mol)に代え、34.6g(0.325mol)に代えるとともに、反応時間を7時間としたこと以外は、実施例1と同様にして反応混合物を得た。反応混合物における9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンの転化率は94%であり、目的物の選択率は61%であった。
(実施例3)
実施例1で得られた目的物10g(0.015mol)を、170℃、3MPaの条件で1時間加圧プレスし、フィルム状物を得た。そして、このフィルム状物を、210℃、133Paの条件で真空乾燥器中で2時間熱処理することで、フィルム状の硬化物(厚み300μm)を得た。得られた硬化物のガラス転移温度Tg(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製「DSC 6220」)を測定したところ、300℃以上であった。
(実施例4)
実施例1で得られた目的物10g(0.015mol)に、テトラヒドロフラン(THF)5g、過酸化ベンゾイル0.18g(0.75mmol)を添加し、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物を、基材フィルムにコーティングし、80℃で5分間乾燥させた後、60℃で2時間熱処理し、フィルム状の硬化物(厚み50μm)を得た。得られた硬化物のTgを測定したところ、300℃以上であった。
(実施例5)
1Lのフラスコにビス(オルトフェニルフェノール)フルオレン(62.8g,0.13mol)とDMSO(62.8g)とTHF(125.6g)とを入れて溶解し、溶液を調製した。48%水酸化ナトリウム水溶液(50.6g,0.48mmol)を入れて75℃に保ち、等圧滴下漏斗を利用して2-クロロエチルビニルエーテル(34.6g,0.32mol)を滴下投入した。75℃を保持したまま8時間反応させた。水(113g)を投入、酢酸エチル(120mL×1回、60mL×3回)で抽出し、水(60g×4)で水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、トルエン(150g)に溶解し、IPA(675g)中に滴下して沈殿させ、ろ過したところ、白色固体(79.4g、収率95%)を得た。
得られた固体をNMRにて分析した結果、下記式で表される化合物、すなわち、9,9−ビス[4−(2−ビニルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンであった。また、得られた固体をHPLCにて分析した結果、純度98%以上であった。
Figure 0006259292
H−NMR(THF−d8−400MHz):δ(ppm)=7.84(d,2H,J=6.4Hz)、7.24−7.40(m,22H)、6.39−6.44(m,2H)、4.10−4.15(m,6H)、3.87−3.97(m,6H)
得られた目的物を、汎用の溶剤であるトルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフランに溶解させたところ、いずれも容易に溶解した。このように得られた化合物は、剛直な骨格を有する高炭素密度の化合物であるにもかかわらず、汎用の溶剤に溶解する汎用性の高い材料であることがわかった。
(実施例6)
実施例5で得られた目的物10g(0.016mol)を、170℃、3MPaの条件で1時間加圧プレスし、フィルム状物を得た。そして、このフィルム状物を、210℃、133Paの条件で真空乾燥器中で2時間熱処理することで、フィルム状の硬化物(厚み300μm)を得た。
(実施例7)
実施例5で得られた目的物10g(0.016mol)に、テトラヒドロフラン(THF)5g、過酸化ベンゾイル0.18g(0.75mmol)を添加し、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物を、基材フィルムにコーティングし、80℃で5分間乾燥させた後、60℃で2時間熱処理し、フィルム状の硬化物(厚み50μm)を得た。
本発明のビニルエーテル化合物又はその樹脂組成物(又はその硬化物)は、単独で又は組み合わせる樹脂成分の種類などに応じて、種々の用途に使用でき、例えば、透明材料(光学材料)、リフローレンズ、導電部材、電子部品の層間の絶縁材、プリント基板用のソルダーレジスト、カバーレイなどのレジスト材料などとして有用である他、カラーフィルター、印刷インキ、封止剤(半導体封止剤など)、塗料、コーティング剤(有機ELのオーバーコーティング用のコーティング剤など)、接着剤、粘着剤、アンダーフィル、CFRP(炭素繊維強化複合材料)などのあらゆる材料(電気・電子材料など)として有用である。特に、本発明のビニルエーテル化合物は、高炭素密度であり、高耐熱性、優れた硬化性、低吸水性などの優れた特性を有しているため、プリント配線板用途などに好適である。さらに、本発明は、種々の成形体(例えば、レンズ、シートなどの光学用成形体など)を形成するのに適している。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表されるビニルエーテル化合物。
    Figure 0006259292
    (式中、環Zは縮合多環式アレーン環、R は、シアノ基、ハロゲン原子又は炭化水素基、kは0〜4の整数、R はアルキレン基、nは0以上の整数、pは1以上の整数を示す。)
  2. 式(1)において、縮合多環式アレーン環が縮合多環式C 10−16 アレーン環であり、Rがシアノ基、ハロゲン原子、又は炭化水素基、kが0〜2、R がC2−6アルキレン基、nが0〜3、pが1〜4である請求項1記載のビニルエーテル化合物。
  3. 式(1)において、環Zがナフタレン環、がアルキル基、kが0〜1、R がC2−4アルキレン基、nが0〜2、pが1〜3である請求項1又は2記載のビニルエーテル化合物。
  4. 式(1)において、環Zがナフタレン環、がC1−4アルキル基、kが0〜1、R がC2−3アルキレン基、nが0〜1、pが1〜2である請求項1〜のいずれかに記載のビニルエーテル化合物。
  5. 式(1)において、環Zがナフタレン環、kが0、R がC2−3アルキレン基、nが1、pが1である請求項1〜のいずれかに記載のビニルエーテル化合物。
  6. 下記式(1A)で表される化合物と、下記式(1B)で表される化合物を反応させ、請求項1〜のいずれかに記載のビニルエーテル化合物を製造する方法。
    Figure 0006259292
    (式中、Xはヒドロキシル基と反応してエーテル結合を形成可能な基、R3aおよびR3bはそれぞれアルキレン基であり、n1は0以上の整数、n2は1以上の整数を示し、n1+n2の合計はnであり、Z、R 、k、n、pは前記請求項1に同じ。)
  7. 式(1A)において、n1が0である請求項記載の製造方法。
  8. 式(1B)において、Xがハロゲン原子である請求項6又は7記載の製造方法。
  9. 式(1A)においてn1が0、pが1であり、式(1B)においてXがハロゲン原子、R3bがC2−4アルキレン基であり、n2が1である請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 式(1B)で表される化合物を、式(1A)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、1.1モル以上となる割合で用いる請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載のビニルエーテル化合物が硬化した硬化物。
  12. 請求項1〜のいずれかに記載のビニルエーテル化合物および重合開始剤を含む硬化性組成物。
  13. 請求項12記載の硬化性組成物が硬化した硬化物。
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