JP6253492B2 - ウインドレギュレータ - Google Patents
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Description
昇降用ケーブルに弛みが生じると、ドラムによる巻き取り・繰り出しの際に、駆動力を伝達できなくなることから、昇降用ケーブルとキャリアプレートとの連結部において、昇降用ケーブルの弛みを取る方向にエンドピースを付勢する付勢部材を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、ドアの開閉などの衝撃があった場合に、ケーブルのエンドピースの振動を抑制して、異音が発生することを防止するウインドレギュレータを提供することを目的とする。
ウインドレギュレータは、キャリアプレートと、ガイドレールと、ケーブルと、エンド収容部と、弛み取り機構とを備える。キャリアプレートは、窓ガラスを保持する。ガイドレールは、キャリアプレートを所定方向に案内する。ケーブルは、キャリアプレートを所定方向に牽引する。エンド収容部は、キャリアプレートに設けられ、ケーブルの端部に設けられるエンドピースをケーブルの軸線方向に移動可能に収容する。弛み取り機構は、エンド収容部に設けられ、ケーブルの弛みを取る方向にエンドピースを付勢する。
弛み取り機構は、エンドピースを付勢する付勢部材を含み、エンド収容部の軸線に対して付勢部材の付勢軸が傾きを有してエンドピースの少なくとも側面の一部がエンド収容部の内周面に当接するように、付勢部材がエンド収容部の軸線方向にエンドピースを付勢する。
このようにしたウインドレギュレータでは、上端拘束位置又は下端拘束位置にあっても、エンドピースが付勢部材により付勢されて、少なくとも側面の一部がエンド収容部の内周面に当接して、姿勢が安定した状態となっている。したがって、ドアの開閉などにより衝撃が発生した場合であっても、エンドピースがエンド収容部内で振動して異音を発生することを抑制できる。
この場合、コイルバネの座面である内端面を傾斜させることで、エンドピースの少なくとも側面の一部をエンド収容部の内周面に当接させることが可能となる。したがって、簡単な構成で、エンド収容部内のエンドピースの姿勢を安定させ、異音の発生を抑制することが可能となる。
この場合、コイルバネにより、エンドピースを窓ガラスの内側方向又は外側方向に傾斜させることができ、ドアの開閉による衝撃を原因としてエンドピースに振動が発生することを抑制することができる。
図1を用いて、本発明に係るウインドレギュレータの一実施形態を以下に説明する。図1は、ウインドレギュレータの一実施形態を示す正面図である。
ウインドレギュレータ30は、車両のドアパネル(図示せず)に昇降可能に支持される窓ガラス20を昇降移動させる機構である。ウインドレギュレータ30は、ガイドレール31と、キャリアプレート32と、上昇用ケーブル33と、下降用ケーブル34と、駆動部35とを備えている。
ガイドレール31は、長尺状の底面部37の2つの長辺から一方の主面側に側面部38,39を立設して、長さ方向に交差する断面形状がコ字形状になるように形成されている。ガイドレール31は、例えば、ステンレススチール、アルミニウム合金、その他の金属材料で構成されることができ、硬質の合成樹脂材料で構成することも可能である。
ガイドレール31には、底面部37と、側面部38,39とにより、キャリアプレート32を係合するための摺動溝40が形成される。
図1に示すように、ガイドレール31の上端部には、上昇用ケーブル33の移動方向を転換するための方向転換部材としての上部ケーブルガイド44が設けられている。
上部ケーブルガイド44は、例えば、合成樹脂材料により正面視半円形状に形成され、湾曲した周面にケーブルを摺動状態で案内する案内溝(図示せず)が形成されている。
上部ケーブルガイド44は、ガイドレール31の上端部を車両のドアパネルに固定するための上部ブラケット(図示せず)にボルトなどにより締着されることが可能であり、また上部ブラケットと一体的に構成することも可能である。
また、上部ケーブルガイド44は、上昇用ケーブル33の移動方向を転換するものであればよく、例えば、ガイドレール31又はガイドレール31の上端部に取り付けられる上部ブラケットに回転自在に支持されたプーリを用いることも可能である。
駆動部35は、下端ブラケット41と、ドラム42と、駆動モータ43とを有している。
下端ブラケット41は、ガイドレール31の下端部に取り付けられ、上部ブラケット(図示せず)とともに、車両のドアパネル(図示せず)にガイドレール31を固定する。
ドラム42は、下端ブラケット41に回転自在に支持されており、上昇用ケーブル33及び下降用ケーブル34の他端が連結されて、回転することにより上昇用ケーブル33及び下降用ケーブル34の巻き取り及び繰り出しを行う。
駆動モータ43は、下端ブラケット41に一体的に取り付けられ、駆動モータ43を正逆両方向に回転駆動する。
上昇用ケーブル33は、一端がキャリアプレート32に連結され、上部ケーブルガイド44に掛け回されて、他端が駆動部35のドラム42に連結されている。
また、下降用ケーブル34は、一端がキャリアプレート32に連結され、他端が駆動部35のドラム42に連結されている。
上昇用ケーブル33及び下降用ケーブル34の一端には、キャリアプレート32に連結されるためのエンドピース61が設けられている。
図2は、キャリアプレートの正面図であり、図3は、キャリアプレートの底面図である。
図2に示すように、キャリアプレート32には、上昇用ケーブル33及び下降用ケーブル34のエンドピース61を収容するためのエンド収容部52、53が設けられている。エンド収容部52,53は、コイルバネ71が装着されたエンドピース61を収容することにより、それぞれ上昇用ケーブル33及び下降用ケーブル34をキャリアプレート32に連結するものである。
キャリアプレート32は、本体部51と、本体部51からガイドレール31側に突出する係合突部81とを有しており、例えば、合成樹脂材料などの一体成形により形成される。
係合突部81は、図3に示すように、昇降方向に交差する方向の中間部に位置してガイドレール31側に突出されており、昇降方向に交差する方向の断面形状が、摺動溝40(図1)に係合可能な形状に形成される。
支持部82は、昇降方向と交差する方向に係合突部81と所定距離離間して配置され、ガイドレール31の底面部37の外表面に当接するように屈曲している。
キャリアプレート32は、係合突部81がガイドレール31の摺動溝40に係合されるとともに、支持部82がガイドレール31の底面部37に当接されることにより、ガイドレール31を挟持して、窓ガラス20の昇降方向に摺動可能となっている。
また、ガイドレール31とキャリアプレート32との係合構造は、ガイドレール31に案内されてキャリアプレート32が摺動可能であればよく、例えば、キャリアプレート32側に摺動溝を形成し、ガイドレール31側に摺動溝に係合する係合突条を備える構成とすることも可能である。
次に、図4〜図6を用いて、エンドピース61を付勢することでケーブルのたるみを取るための弛み取り機構を説明する。弛み取り機構は、エンド収容部に設けられ、ケーブルの弛みを取る方向にエンドピースを付勢する機構であり、特に、エンドピースを付勢する付勢部材を含み、エンド収容部の軸線に対して付勢部材の付勢軸が傾きを有してエンドピースの少なくとも側面の一部がエンド収容部の内周面に当接するように、付勢部材がエンド収容部の軸線方向にエンドピースを付勢する。
以下の実施形態では、弛み取り機構は、エンドピース61、コイルバネ71、エンド収容部53の底面55及び内周面56の組み合わせによって実現されている。そこで、各部材の形状、機能、互いの関係を以下に説明する。
図4を用いて、エンドピース61を説明する。図4は、エンドピースの一例を示す説明図である。
図4では、下降用ケーブル34の一端に設けられるエンドピース61を例示するものであり、上昇用ケーブル33の一端にも同様のエンドピース61が設けられる。
エンドピース61は、例えば、金属材料のダイカストにより形成されるものであり、下降用ケーブル34の一端が取り付けられる基部63と、基部63よりも大きい外径である鍔部62とを有している。
鍔部62は、外周径が基部63よりも大きな円板形状又は円柱形状に形成され、基部63に装着されるコイルバネ71の第1端面72と当接する当接面64を構成する。
図5は、コイルバネが伸長した際のエンド収容部の説明図、図6は、コイルバネが圧縮した際のエンド収容部の説明図である。
図5及び図6は、キャリアプレート32を窓ガラス20の主面に交差する方向に切断した場合の断面図であり、エンド収容部52,53のうち、下降用ケーブル34のエンドピース61を収容するためのエンド収容部53のみを示している。
また、エンド収容部53は、エンドピース61の基部63に装着されるコイルバネ71の第2端面73と当接可能な底面55を有している。底面55の中央に位置して、下降用ケーブル34が引き出されるケーブル引出孔57が形成されている。
エンドピース61とともにエンド収容部53に収容されるコイルバネ71は、下降用ケーブル34が温度変化や経年変化に基づいて伸びた場合であっても、下降用ケーブル34が所定の張力を維持するように、下降用ケーブル34の引出方向とは逆の軸線方向に張力を付与する。
ここで、エンド収容部53の軸線は、エンド収容部53に収容されるエンドピース61が下降用ケーブル34の弛み取りのために移動可能な方向である。図示した例では、エンド収容部53の収容空間54が、下降用ケーブル34の引出方向とは逆方向にエンドピース61の移動を許容する形状となっていることから、エンド収容部53の軸線は、下降用ケーブル34の軸線の延長方向と一致している。
コイルバネ71の付勢軸は、第2端面73が当接する座面に対して垂直な反力に基づいて、第1端面72側に伝達される付勢力の方向である。ここでは、コイルバネ71の第2端面73が当接するエンド収容部53の底面55から、底面55に対して垂直方向の反力を受けて、第1端面72が当接するエンドピース61の当接面64に付勢力が付与される。したがって、コイルバネ71の付勢軸は、エンド収容部53の軸線に対して所定の傾きを有する。ここで、「傾きを有する」とは、所定の方向に対して傾斜しいていることを意味しており、具体的には、コイルバネ71がエンドピース61を付勢する付勢力の方向が、エンド収容部53の軸線に対して傾斜していることを指す。なお、エンド収容部は、ケーブル引出孔からのケーブルの延出方向に対して傾斜してもよいが、ケーブル引出孔からのケーブルの延出方向と一致していることがケーブルに不要な応力が加わらないために好ましい。
エンドピース61の側面は、径方向外周面であって、具体的には、最も外径が大きい鍔部62の外周面である。
このことから、下降用ケーブル34のエンドピース61をエンド収容部53の内周面56に当接させることによって、窓ガラス20が上端拘束位置であっても、エンドピース61が振動することを抑制し、ドアが開閉された場合であってもエンドピース61とエンド収容部53の内周面56とが衝突して打音が発生することを抑制できる。
上記の実施形態では、エンド収容部53の底面55が、車両の外側から内側に向けて低くなる傾斜面を構成しており、コイルバネ71の付勢軸が、鉛直方向に対して車両内側に向けて傾斜している。このことから、ドアの開閉時にも、エンドピース61がエンド収容部53の内周面56のうち車両の内側面に当接した状態を維持して、振動することが抑制される。
なお、コイルバネによりエンドピースを付勢する方向が、鉛直方向に対して窓ガラスの外側方向に傾斜していてもよい。例えば、エンド収容部53の底面55は、車両の内側から外側に向けて低くなる傾斜面とすることも可能である。この場合、コイルバネ71の付勢軸が、鉛直方向に対して車両外側に向けて傾斜し、エンドピース61がエンド収容部53の内周面56のうち車両の外側面に当接した状態となる。
上昇用ケーブル33のエンドピース61を収容するエンド収容部52についても、前述したエンド収容部53と同様の構成とすることが可能である。
図7は、コイルバネが伸長した際のエンド収容部の説明図、図8は、コイルバネが圧縮した際のエンド収容部の説明図である。
図7及び図8は、キャリアプレート32を窓ガラス20の主面に交差する方向に切断した場合の断面図であり、エンド収容部52,53のうち、上昇用ケーブル33のエンドピース61を収容するためのエンド収容部52のみを示している。
エンドピース61には、付勢部材としてのコイルバネ71が装着される。このコイルバネ71についても、下降用ケーブル34側に設けられるコイルバネ71と同様の構成であり、共通する部位について同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
エンド収容部52に収容されるエンドピース61は、上昇用ケーブル33が駆動部35のドラム42に巻き取られることで、図8に示すように、エンド収容部52の底面55との間でコイルバネ71を圧縮した後、コイルバネ71を介してエンド収容部52の底面55に係止され、上昇用ケーブル33の牽引力をキャリアプレート32に伝達する。
エンドピース61とともにエンド収容部52に収容されるコイルバネ71は、上昇用ケーブル33が温度変化や経年変化に基づいて伸びた場合であっても、上昇用ケーブル33が所定の張力を維持するように、上昇用ケーブル33の引出方向とは逆の軸線方向に張力を付与する。
図示するように、エンド収容部52の底面55は、車両の外側から内側に向けて低くなる傾斜面を構成しており、コイルバネ71の付勢軸が、鉛直方向に対して車両内側に向けて傾斜している。このことから、エンドピース61がエンド収容部52の内周面56のうち車両の内側面に当接した状態を維持する。
したがって、窓ガラス20の下端拘束時に、コイルバネ71による付勢力が弱くなっていても、エンドピース61がエンド収容部52の内周面56に当接する状態を維持し、ドアの開閉時においても振動することが抑制される。
ウインドレギュレータ(例えば、ウインドレギュレータ30)は、キャリアプレート(例えば、キャリアプレート32)と、ガイドレール(例えば、ガイドレール31)と、ケーブル(例えば、上昇用ケーブル33、下降用ケーブル34)と、エンド収容部(例えば、エンド収容部52、53)と、弛み取り機構(例えば、コイルバネ71)とを備える。キャリアプレートは、窓ガラス(例えば、窓ガラス20)を保持する。ガイドレールは、キャリアプレートを所定方向(例えば、窓ガラス20の昇降方向)に案内する。ケーブルは、キャリアプレートを所定方向(例えば、窓ガラス20の上昇方向及び下降方向)に牽引する。エンド収容部は、キャリアプレートに設けられ、ケーブルの端部に設けられるエンドピース(例えば、エンドピース61)をケーブルの軸線方向に移動可能に収容する。弛み取り機構は、エンド収容部に設けられ、ケーブルの弛みを取る方向(例えば、上昇用ケーブル33及び下降用ケーブル34の引出方向と逆の軸線方向)にエンドピースを付勢する。
弛み取り機構は、エンドピースを付勢する付勢部材(例えば、コイルバネ71)を含み、エンド収容部の軸線に対して付勢部材の付勢軸(例えば、コイルバネ71がエンドピース61を付勢する方向)が傾きを有してエンドピースの少なくとも側面の一部(例えば、鍔部62の外周面)がエンド収容部の内周面(例えば、内周面56)に当接するように、付勢部材がエンド収容部の軸線方向にエンドピースを付勢する。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
前述した実施形態では、ガイドレール31の下端に駆動部35を設けた下端ドライブタイプのウインドレギュレータ30を開示しているが、ガイドレール31の下端にも下降用ケーブル34が掛け回されて方向転換する方向転換部材を設けることができる。ガイドレール31の下端に設けられる方向転換部材は、下降用ケーブル34を案内するための案内溝が形成されたケーブルガイドとすることができ、ガイドレール31に回転自在に支持されるプーリとすることも可能である。
この場合、駆動部35をガイドレール31の側方に配置したデルタ型のウインドレギュレータとすることができる。
また、車両のドアパネルの上側の左右に2箇所、下側の左右に2箇所に方向転換部材を設け、これら方向転換部材にケーブルを配索したツインリフト型のウインドレギュレータについても、本発明の構成を適用することができる。
30 ウインドレギュレータ
31 ガイドレール
32 キャリアプレート
33 上昇用ケーブル
34 下降用ケーブル
35 駆動部
37 底面部
38 側面部
39 側面部
40 摺動溝
41 下端ブラケット
42 ドラム
43 駆動モータ
44 上部ケーブルガイド
51 本体部
52 エンド収容部
53 エンド収容部
54 収容空間
55 底面
56 内周面
57 ケーブル引出孔
61 エンドピース
62 鍔部
63 基部
64 当接面
71 コイルバネ
72 第1端面
73 第2端面
81 係合突部
82 支持部
Claims (2)
- 窓ガラスを保持するキャリアプレートと、
前記キャリアプレートを所定方向に案内するガイドレールと、
前記キャリアプレートを前記所定方向に牽引するケーブルと、
前記キャリアプレートに設けられ、前記ケーブルの端部に設けられるエンドピースを前記ケーブルの軸線方向に移動可能に収容するエンド収容部と、
前記エンド収容部に設けられ、前記ケーブルの弛みを取る方向に前記エンドピースを付勢する弛み取り機構と、
を備え、
前記弛み取り機構は、前記エンドピースを付勢する付勢部材を含み、前記エンド収容部の軸線に対して前記付勢部材の付勢軸が傾きを有して前記エンドピースの少なくとも側面の一部が前記エンド収容部の内周面に当接するように、前記付勢部材が前記エンド収容部の軸線方向に前記エンドピースを付勢し、
前記エンド収容部には、前記ケーブルを導出するためのケーブル導出孔が形成され、
前記弛み取り機構は、前記エンド収容部内の前記ケーブル導出孔が形成されている内端面と前記エンドピースとの間に配置され、前記エンドピースを前記内端面から遠ざかる方向に付勢するコイルバネを有し、
前記内端面は、前記エンド収容部の側壁に直交する面に対して傾斜している、ウインドレギュレータ。 - 前記コイルバネにより前記エンドピースを付勢する方向が、鉛直方向に対して前記窓ガラスの内側方向又は外側方向に傾斜している、請求項1に記載のウインドレギュレータ。
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