JP6251478B2 - 金属酸化物粒子、組成物および金属酸化物粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、各種用途への展開が可能となる、各種媒体に良好な分散性をする金属酸化物粒子を提供することにある。
すなわち本発明は、エステル基、エーテル基、アミド基、チオエステル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレタン基、およびウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有するカルボン酸、または(メタ)アクリル酸である第1のカルボン酸化合物、および第1のカルボン酸化合物以外のカルボン酸化合物の少なくとも2種のカルボン酸化合物により被覆されている金属酸化物粒子である。本発明の被覆された金属酸化物粒子に用いる第1のカルボン酸化合物がpKa4.8以下であること、第1のカルボン酸化合物または第2のカルボン酸化合物が重合性二重結合を有することが好ましい。また、本発明の金属酸化物粒子を形成する金属は、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
さらに本発明では、前記被覆された金属酸化物粒子を含む組成物も包含し、前記組成物は、金属酸化物粒子を25質量%以上含有し、溶媒、モノマー、オリゴマー及びポリマーからなる群より選ばれる1種以上を媒体とすることが好ましい。
本発明は、前記金属酸化物粒子を含む光学部材も包含する。
また、本発明の被覆された金属酸化物粒子は、前記第2のカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子に、前記第1のカルボン酸化合物を反応させ、前記第2のカルボン酸化合物の一部を前記第1のカルボン酸化合物に置換することにより製造される。
本発明では、金属酸化物の被覆に用いるカルボン酸化合物のうち、エステル基、エーテル基、アミド基、チオエステル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレタン基、およびウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基(以下、特定置換基と称する場合がある)を有するカルボン酸、または(メタ)アクリル酸(以下、第1のカルボン酸化合物と称する)が採用される。これらの化合物を採用することにより金属酸化物粒子の疎水性・親水性のバランスが良くなり、親水性溶媒・疎水性溶媒・モノマー・オリゴマー・ポリマー等の各種の媒体への分散性が顕著に向上する。第1のカルボン酸化合物は(メタ)アクリル酸であるか、または特定置換基を1種以上有していれば良く、同種もしくは異種の特定置換基を複数有してもよく、さらに特定置換基以外の置換基を有してもよい。特定置換基は、エステル基、エーテル基、アミド基が入手性の観点から好ましく、更に好ましくはエステル基、エーテル基である。1分子中に特定置換基は1つ以上有していれば良く、上限は特に限定されないが、金属酸化物粒子製造の際のハンドリングから20個以下が好ましい。より好ましくは10個以下、更に好ましくは5個以下である。
続いて、第2のカルボン酸化合物について説明する。第2のカルボン酸は前記第1のカルボン酸以外のカルボン酸であれば特に限定されないが、後述する製造工程の観点から、炭素数4〜20の直鎖状カルボン酸(直鎖状脂肪族カルボン酸、好ましくは直鎖状飽和脂肪族カルボン酸など)、分枝鎖状カルボン酸(分岐鎖状脂肪族カルボン酸、好ましくは分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸など)、環状カルボン酸(脂環式カルボン酸、好ましくは不飽和二重結合を有さない脂環式カルボン酸など)、または芳香族カルボン酸などの1つ以上(好ましくは1つ)のカルボン酸基を有する炭化水素類が好ましく採用される。例えば酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸などの直鎖状カルボン酸;ピバリン酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジエチル酪酸、3,3−ジエチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、4−メチルオクタン酸、ネオデカン酸などの分枝鎖状カルボン酸;ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの環状カルボン酸などを挙げることができる。これらのうち特に分枝鎖状カルボン酸が好適である。分枝鎖状カルボン酸とすることによって、金属酸化物粒子の凝集を効率的に抑制できる。
第2のカルボン酸化合物のpKaは、例えば、4.0〜6.0程度、好ましくは4.2〜5.5程度、さらに好ましくは4.5〜5.0程度である。
金属酸化物粒子を形成する金属としては、例えばTi、Al、Zr、In、Zn、Sn、La、Y、Ce、Mg、Ba、Caなどが挙げられ、高屈折率の金属酸化物を提供できるという観点からはTi、Al、Zr、Zn、Sn及びCeよりなる群から選択される少なくとも1種(特にZr)が好ましい。金属酸化物としては、単一金属の酸化物であっても良いし、2種以上の酸化物の固溶体であってもよいし、或いは複合酸化物であってもよい。単一金属酸化物には、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)が含まれる。2種以上の酸化物の固溶体としては、ITO、ATOなどが挙げられる。複合酸化物は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、灰チタン石(CaTiO3)、スピネル(MgAl2O4)などである。
以下、本発明の金属酸化物粒子の代表的な製造方法について説明するが、各工程は適宜変更しても構わない。なお製法的特徴を考慮した場合、本明細書では、本発明の金属酸化物粒子を置換被覆型粒子と称する場合がある。該本発明の粒子(置換被覆型粒子)は、まず初めに第2のカルボン酸化合物で被覆された粒子(以下、被覆型粒子と称する場合がある)を調製し、次いでこの被覆型粒子表面の第2のカルボン酸を第1のカルボン酸化合物で置換することで製造できる。
被覆型粒子は、水存在下、金属成分と第2のカルボン酸化合物とを水熱反応を行なうことで得られる。
前記金属成分は、水熱反応により金属酸化物を生成する化合物に含まれている限り特に限定されない。金属成分を含む化合物としては、種々の金属酸化物前駆体が挙げられ、例えば各種金属の水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、アルコキシド等が含まれ、さらには各種金属と第2のカルボン酸の塩であってもよい。例えばジルコニウムでの例では、水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニル、オキシ酢酸ジルコニル、オキシ硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、オレイン酸酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ステアリン酸酸化ジルコニウム、ラウリン酸酸化ジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキサイド等が挙げられる。また、チタンでの例では、水酸化チタン、塩化チタン、オキシ塩化チタン、オキシ酢酸チタン、オキシ硝酸チタン、硫酸チタン、オクタン酸チタン、オレイン酸酸化チタン、酢酸チタン、ステアリン酸酸化チタン、ラウリン酸酸化チタン、テトラブトキシチタン(例えば、テトラ−n−ブトキシチタン)等のチタンアルコキサイド等が例示できる。
(i)第2のカルボン酸化合物と金属酸化物前駆体との塩
(ii)第2のカルボン酸化合物の金属塩、および
(iii)第2のカルボン酸化合物及び金属酸化物前駆体
から選ばれる少なくとも1種以上を水熱反応することが好ましい。
尚、塩とは、カルボン酸と金属酸化物前駆体との量論比で構成される単種類の化合物だけでなく、複合塩や、未反応のカルボン酸または金属酸化物前駆体が存在する組成物であってもよい。
前記(i)において、第2のカルボン酸化合物と金属酸化物前駆体との塩とは、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属により中和度が0.1〜0.8の範囲に中和された第2のカルボン酸化合物由来のカルボン酸塩含有組成物と金属酸化物前駆体とを反応させて得られた、第2のカルボン酸化合物と金属との塩であることが好ましい。
前記カルボン酸塩含有組成物を得るために用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属はいずれであってもよいが、水溶性の高いカルボン酸塩を形成する金属が好ましく、アルカリ金属、特にナトリウム及びカリウムが好適である。
前記カルボン酸塩含有組成物と前記金属酸化物前駆体とを反応させるには、水溶液同士を混合させるのが好ましい。反応温度は水溶液を保持できる温度であれば特に問わないが、室温から100℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましい。
(ii)の実施形態では、事前に調製した第2のカルボン酸化合物の金属塩を用いるものである。上記の様な煩雑な工程を経ることなく、水熱反応に供することが出来る利点がある。但し、容易に入手できる化合物が限られているため、目的とする有機基で被覆された金属酸化物粒子が得られないことがある。金属は特に限定されないが、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
金属塩の純度が低い場合には、精製を施してから用いることもあるが、市販品または事前に調製した塩をそのまま水熱反応に供することが出来る。
前記(iii)では、前記金属酸化物前駆体として、例えば各種金属の水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、アルコキシド等が挙げられる。例えばジルコニウムでの例では、水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニル、オキシ酢酸ジルコニル、オキシ硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、オレイン酸酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ステアリン酸酸化ジルコニウム、ラウリン酸酸化ジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキサイド等を用いる場合に好適な方法である。また、チタンでの例では、水酸化チタン、塩化チタン、オキシ塩化チタン、オキシ酢酸チタン、オキシ硝酸チタン、硫酸チタン、オクタン酸チタン、オレイン酸酸化チタン、酢酸チタン、ステアリン酸酸化チタン、ラウリン酸酸化チタン、テトラブトキシチタン(例えば、テトラ−n−ブトキシチタン)等のチタンアルコキサイド等を用いる場合に好適な方法である。
前記第2のカルボン酸化合物については、前記(i)と同じである。
前記(i)〜(iii)のいずれかを水熱反応に供することで金属酸化物粒子組成物が得られる。前記(i)〜(iii)だけでは、粘度が高く水熱反応が効率的に進行しない場合には、該(i)〜(iii)に対して良好な溶解性を示す有機溶媒を添加すると良い。
前記組成物は原料に由来する十分な量の水を含有している場合もあるが、原料中に含まれる水分が無い又は少ない場合には、水熱反応に供する前に水分を添加しておく必要がある。
前記塩基性化合物の量は、該工程で用いられる金属酸化物前駆体1モルに対して0.03モル以上1.5モル以下であることが好ましい。前記範囲の塩基性化合物を添加することで、被覆型粒子の収率がより向上する。
前記水熱反応で得られた被覆型粒子の第2のカルボン酸化合物を第1のカルボン酸化合物で置換することによって本発明の置換被覆型粒子が得られる。この置換は、具体的には、被覆型粒子と第1のカルボン酸化合物とを含む混合物(特に混合液)を撹拌することによって行う。第1のカルボン酸化合物と被覆型粒子の質量比は特に制限されないが、第1のカルボン酸化合物/被覆型粒子として、5/100〜200/100が好ましい。5/100より少ない場合には第1のカルボン酸化合物の導入量が不十分となり、分散性が不十分となる恐れがあり、200/100よりも多い場合には置換被覆型粒子への導入量が飽和してしまい非効率となる恐れがある。より好ましくは10/100〜150/100である。
本発明の被覆された金属酸化物粒子は、各種媒体に対する顕著な分散性を有するため、多様な溶媒、モノマー(単官能モノマー及び/又は架橋性モノマー)、オリゴマー、ポリマー等への又はこれらの組合せへの添加が可能である。
また本発明の組成物は、上記ポリマー(樹脂)を含む樹脂組成物であってもよい。本発明の樹脂組成物を構成する場合、媒体であるポリマーは例えば、6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミド類;ポリイミド類;ポリウレタン類;ポリエチレン、ポロプロピレンなどのポリオレフィン類;PET、PBT、PENなどのポリエステル類;ポリ塩化ビニル類;ポリ塩化ビニリデン類;ポリ酢酸ビニル類;ポリスチレン類;(メタ)アクリル樹脂系ポリマー;ABS樹脂;フッ素樹脂;フェノール・ホルマリン樹脂、クレゾール・ホルマリン樹脂などのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂などを挙げることができる。また、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂などの軟質樹脂や硬質樹脂、なども挙げられる。上記した中で、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、(メタ)アクリル樹脂系ポリマー、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂がより好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の置換被覆型粒子は、その顕著な分散性から各種用途への展開が可能となった。高分散性を要する用途としてはレジスト用途、光学用途、塗布用途、接着用途が挙げられ、光学レンズ、光学フィルム用粘着剤、光学フィルム用接着剤、ナノインプリント用樹脂組成物、マイクロレンズアレイ、透明電極に使用する反射防止層、反射防止フィルムや反射防止剤、光学レンズの表面コート、有機EL光取り出し層、各種ハードコート材、TFT用平坦化膜、カラーフィルター用オーバーコート、反射防止フィルムなどの各種保護膜および、光学フィルター、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、カラーフィルター用フォトスペーサー、タッチパネル用保護膜等の光学部材または光学材料に好適に用いられる。特に本発明の置換被覆型粒子は顕著な分散性に加え、高屈折率、高硬度、高安定性を有するため、光学レンズ、光学レンズの表面コート、各種ハードコート材、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、タッチパネル用保護膜に使用することが好ましい。
1)本発明の置換被覆型粒子を含む硬化性組成物(硬化性樹脂)を調製する。代表的には本発明の置換被覆型粒子、酸基を有するポリマーまたは酸基とラジカル重合性基もしくはエポキシ基を有するポリマー、ラジカル重合性二重結合を有する化合物またはエポキシ基を有する化合物、光ラジカル発生剤または光酸発生剤、必要により溶媒、着色剤、充填材、染料、顔料、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、増感剤、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重合抑制剤、増粘剤、分散剤等の公知の添加剤を含むレジスト組成物を調製する。各種成分は公知の材料の組み合わせ、公知の配合比を選択できる。
2)この樹脂組成物を金属型、ガラス型、樹脂型等を用いて所定の形状に成形し、平板状の樹脂組成物からなる基材の表面(一方の面)に微小な凸レンズ部が形成された成形体を作製する。
3)この成形体を加熱、あるいは成形体に紫外線や赤外線等の照射を施し、この成形体を硬化させ、光学レンズとする。
なお、上記では板状部材にマイクロレンズを腑型する方法を例示したが、球面レンズ、非球面レンズ、フレネルレンズ等にも好適に利用可能である。
下記実験例中の酸化ジルコニウム粒子又は酸化チタン粒子の物性、重合体の特性、及び硬化性樹脂組成物の特性は、以下の方法により測定した。
1.1 酸化ジルコニウム粒子又は酸化チタン粒子の物性
(1)結晶構造の解析
酸化ジルコニウム粒子又は酸化チタン粒子の結晶構造は、X線回折装置(リガク社製、RINT−TTRIII)を用いて解析した。測定条件は以下の通りである。
X線源:CuKα(0.154nm)
X線出力設定:50kV、300mA
サンプリング幅:0.0200°
スキャンスピード:10.0000°/min
測定範囲:10〜75°
測定温度:25℃
X線回折装置(リガク社製、RINT−TTRIII)を用いて算出される値を元に、計算ソフト(リガク社製、PDXL)を用いて参照強度比法(RIR法)により定量した(ピークの帰属も計算ソフトの指定に従った)。
結晶子径は、X線回折装置(リガク社製、RINT−TTRIII)を用いて解析することにより算出した。すなわち、酸化ジルコニウム粒子の場合は2θ=30°のピーク、酸化チタン粒子の場合は2θ=25°の半値幅を用いて、下記シェラーの式から結晶子径(L)を算出した。
L=Kλ/βcosθ
K:定数
λ:使用X線管球の波長
β:半値幅
2θ:回折角度
酸化ジルコニウム粒子又は酸化チタン粒子の平均一次粒子径は、超高分解能電解放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)で観察することによって測定した。倍率15万倍で酸化ジルコニウム粒子を観察し、任意の100個の粒子について、各粒子の長軸方向の長さを測定し、その平均値を平均一次粒子径とした。
TG−DTA(熱重量−示唆熱分析)装置により、空気雰囲気下、室温から800℃まで10℃/分で酸化ジルコニウム粒子又は酸化チタン粒子を昇温した。昇温開始前後での該粒子の質量減少率を測定した。
被覆型酸化ジルコニウム粒子又は被覆型酸化チタン粒子を重クロロホルムに分散させて測定資料とし、Variann社製「Unity Plus」(共鳴周波数:400MHz、積算回数:16回)を用いて測定した。下記の化学シフト(テトラメチルシラン基準)のピークの積分比に基づき、各化合物のモル比を決定した。
i)2−エチルヘキサン酸(1.0−0.5ppm:6H)
ii)2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート(1.0−0.5ppm:6H)
iii)2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(6.7−5.7ppm:3H)
iv)2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(6.8−5.6ppm:3H)
v)2−アクリロイルオキシエチルフタル酸(6.8−5.2ppm:3H)
vi)3,3−ジメチル酪酸(1.0−0.5ppm:9H)
vii)3,3−ジメチル酪酸由来のカルボキシレート(1.0−0.5ppm:9H)
蛍光X線分析装置(ZSX PrimusII リガク社製)を用いて、酸化ジルコニウム粒子中のZr含有量、Si含有量を測定した。
(8)炭素含有量の測定
J−Science社製JM10により、酸化ジルコニウム粒子又は酸化チタン粒子中の炭素含有量の測定を行った。
(9)重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフ測定装置(「Shodex GPC System−21H」昭和電工製)を用い、重合体の重量平均分子量をポリスチレン換算で測定した。
重合体溶液1gにアセトン4gを加えて溶解させた溶液を、常温で自然乾燥させ、さらに100℃にて5時間減圧乾燥(160℃/5mmHg)した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定した。そして、減圧乾燥後の重量を重合体重量とし、これを重合体溶液1gで除すことで、重合体濃度とした。
重合体溶液0.5〜1gに、アセトン80mlおよび水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM−555」平沼産業製)を用いて滴定し、溶液の酸価を測定した。そして、酸が全て重合体に由来するものと仮定し、溶液の酸価と重合体濃度から、重合体の酸価を算出した。
(12)透明性評価
何も塗工されていないスライドグラスの厚み方向の光透過率(光波長:400nm)を、吸光光度計(島津製作所製分光光度計「UV−3100」)を用いて測定し、その透過率をT1%とした。次に、スライドグラス上に、硬化性樹脂組成物をバーコーター#10にて塗工し、80℃×5分加熱後、高圧水銀ランプで50mJ/cm2の紫外線を照射することにより硬化させ、硬化塗膜を得た。作製した硬化塗膜が形成されたスライドグラスの厚み方向の光透過率(光波長:400nm)を吸光光度計「UV−3100」を用いて測定し、その透過率をT2%とした。これらの値から透過率Tを下記式により算出した。
T(%)=100+T2(%)−T1(%)
硬化性樹脂組成物を、ガラス基板上にスピンコートし、100℃で3分間乾燥し、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。塗膜を、UV露光装置(Topcon社製、商品名:TME−150RNS)により、ライン幅30μmのラインアンドスペースのフォトマスクを介して、50mJ/cm2のUV光を露光し、スピン現像機(アクテス社製、商品名:ADE−3000S)を用いて、0.05%の水酸化カリウム水溶液で20秒間現像を行い、現像性の評価を行った。
スライドグラス上に、硬化性樹脂組成物をアプリケーターで膜厚が100μmになるよう塗工を行い、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプで1000mJ/cm2の紫外線を照射することにより硬化させ、硬化物を得た。屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて、20℃において、得られた硬化物の波長589nmの光の屈折率を測定した。
JIS K 5400 8.4.1(試験機法)に準拠して、鉛筆引っかき試験を行い、塗膜に傷が付いたときの鉛筆硬度を硬度とした。
(a)PDMS製のピラミッドアレイ型の作製
10mm角のSiウエハ上に、頂角90°のV溝を深さ25μm、ピッチ50μmとなるようにダイシングソーで機械加工し、基板の方向を90°回転し同様に機械加工することで、一辺50μmで高さ25μmのピラミッド形状(四角錐)が規則的に配列したピラミッドアレイ型のマスター型を作製した。
Siウエハ上に、硬化性樹脂組成物を滴下し、PDMS製のピラミッドアレイ型を設置し、簡易インプリント装置を用いて荷重0.1MPaで押圧した。型を押圧した状態で、高圧水銀ランプで1000mJ/cm2の紫外線を照射することにより樹脂組成物を硬化させ、その後、UVピラミッドアレイ型を剥離した。Siウエハ上の賦形されたジルコニアナノ粒子含有構造体を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影し、形状を評価した。
(17)分散体の透明性評価
濁度計(日本電色工業社製、NDH−2000型)を用いて、分散体の全光線透過率の測定を行った。
分散体の粘度の測定は、R/Sプラスレオメーター(米国ブルックフィールド社製)を用いて、25℃、回転速度D=1/sの条件下で行った。治具としては、RC75−1を使用した。
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子)の製造
2−エチルヘキサン酸ジルコニウムミネラルスピリット溶液(782g、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム含有率44質量%、第一希元素化学工業社製)(2−エチルヘキサン酸のpKa=4.82)に純水(268g)を混合した。得られた混合液を、攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、該オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、混合液を180℃まで加熱し、該温度で16時間保持(オートクレーブ内圧力は0.94MPa)して反応させ、酸化ジルコニウム粒子を生成した。続いて、反応後の混合液を取り出し、底部に溜まった沈殿物を濾別してアセトンで洗浄した後に、乾燥した。乾燥後の前記沈殿物(100g)をトルエン(800mL)に分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として、定量濾紙(アドバンテック東洋社製、No.5C)にて再度濾過し、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。さらに、濾液を減圧濃縮してトルエンを除去することで白色の酸化ジルコニウム粒子(被覆型ZrO2粒子)を回収した。
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(置換被覆型ZrO2粒子1)の製造
製造例1にて得られた被覆型ZrO2粒子(10g)と2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(2g)(pKa=4.35)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(12g、以下「PGMEA」と称する)中で均一分散するまで撹拌混合した。次いで、n−ヘキサン(36g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させ、白濁液から凝集粒子を濾紙により分離した。その後、分離した凝集粒子をn−ヘキサン(36g)中に添加、10分撹拌後、凝集粒子を濾紙により分離し、得られた粒子を室温で真空乾燥することで、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで表面処理された酸化ジルコニウム粒子(置換被覆型ZrO2粒子1)を調製した。
得られた置換被覆型ZrO2粒子1を重クロロホルムに分散させて測定資料とし、1H−NMRによる分析を行なった。その結果、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートの存在モル比率が10:90であることがわかった。
PGMEA中における置換被覆型ZrO2粒子1の濃度を30質量%に調整した分散体:36%
PGMEA中における置換被覆型ZrO2粒子1の濃度を70質量%に調整した分散体:72%
PGMEA中における置換被覆型ZrO2粒子1の濃度を30質量%に調整した分散体:2mPa・s
PGMEA中における置換被覆型ZrO2粒子1の濃度を70質量%に調整した分散体:50mPa・s
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(置換被覆型ZrO2粒子2)の製造
製造例1にて得られた被覆型ZrO2粒子(10g)と2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(1g)をPGMEA(12g)中で均一分散するまで撹拌混合した。次いで、n−ヘキサン(36g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させ、白濁液から凝集粒子を濾紙により分離した。その後、分離した凝集粒子をn−ヘキサン(36g)中に添加、10分撹拌後、凝集粒子を濾紙により分離し、得られた粒子を室温で真空乾燥することで、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで表面処理された酸化ジルコニウム粒子(置換被覆型ZrO2粒子2)を調製した。
さらに上記した「(5)質量減少率の測定」に従って測定した置換被覆型ZrO2粒子2の質量減少率は、20質量%だった。従って、酸化ジルコニウム粒子を被覆する2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート、及び2−アクリロイルオキシエチルサクシネートは、酸化ジルコニウム粒子全体の20質量%であることが分かった。
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート(20g、以下「MD」と称する)、メタクリル酸(50g、以下「MAA」と称する)、メタクリル酸メチル(80g、以下「MMA」と称する)、メタクリル酸シクロヘキシル(50g、以下「CHMA」と称する)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(4g、日本油脂製「パーブチルO」;以下「PBO」と称する)、PGMEA(75g)をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、β−メルカプトプロピオン酸(6g、以下「β−MPA」と称する)、PGMEA(5g)をよく攪拌混合したものを準備した。
実施例1で得られた置換被覆型ZrO2粒子1(5.0g)、及び合成例1で得られた重合体溶液(樹脂溶液、5.0g)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(3.0g)、PGMEA(18.7g)を混合した。得られた分散液に光重合開始剤としてイルガキュア(登録商標)907(0.2g、チバジャパン製)を混合することで硬化性樹脂組成物1を得た。
上記した「(12)透明性評価」に従って測定した硬化性樹脂組成物1の硬化塗膜の透過率は99%であった。また、「(13)現像性評価」に従って硬化性樹脂組成物1の現像性の評価を実施したところ、図1からわかるように未露光部の残渣は認められず、現像性は良好であった。
茶色褐色ガラス瓶に実施例1で得られた置換被覆型ZrO2粒子1(6.0g)、FA−BZA(1.5g、ベンジルアクリレート、日立化成工業社製)、ライトアクリレートTMP−A(0.5g、トリメチロールプロパントリアクリレート、共栄社化学社製)、DAROCUR1173(0.4g、光ラジカル重合開始剤、チバジャパン製)を仕込み、均一になるまで撹拌を行い、硬化性樹脂組成物2を得た。得られた硬化性樹脂組成物2は25℃にて流動性を有するものであった。得られた硬化性樹脂組成物2を用いて、上記した「(14)屈折率測定試験」に従って測定したところ、得られた硬化物の屈折率は1.64であった。
茶色褐色ガラス瓶に実施例1で得られた置換被覆型ZrO2粒子1(6.0g)、ライトアクリレートTMP−A(6.0g)、メチルエチルケトン(28g、以下「MEK」と称する)を混合した。得られた分散液に光重合開始剤としてイルガキュア(登録商標)907(0.24g、チバジャパン製)を混合することで硬化性樹脂組成物3を得た。得られた硬化性樹脂組成物3をPETフィルム(東洋紡A4300、膜厚100μm、鉛筆硬度2H)にバーコーター#10にて塗工を行い、80℃×3分乾燥させ、空気雰囲気下、高圧水銀ランプで1000mJ/cm2の紫外線を照射することにより硬化させ、硬化物を得た。鉛筆硬度の測定を行ったところ、その硬度は3Hであった。
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(置換被覆型ZrO2粒子3)の製造
製造例1にて得られた被覆型ZrO2粒子(10g)と2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸(4g)(pKa=3.33)をMEK(10g)中で均一分散するまで撹拌混合した。次いで、n−ヘキサン(36g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させ、白濁液から凝集粒子を濾紙により分離した。その後、分離した凝集粒子をn−ヘキサン(36g)中に添加、10分撹拌後、凝集粒子を濾紙により分離し、得られた粒子を室温で真空乾燥することで、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸で表面処理された酸化ジルコニウム粒子(置換被覆型ZrO2粒子3)を調製した。
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイロキシエチルフタル酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(置換被覆型ZrO2粒子4)の製造
製造例1にて得られた粒子被覆型ZrO2粒子(10g)と2−アクリロイロキシエチルフタル酸(4g)(pKa=4.35)をMEK(10g)中で均一分散するまで撹拌混合した。次いで、n−ヘキサン(36g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させ、白濁液から凝集粒子を濾紙により分離した。その後、分離した凝集粒子をn−ヘキサン(36g)中に添加、10分撹拌後、凝集粒子を濾紙により分離し、得られた粒子を室温で真空乾燥することで、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイロキシエチルフタル酸で表面処理された酸化ジルコニウム粒子(置換被覆型ZrO2粒子4)を調製した。
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子を含有する分散組成物(濃度30質量%)の製造
実施例1で得られた置換被覆型ZrO2粒子1(6g)とステアリン酸(30mg)をPGMEA(14g)に添加し、均一に分散するまで攪拌混合することにより、置換被覆型ZrO2粒子1を30質量%含有するPGMEA分散組成物を調製した。上記「(17)分散体の透明性評価」に従い分散組成物の透明性を、上記「(18)分散体の粘度評価」に従い分散組成物の粘度を測定した。結果を下記に示す。
置換被覆型ZrO2粒子1の濃度が30質量%の分散組成物の透明性:53%
置換被覆型ZrO2粒子1の濃度が30質量%の分散組成物の粘度:2mPa・s
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子を含有する分散組成物(濃度70質量%)の製造
実施例1で得られた置換被覆型ZrO2粒子1(14g)とステアリン酸(70mg)をPGMEA(6g)に添加し、均一に分散するまで攪拌混合することにより、置換被覆型ZrO2粒子1を70質量%含有するPGMEA分散組成物を調製した。上記「(17)分散体の透明性評価」に従い分散組成物の透明性を、上記「(18)分散体の粘度評価」に従い分散組成物の粘度を測定した。結果を下記に示す。
置換被覆型ZrO2粒子1の濃度が70質量%の分散組成物の透明性:72%
置換被覆型ZrO2粒子1の濃度が70質量%の分散組成物の粘度:50mPa・s
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子の製造
上記製造例1で得られた被覆型ZrO2粒子(10g)をトルエン(90g)に分散させて透明溶液を調製した。当該溶液に表面処理剤として3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(1.5g、信越化学工業社製、KBM−5103)を添加し、90℃で1時間加熱還流した。次いで、還流処理後の溶液にn−ヘキサン(300g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させた。白濁液から凝集粒子を濾紙により分離後、室温で加熱乾燥し、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理された酸化ジルコニウムナノ粒子(置換被覆型ZrO2粒子5)を調整した。
置換被覆型ZrO2粒子1に代えて比較例1で合成した置換被覆型ZrO2粒子5を用いた以外は実施例3(硬化性樹脂組成物1)と同様の手法で比較硬化性樹脂組成物1を得た。
上記した「(12)透明性評価」に従って測定した比較硬化性樹脂組成物1の硬化塗膜の透過率は98%であった。また、「(13)現像性評価」に従って比較硬化性樹脂組成物1の現像性の評価を実施したところ、図2からわかるように未露光部の残渣が認められ、現像性に劣る結果となった。
置換被覆型ZrO2粒子1に代えて比較例1で合成した置換被覆型ZrO2粒子5を用いた以外は実施例4(硬化性樹脂組成物2)と同様の手法で比較硬化性樹脂組成物2を得た。得られた比較硬化性樹脂組成物2は25℃にて流動性を有さないものであった。
比較硬化性樹脂組成物2について「(16)成形特性」を評価しようとしたが、Siウエハ上に比較硬化性樹脂組成物2を滴下することができず、ジルコニアナノ粒子含有構造体を得ることができなかった。
茶色褐色ガラス瓶にライトアクリレートTMP−A(6.0g)、メチルエチルケトン(14g)を混合した。得られた分散液に光重合開始剤としてイルガキュア(登録商標)907(0.12g、チバジャパン製)を混合することで比較硬化性樹脂組成物3を得た。得られた比較硬化性樹脂組成物3をPETフィルム(東洋紡A4300、膜厚100μm、鉛筆硬度2H)にバーコーター#10にて塗工を行い、80℃×3分乾燥させ、空気雰囲気下、高圧水銀ランプで1000mJ/cm2の紫外線を照射させたが、膜は液状のままであり、硬化物を得ることができなかった。
製造例1にて得られた被覆型ZrO2粒子(10g)をPGMEA(12g)中で撹拌混合したが、白濁したままであり均一溶液にすることはできなかった。
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートで被覆された酸化チタンナノ粒子(被覆型TiO2粒子1)の製造
テトラ−n−ブトキシチタン(170g、0.5mol、日本曹達社製「B−1」)と、2−エチルヘキサン酸(345g、2.4mol、2−エチルヘキサン酸のpKa=4.82)の混合液をガラス製のセパラブルフラスコ中にて80℃で3時間反応させた。得られた溶液に脱イオン水(65g、チタン1モルに対して7モル)を加え、オートクレーブにいれ、オートクレーブ中の雰囲気を窒素ガスに置換した。その後、混合液を190℃まで加熱し、該温度で16時間保持した。反応後の溶液を取り出し、底部に溜まった沈殿物を濾別してメタノール(500g)で洗浄した。洗浄物を乾燥させることで、黄色の酸化チタン粒子(被覆型TiO2粒子1)33gを得た。
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで被覆された酸化チタンナノ粒子(置換被覆型TiO2粒子1)の分散液の製造
製造例2で得られた被覆型TiO2粒子1(30g)と2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(6g)(pKa=4.35)を、PGMEA(30g)、0.03mmφのジルコニアビーズ270gと共に100mlフラスコに加え、1200rpmで室温にて2時間の分散処理を行った。続いて、濾過にてジルコニアビーズを取り除くことにより、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで被覆された酸化チタンナノ粒子(置換被覆型TiO2粒子1)の分散液を得た。
3,3−ジメチル酪酸及び/又は3,3−ジメチル酪酸由来のカルボキシレートで被覆された酸化チタンナノ粒子(被覆型TiO2粒子2)の製造
テトラ−n−ブトキシチタン(170g、0.5mol、日本曹達社製「B−1」)と、3,3−ジメチル酪酸(280g、2.4mol、3,3−ジメチル酪酸のpKa=4.79)の混合液をガラス製のセパラブルフラスコ中にて80℃で3時間反応させた。得られた溶液に脱イオン水(65g、ジルコニウム1モルに対して7モル)を加え、オートクレーブにいれ、オートクレーブ中の雰囲気を窒素ガスに置換した。その後、混合液を190℃まで加熱し、16時間保持した。反応後の溶液を取り出し、底部に溜まった沈殿物を濾別してメタノール(500g)で洗浄した。洗浄物を乾燥させることで、黄色の被覆型酸化チタン粒子62g(被覆型TiO2粒子2)を得た。
3,3−ジメチル酪酸及び/又は3,3−ジメチル酪酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで被覆された酸化チタンナノ粒子(置換被覆型TiO2粒子2)の分散液の製造
製造例3で得られた被覆型TiO2粒子2(30g)と2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(6g)(pKa=4.35)を、PGMEA(30g)、0.03mmφのジルコニアビーズ270gと共に100mlフラスコに加え、1200rpmで室温にて2時間の分散処理を行った。続いて、濾過にてジルコニアビーズを取り除くことにより、3,3−ジメチル酪酸及び/又は3,3−ジメチル酪酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで被覆された酸化チタン粒子(置換被覆型TiO2粒子2)の分散液を得た。
Claims (7)
- エステル基を有するカルボン酸であって重合性二重結合を有する第1のカルボン酸化合物、および第1のカルボン酸化合物以外のカルボン酸化合物の少なくとも2種のカルボン酸化合物により被覆されていることを特徴とする金属酸化物粒子。
- 前記第1のカルボン酸化合物がpKa4.8以下である請求項1に記載の被覆された金属酸化物粒子。
- 前記金属酸化物粒子を形成する金属は、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の被覆された金属酸化物粒子。
- 請求項1〜3いずれかに記載の被覆された金属酸化物粒子を含む組成物。
- 前記金属酸化物粒子を25質量%以上含有し、溶媒、モノマー、オリゴマー及びポリマーからなる群より選ばれる1種以上を媒体とする請求項4に記載の組成物。
- 請求項1〜3いずれかに記載の金属酸化物粒子を含む光学部材。
- 前記第2のカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子に、前記第1のカルボン酸化合物を反応させ、前記第2のカルボン酸化合物の一部を前記第1のカルボン酸化合物に置換することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の被覆された金属酸化物粒子の製造方法。
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