JP6247822B2 - アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 - Google Patents
アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6247822B2 JP6247822B2 JP2013006615A JP2013006615A JP6247822B2 JP 6247822 B2 JP6247822 B2 JP 6247822B2 JP 2013006615 A JP2013006615 A JP 2013006615A JP 2013006615 A JP2013006615 A JP 2013006615A JP 6247822 B2 JP6247822 B2 JP 6247822B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- less
- group
- succinimide compound
- composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Lubricants (AREA)
Description
一方、エンジン油中のリン分が三元触媒の活性点を被毒し、触媒機能を低下させること、また金属成分由来の灰分がDPFに堆積し寿命を短くすること等が報告されている。現在、エンジン油の規格であるILSAC規格やJASO規格にてリン量や灰分の上限値が制定され、これらを減量したエンジン油の開発が進められている。
そのため、アルミ材に対して良好な耐摩耗剤の研究が行われている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち本発明は、
〔1〕 基油と、コハク酸イミド化合物と、下記一般式(I)で表される含硫黄複素環化合物とを含み、
組成物全量基準での硫黄含有量が0.10質量%以上1.00質量%以下であり、組成物全量基準でのリン含有量が0.03質量%未満、かつ硫酸灰分量が0.3質量%未満であるアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物、
〔2〕 前記コハク酸イミド化合物由来の窒素含有量が、組成物全量基準で0.08質量%以上0.40質量%以下である〔1〕に記載のアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物、
〔3〕 前記コハク酸イミド化合物がそのホウ素誘導体を含む〔2〕に記載のアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物、
〔4〕 前記一般式(I)において、m及びnが共に0となることはない〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物、
〔5〕 前記一般式(I)において、含硫黄複素環が、チアジアゾール環である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物、
〔6〕 前記チアジアゾール環が1,3,4−チアジアゾール環であり、該1,3,4−チアジアゾール環の2、5位に硫黄原子が結合している〔5〕に記載のアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物、
〔7〕 前記1,3,4−チアジアゾール環の2、5位に、それぞれ硫黄原子が1つずつ結合している〔6〕に記載のアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物、
〔8〕 摺動部がアルミ合金であるエンジンにおいて、該摺動部に〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物を使用することを特徴とするアルミ合金製エンジンの潤滑方法、
を提供するものである。
〔基油〕
本発明において用いる基油としては、特に制限はなく、従来、潤滑油の基油として使用されている鉱油や合成油の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
前記鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等のうちの1つ以上の処理を行って精製した鉱油、あるいはワックスや、GTL WAXを異性化することによって製造される鉱油等が挙げられる。
本発明においては、基油として、前記鉱油は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記合成油を一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。更には、鉱油一種以上と合成油一種以上とを組み合わせて用いてもよい。
100℃における動粘度が1.5mm2/s以上であると蒸発損失が少なく、また50mm2/s以下であると、粘性抵抗による動力損失が抑制され、燃費改善効果が得られる。
%CAが3.0以下で、硫黄分が50質量ppm以下の基油は、良好な酸化安定性を有し、酸価の上昇やスラッジの生成を抑制しうる潤滑油組成物を提供することができる。より好ましい%CAは1.0以下、さらには0.5以下であり、またより好ましい硫黄分は30質量ppm以下である。
本発明におけるコハク酸イミド化合物としては、例えば、下記一般式(II)で表されるモノタイプのコハク酸イミド化合物、又は下記一般式(III)で表されるビスタイプのコハク酸イミド化合物が挙げられる。
上記R3、R5及びR8の数平均分子量が500以上であれば、基油への溶解性が良好であり、4,000以下であれば分散性が低下する恐れがない。
さらに一般式(III)において、sは好ましくは1以上4以下、より好ましくは2以上3以下である。sが上記範囲内であれば、分散性及び基油に対する溶解性の点で好ましい。
コハク酸イミド化合物としては、ポリブテニルコハク酸イミド等のアルケニルコハク酸イミド化合物や、アルキルコハク酸イミド化合物が好ましく用いられる。
また、前記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン等の単一ジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ(メチルエチレン)トリアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、ペンタペンチレンヘキサミン等のポリアルキレンポリアミン;アミノエチルピペラジン等のピペラジン誘導体;などを挙げることができる。
アルケニル若しくはアルキルコハク酸イミド化合物のホウ素誘導体は、常法により製造したものを使用することができる。例えば、前記ポリオレフィンを無水マレイン酸と反応させてアルケニルコハク酸無水物とした後、更に上記のポリアミンと酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸無水物、ホウ酸エステル、ホウ素酸のアンモニウム塩等のホウ素化合物を反応させて得られる中間体と反応させてイミド化させることによって得られる。
このホウ素誘導体中のホウ素含有量には、特に制限はないが、ホウ素として、通常、0.05質量%以上5質量%以下、好ましくは0.1質量%以上3質量%以下である。
またこの場合、前記窒素含有量に対する上記ホウ素含有量の質量比(B/N)は、0.07以上1.0以下であることが好ましく、0.09以上0.95以下であることがより好ましい。
本発明における含硫黄複素環化合物は、下記一般式(I)で表される。
また、前記一般式(I)において、m及びnが共に0とならない、すなわち、前記含硫黄複素環の少なくとも片側に、1以上の硫黄原子が結合していることが、耐摩耗性向上の観点から好ましい。さらにこの硫黄原子は、含硫黄複素環の両側に結合していることがより好ましい。
これらの中では、チアジアゾール環が耐摩耗性向上の観点から好ましく用いられる。
さらに、上記1,3,4−チアジアゾール環の2、5位に、それぞれ硫黄原子が1つずつ結合している構造を含むことが、耐摩耗性向上の観点から特に好ましい。
R1及びR2で表されるシクロアルキル基は、炭素数3〜30のシクロアルキル基が好ましく、炭素数3〜24のシクロアルキル基がより好ましい。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基およびジエチルシクロヘキシル基等が挙げられる。また、シクロアルキル基は芳香族基で置換されていてもよく、例えばフェニルシクロペンチル基、フェニルシクロヘキシル基等が挙げられる。
R1及びR2で表されるアルケニル基は、炭素数2〜30のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜24のアルケニル基がより好ましい。アルケニル基の具体例としては、例えばビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチルビニル基、1−メチルアリル基、1,1−ジメチルアリル基、2−メチルアリル基、ノネニル基、デセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。また、アルケニル基は芳香族基で置換されていてもよい。
R1及びR2で表されるシクロアルケニル基は、炭素数3〜30のシクロアルケニル基が好ましく、炭素数3〜24のシクロアルケニル基がより好ましい。シクロアルケニル基の具体例としては、シクロブテニル基、メチルシクロブテニル基等が挙げられる。また、シクロアルケニル基は芳香族基で置換されていてもよい。
R1及びR2で表されるアリール基は、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜24のアリール基がより好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基等が挙げられる。
リンの含有量は、リン系耐摩耗剤の配合量によって調整すればよい。代表的なリン系耐摩耗剤としては、リン酸エステル系、チオリン酸エステル系のものが挙げられるが、亜リン酸エステル、アルキルハイドロゲンホスファイト、リン酸エステルアミン塩等が好ましく、本発明においては、特に、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)が好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、n−オクチル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2’−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。
これらの中で、特にビスフェノール系及びエステル基含有フェノール系のものが好適である。
これらの中で、ジアルキルジフェニルアミン系及びナフチルアミン系のものが好適である。
前記6価のモリブデン化合物と反応させるアミン化合物としては特に制限されないが、具体的には、モノアミン、ジアミン、ポリアミン及びアルカノールアミンが挙げられる。より具体的には、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン等の炭素数1〜30のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルキルアミン;エテニルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オクテニルアミン、及びオレイルアミン等の炭素数2〜30のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルケニルアミン;メタノールアミン、エタノールアミン、メタノールエタノールアミン、メタノールプロパノールアミン等の炭素数1〜30のアルカノール基(これらのアルカノール基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルカノールアミン;メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、及びブチレンジアミン等の炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミン;ウンデシルジエチルアミン、ウンデシルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、オレイルジエタノールアミン、オレイルプロピレンジアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン等の上記モノアミン、ジアミン、ポリアミンに炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物やイミダゾリン等の複素環化合物;これらの化合物のアルキレンオキシド付加物;及びこれらの混合物等が例示できる。
また、特公平3−22438号公報及び特開2004−2866号公報に記載されているコハク酸イミドの硫黄含有モリブデン錯体等が例示でき、具体的には、以下の工程(m)および(n)により製造することができる。
(m)酸性モリブデン化合物又はその塩と、コハク酸イミド、カルボン酸アミド、炭化水素モノアミン、炭化水素ポリアミン、マンニッヒ塩基、ホスホン酸アミド、チオホスホン酸アミド、リン酸アミド、分散剤型粘度指数向上剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれた塩基性窒素化合物とを、反応温度を約120℃以下に維持して反応させてモリブデン錯体を形成する工程。
(n)(m)の工程の生成物を少なくとも一回のストリッピング又は硫化工程または両工程にかける。ただし、モリブデン錯体をイソオクタンで希釈して、希釈したモリブデン錯体1g当りモリブデン0.00025gの一定モリブデン濃度として、UV−可視分光光度計で光路長1センチメートルの石英セルで測定したときに、波長350ナノメータにおける吸光度が0.7未満であるモリブデン錯体を与えるのに充分な時間をかけ、かつストリッピング又は硫化工程における反応混合物の温度を約120℃以下に維持する工程。
また、このモリブデン錯体は、以下の工程(o)、(p)および(q)によっても製造することができる。
(o)酸性モリブデン化合物又はその塩と、コハク酸イミド、カルボン酸アミド、炭化水素モノアミン、炭化水素ポリアミン、マンニッヒ塩基、ホスホン酸アミド、チオホスホン酸アミド、リン酸アミド、分散剤型粘度指数向上剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれた塩基性窒素化合物とを、反応温度を約120℃以下に維持して反応させてモリブデン錯体を形成する工程。
(p)(o)の工程の生成物を約120℃以下の温度でストリッピングする工程。
(q)得られた生成物を約120℃以下の温度で、硫黄とモリブデンのモル比が約1:1かそれ以下で、そしてモリブデン錯体をイソオクタンで希釈して希釈したモリブデン錯体1g当りモリブデン0.00025gの一定モリブデン濃度にして、UV−可視分光光度計で光路長1センチメートルの石英セルで測定したときに、波長350ナノメータにおける吸光度が0.7未満であるモリブデン錯体を与えるのに充分な時間をかけて、硫化する工程。
酸化防止剤の配合量は、組成物全量基準で、通常0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましい。また、モリブデン錯体の配合量は、組成物全量基準でモリブデン量換算により、10質量ppm以上1000質量ppm以下が好ましく、30質量ppm以上800質量ppm以下がより好ましく、50質量ppm以上500質量ppm以下がさらに好ましい。
これらはまた1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でもよい。
なお、ここでいう全塩基価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される電位差滴定法(塩基価・過塩素酸法)による全塩基価を意味する。
なお、ここでいう金属比とは、金属系清浄剤における金属元素の価数×金属元素含有量(モル%)/せっけん基含有量(モル%)で表され、金属元素とはカルシウム、マグネシウム等、せっけん基とは、スルホン酸基、フェノール基及びサリチル酸基等を意味する。
配合量が0.01質量%以上であると、高温清浄性や酸化安定性、塩基価維持性などの性能が得られやすくなる。一方、20質量%以下であれば、通常その添加量に見合った効果が得られるが、当該金属系清浄剤の配合量の上限については、上記の範囲に関わらず、配合量を可能な限り低くすることが肝要である。それによって、潤滑油組成物の金属分、すなわち硫酸灰分を少なくして、自動車の排出ガス浄化装置の劣化を防止することができる。
また、金属系清浄剤は、上記の規定量を含有する限り、単独又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘度指数向上剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
流動点降下剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、0.1質量%以上2質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上1質量%以下である。
金属不活性化剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、0.01質量%以上3質量%以下が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上1質量%以下である。
これら防錆剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、0.01質量%以上1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下である。
(1)硫酸灰分(JIS K2272)が、0.3質量%未満、好ましくは0.25質量%以下であること。かつ、
(2)リン含有量(JIS−5S−38−92)が、0.03質量%未満、好ましくは0.02質量%以下であること。
(3)硫黄含有量(JIS K2541)が、0.10質量%以上1.00質量%以下、好ましくは0.12質量%以上0.90質量%以下であること。
さらに、上記に加えて以下を満たすことがより好ましい。
(4)窒素含有量(JIS K 2609)が、好ましくは0.08質量%以上0.40質量%以下、より好ましくは0.08質量%以上0.35質量%以下であること。
(5)ホウ素含有量(JPI−5S−38−92)が、好ましくは0.020質量%以上0.3質量以下、より好ましくは0.025質量%以上0.25質量%以下であること。
これらの性状を満たす本発明の潤滑油組成物は、摺動部がアルミ合金であるエンジンにおいて、アルミ合金に対する耐摩耗性を維持しながら、リン分を多量に含むZnDTPや金属系清浄剤を大幅に低減することができる。
例に限定されるものではない。
<性状、性能の測定方法>
以下の実施例、比較例における潤滑油組成物の性状及び性能は、次の方法によって求めた。
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(2)硫黄含有量
JIS K 2541に準拠して測定した。
(3)ホウ素含有量
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(4)硫酸灰分
JIS K 2272に準拠して測定した。
(5)窒素含有量
JIS K 2609に準拠して測定した。
SRV摩擦試験機(往復動型摩擦試験機)を用い、下記の試験条件で、リング状鋼材の曲面とディスクとを接触させた状態で往復移動させて両者間の摩擦試験を行い、試験時間中の最大の動摩擦係数を測定した。なお、この動摩擦係数が試験時間内に0.3を超えると、試験片のディスクが大きく摩耗するために、耐摩耗性が問題となる。
−試験条件−
・試験片 :リング状鋼材(クロムメッキ鋼材、リング幅:1.5mm)、ディスク(Si含有アルミ:AA(アメリカアルミニウム協会)規格「A390」)
・試験温度 :130℃
・荷重 :100N
・移動方向 :リング状鋼材の幅方向
・振幅 :3.0mm
・振動数 :20Hz
・試験時間 :1時間(ただし動摩擦係数が0.3を超えた時点で試験中止)
第1表及び第2表に示すように、基油及び添加剤を各々の割合で配合してエンジン用潤滑油組成物を調製した。それらの組成物の性状及び性能を第1表及び第2表にまとめて示す。
・基油:水素化精製鉱油(100N、40℃動粘度:21.0mm2/s、100℃動粘度:4.5mm2/s、粘度指数:127、硫黄含有量:5質量ppm未満)
・ホウ素化イミド1(ポリブテニルコハク酸モノイミドホウ素化物、ポリブテニル基の数平均分子量:950、塩基価(過塩素酸法):30.6mgKOH/g、窒素含有量:1.8質量%、ホウ素含有量:2.1質量%)
・ホウ素化イミド2(ポリブテニルコハク酸ビスイミドホウ素化物、ポリブテニル基の数平均分子量:950、塩基価(過塩素酸法):25mgKOH/g、窒素含有量:1.2質量%、ホウ素含有量:1.3質量%)
・非ホウ素化イミド1(ポリブテニルコハク酸モノイミド、ポリブテニル基の数平均分子量:950、塩基価(過塩素酸法):44mgKOH/g、窒素含有量:2.1質量%)
・非ホウ素化イミド2(ポリブテニルコハク酸ビスイミド、ポリブテニル基の数平均分子量:1300、塩基価(過塩素酸法):11.9mgKOH/g、窒素含有量:1.0質量%)
・化合物B(式(I−b)で示される化合物)
・化合物C(式(I−c)で示される化合物)
・化合物D(式(I−d)で示される化合物)
・化合物E(式(I−e)で示される化合物)
・化合物F(式(I−f)で示される化合物)
・化合物G(ビス(n−オクトキシカルボニルメチル)ジスルフィド、硫黄含有量:158質量ppm)
・リン系耐摩耗剤(ジチオアルキルジチオリン酸亜鉛(アルキル基が第2級ブチル基と第2級ヘキシル基の混合物)、Zn含有量:9.0質量%、リン含有量:8.0質量%、硫黄含有量:17.1質量%)
・その他の添加剤:酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤、及びアミン系酸化防止剤)、金属不活性化剤(アルキルベンゾトリアゾール)及び消泡剤(シリコーン系)との混合物
一般式(I)で表される含硫黄複素環化合物を含む本発明の潤滑油組成物は、アルミ材に対する動摩擦係数が小さく、耐摩耗性が優れていることが分かる(実施例1〜13)。特に、式(I−b)で示される含硫黄複素環化合物を用いた実施例6〜8の潤滑油組成物のアルミ材に対する耐摩耗性は、他の含硫黄複素環化合物を同量配合した他の実施例よりさらに顕著である。
これに対して、硫黄含有量がかなり少ないか、一般式(I)で表される含硫黄複素環化合物以外の硫黄系耐摩耗剤を用いた潤滑油組成物は、いずれもアルミ材に対する耐摩耗性は劣っている(比較例1〜6)。
したがって、アルミ材を用いる内燃機関の排出ガス後処理装置への影響を軽減することができるエンジン用潤滑油組成物として有用に利用することができる。
Claims (5)
- 基油と、コハク酸イミド化合物と、下記一般式(I)で表される含硫黄複素環化合物とを含み、
前記コハク酸イミド化合物が、アルケニルコハク酸イミド化合物若しくはアルキルコハク酸イミド化合物と、アルケニルコハク酸イミド化合物及びアルキルコハク酸イミド化合物から選ばれる化合物のホウ素誘導体とを共に含み、
前記コハク酸イミド化合物に由来のホウ素原子と窒素原子との質量比〔B/N〕が、0.07以上1.0以下であり、
前記コハク酸イミド化合物に由来の窒素含有量が、組成物全量基準で、0.08質量%以上0.40質量%以下であり、
組成物全量基準での硫黄含有量が0.10質量%以上1.00質量%以下であり、
組成物全量基準でのリン含有量が0.03質量%未満、かつ硫酸灰分量が0.3質量%未満であるアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物。
(式中、Asは1,3,4−チアジアゾール環であり、該1,3,4−チアジアゾール環の2、5位で、前記一般式中の硫黄原子と結合している。R1及びR2はそれぞれ独立に、アミノ基;アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選ばれる炭素数1〜50の炭化水素基;またはこれらが炭化水素基の場合該炭化水素基中に酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる原子を含んでなる炭素数1〜50のヘテロ原子含有基を表す。k、lはそれぞれ独立に1以上5以下の整数であり、m、nは1である。) - 前記コハク酸イミド化合物に由来の窒素含有量が、組成物全量基準で、0.20質量%以上0.40質量%以下である、請求項1に記載のアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物。
- 基油と、コハク酸イミド化合物と、下記式(I−c)又は(I−f)で表される含硫黄複素環化合物とを含み、
前記コハク酸イミド化合物が、アルケニルコハク酸イミド化合物若しくはアルキルコハク酸イミド化合物と、アルケニルコハク酸イミド化合物及びアルキルコハク酸イミド化合物から選ばれる化合物のホウ素誘導体とを共に含み、
前記コハク酸イミド化合物に由来のホウ素原子と窒素原子との質量比〔B/N〕が、0.07以上1.0以下であり、
前記コハク酸イミド化合物に由来の窒素含有量が、組成物全量基準で、0.08質量%以上0.40質量%以下であり、
組成物全量基準での硫黄含有量が0.10質量%以上1.00質量%以下であり、
組成物全量基準でのリン含有量が0.03質量%未満、かつ硫酸灰分量が0.3質量%未満であるアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物。
- 前記ホウ素誘導体に由来のホウ素含有量が、組成物全量基準で、0.020質量%以上0.3質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物。
- 摺動部がアルミ合金であるエンジンにおいて、該摺動部に請求項1〜4のいずれかに記載のアルミ合金製エンジン用潤滑油組成物を使用することを特徴とするアルミ合金製エンジンの潤滑方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013006615A JP6247822B2 (ja) | 2012-03-21 | 2013-01-17 | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 |
KR1020147025903A KR20140135205A (ko) | 2012-03-21 | 2013-03-12 | 알루미늄 합금제 엔진용 윤활유 조성물 및 윤활 방법 |
US14/385,874 US9790450B2 (en) | 2012-03-21 | 2013-03-12 | Lubricating oil composition for engine made of aluminum alloy and lubrication method |
EP13764396.1A EP2829592B1 (en) | 2012-03-21 | 2013-03-12 | Lubricating oil composition for engine made of aluminum alloy and lubrication method |
PCT/JP2013/056776 WO2013141077A1 (ja) | 2012-03-21 | 2013-03-12 | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 |
CN201380014986.1A CN104204164A (zh) | 2012-03-21 | 2013-03-12 | 铝合金制发动机用润滑油组合物以及润滑方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012064131 | 2012-03-21 | ||
JP2012064131 | 2012-03-21 | ||
JP2013006615A JP6247822B2 (ja) | 2012-03-21 | 2013-01-17 | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013224405A JP2013224405A (ja) | 2013-10-31 |
JP6247822B2 true JP6247822B2 (ja) | 2017-12-13 |
Family
ID=49594683
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013006615A Active JP6247822B2 (ja) | 2012-03-21 | 2013-01-17 | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6247822B2 (ja) |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2013545C (en) * | 1989-04-03 | 1999-01-26 | Glen Paul Fetterman Jr. | Improved ashless lubricant compositions for internal combustion engines |
JP3005310B2 (ja) * | 1991-04-30 | 2000-01-31 | 東燃株式会社 | 潤滑油組成物 |
JP4157232B2 (ja) * | 1999-08-05 | 2008-10-01 | コスモ石油ルブリカンツ株式会社 | エンジン油 |
JP2002356753A (ja) * | 2001-03-30 | 2002-12-13 | Nippon Piston Ring Co Ltd | 耐摩耗部材用多孔質金属焼結体および耐摩環 |
JP5283297B2 (ja) * | 2001-09-17 | 2013-09-04 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | 潤滑油組成物 |
JP2004018677A (ja) * | 2002-06-17 | 2004-01-22 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 潤滑油添加剤組成物及び潤滑油組成物 |
JP4168122B2 (ja) * | 2002-09-06 | 2008-10-22 | コスモ石油ルブリカンツ株式会社 | エンジン油組成物 |
JP4204340B2 (ja) * | 2003-02-06 | 2009-01-07 | 株式会社ジャパンエナジー | 超低硫黄分内燃機関用潤滑油 |
JP4408728B2 (ja) * | 2004-03-16 | 2010-02-03 | コスモ石油ルブリカンツ株式会社 | 潤滑油組成物 |
JP2011190331A (ja) * | 2010-03-12 | 2011-09-29 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 潤滑油組成物 |
-
2013
- 2013-01-17 JP JP2013006615A patent/JP6247822B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013224405A (ja) | 2013-10-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5175462B2 (ja) | 内燃機関用潤滑油組成物 | |
JP6302458B2 (ja) | 潤滑油組成物 | |
EP2546324B1 (en) | Lubricant composition | |
JP4597223B2 (ja) | 内燃機関用潤滑油組成物 | |
JP6676868B2 (ja) | 潤滑油組成物 | |
WO2017170948A1 (ja) | 潤滑油組成物 | |
JPWO2011068137A1 (ja) | 潤滑油組成物 | |
WO2013141077A1 (ja) | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 | |
WO2013141258A1 (ja) | 内燃機関油用潤滑油組成物 | |
KR20140058531A (ko) | 내연 기관유용 윤활유 조성물 | |
JP6247822B2 (ja) | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 | |
JP6247821B2 (ja) | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 | |
JP6247820B2 (ja) | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 | |
JP5876341B2 (ja) | 内燃機関油用潤滑油組成物 | |
JP5876342B2 (ja) | 内燃機関油用潤滑油組成物 | |
JP5784183B2 (ja) | 潤滑油組成物 | |
JP5876340B2 (ja) | 内燃機関油用潤滑油組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150818 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160628 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160826 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20161011 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170111 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20170215 |
|
A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20170310 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170921 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20171120 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6247822 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |