JP6139228B2 - レーザー溶接装置およびレーザー溶接方法 - Google Patents
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Description
先ず一つ目の技術は、低真空雰囲気を形成する真空溶接チャンバー内に被溶接物とこの被溶接物を載置して移動させる移送手段とを収納し、真空溶接チャンバーの上部に位置するレーザー光線照射窓から被溶接物にレーザー光線を照射するようにした溶接施工法である。
[実施形態1]
図1は本実施形態に係わるレーザー溶接装置を示す図であり、図1(a)は図1(b)をa−a線で切断し、矢視方向に見た断面図であり、図1(b)は図1(a)をb−b線で切断し、矢視方向に見た側断面図である。そして、図2はシール部材の一例を示す拡大図である。また、図3は図1のレーザー溶接装置で曲面状の表面を有する被溶接物を減圧環境で溶接する様子を示す図である。
通常、レーザー溶接装置は、レーザー光線を発生させるレーザー発振器、レーザー光線を導く光路、伝送されてきたレーザー光線を適切なサイズに集光し焦点を調整する集光光学系で構成されたレーザー加工ヘッド、このレーザー加工ヘッドあるいは被溶接物を駆動する駆動系、溶接チャンバー、シールドガス配管系統などで構成されるが、本発明ではレーザー発振器、光路および駆動系については対象外なので、図1(a)、(b)ではこれらの図示を省略している。
また、実施形態1のレーザー溶接装置には、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、ファイバレーザーなどを適用することができる。
空力窓生成装置20は、後述するノズルからディフューザーに向って円弧状に超音速ガス流JSを流すことによって自由渦式の空力窓20-1を作り、この空力窓20-1によって筐体30の内部空間を大気側から仕切るように構成されている。
筐体30は、たとえば茶筒の蓋を伏せたような形状、すなわち円筒形に形成された筒状部30-1の一端を円板状の蓋部30-2で閉塞した形状をしており、その蓋部30-2の外側には支持部材11を介して前述した空力窓生成装置20を一体的に取り付けている。この蓋部30-2の中央部にはレーザー光線通過路20-2と同心状にレーザー光線照射窓30-3を設けている。なお、筐体30の形状は円筒形状に限らず、矩形状の筒であってもよい。
シール部材40は、図1(b)のように筐体30を被溶接物50上に載置した状態でレーザー溶接を施工するとき、溶接チャンバー30-5内が大気に対して10kPa程度の減圧環境を維持しながら筐体30と被溶接物50との相対的な移動を円滑に行なえるようにするための部材であり、筐体30の下部開口縁部30-4の全周に1段(一重)取り付けられる。このシール部材40には、上述した摺動性能およびシール性能が良好なことは勿論、溶接施工部の高温にも十分耐えるものでなければならない。
ブラシ40は、図1(b)および図2で示すように、可撓性および耐熱性に富む金属の多数の細い素線41を、金属あるいはセラミックス等の耐熱性に富む束ね部材42で束ねて構成され、素線41が被溶接物50の表面に対して鉛直状に接触するように、筐体30の下部開口縁部30-4に取り付けられる。
次に、図1〜図3を参照して本実施形態の作用を説明する。
レーザー発振器の稼働に先立ち、まず空力窓生成装置20を稼働させる。すなわち、非対称型ノズル20−3cから超音速ガス流JSを噴出させてディフューザ20-4aに送り込む。これにより、レーザー光線通過路20-2の上部に空力窓20-1が生成され、これによって溶接チャンバー30-5内部は大気側から圧力的に隔離される。
以上述べたように、本実施形態のレーザー溶接装置は、溶接チャンバー30-5を構成する筐体30の下部開口縁部30-4にシール性能、摺動性能および耐熱性能に優れた材料で構成したシール部材40を取り付けるようにしたので、溶接施工部51周辺が溶接後に1千℃以上の高温に達してシール部材の近傍も数百℃の高温環境に晒されたとしてもシール部材のシール性能、摺動性能および耐熱性能に支障をきたすことはなく、筐体内部圧力を安定して減圧環境に保持することができる。
図4は本発明の実施形態に係わるレーザー溶接装置を示す図であり、図4(a)は図4(b)をa−a線で切断し、矢視方向に見た平面図、図4(b)は図4(a)をb−b線で切断し、矢視方向に見た側断面図である。また、図5は、実施形態2に係わるレーザー溶接装置を用いて曲面状の表面を有する被溶接物を減圧環境で溶接する様子を示す図である。
本実施形態の場合も筐体30、および筐体30に取り付けられるシールドガス供給配管31や真空引き配管32、シール部材40に関しては実施形態1の場合と変わらない。
以上説明した実施形態1および2では、筐体30の下部開口縁部30-4にシール材40を1段(一重)だけ取り付けるようにしたが、シール性能を高めるためにシール材40は下部開口縁部30-4の厚さ方向に沿って2段(二重)以上取り付けるようにしてもよい。
Claims (4)
- 一端部を蓋部によって閉塞してレーザー加工ヘッドを固定し、他端部の開放端部を被溶接物の上に載置することにより溶接チャンバーを形成する筒形状の筐体と、
前記筐体の蓋部に設けられ、前記筐体の内部空間を大気側から仕切る空力窓生成装置と、
前記筐体の開放端部に取り付けられ、所定の丈尺の細い金属の素線を多数束ねて所定の厚みのブラシ状に形成されたシール部材と、
前記溶接チャンバー内を大気圧に対して減圧環境状態にする減圧装置と、
前記筐体および前記被溶接物を相対的に移動させる駆動装置と、を備えたレーザー溶接装置であって、
前記シール部材は、前記素線の直径が0.1mm以下、素線密度が90%以上のステンレス鋼またはニッケル基合金で構成されるとともに、当該シール部材の丈尺が30mm以上、厚みが40mm以上であることを特徴とするレーザー溶接装置。 - 前記筐体の下部開口縁部にシール部材を前記開放端部の厚さ方向に沿って2段以上取付けたことを特徴とする請求項1記載のレーザー溶接装置。
- 前記空力窓生成装置は、スロート部に連通する入口から出口に向かって幅が徐々に拡がるように非対称形状に形成されているノズルと、このノズルの出口に対向した位置に入口を有し出口が下向きに形成されているディフューザーと、前記ノズルの出口と前記ディフューザーの入口の間に円弧状に超音速ガス流を流すことによって前記筐体の内部空間を大気側から仕切る空力窓と、から構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のレーザー溶接装置。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーザー溶接装置を用いて溶接をおこなうことを特徴とするレーザー溶接方法。
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