以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る基板ケースユニットを備えた遊技機の代表例として、ぱちんこ遊技機PMの斜視図及び背面図を図1及び図2に示しており、まず、この図を参照してぱちんこ遊技機PMの全体構成について説明する。
[ぱちんこ遊技機の全体構成]
始めに、図1を参照しながら、ぱちんこ遊技機PMの正面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機PMは、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2には、この前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス枠5が上下のヒンジ機構3を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。前枠2には、遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス枠5の複層ガラス5aを通して遊技盤10の正面の遊技領域PAを視認可能に臨ませるようになっている。
ガラス枠5の下部には遊技球を貯留する上下の球皿(上球皿6a及び下球皿6b)が設けられ、下球皿6bの正面右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠5の前面側には、発光ダイオード(LED)やランプ等の電飾装置8や、遊技の展開状態に応じて効果音を発生させるスピーカ9が設けられている。
図1では詳細な図示を省略しているが、遊技盤10は、ルータ加工等を施した矩形状の積層合板に、所定の図柄が印刷されたセルを貼り付けて成型される化粧板を基板とし、上下のレール飾りに囲まれて略円形状の遊技領域PAが形成される。遊技領域PAには、多数本の遊技釘、風車、中央飾り、遊技の進行状況に応じて所定の画像が表示される演出表示装置、各種入賞口などの遊技構成部品が設けられ、遊技領域PAの下端部には入賞口に落入することなく落下した遊技球を裏面側に排出するためのアウト口が遊技盤10を前後に貫通して形成されている。
続いて、図2を参照しながら、ぱちんこ遊技機PMの背面側の基本構造を説明する。前枠2の背面側には、中央に前後連通する窓口を有して前枠2よりも幾分小型の矩形枠状に形成された基枠体をベースとしてなる裏セット盤30が、上下のヒンジ機構3を介して前枠2後方に横開き開閉及び着脱が可能に連結されている。この裏セット盤30には、前面開放の矩形箱状をなす裏セットカバー30Cが着脱自在に装着されており、常には前枠2に取り付けられた遊技盤10の裏面側を覆って配設されている(これにより後述する主制御基板ケースユニット100及び演出制御基板ケースユニット200が裏セットカバー30Cにより覆われる)。
裏セット盤30の各部には、多数個の遊技球を貯留する球貯留タンク31、球貯留タンク31から右方に緩やかな下り傾斜を有して延びるタンクレール32、タンクレール32の右端部に繋がり下方に延びる球供給通路部材33、球供給通路部材33により導かれた遊技球を払い出す賞球払出ユニット34、賞球払出ユニット34から払い出された遊技球を上球皿6に導くための賞球通路部材35などが設けられている。
遊技盤10の背面側には、ぱちんこ遊技機PMの作動を統括的に制御する主制御基板41(主制御基板ケースユニット100,200)や、遊技展開に応じた画像表示、効果照明、効果音等の演出全般の制御を行う演出制御基板42(演出制御基板ケースユニット300)などが取り付けられている。これに対して、裏セット盤30の背面側には、遊技球の発射及び払い出しに関する制御を行う払出制御基板43(払出制御基板ケースユニット400)や、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板44(電源基板ケースユニット500)などが取り付けられている。これらの制御基板とぱちんこ遊技機PM各部の電気・電子部品とがハーネス(コネクタケーブル)で接続されて、ぱちんこ遊技機PMが作動可能に構成されている。
ぱちんこ遊技機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠2、ガラス枠5等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、上球皿6aに遊技球を貯留させて発射ハンドル7を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル7が回動操作されると、上球皿6aに貯留された遊技球が、ガラス枠5の背面側に配設される球送り機構によって1球ずつ発射機構に送り出され、発射機構により遊技領域PAに打ち出され
て、以降パチンコゲームが展開される。
[主制御基板ケースユニットの構成]
次に、第1実施形態に係る主制御基板ケースユニット100の構成について図3及び図4を追加参照して説明する。ここで、図3は主制御基板ケースユニット100の分解斜視図、図4は主制御基板ケースユニット100におけるボトムケースとトップケースの斜視図、である。なお、以降の説明においては、説明の便宜のため、上下及び左右前後の方向は、図3の状態を基準にして定義しており、図3に示す矢印の方向をそれぞれ前後、左右、上下と称して説明する。
主制御基板ケースユニット100は、ぱちんこ遊技機PMにおける制御の中枢を担う前述の主制御基板41と、主制御基板41を内部に収容する略矩形容器状の基板ケース110と、を主体として構成されている。
主制御基板41は、詳細図示を省略しているが、矩形形状のプリント配線板を基板として種々の半導体デバイスや抵抗、コンデンサ、コネクタ等の電子・電気部品が実装されて構成されている。この主制御基板41は、基板ケース110(後述するトップケース130)の内面側にビス止め固定される。
基板ケース110は、遊技盤10の背面に着脱されるボトムケース120と、このボトムケース120に着脱自在に取り付けられるトップケース130とを備えて構成されており、ボトムケース120にトップケース130を装着した閉止状態で前後整合するケース右端部及び左端部に、詳細後述する封印構造及び不正開放防止構造が設けられている。ボトムケース120及びトップケース130には、主制御基板41を収容するための基板収容空間120S,130Sがそれぞれ形成されており、互いの基板収容空間120S,130S同士を相対向させた閉止状態で結合されて一体化される。ボトムケース120及びトップケース130は、共に透明な樹脂材料(例えば、ポリカーボネート等)を用いて射出成形等の成形手段により形成され、外部からでも基板ケース110内を視認可能に構成されている。
ボトムケース120は、前面側に開口を有する矩形箱状に形成されたボトムケース本体121と、このボトムケース本体121の左端部に一体的に形成されたボトム側封印部122と、ボトムケース本体121の右端部に一体的に形成されたボトム側ロック部123と、を有している。ボトムケース本体121の上下の側壁121aには、底部121bからそれぞれ後方に突出するボトム側スライド係合部121cが左右方向に並んで複数形成されている。
トップケース130は、前面側に開口を有する矩形箱状に形成されたトップケース本体131と、このトップケース本体131の左端部に一体的に形成されたトップ側封印部132と、トップケース本体131の右端部に連結部131Rを介して一体的に繋がるトップ側ロック部133と、を有しており、ボトムケース120に対して左右方向にスライド装着可能に構成されている。トップケース本体131の上下の側壁131aには、この側壁131aが延びる長手方向(左右方向)に沿って前面側に開口してボトムケース120のボトム側スライド係合部121cを受容可能な凹溝状のトップ側溝部131bが形成されるとともに、このトップ側溝部131b内においてボトムケース120のボトム側スライド係合部121cと係合可能なトップ側スライド係合部131cが形成されている。トップケース130には、主制御基板41のコネクタ(図示省略)の実装位置に対応して表裏貫通するコネクタ挿抜口131dが形成されており、主制御基板41がトップケース130に取り付けられた状態で、主制御基板41のコネクタがコネクタ挿抜口131dを通して外部に露出し、演出制御基板42や払出制御基板43等とハーネス(コネクタケーブ
ル)を介して電気接続可能となる。
ボトムケース120にトップケース130を組み付けるには、図4に示すように、ボトムケース120に対してトップケース130を左方に若干ずらした状態で前後方向に対向させて、トップケース130のトップ側溝部131dにボトムケース120のボトム側スライド係合部121cを挿入し、トップケース130を右方向(以下において「閉止方向」とも称する)にスライド移動させることにより、ボトム側スライド係合部121cとトップ側スライド係合部131cとを係合させる。これにより、ボトムケース120とトップケース130とが互いの基板収容空間120S,130S同士を相対向させた閉止状態で取り付けられる。そして、こうしてボトムケース120とトップケース130とが結合した閉止状態において、前後に位置整合するボトム側封印部122とトップ側封印部132とにより封印構造が構成されるとともに、前後に位置整合するボトム側ロック部123とトップ側ロック部133とにより不正開放防止構造が構成されている。
封印構造は、ボトムケース本体121の左端部に一体的に繋がって形成されたボトム側封印部122と、トップケース本体131の左端部に一体的に繋がって形成されたトップ側封印部132と、ボトム側封印部122に貼着される封印シール140と、封印シール140を破壊するカッター部材141と、から構成される。
封印シール140は、例えば紙製のシート部材の表面に、ICタグ及びこれに繋がるアンテナ線が透明な樹脂フィルムによって覆われて形成されており、ICタグに格納された種々の情報(例えば、ぱちんこ遊技機PMに関する情報、主制御基板41の識別情報など)がアンテナ線を介して基板ケース110の外部からでもリーダ装置によって読み取り可能となっている。
カッター部材141は、ボトム側封印部122に貼着された封印シール140を覆うように装着される。このカッター部材141は、ボトム側封印部122に装着されて封印シール140を外方から包囲して保護する一方、基板ケース110の開放時、すなわち、トップケース130をボトムケース120に対して左方向(以下において「開放方向」とも称する)にスライド移動させるとき、トップ側封印部132と協働して当該開放方向に移動することで封印シール140を再生不能な程度に破壊するように構成されている。
続いて、不正開放防止構造について、図5〜図13を追加参照して説明する。ここで、図5は不正開放防止構造を示す斜視図、図6は不正開放防止構造の平面図、図7は図6における矢印VII−VIIに沿って示す断面図、図8は図6における矢印VII−VIIに沿って示す断面図、図9(a)はボトム側ロック部の斜視図、図9(b)はボトム側ロック部の平面図、図10は図9における矢印X−Xに沿って示す断面図、図11は図9における矢印XI−XIに沿って示す断面図、図12(a)はトップ側ロック部の斜視図、図12(b)はトップ側ロック部の平面図、図13は図12における矢印XIII−XIIIに沿って示す断面図、である。なお、前述したように、ボトム側ロック部123及びトップ側ロック部133はボトムケース120及びトップケース130に一体的に繋がって形成されるが、図5〜図13においては、ボトム側ロック部122及びトップ側ロック部133を切り離した状態でこれらのみを取り出して示す。
不正開放防止構造(いわゆるカシメ構造)は、ボトムケース本体121の右端部に一体的に繋がって形成されたボトム側ロック部123と、トップケース本体131の右端部に薄肉半円筒状の連結部131R(図3を参照)を介して一体的に繋がって形成されたトップ側ロック部133とを有してなり、例えば接着剤等の硬化性流体をボトム側ロック部123とトップ側ロック部133との間に充填して硬化させることで、ボトム側ロック部123とトップ側ロック部133とが接着固定されるように構成されている。なお、本実施
形態では、不正開放防止構造は2組設けられている。
まず、硬化性流体としては、例えば二液混合型の接着剤が好適に適用される。二液混合型の接着剤は、主剤と硬化剤からなる二つの液剤を混合することで接着力を発現する接着剤であり、例えばエポキシ系、アクリル系、エチレン系などの合成樹脂を主体とする接着剤が例示される。このような接着剤によれば常温で硬化するため、硬化後の収縮が少なく、また、小さな隙間にも充填されるので、強力な接着が可能となる。なお、硬化性流体としては、二液混合型の接着剤に限定されず、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂などを適用してもよい。
ボトム側ロック部123は、直方体状に形成された固定収容体124と、この固定収容体124に凹設されたロック孔125とを有して形成される。固定収容体124は、基板ケース110の閉止状態において、トップ側ロック部133と当接対向するボトム側対向面124aを有している。ロック孔125は、基板ケース110のスライド方向(左右方向)に延びる一対の固定孔部126と、この一対の固定孔部126と交差して延びる一体の係合孔部128とからなり、ボトム側対向面124a側から見たとき孔全体として略井形状を呈している。各固定孔部126は、一対の係合孔部128によって、第1孔部126a、第2孔部126b及び第3孔部126cに分断されている。各固定孔部126の下半部は基板ケース110のスライド方向に延びる軸心Xを中心として断面半円状に形成されている。各固定孔部126の中央に位置する第2孔部126bには、この第2固定孔部126bの内周面に沿って凹設された断面U字状のボトム側規制溝127が形成されている。各係合孔部128は、固定収容体124のボトム側対向面124aから略蒲鉾形状に凹設されており、詳細後述するトップ側ロック部133の係止突起137を挿入可能な大きさに形成されている。
トップ側ロック部133は、ボトム側ロック部123のロック孔125を閉止可能な大きさの平板状に形成された固定板134と、固定板134と直交する方向に突設された一対のロック突起137とを有して形成される。トップ側ロック部133は、断面半円筒状の連結部131Rを介してトップケース本体131に連結されており、この連結部131Rを破壊することによってトップケース本体131とトップ側ロック部133とを分離可能である。
固定板134は、基板ケース110の閉止状態において、ボトム側ロック部123のボトム側対向面124aと当接対向するトップ側対向面134aを有している。固定板134の略四隅には、表裏に貫通する円孔状の注入口135がそれぞれ開設されており、この注入口135の開口位置は前述のボトム側ロック部123の第1及び第3孔部126a,126cと整合している(すなわち、基板ケース110の閉止状態において4つの注入口135と一対の第1孔部126a及び一対の第3孔部126cとが前後に重なり合って各々連通するようになっている)。また、固定板134の対向面側には、一対のロック突起137に挟まれた位置に凹溝状のトップ側規制溝136が一対形成されている。ロック突起137は、ボトム側ロック部123の係合孔部128に対応した断面形状(略蒲鉾形状)を有するとともに、係合孔部128の長さ(スライド方向の長さ)よりも厚み(スライド方向の厚み)が小さく形成されている。そのため、ロック突起137は係合孔部128に挿入可能であるとともに、係合孔部128の軸方向に沿ってスライド移動可能である。一対のロック突起137の配置間隔は、ボトム側ロック部123における一対の係合孔部128の配置間隔と同一に設定されている。
また、ロック突起137には、基板ケース110のスライド方向に延びて表裏に貫通する連通孔138が開設されている。この連通孔138はスライド方向に延びる軸心Yを中心とした円孔状に形成されており、ロック突起137が係合孔部128に挿入された状態
において、連通孔138の軸心Xと係合孔部128の軸心Yとが整合一致して同軸的に配置されるようになっている。つまり、この状態において、ロック突起137の連通孔138とロック孔125とが同軸的に連通することとなり、これによりボトム側ロック部123とトップ側ロック部133との間に、注入口135から供給された硬化性流体が流動するための流動路が画成される。この流動路によってロック孔125の全体に硬化性流体が充填されて硬化することにより、ボトム側ロック部123とトップ側ロック部133とが接着固定されるようになっている。
次に、このように構成される主制御基板ユニット100における不正開放防止構造の作用について、図14〜図17を追加参照して説明する。ここで、図14はボトム側ロック部123に対してケース側ロック部133を左右方向にずらして対向させた状態を示す断面図、図15はボトム側ロック部123に対してケース側ロック部133を左右方向にずらして重なり合わせた状態を示す断面図、図16はボトム側ロック部123に対してトップ側ロック部133をスライド装着した状態を示す断面図、図17はボトム側ロック部123とトップ側ロック部133との間に硬化性流体を充填させた状態を示す断面図である。なお、前述したように、図14〜図17においても、ボトム側ロック部123及びトップ側ロック部133をボトムケース120及びトップケース130から切り離した状態でこれらのみを取り出して示している。
主制御基板ケースユニット100を組み立てるには、まず始めに、図4に示すように、トップケース130をボトムケース120に対して左右方向に若干ずらした位置で前後に対向させる。このとき、不正開放防止構造においては、図14に示すように、トップ側ロック部123とボトム側ロック部133とが左右方向に若干ずれた状態で前後に対向し、トップケース130のロック突起137をボトムケース120の係合孔部128に挿入し得る状態となる。
続いて、トップケース130をボトムケース120に重ね合わせる。このとき、不正開放防止構造においては、図15に示すように、トップ側ロック部133とボトム側ロック部123とが左右方向に若干ずれた状態で重なり合い、互いの対向面124a,134a同士が当接するとともに、トップ側ロック部133のロック突起137がボトム側ロック部123の係合孔部128に挿入される。
続いて、トップケース130を閉止方向にスライド移動させてボトムケース120とトップケース130とを閉止させる。このとき、不正開放防止構造においては、図16に示すように、トップ側ロック部133がボトム側ロック部123に対して閉止方向に相対移動し、トップ側ロック部133とボトム側ロック部123とが前後に位置整合した状態となる。こうしてトップ側ロック部133の固定板134によってボトム側ロック部123のロック孔125を閉じた状態では、トップケース130の各注入孔135とボトムケース120のロック孔125とが連通し、ボトム側ロック部123とトップ側ロック部133との間に硬化性流体を流動させるための流動路が画成される。
続いて、図17に示すように、トップケース130の注入孔135から硬化性流体Fを流し込む。このとき、硬化性流体Fは、注入孔135→第1孔部126a又は第3孔部126c→係合孔部128→連通孔138→第2孔部126b→…、というように流動する。これにより、ボトム側ロック部123におけるロック孔125の内部空間のうち、トップ側ロック部133のロック突起137によって占領される部分を除く空間全体に硬化性樹脂Fが充填される。これにより、トップ側ロック部133のロック突起137は、ボトム側ロック部123の係合孔部128内で硬化性流体Fに浸漬した状態のまま保持されることとなる。また、硬化性流体Fがロック孔125を流動する際に、ボトム側規制溝127及びトップ側規制溝136にも硬化性流体Fが浸透して充填される。なお、前述したよ
うに、トップ側ロック部133の連通孔137とボトム側ロック部123のロック孔125とは同心状に連通しているので、注入口135から供給された硬化性流体Fは流動路内(ロック孔125及び連通孔138)を速やかに流動し、硬化性流体Fを短時間で充填することができる。そして、ロック孔125全体に充填された硬化性流体Fが常温で硬化すると、ボトム側ロック部123とトップ側ロック部133とが硬化性流体Fを介して接着固定される。
このように基板ケース110の閉止状態において、ボトム側ロック部123とボトム側ロック部133とが接着固定されると、ボトムケース120に対してトップケース130を開放方向にスライド移動させることはできない(基板ケース110を開放できない)。また、ボトム側ロック部123における係合孔部128の内部空間のうち、トップ側ロック部133のロック突起137が占領する部分を除く空間全体(ロック突起137を開放方向にスライドするためのスペース)にも硬化性流体が充填されているので、この硬化性流体(硬化層)Fが壁となって、トップ側ロック部133を開放方向に相対移動させるのがより困難となる。さらに、ボトム側規制溝127及びトップ側規制溝136にも硬化性流体が浸透してロック孔125内の接着剤層と一体的に固化することで、トップ側ロック部133の開放方向への相対移動が規制される。従って、基板ケース110が強固な閉止状態に保持されて不正な開放が防止されるため、主制御基板41に対する電子部品の交換や改造等の不正行為を受け難くすることが可能となる。
なお、主制御基板41の保守点検や検査等のために基板ケース110を正規に開放するには、トップケース本体131とトップ側ロック部133との間を繋ぐ連結部131Rを破壊(切断)して、ボトム側ロック部123と接着固定した状態のトップ側ロック部133をトップケース本体131から切り離せばよい。また、ここでボトム側ロック部123及びトップ側ロック部133は、ボトムケース120及びボトムケース130の右端部に夫々2個ずつ(すなわち2組)設けられているが、ボトムケース120及びトップケース130を閉止状態で連結するためには、いずれか1組のボトム側ロック部123及びトップ側ロック部133を使用すればよい。
以上、第1実施形態に係る主制御基板ケースユニット100によれば、ボトム側ロック部123のロック孔125にトップ側ロック部133のロック突起137を挿入した状態でボトム側ロック部123とトップ側ロック部133とを硬化性流体Fを介して接着し、ボトムケース120とトップケース130とを閉止状態で連結固定するように構成したことで、ボトム側ロック部123とトップ側ロック部133との間に充填された硬化性流体(硬化層)Fを除去しない限りは、ボトムケース120に対してトップケース130を開放方向にスライド移動させることができなくなるので、基板ケース110の不正な開放を確実に抑止して主制御基板41に対する不正な改造行為を受け難くすることが可能である。また、硬化性流体(硬化層)Fを除去した場合には、その除去した痕跡が明瞭に残存するため、基板ケース110の不正な開放を早期に発見することができる。従って、本実施形態によれば、不正行為の予防及び早期発見に寄与することが可能であるという効果を奏する。
また、トップ側ロック部133にロック突起137を貫通する連通孔138を形成することにより、ロック孔125にロック突起137を挿入した状態で硬化性流体を充填する際に、硬化性流体が連通孔138を通じてロック孔125内で流動するようになるため、硬化性流体の流動がロック突起137によって阻害されることがなく、硬化性流体をロック孔125の隅々まで行き渡らせて硬化させることができる。よって、ボトム側ロック部123とトップ側ロック部133との接着強度を向上させることが可能である。
また、トップ側ロック部133のロック突起137がボトム側ロック部123のロック
孔125に挿入された状態において、ロック突起137の連通孔138とロック孔125とが軸心X,Yのもとで同心状に配置されることで、注入口135から流し込んだ硬化性流体がロック孔125内で速やかに流動するようになるため、硬化性流体の充填時間を短縮することができる。
また、基板ケース110をスライド装着型に構成して、ボトム側ロック部123及びトップ側ロック部133の少なくとも一方に、基板ケース110のスライド方向と直交する方向に延びるとともにロック孔125に連通する規制溝127,136を形成することで、ロック孔125に流し込まれた接着剤が規制溝127,136にも浸透して一体的に固化するため、ボトム側ロック部123に対するトップ側ロック部133の開放方向へのスライド移動がより厳重に規制され、基板ケース110の不正な開放をより効果的に防止することが可能となる。
次に、第2実施形態に係る主制御基板ケースユニット200の構成について図18〜図20を追加参照して説明する。ここで、図18は主制御基板ケースユニット200の分解斜視図、図19はボトムケース220を前方から見た斜視図、図20はトップケース230を後方から見た斜視図、である。なお、以降の説明においては、説明の便宜のため、上下及び左右前後の方向は、図18の状態を基準にして定義しており、図18に示す矢印の方向をそれぞれ前後、左右、上下と称して説明する。
主制御基板ケースユニット200は、ぱちんこ遊技機PMにおける制御の中枢を担う前述の主制御基板41と、主制御基板41を内部に収容する略矩形容器状の基板ケース210とを主体として構成されており、閉止状態の基板ケース210の内部に、主制御基板41、封印構造及び不正開放防止構造が配置された密封型のケースユニットとして構成されている。なお、主制御基板41については既に前述しているので、ここでは説明を省略する。
基板ケース210は、遊技盤10の背面に着脱されるボトムケース220と、このボトムケース220に着脱自在に取り付けられるトップケース230とを備えて構成されており、ボトムケース220にトップケース230を装着した閉止状態において画成されるケース内部に、詳細後述する封印構造及び不正開放防止構造が装備されている。ボトムケース220及びトップケース230には、主制御基板41を収容するための基板収容空間220S,230Sがそれぞれ形成されており、互いの基板収容空間220S,230S同士を相対向させた閉止状態で結合されて一体化される。ボトムケース220及びトップケース230は、共に透明な樹脂材料(例えば、ポリカーボネート等)を用いて射出成形等の成形手段により形成され、外部からでも基板ケース210内を視認可能に構成されている。
ボトムケース220は、基壁221a及びこの基壁221aを囲んで前方に延びる上下左右の側壁221bを有し、全体として前面開放の矩形箱状に形成されたボトムケース本体221を主体として構成される。ボトムケース本体221における左側の側壁221bには基板収容空間220S側に突出するボトム側封印部222が設けられ、上下の側壁221bには基板収容空間220S側に突出するボトム側ロック部223が設けられている。
トップケース230は、基壁231a及びこの基壁231aを囲んで後方に延びる上下左右の側壁231bを有し、全体として後面開放の矩形箱状に形成されたトップケース本体231を主体として構成されており、ボトムケース220に対して左右方向にスライド装着可能に構成されている。トップケース本体231における左側の側壁231bには基板収容空間230S側に突出するトップ側封印部232が設けられ、上下の側壁231b
には基板収容空間230S側に開口するトップ側ロック部233が設けられている。トップケース230には、主制御基板41のコネクタ(図示省略)の実装位置に対応して表裏貫通するコネクタ挿抜口231dが形成されており、主制御基板41がトップケース230に取り付けられた状態で、主制御基板41のコネクタがコネクタ挿抜口231dを通して外部に露出し、演出制御基板42や払出制御基板43等とハーネス(コネクタケーブル)を介して電気接続可能となる。
封印構造は、ボトムケース本体221に一体的に形成されたボトム側封印部222と、トップケース本体231に一体的に形成されたトップ側封印部232と、ボトム側封印部222に貼着される封印シール240と、封印シール240を破壊するカッター部材241と、から構成される。本体側封印部123及び蓋側封印部133は、ケース本体120にケース蓋130が閉止された状態で前後に対向配置されるようになっており、この対向状態において本体側封印部122と蓋側封印部132との間に封印シール150及び封印シールカッター160が収容される。
封印シール240は、例えば紙製のシート部材の表面に、ICタグ及びこれに繋がるアンテナ線が透明な樹脂フィルムによって覆われて形成されており、ICタグに格納された種々の情報(例えば、ぱちんこ遊技機PMに関する情報、主制御基板41の識別情報など)がアンテナ線を介して基板ケース210の外部からでもリーダ装置によって読み取り可能となっている。
カッター部材241は、ボトム側封印部222に貼着された封印シール240を覆うように装着される。このカッター部材241は、ボトム側封印部222に装着されて封印シール240を外方から包囲して保護する一方、基板ケース210の開放時、すなわち、トップケース230をボトムケース220に対して左方向(以下において「開放方向」とも称する)にスライド移動させるとき、トップ側封印部232と協働して当該開放方向に移動することで封印シール240を再生不能な程度に破壊するように構成されている。
不正開放防止構造(いわゆるカシメ構造)は、ボトムケース本体221の上下の側壁221bに一体的に繋がって形成されたボトム側ロック部223と、トップケース本体231の上下の側壁231bに一体的に形成されたトップ側ロック部233とを有してなり、例えば接着剤等の硬化性流体をボトム側ロック部223とトップ側ロック部233との間に充填して硬化させることで、ボトム側ロック部223とトップ側ロック部233とが接着固定されるように構成されている。
まず、硬化性流体としては、例えば二液混合型の接着剤が好適に適用される。二液混合型の接着剤は、主剤と硬化剤からなる二つの液剤を混合することで接着力を発現する接着剤であり、例えばエポキシ系、アクリル系、エチレン系などの合成樹脂を主体とする接着剤が例示される。このような接着剤によれば常温で硬化するため、硬化後の収縮が少なく、また、小さな隙間にも充填されるので、強力な接着が可能となる。なお、硬化性流体としては、二液混合型の接着剤に限定されず、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂などを適用してもよい。
ボトム側ロック部223は、ボトムケース本体221における上下の側壁221bから前方に向けて突出する複数のボトム側スライド係合部224を有してなる。ボトム側スライド係合部224は、略L字形に屈曲した平板状に形成されており、上下の側壁221bに沿って左右方向に等間隔で配置されている。
トップ側ロック部233は、トップケース本体231における側壁231bが延びる長手方向(左右方向)に沿って後面側に開口してボトム側スライド係合部を受容可能に形成
された凹溝状のトップ側溝部234と、このトップ側溝部234内においてボトム側スライド係合部224と係合可能に形成された複数のトップ側スライド係合部235とを有してなる。このトップ側スライド係合部235は、ボトム側スライド係合部224と同じ数だけ形成され、その配置間隔もボトム側スライド係合部と対応している。また、トップケース230の前面側には、基壁231aを表裏に貫通してトップ側溝部234に連通する注入口236が開口されている。
次に、このように構成される主制御基板ケースユニット100における不正開放防止構造の作用について、図21及び図22を追加参照して説明する。ここで、図21はボトムケースとトップケースとを対向させた状態を示す斜視図、図22は不正開放防止構造の作用を説明するための模式図である。
主制御基板ケースユニット100を組み立てるには、まず始めに、図21に示すように、トップケース230をボトムケース130に対して左右方向に若干ずらした位置で前後に対向させる。このとき、不正開放防止構造においては、図22(a)に示すように、ボトム側スライド係合部224とトップ側スライド係合部235とが左右に若干ずれた位置にあり、ボトム側スライド係合部224をトップ側溝部234に挿入し得る状態となっている。
続いて、トップケース230をボトムケース220に重ね合わせる。このとき、不正開放防止構造においては、図22(b)に示すように、ボトム側スライド係合部224がトップ側スライド溝部234に挿入される。
続いて、トップケース230を閉止方向にスライド移動させてトップケース230とボトムケース220とを閉止させる。このとき、不正開放防止構造においては、図22(c)に示すように、トップ側スライド係合部224がボトム側スライド係合部235に対して閉止方向に相対移動して、ボトム側スライド係合部224とトップ側スライド係合部235とが係合する。
続いて、図22(d)に示すように、トップケース230の注入口236から硬化性流体Fを流し込む。これにより、トップ側溝部234の内部空間のうち、係合状態の両スライド係合部224,235によって占領される部分を除く空間全体に硬化性流体Fが充填される。そのため、ボトム側スライド係合部224とトップ側スライド係合部235とは係合状態のまま硬化性流体Fに浸漬した状態で保持されることとなる。なお、この係合状態では、トップ側溝部234の開口はボトムケース220の側壁221bによって閉鎖されるため、その隙間から硬化性流体Fが外部に漏出するおそれはない。そして、トップ側溝部234に充填された硬化性流体Fが常温で硬化すると、ボトム側スライド係合部224とトップ側スライド係合部235とが硬化性流体Fを介して接着固定される。
こうして、ボトム側ロック部223とトップ側ロック部233とが接着固定されると、ボトムケース220に対してトップケース230を開放方向にスライド移動させることはできない(基板ケース210を開放できない)。また、トップ側溝部234の内部空間のうち、ボトム側スライド係合部224及びトップ側スライド係合部235が占領する部分を除く空間全体(トップ側スライド係合部224を開放方向にスライドするためのスペース)に硬化性流体が充填されているので、この硬化性流体(硬化層)Fが壁となって、トップケース230をボトムケース220に対して開放方向にスライド移動させるのがより困難となる。従って、基板ケース210が強固な閉止状態に保持されて不正な開放が防止されるため、主制御基板41に対する電子部品の交換や改造等の不正行為を受け難くすることが可能となる。
以上、第2実施形態に係る主制御基板ケースユニット200によれば、ボトム側スライド係合部224とトップ側スライド係合部235とを係合させた状態でトップ側溝部234に硬化性流体Fを充填して両者を接着し、ボトムケース220とトップケース230とを閉止状態で連結固定するように構成したことで、ボトム側ロック部223とトップ側ロック233部との間に充填された硬化性流体(硬化層)Fを除去しない限りは、ボトムケース220に対してトップケース230を開放方向にスライド移動させることができなくなるので、基板ケース210の不正な開放を確実に抑止して主制御基板41に対する不正な改造行為を受け難くすることが可能である。特に、ボトム側ロック部223とトップ側ロック部233とが基板ケース210の内部に密閉且つ隠蔽されたかたちで接着固定されるので、基板ケース210の外部からボトム側ロック部223及びトップ側ロック部233へアクセスするのが非常に困難となり、不正な改造行為をより厳重に抑止することが可能となる。また、硬化性流体(硬化層)Fを除去した場合には、その除去した痕跡が明瞭に残存するため、基板ケース210の不正な開放を早期に発見することができる。従って、本実施形態によれば、不正行為の予防及び早期発見に寄与することが可能であるという効果を奏する。
また、ボトムケース220の側壁221bとトップケース230の側壁231bとにそれぞれ配設した複数のボトム側スライド係合部224と複数のトップ側スライド係合部235とを各々スライド係合させた係合状態において硬化性流体Fを介して接着固定する構成であるため、ボトムケース220とトップケース230とがより強固な係合状態で結合するようになり、基板ケース210の開放をより困難とすることが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
上述の実施形態では、スライド開閉型の基板ケースユニットを例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えばヒンジ開閉型などの他の基板ケースユニットであってもよい。
また、上述の実施形態では、不正開放防止構造及び封印構造の両者を具備する基板ケースユニットを適用したが、この構成に限定されるものではなく、不正開放防止構造のみを具備する基板ケースユニットであってもよい。
なお、上述の実施形態においては、本発明に係る基板ケースユニットをぱちんこ遊技機の主制御基板ケースユニットに適用した場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、演出制御基板ケースユニットや払出制御基板ケースユニットなどの他の基板ケースユニット等に適用してもよく、更には、ぱちんこ遊技機以外の遊技機、例えばスロットマシンの基板ケースユニットに適用しても同様の効果を得ることが可能である。