JP6135558B2 - 画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
少なくとも画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置される摺擦部材であって、
樹脂を全体に含む基材であって、前記被接触部材との接触側から厚み0.1μm以上50μm以下の領域にsp3結合を有する炭素がイオン注入された炭素含有領域を有し、且つ前記炭素含有領域以外の領域は同じ材質で構成される基材を備え、
下記(A)または(B)の何れかの要件を満たす画像形成用摺擦部材である。
(A)前記炭素含有領域が前記被接触部材との接触部を構成する
(B)前記炭素含有領域の更に前記被接触部材との接触側表面に、樹脂を含まず且つsp3結合を有する炭素を含む炭素層が成膜され、該炭素層が前記被接触部材との接触部を構成する
少なくとも画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置される摺擦部材であって、
樹脂を全体に含む基材であって、該樹脂がイソシアネートによる架橋構造を有さず、且つ前記被接触部材との接触側から厚み0.1μm以上50μm以下の領域にsp3結合を有する炭素がイオン注入された炭素含有領域を有する基材を備え、
下記(A)または(B)の何れかの要件を満たす画像形成用摺擦部材である。
(A)前記炭素含有領域が前記被接触部材との接触部を構成する
(B)前記炭素含有領域の更に前記被接触部材との接触側表面に、樹脂を含まず且つsp3結合を有する炭素を含む炭素層が成膜され、該炭素層が前記被接触部材との接触部を構成する
前記(B)の要件を満たす請求項1または請求項2に記載の画像形成用摺擦部材である。
前記炭素層の厚みが500nm以下である請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の画像形成用摺擦部材である。
前記基材に含まれる前記樹脂がJIS−Aの硬度85度以下のゴムである請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の画像形成用摺擦部材である。
前記被接触部材に接触しながら、該被接触部材の表面をクリーニングするクリーニング部材である請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の画像形成用摺擦部材である。
クリーニング部材として請求項6に記載の画像形成用摺擦部材を備えたクリーニング装置である。
請求項7に記載のクリーニング装置を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジである。
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、
前記中間転写体上に転写された前記トナー像を記録媒体上に二次転写する二次転写装置と、
前記二次転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記中間転写体の表面に、前記画像形成用摺擦部材を接触させてクリーニングする請求項7に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置である。
本実施形態に係る画像形成装置用摺擦部材(以下単に「摺擦部材」と称す)は、少なくとも画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置される摺擦部材である。
尚、該摺擦部材は少なくとも基材を有し、該基材は樹脂を全体に含む。また、該基材は前記被接触部材との接触側に更にsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を有する。
更に、該摺擦部材は、下記(A)または(B)の何れかの要件を満たす。
(A)前記炭素含有領域が前記被接触部材との接触部を構成する
(B)前記炭素含有領域の更に前記被接触部材との接触側表面に、樹脂を含まず且つsp3結合を有する炭素を含む炭素層を備え、該炭素層が前記被接触部材との接触部を構成する
しかしながら、二成分現像方式を用いた画像形成装置の場合、トナーの摩擦帯電に使用される鉄粉の一部がクリーニングブレードのエッジ部へ突入する状況がある。被接触部材との接触部(エッジ部)を硬化処理した場合、エッジ部の柔軟性が低下し、例えば鉄粉の衝突や、その他用紙端部との衝突などによって生じる局所的な応力集中に対して脆くなり、エッジ部において一部に欠けが生じることがあった。
また、上記摺擦部材は、炭素含有領域4Bの更に被接触部材との接触側表面に、樹脂を含まず且つsp3結合を有する炭素を含む炭素層6を備えてもよい。この場合、該炭素層6が被接触部材との接触部を構成する。一方、炭素層6を備えない場合、炭素含有領域4Bが被接触部材との接触部を構成する。
ここで、上記摺擦部材がクリーニングブレードとして用いられる態様について、図を用いて説明する。以下においては、図2に示すごとく、クリーニングブレード(摺擦部材)は、駆動する像保持体(感光体ドラム)31に接触して像保持体31の表面をクリーニングする接触部(接触角部またはエッジ部)3Aと、接触角部3Aが1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向(矢印A方向)の上流側を向く先端面3Bと、接触角部3Aが1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向(矢印A方向)の下流側を向く腹面3Cと、先端面3Bと1つの辺を共有し且つ腹面3Cに対向する背面3Dと、を有する。
また、接触角部3Aと平行な方向を奥行き方向と、接触角部3Aから先端面3Bが形成されている側の方向を厚み方向と、接触角部3Aから腹面3Cが形成されている側の方向を幅方向と称す。
尚、図2には便宜上、像保持体(感光体ドラム)31が駆動する方向を矢印Aとして描いたが、図2は像保持体31が停止している状態を示している。
−樹脂−
本実施形態に係る摺擦部材における基材は、その全体に樹脂を含有する。
樹脂としてはゴムが望ましく、例えば、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。尚、特にポリウレタンゴムが望ましく、更には高結晶化されたポリウレタンゴムがより望ましい。
ここで、「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」とは、ポリウレタンゴム材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
また、上記「ポリイソシアネート」は、合成された樹脂において架橋構造を形成するものではなく、つまり第2実施形態に係る摺擦部材における前述の「イソシアネートによる架橋構造」を形成するものではない。
まず、ソフトセグメント材料としては、ポリオールとして、ジオールと二塩基酸との脱水縮合で得られるポリエステルポリオール、ジオールとアルキルカーボネートの反応により得られるポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。なお、ソフトセグメント材料として用いられる上記ポリオールの市販品としては、例えば、ダイセル化学社製のプラクセル205やプラクセル240などが挙げられる。
また、ハードセグメント材料としては、イソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂を用いることが望ましい。また、柔軟性のある樹脂であることが望ましく、柔軟性の点から直鎖構造を有する脂肪族系の樹脂であることがより望ましい。具体例としては、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂や、2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂等を用いることが望ましい。
2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂の市販品としては、例えば、出光興産社製、R−45HT等が挙げられる。
また、物性面では、従来のエポキシ樹脂と比べて、分子量に比して粘度が低いエポキシ樹脂が好適である。具体的には、重量平均分子量が900±100の範囲内であり、25℃における粘度が15000±5000mPa・sの範囲内であることが望ましく、15000±3000mPa・sの範囲内であることがより望ましい。この特性を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、DIC製、EPLICON EXA−4850−150等が挙げられる。
ハードセグメント材料比が、10質量%以上であることにより、耐摩耗性が得られる。一方、ハードセグメント材料比が30質量%以下であることにより、硬くなり過ぎることがなく、柔軟性や伸張性が得られ、欠けの発生が抑制される。
ポリウレタンゴムの合成に用いられるポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)および3,3−ジメチルフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
尚、求められる大きさ(粒子径)のハードセグメント凝集体の形成し易さという点から、ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)がより望ましい。
20質量部以上であることにより、ウレタン結合量が多く確保されてハードセグメント成長し、求められる硬度が得られる。一方40質量部以下であることにより、ハードセグメントが大きくなり過ぎず、伸張性が得られ、摺擦部材の欠けの発生が抑制される。
架橋剤としては、ジオール(2官能)、トリオール(3官能)、テトラオール(4官能)等が挙げられ、これらを併用してもよい。また、架橋剤としてアミン系化合物を用いてもよい。尚、3官能以上の架橋剤を用いて架橋されたものであることが望ましい。3官能の架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
本実施形態において全体に樹脂の一種であるポリウレタンゴムを含む基材(但し炭素含有領域を形成する前の基材)の製造は、プレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法が用いられる。プレポリマー法は強度、耐摩耗性に優れるポリウレタンが得られるため本実施形態には好適であるが、製法により制限されるものではない。
次に、このソフトセグメント材料とハードセグメント材料との混合物に対して、イソシアネート化合物(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を加えて、例えば窒素雰囲気下で反応させる。この際の温度は60℃以上150℃以下であることが望ましく、更には80℃以上130℃以下であることが望ましい。また反応時間は0.1時間以上3時間以下であることが望ましく、更には1時間以上2時間以下であることが望ましい。
次いで、このプレポリマーを昇温し減圧下で脱泡する。この際の温度は60℃以上120℃以下であることが望ましく、更には80℃以上100℃以下であることが望ましい。また反応時間は10分間以上2時間以下であることが望ましく、更には30分間以上1時間以下であることが望ましい。
その後、プレポリマーに対して、架橋剤(例えば1,4−ブタンジオールやトリメチロールプロパン)を加え、更にチキソ性組成物を混合して、基材形成用の組成物を調製する。
更に架橋反応させ、冷却した後に切断し炭素含有領域を形成する前の基材が形成される。この架橋反応の際の熟成加熱の温度は70℃以上130℃以下であることが望ましく、80℃以上130℃以下であることがより望ましく、更には100℃以上120℃以下であることが望ましい。また反応時間は1時間以上48時間以下であることが望ましく、更には10時間以上24時間以下であることが望ましい。
基材に含まれる樹脂としては、JIS−Aの硬度85度以下のゴムであることが好ましく、該硬度は更に70度以上85度以下がより好ましく、73度以上82度以下が更に好ましい。
ゴム試料表面に定められた形状の押針を、バネを介して押し付けたときの押込み深さから硬さを求めるデュロメータによる試験方法により測定される。
本実施形態における基材は、被接触部材との接触側に更にsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を有する。炭素含有領域の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば樹脂を含む基材に対し直接プラズマイオンを注入することで基材内部にsp3結合を有する炭素原子を浸透させる方法が挙げられる。
ここで、基材における炭素含有領域および炭素層を形成し得る、パルスプラズマイオン注入法について説明する。
パルスプラズマイオン注入法においては、少なくとも1以上のイオン注入用ガスを用いて、パルスプラズマによる、イオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、基材の被接触部材との接触側に炭素含有領域を形成し、さらに該炭素含有領域の被接触部材との接触側表面に炭素層を成膜する。また、上記の複合プロセスの前にパルスプラズマによる表面調整プロセスを設けてもよい。
プラズマ発生用高周波電源と、高電圧パルス発生用電源とを、共通のフィードスルーを介してチャンバー内の基材に接続しておき、前記プラズマ発生用高周波電源から基材に高周波パルス(パルスRF電圧)を印加して基材の外形に沿って周囲にプラズマを発生させる。そして、そのプラズマ中またはアフターグロープラズマ中に、高電圧パルス発生用電源から基材に負の高電圧パルス(DCパルス電圧)を少なくとも1回印加し、これら高周波パルスの印加と負の高電圧パルスの印加とを繰り返し行う。尚、この高周波パルスの印加と高電圧パルスの印加との繰り返し数は、100回/秒以上5000回/秒以下の範囲が好ましい。
N原子を含むことにより、摺擦部材において摩擦帯電による粉体の固着が抑制される。また、F原子を含むことにより、摺擦部材における摺擦部分の離型性が向上され粉体の固着が抑制される。
また、F原子を含有させる際に用いる注入用ガスとしては、例えばヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とアセチレン(C2H2)、フッ化炭素(C3F8)を流量比1:1:0.1の割合で混合したガス等が挙げられる。
前記炭素含有領域の被接触部材との接触面側からの厚みとしては、0.1μm以上50μm以下が好ましい。
炭素含有領域の厚みが0.1μm以上であることにより、求められる低摺動性を得るとの点で好ましく、一方厚みが5.0μm以下であることにより、炭素含有領域の樹脂(ゴム)としての靭性(粘弾性)が維持されることによる異物衝突時の破損防止との点で好ましい。
炭素含有領域の厚みが500nm以下であることにより、炭素層の剥がれが発生した場合であっても発生した剥離片が小さいため、接触する被接触部材への剥離片による傷付きが抑制されるとの点で好ましい。
本実施形態の摺擦部材は、例えばクリーニングブレードとして好適に用いられる。該クリーニングブレードによるクリーニングの対象となる被クリーニング部材としては、表面のクリーニングが要求される部材であれば特に限定されず、例えば、像保持体(感光体)、中間転写体、帯電ロール、転写ロール、被転写材搬送ベルト、用紙搬送ロール、像保持体からトナーを除去するクリーニングブラシからさらにトナーを除去するデトーニングロール等が挙げられる。
また、本実施形態の摺擦部材は、クリーニングブレード以外にも、画像形成装置において他の部材に接触するよう配置されて摺擦される態様であれば、特に限定されずあらゆる部材に用い得る。例えば、摺擦部材の他の用途としては、回転ローラー表面、記録媒体搬送路表面、気密パッキン表面、摺擦パッド表面、シート等が挙げられる。
次に、本実施形態の摺擦部材をクリーニングブレードとして用いたクリーニング装置、プロセスカートリッジ、および、画像形成装置について説明する。
また、クリーニングブレード先端部が中間転写体に食込む長さが0.6mm以上2.0mm以下の範囲であることが望ましく、0.9mm以上1.4mm以下の範囲であることがより望ましい。
クリーニングブレードと中間転写体との接触部における角度W/A(Working Angle)は8°以上14°以下の範囲であることが望ましく、10°以上12°以下の範囲であることがより望ましい。
次に、本実施形態のクリーニングブレード、並びに、これを用いた画像形成装置およびクリーニング装置の具体例について、図面を用いてより詳細に説明する。
図4は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略模式図であり、いわゆるタンデム型の画像形成装置について示したものである。
図4中、21は本体ハウジング、22、22a乃至22dは作像ユニット、23はベルトモジュール、24は記録媒体供給カセット、25は記録媒体搬送路、30は各感光体ユニット、31は感光体ドラム、33は各現像ユニット、34はクリーニング装置、35、35a乃至35dはトナーカートリッジ、40は露光ユニット、41はユニットケース、42はポリゴンミラー、51は一次転写装置、52は二次転写装置、53はベルトクリーニング装置、61は送出しロール、62は搬送ロール、63は位置合わせロール、66は定着装置、67は排出ロール、68は排紙部、71は手差し供給装置、72は送出しロール、73は両面記録用ユニット、74は案内ロール、76は搬送路、77は搬送ロール、230は中間転写ベルト、231、232は支持ロール、521は二次転写ロール、531はクリーニングブレードを表す。
ここで、感光体ユニット30は、例えば感光体ドラム31と、この感光体ドラム31を予め帯電する帯電装置(帯電ロール)32と、感光体ドラム31上の残留トナーを除去するクリーニング装置34とを一体的にサブカートリッジ化したものである。
尚、感光体ユニット30を現像ユニット33から切り離して単独のプロセスカートリッジとしてもよいことは勿論である。また、図4中、符号35(35a乃至35d)は各現像ユニット33に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである(トナー補給経路は図示せず)。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流作像ユニット22aの上流側にはベルトクリーニング装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去する。尚、ベルトクリーニング装置53で用いられるクリーニングブレード531として、本実施形態のクリーニングブレードが用いられている。
更にまた、本体ハウジング21には両面記録用ユニット73が付設されており、この両面記録用ユニット73は、記録媒体の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、片面記録済みの記録媒体を排出ロール67を逆転させ、かつ、入口手前の案内ロール74にて内部に取り込み、搬送ロール77にて内部の記録媒体戻し搬送路76に沿って記録媒体を搬送し、再度位置合わせロール63側へと供給するものである。
図5は、本実施形態のクリーニング装置の一例を示す模式断面図であり、図4中に示すクリーニング装置34と共にサブカートリッジ化された感光体ドラム31、帯電ロール32や、現像ユニット33も示した図である。
図5中、32は帯電ロール(帯電装置)、331はユニットケース、332は現像ロール、333はトナー搬送部材、334は搬送パドル、335はトリミング部材、341はクリーニングケース、342はクリーニングブレード、344はフィルムシール、345は搬送部材を表す。
現像に際しては、現像ロール332に現像剤を供給した後、例えばトリミング部材335にて現像剤を層厚規制した状態で、感光体ドラム31に対向する現像領域に搬送される。
一方、各作像ユニット22(22a乃至22d)において、感光体ドラム31上の残留トナーはクリーニング装置34にて清掃され、また、中間転写ベルト230上の残留トナーはベルトクリーニング装置53にて清掃される。
こうした作像過程において、夫々の残留トナーはクリーニング装置34、ベルトクリーニング装置53によって清掃される。
−炭素含有領域を有さない基材の作製−
まず、ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル205、平均分子量529、水酸基価212KOHmg/g)およびポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル240、平均分子量4155、水酸基価27KOHmg/g)と、をポリオール成分のソフトセグメント材料として用いた。また、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂(綜研化学社製、アクトフローUMB−2005B)をハードセグメント材料として用い、上記ソフトセグメント材料およびハードセグメント材料を8:2(質量比)の割合で混合した。
次に、このソフトセグメント材料とハードセグメント材料との混合物100部に対して、イソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、ミリオネートMT)を6.26部加えて、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させた。尚、この反応で使用したイソシアネート化合物量は、反応系に含まれる水酸基に対するイソシアネート基の比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるよう選択したものである。
続いて、上記イソシアネート化合物を更に34.3部加え、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させて、プレポリマーを得た。尚、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56部であった。
次に、このプレポリマーを100℃に昇温し、減圧下で1時間脱泡した。その後、プレポリマー100部に対して、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物(質量比=60/40)を7.14部加え、3分間泡を巻きこまないよう混合し、基材形成用組成物Aを調製した。
パルスプラズマイオン注入法により、前記基材Aの被接触部材との接触側にsp3結合を有する炭素をイオン注入して炭素含有領域を形成し、且つその炭素含有領域の外側(被接触部材との接触表面)に炭素層を製膜した。以下に具体的なパルスプラズマイオン注入の方法を説明する。
基材Aに対し、メタンガスのプラズマ中にて高電圧パルス(15kV以上35kV以下)を印加することで、基材Aに主として炭素イオンをイオン注入した。これにより、炭素イオンがゴムからなる基材Aの炭素同士の結合または炭素と水素との結合を切り、ゴム中の炭素または水素と置換される。その結果、基材Aから少なくとも0.1μm以上深さまで炭素原子が注入された炭素含有領域が形成される。
ここで、炭素含有領域の浸透を高めるためガス圧を高くし(0.5Pa以上2Pa以下の範囲)、高電圧パルスの繰り返し数を可能な限り高くする(2000pps以上10000pps以下)。次に、メタンガスのプラズマ中でパッキン本体に印加する低電圧パルス(2kV以上5kV以下)を少なくとも1回印加する。これにより、基材Aの炭素含有領域の表面に炭素層が形成される。なお、前記イオン注入プロセスの前にパルスプラズマによる表面調整プロセスを設けてもよい。
実施例1で作製した基材Aに対し炭素含有領域および炭素層を形成せず、そのまま用いた。
実施例1で作製した基材Aに対し炭素含有領域および炭素層を形成せず、且つ被接触部材との接触側にイソシアネートによる硬化処理を施した。尚、特開2013−80077号の段落〔0039〕乃至〔0049〕に記載の方法によりイソシアネートによる硬化処理を施した。
硬化処理を施す具体的行程について述べる。基材Aにイソシアネート化合物を含浸させる方法としては、まず、ポリイソシアネート化合物が液状である温度とし、その中に基材Aを浸した。尚、浸漬した後のポリイソシアネート化合物の温度も同様に、そのポリイソシアネート化合物が液状である温度が好ましい。こうして、ポリイソシアネート化合物をウレタンに含浸させ、ウレタン表面に残存するポリイソシアネート化合物を拭き取る。その後含浸されたポリイソシアネート化合物とポリウレタンゴムとの反応を進行させることで、硬化処理を施した。
比較例1で作製した、イソシアネートによる硬化処理を施した基材に対し、更に実施例1で行ったパルスプラズマイオン注入を行い、炭素含有領域および炭素層を形成した。
−被接触部材との接触角(エッジ)近傍硬度の測定−
以下の方法により、エッジ近傍の硬度を測定した。
被接触部材と接触する面、つまり先端面3B側からマイクロゴム硬度計(ASKER社製MD−1 capa)にて測定した。
以下の試験を実施し、欠けが発生するまでのサイクル回数を測定した。
ポリイミド樹脂に鉄粉を均一分散させたシートを張り付けたターンテーブル型の衝撃試験機により欠けの発生の有無を検討した。ターンテーブルの回転数は309mm/sec、ブレード接触時の荷重を3gf/mm、接触角度は21度に設定した。300サイクル行ったところ、実施例1および参考例1では欠けが生じなかったものの、比較例1および比較例2では欠けが生じた。
以上の結果から、本実施例に係る摺擦部材によれば、被接触部材との低摺擦性が得られ、且つ欠け発生を抑制しうることが分かった。
Claims (9)
- 少なくとも画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置される摺擦部材であって、
樹脂を全体に含む基材であって、前記被接触部材との接触側から厚み0.1μm以上50μm以下の領域にsp3結合を有する炭素がイオン注入された炭素含有領域を有し、且つ前記炭素含有領域以外の領域は同じ材質で構成される基材を備え、
下記(A)または(B)の何れかの要件を満たす画像形成用摺擦部材。
(A)前記炭素含有領域が前記被接触部材との接触部を構成する
(B)前記炭素含有領域の更に前記被接触部材との接触側表面に、樹脂を含まず且つsp3結合を有する炭素を含む炭素層が成膜され、該炭素層が前記被接触部材との接触部を構成する - 少なくとも画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置される摺擦部材であって、
樹脂を全体に含む基材であって、該樹脂がイソシアネートによる架橋構造を有さず、且つ前記被接触部材との接触側から厚み0.1μm以上50μm以下の領域にsp3結合を有する炭素がイオン注入された炭素含有領域を有する基材を備え、
下記(A)または(B)の何れかの要件を満たす画像形成用摺擦部材。
(A)前記炭素含有領域が前記被接触部材との接触部を構成する
(B)前記炭素含有領域の更に前記被接触部材との接触側表面に、樹脂を含まず且つsp3結合を有する炭素を含む炭素層が成膜され、該炭素層が前記被接触部材との接触部を構成する - 前記(B)の要件を満たす請求項1または請求項2に記載の画像形成用摺擦部材。
- 前記炭素層の厚みが500nm以下である請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の画像形成用摺擦部材。
- 前記基材に含まれる前記樹脂がJIS−Aの硬度85度以下のゴムである請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の画像形成用摺擦部材。
- 前記被接触部材に接触しながら、該被接触部材の表面をクリーニングするクリーニング部材である請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の画像形成用摺擦部材。
- クリーニング部材として請求項6に記載の画像形成用摺擦部材を備えたクリーニング装置。
- 請求項7に記載のクリーニング装置を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。
- 像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、
前記中間転写体上に転写された前記トナー像を記録媒体上に二次転写する二次転写装置と、
前記二次転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記中間転写体の表面に、前記画像形成用摺擦部材を接触させてクリーニングする請求項7に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
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