JP6132606B2 - 杭圧入装置におけるクランプ装置の取付方法 - Google Patents
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Description
杭圧入機は、装置本体と、装置本体の下部に設けられ、既設の杭を掴むクランプ装置と、装置本体の前端部に設けられ、既設の杭に隣接した位置に圧入する杭を挟んで保持するチャック装置とを備えている。また、杭圧入機の装置本体は、クランプ装置が配されたサドルと、サドルに対して前後動可能なスライドベースと、スライドベース上に配されてチャック装置が昇降可能に取り付けられているリーダーマストとを備えている。
そして、杭圧入機は、クランプ装置で既設杭の上端側を掴み、その既設杭から反力を取った状態で杭を把持するチャック装置を降下させるようにして、杭を地中に圧入するようになっている。
この杭圧入機は、クランプ装置間のクランプピッチを切り替えることで、多様な継手ピッチサイズの鋼矢板に対応し、さらにU形鋼矢板及びZ形鋼矢板の双方に対応できるようになっている。
杭圧入機100がU形鋼矢板Puを杭打ちする際、クランプ装置110はU形鋼矢板Puのウエブ部分を把持し、杭圧入機100がZ形鋼矢板Pzを杭打ちする際、クランプ装置110はZ形鋼矢板Pzの継手部分を把持するようになっている。
なお、U形鋼矢板PuとZ形鋼矢板Pzの継手ピッチは、どちらもAであるとする。
また、図7(a)(b)に示すように、杭圧入機100がU形鋼矢板Puを2枚打ちする場合は、杭圧入機100の進行方向の先頭に位置するクランプ装置110が挟持している鋼矢板Puの2枚前にチャック装置15で掴んだ鋼矢板Puを圧入するようになる。このときチャック装置15は、サドル12の前端からストローク量2Aの配置にある。なお、全長Bのサドル12に対し前方にスライド移動したスライドベース13の姿勢を安定させ、好適にスライドベース13およびチャック装置15等を作動させるためには、スライドベース13がサドル12に乗り掛かる範囲の長さとして、例えば、図中に示した最少残り量Cが必要になる。
このとき、U形鋼矢板Puの1枚打ち(図6参照)に比べて、サドル12に対しスライドベース13はA/2の長さ分、前方にスライド移動している。
そのため、図9(a)(b)に示すように、杭圧入機100がZ形鋼矢板Pzを2枚打ちする場合であって、杭圧入機100の進行方向の先頭に位置するクランプ装置110が挟持している鋼矢板Pzの2枚前にチャック装置15で掴んだ鋼矢板Pzを圧入する際、チャック装置15は、サドル12の前端からストローク量2.5Aの配置で作動するので、スライドベース13がサドル12に乗り掛かる範囲の長さは、最少残り量CよりもA/2の長さ分、短くなってしまう。
但し、サドル12に対しスライドベース13をA/2の長さ分、後ろ側にずらした配置にした場合、杭圧入機100が好適にU形鋼矢板Puを1枚打ちできるようにするため、図11(a)(b)に示すように、スライドベース13がサドル12上に収まるように、サドル12を後方にA/2の長さ分、長くする必要が生じる。
杭圧入機100が大型化すると小回りが利きにくくなり、施工性が低下してしまうことがある。
地中に圧入された既設杭の上端側を掴んで支持する複数のクランプ装置によって前記既設杭から反力を取り、昇降可能なチャック装置で杭を把持して下降させることにより前記既設杭に隣接する位置に杭を圧入する杭圧入装置におけるクランプ装置の取付方法であって、
複数の前記クランプ装置は、全て杭圧入装置本体に取り付けられる側の基部と、前記既設杭を挟持する側の先端部とが偏心した形状を有しており、
当該杭圧入装置において杭圧入施工に用いる杭がU形鋼矢板である場合、全ての前記クランプ装置を、前記クランプ装置の前記先端部を前記基部よりも当該杭圧入装置の進行方向の前方に配するように、杭圧入装置本体に取り付け、
当該杭圧入装置において杭圧入施工に用いる杭がZ形鋼矢板である場合、全ての前記クランプ装置を、前記クランプ装置の前記先端部を前記基部よりも当該杭圧入装置の進行方向の後方に配するように、杭圧入装置本体に取り付けることを特徴とする。
当該杭圧入装置において杭圧入施工に用いる杭の継手ピッチをAとした場合、前記基部に対する前記先端部の偏心量は、A/4であることを特徴とする。
特に、クランプ装置11は、掴んで支持した既設杭(Pu)から反力を取って、杭圧入装置10が新たに杭(Pu)を圧入することができるように、杭圧入装置10を既設杭(Pu)の上端部に固定し設置するようになっている。
なお、クランプ装置11が備える固定クランプ爪と可動クランプ爪とからなるクランプ爪や、可動クランプ爪を駆動させる油圧シリンダの構成や動作は周知であるので、ここでは詳述しない。
なお、杭圧入装置10が杭列上を自走する動作は周知であるので、ここでは詳述しない。
図1(a)(b)、図2に示すように、クランプ装置11は、杭圧入装置本体のサドル12に取り付けられる側の基部11aと、杭(Pu)の上端を挟持する側の先端部11bとを有している。このクランプ装置11を側面視した場合、クランク状に曲がり、基部11aと先端部11bとが前後方向にずれた形状を呈している。具体的に、図2に示すように、クランプ装置11の基部11a側の軸(側面視の中心線)と先端部11b側の軸(側面視の中心線)とは前後方向にずれており、クランプ装置11は偏心した形状を有している。
特に、杭圧入装置10において杭圧入施工に用いる杭(Pu,Pz)の継手ピッチをAとした場合、図2に示すように、クランプ装置11の基部11aに対する先端部11bの偏心量は、A/4であることが好ましい。
なお、クランプ装置11の基部11aに対する先端部11bの偏心量は、寸分違わずA/4であることに限定されず、寸法誤差や設計事情等によって略A/4となることがあってもよい。ここでいう略A/4とは、本発明の作用効果を奏する偏心量の範囲を含む。つまり、クランプ装置11の基部11aに対する先端部11bの偏心量は、実質A/4であればよく、本発明の作用効果を奏する偏心量であればよい。
また、クランプ装置11は、サドル12の案内部に沿ってスライド移動させることで、サドル12から取り外すことができ、また容易に取り付けることができる。
そして、サドル12に着脱可能に備えられているクランプ装置11は、クランプ装置11の先端部11bを前方に振った向きと、後方に振った向きとに付け替えることが可能になっている。
つまり、クランプ装置11は、先端部11bが基部11aよりも当該杭圧入装置10の進行方向の前方に配される向きと、先端部11bが基部11aよりも当該杭圧入装置の進行方向の後方に配される向きとに、切り替え可能にサドル12に取り付けられている。
このクランプ装置11の向きを切り替えるように付け替えることで、クランプ装置11に対するサドル15およびチャック装置15の配置を前後に調整することができる。
なお、クランプ装置11の向きを切り替えるように付け替えることと、クランプ装置11に対するサドル15の配置の調整については、後述する。
例えば、クランプ装置11の先端部11bを基部11aよりも当該杭圧入装置10の進行方向の前方に配するように、クランプ装置11の向きを切り替えてサドル12に取り付けることで、クランプ装置11に対するサドル15およびチャック装置15の相対位置を前後に調整して、杭圧入装置10がU形鋼矢板Puの杭打ち施工を行うことに適した配置にクランプ装置11やチャック装置15を配することができるようになる。つまり、杭圧入装置10は、U形鋼矢板Puの杭打ち施工を行うことに適した姿勢になっている。
また、クランプ装置11の先端部11bを基部11aよりも当該杭圧入装置10の進行方向の後方に配するように、クランプ装置11の向きを切り替えてサドル12に取り付けることで、クランプ装置11に対するサドル15およびチャック装置15の相対位置を前後に調整して、杭圧入装置10がZ形鋼矢板Pzの杭打ち施工を行うことに適した配置にクランプ装置11やチャック装置15を配することができるようになる。つまり、杭圧入装置10は、Z形鋼矢板Pzの杭打ち施工を行うことに適した姿勢になっている。
なお、杭圧入装置10がU形鋼矢板Puを杭打ちする際、クランプ装置11はU形鋼矢板Puのウエブ部分を把持し、杭圧入装置10がZ形鋼矢板Pzを杭打ちする際、クランプ装置11はZ形鋼矢板Pzの継手部分を把持するようになっている。
以下に、杭圧入装置10の施工姿勢を具体的に説明する。
杭圧入施工に用いる杭が継手ピッチAのU形鋼矢板Puであり、杭圧入装置10がそのU形鋼矢板Puを杭打ちする際には、図1(a)に示すように、クランプ装置11の先端部11bを基部11aよりも当該杭圧入装置10の進行方向の前方(図中右側)に配するように、クランプ装置11をサドル12に取り付ける。
ここではクランプ装置11の先端部11bを前方に振った向きに、クランプ装置11をサドル12に取り付けていることで、クランプ装置11の先端部11bを基準にしてサドル12を相対的に後ろに下げた状態になっている。なお、クランプ装置11の先端部11bに対してサドル12は、A/4の長さ分、相対的に後ろに下がった配置になっている。
そして、図1(a)(b)に示すように、杭圧入装置10がU形鋼矢板Puを1枚打ちする場合は、杭圧入装置10の進行方向の先頭に位置するクランプ装置11が挟持しているU形鋼矢板Puの1枚前にチャック装置15で掴んだU形鋼矢板Puを圧入するようになる。このときチャック装置15は、サドル12の前端からストローク量Aの配置にある。なお、ここでいう「ストローク量」とは、チャック装置15による杭の圧入中心とサドル12の前端との距離に相当する。
具体的に、杭圧入装置10がU形鋼矢板Puを1枚打ちする場合、チャック装置15はサドル12の前端からストローク量Aの配置で作動し、杭圧入装置10がU形鋼矢板Puを2枚打ちする場合、チャック装置15はサドル12の前端からストローク量2Aの配置で作動する。また、杭圧入装置10がU形鋼矢板Puを2枚打ちする場合、サドル12に対し前方にスライド移動したスライドベース13は、最少残り量Cでサドル12に乗り掛かり、安定した姿勢を維持している。
杭圧入施工に用いる杭が継手ピッチAのZ形鋼矢板Pzであり、杭圧入装置10がそのZ形鋼矢板Pzを杭打ちする際には、図4(a)に示すように、クランプ装置11の先端部11bを基部11aよりも当該杭圧入装置10の進行方向の後方(図中左側)に配するように、クランプ装置11をサドル12に取り付ける。
ここではクランプ装置11の先端部11bを後方に振った向きに、クランプ装置11をサドル12に取り付けていることで、クランプ装置11の先端部11bを基準にしてサドル12を相対的に前に出した状態になっている。なお、クランプ装置11の先端部11bに対してサドル12は、A/4の長さ分、相対的に前に出た配置になっている。
そして、図4(a)(b)に示すように、杭圧入装置10がZ形鋼矢板Pzを1枚打ちする場合は、杭圧入装置10の進行方向の先頭に位置するクランプ装置11が挟持しているZ形鋼矢板Pzの1枚前にチャック装置15で掴んだZ形鋼矢板Pzを圧入するようになる。このときチャック装置15は、サドル12の前端からストローク量Aの配置にある。
具体的に、杭圧入装置10がZ形鋼矢板Pzを1枚打ちする場合、チャック装置15はサドル12の前端からストローク量Aの配置で作動し、杭圧入装置10がZ形鋼矢板Pzを2枚打ちする場合、チャック装置15はサドル12の前端からストローク量2Aの配置で作動しており、従来技術の杭圧入機100に比べて、それぞれストローク量が0.5A短くなっている。つまり、本発明に係る杭圧入装置10が、U形鋼矢板Puを1枚打ちする場合も、Z形鋼矢板Pzを1枚打ちする場合も、チャック装置15はサドル12の前端からストローク量Aの配置で作動する。また、杭圧入装置10が、U形鋼矢板Puを2枚打ちする場合も、Z形鋼矢板Pzを2枚打ちする場合も、チャック装置15はサドル12の前端からストローク量2Aの配置で作動する。
特に、杭圧入装置10がZ形鋼矢板Pzを2枚打ちする場合、サドル12に対し前方にスライド移動したスライドベース13は、最少残り量Cでサドル12に乗り掛かり、安定した姿勢を維持している。つまり、Z形鋼矢板Pzの2枚打ちの際、従来技術の杭圧入機100に比べて、杭圧入装置10のスライドベース13は、A/2の長さ分長くサドル12に乗り掛かっている。
これは、クランプ装置11の基部11aに対する先端部11bの偏心量をA/4にしたことで、クランプ装置11の先端部11bを前方に振った向き(図1(a)参照)でのサドル12の配置に対し、クランプ装置11の先端部11bを後方に振った向き(図4(a)参照)でのサドル12の配置を、クランプ装置11の偏心量の2倍のA/2の長さ分、相対的に前側に切り替えることを可能にしたことによる。つまり、クランプ装置11の先端部11bを後方に振った向きでのサドル12の配置を、クランプ装置11の偏心量の2倍のA/2の長さ分、相対的に前側に切り替えることで、前方に移動するチャック装置15のストローク量をA/2短くすることを可能にした。
その結果、杭圧入装置10が、U形鋼矢板Puを杭打ちする際も、Z形鋼矢板Pzを杭打ちする際も、サドル12に対し前方にスライド移動したスライドベース13は、最少残り量Cでサドル12に乗り掛かることが可能になるので、従来技術のように、サドル12に対しスライドベース13をA/2の長さ分後ろ側にずらした配置(図10(a)参照)にすることや、それに応じてスライドベース13がサドル12上に収まるように、サドル12を後方にA/2の長さ分長くする(図11(a)参照)必要がない。
従って、本発明に係る杭圧入装置10であれば、装置を大型化せずに、U形鋼矢板Pu及びZ形鋼矢板Pzの双方に対応する圧入施工を行うことができる。
また、従来技術に比べて、ストローク量を短くすること、特に、Z形鋼矢板Pzを杭打ちする際のストローク量を短くすることで、スライドベース13やサドル12に生じる負荷を軽減することができる。
11 クランプ装置
11a 基部
11b 先端部
12 サドル
13 スライドベース
14 リーダーマスト
15 チャック装置
Pu U形鋼矢板(杭、既設杭)
Pz Z形鋼矢板(杭、既設杭)
Claims (2)
- 地中に圧入された既設杭の上端側を掴んで支持する複数のクランプ装置によって前記既設杭から反力を取り、昇降可能なチャック装置で杭を把持して下降させることにより前記既設杭に隣接する位置に杭を圧入する杭圧入装置におけるクランプ装置の取付方法であって、
複数の前記クランプ装置は、全て杭圧入装置本体に取り付けられる側の基部と、前記既設杭を挟持する側の先端部とが偏心した形状を有しており、
当該杭圧入装置において杭圧入施工に用いる杭がU形鋼矢板である場合、全ての前記クランプ装置を、前記クランプ装置の前記先端部を前記基部よりも当該杭圧入装置の進行方向の前方に配するように、杭圧入装置本体に取り付け、
当該杭圧入装置において杭圧入施工に用いる杭がZ形鋼矢板である場合、全ての前記クランプ装置を、前記クランプ装置の前記先端部を前記基部よりも当該杭圧入装置の進行方向の後方に配するように、杭圧入装置本体に取り付けることを特徴とする杭圧入装置におけるクランプ装置の取付方法。 - 当該杭圧入装置において杭圧入施工に用いる杭の継手ピッチをAとした場合、前記基部に対する前記先端部の偏心量は、A/4であることを特徴とする請求項1に記載の杭圧入装置におけるクランプ装置の取付方法。
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