JP6128924B2 - 高周波ノイズ対策用電源回路 - Google Patents
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Description
図8は、導体配線(電源配線)1aと1b間にコンデンサ2が接続された部分の回路図である。コンデンサは何らかの原因で故障すると、コンデンサの種類によっては導通状態、つまりショートモード故障が起きることがある。電源配線の線間に高周波ノイズのバイパス用としてコンデンサを配置する場合、このコンデンサがショートモード故障した場合には電源配線間がショートし、この電源配線に接続された機器が停止あるいは故障する可能性がある。
コンデンサを直列に接続する場合、例えば表面実装タイプのコンデンサの持つESL(等価直列インダクタンス。通常は0.5nH〜1nH)と、コンデンサ間を接続する配線のインダクタンス(長さ1mmで約1nH)がコンデンサの個数分だけ加算される。例えば、2個の表面実装コンデンサを長さ5mmの配線で直列接続する場合、全体の実効インダクタンスは6nH程度となり、コンデンサ1個の場合に比べて実効インダクタンスが10倍程高くなる。このように、コンデンサを複数直列に接続すると実効インダクタンスが高くなり、高周波ノイズのバイパス効果が減少する。
以上のことにより、線間ショート防止を目的として複数のコンデンサを直列接続する場合、図12に示すようにコンデンサ2a,2bを互いに逆方向の電流が流れるように導体配線1aと1b間に配置することで、コンデンサの実効インダクタンスを低減する構成が得られる。
ところが、電源配線間にコンデンサを前記のように配置するためには、電源配線間の距離を離さなければならない。そのため、電源線間の容量結合が小さくなって高周波ノイズのバイパス効果が減少し、さらに、電流のループ面積が大きくなることで電磁ノイズの漏洩が大きくなり、また、外部からのノイズの影響を受けやすくなるという問題があった。
さらに、電源配線間にコンデンサを前記のように配置するためには、電源配線からコンデンサに接続するための配線を伸ばさなければならない。そのため、伸ばした配線のインダクタンスにより高周波ノイズのバイパス効果が低くなるという問題があった。
絶縁基板の一表面に対を成して近接し、平行に配置された導電材料により、板状で幅広に形成された第1及び第2の導体配線と、
この第1及び第2の導体配線の中間部分で互いに向き合うよう凹状に切欠きされた空間部と、
第1のコンデンサと第2のコンデンサと第3の導体配線とを有して構成され、前記第1のコンデンサは、始端端子が前記第1の導体配線に接続され、終端端子が前記第3の導体配線に接続され、前記第2のコンデンサは、始端端子が前記第2の導体配線に接続され、終端端子が前記第3の導体配線に接続され、前記第1のコンデンサを流れる電流の方向が前記第2のコンデンサを流れる電流の方向に対して180°逆向きとなるように前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサが並行に配置されることで、前記第1のコンデンサ、前記第3の導体配線、前記第2のコンデンサによる経路がコの字型構成に配置された直列コンデンサ回路を備え、
この直列コンデンサ回路は前記空間部内に配置された構成とされる。
絶縁基板の表面に対を成して配置され、近接した導体配線の中間部分の互いに向き合う凹状の切欠き部を形成して空間部を形成し、複数のコンデンサを2分割し、その2分割されたそれぞれ同数のコンデンサは同一端子が同一方向を向くように配置し、かつそれぞれが直列接続され、2分割された直列接続のコンデンサ列の始端端子はそれぞれ前記第1及び第2の導体配線に接続され、それぞれ終端端子間は第3の導体配線で接続されてコの字型構成の直列コンデンサ回路が前記空間部に配置される構成にされたので、複数のコンデンサの同数は逆方向の電流が流れる直列接続される構成で、導体配線とコンデンサ間の配線長を短く実装することが可能となる。また、電源配線である導体配線間を近接構造とすることができ、複数個のコンデンサを直列接続した高周波バイパス効果を高めるため構成を実現することができる。
図1を用いて本発明の実施の形態1による高周波ノイズ対策用電源回路を説明する。図1は本発明の実施の形態1の高周波ノイズ対策用電源回路を上面から見た平面図である。図中の1a、1bは絶縁基板6上に形成された第1、第2の導体配線で電源配線を形成する。1cは絶縁基板6上に形成された第3の導体配線、2a、2bは2個のコンデンサ、3は第1、第2の導体配線1a、1b間に設けられた空間部である。
図1による実施の形態1は、絶縁基板6上に対を成して平行に配置され近接した第1、第2の導体配線1aと1bに対し、2個のコンデンサ2aと2bが空間部3に配置され、かつ第1、第2の導体配線1aと1bの線間に直列接続された構造を示している。
第1、第2の導体配線1a及び1bは絶縁基板6の一表面に対を成して近接し、平行に配置された導電材料により、板状で幅広に形成されており、その導体配線の中間部分でそれぞれ互いに向き合うよう凹状に切欠きされて空間部3を形成する。
第3の導体配線1cは前記空間部3内に配置され、2個のコンデンサ2a、2bの第1、第2の導体配線1a及び1bに接続される端子と反対側の端子を接続し、この2個のコンデンサ2a、2bの配置がコの字型にされるよう直列コンデンサ回路を形成する。
また、言うまでもなく、第1、第2の導体配線1aと1bの中間を凹状に切欠きされた空間部3は、第1、第2の導体配線1aと1b及び第3の導体配線1cが電気的に絶縁される距離が取れるような大きさに空間が形成される。
従って、実施の形態1により、対を成して配置され、近接した導体配線間に、上記コの字型に平行配置してコンデンサ2個または複数を直列接続する構成で、導体配線とコンデンサ間の配線長を短くする実装が可能となる。よって、電源配線間の近接構造を保ったまま、コンデンサを直列接続した直列コンデンサ回路構成を高周波バイパス効果を高めるためにコの字型に配置する構成を実現できる。
また、実施の形態1では、図2に示すように、コンデンサ2aと2b間を最短距離で接続するように第3の導体配線1cを直線状に配置した構造も含むものとする。
図3を用いて本発明の実施の形態2による高周波ノイズ対策用電源回路を説明する。図3は本発明の実施の形態2を上面から見た平面図である。図中の1a、1b、1cは第1、第2、第3の導体配線、1e、1fは第1、第2の導体配線の拡張部、2a、2bはコンデンサ、3は第1、第2の導体配線1a、1b間の空間部である。
図3は実施の形態1において第1の導体配線1aと第2の導体配線1bの凹状切欠き部の細くなっている部分を、空間部3に対して外向きに大略切欠き幅と同じ幅を広げて拡張部分1eと1fとした構造を示している。その他の部位についての説明は、実施の形態1と同じなので省略する。
以上のように、実施の形態2は、実施の形態1に対して第1、第2の導体配線1a、1bが拡張部1eと1fを有している。
なお、実施の形態2では、第1の導体配線1aと第2の導体配線1bの拡張部1eと1fは外側に幅を広げる構造としているが、拡張部は第1の導体配線1aと第2の導体配線1bの切欠き部分の厚みを増す構造も含むものとする。即ち、第1の導体配線1aと第2の導体配線1bの切欠き部分の導体の体積を、この切欠き部と同じ長さの他の部分と同じ体積とすることで、耐電流量を高めることができる。
また、実施の形態2では、第1の導体配線1aと第2の導体配線1bの拡張部1eと1fは長方形としているが、拡張部1eと1fをより長くした形状や、長方形以外の形状も含むものとする。
図4を用いて本発明の実施の形態3による高周波ノイズ対策用電源回路を説明する。図4は本発明の実施の形態3を上面から見た平面図である。図中の1a、1b、1cは第1、第2、第3の導体配線、2a、2bはコンデンサ、3は第1、第2の導体配線1a、1b間の空間部、4a、4bはそれぞれ第1の導体配線1aと第2の導体配線1bに形成された切込み形状部である。切込み形状部4a、4bは第1の導体配線1aと第2の導体配線1bのコンデンサ2aと2bのそれぞれの接続部分で、第1の導体配線1aと第2の導体配線1bに対して外側から内側向きの三角形の切込み形状を有した構造とされる。その他の部位についての説明は、実施の形態1と同じなので省略する。
以上のように、実施の形態3は、実施の形態1に対して第1の導体配線1aと第2の導体配線1bに、そのコンデンサ2aと2bのそれぞれの接続部分で切込み形状部4aと4bを有している。
従って、実施の形態3により、実施の形態1が有する作用に加え、高周波ノイズのバイパス効果を高める構造が得られる。
図5、図6、図7を用いて本発明の実施の形態4による高周波ノイズ対策用電源回路を説明する。図5は本発明の実施の形態4を第1の導体配線1aの面から見た図であり、図6は第2の導体配線1bの面から見た図であり、図7は図5または図6のY−Y' 断面図である。図中の1a、1b、1c、1dは第1、第2、第3、第4の導体配線、2a、2bはコンデンサ、3aは第1の導体配線1aの一端寄りに第1の導体配線1aが所定の広さに刳り抜かれた空間部、3bはこの空間部3aと同じ端部寄りの第2の導体配線1bに所定の広さで第2の導体配線1bが刳り抜かれた空間部、5はスルーホール、6は絶縁基板である。
第1の導体配線1aに設けられた空間部3aは、第1の導体配線1aと第3の導体配線1cが電気的に絶縁される距離が取れるような大きさに第1の導体配線1aを刳り抜いた形状としている。また、第2の導体配線1bに設けられた空間部3bは、第1の導体配線1aの刳り抜き形状、すなわち空間部3aに対向する形状としている。
以上により、実施の形態4は、第1の導体配線1aからコンデンサ2a、第3の導体配線1c、スルーホール5、第4の導体配線1b、コンデンサ2b、第2の導体配線1dまでの経路をコの字型に配置し、コンデンサ2aの第1の導体配線1aに接続する端子、及びコンデンサ2bの第2の導体配線1bに接続する端子が同一の方向、すなわちコンデンサ2aを流れる電流の方向がコンデンサ2bを流れる電流の方向に対して180°逆向きとなるように、コンデンサ2aと2bを対向させて配置する直列コンデンサ回路構造を有している。
従って、実施の形態4により、絶縁基板6の絶縁体層を挟んで対向して配置された電源配線(導体配線)間にコンデンサ2個または複数を直列接続する場合、コンデンサをそれぞれ空間部3a、3bに配置し、コンデンサの直列回路をコの字型に配置構成することで、導体配線とコンデンサ間の配線長を短くする実装が可能となり、電源配線(第1、第2の導体配線)間の近接構造を保ったまま、コンデンサを直列接続して高周波バイパス効果を高めるための構成が実現できる。
また、実施の形態4では、第1の導体配線1aと第2の導体配線1bは同一の幅を持つ配線としているが、空間部3bが空間部3aに対向する刳り抜き形状であるならば、幅が異なる、あるいは少なくとも一方の導体配線をベタ導体とする構成も含むものとする。
Claims (4)
- 絶縁基板の一表面に対を成して近接し、平行に配置された導電材料により、板状で幅広に形成された第1及び第2の導体配線と、
この第1及び第2の導体配線の中間部分で互いに向き合うよう凹状に切欠きされた空間部と、
第1のコンデンサと第2のコンデンサと第3の導体配線とを有して構成され、前記第1のコンデンサは、始端端子が前記第1の導体配線に接続され、終端端子が前記第3の導体配線に接続され、前記第2のコンデンサは、始端端子が前記第2の導体配線に接続され、終端端子が前記第3の導体配線に接続され、前記第1のコンデンサを流れる電流の方向が前記第2のコンデンサを流れる電流の方向に対して180°逆向きとなるように前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサが並行に配置されることで、前記第1のコンデンサ、前記第3の導体配線、前記第2のコンデンサによる経路がコの字型構成に配置された直列コンデンサ回路を備え、
この直列コンデンサ回路が前記空間部内に配置されてなることを特徴とする高周波ノイズ対策用電源回路。 - 前記第1及び第2の導体配線の凹状に切欠きされた部分に対して、この切欠き部と同じ長さの他の部分と同じ体積となる様に、前記空間部に対して外向きに拡張部を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の高周波ノイズ対策用電源回路。
- 前記第1及び第2の導体配線の、両導体配線とコンデンサ列が接続される部分に、外側から内側に向かって切込み形状部を形成したことを特徴とする、請求項1に記載の高周波ノイズ対策用電源回路。
- 絶縁基板の表裏両面にそれぞれ導電材料により、平行に配置された板状で幅広に形成された第1及び第2の導体配線と、
この第1及び第2のそれぞれの導体配線の一端寄りに導体配線が所定の広さに刳り抜かれた空間部と、
この表裏両面の第1及び第2の導体配線の空間部内に設けられ、同一端子が同じ方向を向くようそれぞれ第1及び第2の導体配線に接続されて配置される複数のコンデンサと、
表裏両面の第1及び第2の導体配線の空間部に設けられ、それぞれのコンデンサの他端に接続され、かつ絶縁基板の表裏を貫くスルーホールによって表裏両面が導通される第3の導体配線を
を備えることを特徴とする高周波ノイズ対策用電源回路。
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