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JP6128621B2 - マイクロベシクルに対する核酸アプタマー - Google Patents

マイクロベシクルに対する核酸アプタマー Download PDF

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Description

本発明は、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーに関する。本発明は、特には、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーを用いてマイクロベシクルを検出する方法、マイクロベシクルを単離する方法、および、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーを含有する薬物送達システムに関する。
マイクロベシクルとは、細胞から分泌される直径約10nm〜約1000nmの大きさの小胞である。その中で、直径が約30〜100nmの大きさであり、かつ、エンドソームに由来するものがエキソソームである。エキソソームは、セラミドを多く含む脂質膜により構成されており、非常に硬い構造を有している。エキソソームは、多胞性エンドソームの中で産生され、多胞性エンドソームが細胞膜と融合することにより細胞外に分泌される。そのため、CD63などのエンドソーム特異的マーカーを膜上に含む。
エキソソームに代表されるマイクロベシクルは、種々の細胞から分泌され、血液、尿、唾液などの体液中に観察される。近年、マイクロベシクルを分泌した細胞に由来するmRNA、マイクロRNA、DNA、タンパク質などの様々な生体分子がマイクロベシクル内に含まれていることが報告され、マイクロベシクルが細胞間の情報伝達に重要な役割を担っている可能性が指摘されている。そのため、マイクロベシクルを体液から単離し、マイクロベシクルに含まれる生体分子情報を解析することにより、疾患の診断に応用しようと研究が盛んに行われている。
マイクロベシクルを検出・単離する従来の方法としては、例えば、超遠心分離法が知られている。しかし、超遠心分離法によりマイクロベシクルを分離する場合には、マイクロベシクルを含有するサンプルを大量に用意する必要があるため、時間と労力を要するという問題がある。また、超遠心分離を実施するための設備が必要となり、経済的にもコストがかかる。エキソソームを検出・単離する従来の方法としては、エキソソームに特異的な抗原を認識する抗体を用いる方法が知られている。しかし、エキソソームに特異的な抗原にはCD63など限られたものしかない上、抗体を作製するためには多大な時間的・経済的コストがかかるという問題がある。
また、近年では、体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御し、治療対象となる組織や細胞のみに薬物を作用させ、薬物の効果を最大限発揮させるための薬物送達システム(ドラッグデリバリーシステム、DDS)の研究が行われている。従来の薬物送達システムとしては、例えば、リポソームを用いた方法(非特許文献1)、ナノパーティクルを用いた方法(非特許文献2)などが知られている。しかし、これらの手法の場合、薬物は主に肝臓へと送達され、目的とする標的組織への送達が難しい。さらに、人工脂質を用いているため、細胞毒性が問題となる。
一方、マイクロベシクルは、生体物質から構成されているため細胞毒性がなく、安定な構造を有する膜小胞であり、薬物送達システムに適している。そのため、マイクロベシクルに薬物を結合させることができれば、目的とする標的組織や疾患部位、がん腫瘍などへの薬物送達が可能になると考えられており(非特許文献3)、マイクロベシクルを用いた薬物送達システムの開発に期待が寄せられている。
J.Control.Release, Vol.158, pp.362−370, 2012 Biomaterials, Vol.33, pp.7138−7150, 2012 Bioassays, Vol.33, pp.737−741, 2011
本発明は、このような従来技術の諸問題を解消するためになされたものであり、マイクロベシクルに対して優れた結合能を有し、安定性が高く、かつ、様々な用途に加工性の優れた核酸アプタマーを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーを得ることに成功した。
すなわち、本発明は、一実施形態によれば、塩基配列:5’−X−M−X−3’(ここで、Mは、YRCGGHGGWRWKGGGRN(配列番号207)と80%以上の同一性を有する塩基配列であり、Yは、CまたはTもしくはUであり、Rは、それぞれ独立に、AまたはGであり、Hは、A、CまたはTもしくはUであり、Wは、それぞれ独立に、AまたはTもしくはUであり、Kは、GまたはTもしくはUであり、Nは、それぞれ独立に、A、C、GまたはTもしくはUであり、XおよびXは、それぞれ0〜50個のヌクレオチドを表し、かつ、XおよびXは相補的に結合して0〜50塩基対のステムを形成する)を含む、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーを提供するものである。
前記Mは、配列番号207と90%以上の同一性を有する塩基配列であることが好ましい。
前記Mは、配列番号207に示される塩基配列であることが好ましい。
また、本発明は、一実施形態によれば、塩基配列:5’−X−(N)−M−(N)−X−3’(ここで、Mは、RRRDDRNDRGRKW(配列番号208)またはRVDDGGGHTCTAC(配列番号211)と80%以上の同一性を有する塩基配列であり、Rは、それぞれ独立に、AまたはGであり、Dは、それぞれ独立に、A、GまたはTもしくはUであり、Nは、A、C、GまたはTもしくはUであり、Kは、GまたはTもしくはUであり、Wは、AまたはTもしくはUであり、Vは、A、CまたはGであり、Hは、A、CまたはTもしくはUであり、mは、0から20までのいずれかの整数であり、nは、0から20までのいずれかの整数であり、XおよびXは、それぞれ0〜50個のヌクレオチドを表し、かつ、XおよびXは相補的に結合して0〜50塩基対のステムを形成する)を含む、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーを提供するものである。
前記Mは、配列番号208または配列番号211と90%以上の同一性を有する塩基配列であることが好ましい。
前記Mは、配列番号208または配列番号211に示される塩基配列であることが好ましい。
前記ステムは、ミスマッチまたはバルジを含むことができる。
前記Mまたは前記MがGカルテット構造を形成することが好ましい。
また、本発明は、一実施形態によれば、(a)配列番号107〜206からなる群から選択される塩基配列、または、(b)配列番号107〜206からなる群から選択される塩基配列において、1〜5個の塩基が置換、欠失、挿入または付加された塩基配列、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーを提供するものである。
前記核酸アプタマーは、3’および/または5’末端が修飾されていることが好ましい。
前記マイクロベシクルは、直径が10〜200nmのものであることが好ましい。
前記マイクロベシクルは、エキソソームであることが好ましい。
また、本発明は、別の実施形態によれば、上記核酸アプタマーを用いてマイクロベシクルを検出する方法およびマイクロベシクルを単離する方法、ならびに、上記核酸アプタマーを含む薬物送達システムを提供するものである。
本発明に係るマイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーは、既存の抗マイクロベシクル抗体と同等またはそれ以上の高い結合能を有し、既存の抗マイクロベシクル抗体の代替物としての使用が可能である。また、核酸を原料としているため、(1)化学合成が容易であり、安価に大量に調製することが可能である、(2)アプタマー自身の抗原性が低く、安全性が高い、(3)安定性が高く、長期保存が可能である、(4)修飾核酸を用いることにより、アプタマーのさらなる改良が容易である、といった点で抗体よりも優れている。さらに、核酸アプタマーの場合、抗体を作製できない抗原性の低いエピトープをも標的として調製することができるため、既存の抗マイクロベシクル抗体よりも優れた結合能を有する核酸アプタマーを調製できる可能性がある。
また、本発明に係るマイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーは、マイクロベシクルの検出および単離、ならびに薬物送達システムのために使用し得る。また、本発明に係るマイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーは、マイクロベシクルに対して結合能を有する新規の核酸アプタマーについてさらなるスクリーニングを行う際、ブロッキング剤として使用することができる。
SELEX法により選択されたアプタマーについて、保存されたモチーフ配列をMEME Suiteにより検索した結果を示す図である。 Sプールから濃縮されたアプタマーの配列整列を示す図である。 Kプールから濃縮されたアプタマーの配列整列を示す図である。 配列番号114のアプタマーについて、二次構造を予測した結果を示す図である。 配列番号159のアプタマーについて、二次構造を予測した結果を示す図である。 SモチーフアプタマーまたはKモチーフアプタマーとマイクロベシクルとの結合を確認したフィルターバインディングアッセイの結果を示す図である。 Sモチーフアプタマーのマイクロベシクルに対する結合能を評価したドットブロットの結果を示す図である。 Sモチーフアプタマーと293T細胞由来のマイクロベシクルとの結合を示すセンサーグラムである。 SモチーフアプタマーとHeLa S3細胞由来のマイクロベシクルとの結合を示すセンサーグラムである。 Kモチーフアプタマーと293T細胞由来のマイクロベシクルとの結合を示すセンサーグラムである。 KモチーフアプタマーとHeLa S3細胞由来のマイクロベシクルとの結合を示すセンサーグラムである。 トリス/ナトリウム/カルシウム/マグネシウムバッファーに種々の量の塩化カリウムを加えたときの、SモチーフアプタマーのCDスペクトルである。 トリス/ナトリウム/カルシウム/マグネシウムバッファーに種々の量の塩化カリウムを加えたときの、KモチーフアプタマーのCDスペクトルである。 トリスバッファーに種々の量の塩化カリウムを加えたときの、SモチーフアプタマーのCDスペクトルである。 トリスバッファーに種々の量の塩化カリウムを加えたときの、KモチーフアプタマーのCDスペクトルである。 トリス/ナトリウム/カルシウム/マグネシウム/カリウムバッファーにおける、Sモチーフアプタマーの融解温度測定試験の結果を示す図である。 トリス/ナトリウム/カルシウム/マグネシウム/カリウムバッファーにおける、Kモチーフアプタマーの融解温度測定試験の結果を示す図である。 トリス/カリウムバッファーにおける、Sモチーフアプタマーの融解温度測定試験の結果を示す図である。 トリス/カリウムバッファーにおける、Kモチーフアプタマーの融解温度測定試験の結果を示す図である。 SモチーフアプタマーまたはKモチーフアプタマーと293T細胞由来のマイクロベシクルとの結合能に対するカリウムイオンの影響を確認した図である。 マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーの立体構造の予測図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。
本発明は、第一の態様によれば、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーである。以降、本明細書では、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマーを「マイクロベシクル結合性核酸アプタマー」と記載する。
「核酸アプタマー」とは、高い親和性で標的分子と特異的に結合できるオリゴ核酸を意味する。オリゴ核酸の長さは、特に限定されないが、好ましくは10〜200塩基であり、より好ましくは17〜100塩基であり得る。核酸アプタマーは、短いものの方が容易かつ安価に製造でき、安定性も高いため、好ましい。しかし、核酸アプタマーの長さが10塩基より短いと、マイクロベシクルに対する結合能を維持できなくなる場合がある。
アプタマーを構成する核酸は、例えば、DNA、RNA、LNA(Locked Nucleic Acid)、ペプチド核酸(PNA)、人工核酸(Kimoto,M., et al., Nat.Biotechnol., Vol.31, No.5, pp.453−457, 2013)、修飾核酸(例えばアミノ酸側鎖を付加したもの)などであってよく、部分的にこれらの核酸を混合したものであってもよい。各核酸は、必要に応じてフッ素やメチル基などにより修飾された塩基を含んでいてもよいし、リン酸部分にチオ化などの修飾を含んでいてもよい。なお、本明細書では、アプタマーを構成する核酸をRNAとして説明するが、適宜、DNAなどの他の核酸に読み替えることができる。また、その際、チミン(T)とウラシル(U)は適宜相互に置換され得る。
「マイクロベシクル」とは、細胞から分泌される脂質二重膜小胞のうち、直径が約10nm〜約1000nmの大きさのものを意味する。マイクロベシクルは、例えば培養細胞から培養液中に分泌されたものであってもよいし、生体内の細胞から血液などの体液中に分泌されたものであってもよい。マイクロベシクルを分泌する細胞は、特に限定されないが、例えば樹状細胞、T細胞、B細胞、上皮細胞、上皮細胞、神経細胞、脳血液関門上皮細胞、腫瘍細胞、腫瘍幹細胞、iPS細胞、ES細胞、幹細胞などであってよい。また、これらの細胞は、いかなる動物種由来のものであってよい。
第一の実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、塩基配列:5’−X−M−X−3’(ここで、Mは、YRCGGHGGWRWKGGGRN(配列番号207)と80%以上の同一性を有する塩基配列であり、Yは、CまたはTもしくはUであり、Rは、それぞれ独立に、AまたはGであり、Hは、A、CまたはTもしくはUであり、Wは、それぞれ独立に、AまたはTもしくはUであり、Kは、GまたはTもしくはUであり、Nは、それぞれ独立に、A、C、GまたはTもしくはUであり、XおよびXは、それぞれ0〜50個のヌクレオチドを表し、かつ、XおよびXは相補的に結合して0〜50塩基対のステムを形成する)を含む。上記アプタマーは、Mはループ部分とする構造を有し、マイクロベシクルに対し高い結合親和性を有する。また、一般に、標的分子に対する高い結合親和性を有する核酸アプタマーとして取得された配列については、変異を導入し、さらなる塩基配列の最適化を行うことが可能である。すなわち、Mについて、80%以上の同一性を有する範囲で変異を導入し、塩基配列の最適化を行った核酸アプタマーも、Mをループ部分とするアプタマーと同等またはそれ以上の、マイクロベシクルに対する高い結合親和性を有する。「80%以上の同一性」とは、2つの塩基配列を整列比較した場合に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%の塩基が同一である塩基配列を意味する。本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、配列番号207に示される塩基配列と、好ましくは80%、より好ましくは90%、特に好ましくは100%の同一性を有する塩基配列を含む。なお、最適化のために導入される変異は、1〜数個の塩基の欠失または挿入を含んでもよい。最適化により欠失または挿入される塩基の数は、特に限定されないが、好ましくは5塩基以内、4塩基以内、3塩基以内であり、特に好ましくは2塩基または1塩基である。
第一の実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーのXとXには、長さ0〜50ヌクレオチドの任意の塩基配列を用いることができる。一般に、核酸アプタマーは、ステムループ構造、グアニン(G)カルテット構造、シュードノット構造、といった立体構造を形成し、この特定の立体構造が、核酸アプタマーの標的分子に対する認識能および結合能を決定することが知られ、核酸アプタマーの立体構造が維持される限り、核酸アプタマーの標的分子に対する認識能および結合能も維持されることが周知である。すなわち、核酸アプタマーのマイクロベシクルに対する認識能および結合能が維持されるためには、Mのループ部分の構造が維持されればよく、また同時に、XとXは、特定の塩基配列には限定されないことが理解される。
とXは、それぞれ長さ0〜50ヌクレオチドの任意の塩基配列であり、かつ、XとXは、相補的に結合して0〜50塩基対のステムを形成する。XとXとは、互いに同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。また、XとXとは、完全に相補的であってもよいし、部分的に相補的であってもよい。ステム部分の長さは、自由に変更することができる。さらに、ステム部分がない場合、すなわちXまたはXが0ヌクレオチドの長さである場合であっても、Mのループ部分が維持されることができ、核酸アプタマーのマイクロベシクルに対する認識能および結合能は維持され得る。本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーのステムの長さは、特に限定されないが、好ましくは、5〜45、10〜40、10〜35、または10〜30塩基対であり、より好ましくは5〜25塩基対であり得る。
第二の実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、塩基配列:5’−X−(N)−M−(N)−X−3’(ここで、Mは、RRRDDRNDRGRKW(配列番号208)またはRVDDGGGHTCTAC(配列番号211)と80%以上の同一性を有する塩基配列であり、Rは、それぞれ独立に、AまたはGであり、Dは、それぞれ独立に、A、GまたはTもしくはUであり、Nは、A、C、GまたはTもしくはUであり、Kは、GまたはTもしくはUであり、Wは、AまたはTもしくはUであり、Vは、A、CまたはGであり、Hは、A、CまたはTもしくはUであり、mは、9から15までのいずれかの整数であり、nは、0から4までのいずれかの整数であり、XおよびXは、それぞれ0〜50個のヌクレオチドを表し、かつ、XおよびXは相補的に結合して0〜50塩基対のステムを形成する)を含む。上記アプタマーは、(N)−M−(N)はループ部分とする構造を有し、マイクロベシクルに対し高い結合親和性を有する。また、Mについて、80%以上の同一性を有する範囲で変異を導入し、塩基配列の最適化を行った核酸アプタマーも、Mをループ部分に含むアプタマーと同等またはそれ以上の、マイクロベシクルに対する高い結合親和性を有する。本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、配列番号208または配列番号211に示される塩基配列と、好ましくは80%、より好ましくは90%、特に好ましくは100%の同一性を有する塩基配列を含む。なお、最適化のために導入される変異は、1〜数個の塩基の欠失または挿入を含んでもよい。最適化により欠失または挿入される塩基の数は、特に限定されないが、好ましくは5塩基以内、4塩基以内、3塩基以内であり、特に好ましくは2塩基または1塩基である。
第二の実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーのループ部分は、Mを含み、その両端に、任意の塩基配列からなる(N)および(N)を含む。(N)の長さは、0から20ヌクレオチドであり、好ましくは7〜17ヌクレオチドである。(N)の長さは、0から20ヌクレオチドであり、好ましくは0〜10ヌクレオチドである。(N)−M−(N)からなるループ部分のうち、Mの構造が本マイクロベシクルに対する認識能および結合能に重要であり、Mの構造が維持されれば、核酸アプタマーのマイクロベシクルに対する認識能および結合能は維持され得る。すなわち、(N)および(N)は、XとXとにより形成されるステム部分とのリンカーに相当するものであり、特定の塩基配列からなるヌクレオチド鎖には限定されない。また、(N)および(N)は、非ヌクレオチド鎖であってもよい。非ヌクレオチド鎖は、例えば、置換または無置換の直鎖アルキル鎖、エチレングリコール鎖、アミノリンカー、ペプチド鎖、糖鎖などの有機基からなるものであり得る。
第二の実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーのXとXには、長さ0〜50ヌクレオチドの任意の塩基配列を用いることができる。(N)−M−(N)からなるループ部分の構造が本実施形態の核酸アプタマーのマイクロベシクルに対する認識能および結合能に重要であり、XとXは、特定の塩基配列には限定されないことが理解される。
とXは、それぞれ長さ0〜50ヌクレオチドの任意の塩基配列であり、かつ、XとXは、相補的に結合して0〜50塩基対のステムを形成する。XとXとは、互いに同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。また、XとXとは、完全に相補的であってもよいし、部分的に相補的であってもよい。ステム部分の長さは、自由に変更することができる。さらに、ステム部分がない場合、すなわちXまたはXが0ヌクレオチドの長さである場合であっても、Mの構造が維持されることができ、核酸アプタマーのマイクロベシクルに対する認識能および結合能は維持され得る。本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーのステムの長さは、特に限定されないが、好ましくは、5〜45、10〜40、10〜35、または10〜30塩基対であり、より好ましくは5〜25塩基対であり得る。
本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーのステム部分は、ミスマッチまたはバルジを含むことができる。一般に、ステム部分は、核酸アプタマーの標的分子に対する認識能および結合能に対する影響が小さいことが周知であり、ステム部分の塩基配列には、少数のヌクレオチド、例えば、限定されないが、1、2、3、4、または5個以下のヌクレオチドの、欠失、挿入、置換があってもよいことが周知である。本実施形態の核酸アプタマーのマイクロベシクルに対する認識能および結合能は、Mおよび(N)−M−(N)のループ部分の構造によって決定されるものであり、ステム部分の構造によっては影響されない。すなわち、本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーのXとX、または、XとXは、完全に相補的に結合するものでなくてもよく、ミスマッチまたはバルジを含むものであってよい。
本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、好ましくは、MまたはMがGカルテット構造を形成する。Gカルテット構造は、4つのグアニンが四量体となって形成される正方形の平面構造であり、これが2面以上重なってグアニン四重鎖構造(G−quadruplex)を形成する。MまたはMがGカルテット構造を形成する核酸アプタマーは、マイクロベシクルに対する認識能および高い結合能を有することができる。
第三の実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、配列番号107〜206からなる群から選択されるいずれかの塩基配列を含む。配列番号107〜206からなる群から選択されるいずれかの塩基配列を含むアプタマーは、マイクロベシクルに対し高い結合親和性を有する。
本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、好ましくは、配列番号107〜206からなる群から選択されるいずれかの塩基配列において、1〜5個の塩基が置換、欠失、挿入または付加された塩基配列を含む。一般に、標的分子に対する高い結合親和性を有する核酸アプタマーとして取得された配列については、変異を導入し、さらなる塩基配列の最適化を行うことが可能である。すなわち、配列番号107〜206のいずれかの塩基配列を含むマイクロベシクル結合性核酸アプタマーについて、1〜数個の塩基が置換、欠失、挿入または付加することにより最適化された核酸アプタマーも、マイクロベシクルに対し高い結合親和性を有することができる。最適化により置換、欠失、挿入または付加される塩基の数は、特に限定されないが、好ましくは5塩基以内、4塩基以内、3塩基以内であり、特に好ましくは2塩基または1塩基である。
なお、本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、配上記特定の塩基配列のみからなる核酸に限定されない。すなわち、上記特定の塩基配列を含み、マイクロベシクルに対して結合能を有する限り、任意の塩基配列が付加された核酸であってよい。また、アプタマーを構成する核酸は、例えば、DNA、RNA、LNA、PNA、人工核酸、修飾核酸(例えばアミノ酸側鎖を付加したもの)などであってよく、部分的にこれらの核酸を混合したものであってもよい。また、各核酸は、必要に応じてフッ素やメチル基などにより修飾された塩基を含んでいてもよいし、リン酸部分にチオ化などの修飾を含んでいてもよい。
本発明に係る核酸アプタマーは、3’末端と5’末端のいずれか一方またはそれらの両方が修飾されていてもよい。核酸の安定性を改善するためである。上述の通り、一般に、核酸アプタマーの標的物質に対する結合親和性は、核酸アプタマー立体構造によりもたらされるので、その立体構造が維持される限り、核酸アプタマーの末端に他の塩基配列や修飾物質が付加されていても、核酸アプタマーの標的物質に対する結合親和性は維持されることが周知である。末端修飾の例としては、ビオチン、ポリエチレングリコール(PEG)、蛍光物質、発光物質、カルボキシフルオレセイン(FAM)、ペプチド、アミノ酸、脂質などが挙げられる。また、上記修飾は、スペーサー配列を介して核酸アプタマーに対して結合されてもよい。スペーサー配列は任意の長さであり得るが、好ましくは0〜20塩基であり得る。
本発明に係る核酸アプタマーは、例えば、Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment(SELEX)法により取得することができる(Tuerk,C. and Gold,L., Science, Vol.249, pp.505−510, 1990)。SELEX法は、ランダム配列を含む核酸ライブラリーから、標的分子と結合する核酸を選択し増幅するサイクルを複数回、例えば5〜20回繰り返すことによって、標的分子と高い親和性で結合する核酸のみを選別する方法である。すなわち、本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、マイクロベシクルを標的分子としてSELEX法を実施することにより取得することができる。
上記標的分子として使用されるマイクロベシクルは、生体試料や細胞培養液から得ることができる。マイクロベシクルは、限外ろ過法、密度勾配遠心分離法、サイズ排除クロマトグラフィー、超遠心分離、免疫沈降法、液体クロマトグラフィーなどによって得たものを用いることができる。
本発明に係る核酸アプタマーが標的とするマイクロベシクルは、好ましくは、その直径が10〜200nmのものであり、特に好ましくはエキソソームである。「エキソソーム」とは、細胞から分泌される脂質二重膜小胞のうち、エンドソームに由来し、かつ、その直径が約30〜100nmの大きさのものを意味する。
SELEX法により取得した核酸アプタマーは、その塩基配列を決定した後、従来公知の種々の合成法によって調製することができる。例えば、核酸アプタマーは、化学合成法によって調製することができる。化学合成法は、同一の核酸アプタマーを大量に調製できる点で好ましい。
本実施形態のマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、マイクロベシクルに対して、既存の抗マイクロベシクル抗体と同等の結合親和性を有する。そのため、マイクロベシクルの検出、単離などの用途に有用である。
本発明は、第二の態様によれば、マイクロベシクル結合性核酸アプタマーを用いて、マイクロベシクルを検出する方法である。
本実施形態の検出方法は、抗体の代わりにマイクロベシクル結合性核酸アプタマーを用いること以外は、免疫学的方法と同様の方法により行われ得る。したがって、既存の抗マイクロベシクル抗体に代えて、マイクロベシクル結合性核酸アプタマーを用いることにより、例えば、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、ウエスタンブロッティング、免疫組織化学的染色法などの方法と同様の手順により、マイクロベシクルの検出を行うことができる。また、マイクロ流路を組み合わせた方法や、表面プラズモン共鳴を用いた方法によっても行うことができる。
本発明は、第三の態様によれば、マイクロベシクル結合性核酸アプタマーを用いて、マイクロベシクルを単離する方法である。
本実施形態の単離方法は、抗体の代わりにマイクロベシクル結合性核酸アプタマーを用いること以外は、免疫学的方法と同様の方法により行われ得る。したがって、既存の抗マイクロベシクル抗体に代えて、マイクロベシクル結合性核酸アプタマーを用いることにより、例えば、免疫沈降法、アフィニティーカラムによる精製、フローサイトメトリーによるソーティングなどにより、マイクロベシクルを単離することができる。
本発明は、第四の態様によれば、マイクロベシクル結合性核酸アプタマーと薬物とを含む、薬物送達システムである。本態様の薬物送達システムは、1つ以上の薬物をコンジュゲートさせたマイクロベシクル結合性核酸アプタマーを含有する。本態様の薬物送達システムは、薬物送達システムを投与した対象の生体内、例えば、血中のマイクロベシクルに対して結合することにより、薬物の生体内における安定性および滞留性を改善するとともに、マイクロベシクルが標的とする細胞にのみ特異的に薬物を送達するものである。
本態様の薬物送達システムに含まれる薬物は、通常の薬剤成分であってよく、例えば、抗がん剤、抗炎症剤、または、感染症、免疫疾患、神経疾患もしくは変性疾患の治療薬などが挙げられる。本態様の薬物送達システムは、1つ以上の薬物を、マイクロベシクル結合性核酸アプタマーにコンジュゲートさせたものを含むことができる。薬剤が、たとえばsiRNAやアンチセンス核酸などの核酸医薬を成分とする場合には、核酸アプタマーに直接連結させてもよい。マイクロベシクル結合性核酸アプタマーと薬物とは、1:1〜1:100のモル比で結合させることができる。
本態様の薬物送達システムは、あらかじめ外来性のマイクロベシクルを含むものであってもよい。この場合には、薬物送達の標的となる組織や細胞に応じて、適宜好ましい細胞種に由来する外来性のマイクロベシクルを選択することができる。外来性のマイクロベシクルには、任意の動物種または細胞種に由来するマイクロベシクルを用いることができる。
本態様の薬物送達システムは、マイクロベシクルと結合することにより、薬剤の生体内での安定性および滞留性を改善することができるため、薬剤の投与量・回数を減らすことができ、副作用の低減にも有用である。また、薬物送達の標的となる組織や細胞に応じて選択したマイクロベシクルと結合させることにより、マイクロベシクルが標的とする細胞にのみ選択的に薬物を送達することができ、標的とする細胞に対してのみ薬物を作用させることができるために有用である。
以下に実施例を挙げ、本発明について更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
<実施例1:マイクロベシクルの精製>
培養液中のマイクロベシクルはSokolovaらの方法(Sokolova,V., et al., Colloids Surf B Biointerfaces, Vol.87, pp.146−150, 2011)に基づき、若干の改変を加えて調製した。10cmシャーレで培養した293T細胞の培養液(10%FBS/DMEM)を、無血清のAdvanced DMEM(ライフテクノロジーズ社製)に置換し、3日間培養した後、培養上清を回収した。回収した培養上清を0.22μmの孔径のフィルターでろ過し、200nm以上の物質を除いた。続いて、10kDaの孔径の限外ろ過フィルター(Amicon Ultra、ミリポア社製)を用いて、40mlのPBS(−)により3回バッファー交換を行った後、サンプル溶液量を約1mlに濃縮した。その後、100kDaの孔径の限外ろ過フィルター(VIVACON 500、ザルトリウス・ステディム社製)を用いて、500μlのPBS(−)により3回バッファー交換を行った。得られたサンプルを、セファロース2B(GEヘルスケア・ジャパン社製)を充填したカラムで分画し、マイクロベシクル画分を取得した。タンパク質量のプロファイルと、抗CD63抗体によるドットブロットの結果から、得られたマイクロベシクルの大半がエキソソームであることが確認された(図5)。
<実施例2:SELEX法によるマイクロベシクル結合性核酸アプタマーのスクリーニング>
マイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、SELEX法により作製した。SELEX法は、Ellingtonらの方法(Ellington,AD. and Szostak,JW., Nature, Vol.346, pp.818−822, 1990)およびGoldらの方法(Tuerk,C. and Gold,L., Science, Vol.249, pp.505−510, 1990)を参考にし、西川らの方法に基づいて行った(Murakami,K., Nishikawa,F., Noda,K., Yokoyama,T., and Nishikawa,S., Prion, Vol.2, pp.73−80, 2008)。
最初のラウンドで使用したRNAプールは、化学合成されたDNAを鋳型とし、DuraScribeTM T7 Transcription Kit(Epicentre Technologies社製)を用いてインビトロ転写を行うことにより調製した。RNAプールは、55merのランダム化領域(n55)の両端に各21merの領域を含むDNAを鋳型としたもの(Sプール)と、30merのランダム化領域(n30)の両端に各15merの領域を含むDNAを鋳型としたもの(Kプール)の2種類を調製した。
鋳型DNAとプライマーの配列は、以下の通りである。
(Sプール)
鋳型DNA(S): 5’−gggaggtggaactgaaggaga−n55−acttcgcaatcgctctacgca−3’(配列番号1)
フォワード(Fwd)プライマー(S): 5’−tgtaatacgactcactatagggaggtggaactgaaggaga−3’(配列番号2)
リバース(Rev)プライマー(S): 5’−tgcgtagagcgattgcgaagt−3’(配列番号3)
(Kプール)
鋳型DNA(K): 5’−ggtagatacgatgga−n30−catgacgcgcagcca−3’(配列番号4)
フォワード(Fwd)プライマー(K): 5’−tgtaatacgactcactataggtagatacgatgga−3’(配列番号5)
リバース(Rev)プライマー(K): 5’−tggctgcgcgtcatg−3’(配列番号6)
nは、a,c,gまたはtを示す。Fwdプライマーは、T7 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含む。
上記鋳型DNAとプライマーに、DuraScribeTM T7 Transcription Kitに付属のバッファー、終濃度10mMのDTT、終濃度各5mMのrATP、rGTP、2’−F−rCTPおよび2’−F−rUTP、ならびに逆転写酵素を加え、37℃で6時間反応させた。その後、同Kitに付属のDNaseを加え、37℃で15分反応させることにより、鋳型DNAを分解した。得られたRNA産物は、バイオゲルP−30充填マイクロバイオスピンカラム(バイオ・ラッド社製)により精製した。
得られたRNAは、ピリミジンヌクレオチド(cおよびu)のリボースの2’位がフルオロ化されたものである。また、得られたRNAプールに含まれるRNAのバリエーションは、Sプールについては1×1033、Kプールについては1×1018である。
続いて、実施例1において調製したマイクロベシクルと、上記RNAプールの結合反応を行った。結合反応は、結合バッファー(20mMトリス塩酸塩(pH7.5)、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、0.5mM塩化マグネシウム、1.5mM塩化カルシウム)を用い、必要に応じて競合物質(tRNA)の存在下、下記の表1の条件により、室温にて行った。反応後、0.45μm孔径ニトロセルロース膜(ミリポア社製)で濾過することにより、マイクロベシクル−RNA複合体を膜上に回収した。この膜を、7M尿素/10mMのEDTA溶液に入れ、98℃で5分間加熱した後、溶液を回収し、エタノール沈殿によりRNAを精製した。
精製されたRNAについて、PrimeScript II 1本鎖cDNA合成キット(タカラバイオ社製)を用いて逆転写反応を行った。具体的には、上記精製したRNA(〜数十μg)に、dNTPを1.25μmol、FwdプライマーおよびRevプライマーを各25pmol加え、65℃で5分間反応させた後、4℃に冷却した。その後、キットに付属のバッファー、RNase阻害剤、逆転写酵素(100U)を加え、30℃で10分間、37℃で10分間、42℃で40分間、52℃で30分間、98℃で5分間反応させた。
得られた逆転写産物について、PCR反応を行い、DNAを増幅した。具体的には、逆転写産物(〜数十μg)に、TaKaRa Ex Taq(タカラバイオ社製)に付属のバッファー、終濃度0.8mMのdNTP、終濃度1.25μMのFwdプライマーおよびRevプライマー、0.5UのEx Taqを加え、94℃60秒間の反応の後、98℃10秒間、55℃30秒間、72℃60秒間のサイクルを繰り返すことによりPCR反応を行った。サイクル数は、アガロースゲル電気泳動により、増幅産物を確認することにより決定した。
得られたPCR産物をエタノール沈殿により精製した。精製されたPCR産物から、DuraScribeTM T7 Transcription Kitを用いたインビトロ転写により、逆転写RNAを得た。得られたRNA産物は、バイオゲルP−30充填マイクロバイオスピンカラム(バイオ・ラッド社製)により精製した。
精製RNA産物から所望でないニトロセルロース膜結合性RNAを除去するために、精製RNA産物をニトロセルロース膜に通過させた(負の選択)。
上記工程を1ラウンドとして、10回のスクリーニングラウンドを繰り返した。各スクリーニングラウンドにおける詳細な反応条件を、以下の表1に示す。
Figure 0006128621
10回のスクリーニングラウンドを繰り返して得られたDNAプールについて、次世代シークエンサーMiSeq(イルミナ社製)とそのキットMiSeq Reagent Kit v2を用いて、塩基配列を包括的に解析した。
得られた塩基配列を表2および表3に示す。
Figure 0006128621
Figure 0006128621
実際のアプタマーの配列は、Fwdプライマー配列(ただし、T7プロモーターの転写開始点より上流の配列:UGUAAUACGACUCACUAUAを除く)−ランダム化領域配列−Revプライマーの逆向き相補配列である。また、アプタマー中、すべての塩基の糖はリボースであり、tは2’−F−Uであり、cは2’−F−Cである。
実際のRNAアプタマーの塩基配列を表4および表5に示す。
Figure 0006128621
Figure 0006128621
Figure 0006128621
Figure 0006128621
<実施例3:モチーフ検索>
上記SプールおよびKプールから得られたアプタマーの上位50配列に対して、MEME Suite(http://meme.nbcr.net/meme/)を使用してモチーフ検索を行った。
結果を図1に示す。図1は、MEMEに準拠した表示であり、縦軸はモチーフ配列の各位置における塩基の出現頻度(ビットスコア)を示し、横軸は塩基配列を示す。図1(a)は、Sプールから得られたアプタマーの上位50配列に対する解析結果を示す。図1(b)〜図1(d)は、Kプールから得られたアプタマーの上位50配列に対する解析結果を示す。この結果から、Sプールから濃縮されたアプタマーとKプールから濃縮されたアプタマーの両方に保存されたモチーフM:YRCGGHGGWRWKGGGRN(配列番号207)と、Kプールから濃縮されたアプタマーのみに保存されたモチーフM:RRRDDRNDRGRKW(配列番号208)またはRVDDGGGHTCTAC(配列番号211)が存在することが明らかになった。
図1(a)の結果をもとに、Sプールから濃縮されたアプタマーについてアラインメントを行い整列した結果を図2に、図1(c)の結果をもとに、Kプールから濃縮されたアプタマーについてアラインメントを行い整列した結果を図3に示す。この結果から、Sプールから得られたアプタマーは共通してモチーフMを有し、Kプールから濃縮されたアプタマーは共通してモチーフMを有していることが確認された。
<実施例4:モチーフの二次構造予測>
続いて、上記のモチーフMおよびMの二次構造予測を行った。モチーフMを有するアプタマーである配列番号114、および、モチーフMを有するアプタマーである配列番号159について、CentroidFoldプログラム(Nucl.Acids Res., Vol.37(Suppl.2), pp.W277−W280, 2009)により二次構造を予測した。
結果を図4および図5に示す。配列番号114と配列番号159のアプタマーは、いずれもステムループ構造を形成し、モチーフMとモチーフMは、いずれもループ構造を形成するものであることが示された。
実施例3および4の結果に基づき、推定されるアプタマーの構造は以下の通りである。
モチーフMを有するアプタマー:
5’−X−M−X−3’(ここで、Mは、YRCGGHGGWRWKGGGRN(配列番号207)であり、Rは、それぞれ独立に、AまたはGであり、Yは、CまたはTもしくはUであり、Wは、それぞれ独立に、AまたはTもしくはUであり、Nは、それぞれ独立に、A、C、GまたはTもしくはUであり、XおよびXは、それぞれ0〜50個のヌクレオチドを表し、かつ、XおよびXは相補的に結合して0〜50塩基対のステムを形成する)
モチーフMを有するアプタマー:
5’−X−(N)−M−(N)−X−3’(ここで、Mは、RRRDDRNDRGRKW(配列番号208)であり、Rは、それぞれ独立に、AまたはGであり、Dは、それぞれ独立に、A、GまたはTもしくはUであり、Nは、A、C、GまたはTもしくはUであり、Kは、GまたはTもしくはUであり、Wは、AまたはTもしくはUであり、mは、9から15までのいずれかの整数であり、nは、0から4までのいずれかの整数であり、XおよびXは、それぞれ0〜50個のヌクレオチドを表し、かつ、XおよびXは相補的に結合して0〜50塩基対のステムを形成する)
<実施例5:モチーフのマイクロベシクルに対する結合能評価>
実施例3および4の結果から予測されたモチーフのうち、マイクロベシクル結合能に重要であるループ構造部分についてさらに詳細に解析するために、ステム構造部分を短くした以下のアプタマーを合成した。5’末端にはビオチン標識を導入した。
Sモチーフアプタマー: 5’−ggccACGACGCGGAGGUGUGGGGGAUCGUggcc−3’(配列番号209)
Kモチーフアプタマー: 5’−GGUAGAUACGAUGGAAGAGGGAAAGGGAGGGUUCUACC−3’(配列番号210)
(ここで、小文字はDNAを、大文字はRNAを表す。また、UとCはフッ素により修飾されている。また、下線は、モチーフM(配列番号207)またはモチーフM(配列番号208)に相当する部分を示す。)
フィルターバインディングアッセイにより、上記アプタマーのマイクロベシクルに対する結合能を評価した。SモチーフアプタマーまたはKモチーフアプタマー(各100pmol)と実施例1において調製したマイクロベシクル(10mg)とを、実施例2で用いた結合バッファーに0.1%のTween20を加えたバッファー(以下、「0.1%Tween20含有結合バッファー」と記載する)中にて、室温で2時間反応させた。その後、反応液を0.45μm孔径ニトロセルロース膜(ミリポア社製)により濾過した。その後、5mlの0.1%Tween20含有結合バッファーを通過させることにより、フィルターを洗浄した。洗浄後のフィルターを、100μg/mlのtRNAを含む3%BSA/0.1%Tween20含有結合バッファーでフィルターをブロッキングし、4.5mlの0.1%Tween20含有結合バッファーにより10分間1回洗浄した後、0.3%BSA/0.1%Tween20含有結合バッファーにより1/1000希釈されたホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識アビジン(サーモサイエンティフィック社)と、室温で1時間反応させた。その後、ECLキット(GEヘルスケア・ジャパン社製)を用いて化学発光反応を行い、結合の検出を行った。
結果を図6に示す。SモチーフアプタマーとKモチーフアプタマーのいずれも、マイクロベシクルに対する結合能を有するものであることが示された。
<実施例6:モチーフと抗マイクロベシクル抗体のマイクロベシクルに対する結合能の比較>
Sモチーフアプタマーと、市販の抗マイクロベシクル抗体のマイクロベシクルに対する結合能を比較するために、ドットブロットを行った。抗マイクロベシクル抗体として、抗CD63抗体(MX−49.129.5、サンタクルーズバイオテクノロジー社製)を用いた。CD63はエキソソームのマーカータンパク質として知られており、抗CD63抗体は、エキソソームの検出・単離のために一般的に使用されている。
ニトロセルロース膜上に、実施例1で得られたマイクロベシクル画分(フラクション3〜10)を2μl滴下し、室温で30分風乾させることによって、マイクロベシクルを固定し、その後、100μg/mlのtRNAを含有する1%BSA/0.1%Tween20含有結合バッファー(以下、「ブロッキングバッファー」と記載する)にて、室温で1時間、ブロッキングを行った。その後、ニトロセルロース膜を、Sモチーフアプタマー/ブロッキングバッファー(終濃度200nM)中にて、室温で1時間インキュベーションすることにより、結合反応を行った。反応後のニトロセルロース膜を0.1%Tween20含有結合バッファーにより洗浄した後、UV架橋により、マイクロベシクルに結合したSモチーフアプタマーを固定した。その後、0.1%Tween20含有結合バッファーにより1/4000希釈されたHRP標識アビジン(サーモサイエンティフィック社)と、室温で1時間反応させた。0.1%Tween20含有結合バッファーによる3回の洗浄後、ECLキット(GEヘルスケア・ジャパン社製)を用いて化学発光反応を行い、結合の検出を行った。
マイクロベシクルと抗CD63抗体との結合反応については、3%BSA/0.1%Tween20/TBSによる室温で1時間のブロッキング後、上記の抗CD63抗体を一次抗体として用い(1:1000希釈/1%BSA/0.1%Tween20/TBS)、室温で1時間インキュベーションすることにより、結合反応を行った。0.1%Tween20/TBSにより15分3回洗浄後、二次抗体としてHRP標識抗マウスIgG(GEヘルスケア・ジャパン社製)を用い(1:2000希釈/1%BSA/0.1%Tween20/TBS)、室温で1時間インキュベーションすることにより、結合反応を行った。0.1%Tween20/TBSにより15分3回洗浄後、Sモチーフアプタマーと同様に、化学発光により、マイクロベシクルに対する抗CD63抗体の結合を検出した。
結果を図7(a)に示す。Sモチーフアプタマーのマイクロベシクルに対する検出感度は、市販の抗CD63抗体と同等であった。
Sモチーフアプタマーがマイクロベシクルに対して結合していることをさらに確認するために、変性処理したマイクロベシクルサンプルに対するドットブロットを行った。変性処理したマイクロベシクルサンプルとして、実施例1において調製したマイクロベシクルを、(1)結合バッファー中で2分間煮沸したものと、(2)2%SDS含有サンプルバッファー中で2分間煮沸したものを作製した。なお、(1)の条件によれば部分的に、(2)の条件によれば完全にマイクロベシクルを変性させることができる。ドットブロットは、上記と同様の手順により行った。
結果を図7(b)に示す。変性処理をしていないマイクロベシクルサンプル(レーン1)と比較して、マイクロベシクルを緩やかに変性させたサンプル(上記(1)、レーン2)ではSモチーフアプタマーの結合が減少し、マイクロベシクルを完全に変性させたサンプル(上記(2)、レーン3)ではSモチーフアプタマーの結合が完全に消失した。この結果から、Sモチーフアプタマーはマイクロベシクルに対して特異的に結合していることが確認された。
<実施例7:表面プラズモン共鳴法によるアプタマーのマイクロベシクルに対する結合能の評価>
Sモチーフアプタマー(配列番号209)とKモチーフアプタマー(配列番号210)の、マイクロベシクルに対する結合能を、表面プラズモン共鳴法により評価した。具体的には、表面プラズモン共鳴測定装置BIACORE X(GEヘルスケア・ジャパン社製)とストレプトアビジンでコートされたセンサーチップ(センサーチップSA、GEヘルスケア・ジャパン社製)を使用した。約150RUのSモチーフアプタマーまたはKモチーフアプタマーをチップに結合させた。アナライトとなる293T細胞由来またはHeLa S3細胞由来のマイクロベシクルは、実施例1と同様の手順により調製したものについて、約6mg/mlを1として、1/40、1/80、1/120、1/140、および1/160の濃度に調製し、結合レベルの測定に使用した。ランニングバッファーには、0.005%Tween20/結合バッファーを用いた(流速10μl/ml)。
結果を図8〜11に示す。結合反応曲線から求めた解離定数(Kd)は、Sモチーフアプタマーと293T細胞由来のマイクロベシクルとのKdは2.37×10μg/ml、SモチーフアプタマーとHeLa S3細胞由来のマイクロベシクルとのKdは1.23×10μg/ml、Kモチーフアプタマーと293T細胞由来のマイクロベシクルとのKdは1.38×10μg/ml、KモチーフアプタマーとHeLa S3細胞由来のマイクロベシクルとのKdは0.57×10μg/mlであった。この値から、SモチーフアプタマーとKモチーフアプタマーのいずれも、マイクロベシクルに対し、一般的な抗体以上の極めて高い結合親和性を有するものであることが明らかになった。
<実施例8:円偏光二色性スペクトル測定によるアプタマーの構造解析>
Sモチーフアプタマー(配列番号209)とKモチーフアプタマー(配列番号210)について、円偏光二色性(CD)スペクトルを測定することにより、モチーフの立体構造を解析した。具体的には、J−820(日本分光社製)により、0.1cm光路長の石英セルを用いて、25℃、220〜320nmにて測定した。バッファーは、20mMトリス塩酸塩(pH7.5)、150mM塩化ナトリウム、0.5mM塩化マグネシウム、1.5mM塩化カルシウムをベースとし、塩化カリウムを終濃度0.0、0.1、0.3、1.0、5.0、10.0、50.0および100mMになるように加えた。また、バッファーを20mMトリス塩酸塩(pH7.5)とし、塩化カリウムを終濃度0.0、0.1、0.3、1.0、5.0、10.0、50.0および100mMになるように加えた場合も評価した。
次いで、SモチーフアプタマーとKモチーフアプタマーの融解温度を求めた。具体的には、バッファー(20mMトリス塩酸塩(pH7.5)、150mM塩化ナトリウム、0.5mM塩化マグネシウム、1.5mM塩化カルシウム、100mM塩化カリウム)において、温度を25℃から95℃まで変化させながら、270nmの蛍光強度を測定することにより求めた。また、バッファーを、20mMトリス塩酸塩(pH7.5)、100mM塩化カリウムとした場合も同様に測定した。
CDスペクトルの測定結果を図12〜15に示す。図12および図14に示すように、Sモチーフアプタマーは、カリウムイオン濃度依存的に構造が変化し、カリウムイオン濃度が上昇するにつれて、楕円率θの極大値(260〜280nm付近)が上昇した。Kモチーフアプタマーについても、Sモチーフアプタマーと同様のカリウムイオン濃度依存的な構造変化が見られた(図13および図15)。また、図15の結果から、カリウムイオン濃度が0.1mM以上の場合に、楕円率θの極大が長波長側へとシフトすることが明らかになった。これらの結果から、SモチーフアプタマーとKモチーフアプタマーはいずれも、カリウムイオン依存的に平行グアニン四重鎖構造(Parallel G−quadruplex)を形成することが示唆された。
融解温度測定の結果を図16〜19に示す。SモチーフアプタマーもKモチーフアプタマーも、70〜80℃の高温において楕円率θが極小を示しており、このことは、モチーフが単純な二重鎖構造ではない熱安定性の高い構造を形成していることを示唆するものである(J.Phys.Chem.B, Vol.177(23), pp.6896−6905)。すなわち、この結果から、SモチーフアプタマーとKモチーフアプタマーはいずれも平行四重鎖構造を形成していることが示唆された。また、低温域に極大が見られることから、SモチーフアプタマーとKモチーフアプタマーのいずれも、アプタマーの両末端の塩基配列が二重鎖構造を形成していることが予想された。
<実施例9:アプタマーのマイクロベシクルに対する結合能に対するカリウムイオン濃度の影響>
次いで、Sモチーフアプタマー(配列番号209)とKモチーフアプタマー(配列番号210)のマイクロベシクルに対する結合能が、カリウムイオン濃度依存的に変化するかどうかを、表面プラズモン共鳴法により解析した。実施例1と同様の手順により調製した293T細胞由来のマイクロベシクル(81mg/ml)と、10mM塩化カリウムを含むまたは含まない結合バッファーとを用い、実施例7と同様の条件にて測定を行った。
結果を図20に示す。カリウムイオン存在下における結合反応曲線を実線、カリウムイオン不在下における結合反応曲線を破線により示す。Sモチーフアプタマー(図20上段)とKモチーフアプタマー(図20下段)はいずれも、カリウムイオン依存的にマイクロベシクルに対する結合能が増加することが示された。この結果から、SモチーフアプタマーとKモチーフアプタマーはいずれも平行グアニン四重鎖構造を形成し、この平行グアニン四重鎖構造がカリウムイオン濃度依存的に安定化されることにより、アプタマーのマイクロベシクルに対する結合能が増強されることが示唆された。
以上の結果から想定される、本発明に係るマイクロベシクル結合性核酸アプタマーの立体構造を図21に示す。矢印は、核酸の5’→3’方向を示しており、二点鎖線は、4つのグアニンにより形成された四量体平面(Gカルテット構造)を示す。本発明に係るマイクロベシクル結合性核酸アプタマーのモチーフ部分は、2面のGカルテット構造が重なった平行グアニン四重鎖構造をとり、この平行グアニン四重鎖構造を介してマイクロベシクルに結合する。
このように、本発明に係るマイクロベシクル結合性核酸アプタマーは、マイクロベシクルに対し高い結合親和性を有しており、マイクロベシクルを捕捉できるものであることが確認された。また、本発明に係るマイクロベシクル結合性核酸アプタマーを使用することにより、マイクロベシクルの検出方法および単離方法、ならびに薬物送達システムを提供することができることが示唆された。

Claims (10)

  1. 下記の塩基配列:
    5’−XCGCGGAGGUGUGGGGGA−X−3’
    (ここで、XおよびXは、それぞれ5〜25個のヌクレオチドを表し、かつ、XおよびXは相補的に結合して5〜25塩基対のステムを形成する)
    を含む、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマー。
  2. 下記の塩基配列:
    5’−XUACGAUGGAAGAGGGAAAGGGAGGGU−X−3’
    (ここで、XおよびXは、それぞれ5〜25個のヌクレオチドを表し、かつ、XおよびXは相補的に結合して5〜25塩基対のステムを形成する)
    を含む、マイクロベシクルに対して結合能を有する核酸アプタマー。
  3. 前記ステムがミスマッチまたはバルジを含む、請求項1または2に記載の核酸アプタマー。
  4. 3’および/または5’末端が修飾されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の核酸アプタマー。
  5. 前記マイクロベシクルの直径が10〜200nmである請求項1〜のいずれか1項に記載の核酸アプタマー。
  6. 前記マイクロベシクルがエキソソームである請求項に記載の核酸アプタマー。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の核酸アプタマーを用いて、マイクロベシクルを検出する方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の核酸アプタマーを用いて、マイクロベシクルを単離する方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の核酸アプタマーと、薬物とを含む、薬物送達システム。
  10. マイクロベシクルをさらに含む、請求項に記載の薬物送達システム。
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