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JP6120460B2 - 自動車用バンパー - Google Patents

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JP6120460B2 JP2015550628A JP2015550628A JP6120460B2 JP 6120460 B2 JP6120460 B2 JP 6120460B2 JP 2015550628 A JP2015550628 A JP 2015550628A JP 2015550628 A JP2015550628 A JP 2015550628A JP 6120460 B2 JP6120460 B2 JP 6120460B2
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Description

本発明は、W字状断面あるいはU字状断面を有するバンパービームを、不連続繊維を含む不連続繊維強化樹脂シートと、連続繊維を含む連続繊維強化樹脂シートとを積層して構成した自動車用バンパーに関する。
前方あるいは後方に向けて開放するU字状断面あるいはW字状断面を有する繊維強化樹脂製のバンパービームにおいて、前後方向の衝突荷重が入力したときにバンパービームが口開き変形するのを防止することで、バンパービームの強度を高めて衝突エネルギーの吸収性能の向上を図るものが種々提案されている。
例えば、下記特許文献1には、前方に向けて開放するW字状断面のバンパービームの内部に縦方向および横方向にリブを形成するとともに、バンパーフェイスの内面をバンパービームの前端に溶融樹脂で結合したものが提案されている。
また下記特許文献2には、熱可塑性樹脂と連続繊維を含む樹脂シートとを重ねてプレス成形することで後方に向けて開放するW字状断面のバンパービームを構成し、W字状断面の上下の端部に熱可塑性樹脂あるいは連続繊維を含む樹脂シートを追加して局部的に板厚を増加させたものが提案されている。
また下記特許文献3には、前方に向けて開放するU字状断面のバンパービームの内部に縦補強リブおよび斜め補強リブを形成したものが提案されている。
また下記特許文献4には、連続繊維を含む樹脂シートと不連続繊維を含む樹脂シートとを重ね合わせてプレス成形することで前方に向けて開放するU字状断面のバンパービームを構成し、その内部に不連続繊維を含む樹脂シートよりなる縦リブおよび横リブを形成したものが提案されている。
また下記特許文献5には、前方に向けて開放するU字状断面のバンパービームの内部に縦方向に延びる多数のリブを形成するとともに、その後端の縦壁部に車幅方向に延びる多数ビ−ドを形成したものが提案されている。
日本特開平3−224850号公報 日本特表2000−515828号公報 日本特許第3229568号公報 国際公開第WO2013094515号公報 日本特開平3−227750号公報
しかしながら、上記各特許文献に記載されたものは、バンパービームの内部に多数のリブを形成することで強度を高めるものであり、バンパービームの曲げ強度を左右する各部の板厚分布を考慮していないため、重量が増加する割には充分な強度向上が得られないという問題があった。
上記特許文献1、4及び5に記載されたものは、衝突荷重の入力時にバンパービームが口開き変形するのを防止するためには縦方向のリブを車幅方向に短い間隔で多数形成する必要があり、繊維強化樹脂が連続繊維層を有する場合には成形が困難であるばかりか、重量が増加してバンパービームを繊維強化樹脂製としたメリットを活かすことができないという問題があった。
また上記特許文献2に記載されたものは、W字状断面を有するバンパービームの底壁が前方を向いているため、衝突荷重の入力によりバンパービームが後方に湾曲したとき、バンパービームの後面に作用する引張荷重を車幅方向に延びる底壁の連続繊維層で支持することができず、曲げ荷重に対するバンパービームの強度が著しく低下するという問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、重量の増加を最小限に抑えながらバンパービームの口開き変形を防止して曲げ強度を高めることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、W字状断面あるいはU字状断面を有するとともに、不連続繊維を含む不連続繊維強化樹脂シートと、連続繊維を含む連続繊維強化樹脂シートとを積層して構成されたバンパービームが、車幅方向外側に位置して衝撃吸収部材に接続される左右一対の衝撃吸収部材接続部と、該衝撃吸収部材接続部の車幅方向内側に位置して前記バンパービームのうちで前後方向外側に最も突出する左右一対の荷重入力部とを備えてなる自動車用バンパーであって、前記バンパービームは、垂直に位置する底壁と、前記底壁の上下両端から水平方向に延びる側壁とを備え、前記底壁の板厚は前記側壁の板厚よりも大きく、前記左右の荷重入力部の前後方向外側に最も突出する先端に衝突荷重が入力したとき、それら左右の荷重入力部の先端間に作用する曲げモーメントが一定の最大値となり、そこから車幅方向外側に向かって次第に減少することで前記衝撃吸収部材接続部の変形中心において前記曲げモーメントが最小値となるのに対応して、前記曲げモーメントが大きい部分では前記板厚が大きくなり、前記曲げモーメントが小さい部分では前記板厚が小さくなるように、衝突荷重により前記バンパービームに作用する曲げモーメントの分布に応じて前記底壁の板厚を車幅方向に変化させたことを第1の特徴とする自動車用バンパーが提案される。
また本発明によれば、前記第1の特徴に加えて、前記底壁の連続繊維強化樹脂シートに第2の連続繊維強化樹脂シートを積層することで、前記底壁の板厚を前記側壁の板厚よりも大きくしたことを第2の特徴とする自動車用バンパーが提案される。
また本発明によれば、前記第1の特徴に加えて、前記底壁の不連続繊維強化樹脂シートを前記側壁の不連続繊維強化樹脂シートよりも厚くすることで、前記底壁の板厚を前記側壁の板厚よりも大きくしたことを第3の特徴とする自動車用バンパーが提案される
た本発明によれば、前記第1の特徴に加えて、前記バンパービームは、車幅方向中央部において前後方向外側に向けて凹状に湾曲する中央湾曲部と、前記中央湾曲部の車幅方向両側において前後方向外側に向けて凸状に湾曲する一対の左右湾曲部とからなり、前記左右湾曲部は、前記衝撃吸収部材接続部と前記荷重入力部とを備えることを第の特徴とする自動車用バンパーが提案される。
また本発明によれば、前記第の特徴に加えて、前記バンパービームは上部フランジを前後方向内側に折り返した上部折り返し部と下部フランジを前後方向内側に折り返した下部折り返し部とを備え、前記バンパービームエクステンション接続部は少なくとも車幅方向内側の締結点および車幅方向外側の締結点で前記バンパービームエクステンションの本体部に締結され、前記上部折り返し部および前記下部折り返し部の車幅方向外端は前記車幅方向内側の締結点の近傍を終端とすることを第の特徴とする自動車用バンパーが提案される。
尚、実施の形態のバンパービームエクステンション12は本発明の衝撃吸収部材に対応し、実施の形態の上壁14bおよび下壁14cは本発明の側壁に対応し、実施の形態のリベット35は本発明の締結点に対応し、実施の形態のバンパービームエクステンション接続部B1は本発明の衝撃吸収部材接続部に対応する。
本発明の第1の特徴によれば、自動車用バンパーは、W字状断面あるいはU字状断面を有するバンパービームが、不連続繊維を含む不連続繊維強化樹脂シートと、連続繊維強化樹脂シートとを積層して構成される。
バンパービームは、垂直に位置する底壁と、底壁の上下両端から水平方向に延びる側壁とを備え、底壁の板厚は側壁の板厚よりも大きいので、重量の増加を最小限に抑えながら水平方向の曲げ変形に対するバンパービームの剛性を効率良く高め、衝突エネルギーの吸収性能の向上を図ることができる。
また、衝突荷重によりバンパービームに作用する曲げモーメントの分布に応じて底壁の板厚を車幅方向に変化させたので、バンパービームの車幅方向の強度分布を最適化して軽量化を図ることができる。
また本発明の第2の特徴によれば、底壁の連続繊維強化樹脂シートに第2の連続繊維強化樹脂シートを積層することで、底壁の板厚を側壁の板厚よりも大きくしたので、連続繊維の量を増加させて引張荷重に対する強度を高めることができる。
また本発明の第3の特徴によれば、底壁の不連続繊維強化樹脂シートを側壁の不連続繊維強化樹脂シートよりも厚くすることで、底壁の板厚を側壁の板厚よりも大きくしたので、不連続繊維の量を増加させて圧縮荷重に対する強度を高めることができる
た本発明の第の特徴によれば、バンパービームは、車幅方向中央部において前後方向外側に向けて凹状に湾曲する中央湾曲部と、中央湾曲部の車幅方向両側において前後方向外側に向けて凸状に湾曲する一対の左右湾曲部とからなり、左右湾曲部は、車幅方向外側に位置してバンパービームエクステンションに接続されるバンパービームエクステンション接続部と、車幅方向内側に位置してバンパービームのうちで前後方向外側に最も突出する荷重入力部とを備えるので、前後方向の衝突荷重を左右一対の荷重入力部で受けることで、荷重が入力する荷重入力部からバンパービームエクステンション接続部までの距離を小さくして衝突荷重によりバンパービームに作用する曲げモーメントを小さくし、バンパービームの必要強度を低減して軽量化を図ることができる。
また本発明の第の特徴によれば、バンパービームは上部フランジを前後方向内側に折り返した上部折り返し部と下部フランジを前後方向内側に折り返した下部折り返し部とを備えるので、衝突荷重によりバンパービームが口開き変形するのを特別の補強リブ等を設けることなく防止し、口開き変形した部分の車幅方向両側に応力が集中して亀裂や破壊が発生するのを防止することができる。
しかもバンパービームエクステンション接続部は少なくとも車幅方向内側の締結点および車幅方向外側の締結点でバンパービームエクステンションの本体部に締結され、上部折り返し部および下部折り返し部の車幅方向外端は車幅方向内側の締結点の近傍を終端とするので、前後方向の衝突荷重が入力したときにバンパービームの車幅方向外側の締結点によりバンパービームエクステンションからバンパービームに前後方向内向きの反力を作用させることで、バンパービームに作用する曲げモーメントの最大値を低減して局部的な破壊を防止することができる。
その際に、折り返し部の車幅方向外端は車幅方向内側の締結点の近傍を終端とするので、折り返し部が形成されないバンパービームの車幅方向外端部の剛性を低下させることで、車幅方向外側の締結点からバンパービームエクステンションに作用する前後方向外向きの荷重が過大になるのを防止し、バンパービームエクステンションの前後方向の圧壊が阻害されるのを回避することができる。
図1はバンパービームおよびバンパービームエクステンションの斜視図である。(第1の実施の形態) 図2は図1の2方向矢視図である。(第1の実施の形態) 図3は図2の3−3線拡大断面図である。(第1の実施の形態) 図4は図3の4部拡大図である。(第1の実施の形態) 図5は図2の5−5線拡大断面図である。(第1の実施の形態) 図6は図2の6−6線拡大断面図である。(第1の実施の形態) 図7はバンパービームを成形する金型の断面図である。(第1の実施の形態) 図8は図4に対応する図である。(第2の実施の形態) 図9はバンパービームおよびバンパービームエクステンションの斜視図である。(第3の実施の形態) 図10は図9の10方向矢視図である。(第3の実施の形態) 図11は図9の11方向拡大矢視図である。(第3の実施の形態) 図12は図11の12−12線拡大断面図である。(第3の実施の形態) 図13は図11の13−13線拡大断面図である。(第3の実施の形態) 図14は図11の14−14線拡大断面図である。(第3の実施の形態) 図15は図11の15−15線拡大断面図である。(第3の実施の形態) 図16はバンパービームを成形する金型の断面図である。(第3の実施の形態) 図17は衝突荷重によりバンパービームに作用する曲げモーメントの説明図である。(第3の実施の形態) 図18は図12に対応する図である。(第4の実施の形態)
11 バンパービーム
12 バンパービームエクステンション(衝撃吸収部材)
14a 底壁
14b 上壁(側壁)
14c 下壁(側壁)
14d 上部フランジ
14e 下部フランジ
14g 上部折り返し部
14h 下部折り返し部
15 連続繊維強化樹脂シート
16 不連続繊維強化樹脂シート
17 第2の連続繊維強化樹脂シート
33a′ 本体部
35 リベット(締結点)
A 中央湾曲部
B 左右湾曲部
B1 バンパービームエクステンション接続部(衝撃吸収部材接続部)
B2 荷重入力部
T1 底壁の板厚
T2 側壁の板厚
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。尚、本明細書において前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向とは、運転席に着座した乗員を基準として定義される。
第1の実施の形態
先ず、図1〜図7に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1〜図3に示すように、自動車の車体前部に繊維強化樹脂製のバンパービーム11が車幅方向に配置されており、バンパービーム11の車幅方向両端部が繊維強化樹脂製の左右一対のバンパービームエクステンション12,12の前端に支持され、バンパービームエクステンション12,12の後端が左右一対の金属製のフロントサイドフレーム13,13の前端に支持される。
バンパービーム11は、前方に向けて開放するU字状断面の上ビーム部14Uおよび下ビーム部14Lを上下に結合したW字状断面の部材であり、上ビーム部14Uおよび下ビーム部14Lは、後端に位置する底壁14aと、底壁14aの上端から前方に延びる上壁14bと、底壁14aの下端から前方に延びる下壁14cと、上ビーム部14Uの上壁14bの前端から上方に延びる上部フランジ14dと、下ビーム部14Lの下壁14cの前端から下方に延びる下部フランジ14eと、上ビーム部14Uの下壁14cおよび下ビーム部14Lの上壁14bを上下方向に接続する中間フランジ14fとを備える。
バンパービーム11は、車幅方向中央の所定範囲において前方に向けて凹状に湾曲する中央湾曲部Aと、中央湾曲部Aの車幅方向両側において前方に向けて凸状に湾曲する一対の左右湾曲部B,Bとからなり、左右湾曲部Bは、車幅方向外側に位置してバンパービームエクステンション12に接続されるバンパービームエクステンション接続部B1と、車幅方向内側に位置してバンパービーム11のうちで前方に最も突出する荷重入力部B2とを備える。
またバンパービームエクステンション接続部B1の上ビーム部14Uおよび下ビーム部14Lの車幅方向中間部は、それぞれ上壁14b、底壁14aおよび下壁14cを接続するように上下方向かつ前後方向に延びる2枚の縦リブ14j,14jを備えるとともに、上ビーム部14Uおよび下ビーム部14Lの車幅方向外端部は、それぞれ上壁14b、底壁14aおよび下壁14cを接続するように上下方向かつ前後方向に延びる1枚の端壁14kを備える。尚、バンパービーム11の車幅方向内側の縦リブ14j…から端壁14k…までの間には、上部フランジ14d,14dおよび下部フランジ14e,14eは形成されていない(図1参照)。
バンパービーム11の車幅方向中央部には金属製のカバー部材31が装着される。カバー部材31は、矩形状の本体部31aと、本体部31aの上下端を後方に折り曲げた係止部31b,31cを備えており、本体部31aの上部および下部がバンパービーム11の上部フランジ14dおよび下部フランジ14eにそれぞれリベット32…で固定される。これにより、本体部31aの上端の係止部31bがバンパービーム11の上部フランジ14dに上方から係合し、本体部31aの下端の係止部31cがバンパービーム11の下部フランジ14eに下方から係合する。
バンパービーム11は、後面側に位置する連続繊維強化樹脂シート15と、前面側に位置する不連続繊維強化樹脂シート16とを2層に積層して構成される。連続繊維強化樹脂シート15は、車幅方向に配向したガラス連続繊維と、それと直交する上下方向あるいは前後方向に配向したガラス連続繊維とよりなる織布をナイロン樹脂で固めたものであり、不連続繊維強化樹脂シート16は、ランダムに配向されて相互に絡み合うガラス不連続繊維をナイロン樹脂で固めたものである。
図7に示すように、バンパービーム11をプレス成形する金型21は、連続繊維強化樹脂シート15の後面を成形する凹状のキャビティ22a,22aを有する雌型22と、不連続繊維強化樹脂シート16の前面を成形する凸状のコア23a,23aを有する雄型23とからなり、コア23a,23aには縦リブ14j…および端壁14k…を成形するための溝23b…が形成される。金型21を型開きした状態で、雌型22のキャビティ22a,22aおよび雄型23のコア23a,23a間に、連続繊維プリプレグ15′と不連続繊維プリプレグ16′とが予備加熱した状態で配置される。
このとき、バンパービーム11の底壁14a,14aに対応する部分に、細幅の帯状に形成された第2の連続繊維プリプレグ17′,17′が、連続繊維プリプレグ15′および不連続繊維プリプレグ16′間に挟まれるように配置される。
プリプレグは、カーボンファイバー、グラスファイバー、アラミドファイバー等の連続繊維よりなる平織や綾織などの織布やUD(連続繊維を一方向に引き揃えたシート)、あるいは不連続繊維のマットを補強材とし、それに半硬化の熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等)、あるいは熱可塑性樹脂(ナイロン6やポリプロピレン等の)を含浸させたもので、金型の形状になじむ柔軟性を有している。熱硬化性樹脂の場合、複数枚のプリプレグを積層状態で金型内に挿入して圧力を加えながら例えば130°C程度に加熱すると、熱硬化性樹脂が硬化して繊維強化樹脂製品が得られる。本実施の形態の可塑性樹脂の場合、予備加熱した複数枚のプリプレグを積層状態で金型内に挿入して加圧成形し、その後冷却すると繊維強化樹脂製品が得られる。
本実施の形態では、連続繊維プリプレグ15′および第2の連続繊維プリプレグ17′,17′の補強材は、ガラス連続繊維を相互に直交する方向に配向した織布であり、不連続繊維プリプレグ16′の補強材は、ランダム配向した繊維長が5mm程度の長繊維からなるガラス不連続繊維の不織布である。
従って、雌型22および雄型23を型締めすると、連続繊維プリプレグ15′および第2の連続繊維プリプレグ17′,17′が雌型22のキャビティ22a,22aと雄型23のコア23a,23aとによってプレスされ、W字状断面を有するバンパービーム11の後面が成形される。このとき、不連続繊維プリプレグ16′は容易に変形可能であるため、連続繊維プリプレグ15′および第2の連続繊維プリプレグ17′,17′と雄型23のコア23a,23aとによって挟まれた不連続繊維プリプレグ16′は、連続繊維プリプレグ15′および第2の連続繊維プリプレグ17′,17′の前面に沿って薄い膜状に積層されるとともに、コア23a,23aの溝23b…内に流入して縦リブ14j…および端壁14k…を同時に成形する。そして金型21から取り出したバンパービーム11の外周にはみ出した余剰部分を切断することで、バンパービーム11を完成する。
図4(A)には、上述のようにして成形されバンパービーム11の断面の板厚が示される。バンパービーム11の底壁14aは、連続繊維プリプレグ15′により構成される連続繊維強化樹脂シート15と、第2の連続繊維プリプレグ17′により構成される第2の連続繊維強化樹脂シート17との2層構造になるため、底壁14aの板厚T1はバンパービーム11の車幅方向全域に亙って上壁14bおよび下壁14cの板厚T2よりも大きくなる。
ただし、底壁14aの板厚T2はバンパービーム11の車幅方向に変化する。即ち、左右の荷重入力部B2,B2の、前後方向外側に最も突出する先端間の板厚T1は一定の最大値であり、そこから車幅方向外側に向かって次第に減少することでバンパービームエクステンション接続部B1の変形中心において最小値となり、そこから車幅方向外側に向かって次第に増加する。
図1、図2、図5および図6に示すように、バンパービームエクステンション12は、上下対称な形状を有する上部部材33Uおよび下部部材33Lを、それらの車幅方向外端に形成した側部フランジ33a,33aおよび車幅方向内端に形成した側部フランジ33b,33bで重ね合わせてリベット34…で一体に結合し、前後方向に貫通するボックス状の閉断面に構成される。
また上部部材33Uおよび下部部材33Lの前端から前部フランジ33c,33cがそれぞれ前上方および前下方に延びており、上部部材33Uの前部フランジ33cはバンパービームエクステンション12の上壁14bにリベット35…で結合され、下部部材33Lの前部フランジ33cはバンパービームエクステンション12の下壁14cにリベット35…で結合される。これによりバンパービーム11のバンパービームエクステンション接続部B1は、バンパービームエクステンション12の前部フランジ33c,33cにより上下から挟まれるように固定される。
バンパービームエクステンション12の上部部材33Uおよび下部部材33Lは、車幅方向外側の側部フランジ33a,33aの前端および前部フランジ33c,33cの車幅方向外端に連なる前壁33d,33dを備えており、これらの側部フランジ33a,33a、前部フランジ33c,33cおよび前壁33d,33dによってバンパービーム11のバンパービームエクステンション接続部B1の車幅方向外端が覆われる。
次に、上記構成を備えた本発明の第1の実施の形態の作用を説明する。
自車のバンパービームが他車のバンパービームに前面衝突したような場合、図2に示すように、本実施の形態のバンパービーム11は前方に向けて凹状に湾曲する中央湾曲部Aを備えるため、中央湾曲部Aの車幅方向両側の一対の荷重入力部B2,B2の先端が他車のバンパービームに衝突し、一対の荷重入力部B2,B2の先端の2点に衝突荷重Fが集中的に入力する。その結果、バンパービーム11に作用する曲げモーメントの最大値が低減するだけでなく、中央湾曲部Aを含む一対の荷重入力部B2,B2の先端(荷重Fの入力点)に挟まれた領域に引張荷重が作用し、バンパービームエクステンション接続部B1,B1に圧縮荷重が作用し、バンパービームエクステンション接続部B1,B1と荷重入力部B2,B2の先端とに挟まれた狭い領域だけが捩じり(剪断)変形することになり、捩じり変形によるバンパービーム11の口開きが抑制されて破壊強度が高められる。
またバンパービーム11に前方からの衝突荷重が入力すると、左右の曲げ中心間のバンパービーム11が後方に湾曲するように変形するため(図2の鎖線参照)、バンパービーム11の後面側に引張荷重が作用し、バンパービーム11の前面側に圧縮荷重が作用する(図3参照)。
本実施の形態によれば、引張荷重が作用するバンパービーム11の後面側が引張荷重に強い連続繊維強化樹脂シート15で構成されており、その連続繊維強化樹脂シート15の相互に直交する方向に配向された連続繊維のうち、特に車幅方向に配向された連続繊維が引張荷重に抵抗することで、バンパービーム11の軽量化を図りながら曲げ変形に対する強度を高めて衝突エネルギーの吸収性能を向上させることができる。
また本実施の形態によれば、圧縮荷重が作用するバンパービーム11の前面側が圧縮荷重に強い不連続繊維強化樹脂シート16で構成されており、ランダムに配向されて絡み合った不連続繊維が圧縮荷重に抵抗することで、バンパービーム11の軽量化を図りながら曲げ変形に対する強度を高めて衝突エネルギーの吸収性能をより一層向上させることができる。
図2に示すように、バンパービーム11の左右の荷重入力部B2,B2の先端に衝突荷重Fが入力したとき、左右の荷重入力部B2,B2の先端間に作用する曲げモーメントは一定の最大値となり、そこから車幅方向外側に向かって次第に減少することでバンパービームエクステンション接続部B1の変形中心において最小値となり、そこから車幅方向外側に向かって次第に増加する。つまり、バンパービーム11の底壁14aの板厚T1(図4(A)参照)は、そこに作用する曲げモーメントの大きさに応じて設定され、曲げモーメントが大きい部分では板厚T1が大きくなり、曲げモーメントが小さい部分では板厚T1が小さくなる。これにより、バンパービーム11の車幅方向の強度分布を最適化して重量を最小限に抑えながら、必要な曲げ強度を確保することができる。
特に、底壁14aはバンパービーム11の後端に位置するため、バンパービーム11の前後方向の曲げ変形に関する断面係数の増加に大きく寄与し、底壁14aの板厚T1を増加させることで、重量の増加を最小限に抑えて断面係数を効果的に増加させることができる。
更に、底壁14aの連続繊維強化樹脂シート15に第2の連続繊維強化樹脂シート17を積層することで、底壁14aの板厚T1を上壁14bおよび下壁14cの板厚T2よりも大きくしたので、底壁14aの連続繊維の量を増加させて引張荷重に対する強度を高めることができる。
またバンパービーム11は車幅方向中央部にカバー部材31を備え、カバー部材31は最上位の上壁14bおよび最下位の下壁14c間を上下方向に接続するので、前後方向の衝突荷重が入力したときにバンパービーム11が口開き変形するのを防止して断面形状を維持し、曲げ応力や剪断応力に対する強度を高めることができる。
しかもバンパービーム11は不連続繊維強化樹脂シート16を圧縮成形して構成された縦リブ14j…および端壁14k…を備えるので、衝突荷重が入力したときにバンパービーム11が口開き変形するのを防止して断面形状を維持し、曲げ応力や剪断応力に対する強度を高めることができる。
またバンパービームエクステンション接続部B1の車幅方向外端を、バンパービームエクステンション12の上部部材33Uおよび下部部材33Lの側部フランジ33a,33a、前部フランジ33c,33cおよび前壁33d,33dによって覆ったので、前後方向の衝突荷重が入力したときにバンパービーム11の車幅方向外端部が口開き変形するのを防止し、衝突荷重をバンパービーム11からバンパービームエクステンション12に確実に伝達して効率的に吸収することができる。
第2の実施の形態
次に、図8に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態に対応する部材は同じ符号を用いて表示する。
第1の実施の形態では、バンパービーム11の底壁14aの板厚T1を、上壁14bおよび下壁14cの板厚T2よりも大きくする手段として、底壁14aにおいて連続繊維強化樹脂シート15に第2の連続繊維強化樹脂シート17を積層しているが、第2の実施の形態では、第2の連続繊維強化樹脂シート17を廃止し、その代わりに底壁14aにおける不連続繊維強化樹脂シート16の板厚を増加させている。バンパービーム11の加圧成形時に不連続繊維強化樹脂シート16は金型21内で任意の形状に変形可能であるため、その板厚を変化させることは容易である。
本実施の形態によれば、底壁14aの不連続繊維強化樹脂シート16を上壁14bおよび下壁14cの不連続繊維強化樹脂シート16よりも厚くすることで、底壁14aの板厚T1を上壁14bおよび下壁14cの板厚T2よりも大きくしたので、底壁14aにおける不連続繊維の量を増加させて圧縮荷重に対する強度を高めることができる。
第3の実施の形態
次に、図9〜図17に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。前述の実施の形態に対応する部材は同じ符号を用いて表示し、詳細な説明は省略し、同様に得られる作用についても記載を省略する。
バンパービーム11は、前方に向けて開放するU字状断面の上ビーム部14Uおよび下ビーム部14Lを上下に結合したW字状断面の部材であり、上ビーム部14Uおよび下ビーム部14Lは、後端に位置する底壁14aと、底壁14aの上端から前方に延びる上壁14bと、底壁14aの下端から前方に延びる下壁14cと、上ビーム部14Uの上壁14bの前端から上方に延びる上部フランジ14dと、下ビーム部14Lの下壁14cの前端から下方に延びる下部フランジ14eと、上ビーム部14Uの下壁14cおよび下ビーム部14Lの上壁14bを上下方向に接続する中間フランジ14fと、上部フランジ14dの上端を後方に折り返した上部折り返し部14gと、下部フランジ14eの下端を後方に折り返した下部折り返し部14hとを備える。
またバンパービームエクステンション接続部B1の上ビーム部14Uおよび下ビーム部14Lの車幅方向中間部は、それぞれ上壁14b、底壁14aおよび下壁14cを接続するように上下方向かつ前後方向に延びる2枚の縦リブ14j,14jを備えるとともに、上ビーム部14Uおよび下ビーム部14Lの車幅方向外端部は、それぞれ上壁14b、底壁14aおよび下壁14cを接続するように上下方向かつ前後方向に延びる1枚の端壁14kを備える。尚、バンパービーム11の車幅方向内側の縦リブ14j…から端壁14k…までの間には、上部フランジ14d,14d、下部フランジ14e,14e、上部折り返し部14gおよび下部折り返し部14hは形成されていない(図9参照)。
バンパービーム11の車幅方向中央部には金属製の引張部材131が装着される。引張部材131は、矩形状の本体部31a′と、本体部31a′の上下端を後方に折り曲げた係止部31b′,31c′を備えており、上端の係止部31b′および下端の係止部31c′が、バンパービーム11の上部フランジ14dの上部折り返し部14gおよび下部フランジ14eの下部折り返し部14hにそれぞれクリップ32′,32′で固定される。これにより、引張部材131の上端の係止部31b′がバンパービーム11の上部折り返し部14gに上方から係合し、引張部材131の下端の係止部31c′がバンパービーム11の下部折り返し部14hに下方から係合する。
本実施の形態では、連続繊維プリプレグ15′の補強材は、ガラス連続繊維を相互に直交する方向に配向した織布であり、不連続繊維プリプレグ16′の補強材は、ランダム配向した繊維長が30mm程度の長繊維からなるガラス不連続繊維の不織布である(図16参照)。
従って、雌型22および雄型23を型締めすると、連続繊維プリプレグ15′が雌型22のキャビティ22a,22aと雄型23のコア23a,23aとによってプレスされ、W字状断面を有するバンパービーム11の後面が成形される。このとき、不連続繊維プリプレグ16′は容易に変形可能であるため、連続繊維プリプレグ15′と雄型23のコア23a,23aとによって挟まれた不連続繊維プリプレグ16′は、連続繊維プリプレグ15′の前面に沿って薄い膜状に積層されるとともに、コア23a,23aの溝23b…内に流入して縦リブ14j…および端壁14k…を成形し、かつ上部折り返し部14gおよび下部折り返し部14hを同時に成形する。そして金型21から取り出したバンパービーム11の外周にはみ出した余剰部分を切断することで、バンパービーム11を完成する。このように、成形性の高い不連続繊維強化樹脂シート16により、複雑な断面形状のバンパービーム11を容易に成形することができる。
圧縮された不連続繊維プリプレグ16′がコア23a,23aの溝23b…内に流入して縦リブ14j…を成形する際に、不連続繊維プリプレグ16′に含まれる不連続繊維の長手方向が流れの方向に沿って整列することで、縦リブ14j…の強度が効果的に高められる(図14の鎖線枠内参照)。
図9〜図11および図13〜図15に示すように、バンパービームエクステンション12は上下対称な形状を有する上部部材33Uおよび下部部材33Lを備え、上部部材33Uおよび下部部材33Lのコ字状断面を有する本体部33a′,33a′を、それらの車幅方向外端に形成した側部フランジ33b′,33b′および車幅方向内端に形成した側部フランジ33c′,33c′で重ね合わせてリベット34…で一体に結合することで、前後方向に貫通するボックス状の閉断面に構成される。
また車幅方向内側の側部フランジ33c′,33c′の前端から車幅方向内側に向けて三角形状の延長部33d′,33d′が張り出しており、本体部33a′,33a′の前端から延長部33d′,33d′の前端に跨がるようにバンパービーム取付部33e,33eが形成される。上部部材33Uのバンパービーム取付部33eは、本体部33a′から上方に立ち上がった後に前方に延び、前方に延びる部分がバンパービーム11の上ビーム部14Uの上壁14bの上面に重ね合わされ、4本のリベット35…で固定される。同様に下部部材33Lのバンパービーム取付部33eは、本体部33a′から下方に立ち下がった後に前方に延び、前方に延びる部分がバンパービーム11の下ビーム部14Lの下壁14cの下面に重ね合わされ、4本のリベット35…で固定される。そして本体部33a′の前側に連なるバンパービーム取付部33e,33eの車幅方向外端に、バンパービーム11の車幅方向外端を前方から覆う係止壁33g,33gが形成される。
次に、上記構成を備えた本発明の第3の実施の形態の作用を説明する。
自車のバンパービームが他車のバンパービームに前面衝突したような場合、図10および図17(A)に示すように、本実施の形態のバンパービーム11は、前述の実施の形態と同様に、捩じり変形による口開きが抑制されて破壊強度が高められる。
このとき、バンパービームエクステンション12はバンパービーム11の変形中心よりも車幅方向内側に延長されてバンパービームエクステンション接続部B1に接続される延長部33d′,33d′を備えるので、前面衝突の衝突荷重が入力したときにバンパービーム11の変形中心の位置を車幅方向内側に移動させ、バンパービーム11に作用する曲げモーメントの最大値を低下させることで、バンパービーム11を軽量化しながら局部的な破壊を防止することができる。しかも前後方向に見たときにバンパービームエクステンション12の延長部33d′,33d′はバンパービーム11の上部折り返し部14gおよび下部折り返し部14hにオーバーラップするので、衝突荷重をバンパービーム11からバンパービームエクステンション12の延長部33d′,33d′に効率的に伝達し、延長部33d′,33d′を座屈変形させて衝突エネルギーを吸収することができる。
本実施の形態によれば、バンパービーム11は車幅方向中央部に引張部材131を備え、引張部材131は上部折り返し部14gおよび下部折り返し部14h間を上下方向に接続するので、前後方向の衝突荷重が入力したときにバンパービーム11が口開き変形するのを一層確実に防止して断面形状を維持し、曲げ応力や剪断応力に対する強度を高めることができる。
図17(A)に示すように、バンパービーム11の左右の荷重入力部B2,B2の先端に衝突荷重Fが入力したとき、左右の荷重入力部B2,B2の先端間に作用する曲げモーメントは一定の最大値となり、そこから車幅方向外側に向かって次第に減少することでバンパービームエクステンション接続部B1の変形中心において最小値となる。
バンパービームエクステンション12のバンパービーム取付部33e,33eをバンパービーム11のバンパービームエクステンション接続部B1に固定する上下各4本のリベット35…のうち、上下各3本のリベット35…が本体部33a′,33a′の前方に位置している。これら3本のリベット35…のうち、最も車幅方向内側に位置するリベット35(車幅方向内側の締結点)の近傍が前記変形中心となり、最も車幅方向外側に位置するリベット35(車幅方向外側の締結点)の近傍に前記係止壁33gが形成される。
図17(A)に示すように、仮に、バンパービーム11の車幅方向外端部がバンパービームエクステンション12に固定されていないとすると、バンパービーム11の変形中心において曲げモーメントがゼロになり、荷重の入力点において曲げモーメントが最大値となる。
しかしながら、実際にはバンパービーム11の車幅方向外端部がバンパービームエクステンション12にリベット35で固定され、かつ係止壁33gでバンパービームエクステンション12の前端に係止されているため、衝突荷重の入力時に変形中心を支点として前方に移動しようとするバンパービーム11の車幅方向外端部が、バンパービームエクステンション12から後向きの荷重fを受けることになる。この荷重fにより、図17(B)に示すように、バンパービーム11に逆向きの曲げモーメント(バンパービーム11を前方に凸に変形させる曲げモーメント)が作用することで、荷重の入力点に作用する曲げモーメントが最大値が低減し、これにより荷重の入力点におけるバンパービーム11の局部的な破壊を防止することができる。
このとき、バンパービーム11の車幅方向外端部をリベット35だけでバンパービームエクステンション12に固定すると、その部分に荷重が集中して破断する可能性があるが、前記リベット35を補助するように係止壁33gでバンパービームエクステンション12およびバンパービーム11を固定することで、バンパービーム11の車幅方向外端部の破断を防止することができる。
ところで、バンパービームエクステンション12は、バンパービーム11から後向きの圧縮荷重を受けて圧壊することで衝突エネルギーを吸収するが、衝突荷重の入力時に変形中心を支点として前方に移動しようとするバンパービーム11の車幅方向外端部に引っ張られ、バンパービームエクステンション12の車幅方向外端部に前向きの荷重f′が作用する(図17(B)参照)。この荷重f′はバンパービームエクステンション12の圧壊を抑制する方向に作用するため、その大きさが過大になるとバンパービームエクステンション12の安定した圧壊が阻害されてエネルギー吸収性能が低下する可能性がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、バンパービーム11の車幅方向内側の締結点であるリベット35よりも車幅方向外側には上部折り返し部14gおよび下部折り返し部14hが形成されていないため、変形中心の車幅方向外側でバンパービーム11の強度を敢えて低下させ、バンパービームエクステンション12の車幅方向外端部で前向きの荷重f′が過大になるのを防止することで、バンパービームエクステンション12の安定した圧壊を可能にすることができる。
またバンパービーム11のバンパービームエクステンション接続部B1は前後方向および上下方向に延びる縦リブ14j,14jを備え、上部折り返し部14gおよび下部折り返し部14hの車幅方向外端は縦リブ14j,14jの位置を超えて車幅方向外側に延びるので、衝突荷重がバンパービーム11に入力したときに、バンパービーム11の口開き変形を上部折り返し部14gおよび下部折り返し部14hだけでなく縦リブ14j,14jにより一層確実に防止し、衝突荷重をバンパービーム11からバンパービームエクステンション12に一層確実に伝達して衝突エネルギーの吸収効果を高めることができる。
第4の実施の形態
次に、図18に基づいて本発明の第4の実施の形態を説明する。前述の実施の形態に対応する部材は同じ符号を用いて表示する。
第3の実施の形態の引張部材131は金属製であるが、本実施の形態の引張部材131′は繊維強化樹脂製であり、前側に位置する連続繊維強化樹脂シート17aと後側に位置する不連続繊維強化樹脂シート18とを積層して構成される。そして引張部材131′の不連続繊維強化樹脂シート18よりなる上下の係止部31b′,31c′の内面は、バンパービーム11の不連続繊維強化樹脂シート16よりなる上部フランジ14d、下部フランジ14e、上部折り返し部14gおよび下部折り返し部14hに振動溶着により固定される。
このように、引張部材131′およびバンパービーム11の不連続繊維強化樹脂シート16,18どうしを振動溶着することで溶着強度が高められるだけでなく、クリップ32′,32′のような特別の固定部材が不要になって部品点数の削減が可能になる。しかも引張部材131′の連続繊維強化樹脂シート17aが少なくとも上下方向に配向された連続繊維を含むことで、充分な引張強度を確保することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態ではフロント側のバンパービーム11について説明したが、本発明はリヤ側のバンパービームに対しても適用することができる。フロント側のバンパービームの場合には,前後方向外側は前方に対応し、リヤ側のバンパービームの場合には,前後方向外側は後方に対応する。
また実施の形態のバンパービーム11は前後方向外側に向けて開放するW字状断面を有するが、本発明のバンパービーム19は前後方向外側に向けて開放するU字状(あるいはコ字状)断面を有するものであっても良い。
また実施の形態のバンパービームエクステンション12は、フロントサイドフレームの前突で潰れて衝撃吸収する前端部や、リヤサイドフレームの後突で潰れて衝撃吸収する後端部といった、衝撃吸収部材であっても良い。

Claims (5)

  1. W字状断面あるいはU字状断面を有するとともに、不連続繊維を含む不連続繊維強化樹脂シート(16)と、連続繊維を含む連続繊維強化樹脂シート(15)とを積層して構成されたバンパービーム(11)が、車幅方向外側に位置して衝撃吸収部材(12)に接続される左右一対の衝撃吸収部材接続部(B1)と、該衝撃吸収部材接続部(B1)の車幅方向内側に位置して前記バンパービーム(11)のうちで前後方向外側に最も突出する左右一対の荷重入力部(B2)とを備えてなる自動車用バンパーであって、
    前記バンパービーム(11)は、垂直に位置する底壁(14a)と、前記底壁(14a)の上下両端から水平方向に延びる側壁(14b,14c)とを備え、前記底壁(14a)の板厚(T1)は前記側壁(14b,14c)の板厚(T2)よりも大きく、
    前記左右の荷重入力部(B2)の前後方向外側に最も突出する先端に衝突荷重(F)が入力したとき、それら左右の荷重入力部(B2)の先端間に作用する曲げモーメント一定の最大値となり、そこから車幅方向外側に向かって次第に減少することで前記衝撃吸収部材接続部(B1)の変形中心において前記曲げモーメントが最小値となるのに対応して、前記曲げモーメントが大きい部分では前記板厚(T1)が大きくなり、前記曲げモーメントが小さい部分では前記板厚(T1)が小さくなるように、衝突荷重(F)により前記バンパービーム(11)に作用する曲げモーメントの分布に応じて前記底壁(14a)の板厚(T1)を車幅方向に変化させたことを特徴とする自動車用バンパー。
  2. 前記底壁(14a)の連続繊維強化樹脂シート(15)に第2の連続繊維強化樹脂シート(17)を積層することで、前記底壁(14a)の板厚(T1)を前記側壁(14b,14c)の板厚(T2)よりも大きくしたことを特徴とする、請求項1に記載の自動車用バンパー。
  3. 前記底壁(14a)の不連続繊維強化樹脂シート(16)を前記側壁(14b,14c)の不連続繊維強化樹脂シート(16)よりも厚くすることで、前記底壁(14a)の板厚(T1)を前記側壁(14b,14c)の板厚(T2)よりも大きくしたことを特徴とする、請求項1に記載の自動車用バンパー。
  4. 前記バンパービーム(11)は、車幅方向中央部において前後方向外側に向けて凹状に湾曲する中央湾曲部(A)と、前記中央湾曲部(A)の車幅方向両側において前後方向外側に向けて凸状に湾曲する一対の左右湾曲部(B)とからなり、前記左右湾曲部(B)は、前記衝撃吸収部材接続部(B1)と前記荷重入力部(B2)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用バンパー。
  5. 前記バンパービーム(11)は上部フランジ(14d)を前後方向内側に折り返した上部折り返し部(14g)と下部フランジ(14e)を前後方向内側に折り返した下部折り返し部(14h)とを備え、前記衝撃吸収部材接続部(B1)は少なくとも車幅方向内側の締結点(35)および車幅方向外側の締結点(35)で前記衝撃吸収部材(12)の本体部(33a′)に締結され、前記上部折り返し部(14g)および前記下部折り返し部(14h)の車幅方向外端は前記車幅方向内側の締結点(35)の近傍を終端とすることを特徴とする、請求項に記載の自動車用バンパー。
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