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JP6119894B2 - 加工性に優れた高強度鋼板 - Google Patents

加工性に優れた高強度鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、自動車用部品として広範囲に適用可能な加工性に優れた高強度鋼板に関するものである。
本発明で、加工性とは、主に張出し成形性および伸びフランジ成形性のことをいう。
近年の環境保全の観点から、車体軽量化による自動車の燃費向上が重要な課題となっている。このため、自動車部品では高強度化による薄肉軽量化が検討されている。しかしながら、鋼板の高強度化に伴い、加工性は低下するため、高強度でかつ加工性の良い鋼板が強く要望されていた。
これまでに高強度と良好な加工性を兼ね備えた鋼板については、さまざまな研究開発がなされてきた。その一つとして、鋼板の塑性変形時に起こる残留オーステナイトのTRIP(Transformation Induced Plasticity)現象を利用した、残留オーステナイト鋼板が挙げられる。
例えば、特許文献1には、「質量%で、C:0.05%以上0.2%以下、Si:0.8%以上2.5%以下、Mn:0.5%以上2.5%以下、P:0.015%以下、S:0.01%以下、Al:0.05%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成、および、面積%で、円相当径0.5μm以下の炭化物:0.05%以上0.3%以下、残留オーステナイト:3%以上15%以下、フェライト:60%以上を含み、マルテンサイト:5%以下である組織を有することを特徴とする高速変形特性および伸び特性に優れる高張力熱延鋼板」が開示されている。
また、特許文献2には、「平均粒径が10μm以下のフェライトの粒内および粒界に、体積率で3%以上、炭素濃度が質量%で0.9%以上のラス状オーステナイトと、体積率で10%以上の、ラス状もしくは平均粒径が10μm以下の粒状のマルテンサイトとが存在することを特徴とする高強度鋼板」が開示されている。
特許文献3には、「重量%で、C:0.07〜0.14%、Si:0.9〜1.4%、Mn:1.0〜1.8%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.006%以下、Ca:0.001%以下を含有し、残部が実質的にFeからなる鋼スラブをオーステナイト単相域で仕上圧延後、Tc(℃):450〜650℃の温度範囲で巻取り、フェライト単相の、または、フェライトに加えてパーライトおよびベイナイトのうち1種以上を含む熱延板とした後、{Ac1+20×(650−Tc)/200}〜{Ac3−20×(Tc−450)/200}(℃)の温度範囲に10秒以上保持した後、冷却速度10℃/s以上で300〜500℃の温度範囲まで冷却し、その温度範囲で20秒以上保持し、残留オーステナイトを3〜10%含有する鋼板とすることを特徴とする高加工性高強度熱延鋼板の製造方法」が開示されている。
特開2004-18952号公報 特開2007-231399号公報 特開2003-55716号公報
しかしながら、上述した従来技術には、次のような問題があった。
すなわち、特許文献1では、請求項1に記される化学成分および金属組織を有する鋼板とすることにより、真ひずみ0.1までの高速変形時の吸収エネルギーが上昇し、かつ伸び特性も向上するという知見が得られているものの、張出し成形性や伸びフランジ成形性を向上させることに対しては何の指針も与えていない。
特許文献2では、金属組織が、平均粒径10μm以下のフェライトの粒内および粒界に、体積率で3%以上、炭素濃度が質量 %で0.9%以上のラス状オーステナイトと、体積率で10%以上の、ラス状もしくは平均粒径が10μm以下の粒状のマルテンサイトで構成される鋼板では、引張り強さTS(MPa)と伸び値(EL)との積TS×ELが20000(MPa・%)以上であることが示されているが、鋼板の成形性の指標である均一伸びと高ひずみ域での加工硬化係数(n値)については明らかにされておらず、近年の高強度でかつ加工性の良い鋼板への要望に対しては十分とは言えない。また、実施例に示されているように強度は702MPa以上であり、現在自動車骨格部材として多く使用されている590MPa級の鋼板については明らかとされていない。
特許文献3では、コイルの全長および全幅にわたって材質が均一であり、コイル内材質安定性に優れた残留オーステナイト鋼板の製造方法についての知見は得られているものの、張出し成形性を向上させることに対しては何の指針も与えていない。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、従来明確な指針が与えられていなかった張出し成形性や伸びフランジ成形性を効果的に改善した加工性に優れた高強度鋼板を提案することを目的とする。
なお、張出し成形性は均一伸びとの関係が強く、均一伸びを大きくすることで張り出し性を良好とすることができ、伸びフランジ性は穴広げ率(λ)で評価することができる。
さて、発明者らは、自動車用部品として広範囲に適用可能な加工性に優れた高強度鋼板を得るべく鋭意検討を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
(1) 金属組織は、フェライトを主相とし、残留オーステナイト量および残留オーステナイトを含むフェライト以外の相である第二相の平均粒子間隔を適正化することによって、張出し成形性を高める均一伸びが向上するとともに、伸びフランジ成形性の指標である穴広げ率(λ)が向上する。
(2) 残留オーステナイトの量や第二相の平均粒子間隔を適正化して、大きな均一伸びや穴広げ率(λ)を得て、張出し成形性および伸びフランジ成形性に優れる鋼板を製造するためには、鋼板に添加するC量、Si量およびMn量に応じて、熱延後の焼鈍温度を適正な条件に制御する必要がある。
本発明は、上記の知見に基づき開発されたもので、その要旨は以下のとおりである。
1.質量%で、
C:0.11%以上 0.16%以下、
Si:0.7%以上 1.10%以下、
Mn:1.0%以上 1.23%以下、
P:0.05%以下、
S:0.005%以下および
Al:0.07%以下
を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、金属組織は、主相であるフェライトと、フェライト以外の第二相とからなり、該第二相中に残留オーステナイトを組織全体に対する体積率で5%以上15%以下含み、該第二相の平均粒子間隔が1.0μm以上5.0μm以下であり、均一伸びが19%以上、穴広げ率が55%以上であることを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板。
本発明によれば、引張強さが590MPa以上、均一伸びが19%以上、穴広げ率が55%以上である加工性に優れた高強度鋼板を得ることができる。
そして、本発明の鋼板を自動車用部品に適用した場合、プレス成形が容易で自動車車体の軽量化に十分に寄与でき、産業上格段の効果を奏する。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼板の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、以下の成分組成を表す%は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.11%以上 0.16%以下
Cは、残留オーステナイトの生成に必要な元素である。本発明では、所望の残留オーステナイト量を得るために0.11%以上のC量が必要である。しかし、C量が0.16%を超えると溶接性が著しく低下する。よって、C量は0.11%以上 0.16%以下の範囲とする。好ましくは0.12%以上 0.15%以下の範囲である。
Si:0.7%以上 1.5%以下
Siは、固溶強化に寄与する元素である。所望の引張強さである590MPa以上を得るためには、0.7%以上のSi添加が必要であるが、1.5%を超えて添加するとスケールの生成により鋼板の表面性状が悪化する。よって、Si量は0.7%以上 1.5%以下とする。好ましくは0.8%以上 1.2%以下の範囲である。
Mn:1.0%以上 2.0%以下
Mnは、固溶強化によって、または第二相体積率を上昇させることによって、強度を上昇させる元素である。所望の引張強さである590MPa以上を得るためには、1.0%以上のMn添加が必要であるが、2.0%を超えて添加すると強度が上昇し、所望の穴広げ率が得られない。よって、Mn量は1.0%以上 2.0%以下とする。好ましくは1.1%以上 1.5%以下の範囲である。
P:0.05%以下
Pは、0.05%を超えて含有すると旧オーステナイト粒界に偏析し、低温靱性を劣化させる。よって、P量は0.05%以下とする。好ましくは0.03%以下である。
S:0.005%以下
Sは、少ないほど好ましい。S量が0.005%を超えて含有された場合、旧オーステナイト粒界へのS偏析や鋼板中へのMnSの析出により、穴広げ率の低下を招く。よって、S量は0.005%以下とする。好ましくは0.004%以下である。
Al:0.07%以下
Alは、鋼の脱酸剤として添加され、鋼の清浄度を向上させるのに有効な元素である。この効果を十分得る上では、0.02%以上含有させることが好ましい。しかし、0.07%を超えてAlを添加すると介在物が多量に発生し、鋼板のヘゲの原因となる。よって、Al量は0.07%以下とする。好ましくは0.05%以下である。
なお、上記以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物のうち、例えばOは、非金属介在物を形成して品質に悪影響を及ぼすため、0.003%以下に低減することが望ましい。
また、本発明では、本発明の作用効果を害さない微量元素として、CuやNi,Sn,Sb等を0.05%以下の範囲であれば含有してもよい。
次に、本発明において、金属組織を前記の範囲に限定した理由について説明する。
相構成:フェライトと第二相
本発明では、高強度化と加工性の向上を図るため、主相であるフェライト相と残留オーステナイトを含む第二相からなるミクロ組織とする。
ここで、フェライト相主相とは、フェライト相が体積率で70%以上であることを意味する。好ましくは80%以上である。
また、第二相とは、フェライト以外の鋼組織を意味する。
残留オーステナイト:組織全体に対する体積率で5%以上15%以下
本発明において、残留オーステナイトの体積率を制御することは極めて重要である。残留オーステナイトの体積率は均一伸びに大きく影響する。つまり、残留オーステナイトの体積率が5%未満では所望とする均一伸びが得られない。このため、残留オーステナイトの体積率は、組織全体に対する体積率で5%以上とする必要がある。
残留オーステナイトの体積率の上昇に伴い均一伸びは上昇するため、張出し成形性の向上のためには残留オーステナイトの体積率の上限は制限されることはない。しかし、フランジなどの打ち抜き加工部の近傍では、残留オーステナイトがマルテンサイト変態にするために、マイクロボイドが発生し、穴広げ率を低下させる場合がある。従って、残留オーステナイト量の体積率は15%以下に制限する。
第二相の平均粒子間隔:1.0μm以上 5.0μm以下
本発明において、第二相の平均粒子間隔を制御することは、均一伸びを向上させ、ひいては優れた張出し性を得る上で極めて重要である。第二相の平均粒子間隔は、鋼板中の第二相粒子分散度を示す。この平均粒子間隔が5.0μm超えでは、第二相1個当りの平均粒径が大きく、点在していることを示す。この場合は、第二相内のC濃度が低下するために、残留オーステナイト中のC濃度が低下し、均一伸びの上昇に寄与する残留オーステナイトが得られないことから、目標とする均一伸びが得られない。よって、平均粒子間隔は5.0μm以下にする必要がある。平均粒子間隔は小さいほど、均一伸びは向上する傾向にある。この場合は、第二相1個当りの平均粒径が小さく、分散していることを示す。しかし、平均粒子間隔が1.0μm未満では、第二相が偏在していることを示すため、目標とする均一伸びは得られるものの、均一伸びは幾分低下する。よって、平均粒子間隔は1.0μm以上とする。
なお、本発明において、第二相は主に残留オーステナイトとマルテンサイトで構成される。第二相の体積率は好ましくは5%以上30%以下である。これは第二相の体積率が30%を超える場合は、穴広げ率を低下させる場合があるためである。
なお、その他、第二相としてベイナイトや炭化物を有する場合があるが、これらは体積率にして2%以下であれば、本発明の効果が損なわれることはない。
以上、述べたとおり、張出し成形性の評価指標である均一伸びと伸びフランジ成形性の指標である穴広げ率を向上させるためには、残留オーステナイトの体積率および第二相の平均粒子間隔を適正化することが重要である。
ここで、第二相の体積率は、鋼板の圧延方向に平行な板厚方向断面を研磨した後、ナイタール液で腐食し、光学顕微鏡で倍率:1000倍で3視野撮影して、画像処理により組織の種類を選別して求めた。なお、このような光学顕微鏡での組織観察では、マルテンサイトと残留オーステナイトの明瞭な識別が難しい。このため、残留オーステナイトの体積率は、板厚1/4板面のX線回折により測定した。すなわち、板厚1/4位置まで研削した後、化学研磨によりさらに0.1mm研磨した面について、X線回折装置でMoのKα線を用いて、fcc鉄の(200),(220),(311)面とbcc鉄の(200),(211),(220)面の積分強度を測定し、これらから 残留オーステナイトの分率を求め、残留オーステナイトの体積率とした。なお、マルテンサイトの体積率は、上記した光学顕微鏡での観察により、残留オーステナイトあるいはマルテンサイトとして観察された組織の体積率から、残留オーステナイトの体積率を引いた値として算出した。また、フェライトの体積率は、組織全体(100%)から、第二相の体積率を引いた値として求めた。
第二相の平均粒子間隔は、画像処理により、第二相粒子をボロノイ多角形に変換し、それぞれの多角形の重心を通る直線を2度ピッチで測定し、平均を算出した。
次に、本発明の好適製造条件について説明する。
鋼スラブ:使用する鋼スラブは、転炉等の公知の溶製方法で溶製した溶鋼を、成分のマクロ偏析を防止するために連続鋳造で鋼スラブとすることが好ましいが、造塊法で製造することもできる。
熱間圧延:このようにして製造された鋼スラブは、室温まで冷却後、あるいは室温まで冷却せずに加熱炉で再加熱したり、加熱炉を通さずに高温のまま保熱して、熱間圧延に共される。熱延条件は特に限定する必要はないが、所望の成分組成に調整した鋼スラブを1100〜1300℃の範囲の温度に加熱したのち、850〜950℃で熱間圧延を終了し、その後720℃以下で巻き取る工程とすることが好ましい。つまり、鋼スラブの加熱温度が1100℃未満では、素材の変形抵抗が高いため、熱間圧延が困難になる場合がある。一方、1300℃を超えると結晶粒径が粗大化するため、引張強さが低下する場合がある。よって、1100〜1300℃で加熱することが好ましい。また、圧延終了温度が850℃未満では、圧延中にフェライトが生成するため、伸展したフェライトが形成される。伸展したフェライトは穴広げ率の低下を招く場合がある。一方、950℃を超えると結晶粒径が粗大化するため、引張り強さが低下する場合がある。よって、850〜950℃で圧延を終了することが好ましい。
また、圧延終了後の巻取り温度が720℃を超えると、内部酸化層が著しく形成し、化成処理性および塗装後耐食性を劣化させる場合がある。よって、巻取り温度は720℃以下とすることが好ましい。
次に、熱延工程で得られた熱延板に、鋼板表面に生成したスケールを除去するための酸洗処理を行ったのち、焼鈍を行う。
焼鈍:Ac1変態点以上でかつ次式(1)を満たす加熱温度T1(℃)で30s以上300s以下加熱する。
0.0075×T1+0.03×([%C]+[%Mn]−[%Si])−5.5≦0.8 --- (1)
ここで、T1は加熱温度(℃)、[%M]はM元素の含有量(質量%)
(1)式は、各C、Si、Mn量である鋼の加熱温度T1(℃)でのオーステナイトの割合(すべてオーステナイトである場合を1とする)を示すものである。
発明者らは、加熱温度T1でのオーステナイトの割合が鋼板の残留オーステナイトの体積率に及ぼす影響を実験的に明らかにすることにより、上記(1)式を導き出すに至った。
つまり、(1)式で0.8を超える加熱温度T1で加熱すると、加熱時のオーステナイト分率が高くなると共に、オーステナイト粒は粗くなる。また、その後の冷却過程において、フェライトが生成し、室温における第二相の粒は粗く、平均粒子間隔は広くなる。この場合、残留オーステナイト中に含まれるC濃度が低いために、均一伸びは低下すると考えられる。一方、加熱温度がAc1変態点未満では、熱延工程で生成したセメンタイトが未固溶のまま残存し、残留オーステナイトの体積率が低下する。このため、焼鈍温度はAc1変態点以上でかつ上記(1)式を満たす加熱温度T1(℃)とした。
さらに、加熱時間も30s未満であればセメンタイトが未固溶のまま残存する。一方、加熱時間が300sを超えると、オーステナイト粒は粗くなるため、第二相の平均粒子間隔が5.0μmを超えるようになる。このため、加熱時間は30s以上300s以下とする。好ましくは100s以下である。
焼鈍後の冷却:10℃/s以上の冷却速度で300℃以上550℃以下の冷却停止温度T2まで冷却する。
冷却速度が10℃/s未満の場合、冷却中にパーライトが生成するために、残留オーステナイトの体積率が低下する。従って、焼鈍後の冷却速度は10℃/s以上とする。好ましくは16℃/s以上である。なお、この冷却速度の上限値は特に制限されることはないが、40℃/s程度とすることが好ましい。
また、冷却停止温度が300℃未満である場合は、マルテンサイト分率が上昇するために穴広げ率が低下する。一方、冷却停止温度が550℃を超える場合は、パーライトが生成するために、残留オーステナイトの体積率が低下する。このため、冷却停止温度T2は300℃以上550℃以下とする。好ましくは350℃以上500℃以下である。
冷却停止温度:T2以下(T2−50℃)以上で、50s以上400s以下の保持
冷却停止温度T2での保持時間の経過に伴い、残留オーステナイトの体積率は上昇する。このため、保持時間は50s以上とする。これは、保持中にフェライトから未変態のオーステナイトにCの拡散が生じるためと考えられる。しかし、保持時間が400sを超えると残留オーステナイトの体積率が15%を超えるために、目標とする穴広げ率が得られない。よって、保持時間は400s以下にする必要がある。なお、上記した保持時間の効果は、冷却停止温度T2での保持は等温保持はもちろんのこと、(T2−50℃)まで低下してもその効果は変わらない。このため、冷却停止温度:T2以下(T2−50℃)以上で、50s以上400s以下の保持とした。
表1に示す組成の鋼を溶製し、スラブとした後、1200℃に加熱し、圧延終了温度:890℃で熱間圧延を終了し、600℃で巻き取って板厚:1.8mmの熱延板とした。ついで、熱延板を酸洗後、連続焼鈍設備を用い、表2に示す条件で焼鈍を実施した。なお、表1に示す鋼のAc1変態点は次式により算出した。
Ac1点(℃)=723+29.1[%Si]−10.7[%Mn]
ここで、[%M]はM元素の含有量(質量%)を意味する。
また、表2に示す上限温度は、上記した(1)式より求めたT1の上限温度であり、保持時間は冷却停止温度T2〜(T2−50℃)での保持時間である。
このようにして得られた鋼板に対して、前述した方法により、ミクロ組織および第二相の平均粒子間隔を調べた。なお、画像処理はImage-Pro Plus Ver.4.1(Media Cybernetics社製)を用いて行った。
また、JIS 5号試験片を用い、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行い、TSおよび均一伸びを測定した。
さらに、100mm角の試験片を用い、日本鉄連規格JFST1001-1996に準拠して穴広げ試験を行い、穴広げ率(λ)を測定した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0006119894
Figure 0006119894
Figure 0006119894
本発明に従い得られた鋼板はいずれも、TSが590MPa〜700MPa、均一伸びが19%以上、λが55%以上であり、加工性に優れた高強度鋼板であることが分かる。
これに対し、比較例の鋼板はいずれも、目的とするTS、均一伸びあるいはλが得られていない。

Claims (1)

  1. 質量%で、
    C:0.11%以上 0.16%以下、
    Si:0.7%以上 1.10%以下、
    Mn:1.0%以上 1.23%以下、
    P:0.05%以下、
    S:0.005%以下および
    Al:0.07%以下
    を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、金属組織は、主相であるフェライトと、フェライト以外の第二相とからなり、該第二相中に残留オーステナイトを組織全体に対する体積率で5%以上15%以下含み、該第二相の平均粒子間隔が1.0μm以上3.1μm以下であり、均一伸びが22.2%以上、穴広げ率が66%以上であることを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板。






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