しかしながら,レンズユニットにレンズ固有情報を持たせる態様では,当然にカメラ本体とレンズユニットが通信可能に構成される必要がある。また,カメラ本体とレンズユニットとの間にマウントアダプタを設けることにより,マウントアダプタを介してレンズユニットをカメラ本体に取り付ける態様では,レンズユニットが持つレンズ固有情報をカメラ本体に与えることができず,レンズユニットに適する信号処理をカメラ本体において実現することができない。ユーザがカメラ本体を操作してレンズ固有情報をカメラ本体に設定することも考えられるが,レンズ固有情報の量が多く,ユーザにとって負担が大きい。
この発明は,レンズユニットに固有のレンズ情報を,短時間で,簡易かつ正確に,カメラ本体に入力(設定)できるようにすることを目的とする。
この発明によるレンズ情報登録システムは,レンズユニットを着脱可能なカメラ本体,および上記カメラ本体にレンズ情報を提供するレンズ情報サーバを備える。
上記カメラ本体は,被写体を撮像し画像データとして出力する撮像手段,上記レンズ情報サーバから送信されるレンズユニットのレンズ情報を受信するレンズ情報受信手段,上記レンズ情報受信手段によって受信されるレンズ情報を記憶するレンズ情報記憶手段,および上記レンズ情報記憶手段に記憶されるレンズ情報を用いて上記撮像手段によって出力される画像データを処理する画像処理手段を備える。
上記レンズ情報サーバは,レンズユニットの対物側(前面,カメラ本体に接続される側と反対側)を表すレンズユニット画像データを受信する受信手段,レンズユニットの対物側に印字されている文字列に関連づけて,その文字列によって特定されるレンズユニットのレンズ情報を記憶するレンズ情報データベース,受信した上記レンズユニットの対物側を表すレンズユニット画像データを用いて,上記レンズユニットの対物側に印字されている文字列を認識する文字列認識手段,上記文字列認識手段によって認識された文字列に関連付けられている上記レンズユニットのレンズ情報を,上記レンズ情報データベースから検索する検索手段,検索によって抽出されたレンズユニットのレンズ情報を上記カメラ本体に送信するレンズ情報送信手段を備える。
カメラ本体に装着されるレンズユニットの対物側(前面)には,一般に,メーカ名,製品名,焦点距離,F値,口径等を表す文字列が印字されている。この発明によると,レンズ情報サーバにおいて,レンズユニットの対物側を表すレンズユニット画像データを用いてそのレンズユニットの対物側に印字されている文字列が認識され,その文字列によって特定されるレンズユニットのレンズ情報がレンズ情報データベースから検索される。検索によって抽出されたレンズ情報がレンズ情報サーバからカメラ本体に送信される。レンズ情報サーバからのレンズ情報はカメラ本体において受信されかつ記憶される。記憶されたレンズ情報は上記カメラ本体において画像データの信号処理に用いられる。
この発明によると,レンズユニットの対物側を表す画像データにしたがって,そのレンズユニットのレンズ情報がレンズ情報サーバからカメラ本体に送信されて,カメラ本体に記憶される。レンズユニットに固有のレンズ情報を,短時間で,簡易かつ正確に,カメラ本体に設定することができる。
レンズユニットの対物側に印字されている文字列の認識を,上記レンズ情報サーバに代えて上記カメラ本体において実行するようにしてもよい。文字列認識をカメラ本体が行う,この発明によるレンズ情報登録システムでは,上記カメラ本体は,被写体を撮像し画像データとして出力する撮像手段,レンズユニットの対物側を表すレンズユニット画像データを用いて,上記レンズユニットの対物側に印字されている文字列を認識する文字列認識手段,上記文字列認識手段によって認識された文字列を表す文字列データを上記レンズ情報サーバに送信する文字列データ送信手段,上記レンズ情報サーバから送信されるレンズユニットのレンズ情報を受信するレンズ情報受信手段,上記レンズ情報受信手段によって受信されるレンズ情報を記憶するレンズ情報記憶手段,および上記レンズ情報記憶手段に記憶されるレンズ情報を用いて上記撮像手段によって出力される画像データを処理する画像処理手段を備える。上記レンズ情報サーバは,レンズユニットの対物側に印字されている文字列に関連付けて,その文字列によって特定されるレンズユニットのレンズ情報を記憶するレンズ情報データベース,上記カメラ本体の文字列データ送信手段から送信される文字列データを受信する文字列データ受信手段,上記文字列データ受信手段によって受信される文字列データが表す文字列に関連付けられている上記レンズユニットのレンズ情報を,上記レンズ情報データベースから検索する検索手段,および検索によって抽出されたレンズユニットのレンズ情報を上記カメラ本体に送信するレンズ情報送信手段を備える。
上記レンズユニットの対物側を表すレンズユニット画像データは,上記カメラ本体の上記撮像手段によって撮像されて出力されるものであってもよい。上記レンズユニットの対物側を表す交換レンズユニット画像データは上記カメラ本体とは別の撮像装置によって撮像されて出力されるものであってもよい。
一実施態様では,上記文字列認識手段は,上記レンズユニット画像データを用いて上記レンズユニットの環状縁(エッジ)を検出する環状縁検出手段を含み,上記環状縁検出手段によって検出されるレンズユニットの環状縁から内側に所定幅分の環状画像範囲を文字列認識処理範囲とする。レンズユニットの対物側の文字列の印字範囲を文字列認識範囲とすることで,文字列の認識精度を向上することができる。
好ましくは,上記レンズ情報サーバは,上記文字列認識手段によって認識された文字列に関連付けられているレンズ情報が上記検索手段によって抽出されないときに,認識された文字列を補正する文字列補正手段を備え,上記検索手段は,上記文字列補正手段によって補正された文字列に関連付けられている上記レンズユニットのレンズ情報を,上記レンズ情報データベースから検索する。たとえば,レンズユニットに印字されている文字列に含まれる文字のうちの数文字が消えてしまっている場合であってもレンズユニットを特定することができる。文字列補正手段による文字列の補正は脱落文字を補完することを含む。たとえば,焦点距離を表す「mm」のうちの一方の「m」がレンズユニットから消えてしまっており「mm」でなく「m」が文字列として認識された場合に,文字列補正手段によって「m」が「mm」に補正(文字補完)される。
他の実施態様では,上記検索手段は,上記文字列認識手段によって認識された文字列に関連付けられているレンズ情報が上記検索手段によって抽出されないときに,認識された文字列に類似する文字列に関連付けられている一または複数の上記レンズユニットのレンズ情報を,上記レンズ情報データベースから検索する。認識された文字列から一の交換レンズユニットを特定することができない場合であっても,上記レンズユニットのレンズ情報をカメラ本体に送信することができる可能性が高められる。
認識された文字列に関連付けられているレンズ情報がレンズ情報データベースに登録されていない(未登録)の場合には,認識された文字列のみをカメラ本体に登録してもよい。この場合,上記レンズ情報サーバは,上記文字列認識手段によって認識された文字列に関連付けられているレンズ情報が上記検索手段によって抽出されないときに,認識された文字列を表す文字列データを上記カメラ本体に送信する文字列データ送信手段を備え,上記カメラ本体は,上記文字列送信手段によって送信される文字列データを受信する文字列データ受信手段,および上記文字列データ受信手段によって受信される文字列データを記憶する文字列データ記憶手段を備える。
一実施態様では,上記カメラ本体および上記レンズ情報サーバの少なくとも一方が,上記交換レンズユニットの対物側を表すレンズユニット画像データを鏡像反転処理する鏡像反転処理手段を備える。鏡に映ったレンズユニットを撮影することで得られる,鏡像反転したレンズユニット画像データを文字列認識処理に用いることができる。たとえば,レンズ情報を取得すべきレンズユニットを装着したカメラ本体を用いて,鏡に映ったレンズユニットの対物側を撮影することによって,鏡像反転したレンズユニットの対物側を表すレンズユニット画像データが得られる。この鏡像反転したレンズユニット画像データをさらに鏡像反転処理することで,元の(鏡像反転していない)レンズユニットの対物側を表すレンズユニット画像データが得られる。
上記レンズ情報データベースには,上記レンズユニット単体のレンズ情報のみならず,上記レンズユニットに光学アクセサリ(テレコンバータレンズ,ワイドコンバータレンズなど)を装着したときのレンズ情報を含んでもよい。この場合には,上記レンズ情報送信手段から送信される上記レンズユニットのレンズ情報が,上記レンズユニット単体のレンズ情報および上記レンズユニットに光学アクセサリを装着したときのレンズ情報の両方を含む。
カメラ本体のユーザがカメラ本体を用いて作成したレンズ情報を,上記レンズ情報データベースに登録することができるようにしてもよい。あらかじめ用意されるレンズ情報に加えて,ユーザの好みを反映したレンズ情報をレンズ情報データベースに登録することでき,たとえば,ユーザが複数のカメラ本体を所持している場合に,その複数のカメラ本体に,ユーザが作成した同じレンズ情報を登録することが可能になる。この場合,上記カメラ本体が,上記レンズユニットのレンズ情報を作成するレンズ情報作成手段,および上記レンズ情報作成手段によって作成されたレンズ情報を,上記レンズ情報サーバに送信するレンズ情報送信手段を備え,上記レンズ情報サーバが,上記カメラ本体から送信されるレンズ情報を受信するレンズ情報受信手段,およびレンズ情報受信手段によって受信されるレンズ情報を,上記レンズ情報データベースに登録する登録手段を備えるものとなる。
上記レンズ情報作成手段は,好ましくは,上記レンズユニットが装着されたカメラ本体の上記撮像手段によって撮影されるレンズ情報取得用画像を表す画像データに基づいて,上記レンズユニットのレンズ情報を作成する。
上記レンズ情報作成手段によって作成されるレンズ情報は,上記レンズユニットを用いた撮影によって取得される画像データに対する補正パラメータを含み,上記レンズ情報作成手段は補正度合の異なる複数の補正パラメータを作成するものであってもよい。たとえば,ブランケット撮影によって補正度合の異なる複数の補正パラメータをそれぞれ適用して画像補正した複数の補正画像を表す画像データを取得することができる。
一実施態様では,上記レンズ情報取得用画像として外部モニタの表示画面に表示される画像が用いられる。
他の実施態様では,上記カメラ本体が,上記外部モニタに表示される上記レンズ情報取得用画像を表す画像データを記憶するレンズ情報取得画像データ記憶手段,および上記レンズ情報取得用画像データを上記外部モニタに送信するレンズ情報取得用画像データ送信手段を備える。上記カメラ本体から外部モニタに与えられるレンズ情報取得用画像データにしたがって,外部モニタにレンズ情報取得用画像が表示される。
上記カメラ本体は,画面切替えタイミングデータを生成して上記外部モニタに送信する切替えタイミング生成/送信手段,および上記画面切替えタイミングデータが上記外部モニタに与えられて上記外部モニタにおいて上記レンズ情報取得用画像の表示の切替が行われたタイミングで自動的に被写体を撮影する撮影タイミング制御手段を備えてもよい。複数種類のレンズ情報取得用画像をカメラ本体で撮影する場合に,レンズ情報取得用画像の表示の切換えと撮影とを同期して行うことができるので,レンズ情報取得用画像の撮影の手間を減らすことができる。
外部モニタにレンズ情報取得用画像を表示してその画像を撮影する場合,モアレが発生してしまうことがある。好ましくは,上記カメラ本体は,上記撮像手段によって撮像される被写体像を表示する表示装置,および上記表示装置に表示される被写体像に,あらかじめ定められるぼかし量を示すぼかし量アシスト枠を重畳して表示する表示制御手段を備える。適切なぼかし量のぼけ画像の取得がアシストされ,外部モニタに表示されるレンズ情報取得画像を撮影するときのモアレの発生を抑制することができる。
上記カメラ本体が撮像素子シフト機構を備えるものであれば,上記撮像素子シフト機構を強制的に作動させることでモアレを発生を抑制してもよい。
他の実施態様では,上記カメラ本体は,上記撮像手段によって撮像される被写体像を表示する表示装置,および上記表示装置に表示される被写体像に画角調整用マーカを重畳して表示するマーカ表示制御手段を備える。外部モニタに表示されるレンズ情報取得用画像を撮影するときにレンズ情報取得用画像を適切に撮影することができる。
さらに他の実施態様では,上記カメラ本体は,キャリブレーション画像(たとえば黒画像)を撮影することによって得られるキャリブレーション画像データにしたがって光写り込み量を検出する光写り込み量検出手段,および上記光映り込み量検出手段によって検出された光写り込み量にしたがって,上記レンズ情報取得用画像を表す画像データを補正するレンズ情報取得用画像補正手段を備える。外部モニタに外光が入射することでモニタ表面に明るさのムラが生じているときに,その外光に起因する明るさのムラが除去される。異常な値のレンズ情報が取得されてしまうことが防止される。
この発明は,上述したレンズ情報登録システムに用いられるレンズ情報サーバおよびカメラ本体,ならびにこれらの動作制御方法も提供する。
図1は第1実施例のレンズ情報登録システムの全体的構成を示している。
第1実施例のレンズ情報登録システムは,ネットワーク(インターネット,LANなど)4を介して相互に通信可能に接続されたレンズ交換式カメラ本体(以下,カメラ本体1という)1と,レンズ情報サーバ2とを含む。カメラ本体1はデジタル一眼レフカメラまたはミラーレス一眼カメラであり,複数種類の交換式のレンズユニット(以下,レンズユニットという)を装着することができる。図1には一の種類のレンズユニット12が装着されたカメラ本体1が示されている。
カメラ本体1は,上述したように複数種類のレンズユニットを装着可能であり,レンズユニット12とは異なるレンズユニット3も装着することができる。以下に詳細に説明するように,レンズ情報登録システムでは,レンズユニット3に固有のレンズ情報(詳細は後述する)が,ネットワーク4を通じてレンズ情報サーバ2からカメラ本体1にダウンロードされ,カメラ本体1に登録(記憶)される。
図2は第1実施例の変形例のレンズ情報登録システムの全体的構成を示している。図2に示すレンズ情報登録システムは,ネットワーク4を介してレンズ情報サーバ2とパーソナル・コンピュータ5とが通信可能に接続され,パーソナル・コンピュータ5とカメラ本体1とが通信ケーブル(図示略)等を用いて接続される点が図1に示すレンズ情報登録システムと異なる。レンズユニット3に固有のレンズ情報は,レンズ情報サーバ2からネットワーク4を通じてパーソナル・コンピュータ5にダウンロードされ,パーソナル・コンピュータ5からカメラ本体1に与えられる。
図1に示すようにカメラ本体1とレンズ情報サーバ2とをネットワーク4を介して直接に接続してもよいし,図2に示すようにカメラ本体1とレンズ情報サーバ2との間にパーソナル・コンピュータ5を介在させてもよい。以下に説明するレンズ情報登録システムは,図1に示す態様,すなわちカメラ本体1とレンズ情報サーバ2とをネットワーク4を介して直接に接続する態様を前提にして説明する。
図3はレンズユニット3の斜視図であり,レンズユニット3をその前面側(対物側)から示している。
レンズユニット3は,上述したようにカメラ本体1と着脱可能なもので,望遠レンズ,広角レンズ,標準レンズ,ズームレンズ,単焦点レンズ等が含まれる。レンズユニット3は円筒状の鏡筒3Aを備え,その内部にレンズ3Bが固定されている。レンズユニット3の後面側(背面側)には,カメラ本体1との接続に用いられるマウント部(図示略)が設けられている。
レンズユニット3をその前面側(対物側)から見ると,レンズ3Bの外側周囲に,文字列が印字されている環状範囲3Cが存在する。図3に示すレンズユニット3には,レンズユニット3のメーカー名(ABCD),レンズ3Bの種類(ASPHERICAL LENS),レンズ3Bのコーティング名(SUPER EBC),レンズユニット3のマウント名(XF),焦点距離(18-55mm),口径比(1:2.8-4)などが印字されている。以下に詳述するように,レンズユニット3をその前面側から見たときに視認される文字列が,レンズユニット3の識別(特定)に用いられる。
図4はレンズユニット12が装着されたカメラ本体1およびレンズ情報サーバ2の電気的構成,ならびにレンズユニット3を示すブロック図である。分かりやすくするために,カメラ本体1に装着されているレンズユニット12を,以下「撮影用レンズ12」と呼ぶ。レンズ情報を登録すべきレンズユニット3を,以下「登録したいレンズ3」と呼ぶ。
カメラ本体1は信号処理装置11を含む。信号処理装置11によってカメラ本体1の全体動作が統括的に制御される。
カメラ本体1は操作部材16を備えている。操作部材16は電源ボタン,モード設定ダイアル,二段ストローク・タイプのシャッタ・レリーズ・ボタン等を含み,操作部材16から出力される操作信号は信号処理装置11に入力する。モード設定ダイアルによって設定されるモードには,撮影モード,再生モードなどがある。撮影モードの中にはさらに後述するレンズ情報登録モードなどがある。
カメラ本体1に装着された撮影用レンズ12を介して,被写体像を表す光線束がカメラ本体1に設けられた撮像素子(CCD,CMOSなど)13の受光面に入射する。撮像素子13の受光面上に被写体像が結像し,被写体像を表す映像信号が撮像素子13から出力する。撮像素子13からの映像信号は信号処理装置11において所定の信号処理(白バランス補正など)が行われた後,デジタル・データに変換されて表示モニタ15に与えられる。表示モニタ15には被写体像(ライブビュー,スルー画)が表示される。
シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されると,撮影用レンズ12が駆動されて焦点合わせが行われ,被写体が撮影される。撮像素子13によって撮像された被写体像を表す映像信号は画像データ生成回路18に与えられ,ここで被写体像を表す画像データが作成される。また,被写体の撮影が行われたときのシャッタスピード,絞り値などを含むタグ・データが画像タグ生成回路19において生成される。被写体像を表す画像データに信号処理装置11においてデータ圧縮等の所定の処理が行われ,圧縮画像データとタグ・データを含む画像ファイルが画像記録媒体14に記録される。
操作部材16において再生モードが設定されると,画像記録媒体14に記録されている画像ファイルが読み出され,信号処理装置11において伸張処理等が行われた後,表示モニタ15に与えられる。表示モニタ15に再生画像が表示される。
カメラ本体1はさらに,レンズ機種データ,レンズ特性データおよびレンズ特性補正データを記憶したレンズ情報記憶装置17と,レンズ特性補正回路22とを備えている。詳細は後述するが,レンズ情報記憶装置17に記憶されるレンズ機種データ,レンズ特性データおよびレンズ特性補正データは,カメラ本体1に装着されるレンズユニットに固有のレンズ情報である。これらのデータを用いて,レンズ特性補正回路22は画像データ生成回路18において生成される画像データを補正することができる。
カメラ本体1はさらに外部通信回路20を備えている。外部通信回路20を通してカメラ本体1とレンズ情報サーバ2とが接続される。
レンズ情報サーバ2は,レンズ情報データベース31,外部通信回路32,文字列認識回路33および検索回路34を備えている。外部通信回路32がカメラ本体1の外部通信回路20との間でデータを送受信する。レンズ情報データベース31,文字列認識回路33および検索回路34の詳細は後述する。
図5はレンズ情報データベース31に記憶されているレンズ固有情報31aを示している。
レンズ情報データベース31には,多数のレンズユニットのそれぞれについてのレンズ固有情報31aが記憶されている。
レンズ固有情報31aには,レンズユニットの前面に印字されている文字列を表すデータに,レンズユニットのレンズ情報(レンズ機種データ,レンズ特性データおよびレンズ特性補正データ)が関連付けられて記憶されている。レンズ機種データは,レンズ機種名,焦点距離,開放F値,メーカ名等を含む。レンズ特性データは,輝度シェーディング・データ,色シェーディング・データ,ディストーション・データ,収差データ等を含む。レンズ特性補正データは,輝度シェーディング補正データ,色シェーディング補正データ,ディストーション補正データ,収差補正データ等を含む。
図6を参照して,レンズ特性データおよびレンズ特性補正データの一例を説明する。図6(A)は輝度シェーディングに関するレンズ特性データ(輝度シェーディング・データ)を,図6(B)は輝度シェーディングに関するレンズ特性補正データ(輝度シェーディング補正データ)をそれぞれ示している。図6(C)は輝度シェーディング・データおよび輝度シェーディング補正データによって作成される補正後レンズ特性補正データ(補正後輝度シェーディング・データ)を示している。
レンズユニットが備えるレンズはその全面にわたって一様な輝度特性を持つことはなく,レンズの場所(典型的にはレンズの中心とその周辺)によって異なる輝度特性を有する。
輝度シェーディング・データ(図6(A))は,レンズユニットが備えるレンズが有する輝度特性(輝度ムラ)を表すデータである。図6(A)の上段左側の3次元グラフD1はレンズユニットが備えるレンズの輝度シェーディング・データを立体的に示している。3次元グラフD1の右側に示す2次元グラフD2は,左側の3次元グラフD1に対応するもので,横軸をレンズの垂直位置,縦軸を輝度特性値とする2次元グラフによってレンズの輝度シェーディング・データを示すものである。3次元グラフD1の下側の2次元グラフD3も3次元グラフD1に対応するもので,横軸をレンズの水平位置,縦軸を輝度特性値とする2次元グラフによってレンズの輝度シェーディング・データを示すものである。さらに図6(A)の下段は,上段に示す輝度シェーディング・データを数値によって表すテーブルD4を示している(テーブルD4では行数および列数が簡略化されている)。図6(A)に示す輝度シェーディング・データはレンズの中心位置の輝度特性値を1として正規化されており,周辺位置の輝度特性値が中心位置の輝度特性値よりも落ち込んでいる様子を表している。
図6(B)は輝度シェーディング補正データを示すもので,上段に輝度シェーディング補正データの3次元グラフD5,横軸を垂直位置とする輝度シェーディング補正データの2次元グラフD6,および横軸を水平位置とする輝度シェーディング補正データの2次元グラフD7が示されている。図6(B)の下段に,上段に示す輝度シェーディング補正データを数値によって表すテーブルD8が示されている。図6(B)に示す輝度シェーディング補正データは,レンズの中心位置の輝度特性値を低め,かつ周辺位置の輝度特性値を高める補正データ(ゲイン値)を表している。
図6(C)は,図6(A)に示す輝度シェーディング・データに図6(B)に示す輝度シェーディング補正データを乗算することによって得られる,補正後の輝度シェーディング・データを示している。図6(C)にも,上段に補正後の輝度シェーディング・データの3次元グラフD9,横軸を垂直位置とする2次元グラフD10,および横軸を水平位置とする2次元グラフD11が示され,下段には上段に示す補正後の輝度シェーディング・データを数値によって表すテーブルD12が示されている。図6(A)に示す輝度シェーディング・データに図6(B)に示す輝度シェーディング補正データを乗算することによって,レンズの中心位置から周辺位置に至る全面においてフラットな輝度特性値が実現されることを表している。
上述したように,カメラ本体1が備えるレンズ情報記憶装置17に,レンズ情報(レンズ機種データ,レンズ特性データおよびレンズ特性補正データ)が記憶されており,レンズ特性補正回路22においてレンズ特性補正データを用いて画像データ生成回路18において生成される画像データが補正される。カメラ本体1に装着されている撮影用レンズ12が図6(A)に示すようなレンズ特性を持つものであったとしても,図6(B)に示すレンズ特性補正データを画像データに乗算することで,撮影用レンズ12があたかも図6(C)に示すようなフラットなレンズ特性を有しているかのような画像データを得ることができる。
図7は,上記レンズ情報サーバ2からカメラ本体1にレンズ情報をダウンロードするときのカメラ本体1とレンズ情報サーバ2の処理の流れを示すフローチャートである。ここでは,カメラ本体1に撮影用レンズ12が装着されており,撮影用レンズ12とは別個の登録したいレンズ3についてのレンズ情報をダウンロードする場合を説明する。
はじめにカメラ本体1が備える操作部材(モード選択ダイアル)16によってレンズ情報登録モードが設定される(ステップ41)。カメラ本体1の表示モニタ15にライブビュー(スルー画)が表示される(ステップ42)。
登録したいレンズ3の前面の撮影が行われる(ステップ43)。カメラ本体1のレンズ情報記憶装置17に撮影用レンズ12のレンズ情報が記憶されている場合には,撮影によって得られる画像データに対してレンズ特性補正回路22において上述した補正処理が行われる。
レンズ前面を表す画像データは,外部通信回路20およびネットワーク4を通じてカメラ本体1からレンズ情報サーバ2に送信される(ステップ44)。レンズ前面を表す画像データはレンズ情報サーバ2の外部通信回路32によって受信される(ステップ61)。
レンズ前面を表す画像データはレンズ情報サーバ2が備える文字列認識回路33に与えられ,ここでレンズ前面画像に含まれる文字およびその順序(すなわち文字列)が認識される(ステップ62)。
認識された文字列を表すデータは検索回路34に与えられる。検索回路34はレンズ情報データベース31に記憶されている複数のレンズ固有情報31a(図5)の中から,認識された文字列と同一の文字列を表すデータが関連付けられているレンズ情報を検索する(ステップ63)。
認識された文字列と同一の文字列を表すデータが関連付けられているレンズ情報が見つかった場合(ステップ64でYES),そのレンズ情報(レンズ機種データ,レンズ特性データおよびレンズ特性補正データ)が検索回路34によってレンズ情報データベース31から読み出され,レンズ情報サーバ2からカメラ本体1に送信される(ステップ66)。認識された文字列と同一の文字列を表すデータが関連付けられているレンズ情報が見つからなかった場合(ステップ64でNO),所定の終了処理が行われる(ステップ65)。
レンズ情報を受信したカメラ本体1では,受信したレンズ情報を表示モニタ15に表示する(レンズ機種名などのレンズ情報の一部の表示でもよい)(ステップ45)。ユーザが操作部材16を用いて,受信したレンズ情報を登録する旨をカメラ本体1に指示すると,受信したレンズ情報がレンズ情報記憶装置17に記憶されて保存される(ステップ46でYES,ステップ48)。ユーザは受信したレンズ情報を保存しない選択を行うこともできる。この場合には受信したレンズ情報はレンズ情報記憶装置17に記憶されずにレンズ情報登録処理は終了する(ステップ46でNO,ステップ47)。
レンズ情報記憶装置17に記憶された登録したいレンズ3のレンズ情報は,撮影用レンズ12に代えて登録したいレンズ3をカメラ本体1に装着したときに,上述した画像データの補正処理に用いることができる。
図8は第1実施例の図4に対応するもので,第2実施例のレンズ情報登録システムを構成するカメラ1Aおよびレンズ情報サーバ2Aの電気的構成を示すブロック図である。図4に示す第1実施例のレンズ情報登録システムとは,文字列認識回路がレンズ情報サーバ2Aに設けられておらず,カメラ本体1Aに設けられている点が異なる。図4に示す第1実施例のカメラ1およびレンズ情報サーバ2と同じ構成部材には同一符号を付し,重複説明を省略する。
図9は図8に示す第2実施例のカメラ1Aおよびレンズ情報サーバ2Aにおいて,レンズ情報を上記レンズ情報サーバ2Aからカメラ本体1Aにダウンロードするときのカメラ本体1Aとレンズ情報サーバ2Aの処理の流れを示すフローチャートである。図7に示す第1実施例のカメラ1およびレンズ情報サーバ2の処理と同一処理には同一符号を付し,重複説明を避ける。
上述したように,第2実施例のレンズ情報登録システムではカメラ本体1Aが文字列認識回路21を備えている。
第2実施例ではカメラ本体1Aが備える文字列認識回路21によって,交換したいレンズ3の前面に印字されている文字列が認識される(ステップ49)。認識された文字列を表すデータがカメラ本体1Aからレンズ情報サーバ2Aに送信される(ステップ50)。レンズ情報サーバ2Aはカメラ本体1Aから受信した文字列データに基づいてレンズ情報を検索する(ステップ63)。
図10は第1実施例の図4に対応するもので,第3実施例のレンズ情報登録システムを構成するカメラ1およびレンズ情報サーバ2Bの電気的構成を示すブロック図である。図4に示す第1実施例のレンズ情報登録システムとは,レンズ情報サーバ2Bが備える文字列認識回路33Aが,レンズ鏡筒(円筒)検出回路33aおよび環状配置文字認識回路33bを含む点,ならびに検索回路34Aが文字列補正回路34aを含む点が異なる。
図11は,登録したいレンズ3の前面画像を示すもので,レンズ情報サーバ2Bが備えるレンズ鏡筒(円筒)検出回路33aにおいて検出される円形縁(エッジ)(破線で示す)3Dと,環状配置文字認識回路33bにおいて認識される環状範囲(太い実線で示す)3Cを示している。
レンズユニットの外形は円筒状であり,その前面(正面)は円形の形状を持つ。レンズ鏡筒(円筒)検出回路33aはレンズユニットが備える形状を利用して,レンズユニットをその前面から撮影したときに得られる画像に含まれる円形のエッジを検出する。すなわちレンズ鏡筒(円筒)検出回路33aは,与えられる登録したいレンズ3の前面を表す画像データを用いてエッジを検出し,検出されたエッジのうち円形の形状を持つエッジ3Dを抽出する処理を行う。
環状配置文字認識回路33bは,レンズ鏡筒(円筒)検出回路33aにおいて検出された円形エッジから内側の所定幅の環状範囲の画像部分を,レンズ3の前面を表す画像データから切り出す(抽出する)回路である。レンズユニットの前面に印字されている文字列は,レンズユニットを前面から見たときの外周側に位置する。環状配置文字認識回路33bにおいて,文字列を表す画像が含まれる環状の画像部分3Cが切り出される。
文字列認識回路33Aは,環状配置文字認識回路33bにおいて切り出される環状の画像部分3Cを処理対象として文字列を認識する。文字列認識の精度を高めることができる。
検索回路34Aが備える文字列補正回路34aは,上記文字列認識回路33Aによって認識された文字列を補正する回路である。レンズユニットによっては,その前面に印字されている文字列の一部が消えかけていたり欠けてしまっていることができる。このような場合であっても文字列を認識することができるように文字列補正回路34aは設けられている。
たとえば,文字列補正回路34aにレンズユニットの前面に印字される典型的な文字列を辞書データとして持たせておくことが考えられる。たとえば,レンズユニットを提供しているメーカ名,たとえば「ABCD」を辞書データに記憶させておく。レンズユニットに印字されている「ABCD」のうちのCが消えており,文字列認識回路33Aによって認識された文字列が「AB D」であった場合に,文字列補正回路34aは辞書データを利用して「AB D」の文字列部分を「ABCD」に補正する(文字「C」を補完する)。別の例を挙げると,レンズユニットに印字されている焦点距離の単位を表す「mm」のうちの一方の「m」の文字がレンズユニットの前面から消えてしまっており,「mm」でなく「m」が文字列として認識された場合,文字列補正回路34aは「m」を「mm」に補正(文字補完)する。このようにすることで,レンズ情報の検索効率または精度を向上させることができる。
図12は,図10に示す第3実施例のカメラ1およびレンズ情報サーバ2Bにおいて,レンズ情報を上記レンズ情報サーバ2Bからカメラ本体1にダウンロードするときのカメラ本体1とレンズ情報サーバ2Bの処理の流れを示すフローチャートである。
上述したように,レンズ情報サーバ2Bのレンズ鏡筒(円筒)検出回路33aにおいて,レンズ前面画像を用いて円形のエッジ3Dが検出され,さらに環状配置文字認識回路33bにおいて円形エッジ3Dから内側の所定幅の環状範囲の画像部分(文字列範囲)3Cが切り出される(ステップ71)。切り出された文字列範囲を処理対象として文字列が認識される(ステップ62)。
レンズ情報データベース31から認識された文字列が関連付けられているレンズ情報が検索される(ステップ63)。
認識された文字列が関連付けられているレンズ情報が見つからなかった場合,文字列補正回路34aにおいて文字列が補正(補完)され,補正された文字列を用いて再度の検索が行われる(ステップ64でNO(1回目),ステップ72,ステップ63)。
文字列認識回路33Aによって認識された文字列または文字列補正回路34において補正された文字列と同一の文字列が関連付けられているレンズ情報がレンズ情報データベース31から見つかった場合,見つかったレンズ情報がレンズ情報サーバ2Bからカメラ本体1に送信される(ステップ64でYES,ステップ66)。
文字列認識回路33Aによって認識された文字列または文字列補正回路34において補正された文字列と同一の文字列が関連付けられているレンズ情報が見つからなかった場合には,認識された文字列データがレンズ情報サーバ2Bからカメラ本体1に送信される(ステップ64でNO(2回目))。この場合には認識された文字列を表すデータのみがカメラ本体1によって受信されて表示モニタ15に表示される(ステップ45A)。認識された文字列を表すデータがレンズ情報記憶装置17に登録される(ステップ48A)。
文字列認識回路33Aによって認識された文字列または文字列補正回路34において補正された文字列と同一の文字列が関連付けられているレンズ情報が見つからなかった場合,認識された文字列または補正された文字列に類似する文字列を有するレンズ情報を検索して,一または複数のレンズ情報(レンズ情報候補)をカメラ本体1に送信するようにしてもよい。
図13は第4実施例のレンズ情報登録システムの全体構成を示している。図14は第4実施例のレンズ情報登録システムを構成するカメラ本体1とレンズ情報サーバ2Cの電気的構成を示すブロック図である。図4に示す第1実施例とは,カメラ本体1に登録したいレンズ3が装着されている点およびレンズ情報サーバ2Cの文字列認識回路33Bが,鏡写し文字認識回路(鏡像反転処理回路)33cを備える点が異なる。
図13を参照して,カメラ本体1に登録したいレンズ3が装着されている。登録したいレンズ3の前面を撮影するために鏡6が用いられる。鏡6に写った登録したいレンズ3の前面がカメラ本体1によって撮影される。
カメラ本体1によって撮影される登録したいレンズ3の前面は鏡6に写ったものであるので,鏡像反転した画像を表す画像データが取得される。図14を参照して,鏡像反転した画像をさらに鏡像反転させて元の(鏡像反転していない)画像を作成するために,レンズ情報サーバ2Cの文字列認識回路33Bは鏡写し文字認識回路33cを備えている。鏡写し文字認識回路33cはカメラ本体1から送信された登録したいレンズ3の前面を表す画像データを鏡像反転処理する。鏡像反転した画像データが文字列認識回路33Bにおける文字列認識処理に用いられる。
図15は第5実施例のレンズ情報登録システムの全体構成を示している。図16は第5実施例のレンズ情報登録システムを構成するカメラ本体1とレンズ情報サーバ2を,カメラ付き携帯電話7のブロック図とともに示している。図17は第5実施例のレンズ情報登録システムにおいてレンズ情報をレンズ情報サーバ2からカメラ本体1にダウンロードするときの,カメラ付き携帯電話7,カメラ本体1およびレンズ情報サーバ2の処理の流れを示すフローチャートである。
第5実施例では,交換したいレンズ3の前面が,カメラ本体1ではなくカメラ付き携帯電話7によって撮影される。図16を参照して,カメラ付き携帯電話7はカメラ(撮像装置)7Aおよび外部通信回路7Bを備えている。図17を参照して,カメラ付き携帯電話7によって撮影された交換したいレンズ3の前面を表す画像データが,カメラ付き携帯電話7からレンズ情報サーバ2にネットワーク4を介して送信される(ステップ43A,44A)。
図18は,上述したレンズ情報サーバが備えるレンズ情報データベース31に記憶されるレンズ固有情報の他の例を示している。
図18に示すように,レンズ情報データべース31に記憶されるレンズ固有情報31a2に含まれるレンズ情報として,レンズユニット単体のレンズ情報(レンズ機種データ,レンズ特性データおよびレンズ特性補正データ)に加えて,レンズユニットにテレコンバータレンズを装着したときのレンズ特性データおよびレンズ特性補正データ,ならびにレンズユニットにワイドコンバータレンズを装着したときのレンズ特性データおよびレンズ特性補正データを登録しておいてもよい。レンズ情報サーバからカメラ本体に,レンズユニット単体のレンズ情報に加えて,レンズユニットにテレコンバータレンズを装着したときのレンズ特性データおよびレンズ特性補正データ,ならびにレンズユニットにワイドコンバータレンズを装着したときのレンズ特性データおよびレンズ特性補正データをダウンロードすることができる。もちろん,これらのデータのうちの一部,たとえば,レンズユニットにテレコンバータレンズを装着したときのレンズ特性データおよびレンズ特性補正データのみを,ユーザの選択に応じて,カメラ本体に送信するようにしてもよい。
上述した第1実施例〜第5実施例では,レンズ情報サーバが備えるレンズ情報データベース31にあらかじめ記憶されているレンズ情報が,レンズ情報サーバからカメラ本体にダウンロードされてカメラ本体に記憶される。以下の実施例では,さらに,カメラ本体において取得ないし生成されるレンズ情報が,カメラ本体からレンズ情報サーバにアップロードされてレンズ情報データベースに登録される。
図19は第6実施例のレンズ情報登録システムの全体構成を示している。
第6実施例のレンズ情報登録システムでは,レンズ情報を登録すべきレンズ3が装着されたカメラ本体1Bが用いられて,外部モニタ8に表示されるレンズ特性取得用画像が撮影される。レンズ特性取得用画像を表すデータを用いてカメラ本体1Bにおいてレンズ情報(レンズ特性データおよびレンズ特性補正データ)が生成され,生成されたレンズ情報がネットワーク4を通じてレンズ情報サーバ2Dにアップロードされる。
図20は第6実施例のレンズ情報登録システムを構成するカメラ本体1Bおよびレンズ情報サーバ2Dの電気的構成を示すブロック図である。カメラ本体1Bは,レンズ特性補正データ作成回路23およびレンズ特性データ作成回路24が設けられている点が,第1実施例のカメラ本体1(図4)と異なる。レンズ情報サーバ2Dは,データ登録回路35が設けられている点が,第1実施例のレンズ情報サーバ2(図4)と異なる。
レンズ特性補正データ作成回路23は,上述したレンズ特性補正データ(図6(B)参照)を作成する回路である。レンズ特性データ作成回路24は,上述したレンズ特性データ(図6(A)参照)を作成する回路である。
レンズ特性データおよびレンズ特性補正データは,外部モニタ8に表示されるレンズ特性取得用画像を撮影することで生成される画像データ(レンズ特性取得用画像データ)に基づいて作成される。たとえば輝度シェーディングに関するレンズ特性データおよびレンズ特性補正データを作成する場合には,レンズ特性取得用画像として全体が一様な輝度分布を持つ画像が用いられる。全体が一様な輝度分布を持つレンズ特性取得用画像を撮影することによって生成される画像データを用いて輝度特性を表すテーブル(図6(A)と同様のテーブル)が作成される。
レンズ特性補正データは,たとえば,上記レンズ特性データ作成回路24によって作成されるレンズ特性データが表す登録したいレンズ3に固有の特性を無くす(レンズ3に固有の特性の影響が生じないようにする)観点から作成される。この場合には,レンズ特性データ作成回路24によって作成されるレンズ特性データ(数値)のたとえば逆数が用いられて,レンズ特性データを補正するための数値を格納したテーブル(図6(B)参照)がレンズ特性補正データ作成回路23において作成される。
作成されたレンズ特性データおよびレンズ特性補正データは,カメラ本体1Bからレンズ情報サーバ2Dに送信される。レンズ情報サーバ2Dが備えるデータ登録回路35によって,カメラ本体1Bからのレンズ特性データおよびレンズ特性補正データがレンズ情報データベース31に登録される。
図21は第6実施例のレンズ情報登録システムにおけるカメラ本体1Bとレンズ情報サーバ2Dの処理を示すフローチャートである。図7に示す第1実施例のレンズ情報登録システムにおけるカメラ1およびレンズ情報サーバ2の処理と同じ処理には同一符号を付し,重複説明を避ける。
上述したように,外部モニタ8に表示されるレンズ特性取得用画像が撮影される(ステップ51)。レンズ特性取得用画像データが生成される。
生成されたレンズ特性取得用画像データに基づいて,上述したように,レンズ特性データ生成回路24においてレンズ特性データが生成され,かつレンズ特性補正データ生成回路23においてレンズ特性補正データが生成される(ステップ52,53)。
レンズ前面を表す画像データ(たとえば,あらかじめカメラ付き携帯電話7を用いて登録したいレンズ3の前面を撮影して取得したもの),ならびに生成されたレンズ特性データおよびレンズ特性補正データが,ネットワーク4を通じてカメラ本体1Bからレンズ情報登録サーバ2Dに送信される(ステップ54)。作成されたレンズ特性データおよびレンズ特性補正データはレンズ情報記憶装置17に登録される(ステップ55)。
レンズ前面を表す画像データ,レンズ特性データおよびレンズ特性補正データを受信したレンズ情報サーバ2Dは,レンズ前面を表す画像データを用いて上述したように文字列を認識してレンズ情報データベース31に記憶されているレンズ情報を検索する(ステップ61A,62,63)。レンズ情報サーバ2Dは,検索によって見つけられたレンズ情報に,カメラ本体1Bから送信されたレンズ特性データおよびレンズ特性補正データを追加登録する(ステップ74)。これによりレンズ情報データベース31には,登録したいレンズ3について,あらかじめ記憶されているレンズ特性データおよびレンズ特性補正データに加えて,カメラ本体1Bによって生成されたレンズ特性データおよびレンズ特性補正データもダウンロード可能に登録されることになる。
外部モニタ8の表示画面は多数の画素が配列されて構成されているものである。このため,カメラ本体1Bによって外部モニタ8の表示画面に表示されているレンズ特性取得用画像を撮像すると,撮像によって得られる画像データによって表される画像にモアレが発生することがある。レンズ特性取得画像を表す画像データがモアレを含むものである場合,適切なレンズ特性データを取得できない可能性が生じる。
モアレの発生を無くすまたは抑制する対策としていくつかの方策が考えられる。
その一は,図22に示すように,外部モニタ8の表示画面にぼかし用フィルタ(ローパスフィルタ)8Aを装着することである。
その二は,カメラ本体1Bのオートフォーカス機能を機能させずに,焦点が合わせられていない状態でレンズ特性取得用画像を撮像することである。この場合には,図23に示すように,レンズ特性取得用画像の撮影に先立って,外部モニタ8にマーカ(黒点)8dを表示し,カメラ本体1Bの表示モニタ15にあらかじめ定められるぼかし量を示すアシスト枠15aを表示してもよい。アシスト枠15aは,外部モニタ8に表示されるマーカ8dを撮像することで得られるマーカ画像15cの周囲に表示される。マーカ画像15cがアシスト枠15aに合致するようにデフォーカス操作することで,適切な量のぼかし(デフォーカス)が行われる。
その三は,図24に示すように,カメラ本体1Cが手ぶれ補正のための撮像素子シフト装置13aを備える場合に,上記撮像素子シフト装置13aを強制的に作動させることである。撮像素子シフト装置13aによってレンズ特性取得用画像の撮影時にぶれが生じるので,これによってモアレの発生を無くすないしは抑制することができる。
図25は第7実施例のレンズ情報登録システムにおいて用いられるカメラ本体1Dおよびレンズ情報サーバ2Dの電気的構成を示すブロック図である。図22に示すものとは,カメラ本体1Dが,カメラ撮影タイミング生成回路25,外部モニタ画面切替タイミング生成回路26および外部モニタ表示画像生成回路27を備えている点,ならびにカメラ本体1Dの外部通信回路20が,外部モニタ8が備える外部通信回路8Bに通信ケーブル等によって接続されている点が異なる。
図26は,第7実施例のレンズ情報登録システムにおいて,カメラ本体1Dから外部モニタ8に与えられるタイミング信号Tsの出力タイミングと,外部モニタ8に表示されるレンズ特性取得用画像のカメラ本体1Dによる撮影タイミングとを示すタイミング図である。
カメラ本体1Dの外部モニタ表示画像生成回路27は,複数種類のレンズ特性取得用画像を表すデータを生成して記憶する回路である。この実施例では3種類のレンズ特性取得用画像8a1,8a2,8a3が用意されるものとする。3種類のレンズ特性取得用画像8a1,8a2,8a3を表すデータは,カメラ本体1から表示モニタ8に与えられ,表示モニタ8が備えるメモリ(図示略)に記憶される。
カメラ本体1Dの外部モニタ画面切替タイミング生成回路26は,表示モニタ8に表示される3種類のレンズ特性取得用画像8a1,8a2,8a3の表示を切り換えるための切替タイミング信号Tsを生成する。生成される切替タイミング信号Tsはカメラ本体1Dから外部モニタ8に送信される。外部モニタ8は,与えられる切替タイミング信号Tsにしたがって,表示モニタ8に表示するレンズ特性取得画像の種類を切り換える。
さらにカメラ本体1Dのカメラ撮影タイミング生成回路25は,上述した外部モニタ画面切替タイミング生成回路26が生成する切替タイミング信号Tsの出力から所定の遅延時間tを経たときに,撮影タイミング信号を生成して信号処理装置11に供給する回路である。撮影タイミング信号が入力された信号処理装置11はそのタイミングで被写体像を撮影するように撮像素子13等を制御する。
図26を参照して,カメラ本体1Dの外部モニタ画面切替タイミング生成回路26が生成した切替タイミング信号Tsが外部モニタ8に与えられると,外部モニタ8の表示画面上に表示されるレンズ特性取得用画像の表示の切り替えが行われる。切替タイミング信号Tsの生成から所定の遅延時間tが経過したとき,カメラ撮影タイミング生成回路25は撮影タイミング信号を生成して信号処理装置11に与える。
はじめにレンズ特性取得用画像8a1が撮影される。レンズ特性取得用画像8a1の撮影を終えると,外部モニタ切替タイミング生成回路26は次の切替タイミング信号Tsを生成する(撮影が終えた旨を表すデータを信号処理装置11から外部モニタ切替タイミング生成回路26に与えてもよい)。切替タイミング信号Tsが外部モニタ8に与えられることで,外部モニタ8はレンズ特性取得用画像8a1に代えて,別のレンズ特性取得用画像8a2を表示する。
切替タイミング信号Tsの生成から所定の遅延時間tが経過したとき,カメラ撮影タイミング生成回路25は撮影タイミング信号を生成して信号処理装置11に与える。レンズ特性取得用画像8a2が撮影される。同様にして,レンズ特性取得用画像8a3の撮影も行われる。このようにして,複数種類のレンズ特性取得用画像8a1〜8a3の撮影が自動的に行われる。
外部モニタ8に表示させたレンズ特性取得用画像8a1〜8a3をカメラ本体で撮像する場合,外光が外部モニタ8に入射すると,カメラ本体で撮影されて得られる画像データも外光の影響を受けたものとなり,適切なレンズ特性取得用画像8a1〜8a3を表す画像データを取得できない可能性がある。
第8実施例では,レンズ特性取得用画像の撮影に先立って,キャリブレーション画像(黒画像)を外部モニタ8に表示し,それをカメラ本体で撮像することで外部モニタ8の光の写り込み分布を検出し,検出した光写り込み分布に応じて,その後にカメラ本体1によって撮影されるレンズ特性取得用画像を表す画像データを補正する処理が行われる。
図27は第8実施例のレンズ登録システムに用いられるカメラ本体1Eおよびレンズ情報サーバ2Dのブロック図である。図25に示す第7実施例のレンズ登録システムのブロック図とは,カメラ本体1Eが外部モニタへの写り込み検出およびキャリブレーション回路28(以下,キャリブレーション回路28という)を備えている点が異なる。
図28は,第8実施例のレンズ情報登録システムにおいて,カメラ本体1Eから外部モニタ8に与えられるタイミング信号Tsの出力タイミングと,外部モニタ8に表示されるキャリブレーション画像およびレンズ特性取得用画像のカメラ本体1Eによる撮影タイミングと,カメラ本体1Eが備えるキャリブレーション回路28による処理を示している。
カメラ本体1Eの外部モニタ画面切替タイミング生成回路26が生成した切替タイミング信号Tsが外部モニタ8に与えられると,はじめにキャリブレーション画像(黒画像)8bが外部モニタ8の表示画面に表示される。切替タイミング信号Tsの生成から所定の遅延時間tが経過したとき,カメラ撮影タイミング生成回路25は撮影タイミング信号を生成して信号処理装置11に与える。キャリブレーション画像8bが撮影される。
キャリブレーション画像8bを表す画像データは,キャリブレーション回路28に与えられる。キャリブレーション回路28は,キャリブレーション画像8bを表す画像データに基づいて光写り込み分布データ(輝度分布データ)を作成する。光写り込み分布データはキャリブレーション画像8bを表す画像データが持つ多数の画素値に基づいて作成され,たとえば図6(A)に示す輝度特性テーブルD4と同様のテーブルが作成される。キャリブレーション画像8bは輝度値が一様な黒画像である。外部モニタ8の表示画面が外光の影響を受けていなければ,カメラ本体1Eによって撮影されることで得られるキャリブレーション画像8bを表す画像データから作成される光写り込み分布データ(輝度分布データ)も一様(同じ値)となるはずである。外部モニタ8の表示画面が外光の影響を受けていると,カメラ本体1Eによって撮影されることで得られるキャリブレーション画像8bを表す画像データは一様な輝度値を持たない(分布が一様にならない)。このように,キャリブレーション回路28によって作成される光写り込み分布データは,外部モニタ8の表示画面への光の写り込みの様子を表すものとなる。
キャリブレーション画像8bの撮影を終えると,外部モニタ画面切替タイミング生成回路26は次の切替タイミング信号Tsを生成して出力する。切替タイミング信号Tsが外部モニタ8に与えられることで,外部モニタ8はキャリブレーション画像8bに代えてレンズ特性取得用画像8a1を表示する。切替タイミング信号Tsの生成から所定の遅延時間tが経過したとき,レンズ特性取得用画像8a1が撮影される。
レンズ特性取得用画像8a1は外部モニタ8の表示画面に表示される画像であるから,外部モニタ8への光の写り込みを含むものがカメラ本体1Eによって撮影される可能性がある。そこで,カメラ本体1Eによる撮影によって得られたレンズ特性取得用画像8a1を表す画像データに対して,上述した光写り込み分布データを用いた輝度補正処理が,キャリブレーション回路28において行われる。たとえば,キャリブレーション画像8bを撮影することで作成された光写り込み分布データ(図6(A)参照)の逆数(図6(B)参照)が算出され,この逆数が,カメラ本体1Eによる撮影によって得られたレンズ特性取得用画像8a1を表す画像データに対して乗算される。カメラ本体1Eによる撮影によって得られたレンズ特性取得用画像8a1を表す画像データから,光の写り込みの影響が除去される。
キャリブレーション回路28による処理を終えたレンズ特性取得用画像8a1を表す画像データがレンズ特性データ生成回路24に与えられる。外部モニタ8への光の写り込みの影響が除去されたレンズ特性取得用画像8a1を表すデータがレンズ特性データの生成に用いられるから,精度のよいレンズ特性データの算出を期待することができる。
レンズ特性取得用画像8a1の撮影を終えると,外部モニタ画面切替タイミング生成回路26は次の切替タイミング信号Tsを生成して出力する。切替タイミング信号Tsが外部モニタ8に与えられることで,外部モニタ8はレンズ特性取得用画像8a1に代えて,キャリブレーション画像8bを表示する。上述の処理が繰り返される。
なお,キャリブレーション回路28によって作成される光写り込み分布データ(輝度分布データ)が大きな輝度変動を表す場合には,「環境を変えてください」といったメッセージをカメラ本体1Eの表示モニタ15に表示して,外部モニタ8への光の写り込みが多すぎることをユーザに警告するようにしてもよい。
外部モニタ8に表示されるレンズ特性取得用画像をカメラ本体によって撮像する場合には,外部モニタ8の表示画面をその正面から撮影するのが好ましい。図29に示すように外部モニタ8に位置合わせ用マーカ8cを表示し,カメラ本体1の表示モニタ15に位置合わせ用ガイド枠15bを被写体像に重畳して表示するようにしてもよい。位置合わせ用マーカ8cと位置合わせ用ガイド枠15bとが重なり合うようにカメラ本体1の位置を調整することで,外部モニタ8の表示画面を正面から適切に撮影することができる。
レンズ特性補正データ作成回路23において,補正の程度を異ならせたレンズ特性補正データを複数作成してもよい。第9実施例では,レンズ特性補正データ作成回路23において,一のレンズユニットについて複数のレンズ特性補正データが作成される。
複数のレンズ特性補正データとしては,上述したように,レンズ特性データ作成回路24によって作成されるレンズ特性データが表す登録したいレンズ3に固有の特性を無くす(レンズ3に固有の特性の影響が生じないようにする)観点から作成されるもの(図6(B))を含ませるとともに,たとえば,登録したいレンズ3に固有の特性を弱める観点から作成されるものを含ませることができる。
図30(A)〜(C)は,図6(A)〜(C)に対応するもので,レンズユニットに固有のレンズ特性を弱めるためのレンズ特性補正データ(図30(B)(D13〜D16)が示されている。図30(A)に示すレンズユニットのレンズ特性データに図30(B)に示すレンズ特性補正データを乗算することによって,レンズユニットが持つレンズ特性(ここでは輝度シェーディング特性)を弱める補正後のレンズ特性データが得られる(図30(C),D17〜D20)。図30(B)に示すレンズ特性補正データをカメラ本体によって撮像された画像データの補正に用いることで,カメラ本体に装着されているレンズユニットに固有の特性を少し残した画像データを得ることができる。
複数のレンズ特性補正データの一つとして,図31(B)に示すように,フラットな補正データ(ゲイン量がすべて1.00)を用いることも可能である(D21〜D24)。この場合,レンズ特性データ(図31(A))と補正後のレンズ特性データ(図31(C),D25〜28)は同じになる。