JP6110771B2 - 劣化量算出装置、劣化量算出方法及びプログラム - Google Patents
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Description
他方、特許文献1、2に開示された方法は、二次電池が充放電状態であるか保存状態であるかに関わらず、所定のデータベースや数式に基づいて劣化量の算出を行うものである。そのため、二次電池が保存状態にあるときに、劣化量を精度よく算出することができない可能性がある。
本発明の目的は、二次電池の劣化量を精度よく算出することができる劣化量算出装置、劣化量算出方法及びプログラムを提供することにある。
図1は、一実施形態に係る二次電池システム1の構成を示す概略ブロック図である。
二次電池システム1は、複数の組電池100と、組電池100を管理するBMU200(Battery Management Unit)とを備える。なお、図1に示す例では、二次電池システム1が組電池100を4個備える場合について説明するが、組電池100の個数はこれに限られない。
セル電池101は、リチウムイオン二次電池などの二次電池である。各セル電池101は、それぞれ直列に接続され、負荷回路103に接続されている。なお、図1に示す例では、組電池100がセル電池101を4個備える場合について説明するが、セル電池101の個数はこれに限られない。
CMU102は、組電池100に設けられた図示しないセンサから、セル電池101の温度、電圧値、電流値を取得し、BMU200に出力する。
BMU200は、物理量取得部201、物理量記憶部202、状態判定部203、劣化量記憶部204、充放電劣化量推定部205、保存劣化量推定部206、劣化量算出部207を備える。本実施形態において、充放電劣化量推定部205、保存劣化量推定部206は、劣化量推定部の一例である。
保存劣化量推定部206は、組電池100の状態が保存状態である場合に、劣化量記憶部204が記憶する保存劣化量を更新する。
劣化量算出部207は、充放電劣化量推定部205が算出した充放電劣化量と保存劣化量推定部206が算出した保存劣化量とを加算することで、組電池100の劣化量を算出する。
本実施形態では、劣化量算出式として、化学反応の反応速度を表す式であるアイリングの式を変形したものを用いる。これは、発明者が様々な式を用いて劣化量の算出を行ったところ、アイリングの式が劣化量の算出に適しているとの見地を得たためである。なお、アイリングの式は、温度による反応速度依存性と、温度以外の因子による反応速度依存性から、化学反応の反応速度を求める式である。
なお、劣化量算出式の各係数は、実験結果に重回帰式を適用することなどにより求めることができる。
BMU200による劣化量算出の前に、物理量記憶部202は、物理量取得部201が取得した温度、電流値及び電圧値を、時刻に関連付けて記憶する。劣化量記憶部204は、組電池100が新品である場合、保存劣化量、充放電劣化量の初期値として、予め0を記憶する。他方、組電池100が新品でない場合、予め運用開始時における組電池100の保存劣化量及び充放電劣化量を、劣化量記憶部204に記録しておく。
また、予め保存劣化量推定部206及び充放電劣化量推定部205が保存劣化量及び充放電劣化量の算出に用いる劣化量算出式における係数を求めておく。
BMU200の物理量取得部201は、組電池100の劣化量の算出対象となる期間の間、組電池100のCMU102から、当該組電池100の温度、電流値、電圧値及び充電率を取得し、物理量記憶部202に記録する(ステップS1)。
発明者は、劣化率算出式を策定するにあたり、二次電池の温度毎に、充電上限電圧、放電下限電圧、充電レート、放電レートをそれぞれ異ならせて二次電池の劣化量を求めるサイクル試験と、二次電池の温度毎に、異なる保存電圧で二次電池を保存した場合における劣化量を求める保存試験とを行った。
図3(A)は、容量に係る劣化量と初期容量で正規化した積算充放電容量との関係を、温度毎にプロットした図である。図3(A)は、縦軸を容量に係る劣化量とし、横軸を正規化した積算充放電容量とするグラフである。図3(A)に示すように、容量に係る劣化量は、積算充放電容量に対して比例関係にあることが分かる。
図3(B)は、内部抵抗に係る劣化量と初期容量で正規化した積算充放電容量との関係を、温度毎にプロットした図である。図3(B)は、縦軸を内部抵抗に係る劣化量とし、横軸を正規化した積算充放電容量とするグラフである。図3(B)に示すように、容量に係る劣化量は、積算充放電容量に対して比例関係にあることが分かる。
図4(A)は、容量に係る劣化量と充電上限電圧及び温度との関係を、実測値及び予測値についてプロットしたグラフである。図4(A)は、縦軸を容量に係る劣化量とし、横軸を充電上限電圧とするグラフである。図4(B)は、容量に係る劣化量と放電下限電圧及び温度との関係を、実測値及び予測値についてプロットしたグラフである。図4(B)は、縦軸を容量に係る劣化量とし、横軸を放電下限電圧とするグラフである。図4(C)は、容量に係る劣化量と充電電流及び温度との関係を、実測値及び予測値についてプロットしたグラフである。図4(C)は、縦軸を容量に係る劣化量とし、横軸を充電電流とするグラフである。図4(D)は、容量に係る劣化量と放電電流及び温度との関係を、実測値及び予測値についてプロットしたグラフである。図4(D)は、縦軸を容量に係る劣化量とし、横軸を放電電流とするグラフである。なお、図4(A)〜(D)は、いずれも縦軸を対数目盛とする片対数グラフである。
図4(A)〜(D)に示すように、式(2)に基づいて算出された容量に係る劣化量は、充電上限電圧、放電下限電圧、充電電流及び放電電流のいずれについても、容量に係る劣化量の実測値と良好な一致が見られる。
図5(A)は、内部抵抗に係る劣化量と充電上限電圧及び温度との関係を、実測値及び予測値についてプロットしたグラフである。図5(A)は、縦軸を内部抵抗に係る劣化量とし、横軸を充電上限電圧とするグラフである。図5(B)は、内部抵抗に係る劣化量と放電下限電圧及び温度との関係を、実測値及び予測値についてプロットしたグラフである。図5(B)は、縦軸を内部抵抗に係る劣化量とし、横軸を放電下限電圧とするグラフである。図5(C)は、内部抵抗に係る劣化量と充電電流及び温度との関係を、実測値及び予測値についてプロットしたグラフである。図5(C)は、縦軸を内部抵抗に係る劣化量とし、横軸を充電電流とするグラフである。図5(D)は、内部抵抗に係る劣化量と放電電流及び温度との関係を、実測値及び予測値についてプロットしたグラフである。図5(D)は、縦軸を内部抵抗に係る劣化量とし、横軸を放電電流とするグラフである。なお、図5(A)〜(D)は、いずれも縦軸を対数目盛とする片対数グラフである。
図5(A)〜(D)に示すように、式(2)に基づいて算出された内部抵抗に係る劣化量は、充電上限電圧、放電下限電圧、充電電流及び放電電流のいずれについても、内部抵抗に係る劣化量の実測値と良好な一致が見られる。
図6(A)は、容量に係る劣化量と保存日数との関係を温度毎にプロットした図であり、図6(B)は、容量に係る劣化量と保存日数の平方根との関係を温度毎にプロットした図である。図6(A)、(B)は、縦軸を容量に係る劣化量とし、横軸を保存日数とするグラフである。図6(A)、(B)に示すように、容量に係る劣化量は、保存日数の平方根に対して、比例関係にあることが分かる。
図6(C)は、内部抵抗に係る劣化量と保存日数との関係を温度毎にプロットした図であり、図6(D)は、内部抵抗に係る劣化量と保存日数の平方根との関係を温度毎にプロットした図である。図6(C)、(D)は、縦軸を内部抵抗に係る劣化量とし、横軸を保存日数とするグラフである。図6(C)、(D)に示すように、内部抵抗に係る劣化量は、保存日数の平方根に対して、比例関係にあることが分かる。
図7(A)は、容量に係る劣化量と保存時の電圧及び温度との関係を、実測値及び予測値についてプロットしたグラフである。図7(A)は、縦軸を容量に係る劣化量とし、横軸を保存日数とするグラフである。図7(B)は、内部抵抗に係る劣化量と保存時の電圧及び温度との関係を、実測値及び予測値についてプロットしたグラフである。図7(B)は、縦軸を内部抵抗に係る劣化量とし、横軸を保存日数とするグラフである。なお、図7(A)、(B)は、いずれも縦軸を対数目盛とする片対数グラフである。
図7(A)、(B)に示すように、式(2)に基づいて算出された劣化量は、劣化量の実測値と良好な一致が見られる。
例えば、本実施形態では、組電池100の物理量記憶部202に劣化量の算出の対象期間における物理量を記憶させた後に、当該期間における劣化量の算出を行う場合について説明したが、これに限られない。例えば、単位時間毎に劣化量を逐次算出しても良い。
同様に、他の実施形態では、保存劣化量推定部206は、式(2)にさらに他の係数を加えた式を用いて、保存劣化量を推定しても良い。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述のBMU200は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。
Claims (11)
- 単位時間ごとに、二次電池が充放電状態であるか否かを判定する状態判定部と、
前記二次電池が充放電状態である場合、前記二次電池の絶対温度の逆数を指数とする所定の定数のべき乗と、所定の指数による前記二次電池の電圧値のべき乗と、所定の係数とを乗算する計算の結果に基づいて、当該二次電池の充放電に係る劣化量を推定する充放電劣化量推定部と、
前記二次電池が充放電状態でない場合、単位時間における前記二次電池に係る物理量に基づいて、当該二次電池の保存に係る劣化量を推定する保存劣化量推定部と、
前記充放電に係る劣化量と前記保存に係る劣化量とを加算することで、前記二次電池の劣化量を算出する劣化量算出部と、
を備える劣化量算出装置。 - 前記保存劣化量推定部は、前記二次電池の絶対温度の逆数を指数とする所定の定数のべき乗と、所定の指数による前記二次電池の電圧値のべき乗と、所定の係数とを乗算する計算の結果に基づいて、前記二次電池の保存に係る劣化量を推定する
請求項1に記載の劣化量算出装置。 - 前記保存劣化量推定部は、単位時間における前記二次電池に係る物理量に基づいて、当該単位時間の間における当該二次電池の保存に係る劣化量を推定し、当該劣化量と単位時間前における前記二次電池の保存に係る劣化量との二乗和の平方根を算出することで、前記二次電池の保存に係る劣化量を推定する
請求項1または請求項2に記載の劣化量算出装置。 - 前記二次電池の電圧値は、前記単位時間における前記二次電池の最低電圧値、前記単位時間における前記二次電池の最高電圧値、または前記単位時間における前記二次電池の平均電圧値の少なくとも1つを含む
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の劣化量算出装置。 - 前記充放電劣化量推定部は、さらに所定の指数による前記二次電池の電流値のべき乗を乗算する計算の結果に基づいて、前記二次電池の充放電に係る劣化量を推定する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の劣化量算出装置。 - 前記充放電劣化量推定部は、単位時間における前記二次電池に係る物理量に基づいて、当該単位時間の間における当該二次電池の充放電に係る劣化量を推定し、当該劣化量と単位時間前における前記二次電池の充放電に係る劣化量との和を算出することで、前記二次電池の充放電に係る劣化量を推定する
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の劣化量算出装置。 - 劣化量の算出対象となる二次電池の絶対温度及び電圧値を取得する物理量取得部と、
前記二次電池の絶対温度の逆数を指数とする所定の定数のべき乗と、所定の指数による前記二次電池の電圧値のべき乗と、所定の係数とを乗算する計算の結果に基づいて、前記二次電池の充放電に係る劣化量を推定する劣化量推定部と
を備える劣化量算出装置。 - 二次電池の劣化量を算出する劣化量算出方法であって、
劣化量算出装置が、単位時間ごとに、二次電池が充放電状態であるか否かを判定するステップと、
前記二次電池が充放電状態である場合、前記劣化量算出装置が、前記二次電池の絶対温度の逆数を指数とする所定の定数のべき乗と、所定の指数による前記二次電池の電圧値のべき乗と、所定の係数とを乗算する計算の結果に基づいて、当該二次電池の充放電に係る劣化量を推定するステップと、
前記二次電池が充放電状態でない場合、前記劣化量算出装置が、単位時間における前記二次電池に係る物理量に基づいて、当該二次電池の保存に係る劣化量を推定するステップと、
前記劣化量算出装置が、前記充放電に係る劣化量と前記保存に係る劣化量とを加算することで、前記二次電池の劣化量を算出するステップと、
を有する劣化量算出方法。 - 二次電池の劣化量を算出する劣化量算出方法であって、
劣化量算出装置が、劣化量の算出対象となる二次電池の絶対温度及び電圧値を取得するステップと、
前記劣化量算出装置が、前記二次電池の絶対温度の逆数を指数とする所定の定数のべき乗と、所定の指数による前記二次電池の電圧値のべき乗と、所定の係数とを乗算する計算の結果に基づいて、前記二次電池の充放電に係る劣化量を推定するステップと
を有する劣化量算出方法。 - コンピュータを、
単位時間ごとに、二次電池が充放電状態であるか否かを判定する状態判定部、
前記二次電池が充放電状態である場合、前記二次電池の絶対温度の逆数を指数とする所定の定数のべき乗と、所定の指数による単位時間における前記二次電池の電圧値のべき乗と、所定の係数とを乗算する計算の結果に基づいて、当該二次電池の充放電に係る劣化量を推定する充放電劣化量推定部、
前記二次電池が充放電状態でない場合、単位時間における前記二次電池に係る物理量に基づいて、当該二次電池の保存に係る劣化量を推定する保存劣化量推定部、
前記充放電に係る劣化量と前記保存に係る劣化量とを加算することで、前記二次電池の劣化量を算出する劣化量算出部、
として機能させるためのプログラム。 - コンピュータを、
劣化量の算出対象となる二次電池の絶対温度及び電圧値を取得する物理量取得部、
前記二次電池の絶対温度の逆数を指数とする所定の定数のべき乗と、所定の指数による前記二次電池の電圧値のべき乗と、所定の係数とを乗算する計算に基づいて、前記二次電池の充放電に係る劣化量を推定する劣化量推定部
として機能させるためのプログラム。
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