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JP6106082B2 - 補強板一体型フレキシブルプリント基板 - Google Patents

補強板一体型フレキシブルプリント基板 Download PDF

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JP6106082B2 JP2013512431A JP2013512431A JP6106082B2 JP 6106082 B2 JP6106082 B2 JP 6106082B2 JP 2013512431 A JP2013512431 A JP 2013512431A JP 2013512431 A JP2013512431 A JP 2013512431A JP 6106082 B2 JP6106082 B2 JP 6106082B2
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Description

本願発明は補強板の熱硬化性接着剤と絶縁膜との密着性に優れ、反りが小さいことを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板に関するものである。
近年では、小型化・軽量化が急速に進む携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコンなどの電子機器において、柔軟で可撓性のあるフレキシブルプリント基板(以下、FPCと記載)は必要不可欠となっている。一方、FPCは数十μmから数百μmの厚さであり、かつ高屈曲性のある配線板であるので、コネクタ等の部品を実装する位置には、実装に必要な強度を確保するために補強を行う必要がある。そのため、通常は、FPCの部品実装エリアの裏面に熱硬化性接着剤を介して、補強板を接着固定して、部分的な強度向上が図られている(例えば特許文献1〜3参照。)。
日本国公開特許公報「特開2010−114185号(2010年5月20日公開)」 日本国公開特許公報「特開2010−6921号(2010年1月14日公開)」 日本国公開特許公報「特開2011−61070号(2011年3月24日公開)」
特許文献1では、十分な耐熱性(はんだ耐熱性)を有する補強板に着目し、フレキシブルプリント基板の回路接続部又は実装部に好適に使用できる補強板を提供している。また、特許文献2では、熱硬化性接着剤に着目し、優れた保存安定性、接着性、半田耐熱性及び加工性を有する接着剤組成物、並びに接着シートを提供している。しかし、補強板及び熱硬化性接着剤は、補強板一体型FPCを構成する要素ではあるが、補強板及び熱硬化性接着剤のそれぞれ単独の特性だけを向上させたとしても、補強板一体型FPCの所望の特性を満足することは出来ない。例えば、FPCと熱硬化性接着剤との密着性を向上させなければ、補強板一体型FPCとして良好な特性を示さない。
また、特許文献3では、FPCの最外層であるカバーフィルム層に着目し、カバーフィルム層に溝部を設けることにより、FPCと補強板とを接着する接着剤の接着面積を拡大し、接着強度を向上させたフレキシブルプリント配線板を提供している。しかし、カバーフィルム層に溝部を設ける方法として、サンドブラスト処理、エンボス処理、プラズマ処理等が提案されており、更に製造コストがかかる可能性がある。
そこで、本発明者らは、FPCの最外層である絶縁膜に着目し、補強板の熱硬化性接着剤との密着性及び補強板一体型FPCの柔軟性、反りに関して鋭意研究を行ってきた。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、(A)補強板、(B)熱硬化性接着剤、(C)絶縁膜、(D)配線パターン付きフィルムの順で構成された補強板一体型フレキシブルプリント基板であって、該(C)絶縁膜が少なくとも(a)バインダーポリマー、(b)球状有機ビーズを含有していることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板から、補強板の熱硬化性接着剤と絶縁膜との密着性に優れ、更に反りが小さいという知見を得、これらの知見に基づいて、本発明に達したものである。本発明は以下の新規な構成の補強板一体型フレキシブルプリント基板により上記課題を解決しうる。
すなわち、本願発明は、(A)補強板、(B)熱硬化性接着剤、(C)絶縁膜、(D)配線パターン付きフィルムの順で構成された補強板一体型フレキシブルプリント基板であって、該(C)絶縁膜が、少なくとも(a)バインダーポリマー、及び(b)球状有機ビーズを含有していることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板である。
また、本願発明にかかる補強板一体型フレキシブルプリント基板では、更に上記(C)絶縁膜が、(c)リン、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する微粒子を含有していることが好ましい。
また、本願発明にかかる補強板一体型フレキシブルプリント基板では、更に上記(C)絶縁膜が、(d)熱硬化性樹脂を含有している樹脂組成物から得られることが好ましい。
また、本願発明にかかる補強板一体型フレキシブルプリント基板では、更に上記(C)絶縁膜が、(e)光重合開始剤を含有している感光性樹脂組成物から得られることが好ましい。
本願発明は以上のように、(A)補強板、(B)熱硬化性接着剤、(C)絶縁膜、(D)配線パターン付きフィルムの順で構成された補強板一体型FPCであって、該(C)絶縁膜が少なくとも(a)バインダーポリマー、及び(b)球状有機ビーズを含有しているために、補強板の熱硬化性接着剤と絶縁膜との密着性に優れ、更に反りが小さい効果を奏するものである。
補強板一体型FPCの構成図である。 フィルムの反り量を測定している模式図である。
以下で本願発明について詳細に説明する。
本願発明の補強板一体型FPCとは、(A)補強板、(B)熱硬化性接着剤、(C)絶縁膜、(D)配線パターン付きフィルムの順で構成された補強板一体型FPCであって、該(C)絶縁膜が少なくとも(a)バインダーポリマー、及び(b)球状有機ビーズを含有していればよい。
ここで、本願発明の補強板一体型FPCが、補強板の熱硬化性接着剤と絶縁膜との密着性に優れ、更に反りが小さいことを見出したが、これは以下の理由によるものと推測している。つまり、絶縁膜に球状有機フィラーを導入する事により、絶縁膜の表面が凸凹になり、これによって、補強板の熱硬化性接着剤との接着面積が広がり、密着性が向上する。一般的な密着性向上技術として考えられるフィラーの脱離によるアンカー効果とは異なり、本願発明では球状有機ビーズの脱離を伴わず密着性が向上しているため、脱離したフィラーによる汚染の問題が発生しない。また、球状有機フィラーを用いることで、応力緩和による破壊靱性の向上による密着性向上、更に柔軟性を付与することが出来るため、反りが小さい補強板一体型FPCが得られる。
以下、本願発明の補強板一体型FPC、(A)補強板、(B)熱硬化性接着剤、(C)絶縁膜、(D)配線パターン付きフィルムについて説明する。
[補強板一体型FPC]
本願発明の補強板一体型FPCの構成図を図1に示すが、これに限定されるものではない。先ず、配線パターン(2)およびベースフィルム(1)からなる(D)配線パターン付きフィルム(3)上に(C)絶縁膜(4)を形成し、FPC(5)を得る。続いて、(A)補強板(6)を(B)熱硬化性接着剤(7)を介して、(C)絶縁膜(4)上に形成する事で本願発明の補強板一体型FPCを得ることができる。
[(A)補強板]
本願発明における(A)補強板とは、フレキシブルプリント基板を補強する目的で用いられる材料であれば限定されるものではない。例えば、厚手の補強板材料としては、紙フェノール、ガラス・エポキシ板等が挙げられる。また、薄型の補強板材料としては、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、金属板(銅板、アルミ板)等が挙げられる。
本願発明における補強板一体型FPCは、補強板にポリイミドフィルムを用いた場合、耐熱性、柔軟性に優れた補強板一体型配線板を得ることができるため好ましい。
上記ポリイミドフィルムの厚みは特に限定されないが、例えば、75μmから225μmが好ましい。上記ポリイミドフィルムの厚みが75μmよりも小さい場合、フレキシブルプリント基板を支持するために必要な支持性が得られない場合がある。一方、厚みが225μmよりも大きい場合、補強板一体型フレキシブルプリント基板全体として厚みが大きくなり過ぎ、小型化、軽量化の傾向に反する懸念がある。
上記ポリイミドフィルムは特に限定されないが、例えば、株式会社カネカ製の商品名アピカル75NPI、アピカル125NPI、アピカル225NPI、アピカル75AH、125AH、225AH等が挙げられる。
[(B)熱硬化性接着剤]
本願発明における(B)熱硬化性接着剤とは、一般的な熱硬化性接着剤であれば適宜選択することができるが、例えば、エポキシ系またはアクリル系の熱硬化性接着剤が挙げられる。エポキシ系の熱硬化性接着剤としては、例えば、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製の商品名D3410、D3411等が挙げられる。また、アクリル系の熱硬化性接着剤としては、例えば、デュポン社製の商品名パイララックスLF0100、パイララックスFR0100等が挙げられる。また、アクリル/エポキシ系熱硬化性接着剤としては、例えば、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製の商品名D3450、D3451等が挙げられる。
本願発明における(B)熱硬化性接着剤の加工方法としては、特に限定されないが、例えば、熱プレスを用いた加圧・加熱形成法が挙げられる。熱プレスでの加圧・加熱成形条件は、特に限定されないが、例えば、熱プレス温度100〜180℃、熱プレス圧力0.5〜5.0kgf/cm、熱プレス時間10〜90分で加熱・加圧成形することにより熱硬化性接着剤を加工する事ができる。上記範囲内に加圧・加熱成形条件を制御することが、補強板と絶縁膜との密着性を発現できるため好ましい。
[(C)絶縁膜]
本願発明における(C)絶縁膜とは、絶縁性を有する厚さ5〜100μmの膜である。
本願発明の絶縁膜の厚さは、任意の方法により測定することができるが、例えば、JIS K 5400 3.5に準拠した方法で測定することができる。上記範囲内に厚さを制御することにより、絶縁膜の柔軟性、電気絶縁信頼性が優れるため好ましい。厚さが5μm以下の場合は絶縁膜の電気絶縁信頼性が低下する場合があり、厚さが100μm以上の場合は絶縁膜の柔軟性が低下する場合がある。
本願発明における(C)絶縁膜は、少なくとも(a)バインダーポリマー、及び(b)球状有機ビーズを含んでいる必要がある。(a)成分及び(b)成分を含有することにより、被着体との接着面積が広がり、応力緩和による破壊靱性の向上による密着性向上、更に柔軟性を付与することが出来るため、反りが小さい補強板一体型FPCが得られるため好ましい。
[(a)バインダーポリマー]
本願発明における(a)バインダーポリマーとは、有機溶媒に対して可溶性であり、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。
上記有機溶媒とは、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
更に、例えばメチルモノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2−メトキシエテル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2−(2−メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2−ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2−エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2−ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n−プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名、カルビトールアセテート、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル))、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のアセテート類や、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールものエチルエーテル等のエーテル類の溶剤が挙げられる。
有機溶媒に対する可溶性の指標である有機溶媒溶解性は、有機溶媒100重量部に対して溶解する(a)成分の重量部として測定することが可能であり、有機溶媒100重量部に対して溶解する(a)成分の重量部が5重量部以上であれば有機溶媒に対して可溶性とすることができる。有機溶媒溶解性測定方法は、特に限定されないが、例えば、有機溶媒100重量部に対して(a)成分を5重量部添加し、40℃で1時間攪拌後、室温まで冷却して24時間以上放置し、不溶解物や析出物の発生なく均一な溶液であることを確認する方法で測定することができる。
本願発明の(a)成分の重量平均分子量は、例えば、以下の方法で測定することができる。
(重量平均分子量測定)
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW−H
溶離液:30mM LiBr+20mM HPO in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)。
上記範囲内に重量平均分子量を制御することにより、得られる(C)絶縁膜の柔軟性、耐薬品性が優れるため好ましい。重量平均分子量が1,000以下の場合は、(C)絶縁膜の柔軟性や耐薬品性が低下する場合があり、重量平均分子量が1,000,000以上の場合は(a)成分及び(b)成分を含む樹脂組成物の粘度が高くなる場合がある。
本願発明の(a)成分は、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。中でも分子内にウレタン結合を含有する樹脂であるポリウレタン系樹脂やポリ(メタ)アクリル系樹脂を用いた場合、(a)成分が(b)成分の内部に染み込み易くなるため、(a)成分と(b)成分との界面で強固な接着性が得られ、(a)成分及び(b)成分を含む樹脂組成物を硬化させることにより得られる(C)絶縁膜の柔軟性、耐折れ性が向上し、(C)絶縁膜の反りが小さくなるため好ましい。
本願発明の分子内にウレタン結合を含有する樹脂とは、有機溶媒に対して可溶性であり、分子内に少なくとも1つのウレタン結合を含有する繰り返し単位を含有している、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。
本願発明の分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、下記一般式(1)
Figure 0006106082
(式中、Rは2価の有機基を示す)
で示されるジオール化合物と、下記一般式(2)
Figure 0006106082
(式中、Xは2価の有機基を示す)
で示されるジイソシアネート化合物を反応させることにより、下記一般式(3)
Figure 0006106082
(式中、R及びXはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、nは1以上の整数を示す)
で示されるウレタン結合を含有する繰り返し単位を含有する構造として得られる。
本願発明のジオール化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のアルキレンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとのランダム共重合体等のポリオキシアルキレンジオール、多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルジオール、カーボネート骨格を有するポリカーボネートジオール、γ−ブチルラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を開環付加反応させて得られるポリカプロラクトンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等の長鎖ジオールを用いた場合、樹脂組成物を硬化させることにより得られる(C)絶縁膜の弾性率を低下させ、屈曲性、低反りに優れる点で好ましい。
本願発明のジイソシアネート化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジエチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメトキシジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−[2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明の分子内にウレタン結合を含有する樹脂の合成方法は、ジオール化合物とジイソシアネート化合物との配合量を、水酸基数とイソシアネート基数との比率が、イソシアネート基/水酸基=0.5以上2.0以下になるように配合し、無溶媒あるいは有機溶媒中で反応させることで得られる。
また、2種類以上のジオール化合物を用いる場合、ジイソシアネート化合物との反応は、2種類以上のジオール化合物を混合した後に行ってもよいし、それぞれのジオール化合物とジイソシアネート化合物とを別個に反応させてもよい。また、ジオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させた後に、得られた末端イソシアネート化合物をさらに他のジオール化合物と反応させ、さらにこれをジイソシアネート化合物と反応させてもよい。また、2種類以上のジイソシアネート化合物を用いる場合も同様である。このようにして、所望の分子内にウレタン結合を含有する樹脂を製造することができる。
ジオール化合物とジイソシアネート化合物との反応温度は、40〜160℃とすることが好ましく、60〜150℃とすることがより好ましい。40℃未満では反応時間が長くなり過ぎ、160℃を超えると反応中に三次元化反応が生じてゲル化が起こり易い。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。また、必要に応じて、三級アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、錫、亜鉛、チタニウム、コバルト等の金属又は半金属化合物等の触媒存在下に反応を行っても良い。
上記反応は、無溶媒で反応させることもできるが、反応を制御する為には、有機溶媒系で反応させることが望ましい。ここで用いられる有機溶媒は、特に限定されないが、例えば、上記例示されたものを用いることができる。
反応の際に用いられる有機溶媒量は、反応溶液中の溶質重量濃度すなわち溶液濃度が5重量%以上90重量%以下となるような量とすることが望ましい。反応溶液中の溶質重量濃度は、更に好ましくは、10重量%以上80重量%以下となることが望ましい。溶液濃度が5%以下の場合には、重合反応が起こりにくく反応速度が低下すると共に、所望の構造物質が得られない場合があるので好ましくない。
本願発明の分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、更に(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基、イミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機基を含有することが好ましい。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基のことであり、(メタ)アクリロイル基を含有する樹脂組成物が感光性樹脂組成物の場合、感光性が向上するため短時間での紫外線照射で硬化させることが可能となる。また、カルボキシル基を含有する場合は樹脂組成物の希アルカリ水溶液の現像液への溶解性が向上するため短時間での現像で微細パターン形成が可能となる。また、イミド基を含有する場合は樹脂組成物を硬化させることにより得られる(C)絶縁膜の耐熱性や高温高湿条件下での電気絶縁信頼性が向上する。
ここで、(メタ)アクリロイル基を含有する分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物に加えて、下記一般式(4)
Figure 0006106082
(式中、Rはm+1価の有機基を示し、Rは水素又はアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す)
で示される水酸基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含有する化合物及び/又は下記一般式(5)
Figure 0006106082
(式中、Xはl+1価の有機基を示し、Xは水素又はアルキル基を示す。lは1〜3の整数を示す)
で示されるイソシアネート基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を反応させることにより得られる。
本願発明の水酸基及び少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有する化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアクリルアミド等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明のイソシアネート基及び少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有する化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、カルボキシル基を含有する分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物に加えて、下記一般式(6)
Figure 0006106082
(式中、Rは3価の有機基を示す)
で示される2つの水酸基及び1つのカルボキシル基を含有する化合物を反応させることにより得られる。
本願発明の2つの水酸基及び1つのカルボキシル基を含有する化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシメプロピル)プロピオン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ブタン酸、2,3−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシヘキサデカン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
特に、脂肪族系の2つの水酸基及び1つのカルボキシル基を含有する化合物を用いた場合、感光性樹脂組成物の感光性に優れる点で好ましい。
また、イミド基を含有する分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物に加えて、下記一般式(7)
Figure 0006106082
(式中、Yは4価の有機基を示す)
で示されるテトラカルボン酸二無水物を反応させることにより得られる。
本願発明のテトラカルボン酸二無水物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明のポリ(メタ)アクリル系樹脂とは、有機溶媒に対して可溶性であり、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル誘導体を共重合させることにより得られる繰り返し単位を含有している、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。
本願発明のポリ(メタ)アクリル系樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル誘導体を溶媒中、ラジカル重合開始剤存在下で反応させることにより得られる。
本願発明の(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、特に限定はされないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。これら(メタ)アクリル酸エステル誘導体の中でも、特に(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルを用いることが、樹脂組成物の絶縁膜の柔軟性と耐薬品性の観点から好ましい。
上記、ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸価水素等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記、ラジカル重合開始剤の使用量は、使用するモノマー100重量部に対して0.001〜5重量部とすることが好ましく、0.01〜1重量部とすることがより好ましい。0.001重量部より少ない場合では反応が進行しにくく、5重量部より多い場合ではポリ(メタ)アクリル系樹脂の分子量が低下する場合がある。
上記反応の際に用いられる溶媒量は、反応溶液中の溶質重量濃度すなわち溶液濃度が5重量%以上90重量%以下となるような量とすることが好ましく、20重量%以上70重量%以下とすることがより好ましい。溶液濃度が5重量%より少ない場合では重合反応が起こりにくく反応速度が低下すると共に、所望の構造物質が得られない場合があり、また、溶液濃度が90重量%より多い場合では反応溶液が高粘度となり反応が不均一となる場合がある。
上記反応温度は、20〜120℃とすることが好ましく、50〜100℃とすることがより好ましい。20℃より低い温度の場合では反応時間が長くなり過ぎ、120℃を超えると急激な反応の進行や副反応に伴う三次元架橋によるゲル化を招く恐れがある。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。
本願発明の(a)成分がポリイミド系樹脂の場合、(C)絶縁膜の耐熱性が向上するため好ましい。前記ポリイミド系樹脂とは、分子内に少なくとも1つのイミド基を含有する繰り返し単位を含有している、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。
本願発明のポリイミド系樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、上記一般式(7)で示されるテトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物を反応させることにより得られる。
本願発明のジアミノ化合物は、特に限定されないが、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、(4−アミノフェノキシフェニル)(3−アミノフェノキシフェニル)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、(4−アミノフェノキシフェニル)(3−アミノフェノキシフェニル)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、(4−アミノフェノキシフェニル)(3−アミノフェノキシフェニル)フェニル]スルフィド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)] プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)] −1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリ(テトラメチレン/3−メチルテトラメチレンエーテル)グリコールビス(4−アミノベンゾエート)、トリメチレン―ビス(4−アミノベンゾエート)、p-フェニレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、m−フェニレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、ビスフェノールA−ビス(4−アミノベンゾエート)、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、[ビス(4-アミノ-2-カルボキシ)フェニル]メタン、 [ビス(4-アミノ-3-カルボキシ)フェニル]メタン、[ビス(3-アミノ-4-カルボキシ)フェニル]メタン、 [ビス(3-アミノ-5-カルボキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4‘−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、2,3−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール等のジアミノフェノール類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシビフェニル等のヒドロキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン等のジヒドロキシジフェニルメタン類、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル]プロパン等のビス[ヒドロキシフェニル]プロパン類、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン等のビス[ヒヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等のヒドロキシジフェニルエーテル類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン等のジヒドロキシジフェニルスルフォン類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジフェニルスルフィド類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジフェニルスルホキシド類、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(ヒドロキシフェニル)フェニル]アルカン化合物類、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル化合物類、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフォン等のビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフォン化合物、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル化合物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記、テトラカルボン酸無水物とジアミノ化合物との反応は、任意の方法により行うことが可能であるが、例えば、下記方法により行うことができる。
方法1:テトラカルボン酸二無水物を有機溶剤中に分散もしくは溶解させた溶液中に、ジアミノ化合物を添加して反応させてポリアミド酸溶液を作製する。この時のジアミノ化合物の総添加量はテトラカルボン酸二無水物1モルに対して、0.50〜1.50モルの比率になるように添加する。テトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物の反応が終了した後、得られたポリアミド酸溶液を100℃以上300℃以下、より好ましくは、150℃以上250℃以下に加熱してイミド化を行う。
方法2:上記方法1と同様の方法でポリアミド酸溶液を作製する。このポリアミド酸溶液中にイミド化の触媒(好ましくは3級アミンであるピリジン、ピコリン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が用いられる)及び脱水剤(無水酢酸等)を添加して60℃以上180℃以下に加熱して、イミド化を行う。
方法3:上記方法1と同様の方法でポリアミド酸溶液を作製する。このポリアミド酸溶液を100℃以上250℃以下に加熱した真空オーブン中に入れて加熱・乾燥を行いながら真空に引くことでイミド化を行う。
[(b)球状有機ビーズ]
本願発明における(b)球状有機ビーズとは、炭素を含む球状ポリマーで、楕円状のものも含まれる。
本願発明における(b)成分の平均粒子径は、例えば、以下の方法で体積基準のメジアン径(積算分布値50%に対する粒子径)として測定することができる。
(平均粒子径測定)
装置 :株式会社堀場製作所製 LA−950V2相当品
測定方式:レーザー回折/散乱式。
本願発明における(b)成分の平均粒子径は、特に限定されないが、3〜15μmの場合、(C)絶縁膜の柔軟性、耐薬品性が優れるため好ましい。平均粒子径が3μmより小さい場合は、(C)絶縁膜表面に効果的に凹凸が形成されず、(B)熱硬化性接着剤との良好な密着性が得られない場合がある。平均粒子径が15μm以上の場合は(C)絶縁膜の耐折れ性が低下する場合がある。
本願発明の(C)絶縁膜中に(b)成分が含有されることを確認する手段としては、任意の方法で確認することが可能であるが、例えば、下記のように絶縁膜を含む補強板一体型FPCを熱硬化性樹脂で包埋し、厚み方向の断面をイオンビームで研磨して絶縁膜の断面出しを行い、絶縁膜の断面を走査型電子顕微鏡で観察する方法が挙げられる。
(絶縁膜の断面出し)
補強板一体型FPCにおいて、5mm×3mmの範囲をカッターナイフで切り出し、エポキシ系包埋樹脂及びカバーガラスを使用して切り出した補強板一体型FPCの両面に保護膜層及びカバーガラス層を形成した後、絶縁膜の厚み方向の断面をイオンビームによるクロスセクションポリッシャ加工を行った。
(クロスセクションポリッシャ加工)
使用装置:日本電子株式会社製 SM−09020CP相当品
加工条件:加速電圧 6kV
(絶縁膜の断面観察)
上記得られた絶縁膜の厚み方向の断面について、走査型電子顕微鏡により観察を行った。
(走査型電子顕微鏡観察)
使用装置:株式会社日立ハイテクノロジーズ製 S−3000N相当品
観察条件:加速電圧 15kV
検出器 :反射電子検出(組成モード)
倍率 :1000倍。
ここで用いた反射電子検出(組成モード)は、観察領域の平均原子番号の差がコントラストに強く反映されるため、重元素が存在する領域が明るく(白く)、軽元素が存在する領域が暗く(黒く)観察される。よって炭素、水素、酸素、窒素等の比較的軽元素から構成される有機物で、球状である(b)成分は暗い(黒い)円状領域として観察される。
本願発明の(b)成分は、特に限定はされないが、例えば、ポリメタクリル酸メチル系球状有機ビーズとしては、ガンツ化成株式会社製の製品名ガンツパールGM−0600、GM−0600W、架橋ポリメタクリル酸メチル系球状有機ビーズとしては、ガンツ化成株式会社製の製品名ガンツパールGM−0801S、GM−0807S、GM−1001−S、GM−1007S、GM−1505S−S、GMX−0610、GMX−0810、GMP−0800、GMDM−050M、GMDM−080M、GMDM−100M、GMDM−150M、積水化成品工業株式会社製の製品名テクポリマーMBX−5、MBX−8、MBX−12、架橋ポリメタクリル酸ブチル系球状有機ビーズとしては、ガンツ化成株式会社製の製品名ガンツパールGB−05S、GB−08S、GB−10S、GB−15S、積水化成品工業株式会社製の製品名テクポリマーBM30X−5、BM30X−8、架橋アクリル系球状有機ビーズとしては、ガンツ化成株式会社製の製品名ガンツパールGMP−0820、アクリルコポリマー系球状有機ビーズとしては、ガンツ化成株式会社製の製品名ガンツパールGBM−55COS、架橋スチレン系球状有機ビーズとしては、ガンツ化成株式会社製の製品名ガンツパールGS−0605、GS−1105、積水化成品工業株式会社製の製品名テクポリマーSBX−6、SBX−8、架橋ポリアクリル酸エステル系有機ビーズとしては、積水化成品工業株式会社製の製品名テクポリマーABX−8、AF10X−8、AFX−15、ARX−15、ナイロン系球状有機ビーズとしては、ガンツ化成株式会社製の製品名ガンツパールGPA−550、シリコーン系球状有機ビーズとしては、ガンツ化成株式会社製の製品名ガンツパールSI−020、SI−030、SI−045、架橋シリコーン系球状有機ビーズとしては、ガンツ化成株式会社製の製品名ガンツパールSIG−070、架橋ウレタン系球状有機ビーズとしては、大日精化工業株式会社製の商品名ダイミックビーズUCN−8070CMクリヤー、UCN−8150CMクリヤー、UCN−5070Dクリヤー、UCN−5150Dクリヤー、根上工業株式会社製の商品名アートパールC−100透明、C−200透明、C−300透明、C−300WA、C−400透明、C−400WA、C−600透明、C−800透明、C−800WA、P−400T、P−800T、U−600T、CF−600T、JB−400T、JB−800T、CE−400T、CE−800T等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明の(b)成分は、上記球状有機ビーズの中でも、特に分子内にウレタン結合を含有する架橋球状有機ビーズを用いることが、(C)絶縁膜の反り低下、繰り返し折り曲げに耐え得る柔軟性の向上、(a)成分との接着性の向上のために好ましい。
本願発明の(b)成分の配合量は、好ましくは(a)成分100重量部に対して30〜100重量部、より好ましくは40〜80重量部とすることにより、得られる絶縁膜表面に効果的に凹凸を形成することが可能となり、(B)熱硬化性接着剤との密着性に優れる。また、(b)成分による充填効果が得られるため(C)絶縁膜の反りが低下し、応力緩和効果や破壊靱性の向上により繰り返し折り曲げに耐え得る柔軟性が向上する。(b)成分が30重量部より少ない場合は(B)熱硬化性接着剤との密着性や繰り返し折り曲げに耐え得る柔軟性に劣る場合があり、100重量部より多い場合は絶縁膜の難燃性や樹脂組成物を塗工する際の塗工性が悪化し、塗工時の塗膜の発泡やレベリング不足による外観不良が発生する場合がある。
[(c)リン、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する微粒子]
本願発明の(c)リン、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する微粒子とは、構造中に少なくとも1つのリン、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を有している微粒子である。
本願発明の(c)成分の平均粒子径は、例えば、上記(b)成分と同様の方法で測定することができる。
本願発明の(c)成分の平均粒子径は、特に限定されないが、1〜10μmの場合、(C)絶縁膜の柔軟性、難燃性が優れるため好ましい。平均粒子径が1μmより小さい場合は、絶縁膜表面に効果的に凹凸が形成されず、(B)熱硬化性接着剤との密着性に劣る場合があり、平均粒子径が10μm以上の場合は耐折れ性が低下する場合がある。
本願発明の(C)絶縁膜中に(c)成分が含有されることは、上記(C)絶縁膜中に(b)成分が含有されることを確認する方法と同様の方法により確認することができる。特に、上記(b)成分と同様に、絶縁膜を樹脂で包埋し、絶縁膜の厚み方向の断面をイオンビームで研磨して断面出しを行い、得られた断面を走査型電子顕微鏡で観察する方法が、絶縁膜内の(c)成分を明瞭に区別することが出来るため好ましい。ここで走査型電子顕微鏡の検出器が上記(b)成分と同様に反射電子検出(組成モード)の場合、(b)成分中に含まれる元素よりも比較的重元素であるリン元素を含有する場合は薄暗い(グレーの)、アルミニウム、マグネシウム元素を含有する場合は明るい(白い)円状又は多角状領域として観察される。
また、(C)絶縁膜の厚み方向の断面中の(c)成分の領域を走査型電子顕微鏡−X線マイクロアナライザー(SEM−EPMA)で分析することにより、(c)成分が含有する元素の情報を得ることができるため、リン、アルミニウム、及びマグネシウム元素が含有されることを確認することができる。
(走査型電子顕微鏡−X線マイクロアナライザー分析)
使用装置:株式会社堀場製作所製 EMAX−7000相当品
分析条件:加速電圧 15kV 積算時間900秒。
本願発明の(c)成分は、特に限定はされないが、例えば、リン元素を含有する微粒子としては、ポリリン酸アンモニウム、メラミンリン酸塩、ホスフィン酸塩等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記リン元素を含有する微粒子の中でも、特にホスフィン酸塩を用いることが、(C)絶縁膜に対して優れた難燃性を付与できると共に、(C)絶縁膜からのブリードアウトが少ないため、接点障害や工程汚染を抑制することができるため好ましい。
上記ホスフィン酸塩とは、下記一般式(8)で示される化合物である。
Figure 0006106082
(式中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖状または枝分かれした炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を示し、Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na及びKからなる群の少なくとも1種より選択される金属類を示し、tは1〜4の整数である。)。
上記ホスフィン酸塩は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル等を挙げることができ、これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。上記の中でも特に、リン元素及びアルミニウム元素を含有するトリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウムを用いた場合、高い難燃性が得られる点で好ましい。
また、アルミニウム元素を含有する微粒子としては、ギブサイト型水酸化アルミニウム、ベーマイト型水酸化アルミニウム、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウムが挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、マグネシウム元素を含有する微粒子としては、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムが挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明の(c)成分の含有量は、好ましくは(a)成分100重量部に対して20〜80重量部、より好ましくは25〜75重量部とすることにより、得られる絶縁膜の難燃性、電気絶縁信頼性に優れる。(c)成分が20重量部より少ない場合は難燃性に劣る場合があり、80重量部より多い場合は樹脂組成物を塗工する際の塗工性が悪化し、塗工時の塗膜の発泡やレベリング不足による外観不良が発生する場合がある。
[(d)熱硬化性樹脂]
本願発明の(d)熱硬化性樹脂は、(C)絶縁膜の樹脂組成物を構成する要素の一つであり、加熱により架橋構造を形成し、熱硬化剤として機能する化合物である。本発明においては、(C)絶縁膜が、(d)熱硬化性樹脂を含有している樹脂組成物から得られることが好ましい。(d)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂;高分子鎖の側鎖または末端にアリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基、等の反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子等を用いることができる。上記熱硬化性成分の1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いればよい。(d)成分としては、この中でも、エポキシ樹脂を用いることがより好ましい。エポキシ樹脂成分を含有することにより、絶縁膜に対して耐熱性を付与できると共に、(D)配線パターン付きフィルムに対する接着性、更には(B)熱硬化性接着剤との密着性を付与することができるため好ましい。上記エポキシ樹脂とは、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を含む化合物であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER828、jER1001、jER1002、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4100E、アデカレジンEP−4300E、日本化薬株式会社製の商品名RE−310S、RE−410S、大日本インキ株式会社製の商品名エピクロン840S、エピクロン850S、エピクロン1050、エピクロン7050、東都化成株式会社製の商品名エポトートYD−115、エポトートYD−127、エポトートYD−128、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER806、jER807、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4901E、アデカレジンEP−4930、アデカレジンEP−4950、日本化薬株式会社製の商品名RE−303S、RE−304S、RE−403S、RE−404S、DIC株式会社製の商品名エピクロン830、エピクロン835、東都化成株式会社製の商品名エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S、エポトートYDF−2001、ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−1514、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jERYX8000、jERYX8034、jERYL7170、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4080E、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−7015、東都化成株式会社製の商品名エポトートYD−3000、エポトートYD−4000D、ビフェニル型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jERYX4000、jERYL6121H、jERYL6640、jERYL6677、日本化薬株式会社製の商品名NC−3000、NC−3000H、フェノキシ型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER1256、jER4250、jER4275、ナフタレン型エポキシ樹脂としては、DIC株式会社製の商品名エピクロンHP−4032、エピクロンHP−4700、エピクロンHP−4200、日本化薬株式会社製の商品名NC−7000L、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER152、jER154、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−201−L、DIC株式会社製の商品名エピクロンN−740、エピクロンN−770、東都化成株式会社製の商品名エポトートYDPN−638、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、DIC株式会社製の商品名エピクロンN−660、エピクロンN−670、エピクロンN−680、エピクロンN−695、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名XD−1000、DIC株式会社製の商品名エピクロンHP−7200、アミン型エポキシ樹脂としては、東都化成株式会社の商品名エポトートYH−434、エポトートYH−434L、可とう性エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER871、jER872、jERYL7175、jERYL7217、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−4850、ウレタン変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEPU−6、アデカレジンEPU−73、アデカレジンEPU−78−11、ゴム変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEPR−4023、アデカレジンEPR−4026、アデカレジンEPR−1309、キレート変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−49−10、アデカレジンEP−49−20等が挙げられる。
本願発明にかかる(d)成分は、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を合計した100重量部に対して、好ましくは0.5〜100重量部、さらに好ましくは、1〜50重量部、特に好ましくは、5〜20重量部とすることにより、(C)絶縁膜の耐熱性、耐薬品性、電気絶縁信頼性を向上することができるので好ましい。
(d)成分が上記範囲よりも少ない場合には、(C)絶縁膜の耐熱性、電気絶縁信頼性に劣る場合がある。また、(d)成分が上記範囲よりも多い場合には、(C)絶縁膜が脆くなり柔軟性に劣り、(C)絶縁膜の反りも大きくなる場合がある。
[(e)光重合開始剤]
本願発明の(e)光重合開始剤とは、(C)絶縁膜の樹脂組成物を構成する要素の一つであり、UVなどのエネルギーによって活性化し、ラジカル重合性基含有樹脂の反応を開始・促進させる化合物である。したがって、本願発明の(e)光重合開始剤を含有する樹脂組成物は、感光性樹脂組成物となる。本願発明は、(C)絶縁膜が(e)光重合開始剤を含有している感光性樹脂組成物から得られることが好ましい。本願発明の(e)成分としては、例えば、ミヒラ−ズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’,4’’−トリス(ジメチルアミノ)トリフェニルメタン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、アセトフェノン、ベンゾイン、2−メチルベンゾイン、ベンゾインメチルエ−テル、ベンゾインエチルエ−テル、ベンゾインイソプロピルエ−テル、ベンゾインイソブチルエ−テル、2−t−ブチルアントラキノン、1,2−ベンゾ−9,10−アントラキノン、メチルアントラキノン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジアセチルベンジル、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジルジエチルケタ−ル、2(2’−フリルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2[2’(5’’−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、ジ(テトラアルキルアンモニウム)−4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルフォネ−ト、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、ビス(n5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、ヨード二ウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシオム)などが挙げられる。上記(e)光重合開始剤は適宜選択することが望ましく、1種以上を混合させて用いることが望ましい。
本願発明にかかる(e)光重合開始剤は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び(d)成分の合計100重量部対して、0.1〜50重量部となるように配合されていることが好ましい。上記配合割合にすることで感光性樹脂組成物の感光性が向上するので好ましい。(e)成分が上記範囲よりも少ない場合には、光照射時のラジカル重合性基の反応が起こりにくく、硬化が不十分となることが多い場合がある。また、(e)成分が上記範囲よりも多い場合には、光照射量の調整が難しくなり、過露光状態となる場合がある。そのため、光硬化反応を効率良く進めるためには上記範囲内に調整することが好ましい。
[その他の成分]
本願発明の(C)絶縁膜の樹脂組成物には、更に必要に応じて、ラジカル重合性樹脂、着色剤、密着性付与剤、重合禁止剤、溶媒等の添加剤を用いることができる。
本願発明にかかるラジカル重合性樹脂としては、(e)光重合開始剤により化学結合が形成される樹脂であれば限定されない。更には、ラジカル重合性基は、(メタ)アクリロイル基又はビニル基であることが好ましい。本願発明のラジカル重合性樹脂は、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ラウリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、1−アクリロイルオキシプロピル−2−フタレート、イソステアリルアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−メキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールメタクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、ペンタスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリル1,3,5−ベンゼンカルボキシレート、トリアリルアミン、トリアリルシトレート、トリアリルフォスフェート、アロバービタル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジスルフィド、ジアリルエーテル、ザリルシアルレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、1,3−ジアリロキシ−2−プロパノール、ジアリルスルフィドジアリルマレエート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクリレート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジアクリレート、等が挙げられる。特に、ジアクリレートあるいはメタアクリレートの一分子中に含まれるEO(エチレンオキサイド)の繰り返し単位が、2〜50の範囲のものが好ましく、さらに好ましくは2〜40である。EOの繰り返し単位が2〜50の範囲の物を使用することにより、樹脂組成物のアルカリ水溶液に代表される水系現像液への溶解性が向上し、現像時間が短縮される。更に、樹脂組成物を硬化した絶縁膜中に応力が残りにくく、(D)配線パターン付きフィルム上に積層した際に、(D)配線パターン付きフィルムのカールを抑えることができるなどの特徴を有する。
特に、上記EO変性のジアクリレート或いは、ジメタクリレートと、アクリル基もしくは、メタクリル基を3以上有するアクリル樹脂とを併用することが現像性を高める上で特に好ましく、例えばエトキシ化イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸EO変性トリメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリストールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルエチルコハク酸、2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルエチルフタル酸、プロポキシ化ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等のアクリル樹脂が好適に用いられる。
また、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、アクリル酸ダイマー、ペンタエスリトールトリ及びテトラアクリレート等の分子構造骨格中にヒドロキシル基、カルボニル基を有する物も好適に用いられる。
この他、エポキシ変性のアクリル(メタクリル)樹脂や、ウレタン変性のアクリル(メタクリル)樹脂、ポリエステル変性のアクリル(メタクリル)樹脂等どのようなラジカル重合性樹脂を用いてもよい。
尚、ラジカル重合性樹脂としては、1種を使用することも可能であるが、2種以上を併用することが、光硬化後の絶縁膜の耐熱性を向上させる上で好ましい。
本願発明におけるラジカル重合性樹脂は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、及び(e)成分の合計100重量部に対して、10〜200重量部となるように配合されていることが、樹脂組成物の感光性が向上する点で好ましい。
ラジカル重合性樹脂が上記範囲よりも少ない場合には、絶縁膜の耐アルカリ性が低下すると共に、露光・現像したときのコントラストが付きにくくなる場合がある。また、ラジカル重合性樹脂が上記範囲よりも多い場合には、樹脂組成物を基材上に塗布し、溶媒を乾燥させることにより得られる塗膜のべたつきが大きくなるため生産性が低下し、また架橋密度が高くなりすぎることにより絶縁膜が脆く割れやすくなる場合がある。上記範囲内にすることで露光・現像時の解像度を最適な範囲にすることが可能となる。
本願発明の着色剤としては、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、カーボンブラック、酸化チタンが挙げられる。また、密着性付与剤としては、シランカップリング剤、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。更に、重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。これら添加物を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。本願発明における溶媒としては、(a)成分及び(d)成分を溶解させることができる溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、メチルモノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2−メトキシエテル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2−(2−メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2−ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2−エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2−ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類、γ−ブチロラクトン、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n−プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名、カルビトールアセテート、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル))、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のアセテート類や、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3―ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類等を挙げることができ、これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本願発明の溶媒の好ましい配合量は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、及び(e)成分を合計した100重量部に対して、10〜400重量部、より好ましくは、20〜200重量部、特に好ましくは、40〜100重量部である。
上記範囲内に溶媒の量を調整することにより、樹脂組成物の粘度や粘性をスクリーン印刷などの塗工に適切な範囲内に調整することができるので好ましい。
溶媒が上記範囲よりも少ない場合には、樹脂組成物の粘度が非常に高くなり、塗工が困難となり、塗工時の泡の巻き込み、レベリング性に劣る場合がある。また、溶媒が上記範囲よりも多い場合には、樹脂組成物の粘度が非常に低くなってしまい、塗工が困難となり、回路の被覆性に劣る場合がある。
本願発明の(C)絶縁膜は、前記各成分(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分、及びその他の成分を均一に混合し、樹脂組成物を得た後、この樹脂組成物を(D)配線パターン付きフィルム上に形成後、必要に応じて露光・現像により微細開口部を形成し、加熱処理を行うことにより得られることができる。均一に混合する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば3本ロール、ビーズミル装置等の一般的な混練装置を用いて混合すればよい。また、溶液の粘度が低い場合には、一般的な攪拌装置を用いて混合してもよい。この中でも、特に3本ロールを用いて粉砕・分散させて混同した場合、(c)成分が均一な大きさになるため好ましい。混合後の樹脂組成物中の各成分の粒子径はJIS K 5600−2−5で規定されたゲージを用いる方法で測定することができる。また粒度分布測定装置を使用すれば、平均粒子径、粒子径、粒度分布を測定することができる。
次いで上記得られた樹脂組成物を用いて、任意の方法により絶縁膜を得ることができるが、例えば、(1)樹脂組成物のまま(D)配線パターン付きフィルムに塗布し、硬化して形成する方法と(2)樹脂組成物を支持体上に製膜し、未硬化状態のフィルムを(D)配線パターン付きフィルムに貼り付けて、硬化して形成する方法が挙げられる。(1)樹脂組成物のまま(D)配線パターン付きフィルムに塗布し、硬化して形成する方法としては、先ず樹脂組成物を(D)配線パターン付きフィルム上に塗布し、乾燥して溶媒を除去する。(D)配線パターン付きフィルムへの塗布はスクリ−ン印刷、ローラーコーティング、カ−テンコーティング、スプレーコーティング、スピンナーを利用した回転塗布等により行うことができる。塗布膜(好ましくは厚み:5〜100μm)の乾燥は120℃以下、好ましくは40〜100℃で行う。
次いで、必要に応じて乾燥後、乾燥塗布膜にネガ型のフォトマスクを置き、紫外線、可視光線、電子線などの活性光線を照射して露光する。次いで、未露光部分をシャワー、パドル、浸漬または超音波等の各種方式を用い、現像液で現像することにより微細開口部を得ることができる。なお、現像装置の噴霧圧力や流速、エッチング液の温度によりパターンが露出するまでの時間が異なる為、適宜最適な装置条件を見出すことが望ましい。
上記現像液としては、アルカリ水溶液を使用することが好ましい。この現像液には、メタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶媒が含有されていてもよい。上記のアルカリ水溶液を与えるアルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムイオンの、水酸化物または炭酸塩や炭酸水素塩、アミン化合物などが挙げられ、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、N−メチルジエタノ−ルアミン、N−エチルジエタノ−ルアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミン、トリイソプロピルアミンなどを挙げることができ、水溶液が塩基性を呈するものであればこれ以外の化合物も当然使用することができる。また、現像液の温度は樹脂組成物の組成や、アルカリ現像液の組成に依存しており、一般的には0℃以上80℃以下、より一般的には、10℃以上60℃以下で使用することが好ましい。
上記現像工程によって形成した微細開口部は、リンスして不用な残分を除去する。リンス液としては、水、酸性水溶液などが挙げられる。
次いで、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、耐熱性・耐薬品性に富む(C)絶縁膜を得ることができる。(C)絶縁膜の厚みは、(D)配線パターン付きフィルムの厚み等を考慮して決定されるが、2〜50μm程度であることが好ましい。このときの最終加熱処理温度は導体回路等の酸化を防ぎ、(D)配線パターン付きフィルムとの密着性を低下させないことを目的として100℃以上250℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以上200℃以下であり、特に好ましくは130℃以上180℃以下である。加熱処理温度が高くなると導体回路等の酸化劣化が進み、(D)配線パターン付きフィルムとの密着性が低下する場合がある。
(2)樹脂組成物を支持体上に製膜し、未硬化状態のフィルムを(D)配線パターン付きフィルムに貼り付けて、硬化して形成する方法としては、まず支持体上に樹脂組成物を均一に塗布した後、加熱及び/又は熱風吹き付けを行う。これにより、溶媒を一部除去し、未硬化状態の樹脂組成物のフィルムを得ることができる。
上記加熱及び/又は熱風吹き付けを行うことによる溶媒を除去する時の温度は、樹脂組成物に含有される熱硬化性樹脂等が加熱により架橋反応しない程度であればよい。ここで、使用する支持体は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど通常市販されている各種のフィルムが使用可能である。支持体のうち、ある程度の耐熱性を有し、比較的安価に手に入る点から、PETフィルムが多く用いられる。なお、支持体と樹脂組成物との接合面については、密着性と剥離性を向上させるために表面処理されているものを用いてもよい。また、樹脂組成物の上に保護フィルムを積層してもよい。樹脂組成物の上に保護フィルムを積層することにより、空気中のゴミやチリが付着することを防ぎ、樹脂組成物の乾燥による品質劣化を防ぐことができる。保護フィルムは、樹脂組成物の表面に10℃〜50℃の温度でラミネートして積層することが好ましい。なお、ラミネート処理時の温度が50℃よりも高くなると、保護フィルムの熱膨張を招き、ラミネート処理後の保護フィルムのしわやカールが生じる場合がある。なお、保護フィルムは使用時には剥離するため、保護フィルムと樹脂組成物との接合面は、保管時には適切な密着性を有し、且つ剥離性に優れていることが望ましい。
保護フィルムの材料としては、特に限定されるのもではないが、例えば、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、ポリエチレンビニルアルコールフィルム(EVAフィルム)、「ポリエチレンとエチレンビニルアルコールの共重合体フィルム」(以下(PE+EVA)共重合体フィルムと略す)、「PEフィルムと(PE+EVA)共重合体フィルムの張り合わせ体」、もしくは「(PE+EVA)共重合体とポリエチレンとの同時押し出し製法によるフィルム」(片面がPEフィルム面であり、もう片面が(PE+EVA)共重合体フィルム面であるフィルム)等を挙げることができる。
次いで、保護フィルム、樹脂組成物、支持体を有してなるフィルムから保護フィルムを剥離する。そして、樹脂組成物と配線パターン付きフィルムとが対向するように、配線パターン付きフィルムを樹脂組成物のフィルムにて覆い、熱圧着によって貼り合わせる。この熱圧着による貼り合わせは、熱プレス処理、ラミネート処理(熱ラミネート処理)、熱ロールラミネート処理等によって行えばよく、特に限定されるものではない。貼り合わせを、熱ラミネート処理、熱ロールラミネート処理(以下、ラミネート処理と記載)によって行う場合、処理温度は、ラミネート処理が可能である下限の温度(以下、圧着可能温度)以上であればよい。具体的には、圧着可能温度は、50〜150℃の範囲であることが好ましく、60〜120℃の範囲であることがより好ましく、特に80℃〜120℃の範囲であることが好ましい。処理温度が150℃を超えると、ラミネート処理時に、樹脂組成物の加熱による架橋反応が生じ、樹脂組成物の硬化が進行する場合がある。一方、処理温度が50℃未満であると、樹脂組成物の流動性が低く、パターン回路を埋め込むことが困難となる。
ここで、フィルム化された樹脂組成物は、未硬化状態で保ったものである。それゆえ、熱ラミネート処理等の熱圧着処理を行う場合は適度な流動性を持ち、配線パターン付きフィルムの導体回路の埋め込みを好適に行うことができる。
上記の熱圧着処理によって、配線パターン付きフィルム上に樹脂組成物が積層され、さらに支持体が積層された貼り合せサンプルが得られる。次いで、必要に応じて上記貼り合せサンプルの支持体上にネガ型のフォトマスクを置き、紫外線、可視光線、電子線などの活性光線を照射して露光する。次いで、支持体を剥離して、未露光部分をシャワー、パドル、浸漬または超音波等の各種方式を用い、現像液で現像することにより微細開口部を得ることができる。なお、現像装置の噴霧圧力や流速、エッチング液の温度によりパターンが露出するまでの時間が異なる為、適宜最適な装置条件を見出すことが望ましい。
上記現像液としては、アルカリ水溶液を使用することが好ましい。この現像液には、メタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶媒が含有されていてもよい。上記のアルカリ水溶液を与えるアルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムイオンの、水酸化物または炭酸塩や炭酸水素塩、アミン化合物などが挙げられ、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、N−メチルジエタノ−ルアミン、N−エチルジエタノ−ルアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミン、トリイソプロピルアミンなどを挙げることができ、水溶液が塩基性を呈するものであればこれ以外の化合物も当然使用することができる。また、現像液の温度は樹脂組成物の組成や、アルカリ現像液の組成に依存しており、一般的には0℃以上80℃以下、より一般的には、10℃以上60℃以下で使用することが好ましい。
上記現像工程によって形成した微細開口部は、リンスして不用な残分を除去する。リンス液としては、水、酸性水溶液などが挙げられる。
次いで、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、耐熱性・耐薬品性に富む(C)絶縁膜を得ることができる。(C)絶縁膜の厚みは、(D)配線パターン付きフィルム厚み等を考慮して決定されるが、2〜50μm程度であることが好ましい。このときの最終加熱処理温度は導体回路等の酸化を防ぎ、(D)配線パターン付きフィルムとの密着性を低下させないことを目的として100℃以上250℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以上200℃以下であり、特に好ましくは130℃以上180℃以下である。加熱処理温度が高くなると導体回路等の酸化劣化が進み、(D)配線パターン付きフィルムとの密着性が低下する場合がある。
[(D)配線パターン付きフィルム]
本願発明の配線パターン付きフィルムとは、厚さ5〜100μmのベースフィルムの片面又は両面に配線パターンを有するフィルムである。本願発明における配線パターン付きフィルムの作製方法は、特に限定されないが、例えば、ベースフィルムに導体層を形成することにより、フレキシブル金属張積層板を作製し、導体層をパターンエッチングする事によって作製することができる。
本願発明におけるベースフィルムは、柔軟性があり、かつ絶縁性を有するフィルムであれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げら、耐熱性を要求されない場合は、安価なポリエステルフィルムが好ましく、耐熱性が要求される場合にはポリイミドフィルムが好ましい。
本願発明における導体層は、特に限定されないが、例えば、銅又は銅合金、ステンレス鋼又はその合金、ニッケル又はニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム又はアルミニウム合金を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
本願発明におけるベースフィルムに導体層を形成する方法、即ち、フレキシブル金属張積層板の作製方法は、特に限定されないが、例えば、キャスト法、ラミネート法、メタライジング法が挙げられる。キャスト法とは、液状のベースフィルム溶液を導体層上に塗布し、乾燥、熱硬化させる方法であり、ラミネート法とは、ベースフィルムと導体層を熱圧着により形成させる方法である。上記ラミネート法には、ベースフィルムと導体層との間に接着剤を介して作製する場合、所謂3層金属張積層板と接着剤を介しない場合、所謂2層金属張積層板がある。接着剤としては、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等が挙げられる。また、メタライジング法とは、ベースフィルムに金属薄膜を真空蒸着法、又はスパッタリング法により形成し、湿式めっきにより導体層を形成する方法である。または、金属薄膜を形成せずに、湿式めっきにより導体層を形成する場合も有る。上記いずれの方法においても、ベースフィルムの片面もしくは両面に導体層を形成することができる。
本願発明における導体層のパターンエッチング方法としては、特に限定されないが、例えば、フォトレジスト法が挙げられる。フォトレジスト法とは、フォトレジスト層を金属張積層板上に形成し、露光、現像、導体層のエッチング、ドライフィルムの剥離によって配線パターンを形成する方法である。フォトレジスト層としては、ネガ型やポジ型を用いることができ、液体状、フィルム状などを用いることができる。フォトレジストは、特に限定されないが、例えば、ネガ型のドライフィルムタイプのレジストを熱ラミネートにより、あるいはポジ型の液状タイプのレジストを塗工乾燥して金属張積層板上に形成する方法が挙げられる。ネガ型の場合は露光部以外が現像で除去され、一方ポジ型の場合は露光部が現像で除去される。ドライフィルムタイプのレジストは容易に厚膜化が可能である。ネガ型ドライフィルムタイプのフォトレジストとして例えば旭化成株式会社製の商品名SPG−152、日立化成工業株式会社製の商品名RY−3215などがあげられる。フォトレジスト層を現像除去する方法としては、公知のフォトレジスト層を現像除去するための薬剤を適宜選択して用いることができ、例えば炭酸ナトリウム水溶液(0.2〜1.5%等)等をスプレーしてフォトレジスト層を現像除去することができる。また、導体層のエッチングでは、公知の導体層エッチングを適宜選択して用いることができ、例えば、フェリシアン化カリウム水溶液、塩化鉄水溶液、塩化銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液、過酸化水素水、フッ酸水溶液、及びこれらの組合せなどを用いることができる。
本願発明の補強板一体型FPCは、補強板の熱硬化性接着剤と絶縁膜との密着性に優れ、反りが小さいため、小型携帯端末の液晶ディスプレイ、センサー、カメラモジュール用FPCとして特に適しているのである。また更には、ヒンジ屈曲、スライド屈曲、ケーブル、コネクター、ハードディスクの光ピックアップ用FPC等にも用いられる。
以下本願発明を実施例により具体的に説明するが本願発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[(a)バインダーポリマー]
〔合成例1〕
攪拌機、温度計、滴下漏斗、および窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)100.0gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温した。これに、室温で予め混合しておいた、メタクリル酸12.0g(0.14モル)、メタクリル酸ベンジル28.0g(0.16モル)、メタクリル酸ブチル60.0g(0.42モル)、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5gを80℃に保温した状態で3時間かけて滴下漏斗から滴下した。滴下終了後、反応溶液を攪拌しながら90℃まで昇温し、反応溶液の温度を90℃に保ちながら更に2時間攪拌し、本願発明のポリ(メタ)アクリル系樹脂溶液を得た(a−1)。得られたポリ(メタ)アクリル系樹脂溶液の固形分濃度は48%、重量平均分子量は48,000、酸価は78mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は下記の方法で測定した。
<固形分濃度>
JIS K 5601−1−2に従って測定を行った。尚、乾燥条件は150℃×1時間の条件を選択した。
<重量平均分子量>
合成したポリ(メタ)アクリル系樹脂((a)バインダーポリマーに対応)の重量平均分子量を下記条件にて測定した。
使用装置 :東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM-H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW-H
溶離液 :30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速 :0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件 :RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度 :約5mg/mL
標準品 :PEG(ポリエチレングリコール)
<酸価>
JIS K 5601−2−1に従って、合成したポリ(メタ)アクリル系樹脂((a)バインダーポリマーに対応)の酸価の測定を行った。
〔合成例2〕
攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)30.00gを仕込み、これに、ノルボルネンジイソシアネート10.31g(0.050モル)を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃に加温して溶解させた。この溶液に、ポリカーボネートジオール50.00g(0.025モル)(旭化成株式会社製:商品名PCDL T5652、重量平均分子量2000)及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸3.70g(0.025モル)をメチルトリグライム30.00gに溶解した溶液を1時間かけて添加した。この溶液を5時間80℃で加熱攪拌を行い反応させた。上記反応を行うことで分子内にウレタン結合を有する樹脂溶液を得た(a−2)。得られた樹脂溶液の固形分濃度は52%、重量平均分子量は5,600、固形分の酸価は22mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は合成例1と同様の方法で測定した。
〔合成例3〕
攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)130.60gを仕込み、これに、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物31.02g(0.100モル)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン34.45g(0.080モル)、ポリ(テトラメチレン/3−メチルテトラメチレンエーテル)グリコールビス(4−アミノベンゾエート)24.76g(0.020モル)を仕込み、窒素気流下で30分攪拌してポリアミド酸溶液を得た。
次いで、この溶液を190℃に加温して2時間反応させた。上記反応を行うことでポリイミド系樹脂溶液を得た。(a−3)得られた樹脂溶液の固形分濃度は49%、重量平均分子量は36,000であった。尚、固形分濃度、重量平均分子量は合成例1と同様の方法で測定した。
(実施例2、4および5、参考例1および3、比較例1〜2)
<樹脂組成物の調製>
合成例で得られた(a)バインダーポリマー、(b)球状有機ビーズ、(c)リン、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する微粒子、(d)熱硬化性樹脂、及びその他の成分を添加して樹脂組成物を作製した。それぞれの構成原料の樹脂固形分での配合量及び原料の種類を表1に記載する。なお、表中の溶媒である1,2−ビス(2-メトキシエトキシ)エタンは上記合成例で合成した樹脂溶液等に含まれる溶剤等も含めた全溶剤量である。混合溶液を脱泡装置で溶液中の泡を完全に脱泡して下記評価を実施した。
Figure 0006106082
<1>ガンツ化成株式会社製 架橋ポリメタクリル酸メチル系有機フィラーの製品名、平均粒子径4μm
<2>大日精化工業株式会社製 架橋ウレタン系球状有機フィラーの製品名、平均粒子径7μm
<3>クラリアントジャパン株式会社製 リン及びアルミニウム元素を含有する微粒子(ジエチルホスフィン酸アルミニウム塩)の製品名、平均粒子径2.5μm
<4>DIC株式会社製 グリシジルアミン型の多官能エポキシ樹脂の製品名
<5>日本アエロジル株式会社製 シリカ粒子の製品名。
<補強板一体型FPC評価試験片の作製>
上記で調整した樹脂組成物を、ベーカー式アプリケーターを用いて、片面配線パターン付きフィルム(電解銅箔の厚み12μm、ポリイミドフィルムは株式会社カネカ製アピカル25NPI、エポキシ系接着剤で銅箔を接着している)の銅箔面上に、最終乾燥厚みが25μmになるように100mm×100mmの面積に流延・塗布し、80℃で20分乾燥した。次いで、150℃のオーブン中で30分加熱硬化させて樹脂組成物の絶縁膜を片面配線パターン付きフィルム上に形成し、FPCを作製した。次いで、補強板であるポリイミドフィルム(株式会社カネカ製、商品名アピカル125NPI)上に熱硬化性接着剤(Dupont社製、商品名パイララックスLF0100)を185℃の熱ロールラミで仮圧着し、積層体1を作製した。その後、上記で作製したFPCの絶縁膜表面と上記積層体1の熱硬化性接着剤面とを熱プレスにて165℃/90minで圧着し、補強板一体型FPC評価試験片を作製した。
<補強板一体型FPCの評価>
得られた補強板一体型FPCについて、以下の項目につき評価を行った。評価結果を表2に記載する。
(i)補強板との密着性
上記<補強板一体型FPC評価試験片の作製>で得られた試験片を用いて、JIS K5400に従って碁盤目テープ法で評価した。
○:碁盤目テープ法で剥がれの無いもの
△:升目の95%以上が残存しているもの
×:升目の残存量が80%未満のもの。
(ii)半田耐熱性
上記<補強板一体型FPC評価試験片の作製>で得られた試験片を用いて、260℃で完全に溶解してある半田浴に補強板一体型FPCの補強板面が接する様に浮かべて10秒後に引き上げた。その操作を3回行い、熱硬化性接着剤と絶縁膜との接着強度をJIS K5400に従って碁盤目テープ法で評価した。
○:碁盤目テープ法で剥がれの無いもの
△:升目の95%以上が残存しているもの
×:升目の残存量が80%未満のもの。
(iii)リフロー耐熱性
上記<補強板一体型FPC評価試験片の作製>で得られた試験片を用いて、260℃:ピークトップ260℃×20secのリフロー条件でリフロー処理した後の試験片の外観を観察する。
○:試験前後で外観に変化の無いもの
×:試験後、試験片の何れかの積層界面で膨れが発生するもの。
(iv)反り
上記<補強板一体型FPC評価試験片の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製、商品名アピカル25NPI)表面に樹脂組成物の絶縁膜を形成し、積層体2を作製した。次いで、補強板であるポリイミドフィルム(株式会社カネカ製、商品名アピカル125NPI)上に熱硬化性接着剤(Dupont社製、商品名パイララックスLF0100)を185℃の熱ロールラミで仮圧着し、積層体1を作製した。その後、上記で作製した積層体2の絶縁膜表面と積層体1の熱硬化性接着剤面とを熱プレスにて165℃/90minで圧着し、補強板一体型FPC評価試験片を作製した。上記で得られた試験片を50mm×50mmの面積に切り出して平滑な台の上に補強板面が上面になるように置き、試験片端部の反り高さを測定した。測定部位の模式図を図2に示す。反り量が少ない程、補強板一体型FPCにした場合も反り量が低下することになる。反り量は5mm以下であることが好ましい。
Figure 0006106082
(実施例7、参考例6および8、比較例3)
<感光性樹脂組成物の調製>
合成例で得られた(a)バインダーポリマー、(b)球状有機ビーズ、(c)リン、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する微粒子、(d)熱硬化性樹脂、(e)光重合開始剤、及びその他の成分を添加して感光性樹脂組成物を作製した。それぞれの構成原料の樹脂固形分での配合量及び原料の種類を表3に記載する。なお、表中の溶媒である1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタンは上記合成例で合成した樹脂溶液等に含まれる溶剤等も含めた全溶剤量である。混合溶液を脱泡装置で溶液中の泡を完全に脱泡して下記評価を実施した。
Figure 0006106082
<1>ガンツ化成株式会社製 架橋ポリメタクリル酸メチル系有機フィラーの製品名、平均粒子径4μm
<2>大日精化工業株式会社製 架橋ウレタン系球状有機フィラーの製品名、平均粒子径7μm
<3>クラリアントジャパン株式会社製 リン及びアルミニウム元素を含有する微粒子(ジエチルホスフィン酸アルミニウム塩)の製品名、平均粒子径2.5μm
<4>DIC株式会社製 グリシジルアミン型の多官能エポキシ樹脂の製品名
<5>日本アエロジル株式会社製 シリカ粒子の製品名
<6>日本化薬株式会社製 ウレタン変性エポキシアクリレート樹脂の製品
<7>BASF ジャパン株式会社製 光重合開始剤の製品名
<8>新中村化学社製 製品名NKエステルA−9300(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)。
<補強板一体型FPC評価試験片の作製>
上記で調整した感光性樹脂組成物を、ベーカー式アプリケーターを用いて、片面配線パターン付きフィルム(電解銅箔の厚み12μm、ポリイミドフィルムは株式会社カネカ製アピカル25NPI、エポキシ系接着剤で銅箔を接着している)上の銅箔面上に、最終乾燥厚みが25μmになるように100mm×100mmの面積に流延・塗布し、80℃で20分乾燥した。次いで、300mJ/cmの積算露光量の紫外線を照射して露光した。次いで、1.0重量%の炭酸ナトリウム水溶液を30℃に加熱した溶液を用いて、1.0kgf/mmの吐出圧で90秒スプレー現像を行った。現像後、純水で十分洗浄した後、150℃のオーブン中で30分加熱硬化させて感光性樹脂組成物の絶縁膜を片面配線パターン付きフィルム上に形成し、FPCを作製した。次いで、補強板であるポリイミドフィルム(株式会社カネカ製、商品名アピカル125NPI)上に熱硬化性接着剤(Dupont社製、商品名パイララックス LF0100)を185℃の熱ロールラミで仮圧着し、積層体1を作製した。その後、上記で作製したFPCの絶縁膜表面と積層体1の熱硬化性接着剤面とを熱プレスにて165℃/90minで圧着し、補強板一体型FPC評価試験片を作製した。
<補強板一体型FPCの評価>
得られた補強板一体型FPCについて、以下の項目につき評価を行った。評価結果を表4に記載する。
(i)補強板との密着性
上記<補強板一体型FPC評価試験片の作製>で得られた試験片を用いて、JIS K5400に従って碁盤目テープ法で評価した。
○:碁盤目テープ法で剥がれの無いもの
△:升目の95%以上が残存しているもの
×:升目の残存量が80%未満のもの。
(ii)半田耐熱性
上記<補強板一体型FPC評価試験片の作製>で得られた試験片を用いて、260℃で完全に溶解してある半田浴に補強板一体型FPCの補強板面が接する様に浮かべて10秒後に引き上げた。その操作を3回行い、熱硬化性接着剤と絶縁膜との接着強度をJIS K5400に従って碁盤目テープ法で評価した。
○:碁盤目テープ法で剥がれの無いもの
△:升目の95%以上が残存しているもの
×:升目の残存量が80%未満のもの。
(iii)リフロー耐熱性
上記<補強板一体型FPC評価試験片の作製>で得られた試験片を用いて、260℃:ピークトップ260℃×20secのリフロー条件でリフロー処理した後の試験片の外観を観察する。
○:試験前後で外観に変化の無いもの
×:試験後、試験片の何れかの積層界面で膨れが発生するもの。
(iv)反り
上記<補強板一体型FPC評価試験片の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製、商品名アピカル25NPI)表面に感光性樹脂組成物の絶縁膜を形成し、積層体2を作製した。次いで、補強板であるポリイミドフィルム(株式会社カネカ製、商品名アピカル125NPI)上に熱硬化性接着剤(Dupont社製、商品名パイララックス LF0100)を185℃の熱ロールラミで仮圧着し、積層体1を作製した。その後、上記で積層体2の絶縁膜表面と積層体1の熱硬化性接着剤面とを熱プレスにて165℃/90minで圧着し、補強板一体型FPC評価試験片を作製した。上記で得られた試験片を50mm×50mmの面積に切り出して平滑な台の上に補強板面が上面になるように置き、試験片端部の反り高さを測定した。測定部位の模式図を図2に示す。反り量が少ない程、補強板一体型FPCにした場合も反り量が低下することになる。反り量は5mm以下であることが好ましい。
Figure 0006106082
本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、フレキシブルプリント基板を用いる分野(例えば、携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコン)に利用することができる。
1.ベースフィルム
2.配線パターン
3.配線パターン付きフィルム
4.絶縁膜
5.FPC
6.補強板
7.熱硬化性接着剤
8.平滑な台
9.反り量
10.絶縁膜積層フィルム

Claims (4)

  1. (A)補強板、(B)熱硬化性接着剤、(C)絶縁膜、(D)配線パターン付きフィルムの順で構成された補強板一体型フレキシブルプリント基板であって、
    該(C)絶縁膜が、少なくとも(a)バインダーポリマー及び(b)球状有機ビーズを含有し
    該(b)球状有機ビーズは、架橋ウレタン系球状有機ビーズであることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板。
  2. 更に上記(C)絶縁膜が、(c)リン、アルミニウム、及びマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する微粒子を含有していることを特徴とする請求項1に記載の補強板一体型フレキシブルプリント基板。
  3. 更に上記(C)絶縁膜が、(d)熱硬化性樹脂を含有している樹脂組成物から得られることを特徴とする請求項1または2に記載の補強板一体型フレキシブルプリント基板。
  4. 更に上記(C)絶縁膜が、(e)光重合開始剤を含有している感光性樹脂組成物から得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の補強板一体型フレキシブルプリント基板。
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