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JP6104046B2 - 無機強化材配合樹脂組成物 - Google Patents

無機強化材配合樹脂組成物 Download PDF

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JP6104046B2 JP2013105649A JP2013105649A JP6104046B2 JP 6104046 B2 JP6104046 B2 JP 6104046B2 JP 2013105649 A JP2013105649 A JP 2013105649A JP 2013105649 A JP2013105649 A JP 2013105649A JP 6104046 B2 JP6104046 B2 JP 6104046B2
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Description

本発明は、無機強化材配合成形用樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、耐衝撃性に優れ、表面光沢性、離型性が良好な無機強化材配合成形用樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂などの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は、融点あるいは軟化点が高く、しかも機械的物性に優れているので、自動車工業分野や電気、電子工業分野等の各種工業分野で広く使用されている。
これら熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の剛性、耐熱性を高めるために、ガラス繊維、
カーボン繊維等の無機強化材を配合することが行われている。
しかし、無機強化材を配合すると、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の有する高い耐衝撃性が損なわれるという問題点があった。
そこで、この無機強化材の配合による問題点を解消するため、カルボキシル基および/またはその誘導体基を有するオレフィン系ワックスを配合すること(特許文献1、2)、さらに複合ゴム系グラフト共重合体を配合すること(特許文献3)が行われている。しかしながら、特許文献1、2、3で使用されるオレフィン系ワックスは、熱可塑性樹脂であるポリカーボネートとの相溶性が一般的に乏しいため、オレフィン系ワックスの配合量を増やす事によって成形体表面に浮出し表面光沢性が低下することが予想される。特許文献1、2、3で成形体の耐衝撃性が向上しているが、表面光沢性は議論されていない。オレフィン系ワックスとして、シリコン変性オイルワックスを添加したり(特許文献4)、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリオレフィンとカルボジイミド基含有化合物とを反応させて得られる樹脂改質材が提案されている(特許文献5)。また特許文献6でスチレン系モノマーおよび不飽和カルボン酸誘導体系モノマーから選ばれるモノマーでグラフトされたグラフト変性ポリエチレンワツクスをトナー離型剤に提案されている。特許文献6の不飽和カルボン酸誘導体系モノマーは具体例としてエステル誘導体、好ましい具体例としてフマル酸ジエステルが提案されているが、特許文献3によるとカルボキシル基を有しないオレフィン系ワックスで耐衝撃性は向上しない。従って、成形体の耐衝撃性と表面光沢性を両立するためにさらなる改善の余地があった。
特開平8−188708号公報 特公昭62−12814号公報 特開平7−238213号公報 特開2009−256655号公報 再表2009/069649号公報 特許2520892号
本発明は、無機強化材配合成形用樹脂組成物について、耐衝撃性、離型性および表面光沢性が良好な無機強化材配合成形用樹脂組成物を提供する。
本願発明者らは、無機強化剤が配合された熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂に、スチレン系モノマーと特定の不飽和カルボン酸誘導体モノマーをグラフトしてなる変性オレフィン系ワックスを含有することで耐衝撃性、離形成および表面光沢性が良好な組成物が得られることを見出し本発明にいたった。
本発明の無機強化材配合成形用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(A)95〜50重量部と、無機強化材(B)5〜50重量部(ただし、成分(A)と成分(B)との合計を100重量部とする)に対してスチレン系モノマー(a)および不飽和カルボン酸誘導体系モノマー(b)によりグラフトしてなる変性オレフィン系ワックス(C)が0.01〜10重量部の範囲で含有することを特徴とする。
前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂であり、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
また、前記無機強化材(B)がガラス繊維、カーボン繊維から選択される少なくとも1種の充填剤であることが好ましい。
前記変性オレフィン系ワックス(C)中の不飽和カルボン酸誘導体系モノマー(b)のグラフト量は、0.1〜10重量%であることが好ましい。
前記変性オレフィン系ワックス(C)中スチレン系モノマー(a)のグラフト量は、5〜80重量%であることが好ましい。
本発明の無機強化材配合成形用樹脂組成物は、前記変性オレフィン系ワックス(C)中のスチレン系モノマー(a)、前記不飽和カルボン酸誘導体系モノマー(b)および変性前駆体であるオレフィン系ワックス(D)のグラフト量比が以下の関係を満たすことを特徴とする。
0.01<(b)/(a)<1
0.05<(a)/(D)<3
本発明の変性オレフィン系ワックス(C)は、引張特性、曲げ特性等の機械的物性や耐衝撃性に優れ、さらに成形品の表面光沢性に優れるが、そのメカニズムについては以下の様に考えられる。すなわち、変性オレフィン系ワックス(C)の不飽和カルボン酸誘導体モノマー(b)と無機強化材との親和性、あるいは表面張力が低い変性オレフィン系ワックス(C)が無機強化材表面を濡らす効果により、成形時にガラス繊維などの強化材にかかる剪断が抑制され、樹脂組成物中の強化材繊維長が長く保たれる。これにより優れた引張特性、曲げ特性等の機械的物性が発現すると考えられる。また、耐衝撃性の向上については、変性オレフィン系ワックス(C)が無機強化材の表面を覆っており、衝撃が与えられると、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と、無機強化材を覆う変性オレフィン系ワックス(C)間に界面剥離が生じて、均一なボイド(空隙)が生じ、衝撃が吸収されると考えられる。変性オレフィン系ワックス(C)のスチレン系モノマー(a)は芳香族骨格を有する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂との相溶性が特に優れるため、成形品表面に浮出す事がなくなり、表面光沢が発現する。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明は熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(A)と、無機強化材(B)と、変性オレフィン系ワックス(C)からなる。
<熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂(A)>
本発明で用いる熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂であり、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である。すなわち、これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
これらの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂についての定義、製法については、周知であり、たとえば「実用プラスチック事典」(実用プラスチック事典 編集委員会編、株式会社産業調査会発行)等の刊行物に記載されている。
以下の樹脂(1)〜(7)は熱可塑性樹脂である。
(1)ポリカーボネート樹脂
典型的には、芳香族ジオール(例えばビスフェノールA)とホスゲンとを反応することにより得られる樹脂であるが、本発明においては、ジエチレングリコールジアリルカーボネートが好ましい。
このようなポリカーボネート樹脂は市販されており、例えば商品名NOVAREX(三
菱エンジニアリングプラスチックス(株))、パンライト(帝人化成(株))、レキサン(SABICイノベーティブプラスチックス(同))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
(2)熱可塑性ポリエステル樹脂
典型的には、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させて得られる樹脂であるが、本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等が好ましく用いられる。
このような熱可塑性ポリエステル樹脂は市販されており、例えば商品名ライナイト(デュポン(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
(3)ABS樹脂
典型的には、ポリブタジエンにアクリロニトリルおよびスチレンをグラフト重合させて得られる耐衝撃性樹脂であるが、本発明においては、ポリブタジエン成分が5〜40重量%であって、スチレン成分とアクリロニトリル成分のグラフト量比(スチレン/アクリロニトリル)が70/30〜80/20であるものが好ましい。
このようなABS樹脂は市販されており、例えば商品名スタイラック(旭化成ケミカルズ(株))、サイコラック(宇部サイコン(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
(4)ポリアセタール樹脂
典型的には、ホルマリンあるいはトリオキサンを、所望に応じてエチレンオキサイドと共に、カチオン触媒の存在下に開環重合して得られる樹脂であり、ポリオキシメチレン鎖を主骨格とする樹脂であるが、本発明においては、コポリマータイプのものが好ましい。
このようなポリアセタール樹脂は市販されており、例えば商品名ユピタール(三菱エンジニアリングプラスチックス(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
(5)ポリアミド樹脂
典型的には、ジアミンとジカルボン酸との重縮合、あるいはカプロラクタムの開環重合等により得られる樹脂であるが、本発明においては、脂肪族ジアミンと脂肪族または芳香族ジカルボン酸の重縮合反応物が好ましい。
このようなポリアミド樹脂は市販されており、例えば商品名レオナ(旭化成ケミカルズ(株))、ザイテル(デユポン(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
(6)ポリフェニレンオキシド樹脂
典型的には、2,6−ジメチルフェノールを銅触媒の存在下に酸化カップリングさせることにより得られる樹脂であるが、この樹脂に他の樹脂をブレンドする等の手法により変性した変性ポリフェニレンオキシド樹脂も、本発明において用いることができる。
本発明においては、スチレン系ポリマーのブレンド変性物が好ましい。このようなポリフェニレンオキシド樹脂は市販されており、例えば商品名ザイロン(旭化成ケミカルズ(株))、ユピエース(三菱エンジニアリングプラスチックス(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
(7)ポリイミド樹脂
典型的には、テトラカルボン酸とジアミンとを重縮合させ、主骨格にイミド結合を生成させて得られる樹脂であるが、本発明においては、無水ピロメリット酸とジアミノジフェニルエーテルから形成されるものが好ましい。
このようなポリイミド樹脂は市販されており、例えば商品名ベスペル(デュポン(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
以下に説明する樹脂(8)〜(10)は熱硬化性樹脂であり、熱硬化前の状態のものにつき説明する。
(8)エポキシ樹脂
典型的には、芳香族ジオール(例えばビスフェノールA)とエピクロルヒドリンとをアルカリの存在下に反応させることにより得られる樹脂であるが、本発明においては、エポキシ当量170〜5000のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂が好ましい。
このようなエポキシ樹脂は市販されており、例えば商品名エポミック(三井化学(株))、エピクロン(大日本インキ化学工業(株))、スミエポキシ(住友化学工業(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
(9)熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂
典型的には、脂肪族不飽和ジカルボン酸と脂肪族ジオールとをエステル化反応させることにより得られる樹脂であるが、本発明においては、マレイン酸やフマル酸等の不飽和ジカルボン酸と、エチレングリコールやジエチレングリコール等のジオールとをエステル化反応して得られる樹脂が好ましい。
このような熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂は市販されており、例えば商品名リゴラック(昭和高分子(株))、スミコン(住友ベークライト(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
(10)フェノール樹脂
本発明では、いわゆるノボラック型およびレゾール型いずれをも包含するが、ヘキサメチレンテトラミンで硬化させるノボラック型やジメチレンエーテル結合を主体とする固形レゾールが好ましい。
このようなフェノール樹脂は市販されており、例えば商品名スミコンPM(住友ベークライト(株))、ニッカライン(日本合成化学工業(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
本発明においては、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂の1種であるポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂との組み合せが好ましい。
<無機強化材(B)>
本発明で用いる無機強化材(B)は、ガラス繊維、カーボン繊維、フィラー類から選択される少なくとも1種をいう。これら無機強化材(B)は1種で用いることもできるし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
ガラス繊維の種類は特に制限がないが、ロービングガラス、チョップドストランドガラス、ミルドガラスなどを用いることができる。また、これらは1種類でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
ガラス繊維の長さは、押出し機などで樹脂と混合する際に折れることもあり、特に限定はないが、作業性の観点から0.3mm〜10mm、望ましくは2mm〜7mmが好ましい。本発明組成物中のガラス繊維の長さは、2mm〜5mmである。ガラス繊維の太さも特に限定ないが、平均繊維径が1〜25μm、好ましくは5〜17μmである。また、さらにアスペクト比(平均繊維長/繊維直径)については、25以下のものが好ましいが、異なるアスペクト比のガラス繊維を適当な比率で混合して用いることも可能である。ガラス繊維の断面形状についても特に限定はなく、円形、まゆ型、ひょうたん型、だ円型、円筒形などを用いることができる。
また、ガラス繊維は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等で表面処理されていてもよい。ここでいうシランカップリング剤としては、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
その他にガラス繊維は、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等で集束処理されていてもよい。この場合、集束処理に用いられるオレフィン系樹脂やウレタン系樹脂は、組成物全体の物性に影響のない範囲で用いられる。
さらにガラス繊維は、メッキ法および蒸着法などにより、ニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄などおよびこれらの合金などの金属でコーティングされていてもよい。
カーボン繊維は、形状、種類に特に制限はなく、形状は、チョップドストランド、ロービングストランド、ミルドファイバーなどの形状のものがあり、種類は、ピッチ系、ポリアクリロニトリル系のいずれであってもよい。
これら原料組成物を紡糸または成形し次いで炭化することにより得られたものの他、気相成長法の如く基本的に紡糸工程を経ないで得られるカーボン繊維を使用することも可能である。
かかる気相成長法のカーボン繊維を使用した場合には、繊維径が小さく且つL/Dも大きいため、高剛性と同時に、良好な外観を有する成形品を得ることが可能となる。
更に本発明のカーボン繊維は賦活処理を行うことにより比表面積を大きくしたものを使用することもできる。
これらのカーボン繊維は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等で表面処理したものが好ましい。
また集束剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂等が挙げられるが、エポキシ系樹脂およびウレタン系樹脂が好ましい。
また、繊維径については、一般には6〜18μmの範囲のものが使用されるが、本発明では直径が0.5〜15μmのものが好ましく、1〜10μmのものが特に好ましい。
本発明で使用するチョップドストランドのカット長は1〜15mmが好ましく、より好ましくは2〜10mm、最も好ましくは3〜8mmである。また、チョップドストランドは成形途中で破砕される。
該樹脂組成物中におけるカーボン繊維の繊維軸方向の長さLと繊維径Dの比であるアスペクト比(L/D)は15〜100の範囲が好ましく、20〜50の範囲が更に好ましい。
フィラー類としては、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウムのような無定形フィラー、タルク、マイカ、あるいはガラスフレークなどの板状フィラー、ワラステナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、あるいはホウ酸アルミニウムなどの針状フィラー、金属粉、金属フレーク、カーボンブラック、カーボン微粒子などのフィラーなどが用いられる。その他ガラスビース、ガラス粉などが用いられる。これらフィラーは単体もしくは複数の組み合せで使用してもよいし、その表面に炭素被覆またはシランカップリング処理等を施したものを単体もしくは複数の組み合せとして使用してもよい。
本発明においては、これら無機強化材のうち、ガラス繊維、カーボン繊維の使用が好ましく、本願で用いられる変性オレフィン系ワックスとの親和性の観点から特にガラス繊維が好ましい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(A)は、95〜50重量%であり、好ましくは95〜70重量%であり、より好ましくは95〜80重量%である。樹脂(A)が上記範囲内にあると、成形加工性が良くなり表面光沢性と機械的特性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
本発明で用いる無機強化材(B)は、5〜50重量%であり、好ましくは5〜30重量%であり、より好ましくは5〜20重量%である。無機強化材(B)が上記範囲内にあると、成形加工性が良くなり表面光沢性と機械的特性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
<オレフィン系ワックス(D)>
本発明に用いられる変性オレフィン系ワックス(C)の変性前駆体であるオレフィン系ワックス(D)としては、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスを挙げることができ、オレフィンを重合して得られるものであってもよく、また高分子量のポリエチレンやポリプロピレンを熱分解して得られるものであってもよい。
オレフィンを重合して得られるものの製造は、従来から公知のいずれの方法によっても行うことができ、例えば、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などを用いて重合することができる。オレフィン系ワックス(D)は、特にエチレン単独重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体が望ましい。α−オレフィンは、直鎖状であっても分岐していてもよく、また置換されていても非置換であってもよい。
α−オレフィンとしては、好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィンが、より好ましくは炭素原子数3のプロピレン、炭素原子数4の1−ブテン、炭素原子数5の1−ペンテン、炭素原子数6の1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、炭素原子数8の1−オクテンなどが挙げられ、特に好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。
上記のようなオレフィン系ワックス(D)の形態は、樹脂およびエラストマ−のいずれの形態でもよく、立体構造としてはアイソタクチック構造、シンジオタクチック構造ともにいずれであっても使用可能であり、立体規則性について特段の制限はない。市販のオレフィン系ワックスをそのまま利用することも可能である。
本発明で用いるオレフィン系ワックス(D)は、JIS K7112のD法(密度勾配管法)で測定した密度の下限値が870kg/m3以上、好ましくは890kg/m3以上、より好ましくは910kg/m3以上、であり、その上限値は980kg/m3以下、好ましくは970kg/m3以下、より好ましくは960kg/m3以下であることが望ましい。オレフィン系ワックス(D)の密度が上記範囲内にあると、表面のタック感が少なく、機械的特性、衝撃性に優れる無機強化材配合成形用樹脂組成物を得ることができる。
本発明で用いる変性前オレフィン系ワックス(D)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点の下限値は70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは100℃以上であり、上限値は、150℃以下、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下であることが望ましい。オレフィン系ワックス(D)の融点が上記範囲内にあると、表面のタック感が少なく、機械的特性、衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
本発明で用いる変性前オレフィン系ワックス(D)は重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、通常は、温度140℃でo−ジクロロベンゼンを溶媒として測定される。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000、好ましくは400〜4,000、より好ましくは400〜3,000、特に好ましくは400〜1,000の範囲にあることが望ましい。オレフィン系ワックス(D)の数平均分子量(Mn)が上記範囲内にあると、ワックスの分散性が良くなり、機械的特性、耐衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
本発明で用いるオレフィン系ワックス(D)は、GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)の上限値が4.0以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下であることが望ましい。また、Mw/Mnの下限値が1.1以上、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上であることが望ましい。オレフィン系ワックス(D)の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、成形時のアウトガスが少なく、機械的特性、耐衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
GPC測定は以下の条件で行った。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求めた。
装置:ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)
溶剤:o−ジクロロベンゼン
カラム:TSKgelカラム(東ソー社製)×4
流速:1.0 ml/分
試料:0.15mg/mL o−ジクロロベンゼン溶液
温度:140℃
分子量換算 :PE換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、Mark−Houwink粘度式の係数を用いた。PS、PEのMark−Houwink係数はそれぞれ、文献(J.Polym. Sci., Part A−2, 8,1803 (1970)、Makromol. Chem., 177, 213 (1976))に記載の値を用いた。
本発明で用いるオレフィン系ワックス(D)は、JIS K2207で測定した針入硬度が40dmm(dmm=0.1mm)以下、好ましくは35dmm以下、より好ましくは30dmm以下であることが望ましい。オレフィン系ワックス(D)の針入硬度が上記範囲内にあると、成形用樹脂組成物の機械的特性に優れる。
本発明で用いるオレフィン系ワックス(D)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が通常0.04〜0.47dl・g-1、好ましくは0.04〜0.30dl・g-1、より好ましくは0.04〜0.20dl・g-1、特に好ましくは0.04〜0.15dl・g-1の範囲にあることが望ましい。オレフィン系ワックス(D)の極限粘度[η]が上記範囲内にあると、成形時のアウトガスが少なく、機械的特性、耐衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
<スチレン系モノマー(a)>
本発明で不飽和カルボン酸誘導体系モノマー(b)とともに用いられるスチレン系モノマー(a)として具体的には、たとえば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4-ジクロロスチレン等を挙げることができる。なかでも未反応物除去の観点からスチレンが好ましい。
<不飽和カルボン酸誘導体モノマー(b)>
本発明においてスチレン系モノマー(a)とともに用いられる不飽和カルボン酸誘導体モノマー(b)を用いる場合、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物およびその誘導体を挙げることができ、不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。前記誘導体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸、またはこれらの酸無水物あるいはこれらの誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)が挙げられる。具体的な化合物の例としては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、マレイン酸モノメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−トなどを挙げることができる。
不飽和カルボン酸誘導体モノマー(b)を使用する場合には、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。これらの中では、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トが好ましい。更には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などのジカルボン酸無水物であることが特に好ましい。
<変性オレフィン系ワックス(C)の製造方法>
本発明の変性オレフィン系ワックス(C)は、オレフィン系ワックス(D)とスチレン系モノマー(a)不飽和カルボン酸誘導体モノマー(b)を反応させることにより得られる。
本発明の変性オレフィン系ワックス(C)の製造方法は特に限定されず、従来公知の種々の方法にしたがって行うことができる。オレフィン系ワックス(D)とスチレン系モノマー(a)、不飽和カルボン酸誘導体系モノマー(b)、有機過酸化物を同時に、または逐次的に、たとえば、ヘンシェルミキサ−、V型ブレンダ−、タンブラ−ブレンダ−、リボンブレンダ−などに装入して混練した後、単軸押出機、多軸押出機、ニ−ダ−、バンバリ−ミキサ−などで溶融混練することによって得られる。これらのうちでも、オートクレーブなどのバッチ式溶融混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散・反応した変性オレフィン系ワックス(C)を得ることができる。連続式に比べ、バッチ式は滞留時間の調整がしやすく、また滞留時間を長く取れるため変性率及び変性効率を高めることが比較的容易であり、本発明においては最も好ましい態様である。
変性オレフィン系ワックス(C)中のスチレン系モノマー(a)と不飽和カルボン酸誘導体系モノマー(b)のグラフト量比(b)/(a)は0.01〜1であることが好ましく、0.03〜0.8であることがより好ましく、0.05〜0.6であることが特に好ましい。グラフト量比(b)/(a)が0.01より小さい場合、不飽和カルボン酸誘導体系モノマー(b)の無機強化材表面への相互作用が少なくなるため耐衝撃性が向上しない。またグラフト量比(b)/(a)が1より大きい場合、変性オレフィン系ワックス(C)の溶融粘度が高くなるため製造が困難である。
変性オレフィン系ワックス(C)中のスチレン系モノマー(a)とオレフィン系ワックス(D)のグラフト量比(a)/(D)は0.05〜3であることが好ましく、0.07〜2.5であることがより好ましく、0.1〜2であることが特に好ましい。グラフト量比(a)/(D)が上記範囲内にあると、変性オレフィン系ワックス(C)の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂への分散性が良くなり、表面光沢性、衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明のワックスには、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、軟化剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤等を配合することができる。
<無機強化材配合成形用樹脂組成物の製造方法>
本発明の無機強化材配合成形用樹脂組成物を製造する方法は、任意の方法を用いることができる。例えば熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂(A)、無機強化材(B)、変性オレフィン系ワックス(C)、およびその他の任意成分を同時にまたは任意の順序で、タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、単軸或いは二軸の押出機などで混合する方法が適宜用いられる。
このようにして得られた樹脂組成物は既知の種々の方法、例えば射出成形、押出成形および圧縮成形などにより成形され、意匠性と成形性の観点から射出成形が好ましい。
<任意成分>
本発明の無機強化材配合成形用樹脂組成物には、本発明の目的および効果を損なわない範囲で任意の添加剤、たとえば臭素化ビスフェノール、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、トリフェニルホスフェート、ホスホン酸アミドおよび赤燐等のような難燃剤、三酸化アンチモンおよびアンチモン酸ナトリウム等のような難燃助剤、燐酸エステルおよび亜燐酸エステル等のような熱安定剤、ヒンダードフェノール等のような酸化防止剤、耐熱剤、耐候剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、結晶核剤、可塑剤および発泡剤等を必要に応じてその有効発現量配合してもよい。
現在、プラスチック材料は家庭用品から工業用品に至る広い用途で用いられており、本願の無機強化材配合成形用樹脂組成物を材料や成形品の耐衝撃性や表面状態の改質材として用いることができる。このような方法により得られる成形体としては、電気部品、電子部品、自動車用部品、機械機構部品、食品容器、フィルム、シート、繊維などが挙げられ、より具体的には、例えば、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、WiFiルーター、ファクシミリ、複写機、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、電子辞書、カード、ホルダー、文具等の事務・OA機器;洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、炬燵などの家電機器;TV、VTR、ビデオカメラ、デジタルカメラ、一眼レフカメラ、携帯オーディオ端末、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレイヤー、スピーカー、液晶ディスプレイなどのAV機器;コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計などの電気・電子部品および通信機器などが挙げられる。
また、座席(詰物、表地など)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、タイヤ、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被服材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、デッキパネル、カバー類、合板、天井板、仕切り板、側壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、防音板、断熱板、窓材などの自動車、車両、船舶、航空機および建築用材料;衣類、カーテン、シーツ、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器などの生活・スポーツ用品などが挙げられる。
さらには、シャンプーや洗剤などのボトル、食用油、醤油などの調味料ボトル、ミネラルウォーターやジュースなどの飲料用ボトル、弁当箱、茶碗蒸し用椀などの耐熱食品用容器、皿、箸などの食器類、その他各種食品容器や、包装フィルム、包装袋などが挙げられる。
<製造例1>
オレフィン系ワックス(D)として「ハイワックス110P」(三井化学(株))420gをガラス製反応器に仕込み、窒素雰囲気下160℃にて溶解した。次いで、スチレン180g、無水マレイン酸15.0gの混合物及びジ−t−ブチルペルオキシド(以下DTBPOと略す)18.1gとを上記反応系(温度160℃)に5時間かけて連続供給した。その後、さらに1時間加熱反応させた後、溶融状態のまま10mmHg真空中で0.5時間脱気処理して揮発分を除去し、その後冷却し、スチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-1)を得た。表1に物性を示す。
<製造例2>
「ハイワックス110P」240g、スチレン360g、無水マレイン酸30.0g、DTBPOを36.2gに変更した以外は製造例1と同様にしてスチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-2)を得た。表1に物性を示す。
<製造例3>
「ハイワックス110P」540g、スチレン60.0g、無水マレイン酸30.0g、DTBPOを11.3gに変更した以外は製造例1と同様にしてスチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-3)を得た。表1に物性を示す。
<製造例4>
「ハイワックス110P」570g、無水マレイン酸30.0g、DTBPOを6.0gに変更した以外は製造例1と同様にして無水マレイン酸変性オレフィン系ワックス(a-5)を得た。その後、無水マレイン酸変性オレフィン系ワックス(a-5)540g、スチレン60.0g、DTBPOを5.3gに変更した以外は製造例1と同様にしてスチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-4)を得た。表1に物性を示す。
<製造例5>
「ハイワックス110P」570g、無水マレイン酸30.0g、DTBPOを6.0gに変更した以外は製造例1と同様にして無水マレイン酸変性オレフィン系ワックス(a-5)を得た。表1に物性を示す。
<製造例6>
「ハイワックス110P」240g、スチレン360.0g、DTBPOを30.2gに変更した以外は製造例1と同様にしてスチレン変性オレフィン系ワックス(a-6)を得た。表1に物性を示す。
Figure 0006104046
<実施例1>
芳香族ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株):パンライトL−1225Y MVR11))90重量部、ポリカーボネート用グラスファイバー(日東紡(株):チョップドストランドCS3PE455S)10重量部およびスチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-1)3.0重量部を同方向回転二軸押出機 HK25D(φ25mm L/D=41,(株)パーカーコーポレーション)を用い、シリンダー温度280℃のもと押出してペレット化した無機強化材配合組成物を得た。
このペレットを120℃、8時間乾燥後、射出成形機 ニイガタNN100((株)ニイガタマシンテクノ)を用い、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数60rpm、射出圧力130MPa、金型温度90℃の条件で射出成形して、各JIS試験に従い試験片を作成した。下記の方法により高速面衝撃試験、シャルピー衝撃試験、表面光沢評価を行った。無機強化材配合成形用樹脂組成物の配合及びその物性を表2に示す。
<実施例2>
スチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-1)の代わりにスチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-2)を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成し、試験した。
<実施例3>
スチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-1)の代わりにスチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-3)を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成し、試験した。
<実施例4>
スチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-1)の代わりにスチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-4)を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成し、試験した。
<比較例1>
スチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-1)の代わりに無水マレイン酸変性オレフィン系ワックス(a-5)とスチレン変性オレフィン系ワックス(a-6)をそれぞれ1.5重量部を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成し、試験した。
<比較例2>
スチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-1)の代わりに無水マレイン酸変性オレフィン系ワックス(a-5)を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成し、試験した。
<比較例3>
スチレン無水マレイン酸共変性オレフィン系ワックス(a-1)の代わりにスチレン変性オレフィン系ワックス(a-6)を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成し、試験した。
<無水マレイン酸グラフト量,スチレングラフト量>
変性オレフィン系ワックス(C)を熱プレスにより厚さ100μmのフィルムを作成し、赤外吸収スペクトルを測定し、1785cm−1付近の吸収強度から無水マレイン酸グラフト量を算出した。 スチレングラフト量は、反応終了後の脱気処理でスチレンが回収されなかったことから、スチレン添加量をグラフト量とした。無水マレイン酸とスチレンのグラフト量比を(b)/(a)とした。グラフトしたスチレンとオレフィン系ワックスの重量比を(a)/(D)とした。
<外観>
射出成形機を用いて100mm×100mm×4mmの試験片を作成し、GLOSS METER GM-3D (MURAKAMI Color Lab.製)を用いて、60°反射率を測定した。ゲート付近及びゲート遠方を裏表、計5点ずつ測定した平均値を算出した。
<高速面衝撃試験>
射出成形機を用いて100mm×100mm×4mmの試験片を作成し、ストライカ径1/2、支持台径3、23℃において3m/secにおいて高速面衝撃試験を実施した。
<シャルピー衝撃試験>
射出成形機を用いて試験片を作成し、JIS K−7111に基づき、ハンマー重量2J、ハンマー回転周りのモーメント1.08N・J、ハンマー持ち上げ角度50°、衝撃速度2.9m/S、回転軸から打撃点までの距離0.23mの条件でシャルピー衝撃値を測定した。
Figure 0006104046

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(A)95〜50重量部と、
    無機強化材(B)5〜50重量部(ただし、成分(A)と成分(B)との合計を100重量部とする)と、
    スチレン系モノマー(a)および不飽和カルボン酸誘導体系モノマー(b)によりグラフトしてなる変性オレフィン系ワックス(C)0.01〜10重量部とを含有し、
    前記樹脂(A)がポリカーボネート樹脂であり、
    前記変性オレフィン系ワックス(C)の変性前駆体であるオレフィン系ワックス(D)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜3,000の範囲にある
    ことを特徴とする無機強化材配合成形用樹脂組成物。
  2. 前記無機強化材(B)がガラス繊維、カーボン繊維から選択される少なくとも1種の充填剤であることを特徴とする請求項1に記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
  3. 変性オレフィン系ワックス(C)中の不飽和カルボン酸誘導体系モノマー(b)のグラフト量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
  4. 変性オレフィン系ワックス(C)中スチレン系モノマー(a)のグラフト量が5〜80重量%であることを特徴とする請求項1記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
  5. 変性オレフィン系ワックス(C)中のスチレン系モノマー(a)、不飽和カルボン酸誘導体系モノマー(b)および変性前駆体であるオレフィン系ワックス(D)のグラフト量比が以下の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
    0.01<(b)/(a)<1
    0.05<(a)/(D)<3
  6. 前記オレフィン系ワックス(D)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜1,000の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
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