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JP6103866B2 - 大腸ガン検出方法、診断用キット及びdnaチップ - Google Patents

大腸ガン検出方法、診断用キット及びdnaチップ Download PDF

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Description

本発明は、大腸ガンの検査又は検出に有用な診断(検査又は検出)用ポリヌクレオチドを利用した大腸ガン検出又は検査方法、及び該ポリヌクレオチドを利用した大腸ガン診断又は検出用キットに関する。
大腸は盲腸からはじまり上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸で構成される。大腸は消化吸収された残りの腸内容物をため、そこから水分を吸収しながら大便にする、重要な消化器系器官である。また多量の腸内の細菌を排泄することによって防御する役割を持つ。
日本人の2009年のガンによる死亡率は10万人中273.5人であり、大腸ガンの死亡率は食生活の欧米化に応じて増加する傾向にあり、結腸と直腸を合わせた大腸ガンの死亡率は肺ガン、胃ガンについで男性で3位、女性では1位となっている。
大腸に発生するガンは大きく分けて、腺ガン、扁平上皮ガン、腺扁平上皮ガンがあり、大部分が腺ガンで大腸ポリープ(polyp)より発生する。有茎のポリープはキノコの様な形状に増殖し、通常は良性ガンであるが、そのうちの一部が腺ガンに進行する。また現在は、ポリープ由来でない平坦な病変や陥凹性病変から進行大腸ガンになることがあることも明らかになっている。大腸ガンの危険因子としては遺伝学的要因も知られているが、一般的には喫煙、肥満、飲酒などを挙げることができる。
大腸ガンの標準的な治療法は(大腸ガン研究会/編 大腸ガン治療ガイドライン 2009年版 金原出版株式会社)に示されており、内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線療法などが、病期、ガンの大きさ・深達度、転移の度合などを勘案し施される。早期大腸ガンである場合は内視鏡切除、あるいは外科手術によって完全に切除することが可能であり、再発率も非常に低い。進行大腸ガンである場合は肺、肝臓、リンパ節や腹膜などに切除困難な転移がおこり、また切除した部位に局所再発がおこることもある。こうした時期では、手術に加え放射線療法や化学療法(抗ガン剤治療)が行われる。
早期大腸ガン(early cancer)、進行大腸ガン(advanced cancer)とは壁深達度により規定されている。早期大腸ガンとはガンの先進部が大腸壁の粘膜内または粘膜下層に限局し、これを超えていないものを指し、進行大腸ガンとは粘膜下層を超え固有筋層以深に届くものをいう。これらは大腸癌取り扱い規約第7版(大腸癌研究会編、金原出版、2006年)に定義されている。大腸ガンはDuke’s stageによって詳細に分類することができる。Duke’s stage Aはガンの浸潤が腸壁の粘膜下組織層に限定されている状態、Duke’s stage Bはガンの浸潤が腸壁の固有筋層に達した状態、Duke’s stage Cはガンの浸潤が腸壁の固有筋層に達し、さらにリンパ節への転移が認められる状態、Duke’s stage Dはガンがリンパ節を超えて他の臓器に転移している状態を示す。
大腸ガンは比較的早期で発見された場合、予後は比較的良く、5年生存率はDuke’s stage Aで94.3%、stage Bで84.4%となっている(非特許文献1)。しかし、大きなガンや転移のあるガンの治療成績は劣り、早期発見の重要性が認識されている。
しかしながら、ほとんどの場合、早期大腸ガンの段階では無症状であり、自覚症状によって大腸ガンを早期発見することは難しい。ガンが進行してからの自覚症状としては血便、大便が細くなる(便柱細少)、残便感、腹痛、下痢と便秘の繰り返しなど排便に関する症状や、貧血、嘔吐などが挙げられる。最も多い自覚症状が血便であるが、痔等のガンでない疾患と混同される場合も多い。また、ガンの自覚症状の現れやすさはガンの発生部位によって異なり、左側大腸ガンは下行結腸、S状結腸、直腸に存在するガンであり、左側結腸は管腔が細く、大便が固形状になってくるので通過障害の自覚症状が比較的早期に現われる。一方、盲腸、上行結腸、横行結腸に生じた右側大腸ガンは管腔が広いうえに通過する大便が液状であるため、ガンが進行して大きくなるまで自覚症状が現われにくく早期発見が難しい。
大腸ガンの検査法としては直腸指診、便潜血検査、超音波検査、CT検査、大腸内視鏡検査、注腸造影検査などがある。大規模な集団検診で行われる代表的な検査法は便潜血検査である(非特許文献1)。便潜血検査は、より確度が高い検査法の受診対象者をスクリーニングするために用いられており、このスクリーニングで陽性となった対象者について行う大腸ガンの確定診断方法には大腸内視鏡検査、注腸造影検査、画像診断などの方法があるが、いずれの方法も大便を全て排出しなければならない、場合によっては検査に苦痛を伴うなど、患者の肉体的、精神的負担が大きく、精密検査前のスクリーニング段階での偽陰性、偽陽性判定を減らすことが求められている。
そこで、便潜血検査に加えて、あるいはこれに代わって特異的で感受性が高いガンマーカー(tumor marker)を発見しそれを用いた検査を行うことが強く望まれている。大腸ガンを検出するためのマーカー探索の方法としては、大腸ガン細胞のうち、手術時に患者由来の大腸ガン細胞と患者由来の非ガン細胞における遺伝子発現やタンパク質発現、又は細胞の代謝産物などの量を何らかの手段によって比較する方法や大腸ガン患者と非ガン患者の体液中に含まれる遺伝子、タンパク質、代謝産物などの量を測定する方法又は大腸ガン患者と非ガン患者の大便に含まれる大腸から剥離した細胞中に含まれる遺伝子、タンパク質、代謝産物などの量を測定する方法が挙げられる。
これまでに大腸ガンの血中マーカーとして非特許文献2に示されるCEA(Carcinoembryonic antigen)、CA19−9などが臨床応用されている。
また、研究段階ではあるが、特許文献1〜8および非特許文献1〜3に示されるように多様なマーカーの可能性が検討されており、大便には腸から剥離した大腸細胞が含まれるため、大便中の大腸ガン細胞由来の遺伝子を検出して大腸ガンマーカーとする文献も報告されている。特許文献1では大腸ガン組織や大便中の大腸ガン細胞からRNAを抽出し、REG1A遺伝子(regenerating islet−derived 3 alpha)、COL1A1遺伝子(collagen type 1 alpha 1)などの発現量をRT−PCR(逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応)やDNAチップで測定し、これらの遺伝子発現を指標としたマーカーとして活用することが示されている。
一方、非特許文献3には、凍結した大便から抗体により大腸ガン細胞を選別してRNAを抽出し、SEPP1遺伝子(selenoprotein P, plasma, 1)、RPL27A遺伝子(ribosomal Protein L27a)などの発現量をRT−PCRで測定することが示されている。
また、特許文献2には、凍結した大便からRNAを抽出し、COX−2遺伝子(cyclooxygenase 2)、SNAIL遺伝子及びMMP−7遺伝子(matrix metallopeptidase 7)の発現量をRT−PCR(逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応)によって測定することが示されている。
また、特許文献3には、便から生存する細胞を分離して、その細胞において発現するJUND遺伝子(jun−D proto−oncogene)、TPT1遺伝子(tumor protein, translationally−controlled 1)などの複数の遺伝子の検出量を目安として大腸ガン細胞を検出し、大腸ガン患者を検出する方法が示されている。
特許文献4には、血液中のCEBPB遺伝子(CCAAT/enhancer binding protein, beta)などの多数の遺伝子発現量の組み合わせによって大腸がん患者を検出する方法が示されている。
特許文献5には、FCGR3A遺伝子(Fc fragment of IgG, low affinity IIIa, receptor)が正常大腸上皮細胞より大腸ガン細胞において発現量が増加することが示されている。
特許文献6には、血液中のPFKFB3遺伝子(6−phosphofructo−2−kinase/fructose−2,6−biphosphatase 3)などの多数の遺伝子発現量の組み合わせによって大腸がん患者を検出する方法が示されている。
特許文献7には、血液や大便中のIL8遺伝子(interleukin 8)などの遺伝子発現量によって、結腸直腸ガンや肺ガンなどを検出する方法が示されている。
特許文献8には、ガン部で発現量の増加するSOD2遺伝子(superoxide dismutase 2, mitochondrial, nuclear gene encoding mitochondrial protein)が報告されている。
特開2007−159491号公報 特許第4798514号公報 特開2008−306976号公報 米国特許出願公開第2010/0196889号明細書 特表2012−506253号公報 国際公開第2011/144718号 特表2008−514234号公報 米国特許出願公開第2008/0026385号明細書
Morikawa Tら、2005年、Gastroenterology、129、p422−8 Locker GYら、2006年、JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY 33巻、p5313−27 Yajima Sら、2007年、International journal of oncology、31巻、p1029−37
このように、様々な新規の大腸ガンマーカー候補が発見されているが、十分な診断性能をもち実際に広く臨床応用されているものはいまだ存在しない。
非特許文献1に示される便潜血検査の感度はDuke’s stage Aで52.8%、stage Bで70%、stage CおよびDで78.3%となっており、ガン部からの出血を伴わない大腸ガンにおいて偽陰性が高いという課題がある。例えば、右側大腸ガンでは大便が液状であるためガン部から出血しにくいことや、血液の付着した大便が排出されるまで腸内に存在する時間が長いためにヘモグロビンの抗原性が低下することなどにより、偽陰性になる可能性がある。
非特許文献2に示されるCEA、CA19−9は大腸ガンを特異的かつ早期に発見できるわけではない。
特許文献1に記載の方法では、REG1A遺伝子、COL1A1遺伝子などの発現量を測定するためには大腸組織を採取する必要があり、侵襲性が高いという課題がある。
非特許文献3に記載の方法では、SEPP1遺伝子、RPL27A遺伝子などの発現量を測定するために、凍結した大便から抗体による大腸ガン細胞の選別を必要とする。大便中の腸内細菌やその死骸、消化液に由来するRNaseによって操作中のRNA分解や、煩雑な操作による遺伝子発現量の変動が懸念される。
特許文献2に記載の方法では、COX−2遺伝子、SNAIL遺伝子及びMMP−7遺伝子の発現量を測定するために、RNAの分解が生じないように大便を採取後速やかに凍結し、さらにRNA抽出施設まで凍結状態で運搬する必要があり困難を伴う。
特許文献3に記載の方法では、便から生存する細胞を分離して、その細胞において発現するJUND遺伝子、TPT1遺伝子などの発現量を測定するために、大便から抗体による大腸ガン細胞の選別を必要とする。そのため、大便中の腸内細菌やその死骸、消化液に由来するRNaseによって操作中のRNA分解や、煩雑な操作による遺伝子発現量の変動が懸念される。
特許文献4には、血液由来RNAにおいてCEBPB遺伝子を含んだ多数の遺伝子を測定対象としてあげているものの、該遺伝子が大便中の大腸ガン細胞に発現しているかの記載はなく、大便を用いた具体的な大腸ガンの診断方法も記載されていない。また採血よりも簡便で非侵襲的な検体の採取方法が望ましい。
特許文献5には、FCGR3A遺伝子が大便中の大腸ガン細胞に発現しているかの記載はなく、大便を用いた具体的な大腸ガンの診断方法も記載されていない。また大腸組織を採取するよりも簡便で非侵襲的な検体の採取方法が望ましい。
特許文献6には、血液由来RNAにおけるPFKFB3遺伝子を含んだ多数の遺伝子を測定対象としてあげられているものの、該遺伝子が大便中の大腸ガン細胞に発現しているかの記載はなく、大便を用いた具体的な大腸ガンの診断方法は記載されていない。また採血よりも簡便で非侵襲的な検体の採取方法が望ましい。
特許文献7には、IL8遺伝子などの発現量を測定するためのRNAを抽出する検体として大便を挙げられているものの、大便を用いた具体的な大腸ガンの診断方法は記載されていない。
特許文献8には、ガン部でSOD2遺伝子の発現量が増加することが記載されているが、該遺伝子が大便中の大腸ガン細胞に発現しているかの記載はなく、大便を用いた具体的な大腸ガンの診断方法も記載されていない。
このように、上記の既存のマーカーは感度及び/又は特異度に乏しく、非大腸ガン患者を大腸ガン患者と誤判別することによる無駄な追加検査の実施や、大腸ガン患者を見落とすことによる治療機会の逸失がおこる可能性がある。また、凍結した大便中のRNA品質を保った状態で効率的に検出する方法が確立しておらず、検出が不正確になる可能性がある。また、大腸組織の採取時に患者に侵襲を与えることにより苦痛を与えることは好ましくない。そこで、患者に苦痛を与えずに採取できる大便からの検出が可能で、大腸ガン患者を大腸ガン患者と、非大腸ガン患者を非大腸ガン患者と正しく判別できる、すなわち精度の高い大腸ガンマーカーが求められる。特に、大腸ガンを早期で発見できた場合は内視鏡切除、あるいは外科手術によって完全に切除することが可能であり、再発率も低く抑えられるため、感度の高い大腸ガンマーカーが切望されている。
DNAアレイを用いた発現遺伝子量解析は、近年、このようなマーカー探索の手法として特に汎用されている。DNAアレイには数百から数万種の遺伝子に対応した塩基配列を利用したプローブが固定されている。被検試料をDNAアレイに添加することによって試料中の遺伝子がプローブと結合し、この結合量を何らかの手段によって測定することにより、被検試料中の遺伝子量を知ることができる。DNAアレイ上に固定化するプローブに対応した遺伝子の選択は自由であり、また手術時又は内視鏡検査時に大腸ガン患者由来の大腸ガン細胞と非ガン細胞を用いて、試料中の発現遺伝子量を比較することによって大腸ガンマーカーとなりうる遺伝子群を推定することが可能である。しかしながら、手術時又は内視鏡検査時に侵襲的に組織を採取することはガンの早期診断において不利であり、より簡便で非侵襲的な診断方法が求められる。
本発明は、非侵襲的に採取できる大便から直接抽出されたRNAの発現量を指標とし、大腸ガンの検査又は検出に有用な診断(検査又は検出)用ポリヌクレオチドを利用した大腸ガン検出又は検査方法、及び該ポリヌクレオチドを利用した大腸ガン診断又は検出用キットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、採取した大便をRNAの分解を抑制する試薬中で冷蔵保存した後、当該大便からRNAを抽出し、大腸ガン患者の大便中の遺伝子発現と非大腸ガン患者の大便中の遺伝子発現をDNAチップによって解析し、大腸ガンの検出マーカーに使用可能な遺伝子を見出し、さらにそれらの遺伝子の発現量が、非大腸ガン患者由来の検体に比較して大腸ガン患者由来の検体において減少、低減もしくは増加、増大していることを見出し、本発明を完成させた。
1.発明の概要
本発明は、以下の特徴を有する。
本発明は、第一の態様において、大腸ガン患者の便中に発現する遺伝子であるCEBPB、FCGR3A、PFKFB3、IL8ならびにSOD2の5種すべての遺伝子の被験者由来の便中における発現量をin vitroで測定することを含む、大腸ガンの検出方法を提供する。
また別の実施形態において、上記に記載の大腸ガンの検出方法であって、前記遺伝子の発現を特異的に検出するための核酸プローブを用いて行われる、大腸ガンの検出方法を提供する。
また別の実施形態において、上記に記載の大腸ガンの検出方法であって、CEBPB、FCGR3A、PFKFB3、IL8ならびにSOD2のすべての発現レベルを検出するためのポリヌクレオチドとして下記の(1)〜(5)の5種のポリヌクレオチドである、大腸ガンの検出方法を提供する。
(1)CEBPB遺伝子を検出するための、(a)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(2)FCGR3A遺伝子を検出するための、(a)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(3)PFKFB3遺伝子を検出するための、(a)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(4)IL8遺伝子を検出するための、(a)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(5)SOD2遺伝子を検出するための、(a)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
また別の実施形態において、上記に記載の大腸ガンの検出方法であって、前記核酸プローブが、配列番号6〜10で表される塩基配列からなる5種のポリヌクレオチドである大腸ガンの検出方法を提供する。
また別の実施形態において、上記に記載の大腸ガンの検出方法であって、CEBPB遺伝子、FCGR3A遺伝子、PFKFB3遺伝子、IL8遺伝子及びSOD2遺伝子が、それぞれ配列番号1〜5で表される塩基配列を有する、大腸ガンの検出方法を提供する。
また別の実施形態において、上記に記載の大腸ガンの検出方法であって、以下の(1)〜(5)の5種のポリヌクレオチドを含む核酸プローブを用いて、大腸ガン患者由来の検体試料であることまたは非大腸ガン患者由来の検体試料であることが既知の複数の便中の標的遺伝子の発現量をin vitroで測定する第1の工程、前記第1の工程で得られた該標的遺伝子の発現量の測定値を教師とした判別式(SVM)を作成する第2の工程、被験者由来の便中の該標的遺伝子の発現量を第1の工程と同様にin vitroで測定する第3の工程、前記第2の工程で得られた判別式に第3の工程で得られた該標的遺伝子の発現量の測定値を代入し、該判別式から得られた結果に基づいて、被験者由来の便中に大腸ガン由来の標的遺伝子が存在していること、または大腸ガン由来の標的遺伝子が存在していないことを決定又は評価する第4の工程を含む、大腸ガンの検出方法を提供する。
(1)CEBPB遺伝子を検出するための、(a)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(2)FCGR3A遺伝子を検出するための、(a)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(3)PFKFB3遺伝子を検出するための、(a)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(4)IL8遺伝子を検出するための、(a)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(5)SOD2遺伝子を検出するための、(a)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
また、この発明の実施形態において、上記の核酸プローブが、配列番号6〜10で表される塩基配列からなる5種のポリヌクレオチドである、大腸ガンの検出方法が提供される。
本発明は、第2の態様において、以下の(1)〜(5)の5種のポリヌクレオチドを含む核酸プローブを含む、大腸ガン診断用キットを提供する。
(1)CEBPB遺伝子を検出するための、(a)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(2)FCGR3A遺伝子を検出するための、(a)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(3)PFKFB3遺伝子を検出するための、(a)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(4)IL8遺伝子を検出するための、(a)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(5)SOD2遺伝子を検出するための、(a)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
また、この発明の実施形態において、上記の核酸プローブが、配列番号6〜10で表される塩基配列からなる5種のポリヌクレオチドである、大腸ガン診断用キットが提供される。
本発明は、第3の態様において、以下の(1)〜(5)の5種のポリヌクレオチドを含む核酸プローブを含む、大腸ガン診断用DNAチップを提供する。
(1)CEBPB遺伝子を検出するための、(a)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(2)FCGR3A遺伝子を検出するための、(a)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(3)PFKFB3遺伝子を検出するための、(a)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(4)IL8遺伝子を検出するための、(a)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
(5)SOD2遺伝子を検出するための、(a)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片
また、この発明の実施形態において、上記の核酸プローブが、配列番号6〜10で表される塩基配列からなる5種のポリヌクレオチドである、大腸ガン診断用DNAチップが提供される。
2.定義
本明細書中で使用する用語は、以下の定義を有する。
ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、DNA、RNAなどの略号による表示は、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(日本国特許庁編)及び当技術分野における慣用に従うものとする。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、RNA及びDNAのいずれも包含する核酸に対して用いられる。なお、上記DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAのいずれもが含まれる。また上記RNAには、total RNA、mRNA、aRNA、rRNA、miRNA、siRNA、snoRNA、snRNA、non−coding RNA及び合成RNAのいずれもが含まれる。また、本明細書では、ポリヌクレオチドは核酸と互換的に使用される。
本明細書において「遺伝子」とは、RNA、および2本鎖DNAのみならず、それを構成する正鎖(又はセンス鎖)又は相補鎖(又はアンチセンス鎖)などの各1本鎖DNAを包含することを意図して用いられる。またその長さによって特に制限されるものではない。
従って、本明細書において「遺伝子」は、特に言及しない限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNA、cDNAを含む1本鎖DNA(正鎖)、該正鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(相補鎖)、及びこれらの断片、およびヒトゲノムのいずれも含む。また該「遺伝子」は特定の塩基配列(又は配列番号)で示される「遺伝子」だけではなく、これらによってコードされるタンパク質と生物学的機能が同等であるタンパク質、例えば同族体(すなわち、ホモログ)、スプライスバリアントなどの変異体、及び誘導体をコードする「遺伝子」が包含される。かかる同族体、変異体又は誘導体をコードする「遺伝子」としては、具体的には、後に記載したストリンジェントな条件下で、上記の配列番号1〜5で示されるいずれかの塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、の相補配列とハイブリダイズする塩基配列を有する「遺伝子」を挙げることができる。例えばヒト由来のタンパク質の同族体(すなわち、ホモログ)又はそれをコードする遺伝子としては、当該タンパク質又はそれをコードするヒト遺伝子に対応する他生物種のタンパク質又は遺伝子が例示でき、これらのタンパク質又は遺伝子ホモログは、HomoloGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/homoloGene/)により同定することができる。具体的には特定のヒトアミノ酸又は塩基配列をBLASTプログラム(Stephen Fら、Nucleic Acids Res.、1997年、17巻、p3389−3402、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)にかけて一致する(Scoreが最も高く、E−valueが0でかつIdentifyが100%を示す)配列の登録番号(accession number)を取得することができる。BLASTプログラムとしては、BLASTN(遺伝子)、BLASTX(タンパク質)などが知られている。例えば、遺伝子検索の場合、上記BLAST検索からの登録番号をHomoloGeneに入力する。結果として得られた他生物種遺伝子とヒト遺伝子との遺伝子ホモログの相関を示したリストから、特定の塩基配列で示されるヒト遺伝子に対応する遺伝子ホモログとして、他生物種の遺伝子を選抜することができる。またこの方法において、BLASTプログラムの代わりにFASTAプログラム(http://www.genome.jp/tools/fasta/)を用いてもよい。なお、「遺伝子」は、機能領域の別を問うものではなく、例えば発現制御領域、コード領域、エキソン又はイントロンを含むことができる。また、「遺伝子」は細胞に含まれていてもよく、細胞外に放出されて単独で存在していてもよく、またエキソソームと呼ばれる脂質二重膜に包まれた小胞に内包された状態にあってもよい。
エキソソームとは、細胞から分泌される小さな小胞である。エキソソームは、多胞エンドソームに由来し、細胞膜と融合することによって内部の小胞を細胞外環境に放出するが、その際に小胞中にRNA、DNA等の「遺伝子」を含むことがある。エキソソームは血液、血清、血漿、大便、リンパ液等の体液に含まれることが知られている。
本明細書において「転写産物」とは、遺伝子のDNA配列を鋳型にして合成されたRNAのことをいう。RNAポリメラーゼが遺伝子の上流にあるプロモーターと呼ばれる部位に結合し、DNAの塩基配列に相補的になるように3’末端にリボヌクレオチドを結合させていく形でRNAが合成される。このRNAには遺伝子そのもののみならず、発現制御領域、コード領域、エキソン又はイントロンをはじめとする転写開始点からポリA配列の末端にいたるまでの全配列が含まれる。
本明細書において「プローブ」とは、遺伝子の発現によって生じたRNA又はそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に検出するために使用されるポリヌクレオチド及び/又はそれに相補的なポリヌクレオチドを包含する。
本明細書において「プライマー」とは、遺伝子の発現によって生じたRNA又はそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に認識し、増幅する、連続するポリヌクレオチド及び/又はそれに相補的なポリヌクレオチドを包含する。
ここで相補的なポリヌクレオチド(相補鎖、逆鎖)とは、配列番号によって定義される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、からなるポリヌクレオチドの全長配列、又はその部分配列、(ここでは便宜上、これを正鎖と呼ぶ)に対してA:T(U)、G:Cといった塩基対関係に基づいて、塩基的に相補的な関係にあるポリヌクレオチドを意味する。ただし、かかる相補鎖は、対象とする正鎖の塩基配列と完全に相補配列を形成する場合に限らず、対象とする正鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズできる程度の相補関係を有するものであってもよい。
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、プローブが他の配列に対するよりも、検出可能により大きな程度(例えばバックグラウンドよりも少なくとも2倍)で、その標的配列に対してハイブリダイズする条件をいう。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、ハイブリダイゼーションが行われる環境によって異なる。ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件のストリンジェンシーを制御することにより、プローブに対して100%相補的である標的配列が同定され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、後述するように、以下の条件に限定されないが、例えば30℃〜60℃で、好ましくは3〜4×SSC、0.1〜0.5% SDSを含む溶液中でのハイブリダイゼーション、その後、例えば、30℃の0.5×SSCと0.1%SDSを含む溶液、及び30℃の0.2×SSCと0.1%SDSを含む溶液、及び30℃の0.05×SSC溶液による連続した洗浄などの条件を挙げることができる。ここで、1×SSCは、150mM塩化ナトリウム及び15mMクエン酸ナトリウムを含む水溶液(pH7.2)であり、界面活性剤はSDS、Triton、もしくはTweenなどを含む。
本明細書において「変異体」とは、核酸の場合、多型性、突然変異などに起因した天然の変異体、あるいは配列番号1〜5で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、又はその部分配列において1、2もしくは3又はそれ以上、好ましくは1もしくは2個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含む変異体、あるいは配列番号1〜5(ただし、tがuである。)のmRNAの前駆体RNAの塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、又はその部分配列において1又は2以上、好ましくは1又は数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含む変異体、あるいは該塩基配列の各々又はその部分配列と約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上の%同一性を示す変異体、あるいは該塩基配列又はその部分配列を含むポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドと上記定義のストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸を意味する。
本明細書において「数個」とは、約10,9、8、7、6、5、4、3又は2個の整数を意味する。
本明細書において、変異体は、部位特異的突然変異誘発法、PCR法を利用した突然変異導入法などの周知の技術を用いて作製可能である。
本明細書において「%同一性」は、BLASTやFASTAによるタンパク質又は遺伝子の検索システムを用いて、ギャップを導入して、又はギャップを導入しないで、決定することができる(Zheng Zhangら、2000年、J Comput Biol、7巻、p203−214;Altschul,S.F.ら、1990年、Journal of Molecular Biology、第215巻、p403−410;Pearson,W.R.ら、1988年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第85巻、p2444−2,448)。
本明細書において「誘導体」とは、修飾核酸、非限定的に例えば、蛍光団などによるラベル化誘導体、修飾ヌクレオチド(例えばハロゲン、メチルなどのアルキル、メトキシなどのアルコキシ、チオ、カルボキシメチルなどの基を含むヌクレオチド及び塩基の再構成、二重結合の飽和、脱アミノ化、酸素分子の硫黄分子への置換などを受けたヌクレオチドなど)を含む誘導体、PNA(peptide nucleic acid; Nielsen,P.E.ら、1991年、Science、254巻、p1497−500)、LNA(locked nucleic acid; Obika,S.ら,1998年、Tetrahedron Lett.、39巻、p5401−5404)などを含むことを意味する。
本明細書において「診断(又は検出又は検査)用ポリヌクレオチド」とは、大腸ガンの罹患の有無、罹患の程度もしくは改善の有無や改善の程度を診断するために、また大腸ガンの予防、改善又は治療に有用な候補物質をスクリーニングするために、直接又は間接的に利用されるものをいう。これには大腸ガンの罹患に関連して生体内、特に大腸組織および大腸ガン患者の大便中において発現が変動する遺伝子を特異的に認識し、また結合することのできるヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドが包含される。これらのヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは、上記性質に基づいて生体内、組織や細胞内などで発現した上記遺伝子を検出するためのプローブとして、また生体内で発現した上記遺伝子を増幅するためのプライマーとして有効に利用することができる。
本明細書において検出・診断対象となる「検体試料」とは、大腸ガンの発生にともない本発明の遺伝子が発現変化する生体組織およびそれら生体組織由来の物質、生体組織と接触する物質を指し、具体的には大腸組織、大腸上皮細胞、大便などを指す。
本明細書において「便潜血検査」とは、大便中のヘモグロビンを検出し大腸の内腔表面からの出血を評価する大腸ガン診断の方法を意味する。具体的には、大便中のヒトヘモグロビンを特異的に検出する抗体を用いた免疫学的方法である。
本明細書において「大腸内視鏡検査」とは、 大腸内視鏡を肛門から挿入し大腸内のガンの数、大きさ、発生部位やガンの形態(表面的性状、ガン基部の性状)を評価して大腸ガンの確定診断を行う方法を意味する。
本明細書において、「精度」は(「大腸ガン患者を大腸ガン患者と正しく判別した回数」と「非大腸ガン患者を正しく非大腸ガン患者と判別した回数」の和)/(全症例数)を意味する。精度は全検体に対しての判別結果が正しかった割合を示しており、診断性能を評価する第一の指標となる。
本明細書において、「感度」は(大腸ガン患者を大腸ガン患者と正しく判別した回数)/(「大腸ガン患者を大腸ガン患者と正しく判別した回数」と「大腸ガン患者を非大腸ガン患者と誤って判別した回数」の和)を意味する。感度が高ければ大腸ガンを早期に発見することが可能となり、完全なガン部の切除や再発率の低下につながる。
本明細書において、「特異度」は(非大腸ガン患者を正しく非大腸ガン患者と判別した回数)/(「非大腸ガン患者を誤って大腸ガン患者と判別した回数」と「非大腸ガン患者を正しく非大腸ガン患者と判別した回数」の和)を意味する。特異度が高ければ非大腸ガン患者を大腸ガン患者と誤判別することによる無駄な追加検査の実施を防ぎ、患者の負担の軽減や医療費の削減につながる。
本明細書で使用される「CEBPB遺伝子」又は「CEBPB」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号1)で示されるCCAAT/enhancer−binding protein beta遺伝子(DNA)、C/EBP−beta、CRP2、IL6DBP、LAP、NF−IL6、TCF5、その同族体、変異体及び誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号1に記載のCEBPB遺伝子(GenBank Accession No. NM_005194)やその他生物種ホモログなどが包含される。CEBPB遺伝子はTsushima,Hら、2012年、Ann. Rheum. Dis.、71巻、p99−107に記載される方法によって得ることができる。
本明細書で使用される「FCGR3A遺伝子」又は「FCGR3A」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号2)で示されるLow affinity immunoglobulin gamma Fc region receptor III−A Precursor遺伝子(DNA)、CD16、CD16A、FCG3、FCGR3、FCGRIII、FCR−10、FCRIII、FCRIIIA、IGFR3、その同族体、変異体及び誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号2に記載のFCGR3A遺伝子(GenBank Accession No. NM_000569)やその他生物種ホモログなどが包含される。FCGR3A遺伝子はNamboodiri,A.M.ら、2011年、Clin. Exp. Immunol.、166巻、p361−365に記載される方法によって得ることができる。
本明細書で使用される「PFKFB3遺伝子」又は「PFKFB3」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号3)で示される6−phosphofructo−2−kinase/fructose−2,6−biphosphatase 3遺伝子(DNA)、IPFK2、PFK2、その同族体、変異体及び誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号3に記載のPFKFB3遺伝子(GenBank Accession No. NM_004566)やその他生物種ホモログなどが包含される。Colombo,S.Lら、2011年、Proc. Natl. Acad. Sci.、108巻、p21069−21074に記載される方法によって得ることができる。
本明細書で使用される「IL8遺伝子」又は「IL8」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号4)で示されるIL8遺伝子(DNA)、Interleukin−8 Precursor遺伝子(DNA)、CXCL8、GCP−1、GCP1、LECT、LUCT、LYNAP、MDNCF、MONAP、NAF、NAP−1、NAP1、その同族体、変異体及び誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号4に記載のIL8遺伝子(GenBank Accession No. NM_000584)やその他生物種ホモログなどが包含される。Santos,J.C.ら、2012年、Clin. Exp. Immunol.、167巻、p129−136に記載される方法によって得ることができる。
本明細書で使用される「SOD2遺伝子」又は「SOD2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号5)で示されるSuperoxide dismutase [Mn], mitochondrial Precursor遺伝子(DNA)、IPOB、MNSOD、MVCD6、その同族体、変異体及び誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号5に記載のSOD2遺伝子(GenBank Accession No. NM_001024466、NM_001024465、NM_000636)やその他生物種ホモログなどが包含される。Black,J.L.ら、2012年、36巻、p59−66 に記載される方法によって得ることができる。
本明細書で使用される「P」または「P値」とは、統計学的検定において、統計量が仮定した分布の中で、仮定に反する値となる確率を示す。したがって「P」または「P値」が小さいほど、仮定が真に近いことが想定される。
本発明は、非侵襲的に採取できる大便から直接抽出されたRNAの発現量を指標とし、大腸ガンの診断又は治療に有用な疾患診断用ポリヌクレオチド及び該ポリヌクレオチドを用いた大腸ガンの高精度及び高感度な検出又は検査方法を提供するものであり、本発明によって、迅速でかつ簡便な診断又は検査が可能となる。また、本発明により、Duke’s stage Aの早期癌が感度よくかつ高精度で検出可能になるし、便潜血検査法と比べて格別に右側大腸ガンが感度よく検出可能になるという利点を提供する。
表1に記載の遺伝子を決定するための解析の流れを示す。
以下に本発明をさらに具体的に説明する
1.大腸ガンの標的遺伝子
本発明の上記定義の大腸ガン診断用ポリヌクレオチド及びキットを使用して大腸ガン又は大腸ガン細胞の存在及び/又は不存在を決定又は評価するための大腸ガンマーカーとしての標的遺伝子には、例えば、配列番号1〜5で表される塩基配列を含むヒト遺伝子(すなわち、それぞれ、CEBPB、FCGR3A、PFKFB3、IL8、SOD2)、それらの同族体、それらの転写産物、あるいはそれらの変異体又は誘導体が含まれる。ここで、遺伝子、同族体、転写産物、変異体及び誘導体は、上記定義のとおりである。好ましい標的遺伝子は、配列番号1〜5で表される塩基配列を含むヒト遺伝子、それらの転写産物、より好ましくは該転写産物、すなわちmRNA、その前駆体mRNAである。
本発明において大腸ガンの指標となる上記遺伝子はいずれも、健常な被験者と比べて大腸ガンに罹患した被験者において発現レベルが増加しているものである(後述の実施例の表1参照)。
第1の標的遺伝子は、CEBPB遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにCEBPB遺伝子又はその転写産物の発現の変化が大腸ガンのマーカーになりうるという報告が知られている(上記の特許文献3)。
第2の標的遺伝子は、FCGR3A遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにFCGR3A遺伝子又はその転写産物が大腸ガン組織または大腸ガン細胞株で遺伝子発現量が増加することが知られているが(上記の特許文献4)、大便中のFCGR3A8遺伝子又はその転写産物の発現の増加が大腸ガンのマーカーになりうるという報告は知られていない。
第3の標的遺伝子は、PFKFB3遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでに血液中のPFKFB3遺伝子又はその転写産物の発現量が大腸ガンのマーカーになりうるという報告が知られているが(上記の特許文献5)、大便中のPFKFB3遺伝子又はその転写産物の発現の増加が大腸ガンのマーカーになりうるという報告は知られていない。
第4の標的遺伝子は、IL8遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにIL8遺伝子又はその転写産物の大便中の遺伝子発現量を測定し、直腸結腸ガンのマーカーになることが知られている(上記の特許文献6)。
第5の標的遺伝子は、SOD2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにSOD2遺伝子又はその転写産物の発現量がガン部で増加するという報告が知られているが(上記の特許文献7)、大便中のSOD2遺伝子又はその転写産物の発現の増加が大腸ガンのマーカーになりうるという報告は知られていない。
2.大腸ガン診断用ポリヌクレオチド
2.1核酸
本発明において、大腸ガンを検出又は検査するための、あるいは大腸ガンを診断するために使用可能なポリヌクレオチドは、大腸ガンの標的遺伝子としての、ヒト由来のCEBPB、FCGR3A、PFKFB3、IL8、SOD2、それらの同族体、それらの転写産物あるいはそれらの変異体又は誘導体の存在、発現レベル又は存在量を定性的及び/又は定量的に測定することを可能にする。
上記の標的遺伝子は、健常な被験者と比べて大腸ガンに罹患した被験者においてその発現レベルが増加する。それゆえ、本発明の診断用ポリヌクレオチドは、大腸ガン組織と正常大腸組織について標的遺伝子の発現レベルを測定し、それらを比較するために有効に使用することができる。
本発明で使用可能な診断用ポリヌクレオチドは、大腸ガンに罹患した患者の生体組織において配列番号1〜5で表される塩基配列、あるいは該塩基配列においてtがuである塩基配列、を含むポリヌクレオチド群及びその相補的ポリヌクレオチド群、該塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でそれぞれハイブリダイズするポリヌクレオチド群及びその相補的ポリヌクレオチド群、ならびにそれらのポリヌクレオチド群の塩基配列において18以上、20以上、25以上、好ましくは30以上、40以上、50以上、より好ましくは60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド群から選ばれた1又は複数のポリヌクレオチドの組み合わせを含む。これらのポリヌクレオチドは、標的遺伝子である上記大腸ガンマーカーを検出するためのプローブおよびプライマーとして使用できる。
具体的には、本発明の診断用ポリヌクレオチドは、以下の1又は複数のポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又はその断片を含むことができる。
(1)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、あるいは該塩基配列においてtがuである塩基配列、からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、それらの誘導体、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(2)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、あるいは該塩基配列においてtがuである塩基配列、を含むポリヌクレオチド群。
(3)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、あるいは該塩基配列においてtがuである塩基配列、からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(4)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、あるいは該塩基配列においてtがuである塩基配列、を含むポリヌクレオチド群。
(5)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、あるいは該塩基配列においてtがuである塩基配列、に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、それらの誘導体、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(6)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、あるいは該塩基配列においてtがuである塩基配列、に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(7)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(8)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列においてtがuである塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
上記(1)〜(8)のポリヌクレオチドの断片は、各ポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、連続する18〜配列の全塩基数、18〜30塩基、18〜60塩基などの範囲の塩基数を含むことができるが、これらに限定されないものとする。
本発明で使用される上記ポリヌクレオチド類又はその断片類はいずれもDNAでもよいしRNAでもよい。
本発明の診断用ポリヌクレオチドは、DNA組換え技術、PCR法、部位特異的突然変異導入法、DNA/RNA自動合成機による方法などの一般的な技術を用いて作製することができる。
DNA組換え技術、部位特異的突然変異導入法、PCR法などの技術は、例えばAusubelら, Current Protocols in Molecular Biology, John Willey & Sons, US (1993); Sambrookら, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, US (1989)などに記載される技術を使用することができる。
ヒト由来の、CEBPB,FCGR3A,PFKFB3,IL8,SOD2は公知であり、前述のようにその取得方法も知られている。このため、これらの遺伝子をクローニングすることによって、本発明の診断用ポリヌクレオチドを作製することができる。
本発明の診断用ポリヌクレオチドは、DNA自動合成装置を用いて化学的に合成することができる。この合成には一般にホスホアミダイト法が使用され、この方法によって約100塩基までの一本鎖DNAを自動合成することができる。DNA自動合成装置は、例えばPolygen社、ABI社、Applied BioSystems社などから市販されている。
あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、cDNAクローニング法によって作製することもできる。cDNAクローニング技術は、例えばmicroRNA Cloning Kit Wakoなどを利用できる。
3.大腸ガン診断用キット(核酸)
本発明はまた、本発明の診断用ポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、及び/又はその断片の1つ又は複数を含む大腸ガン診断(検出)用キットを提供する。ここで、変異体及び誘導体は上で定義されたものを含む。
本発明のキットは、好ましくは、上記2.1に記載したポリヌクレオチド類から選択される1又は複数のポリヌクレオチド又はその断片を含む。
本発明のキットは、配列番号1〜5で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、を含むポリヌクレオチド、その相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はそれらのポリヌクレオチドの断片、その変異体、もしくはその誘導体を1以上、好ましくは複数、含むことができる。
本発明のキットに含むことができるポリヌクレオチド断片は、例えば下記の(1)〜(3)からなる群より選択される1以上のDNAである:
(1)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列においてtがuである塩基配列又はその相補的配列において、18以上の連続した塩基を含むDNA。
(2)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列においてtがuである塩基配列又はその相補的配列において、60以上の連続した塩基を含むDNA。
(3)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列においてtがuである塩基配列又はその相補的配列において、それぞれ60以上の連続した塩基を含むDNA。
好ましい実施形態では、前記ポリヌクレオチドが、配列番号1〜5および配列番号6〜10のいずれかで表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はそれらの18塩基〜全配列の塩基数又は20塩基〜全配列の塩基数、好ましくは25〜1000塩基、より好ましくは25〜100塩基、例えば30〜100塩基、40〜100塩基、50〜100塩基、より好ましくは60〜100塩基、の塩基長を有するものが例示できるが、この範囲に限定されない。
好ましい実施形態では、前記断片は、18以上、20以上、25以上、好ましくは30以上、40以上、50以上、より好ましくは60以上、例えば60〜100、の連続した塩基を含むポリヌクレオチドであることができる。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号6〜10のいずれかで表される塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号6〜10のいずれかで表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号6〜10のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
上記の組み合わせの例は、配列番号1〜5および配列番号6〜10に示した塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、又はその相補的配列を含むポリヌクレオド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドについて組み合わせることである。この仕方で5種の遺伝子を組み合わせたときの、大腸ガンの検出精度(%)を、大腸ガン検出に必要な遺伝子数に対してプロットすると、確率は、例えば、CEBPB(配列番号1)、FCGR3A(配列番号2)及びPFKFB3(配列番号3)の組み合わせで68.4%となり、及びIL8(配列番号4)、SOD2(配列番号5)の5種の遺伝子すべてを組み合わせたとき、精度は84.2%となる(表2)。
本発明において、ポリヌクレオチドの断片のサイズは、各ポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、連続する18〜配列の全塩基数、18〜30塩基もしくはそれ以上、18〜40塩基もしくはそれ以上、18〜60塩基もしくはそれ以上、18〜80塩基もしくはそれ以上、18〜100塩基もしくはそれ以上、20〜配列の全塩基数、20〜30塩基もしくはそれ以上、20〜40塩基もしくはそれ以上、20〜60塩基もしくはそれ以上、20〜80塩基もしくはそれ以上、20〜100塩基もしくはそれ以上、25〜配列の全塩基数、25〜30塩基もしくはそれ以上、25〜40塩基もしくはそれ以上、25〜60塩基もしくはそれ以上、25〜80塩基もしくはそれ以上、25〜100塩基もしくはそれ以上、などの範囲の塩基数であるが、これらに限定されないものとする。
本発明のキットを構成する上記の組み合わせは、あくまでも例示であり、他の種々の可能な組み合わせのすべてが本発明に包含されるものとする。
本発明のキットには、上で説明した本発明におけるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片に加えて、大腸ガン診断を可能とする既知の又は将来見出されるポリヌクレオチドも包含させることができる。
本発明のキットに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片は、個別に又は任意に組み合わせて異なる容器に包装される。
4.DNAチップ
本発明はさらに、本発明の診断用ポリヌクレオチド及び/又はキットに含まれるものと同じポリヌクレオチド(或いは、上記の2.1節の診断用ポリヌクレオチド及び/又は3節のキットに記載されたポリヌクレオチド)、変異体、誘導体、断片及びそれらの組み合わせを含む大腸ガン診断用DNAチップを提供する。
DNAチップの基板としては、DNAを固相化できるものであれば特に制限はなく、スライドガラス、シリコン製チップ、ポリマー製チップ及びナイロンメンブレンなどを例示することができる。またこれらの基板にはポリL−リジンコートやアミノ基、カルボキシル基などの官能基導入などの表面処理がされていてもよい。
また固相化法については一般に用いられる方法であれば特に制限はなく、スポッター又はアレイヤーと呼ばれる高密度分注機を用いてDNAをスポットする方法や、ノズルより微少な液滴を圧電素子などにより噴射する装置(インクジェット)を用いてDNAを基板に吹き付ける方法、又は基板上で順次ヌクレオチド合成を行う方法を例示することができる。高密度分注機を用いる場合には、例えば多数のウェルを持つプレートのおのおののウェルに異なった遺伝子溶液を入れておき、この溶液をピン(針)で取り上げて基板上に順番にスポットすることによる。インクジェット法では、ノズルより遺伝子を噴射し,基板上に高速度で遺伝子を整列配置することによる。基板上でのDNA合成は、基板上に結合した塩基を光又は熱によって脱離する官能基で保護し、マスクを用いることにより特定部位の塩基だけに光又は熱を当て、官能基を脱離させる。その後、塩基を反応液に加えて、基板上の塩基とカップリングさせる工程を繰り返すことによって行われる。
固相化されるポリヌクレオチドは、上記で説明した本発明の全てのポリヌクレオチドである。
例えば、そのようなポリヌクレオチドは、以下の1又は複数のポリヌクレオチド又はその断片を含むことができる。
(1)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、それらの誘導体、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(2)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、を含むポリヌクレオチド群。
(3)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、それらの誘導体、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(4)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、を含むポリヌクレオチド群、それらの変異体、それらの誘導体、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(5)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、それらの誘導体、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(6)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(7)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列においてtがuである塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(8)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列においてtがuである塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、又は18以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(9)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、又はその相補的配列の各々において、18以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(10)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、又はその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
本発明において、ポリヌクレオチドの断片のサイズは、各ポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、連続する18〜配列の全塩基数、18〜30塩基もしくはそれ以上、18〜40塩基もしくはそれ以上、18〜60塩基もしくはそれ以上、18〜80塩基もしくはそれ以上、18〜100塩基もしくはそれ以上、20〜配列の全塩基数もしくはそれ以上、20〜30塩基もしくはそれ以上、20〜40塩基もしくはそれ以上、20〜60塩基もしくはそれ以上、20〜80塩基もしくはそれ以上、20〜100塩基もしくはそれ以上、25〜配列の全塩基数、25〜30塩基もしくはそれ以上、25〜40塩基もしくはそれ以上、25〜60塩基もしくはそれ以上、25〜80塩基もしくはそれ以上、25〜100塩基もしくはそれ以上、などの範囲の塩基数であるが、これらに限定されないものとする。
好ましい実施形態によれば、本発明のDNAチップは、配列番号1〜5で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列、又はその相補的配列を含むポリヌクレオチドのなかから選択される上記5種の遺伝子に関する5種以上から全部を含むことができる。
本発明において、固相化されるポリヌクレオチドは、ゲノムDNA、cDNA、RNA、合成DNA、合成RNAのいずれでもよいし、あるいは1本鎖でもよいし又は2本鎖でもよい。ここで、合成DNAおよび合成RNAは、上記「誘導体」の定義で説明したような修飾核酸を含む。
標的遺伝子、RNA又はcDNAの発現レベルを検出、測定することができるDNAチップの例としては、東レ株式会社の3D−Gene(登録商標) Human Oligo chip 25k ver 2.1、Agilent社のSurePrint G3 Human GE マイクロアレイキット 8x60K、Affymetrix社のGeneChip Human Gene 1.0 ST Arrayなどを挙げることができる。
DNAチップの作製について、例えば予め調製したプローブを固相表面に固定化する方法を使用することができる。予め調製したポリヌクレオチドプローブを固相表面に固定化する方法では、官能基を導入したポリヌクレオチドを合成し、表面処理した固相担体表面にオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを点着し、共有結合させる(例えば、J.B.Lamtureら、Nucleic.Acids.Research、1994年、第22巻、p.2121−2125、Z.Guoら、Nucleic.Acids.Research、1994年、第22巻、p.5456−5465)。ポリヌクレオチドは、一般的には、表面処理した固相担体にスペーサ−やクロスリンカーを介して共有結合される。ガラス表面にポリアクリルアミドゲルの微小片を整列させ、そこに合成ポリヌクレオチドを共有結合させる方法も知られている(G.Yershovら、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、1996年、第94巻、p.4913)。また、シリカマイクロアレイ上に微小電極のアレイを作製し、電極上にはストレプトアビジンを含むアガロースの浸透層を設けて反応部位とし、この部位をプラスに荷電させることでビオチン化ポリクレオチドを固定し、部位の荷電を制御することで、高速で厳密なハイブリダイゼーションを可能にする方法も知られている(R.G.Sosnowskiら、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、1997年、第94巻、p.1119―1123)。
5.大腸ガンの検出法
本発明は、本発明の診断用ポリヌクレオチド、キット、DNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、検体試料中に大腸ガン由来の遺伝子が含まれるかどうかをin vitroで検出、検査又は評価する方法であって、大腸ガン患者および非大腸ガン患者から採取した大便等の検体試料を用いて、試料中の発現遺伝子量を比較して、該検体試料中の標的遺伝子の発現量が増加/低下している場合、該検体試料中に大腸ガン由来の遺伝子が存在すると決定又は評価することを含み、ここで、該標的遺伝子が該診断用ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片によって検出可能なものである、方法を提供する。
本発明の上記方法にて、大便等の検体試料から大腸ガン由来の遺伝子の検出、検査または診断を行うことにより、非侵襲的に精度および感度の高い、ガンの早期診断が可能になるだけでなく、早期の治療および予後の改善をもたらし、さらに、疾病憎悪のモニターや外科的、放射線療法的、および化学療法的な治療の有効性のモニターを可能にする方法を提供する。
本発明の大便等の検体試料の保存方法としては、好ましい実施形態によれば、大便をRNAlater(登録商標) Solutions(Life technologies社)のような検体試料中のRNA分解を抑制する試薬で保存しても良い。RNAlater(登録商標) Solutionsを用いる場合の検体試料の保存期間は0日〜5年、好ましくは0日〜1年、より好ましくは0〜1ヶ月である。保存温度は−80〜40℃、好ましくは0〜25℃、より好ましくは4℃である。また、別の好ましい実施形態では、RNA分解酵素を失活するグアニジン塩や酸性フェノールを含む試薬を検体試料に加えてもよい。また、検体試料に試薬を加えない冷蔵保存や凍結保存などを利用できるが、さらに保存法はこれらの方法に限定されない。
本発明の大便等の検体試料から大腸ガン由来の遺伝子を抽出する方法としては、好ましい実施形態によれば、グアニジン塩を含むRNA抽出用試薬を大便等の検体試料に加え、作業者に対する大便からの感染や試薬の暴露の危険性を低下させるため、密閉したチューブ内でボルテックスによってホモジェナイズし、RNA分解酵素を失活することでRNAの分解を防ぐとともに大便中の細胞を溶解し、その後、RNeasy mini kit(QIAGEN社)のような常法に従いtotal RNAを調整する。また、Trizol(Life technologies社)やIsogen(ニッポンジーン社)などの酸性フェノールを含むRNA抽出用試薬や、ホモジナイザーを用いても良いが、これらの方法に限定されない。
本発明の上記方法において、診断用ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップは、上で説明したような、本発明のポリヌクレオチド、その変異体又はその断片を単一であるいはあらゆる可能な組み合わせで含むものが使用される。
本発明の大腸ガンの検出、検査又は(遺伝子)診断において、本発明の診断用ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片は、プライマーとして又はプローブとして用いることができる。プライマーとして用いる場合には、Applied Biosystems社のTaqMan(登録商標) MicroRNA Assaysなどを利用できるが、この方法に限定されない。
本発明の診断用ポリヌクレオチド又はキットに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片は、ノーザンブロット法、サザンブロット法、RT−PCR法、in situ ハイブリダイゼーション法、サザンハイブリダイゼーション法などの、特定遺伝子を特異的に検出する公知の方法において、定法に従ってプライマー又はプローブとして利用することができる。測定対象試料としては、使用する検出方法の種類に応じて、被験者の大腸のガン病変部、及び正常組織部の一部又は全部をバイオプシーなどで採取するか、もしくは手術によって摘出した生体組織から回収するか、または被験者の大便等の生体組織を採取する。さらにそこから常法に従って調製したtotal RNAを用いてもよいし、さらに該RNAをもとにして調製される、cDNA又はそれから増幅されたaRNAを含む各種のポリヌクレオチドを用いてもよい。
あるいは、生体組織における本発明の遺伝子、RNA、cDNAなどの核酸の発現量は、DNAチップ(DNAマクロアレイを含む)を用いて検出あるいは定量することができる。この場合、本発明の診断用ポリヌクレオチド又はキットはDNAアレイのプローブとして使用することができる。かかるDNAアレイを生体組織から採取したRNAをもとに調製される標識DNA又はRNAとハイブリダイズさせ、該ハイブリダイズによって形成された上記プローブと標識DNA又はRNAとの複合体を、該標識DNA又はRNAの標識を指標として検出することにより、生体組織中での本発明大腸ガン関連遺伝子の発現の有無又は発現レベル(発現量)を評価することができる。本発明の方法では、DNAチップを好ましく使用できるが、これは、ひとつの生体試料について同時に複数遺伝子の発現の有無又は発現レベルの評価が可能である。
本発明の診断用ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップは、大腸ガンの診断、検査又は検出(罹患の有無や罹患の程度の診断)のために有用である。具体的には、該診断用ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップを使用した大腸ガンの診断は、大腸ガン患者由来の手術時又は内視鏡検査時に採取した大腸ガン細胞と非大腸ガン細胞、及び/または大腸ガン患者と非大腸ガン患者由来の大便を用いて、試料中の発現遺伝子量の比較を行い、該診断用ポリヌクレオチドで検出される遺伝子の発現レベルの違いを決定又は評価することによって行うことができる。この場合、遺伝子発現レベルの違いには、発現の有無だけではなく、大腸ガン患者由来の生体組織と非大腸ガン患者由来の生体組織の両者ともに発現がある場合でも、両者間の発現量を比較した時の差がある場合が含まれる。例えばCEBPB遺伝子は大腸ガンで発現誘導/減少を示すので、被験者の生体組織では発現/減少しており、該発現量と正常組織の発現量と比べて差があれば、試料中に大腸ガン由来の遺伝子が含まれないこと/又は大腸ガン由来の遺伝子が含まれることを決定又は評価できる。
本発明の診断用ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップを利用した検体試料中に大腸ガン由来の遺伝子が含まれないこと/又は大腸ガン由来の遺伝子が含まれることの検出方法は、被験者の生体組織の一部又は全部をバイオプシーなどで採取するか、手術によって摘出した生体組織から回収するか、被験者の大便を採取して、そこに含まれる5種の遺伝子を、本発明のポリヌクレオチド群から選ばれた各遺伝子に関する単数又は複数のポリヌクレオチド、その変異体又はその断片を用いて検出し、その遺伝子発現量を測定することにより、大腸ガンの有無又はその程度を検査、診断又は評価することを含む。また本発明の大腸ガンの検出方法は、例えば大腸ガン患者において、該疾患の改善のために治療薬を投与した場合における該疾患の改善の有無又はその程度を検査、診断又は評価することもできる。
本発明の方法は、例えば以下の(a)、(b)及び(c)の工程:
(a)被験者由来の検体試料を、本発明の診断用ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップのポリヌクレオチドと接触させる工程、
(b)生体試料中の標的遺伝子の発現レベルを、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いて測定する工程、
(c)(b)の結果をもとに、該検体試料中の大腸ガン(細胞)の存在又は不存在を決定又は評価する工程、
を含むことができる。
本発明方法で用いられる検体試料としては、被験者の生体組織、例えば大腸組織及びその周辺組織、大腸ガンが疑われる組織、大便など、から調製される試料を挙げることができる。具体的には該組織から調製されるRNA含有試料、或いはそれからさらに調製されるポリヌクレオチドを含む試料は、被験者の生体組織の一部又は全部をバイオプシーなどで採取するか、手術によって摘出した生体組織から回収するか、もしくは大便を採取し、そこから常法に従って調製することができる。
ここで被験者とは、哺乳動物、例えば非限定的にヒト、サル、マウス、ラットなどを指し、好ましくはヒトである。
本発明の方法は、測定対象として用いる生体試料の種類に応じて工程を変更することができる。
測定対象物としてRNAを利用する場合、大腸ガン(細胞)の検出は、例えば下記の工程(a)、(b)及び(c):
(a) 被験者の生体試料から調製されたRNA又はそれから転写された相補的ポリヌクレオチド(cDNA)又はそれから増幅されたRNA(aRNA)を、本発明の診断用ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップのポリヌクレオチドと結合させる工程、
(b) 該ポリヌクレオチドに結合した生体試料由来のRNA又は該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドを、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いて測定する工程、
(c) 上記(b)の測定結果に基づいて、大腸ガン(由来の遺伝子)の存在又は不存在を決定又は評価する工程、
を含むことができる。
本発明によって大腸ガン(由来の遺伝子)を検出、検査又は診断するために、例えば種々のハイブリダイゼーション法を使用することができる。かようなハイブリダイゼーション法には、例えばノーザンブロット法、サザンブロット法、RT−PCR法、DNAチップ解析法、in situハイブリダイゼーション法、サザンハイブリダイゼーション法などを使用することができる。
ノーザンブロット法を利用する場合は、本発明の診断用ポリヌクレオチドをプローブとして用いることによって、RNA中の各遺伝子発現の有無やその発現レベルを検出、測定することができる。具体的には、本発明の診断用ポリヌクレオチド(相補鎖)を放射性同位元素(32P、33P、35Sなど)や蛍光物質(シアン系、ローダミン系、フルオレサミン系など)などで標識し、それを常法にしたがってナイロンメンブレンなどにトランスファーした被検者の生体組織由来のRNAとハイブリダイズさせたのち、形成された診断用ポリヌクレオチド(DNA)とRNAとの二重鎖を診断用ポリヌクレオチドの標識物(放射性同位元素又は蛍光物質)に由来するシグナルを放射線検出器(BAS−1800II、富士写真フィルム株式会社、などを例示できる)又は蛍光検出器(STORM860、GEヘルスケア社、などを例示できる)で検出、測定する方法を例示することができる。
定量RT―PCR法を利用する場合には、本発明の上記診断用ポリヌクレオチドをプライマーとして用いることによって、RNA中の遺伝子発現の有無やその発現レベルを検出、測定することができる。具体的には、被検者の生体組織由来のRNAから常法にしたがってcDNAを調製して、これを鋳型として標的の各遺伝子の領域が増幅できるように、本発明の診断用ポリヌクレオチドから調製した1対のプライマー(上記cDNAに結合する正鎖と逆鎖からなる)をcDNAとハイブリダイズさせて常法によりPCR法を行い、得られた二本鎖DNAを検出する方法を例示することができる。なお、二本鎖DNAの検出法としては、上記PCRをあらかじめ放射性同位元素や蛍光物質で標識しておいたプライマーを用いて行う方法、PCR産物をアガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドなどで二本鎖DNAを染色して検出する方法、産生された二本鎖DNAを常法にしたがってナイロンメンブレンなどにトランスファーさせて標識した診断用ポリヌクレオチドをプローブとしてこれとハイブリダイズさせて検出する方法をとることができる。
DNAアレイ解析を利用する場合は、本発明の上記診断用ポリヌクレオチドをDNAプローブ(一本鎖又は二本鎖)として基板に貼り付けたDNAチップを用いる。遺伝子群を基板に固相化したものには、一般にDNAチップ及びDNAアレイという名称があり、DNAアレイにはDNAマクロアレイとDNAマイクロアレイが包含されるが、本明細書ではDNAチップといった場合、該DNAアレイを含むものとする。
ハイブリダイゼーション条件は、限定されないが、例えば30℃〜60℃で、SSCと界面活性剤を含む溶液中で1〜2,4時間の条件とする。ここで、1×SSCは、150mM塩化ナトリウム及び15mMクエン酸ナトリウムを含む水溶液(pH7.2)であり、界面活性剤はSDS、Triton、もしくはTweenなどを含む。ハイブリダイゼーション条件としては、より好ましくは3〜4×SSC、0.1〜0.5% SDSを含む。ハイブリダイゼーション後の洗浄条件としては、例えば、30℃の0.5×SSCと0.1%SDSを含む溶液、及び30℃の0.2×SSCと0.1%SDSを含む溶液、及び30℃の0.05×SSC溶液による連続した洗浄などの条件を挙げることができる。相補鎖はかかる条件で洗浄しても対象とする正鎖とハイブリダイズ状態を維持するものであることが望ましい。具体的にはこのような相補鎖として、対象の正鎖の塩基配列と完全に相補的な関係にある塩基配列からなる鎖、並びに該鎖と少なくとも80%の相同性を有する塩基配列からなる鎖を例示することができる。
本発明の診断用ポリヌクレオチド又はキットのポリヌクレオチド断片をプライマーとしてPCRを実施する際のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、例えば10mMTris−HCL(pH8.3)、50mMKCL、1〜2mM MgClなどの組成のPCRバッファーを用い、当該プライマーの配列から計算されたTm+5〜10℃において15秒から1分程度処理することなどが挙げられる。かかるTmの計算方法としてTm=2×(アデニン残基数+チミン残基数)+4×(グアニン残基数+シトシン残基数)などが挙げられる。
これらのハイブリダイゼーションにおける「ストリンジェントな条件」の他の例については、例えばSambrook, J. & Russel, D. 著、Molecular Cloning, A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年1月15日発行、の 第1巻7.42〜7.45、第2巻8.9〜8.17などに記載されており、本発明において利用できる。
本発明はまた、本発明の診断用ポリヌクレオチド、キット、DNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、被験者由来の検体試料中の標的遺伝子又は遺伝子の発現量を測定し、大腸ガン患者由来の生体試料と非大腸ガン患者由来の生体試料の遺伝子発現量を教師サンプルとしたサポートベクターマシン(SVM)を判別式として、検体試料が大腸ガン由来の遺伝子を含むこと及び/又は含まないことを決定又は評価する方法を提供する。
すなわち、本発明はさらに、本発明の診断用ポリヌクレオチド、キット、DNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、検体試料が大腸ガン由来の遺伝子を含むこと/又は大腸ガン由来の遺伝子を含まないことを決定又は評価することが既知の複数の生体試料中の標的遺伝子の発現量をin vitroで測定する第1の工程、前記第1の工程で得られた該標的遺伝子の発現量の測定値を教師サンプルとしたSVMによる判別式を作成する第2の工程、被験者由来の検体試料中の該標的遺伝子の発現量を第1の工程と同様にin vitroで測定する第3の工程、前記第2の工程で得られた判別式に第3の工程で得られた該標的遺伝子の発現量の測定値を代入し、該判別式から得られた結果に基づいて、検体試料が大腸ガン由来の遺伝子を含むこと/又は大腸ガン由来の遺伝子を含まないことを決定又は評価する第4の工程を含む、ここで、該標的遺伝子が該ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片によって検出可能なものである、前記方法を提供する。
あるいは、本発明の方法は、例えば下記の工程(a)、(b)及び(c):
(a)大腸ガン患者由来の大腸ガン由来遺伝子を含む組織及び/又は非大腸ガン患者由来の大腸ガン由来遺伝子を含まない組織であることが既知の生体試料中の標的遺伝子の発現量を、本発明による診断(検出)用ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップを用いて測定する工程、
(b)(a)で測定された発現量の測定値を、下記の数1〜数3の式に代入して、SVMと呼ばれる判別式を作成する工程、
(c)被験者由来の検体試料中の該標的遺伝子の発現量を、本発明による診断(検出)用ポリヌクレオチド、キット又はDNAチップを用いて測定し、(b)で作成した判別式にそれらを代入して、得られた結果に基づいて検体試料が大腸ガン由来遺伝子を含むこと及び/又は含まないことを決定又は評価する工程、
を含むことができる。
SVMとはV.Vapnikが考案した判別分析法である(The Nature of Statistical Leaning Theory、Springer、1995年)。分類すべき群分けが既知のデータセットの特定のデータ項目を説明変数、分類すべき群分けを目的変数として、該データセットを既知の群分けに正しく分類するための超平面と呼ばれる境界面を決定し、該境界面を用いてデータを分類する判別式を決定する。そして該判別式は、新たに与えられるデータセットの測定値を説明変数として該判別式に代入することにより、群分けを判別することができる。また、このときの判別結果は分類すべき群でも良く、分類すべき群に分類されうる確率でも良く、超平面からの距離でも良い。SVMでは非線形な問題に対応するための方法として、特徴ベクトルを高次元へ非線形変換し、その空間で線形の識別を行う方法が知られている。非線形に写像した空間での二つの要素の内積がそれぞれのもとの空間での入力のみで表現されるような式のことをカーネルと呼び、カーネルの一例としてリニアカーネル、RBF(Radial Basis Function)カーネル、ガウシアンカーネルを挙げることができる。カーネルによって高次元に写像しながら、実際には写像された空間での特徴の計算を避けてカーネルの計算のみで最適な識別関数、すなわち判別式を構成することができる。(例えば、麻生英樹ら著、統計科学のフロンテイア6「パターン認識と学習の統計学 新しい概念と手法」、岩波書店(2004年)、Nello Cristianiniら著、SVM入門、共立出版(2008年))。
SVM法の一種であるone−class SVM法は、1つの群の説明変数のみで学習を行って超平面を作成し、未知のデータセットが既知のデータセットに含まれるか、または外れ値となるかを判別する(Pai−Hsuen Chenら、2005年、Applied Stochastic Models in Business and Industry、21巻、p111−136)。外れ値はカーネル関数を用いて高次元平面から2次元平面に写像すると2次元平面の原点近くに位置する傾向がある。
本発明のone−class SVM法による判別式の説明変数は、上記2節に記載したポリヌクレオチド類から選択されるポリヌクレオチド又はその断片を測定することによって得られる値を含み、具体的には本発明の大腸ガン患者と非大腸ガン患者を判別するための説明変数は、例えば下記の(1)〜(2)からなる群より選択される遺伝子発現量である:
(1)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列又はその相補的配列において、18以上の連続した塩基を含むDNAのいずれかによって測定される大腸ガン患者もしくは非大腸ガン患者の大便における遺伝子発現量。
(2)配列番号1〜5および配列番号6〜10で表される塩基配列又はその相補的配列において、18以上の連続した塩基を含むDNAの塩基配列又はその相補的配列においてそれぞれ60以上の連続した塩基を含むDNAのいずれかによって測定される大腸ガン患者もしくは非大腸ガン患者の大便における遺伝子発現量。
本発明の方法で使用可能な判別式の算出例を以下に示す。
まず全被験者を大腸ガン患者と非大腸ガン患者の2群に群分けする。被験者が大腸ガン患者である、もしくは非大腸ガン患者であると判断する基準としては、例えば大腸内視鏡検査等の精密検査を用いることができる。
次に、分けられた2群の大便由来の生体試料の網羅的遺伝子発現量からなるデータセット(以下、学習セット)を用意し、該2群の間で遺伝子発現量に明確な差が見られる遺伝子を説明変数、該群分けを目的変数(たとえば0と1)としたone−class SVM法による判別式を決定する(数1,2)。このとき該判別式は数3で定義されるカーネル関数をもつ。例えば、学習セットの非大腸ガン患者の遺伝子発現量をone−class SVM法で学習させて判別式を作成する。
Figure 0006103866
(数1はLagurangeの未定定数法を用いることで帰着するLagurange定数αを用いた最適化問題を示す。νは学習セットの誤判別率を調整するパラメータを表す。)
Figure 0006103866
(数2は最終的に得られた識別関数を示す)
カーネルとしては以下のRBFカーネルを用いることができる。
Figure 0006103866
(ここで、γは超平面の複雑さを調整するカーネルパラメータを表す。)
そして、未知の大腸ガン患者もしくは非大腸ガン患者については、該大腸ガン患者もしくは該大腸ガン患者の大便における、該判別式で使用する遺伝子の発現量を測定し、それらを該判別式のxに代入することによって、大腸ガン患者または非大腸ガン患者のいずれに所属するかを判別することができる。
以上に示すように、大腸ガン患者であるもしくは非大腸ガン患者であるかどうか未知の被験者が、大腸ガン患者である、又は非大腸ガン患者である、のいずれの群に属するかを決定又は評価する判別式の作成には、学習セットから作成した判別式が必要であり、該判別式の判別精度を上げるためには、学習セット中の2群間に明確な差がある遺伝子を判別式に用いることが必要である。
また、判別式の説明変数に用いる遺伝子の決定は、次のように行うことが好ましい。まず、学習セットである、大腸ガン患者群の大便由来の網羅的遺伝子発現量と非大腸ガン患者群の大便由来の網羅的遺伝子発現量をデータセットとし、パラメトリック解析であるt−検定のP値、ノンパラメトリック解析であるMann−WhitneyのU検定のP値、又はWilcoxon検定のP値などを利用して、該2群間における各遺伝子の発現量の差の大きさを求める。
検定によって得られたP値の危険率(有意水準)が例えば5%、1%又は0.01%より小さい場合に統計学的に有意とみなすことができる。
検定を繰り返し行うことに起因する第一種の過誤の確率の増大を補正するために公知の方法、例えばボンフェローニ、ホルムなどの方法によって補正することができる(例えば、永田靖ら著、「統計的多重比較法の基礎」、サイエンティスト社(2007年))ボンフェローニ補正を例示すると、例えば検定によって得られたP値を検定の繰り返し回数、即ち、解析に用いる遺伝子数で乗じ、所望の有意水準と比較することにより検定全体での第一種の過誤を生じる確率を抑制できる。
次に、ここで求めた遺伝子発現量の差が大きい任意の数の遺伝子を用いた判別式を作成し、この判別式に対し、別の独立の大腸ガン患者もしくは非大腸ガン患者の大便由来の遺伝子発現量を説明変数に代入して、この独立の大腸ガン患者もしくは非大腸ガン患者について所属する群の判別結果を算出する。最大の判別精度を得る判別式を構築するためには、この判別式の作成と判別精度の算出を、遺伝子を遺伝子発現量の差の大きい順に一つずつ増やしながら繰り返して評価する(Furey TSら、2000年、Bioinformatics.、16巻、p906−14)。
また、該判別式に用いる遺伝子の決定と判別精度の算出には、Split−sample法を用いることが好ましい(図1)。すなわち、データセットを学習セットとテストセットに分割し、学習セットで検定と判別式作成を行い、該判別式でテストセットを判別した結果とテストセットが所属する真の群を用いて精度・感度・特異度を算出し、判別性能を評価する。
本発明は、大腸ガンの診断及び治療に有用な疾患診断用ポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを用いた大腸ガンの検出(又は検査)方法、及び該ポリヌクレオチドを利用した大腸ガンの診断(又は検出又は検査)キットを提供する。特に、既存の大便からの大腸ガン診断法を超える精度を示す診断用遺伝子の選定と診断用アルゴリズムの作成を実施するため、本発明の方法において、例えば、便潜血検査において陰性と判断されたにもかかわらず、大腸内視鏡検査等の精密検査によって最終的に大腸ガンが存在することが明らかとなった患者由来の大便検体由来の発現遺伝子と、大腸ガンが存在しない患者由来の大便検体由来の発現遺伝子を比較することによって、便潜血検査を超える精度を示す、診断用遺伝子セットおよび診断用アルゴリズムを構築できる。
例えば、上に記載したような上記5種の遺伝子に関する配列番号1〜5又は配列番号6〜10のポリヌクレオチド配列に基づく各遺伝子あたり1又は2以上の上記ポリヌクレオチド、並びに/或いは、上に記載したような配列番号1〜5および配列番号6〜10のポリヌクレオチドを用いて、上記の5種の標的遺伝子の発現量が、大腸ガン患者由来の検体試料と非大腸ガン患者由来の検体試料の間で異なること、もしくは大腸ガン患者由来の検体試料において発現が増加/減少していることを指標にして、検体試料が大腸ガン由来遺伝子を含むこと/又は大腸ガン由来遺伝子を含まないことを高い精度で見分けることができる。とりわけ、Duke’s stage AからCのいずれのステージであっても、感度よくかつ高精度で大腸ガンを検出可能にするし、また、便潜血検査法では感度及び精度が低い右側大腸ガンに対しても感度及び精度がより高いという格別な効果を提供する。
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲は、この実施例によって制限されないものとする。
<実施例1>
1.試料の採取
インフォームドコンセントを得た大腸内視鏡検査の診断結果がDuke’s stage Aが15例、stage Bが18例、stage Cが15例、stage Dが5例、計53例の大腸ガン患者及び61例の非大腸ガン患者の合計114例の被験者から大大便0.5gを得た。得られた大便は、ただちにRNAlater(登録商標) Solutions(Life technologies社)10mlを加え、4℃で保存してRNA分解を抑制した。
2.total RNAの抽出
試料として上の「1」で得た、RNAlater(登録商標) Solutionsで保存した大腸ガン患者53例および非大腸ガン患者61例の被験者の大便に対し、RNeasy mini kit(QIAGEN社)を用いて精製し、total RNAを得た。操作は基本的に同社の定める手順に従ったが、具体的にはBuffer RLT 2mlとβ―mercaptoethanol 20μlを混合し、RNAlater(登録商標) Solutionsから取り出した大便に加えてボルテックスによりホモジェナイズした後、キットに添付されたカラムによってtotal RNAを精製した。
3.遺伝子発現量の測定
上の「2」で得たtotal RNAからTargetAmp(登録商標) 1−Round Aminoallyl−aRNA Amplification Kit 101(Epicentre(登録商標) Biotechnologies)を用いて、同社の定める手順に従ってアミノアリル標識アンチセンスRNAを得た。
オリゴDNAマイクロアレイとしては東レ株式会社の3D−Gene(登録商標) Human Oligo chip 25k ver 2.1を用いて、同社の定める手順に基づいて遺伝子の絞込みを行った。ハイブリダイゼーションを行ったDNAチップをDNAアレイスキャナー(3D−Gene(登録商標) Scanner 3000、東レ株式会社)を用いてスキャンし、画像を取得してExtraction 2.0.0.4(東レ株式会社)にて蛍光強度を数値化した。統計学的処理はSpeed T.著「Statistical analysis of gene expression microarray data」、Helen Caustonら著「Microarray Gene Expression Data Analysis: A Beginner’s Guide」を参考にし、ハイブリダイズ後の画像解析から得られたデータに対してブランク値の減算を行い、遺伝子発現量の欠損値については各DNAチップにおける遺伝子発現量の最小値の対数値から0.1を減算した値で置換した。その結果、大腸ガン患者53例もしくは非大腸ガン患者61例に対する、Human Oligo chip 25k ver 2.1の各プローブがハイブリダイゼーションによって検出した核酸配列、すなわち網羅的なmRNAの遺伝子発現量を得た。
4.判別スコアリングシステム
上の「3」で得た大腸ガン患者53検体、もしくは非大腸ガン患者61検体の合計114検体の大便由来のtotal RNAから検出されたmRNAの遺伝子発現量を、大腸ガン患者群と非大腸ガン患者群で比較して、大腸ガン判別用遺伝子を決定し、その遺伝子を用いた場合の大腸ガン患者もしくは非大腸ガン患者の判別結果をR言語2.13.2(R Development Core Team (2011). R: A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, URL http://www.R−project.org/.)およびe1071パッケージ1.6(Evgenia Dimitriadou, Kurt Hornik, Friedrich Leisch, David Meyer and Andreas Weingessel (2011). , TU Wien. R package version 1.6.)を用いて算出した。すなわち、図1に示すSplit−sample法に従い、まず上の「3」で得た53検体の大腸ガン患者群と61検体の非大腸ガン患者群を、大腸ガン患者41検体(Duke’s stage Aが11例、stage Bが14例、stage Cが11例、stage Dが5例)と非大腸ガン患者54検体からなる学習セット、大腸ガン患者12検体(Duke’s stage Aが4例、stage Bが4例、stage Cが4例)と非大腸ガン患者7検体からなるテストセットに分けた。学習セットをquantile normalizationで正規化し(Bolstad, B. M.ら、2003年、Bioinformatics、19巻、p185−193)、その際の遺伝子の遺伝子発現量における順位に対応する遺伝子平均発現量を用いてテストセットのquantile normalizationを行った。学習セット中の20%の検体(19検体)において、2の6乗以上の遺伝子発現量を有する遺伝子のみを選び出した、さらに学習セットで選択された遺伝子に対応する遺伝子のみをテストセットから選び出した。学習セットにおいて大腸ガン患者群の遺伝子発現量と非大腸ガン患者群の遺伝子発現量の間で、各々の遺伝子発現量についてWilcoxon検定による2群の差の検定を行いP値の算出およびボンフェローニ補正を行い、学習セット中の各遺伝子の大腸ガン患者群と非大腸ガン患者群を判別する性能の高さを示す順位を算出した(表1)。学習セットにおいてWilcoxon検定から得たP値が小さい順の遺伝子の遺伝子発現量を順次SVM(数1〜数3)に入力して判別式を作成し、この判別式を用いてテストセットの判別を行った。SVMはA Practical Guide to Support Vector Classi cation(Chih−Wei Hsuら、http://www.csie.ntu.edu.tw/〜cjlin/papers/guide/guide.pdf)に従いone−class SVMおよびRBF kernelを使用し、学習セットでパラメータνおよびγの最適化を行ってテストセットを判別し、その結果の精度、感度および特異度を算出した。
Figure 0006103866
5.判別結果1
上記判別スコアリングシステムの結果、ランキングが上位1番目〜5番目の遺伝子としてそれぞれ配列番号1〜5で表されるCEBPB、FCGR3A、PFKFB3、IL8ならびにSOD2遺伝子を見出した。さらに、これらの遺伝子に対応するプローブとして、配列番号1〜5のポリヌクレオチド配列の部分配列である、それぞれ配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定したすべての遺伝子発現量を用いた場合に、大腸ガン患者41検体の大便と非大腸ガン患者54検体の大便からなる学習セットに対して精度が83.2%、感度が78.0%、特異度が87.0%となり、精度と感度が最高になる最小の遺伝子セット(表2の「配列番号1+2+3+4+5」)となることを見出した。
さらに、作成したSVMによる判別式のより一般的な性能を確認するために、大腸ガン患者12検体(Duke’s stage Aが4例、stage Bが4例、stage Cが4例)の大便と非大腸ガン患者7検体の大便からなるテストセットについて、上記と同様に遺伝子発現量を測定し、上記のSVMによる判別式を用いて判別したところ、配列番号1〜5で表されるCEBPB、FCGR3A、PFKFB3、IL8ならびにSOD2遺伝子に対応するプローブとして、配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定したすべての遺伝子発現量を用いた場合に、上記の5種の遺伝子すべてを組み合わせるとき精度が84.2%、感度が83.3%、特異度が85.7%となり、精度と感度が最高になる最小の遺伝子セット(表3の「配列番号1+2+3+4+5」)となり、学習セットの結果が支持された。また、大腸ガンの進行度の低いかつ早期ステージのDuke’s stage Aを4検体中4検体及びDuke’s stage Bを4検体中3検体で正しくガンと判別した。
このように、本発明の方法は、大腸ガンを早期に感度よく検出できるので、内視鏡又は外科手術によるガン部切除実施の早期判断が可能となり、その結果再発率を低くすることが可能となる。
Figure 0006103866
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<実施例2>
上記の大腸ガン患者12検体(Duke’s stage Aが4例、stage Bが4例、stage Cが4例)と非大腸ガン患者7検体からなるテストセットに対して、上で構築したSVMによる判別式の結果と便潜血検査法との精度、感度、特異度を比較した。便潜血検査の診断結果は精度が76.2%、感度が64.3%、特異度が100%であり、本発明の大腸ガン検出方法(配列番号1+2+3+4+5の「DNAチップ」)の方が、便潜血検査よりも精度は約10%、感度は約20%も高いことがわかった。
また、便潜血検査はDuke’s stage Aを4検体中4検体、Duke’s stage Bを4検体中2検体で正しくガンと判別し(表4)、本発明の大腸ガン検出方法の方が、大腸ガンの進行度が2番目に低いDuke’s stage Bを1検体多く検出できた。
さらに、右側大腸ガンについては、本発明により、DNAチップを用いて5検体中5検体すべてをガンと診断できた(表4)。本発明の大腸ガン検出方法は、大便中の大腸から剥離した大腸ガン細胞由来の上記5種の遺伝子発現量を検出するため、大便が液状である右側大腸にガン部が存在しても、大腸ガンを検出可能であると考えられる。一方、便潜血検査は右側大腸ガンについては5検体中2検体しかガンと診断できなかった(表4)。右側大腸ガンでは大便が液状であるためガン部から出血しにくいことや、血液の付着した大便が排出されるまで腸内に存在する時間が長いためにヘモグロビンの抗原性が低下することなどにより、便潜血検査では検出しにくかったのだと考えられる。
実施例1と実施例2の結果の対比から、本発明の大腸ガン検出方法の方が、便潜血検査よりも精度は約10%、感度は約20%も高く、比較的大腸ガンの進行度の低いDuke’s stage Bの検体をガンと検出でき、右側大腸ガンも感度よく検出できる優位な技術であることがわかった。
このように、本発明の方法は、便潜血検査よりも大腸ガンを早期に発見することができるので、内視鏡又は外科手術によるガン部の切除実施の早期判断が可能となり、その結果再発率を低くすることが可能となる。
Figure 0006103866
<実施例3>
配列番号1〜5で表される遺伝子に対応するプローブとして、配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定した5種すべての遺伝子発現量を用いた場合の判別結果と、1〜4種の遺伝子発現量を組み合わせた判別結果を比較し、5種すべての遺伝子(「配列番号1+2+3+4+5」)の遺伝子発現量を用いることの優位性を評価した。
比較として、配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定した遺伝子発現量からいずれか1種を選択し、上記のSVMによる判別方法によって、実施例2と同じテストセットを判別したところ、配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定した遺伝子発現量の5種すべてを用いた場合の精度と感度を超えなかった(表5)。
また、比較として、配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定した遺伝子発現量から2種を選択し、同様に判別したところ、配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定した5種すべての遺伝子発現量を用いた場合の精度と感度を超えなかった(表6)。
また、比較として、配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定した遺伝子発現量から3種を選択し、同様に判別したところ、配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定した5種すべての遺伝子発現量を用いた場合の精度と感度を超えなかった(表7)。
また、比較として、配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定した遺伝子発現量から4種を選択し、同様に判別したところ、配列番号6〜10のポリヌクレオチドによって測定した5種すべての遺伝子発現量を用いた場合の精度と感度を超えなかった(表8)。
実施例1と実施例3の結果の対比から、配列番号6〜10のポリヌクレオチドの1種乃至4種以下の組み合わせではなく、5種すべての遺伝子発現量で判別した場合に精度84.2%、感度83.3%になり、便潜血検査の精度76.2%、感度64.3%を超える最も高い精度と感度を示すことがわかった。
このように、遺伝子マーカーとしての5種すべての遺伝子の使用が既存の便潜血検査より優れた大腸ガンの診断に最適である。
Figure 0006103866
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本発明により、精度、感度に優れた大腸ガン検出又は検査方法を提供することができるため、少なくとも内視鏡検査前に大腸ガン患者から採取した大便に含まれる大腸ガン由来遺伝子を判別するために非常に有用である。

Claims (11)

  1. 被検者由来の便中におけるCEBPB遺伝子、FCGR3A遺伝子、PFKFB3遺伝子、IL8遺伝子及びSOD2遺伝子の発現量をin vitroで測定することを含む、大腸ガンの検出を補助する方法。
  2. 前記遺伝子の発現を特異的に検出するための核酸プローブを用いて行われる、請求項1に記載の大腸ガンの検出を補助する方法。
  3. 前記核酸プローブが以下の(1)〜(5)の5種のポリヌクレオチドである、請求項2に記載の大腸ガンの検出を補助する方法。
    (1)CEBPB遺伝子を検出するための、(a)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (2)FCGR3A遺伝子を検出するための、(a)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (3)PFKFB3遺伝子を検出するための、(a)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (4)IL8遺伝子を検出するための、(a)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (5)SOD2遺伝子を検出するための、(a)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
  4. 前記核酸プローブが、配列番号6〜10で表される塩基配列からなる5種のポリヌクレオチドである、請求項2に記載の大腸ガンの検出を補助する方法。
  5. CEBPB遺伝子、FCGR3A遺伝子、PFKFB3遺伝子、IL8遺伝子及びSOD2遺伝子が、それぞれ配列番号1〜5で表される塩基配列を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の大腸ガンの検出を補助する方法。
  6. 以下の(1)〜(5)の5種のポリヌクレオチドを含む核酸プローブを用いて、大腸ガン患者由来の検体試料であることまたは非大腸ガン患者由来の検体試料であることが既知の複数の便中の標的遺伝子の発現量をin vitroで測定する第1の工程、前記第1の工程で得られた該標的遺伝子の発現量の測定値を教師とした判別式(SVM)を作成する第2の工程、被験者由来の便中の該標的遺伝子の発現量を第1の工程と同様にin vitroで測定する第3の工程、前記第2の工程で得られた判別式に第3の工程で得られた該標的遺伝子の発現量の測定値を代入し、該判別式から得られた結果に基づいて、被験者由来の便中に大腸ガン由来の標的遺伝子が存在していること、または大腸ガン由来の標的遺伝子が存在していないことを決定又は評価する第4の工程を含む、大腸ガンの検出方法。
    (1)CEBPB遺伝子を検出するための、(a)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (2)FCGR3A遺伝子を検出するための、(a)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (3)PFKFB3遺伝子を検出するための、(a)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (4)IL8遺伝子を検出するための、(a)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (5)SOD2遺伝子を検出するための、(a)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
  7. 前記核酸プローブが、配列番号6〜10で表される塩基配列からなる5種のポリヌクレオチドである、請求項6に記載の大腸ガンの検出方法。
  8. 以下の(1)〜(5)の5種のポリヌクレオチドを含む核酸プローブを含む、検体試料として便を用いる大腸ガン診断用キット。
    (1)CEBPB遺伝子を検出するための、(a)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (2)FCGR3A遺伝子を検出するための、(a)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (3)PFKFB3遺伝子を検出するための、(a)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (4)IL8遺伝子を検出するための、(a)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (5)SOD2遺伝子を検出するための、(a)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
  9. 前記核酸プローブが、配列番号6〜10で表される塩基配列からなる5種のポリヌクレオチドである、請求項8に記載の大腸ガン診断用キット。
  10. 以下の(1)〜(5)の5種のポリヌクレオチドを含む核酸プローブを含む、検体試料として便を用いる大腸ガン診断用DNAチップ。
    (1)CEBPB遺伝子を検出するための、(a)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号1で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (2)FCGR3A遺伝子を検出するための、(a)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号2で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (3)PFKFB3遺伝子を検出するための、(a)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号3で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (4)IL8遺伝子を検出するための、(a)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号4で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
    (5)SOD2遺伝子を検出するための、(a)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその18以上100以下の連続した塩基を含むポリヌクレオチド断片、(b)配列番号5で表される塩基配列もしくは該塩基配列においてtがuである塩基配列又はこれら塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は(c)前記(a)又は(b)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチ
  11. 前記核酸プローブが、配列番号6〜10で表される塩基配列からなる5種のポリヌクレオチドである、請求項10に記載の大腸ガン診断用DNAチップ。
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