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JP6102972B2 - エマルションの製造方法、及び水性被覆材の製造方法 - Google Patents

エマルションの製造方法、及び水性被覆材の製造方法 Download PDF

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JP6102972B2 JP2015086258A JP2015086258A JP6102972B2 JP 6102972 B2 JP6102972 B2 JP 6102972B2 JP 2015086258 A JP2015086258 A JP 2015086258A JP 2015086258 A JP2015086258 A JP 2015086258A JP 6102972 B2 JP6102972 B2 JP 6102972B2
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Description

本発明は、エマルションの製造方法、及び水性被覆材に関する。
近年、建築物、土木構造物に使用する塗料分野においては、塗装作業者や周辺住民の健康及び環境保護を考慮して、揮発性有機化合物(以下、「VOC」という。)を溶媒とする溶剤系塗料から、水を分散媒とする水性塗料(水性被覆材)への変換が図られている。
しかし、水性塗料を代表する水性エマルション塗料に用いられるエマルション樹脂は、固有の最低造膜温度(以下、「MFT」という。)を持っており、塗膜を形成するためにMFT以下の温度で造膜を行う場合、造膜助剤としてのVOCの添加が必要であった。
また、塗板を積み重ねた際に発生しやすいブロッキングを防止するためには、バインダーとしての高硬度の樹脂を使用する必要がある。しかし、高硬度の樹脂を使用した被覆材の塗膜は耐凍害性に問題があり、またMFTも高いことから造膜助剤を多量に配合する必要がある。従って、水性エマルション塗料であっても相当量のVOCが含まれており、塗装後の乾燥が不十分な場合には、残存するVOCにより、塗膜の耐ブロッキング性や耐水性が悪くなるという問題があった。
さらに、水性エマルション塗料特有の現象として、しばしば、塗装後の乾燥により塗膜が割れるといった、いわゆるマッドクラックが発生する問題もあった。マッドクラックは、塗膜が厚くなったり、強制的に温度をかけて乾燥したりするときに発生しやすく、溶媒である水の蒸発に伴って塗膜表面が体積収縮してマッドクラックが発生するものと考えられている。マッドクラックの発生は塗膜の外観を損ねるばかりでなく、耐水性、耐候性等の各種性能を低下させる一因ともなっている。
そこで、耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性を有し、且つ、耐マッドクラック性及び耐候性の良好な塗膜を形成する水性被覆材の検討が行われている。
例えば、特許文献1には、耐ブロッキング性、低温安定性及び低温造膜性に優れた塗膜を形成する樹脂組成物として、コア/シェル構造を有し、シェル層にポリエチレングリコール鎖又はポリプロピレングリコール鎖を含むエチレン性不飽和単量体を共重合した樹脂組成物が開示されている。
しかし、樹脂中へのポリエチレングリコール鎖又はポリプロピレングリコール鎖の導入は、特に外装用途に用いた場合、塗膜の耐水性及び耐候性が低下するという問題があった。また、特許文献1に記載の樹脂組成物を含有する水性被覆材は、耐マッドクラック性に問題があった。
また、特許文献2には、水性被覆材の製造方法として、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を併用して多段乳化重合を行うエマルションの製造方法が開示されている。
しかし、特許文献2に記載の方法は使用するアニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の量が多いため、得られる水性被覆材は、必ずしも耐マッドクラック性を満足するものではなかった。
以上のように、従来の水性塗料は塗膜の耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性及び耐候性を十分に満足するものではなかった。また、塗料には塗膜の耐マッドクラック性も非常に重要である。そのため、これら特性を同時に満足する塗膜が形成できる水性被覆材の開発が強く求められている。
特開2001−164178号公報 国際公開第2005/075583号
本発明の目的は、耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性、耐マッドクラック性及び耐候性に優れた塗膜を形成できる水性被覆材、及び該水性被覆材を得るためのエマルションの製造方法を提供する。
本発明のエマルションの製造方法は、アニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の存在下で、エチレン性不飽和単量体(a)を1段以上で乳化重合して重合体(A)を形成し、その後に、エチレン性不飽和単量体(a)とは組成の異なるエチレン性不飽和単量体(b)を加え、乳化重合して重合体(B)を形成するエマルションの製造方法であって、前記アニオン性界面活性剤(I)と前記ノニオン性界面活性剤(II)の質量比が、(I):(II)=3:1〜1:4であり、且つアニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の総量が、前記乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との合計質量100質量部に対し、0.5〜1.5質量部であり、前記エチレン性不飽和単量体(a)は、溶解性パラメータ(SP値)が20〜30(J/cm1/2のエチレン性不飽和単量体(c)を75〜100質量%含み、前記エチレン性不飽和単量体(b)は、前記エチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)の合計を100質量%としたときに、エチレン性不飽和カルボン酸を0.1〜1.5質量%含有し、前記重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が70〜110℃であり、前記重合体(B)のガラス転移温度(Tg)とエマルションの最低造膜温度(MFT)の関係が、(エマルションのMFT)≦(重合体(B)のTg+20℃)であることを特徴とする。
また、前記エチレン性不飽和単量体(c)は少なくともメチルメタクリレートを含み、該メチルメタクリレートの含有量が、前記乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との合計質量を基準として、30質量%以上であることが好ましい。
さらに、前記アニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の総量が、前記乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との合計質量100質量部に対し、0.5〜1.5質量部であることが好ましい。
また、本発明の水性被覆材は、本発明のエマルションの製造方法で得られるエマルションを含むことを特徴とする。
本発明の水性被覆材によれば、耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性、耐マッドクラック性及び耐候性に優れた塗膜を形成できる。
また、本発明のエマルションの製造方法によれば、耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性、耐マッドクラック性及び耐候性に優れた塗膜を形成できる水性被覆材に含まれるエマルションを得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[エマルションの製造方法]
本発明のエマルションの製造方法は、アニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の存在下で、エチレン性不飽和単量体(a)を1段以上で乳化重合して重合体(A)を形成し、その後に、エチレン性不飽和単量体(b)を加え、乳化重合して重合体(B)を形成する方法であり、これにより、異層構造のエマルションが得られる。
<界面活性剤>
前記乳化重合に使用するアニオン性界面活性剤(I)とノニオン性界面活性剤(II)は、その質量比が、(I):(II)=4:1〜1:4である。質量比が上記範囲内であれば、得られるエマルションを含む水性被覆材を塗装して乾燥する際に、塗膜表面の体積収縮を効果的に抑制することができ、マッドクラックの発生を防止することができる。
質量比は、(I):(II)=3:1〜1:4が好ましく、2:1〜1:4がより好ましい。
また、アニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の総量(固形分)は、前記乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との合計質量100質量部に対し、0.5〜2.5質量部である。アニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の総量が0.5質量部以上であれば、エマルションの重合安定性及び貯蔵安定性が向上する。一方、総量が2.5質量部以下であれば、塗装後の乾燥の際に発生するマッドクラックを防止することができる。さらに、塗膜の耐水性を損なうことなく塗料化時の安定性、塗料の経時的安定性等を維持できる。この総量は1.0〜2.0質量部が好ましく、1.2〜1.5質量がより好ましい。
アニオン性界面活性剤(I)としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、脂肪酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナフタリンスルフォン酸ホルマリン縮合物、その他の高分子界面活性剤等が挙げられる。また、界面活性剤成分中にエチレン性不飽和結合を持つ、反応性のアニオン界面活性剤も使用できる。
上述したアニオン性界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩については、ラテムルE−118B(商品名、花王(株)製)として入手できる。
また、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩については、Newcol 707SF(商品名、日本乳化剤(株)製)として入手できる。さらに、反応性のアニオン性界面活性剤については、アデカリアソープSR−1025、アデカリアソープSR−10(商品名、(株)ADEKA製)として入手できる。これらは、必要に応じて1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
ノニオン性界面活性剤(II)としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。また、界面活性剤成分中にエチレン性不飽和結合を持つ、反応性のノニオン界面活性剤も使用できる。
上述したノニオン性界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテルについては、エマルゲンE−1150S−60(商品名、花王(株)製)として入手できる。また、反応性のノニオン性界面活性剤については、アデカリアソープER−30(商品名、(株)ADEKA製)として入手できる。これらは、必要に応じて1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
<重合体(A)の形成>
重合体(A)は、上述したアニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の存在下で、エチレン性不飽和単量体(a)(以下、「単量体(a)」という。)を1段以上で乳化重合することにより得られる。単量体(a)は1種類の単量体でもよいし、複数種の単量体の混合物でもよい。
単量体(a)は、溶解性パラメーター(SP値)が20〜30(J/cm1/2のエチレン性不飽和単量体(単量体(a)中に含まれるものを特にエチレン性不飽和単量体(c)とし、以下、「単量体(c)」とする。)を75〜100質量%含有することが好ましい。
ここで、「SP値」とは、[数1]で表されるFedorsの式(R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14,(2),1974)により求めた値をいう。
Figure 0006102972
[数1]において、δ(J/cm1/2 は単量体(j)のSP値、ΔE(J/mol)は単量体(j)の凝集エネルギー密度、V(cm/mol)は単量体(j)のモル体積、Δe(J/mol)は原子又は原子団の(i)の蒸発エネルギー、Δv(cm/mol)は原子又は原子団(i)のモル体積を示す。
重合体(A)は、SP値が20〜30(J/cm1/2の単量体(c)を75〜100質量%含む単量体(a)を1段以上で乳化重合することにより得られるのが好ましい。単量体(a)中の単量体(c)の割合は、80〜100質量%であるのがより好ましい。単量体(a)中の単量体(c)の割合が75質量%以上であれば、重合体(A)と後述する重合体(B)との相溶化が抑制でき、得られるエマルションのそれぞれの重合体の層における機能分化が可能となる。また、重合体(A)を高いガラス転移温度(Tg)にする場合に、塗膜の耐凍害性を低下させることなく耐ブロッキング性を向上させられる。
単量体(c)としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、スチレン等のSP値が20〜25のエチレン性不飽和単量体が挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリル等のSP値が25を超えるエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
塗膜の耐水性、耐候性の点からは、SP値が20〜25のエチレン性不飽和単量体を使用することが好ましい。
また、塗膜の耐ブロッキング性の面から、本発明の単量体(a)中に含有させる単量体(c)は、単量体(a)と後述するエチレン性不飽和単量体単量体(b)とを合わせた、単量体の合計質量(以下、単に「合計単量体量」とする。)を基準として、30質量%以上をメチルメタクリレートとすることが好ましく、より好ましくは33質量%以上である。また、塗膜の耐凍害性の面から、65質量%以下でメチルメタクリレートを用いるのが好ましい。
重合体(A)のTgは、50〜150℃であるのが好ましく、70〜110℃であるのがより好ましい。Tgが50℃以上であれば、塗膜の耐ブロッキング性が向上し、150℃以下であれば、塗膜の耐凍害性が向上する。
なお、「Tg」とは、下記式(1)に示したFoxの式により求められる値である。
1/(273+Tg)=Σ(W/(273+Tg))・・・(1)
ここで、Wは単量体iの質量分率、Tgは単量体iの単独重合体のTg(℃)を示す。
重合体(A)のTgを50〜150℃とするために、単量体(a)には、メチルメタクリレート以外に、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和単量体が使用できる。しかし、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のSP値が20(J/cm1/2以下のエチレン性不飽和単量体を使用する場合には、重合体(A)と重合体(B)の相溶化の抑制効果が小さくなることや、塗膜の耐凍害性の観点から、使用量を抑えることが好ましい。また、単量体(c)の中でも、(メタ)アクリル酸等の親水性の高いエチレン性不飽和単量体を使用する場合には、重合工程での安定性や、塗膜の耐水性、耐マッドクラック性、耐候性の面から使用量を制限することが好ましい。
Tgが50〜150℃である重合体(A)の、エマルション中の含有量は、合計単量体量に対して30〜70質量%であるのが好ましく、35〜65質量%であるのがより好ましい。含有量が30質量%以上であれば、塗膜の耐ブロッキング性が高くなる。また、含有率が70質量%以下であれば、塗膜の耐凍害性が高くなる。
また、本発明のエマルションの製造方法においては、以下に示すように、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体、分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有するエチレン性不飽和単量体を単量体(a)中に含有させることで、より高度な塗料物性、塗膜物性を発現することができる。これらの単量体は必要に応じて2種以上を使用することができる。
単量体(a)中にヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートを含有させることにより、得られるエマルションを含む水性被覆材を製造する際の配合安定性や、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、及び各種下地に対する密着性を向上させられる。単量体(a)中のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの質量割合は、0.1〜15質量%であるのが好ましく、0.5〜12質量%がより好ましい。単量体(a)中の質量割合が0.1質量%以上であれば上述した効果が得られ、15質量%以下であれば塗膜の耐水性及び耐候性の低下が抑制できる。
単量体(a)中に自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体を含有させることにより、塗膜の耐ブロッキング性、耐汚染性、耐候性、耐水性、及び各種下地に対する密着性を向上させられる。自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体の含有量は、単量体(a)中に0.1〜15質量%であるのが好ましく、0.5〜12質量%がより好ましい。含有量が0.1質量%以上であれば上述した効果が得られ、15質量%以下であれば、塗膜の耐水性及び耐候性の低下を抑制できる。
ここで、「自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体」とは、得られたエマルション中に残存する自己架橋性官能基が、エマルションが室温で分散液として保管されている間は化学的に安定であり、塗装時の乾燥、加熱又はその他の外的要因によって側鎖の官能基同士で反応して側鎖間に化学結合が形成する単量体をいう。
このような自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等のオキシラン基含有エチレン性不飽和単量体、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミドのアルキロール又はアルコキシアルキル化合物が挙げられる。これらは、必要に応じて2種以上を選択して使用してもよい。
また、単量体(a)中に分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有するエチレン性不飽和単量体を含有させることで、塗膜の耐ブロッキング性、耐水性及び耐候性を向上させられる。前記エチレン性不飽和単量体の含有量は、単量体(a)中に0.05〜10質量%であるのが好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。含有量が0.05質量%以上であれば、塗膜の耐ブロッキング性、耐水性及び耐候性が向上し、10質量%以下であれば、塗膜の耐凍害性の低下が抑制できる。
分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、イソ(テレ)フタル酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリル等が挙げられる。これらは必要に応じて2種以上を選択して使用してもよい。
重合体(A)は、上述したアニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の存在下で、単量体(a)を1段以上の乳化重合を行うことによって製造でき、2段以上の場合には、多段重合法によって製造できる。多段重合の場合は、所定の単量体(a)の組成及び量であれば、必要に応じて各段の重合に使用する単量体組成が異なっていてもよい。
乳化重合は、例えば界面活性剤の存在下、単量体(a)を重合系内に供給し、ラジカル重合開始剤により重合する公知の方法が使用できる。
ラジカル重合開始剤としては、ラジカル重合に使用される公知のものが使用可能であり、例えば過硫酸塩類、油溶性アゾ化合物類、水溶性アゾ化合物類、有機過酸化物類が挙げられる。
過硫酸塩類としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
油溶性アゾ化合物類としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。
水溶性アゾ化合物類としては、例えば2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}及びその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)及びその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)及びその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]及びその塩類等が挙げられる。
有機過酸化物類としては、例えば、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種類以上の混合物として使用できる。また、重合速度の促進、及び70℃以下での低温の重合が望まれるときには、例えば重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩等の還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて用いるのがよい。
ラジカル重合開始剤の添加量は、通常、単量体(a)中に0.01〜10質量%であるが、重合の進行や反応の制御の観点から、0.05〜5質量%とするのが好ましい。
なお、重合体(A)の分子量を調整する場合には、重合する際に、分子量調整剤として、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類や、四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー等の公知の連鎖移動剤を用いることができる。耐候性の低下を抑えるため、連鎖移動剤の使用量は単量体(a)に対して1質量%以下であることが好ましい。
<重合体(B)の形成>
重合体(B)は、単量体(a)を乳化重合して重合体(A)を形成した後に、単量体(a)とは組成の異なるエチレン性不飽和単量体(b)(以下、「単量体(b)」とする。
)を加え、乳化重合することにより得られる。単量体(b)は1種類の単量体でもよいし、複数種の単量体の混合物でもよい。
単量体(b)は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体であれば特に限定されないが、SP値が20(J/cm1/2未満のエチレン性不飽和単量体を含有するのが好ましい(SP値が20(J/cm1/2未満のもので、単量体(b)中に含まれるものを特にエチレン性不飽和単量体(d)とし、以下、単量体(d)とする。)。単量体(b)中に含有される単量体(d)の質量割合は、40〜100質量%であるのが好ましく、45〜100質量%であるのがより好ましい。単量体(d)の割合が40質量%以上であれば、耐吸水性が向上するため、塗膜の耐水性、耐候性及び耐凍害性が向上する。また、塗膜の耐マッドクラック性の点から、SP値が19.5以下の単量体(d)を使用するのがより好ましい。
単量体(d)としては、例えばエチルメタクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、n−プロポキシエチルアクリレート、メトキシエトキシエチルアクリレート等のSP値が19.5〜20のエチレン性不飽和単量体、n−プロピルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2−エトキシエチルメタクリレート、i−プロポキシエチルアクリレート、n−ブトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のSP値が19.0〜19.5のエチレン性不飽和単量体、i−プロピルメタクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブトキシエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のSP値が19.0以下のエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
重合体(B)のTgは、−50〜50℃であるのが好ましく、−30〜30℃であるのがより好ましい。重合体(B)のTgが−50℃以上であれば、塗膜の耐ブロッキング性及び耐汚染性が得られる。また、重合体(B)のTgが50℃以下であれば、成膜性が高く、塗装後の乾燥が不十分な場合でも、残存するVOCによる塗膜の耐ブロッキング性、耐水性及び耐凍害性への悪影響が少なくなる。
また、得られるエマルション中の、Tgが−50〜50℃である重合体(B)の含有量は、合計単量体量を基準として30〜70質量%であるのが好ましく、35〜65質量%であるのがより好ましい。重合体(B)の含有量が30質量%以上であれば、塗膜の耐凍害性、耐マッドクラック性、耐水性及び耐候性が高くなる。また、重合体(B)の含有量が70質量%以下であれば、塗膜の耐ブロッキング性が向上する。
また、以下に説明するような、高度な塗料物性及び塗膜物性を発現させるために、単量体(b)には、t−ブチルメタクリレート及び/又はシクロヘキシルメタクリレート、加水分解性シリル基含有エチレン性不飽和単量体、エチレン性不飽和カルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレート、自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体、耐紫外線エチレン性不飽和単量体、金属含有エチレン性不飽和単量体、カルボニル基及び/又はアルデヒド基含有エチレン性不飽和単量体を含有させることができる。これらは必要に応じて2種以上を併用してもよい。
単量体(b)にt−ブチルメタクリレート及び/又はシクロヘキシルメタクリレートを含有させれば、塗膜の耐候性及び耐水性が向上する。乳化重合に供される全単量体(以下、単に「全単量体」とする。)中のt−ブチルメタクリレート及び/又はシクロヘキシルメタクリレートの含有量は、5〜70質量%であるのが好ましく、10〜60質量%であるのがより好ましい。含有量が5質量%以上で塗膜の耐候性及び耐水性が向上でき、70質量%以下とすれば塗膜の耐凍害性の低下が抑制できる。
単量体(b)に加水分解性シリル基含有エチレン性不飽和単量体を含有させれば、塗膜の耐候性及び耐水性が向上する。全単量体中の加水分解性シリル基含有エチレン性不飽和単量体の含有量は、0.05〜15質量%であるのが好ましく、0.1〜12質量%であるのがより好ましい。含有量が0.05質量%以上で塗膜の耐候性及び耐水性が向上でき、15質量%以下とすれば塗膜の耐凍害性の低下が抑制できる。
加水分解性シリル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えばビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のビニルシラン類や、γ−(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルシラン類が挙げられる。
中でも、ビニル重合の反応性並びに塗膜の耐汚染性、耐候性及び耐水性の観点から、(メタ)アクリロイルオキシアルキルシラン類であるのが好ましく、γ−メタクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルメチルジクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリクロロシランであればさらに好ましい。また、これらは必要に応じて2種以上を選択して使用することもできる。
単量体(b)にエチレン性不飽和カルボン酸を含有させれば、エマルションの分散液の貯蔵安定性、及びエマルションの分散液に顔料や添加物を入れて塗料化する際の配合安定性が向上する。全単量体中のエチレン性不飽和カルボン酸の含有量は、0.1〜2質量%であるのが好ましく、0.1〜1.5質量%であるのがより好ましい。さらに好ましくは0.1〜1質量%である。含有量が0.1質量%以上であればエチレン性不飽和カルボン酸を加えたことによる効果が得られ、2質量%以下とすることで、マッドクラックの発生を防止することができ、且つ塗膜の耐水性及び耐候性の低下を抑制できる。
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは必要に応じて2種以上を選択して使用してもよい。
単量体(b)にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有させれば、エマルションの分散液の配合安定性や、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、及び塗膜の各種下地に対する密着性が向上する。全単量体中のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、0.1〜15質量%であるのが好ましく、0.5〜12質量%であるのがより好ましい。含有量を0.1質量%以上とすれば効果が充分に得られ、15質量%以下とすることで塗膜の耐水性及び耐候性の低下が抑制できる。
単量体(b)中にポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレートを含有させれば、エマルションの分散液の配合安定性や塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、及び塗膜の各種下地に対する密着性が向上する。全単量体中のポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレートの含有量は、0.1〜15質量%であるのが好ましく、0.5〜12質量%であるのがより好ましい。含有量が0.1質量%以上で効果が充分に得られ、15質量%以下であれば塗膜の耐水性及び耐候性の低下が抑制できる。
ポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレートとしては、例えばヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(エチレンオキシド/テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(プロピレンオキシド/テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等の末端ヒドロキシ型ポリアルキレンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体や、メトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等のアルキル基末端封止型ポリアルキレンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体が挙げられる。これらは必要に応じて2種以上を選択して使用してもよい。
単量体(b)に自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体を含有させれば、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、及び塗膜の各種下地に対する密着性が向上する。全単量体中の自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体の含有量は、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜12質量%であるのがより好ましい。含有量が0.1質量%以上で効果が充分に得られ、15質量%以下で塗膜の耐水性及び耐候性の低下が抑制できる。
自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体としては、単量体(a)の場合に挙げたものが使用でき、必要に応じてそれらの2種以上を選択して使用してもよい。
単量体(b)中に耐紫外線エチレン性不飽和単量体を含有させれば、塗膜の耐候性が向上する。全単量体中の耐紫外線エチレン性不飽和単量体の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜15質量%であるのがより好ましい。含有量が0.1質量%以上で効果が充分に得られ、20質量%以下であれば重合安定性の低下が抑制できる。
耐紫外線エチレン性不飽和単量体としては、例えば光安定化作用を有する(メタ)アクリレート及び紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
光安定化作用を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−[2−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−アミル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
これら耐紫外線エチレン性不飽和単量体は必要に応じて2種以上を選択して使用してもよい。
塗膜の高い耐汚染性が要求される場合や、可塑剤のブリードアウトにより塗膜の耐汚染性が低下する場合には、単量体(b)中に金属含有エチレン性不飽和単量体や、特定の架橋システムを含有させれば、塗膜の耐汚染性が向上する。金属含有エチレン性不飽和単量体としては、下記式で表される単量体が挙げられる。
Figure 0006102972
式中の、Rは水素原子又はメチル基、MはMg、Ca、Fe、Cu、Zn、Zr等の2価の金属イオン、Rは有機酸残基を示す。
有機酸残基が(メタ)アクリル酸残基であるときは、2個の不飽和基を有する金属含有エチレン性不飽和単量体であり、例えば、ジ(メタ)アクリル酸マグネシウム、アクリル酸メタクリル酸マグネシウム、ジ(メタ)アクリル酸カルシウム、アクリル酸メタクリル酸カルシウム、ジ(メタ)アクリル酸鉄、アクリル酸メタクリル酸鉄、ジ(メタ)アクリル酸銅、アクリル酸メタクリル酸銅、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛、アクリル酸メタクリル酸亜鉛、ジ(メタ)アクリル酸ジルコニウム、アクリル酸メタクリル酸ジルコニウムが挙げられる。
金属含有エチレン性不飽和単量体のRが(メタ)アクリル酸残基以外の有機酸残基であるとき、好ましい有機酸残基として、例えばモノクロル酢酸、モノフルオロ酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、バーサチック酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、クレソチン酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、安息香酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、キノリンカルボン酸、ニトロ安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸、プルビン酸等の一価の有機酸から誘導されるものが挙げられる。
金属含有エチレン性不飽和単量体としては、例えばモノフルオロ酢酸金属(メタ)アクリレート、プロピオン酸金属(メタ)アクリレート、オクチル酸金属(メタ)アクリレート、バーサチック酸金属(メタ)アクリレート、イソステアリン酸金属(メタ)アクリレート、パルミチン酸金属(メタ)アクリレート、クレソチン酸金属(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸金属(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸金属(メタ)アクリレート、安息香酸金属(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸金属(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸金属(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸金属(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸金属(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸金属(メタ)アクリレート、プルビン酸金属(メタ)アクリレート、等が挙げられ、金属としてはマグネシウム、カルシウム、鉄、銅、亜鉛、ジルコニウムが挙げられる。これらは必要に応じて2種以上を選択して使用することもできるが、中でも、亜鉛含有エチレン性不飽和単量体を用いるのが好ましい。
全単量体中の金属含有エチレン性不飽和単量体の含有量は、0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.5〜8質量%であるのがより好ましい。含有量が0.1質量%以上で塗膜の耐汚染性が向上し、10質量%以下で塗膜の耐水性及び耐候性の低下が抑制できる。
単量体(b)中にカルボニル基及び/又はアルデヒド基含有エチレン性不飽和単量体を含有させ、水性被覆材を調製する際、エマルションの分散液中に、分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物(以下、ヒドラジン化合物とする。)を配合すれば、塗膜の耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性、耐候性、耐汚染性、耐溶剤性及び塗膜の各種下地に対する密着性が向上する。この効果は、塗装後の乾燥の際に、エマルション中のカルボニル基と、配合されたヒドラジン化合物のヒドラジノ基との間で架橋反応が進行することに起因する。
カルボニル基及び/又はアルデヒド基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えばアクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルアルキルケトン等が挙げられる。なかでも、炭素数4〜7個のビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、(メタ)アクリルオキシアルキルプロパナールの他、(メタ)アクリルアミド、ピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニルアクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトンがより好ましい。これらは、必要に応じて2種以上を選択して使用することもできる。
全単量体中のカルボニル基及び/又はアルデヒド基含有エチレン性不飽和単量体の含有量は、0.2〜10質量%であるのが好ましく、0.5〜8質量%であるのがより好ましい。含有量が0.2質量%以上であれば、塗膜の耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性、耐候性、耐汚染性、耐溶剤性及び各種下地に対する密着性が向上し、10質量%以下であれば重合安定性や塗膜の耐水性の低下が抑制できる。
ヒドラジン化合物としては、例えばエチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の炭素数が2〜15のジカルボン酸のジヒドラジドや、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−(2−メチルメルカプトエチル)ヒダントイン、1−ヒドラジノカルボエチル−3−ヒドラジノカルボイソプロピル−5−(2−メチルメルカプトエチル)ヒダントイン等のヒダントイン骨格を有する化合物が挙げられる。これらは必要に応じて2種以上を選択して使用してもよい。
塗膜の耐汚染性を向上させる上では、ヒダントイン骨格を有するヒドラジン化合物が好ましく、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインがより好ましい。
また、カルボニル基及び/又はアルデヒド基含有エチレン性不飽和単量体とヒドラジン化合物の比率は、エマルション中のカルボニル基及び/又はアルデヒド基のモル数を(P)、エマルションの分散液に配合されるヒドラジン化合物のヒドラジノ基のモル数を(Q)としたとき、比率(P)/(Q)を0.1〜10とすることが好ましく、0.8〜2とするのがより好ましい。(P)/(Q)が0.1以上であれば、未反応のヒドラジン化合物による塗膜の耐水性の低下が抑制でき、(P)/(Q)が10以下であれば、エマルションの架橋度が高くなり、塗膜の耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性、耐候性、耐汚染性、耐溶剤性及び塗膜の各種下地に対する密着性が向上する。
重合体(B)の製造は、重合体(A)の製造の場合と同様に、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤が使用できる。
本発明のエマルションの製造方法は、前記重合体(A)の乳化重合及び/又は前記重合体(B)の乳化重合が、ポリオルガノシロキサン重合体(X)を含む水性分散液中で行われることが好ましい。特に、ポリオルガノシロキサン重合体(X)を含む水性分散液中で、エチレン性不飽和単量体(a)を1段以上で乳化重合して重合体(A)を形成し、その後に引き続いて、エチレン性不飽和単量体(b)を加え、乳化重合して重合体(B)を形成するのが好ましい。これにより、得られる異層構造を有するエマルションを主成分とする水性被覆材が、より高度な耐候性、塗膜物性を発現することができる。
ポリオルガノシロキサン重合体(X)を含む水性分散液としては、オルガノシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロック(III)、エチレン性不飽和単量体を繰り返し単位とする重合体ブロック(IV)、および重合体ブロック(III)と重合体ブロック(IV)に共重合したケイ素含有グラフト交叉剤(V)から構成されるグラフトブロック共重合体の水性樹脂分散液が挙げられる。
グラフトブロック共重合体を構成する重合体ブロック(III)は、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジメチルジアルコキシシラン類や、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ジメチルサイクリックス(ジメチルシロキサン環状オリゴマー3〜7量体混合物)等のジメチルシロキサン環状オリゴマー類や、ジメチルジクロロシラン等を原料として合成することができる。
原料の価格と得られる樹脂の熱安定性等の性能を考慮すると、重合体ブロック(III)の原料として最も好適なのは、ジメチルシロキサン環状オリゴマーである。
グラフトブロック共重合体を構成する重合体ブロック(IV)に用いられるエチレン性不飽和単量体としては、先に述べた各種のエチレン性不飽和単量体を、必要に応じて適宜選択して使用できる。重合体ブロック(IV)は、グラフトブロック共重合体100質量部中、50〜99.5質量部の範囲内で含有されていることが好ましい。重合体ブロック(IV)の含有量が50質量部以上であれば、硬化被膜の硬度、強度、耐汚染性が向上する傾向にある。また、99.5質量部以下であれば、硬化被膜の可撓性、耐水性、耐侯性の低下を抑制できる傾向にある。より好ましい含有量は、60〜99質量部である。
ケイ素含有グラフト交叉剤(V)の具体例としては、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類;γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−オキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロイルオキシアルキルシラン類;γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアクリロイルオキシアルキルシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプトアルキルシラン類;などが挙げられる。中でも、ビニル重合反応性、コストなどを考慮すると、メタクリロイルオキシアルキルシラン類、アクリロイルオキシアルキルシラン類、メルカプトアルキルシラン類が特に好ましい。これらは必要に応じて1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
ケイ素含有グラフト交叉剤(V)は、グラフトブロック共重合体中のケイ素原子の合計100モル%を基準にして、0.5〜50モル%の範囲内であることが好ましい。この含有量が0.5モル%以上であれば、硬化被膜の透明性が向上する傾向にあり、50モル%以下であれば、硬化被膜の性能が向上する傾向にある。より好ましい含有量は、1〜15モル%である。含有量が1モル%以上であれば、得られる硬化被膜の透明性が極めて良好となり、15モル%以下であれば、乳化重合の際のラテックス安定性が良好となる。
また、本発明のエマルションの製造方法においては、乳化重合の後、得られたエマルションの分散液に塩基性化合物を添加して、pHを6.5〜10.0の範囲とするのが好ましい。これにより、安定性を高めることができる。特に、pHを7.0〜10.0とすれば、より優れた凍結−融解安定性を付与できる。
塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
これらの中で、VOCを含まないことが望まれる内装用途等の場合は、無機系塩基化合物を用いることが好ましい。更に、僅かな臭気が問題となる場合には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の非揮発性塩基化合物を用いることが好ましい。
このように、アニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の存在下で、エチレン性不飽和単量体(a)を1段以上で乳化重合して重合体(A)を形成し、その後に、エチレン性不飽和単量体(b)を加え、乳化重合して重合体(B)を形成することで、エマルションが得られる。
エマルションは粒子の形状で得られるが、その粒子径としては、粒子の安定性及び塗膜性能のバランスから、50〜300nmであるのが好ましい。50nm以上の粒子径のエマルション粒子を形成する重合条件であれば、重合中に凝集物が生じにくく、界面活性化剤の使用量が少なくてよいため、塗膜の耐水性を維持できる。また、300nm以下のエマルション粒子であれば、造膜欠陥が生じにくい。
エマルションのMFTは、60℃以下であるのが好ましく、50℃以下であるのがより好ましい。MFTが60℃以下であれば、多量のVOC(成膜助剤)を配合する必要がなく、塗装後の乾燥が不十分な場合でも、残存するVOCによる塗膜の耐ブロッキング性、耐水性の低下が、塗膜の耐凍害性も維持できる。
また、重合体(B)のTgとエマルションのMFTの関係は、(エマルションのMFT)≦(重合体(B)のTg+30℃)であることが好ましく、(エマルションのMFT)≦(重合体(B)のTg+20℃)であることがより好ましい。上記の条件を満足すれば、多量の成膜助剤を配合する必要がなく、塗装後の乾燥が不十分な場合でも、残存するVOCによる塗膜の耐ブロッキング性や耐水性の低下がないため、塗膜の耐凍害性も維持できる。
また、エマルション100質量部に対して、造膜助剤、可塑剤等の有機揮発化合物を0〜20質量部添加することでMFTが10℃以下となるようにすることが好ましい。より好ましくは0〜10質量部である。造膜助剤及び可塑剤等のVOCの添加量を20質量部以下とすることで塗装後の乾燥が不十分な場合でも残存するVOCによる塗膜の耐ブロッキング性や耐水性への悪影響もなく、塗膜の耐凍害性も維持できる。
以上説明した、本発明のエマルションの製造方法によれば、アニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の質量比と総量を規定することで、耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性、耐マッドクラック性及び耐候性に優れた塗膜を形成できる水性被覆材を得るためのエマルションを製造できる。
[水性被覆材]
本発明の水性被覆材は、本発明のエマルションの製造方法により得られる、異層構造のエマルションを含有する。
本発明の水性被覆材は、主成分であるエマルション及び前記界面活性剤、添加剤等で固形分を形成し、通常、固形分20〜80質量%の状態で使用される。
水性被覆材は、必要に応じて各種顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤等を含有してもよい。また、他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤、メラミン類等の硬化剤と混合して使用してもよい。
本発明の水性被覆材を各種基材の表面に塗装する方法としては、例えば、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法、フローコート法等の各種の塗装法が選択できる。また、本発明の水性被覆材は、室温乾燥又は50〜180℃の加熱乾燥で十分に造膜した塗膜が得られる。
本発明の水性被覆材は、セメントモルタル、スレート板、石膏ボード、押し出し成形板、発泡性コンクリート、金属、ガラス、磁器タイル、アスファルト、木材、防水ゴム材、プラスチック、珪酸カルシウム基材等の各種素材の表面仕上げ被覆材として有用であり、特に建築物、土木構造物等の躯体保護用水性被覆材として有用である。
本発明の水性被覆材は、特定の質量比と総量のアニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の存在下で、エチレン性不飽和単量体(a)を1段以上で乳化重合して重合体(A)を形成し、その後に、エチレン性不飽和単量体(b)を加え、乳化重合して重合体(B)を形成することで得られるエマルションを含むので、耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性、耐マッドクラック性及び耐候性に優れた塗膜を形成できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
尚、下記実施例3及び実施例5は参考例である。
ポリオルガノシロキサン重合体(X)の水性分散液の調製、評価用水性被覆材(白エナメル塗料、クリヤー塗料)の作製、エマルション分散液の物性の測定、及び評価用水性被覆材より得られる塗膜の評価は、下記方法に従って実施した。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は全て質量基準である。
<ポリオルガノシロキサン重合体(X)の水性分散液の調製>
環状ジメチルシロキサンオリゴマー3〜7量体混合物98部と、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2部、水310部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部からなる組成物をホモミキサーで予備混合した後、圧力式ホモジナイザーによる200kg/cmの圧力で強制乳化してシリコン原料プレエマルションを得た。
次いで、水90部およびドデシルベンゼンスルホン酸9部を攪拌機、還流冷却管、温度制御装置および滴下ポンプを備えたフラスコに仕込み、攪拌下に、フラスコの内温を85℃に保ちながら4時間かけて上記のシリコン原料プレエマルションを滴下した。滴下終了後、さらに1時間重合を進行させた後、冷却してドデシルベンゼンスルホン酸と当モル量の水酸化ナトリウムを加えてポリオルガノシロキサン重合体(X)の水性分散液(SiEm)を調製した。固形分は18%であった。
<評価用水性被覆材(白エナメル塗料)の作製>
タイペークCR−97(石原産業(株)製、塩素法酸化チタン)707g、アデカコール−193(旭電化工業(株)製、顔料分散剤)12g、サーフィノールDF−58(エア・プロダクツ(株)製、消泡剤)25g、脱イオン水256gを十分に混合し、ガラスビーズを加えて高速分散機で30分間顔料分散を行い、次いでガラスビーズ等を100メッシュナイロン紗で濾別し、評価用ミルベースを得た(固形分71%)。
次に、エマルションのMFTが10℃を超えるものは、造膜助剤としてCS−12(チッソ(株)製、造膜助剤)を添加しMFTを10℃以下にした。
次いで、エマルションの分散液141g(固形分42.5%基準)に対し、上記の評価用ミルベースを56.3g、RHEOLATE350(RHEOX(株)製、増粘剤)を0.5g、順に加え、十分に攪拌し、粘度がフォードカップ♯4で30秒程度になるように脱イオン水を加えて調整した。その後、再度100メッシュナイロン紗を用いて濾過を行い、PWC=40%の評価用の白エナメル塗料を得た。なお、「PWC」とは、塗料(固形分)100%中の顔料(固形分)の質量割合のことである。
<評価用水性被覆材(クリヤー塗料)の作製>
エマルションのMFTが10℃を超えるものは、造膜助剤としてCS−12(チッソ(株)製、造膜助剤)を添加しMFTを10℃以下にした。
次いで、エマルションの分散液100gに対し、RHEOLATE350(RHEOX(株)製、増粘剤)を0.5g、サーフィノールDF−58(エア・プロダクツ(株)製、消泡剤)0.5gを加え、十分に攪拌し、粘度がフォードカップ♯4で30秒程度になるように脱イオン水を加えて調整した。その後、100メッシュナイロン紗を用いて濾過を行い、評価用のクリヤー塗料を得た。
<物性測定>
(1)加熱残分の測定
JIS K6828 5.1に準拠して測定を実施した。
(2)粘度の測定
JIS K6828 5.4に準拠して測定を実施した。
(3)pHの測定
JIS K6828 5.3に準拠して測定を実施した。
(4)最低造膜温度(MFT)の測定
JIS K6828 5.11に準拠して測定を実施した。
<評価方法>
(5)耐ブロッキング性(高温乾燥)の評価
評価用の白エナメル塗料をガラス板に6ミルアプリケータにて塗装(縦80mm×横80mm)し、130℃で5分間強制乾燥させた。次いで、50℃まで冷却した後、50℃雰囲気下で塗膜表面にガーゼを載せ、更にその上に事前に50℃まで加温した分銅を置き、1.4Kg/cmの荷重をかけ30分間維持した。次いで、常温まで冷却した後、ガラス板を逆さまにしてゆっくりガーゼを剥がし、その時の剥がし難さ及びガーゼの痕跡を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
◎:ガーゼが自然に落下し、塗膜上にガーゼの痕跡がほとんど残っていない。
○:ガーゼが自然に落下することはないが、塗膜上にガーゼの痕跡はほとんど残っていない。
△:ガーゼが自然に落下することはないが、少しの力で剥離することができ、ガーゼの痕跡が多少残っている。
×:ガーゼを剥離時に塗膜の一部も剥離し、ガーゼの痕跡がくっきり残っている。
(6)耐ブロッキング性(低温乾燥)の評価
評価用の白エナメル塗料をガラス板に塗装した後の5分間強制乾燥の温度を50℃とする以外は前記(5)耐ブロッキング(高温乾燥)の評価と同様の評価を実施し、同様の評価基準で評価した。
(7)耐マッドクラック性の評価
評価用の白エナメル塗料をガラス板に8ミルアプリケータにて塗装し(縦100mm×横15mm)、130℃で2分間強制乾燥させた後、塗膜の「マッドクラック(割れ)」の有無を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
◎:マッドクラックが殆ど見られず、連続した塗膜ができている。
○:塗装面の端部にマッドクラックが多少見られる。
△:マッドクラックが見られるが、塗装面の縦方向に対して50%未満である。
×:塗装面の縦方向に対して50%以上のマッドクラックが見られる。
(8)耐凍害性の評価
シーラーとしてダイヤナールLX−1010(三菱レイヨン(株)製)を使用した白エナメル塗料(PWC=40%)を用意した。
石膏スラグパーライト板(厚12mm×縦150mm×横70mm)の上に、上記シーラーを塗着量が90〜100g/m(湿潤質量)となるように室温にてスプレー塗装し、130℃で5分間乾燥した。次いで、シーラー層の上に、評価用の白エナメル塗料を塗着量が90〜100g/m(湿潤質量)となるように室温にてスプレー塗装し、130℃で5分間乾燥させ、試験板を作製した。この試験板を1日室温で放置した後、溶剤系の2液硬化型アクリル樹脂を用いて試験板の側面及び背面を、防水機能を有するようにシールした。1日経過後に、凍結融解試験機にて耐凍害性試験を行った。凍結融解試験条件は、−20℃/2時間(空気中)及び20℃/2時間(水中)のサイクル試験とした。
30倍ルーペを用いて試験板にクラックが入るまでのサイクル数を測定し、下記の基準に従って評価した。
◎:300サイクルでクラックなし。
○:200サイクル以上、300サイクル未満でクラックあり。
△:100サイクル以上、200サイクル未満でクラックあり。
×:100サイクル未満でクラックあり。
(9)耐水性の評価
評価用のクリヤー塗料をガラス板に4ミルアプリケータにて塗装し(縦80mm×横80mm)、130℃で5分間強制乾燥した。次いで、室温まで放冷した。その後、50℃の温水にガラス板ごと24時間浸漬し、その後ガラス板を引き上げて更に、室温にて24時間放置して、乾燥した。得られた塗膜外観を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
◎:塗膜の白化は少なく、引き上げ直後は完全に元の透明な塗膜となった。
○:多少塗膜の白化は認められるが、引き上げ後は2〜3時間程度でほぼ元の透明な塗膜となった。
△:多少塗装面の白化が認められ、乾燥24時間後でも少し濁っており、48時間後では辛うじて、元の透明な塗膜となった。
×:かなり塗装面が白化しており、乾燥24時間後もかなり白化したままで、最後まで元の透明な塗膜にならなかった。
(10)耐候性の評価
耐凍害性評価に使用したものと同様に、側面及び背面をシールした試験板を用い、シール1日経過後に、ダイプラ・メタルウェザーKU−R4−W型(ダイプラ・ウィンテス(株)製)にて耐候性試験を行った。このとき、試験サイクルは、照射4時間(噴霧5秒/15分)/結露4時間、UV強度:85mW/cm、ブラックパネル温度:照射時63℃/結露時30℃、湿度:照射時50%RH/結露時96%RH、の条件で、600時間経過後の60°グロスの保持率を耐候性の指標とし、下記の基準に従って評価した。
◎:90%以上。
○:80%以上、90%未満。
△:60%以上、80%未満。
×:60%未満、又は塗膜の剥離・クラックが生じたもの。
[実施例1]
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水103部、アデカリアソープSR−1025((株)ADEKA製、固形分25%)2.12部、エマルゲンE−1150−60S(花王(株)製、固形分60%)0.45部、表1の「単量体(a)」に示す共重合体の構成成分であるラジカル重合性単量体の混合物を仕込んだ。フラスコの内温を50℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム0.15部と脱イオン水1部からなる水溶液を添加し、その直後に亜硫酸水素ナトリウム0.05部と脱イオン水1部からなる水溶液を添加した。発熱ピークを確認した後、内温が80℃になったところで、表1の「単量体(b)」に示す共重合体の構成成分であるラジカル重合性単量体の混合物、脱イオン水25部、アデカリアソープSR−1025(固形分25%)1.88部、エマルゲンE−1150−60S(固形分60%)0.38部を予め乳化分散させたプレエマルション液を内温80℃で1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、内温80℃で1.5時間保持した後、室温まで冷却し、28%アンモニア水0.84部を添加してエマルションの分散液を得た。
得られたエマルションの分散液を用い、エマルション100部に対し造膜助剤CS−12を5部添加し、評価用水性被覆材(白エナメル塗料及びクリヤー塗料)を作製し、各評価を行った。結果を表2に示す。
[参考例2]
最初にフラスコに仕込むアデカリアソープSR−1025の仕込み量を3.2部、エマルゲンE−1150−60Sの仕込み量を0.33部、「単量体(b)」のプレエマルション液作製時のアデカリアソープSR−1025の仕込み量を1.6部、エマルゲンE−1150−60Sの仕込み量を0.17部とした以外は、実施例1と同様にしてエマルションの分散液を得た。
得られたエマルションの分散液を用い、エマルション100部に対し造膜助剤CS−12を5部添加し、評価用水性被覆材(白エナメル塗料及びクリヤー塗料)を作製し、各評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例3]
「単量体(b)」のプレエマルション液作製時のアデカリアソープSR−1025の仕込み量を3.48部、エマルゲンE−1150−60Sの仕込み量を0.75部とした以外は、実施例1と同様にしてエマルションの分散液を得た。
得られたエマルションの分散液を用い、エマルション100部に対し造膜助剤CS−12を5部添加し、評価用水性被覆材(白エナメル塗料及びクリヤー塗料)を作製し、各評価を行った。結果を表2に示す。
[参考例4]
表1に記載の組成の「単量体(a)」を使用する以外は、実施例1と同様にしてエマルションの分散液を得た。
得られたエマルションの分散液を用い、エマルション100部に対し造膜助剤CS−12を5部添加し、評価用水性被覆材(白エナメル塗料及びクリヤー塗料)を作製し、各評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
表1に記載の組成の「単量体(b)」を使用し、28%アンモニア水の添加量を1.68部にした以外は、実施例1と同様にしてエマルションの分散液を得た。
得られたエマルションの分散液を用い、エマルション100部に対し造膜助剤CS−12を5部添加し、評価用水性被覆材(白エナメル塗料及びクリヤー塗料)を作製し、各評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
最初に仕込むフラスコに、ポリオルガノシロキサン重合体(X)の水性分散液(SiEm)11.1部(固形分:2部)を追加した以外は、実施例1と同様にしてエマルションの分散液を得た。
得られたエマルションの分散液を用い、エマルション100部に対し造膜助剤CS−12を5部添加し、評価用水性被覆材(白エナメル塗料及びクリヤー塗料)を作製し、各評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例7]
表1に記載の組成の「単量体(a)」及び「単量体(b)」を使用し、28%アンモニア水添加後に、アジピン酸ジヒドラジド0.7部と脱イオン水1.5部からなる水溶液を添加した以外は、実施例1と同様にしてエマルションの分散液を得た。
得られたエマルションの分散液を用い、エマルション100部に対し造膜助剤CS−12を5部添加し、評価用水性被覆材(白エナメル塗料及びクリヤー塗料)を作製し、各評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例1]
「単量体(b)」のプレエマルション液作製時のアデカリアソープSR−1025の仕込み量を4.88部、エマルゲンE−1150−60Sの仕込み量を0.15部とした以外は、実施例1と同様にしてエマルションの分散液を得た。
得られたエマルションの分散液を用い、エマルション100部に対し造膜助剤CS−12を5部添加し、評価用水性被覆材(白エナメル塗料及びクリヤー塗料)を作製し、各評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例2]
「単量体(b)」のプレエマルション液作製時のアデカリアソープSR−1025の仕込み量を5.88部、エマルゲンE−1150−60Sの仕込み量を1.22部とした以外は、実施例1と同様にしてエマルションの分散液を得た。
得られたエマルションの分散液を用い、エマルション100部に対し造膜助剤CS−12を5部添加し、評価用水性被覆材(白エナメル塗料及びクリヤー塗料)を作製し、各評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例3]
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水93部、表3の「単量体(a)」に示す共重合体の構成成分であるラジカル重合性単量体の混合物、脱イオン水35部、アデカリアソープSR−1025(固形分25%)5.6部、エマルゲンE−1150−60S(固形分60%)1.2部を予め乳化分散させたプレエマルション液の40%を仕込んだ。フラスコの内温を50℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム0.15部と脱イオン水1部からなる水溶液を添加し、その直後に亜硫酸水素ナトリウム0.05部と脱イオン水1部からなる水溶液を添加した。発熱ピークを確認した後、内温が80℃になったところで、残りのプレエマルション液を内温80℃で1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、内温80℃で1.5時間保持した後、室温まで冷却し、28%アンモニア水0.84部を添加してエマルションの分散液を得た。
得られたエマルションの分散液を用い、エマルション100部に対し造膜助剤CS−12を10部添加し、評価用水性被覆材(白エナメル塗料及びクリヤー塗料)を作製し、各評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006102972
Figure 0006102972
Figure 0006102972
なお、表1〜3中の略号は以下の通りである。また、単量体の単独重合体のTgおよび単量体のSP値をカッコ内に示した。
MMA:メチルメタクリレート[Tg:105℃、SP値:20.15(J/cm1/2]、
2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート[Tg:55℃、SP値:24.98(J/cm1/2]、
GMA:グリシジルメタクリレート[Tg:46℃、SP値:20.77(J/cm1/2]、
TAC:トリアリルシアヌレート[Tg:不明、SP値:20〜30(J/cm1/2]、
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート[Tg:83℃、SP値:19.78(J/cm1/2]、
n−BMA:n−ブチルメタクリレート[Tg:20℃、SP値:19.12(J/cm1/2]、
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート[Tg:−55℃、SP値:18.83(J/cm1/2]、
KBM−502:γ―メタクリロイルオキシプロピルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製)[Tg:不明、SP値:20(J/cm1/2未満]、
AA:アクリル酸[Tg:106℃、SP値:25.70(J/cm1/2]、
DAAM:ジアセトンアクリルアミド[Tg:65℃、SP値:20〜30(J/cm1/2]、
アデカリアソープSR−1025:反応性アニオン性界面活性剤(固形分25%)(商品名、(株)ADEKA製))、
エマルゲンE−1150−60S:ノニオン性界面活性剤(固形分60%)(商品名、花王(株)製))、
ADH:アジピン酸ジヒドラジド。
表1、2の結果から明らかなように、各実施例で得られたエマルションを含む塗料より形成される塗膜は、耐ブロッキング性、耐マッドクラック性、耐凍害性、耐水性、耐候性の全ての性能をかね備えていた。
これに対して、表3の結果から明らかなように、アニオン性界面活性剤(I)とノニオン性界面活性剤(II)の質量比が1.75:0.36である比較例1で得られたエマルションを含む塗料より形成される塗膜は、耐マッドクラック性に劣っていた。
アニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の総量が、エチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との合計質量100質量部に対し、3質量部である比較例2で得られたエマルションを含む塗料より形成される塗膜は、耐マッドクラック性に著しく劣っていた。また、耐水性や耐候性にも劣っていた。
重合体(A)を形成した後に、重合体(B)を形成しなかった比較例3で得られたエマルションを含む塗料より形成される塗膜は、耐ブロッキング性(特に、低温乾燥の場合)、耐マッドクラック性、及び耐凍害性に劣っていた。
以上のように、各比較例で得られたエマルションを含む塗料より形成される塗膜は、耐ブロッキング性、耐マッドクラック性、耐凍害性、耐水性、耐候性の物性バランスに劣っていた。
このように、本発明によれば、特定の界面活性剤を特定の比率及び特定の質量部で乳化重合することにより異層構造を有するエマルション製造するので、耐ブロッキング性、耐凍害性、耐水性、耐マッドクラック性及び耐候性に優れた塗膜を形成する水性被覆材を提供することができる。
本発明のエマルションの製造方法により得られるエマルションを含む水性被覆材は、工業上極めて有用なものであり、例えば金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、アスファルト、スレート、木材、ALC、サイディングボード、防水ゴム材、押出成形板、プラスチック等の各種素材の表面仕上げ等に使用することができ、主に建築物、土木構造物等の躯体保護に使用する水性被覆材として極めて有用である。

Claims (3)

  1. アニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の存在下で、エチレン性不飽和単量体(a)を1段以上で乳化重合して重合体(A)を形成し、その後に、エチレン性不飽和単量体(a)とは組成の異なるエチレン性不飽和単量体(b)を加え、乳化重合して重合体(B)を形成するエマルションの製造方法であって、
    前記アニオン性界面活性剤(I)と前記ノニオン性界面活性剤(II)の質量比が、(I):(II)=3:1〜1:4であり、且つアニオン性界面活性剤(I)及びノニオン性界面活性剤(II)の総量が、前記乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との合計質量100質量部に対し、0.5〜1.5質量部であり、
    前記エチレン性不飽和単量体(a)は、溶解性パラメータ(SP値)が20〜30(J/cm1/2のエチレン性不飽和単量体(c)を75〜100質量%含み、
    前記エチレン性不飽和単量体(b)は、前記エチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)の合計を100質量%としたときにエチレン性不飽和カルボン酸を0.1〜1.5質量%含有し、
    前記重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が70〜110℃であり、
    前記重合体(B)のガラス転移温度(Tg)と前記エマルションの最低造膜温度(MFT)の関係が、(エマルションのMFT)≦(重合体(B)のTg+20℃)であるエマルションの製造方法。
  2. 前記エチレン性不飽和単量体(c)は少なくともメチルメタクリレートを含み、該メチルメタクリレートの含有量が、前記乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との合計質量を基準として、30質量%以上である請求項1に記載のエマルションの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のエマルションの製造方法の工程を有する、水性被覆材の製造方法
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