JP6102671B2 - 反応容器のショートパス検知方法およびショートパス検知装置 - Google Patents
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Description
まず、ニッケルマットなどの原料を粉砕工程において粉砕した後、後述の電解廃液と混合してマットスラリーとし、その大部分をセメンテーション工程に供給する。セメンテーション工程には塩素浸出工程で得られた浸出液が供給されており、この浸出液中に含まれる銅がマット中のニッケルと置換反応を起こして、硫化銅として析出する。そして、析出した硫化銅をセメンテーション残渣とともに分離し、塩素浸出工程に供給する。
第2発明の反応容器のショートパス検知方法は、第1発明において、前記トレーサーは塩化リチウムであり、前記トレーサーの添加量W[kg]は、前記反応容器の実容積をV[m3]としたときに、以下の式を満たす
W≧0.1×V
ことを特徴とする。
第3発明の反応容器のショートパス検知装置は、反応液が連続して流入、流出する反応容器において該反応液のショートパスを検知する装置であって、前記反応容器にトレーサーを添加するトレーサー添加器と、前記反応容器から流出した前記反応液のトレーサー濃度を時系列で測定する濃度測定器と、前記濃度測定器の測定結果が入力されるコンピュータと、を備え前記コンピュータは、前記反応容器内の流体の流れを完全混合流れと仮定して、時系列のトレーサー濃度から該反応容器の有効容積を求め、前記有効容積が容積閾値を下回り、かつ、前記トレーサー濃度の初期濃度が濃度閾値を超える場合に、前記反応液の対流不良によるショートパスと判断し、前記有効容積が容積閾値を下回り、かつ、前記トレーサー濃度の初期濃度が濃度閾値を超えない場合に、前記反応容器内の堆積物によるショートパスと判断することを特徴とする。
第2発明によれば、反応液のトレーサー濃度が低くなりすぎないので、一般的な濃度測定器でもトレーサー濃度を精度よく測定でき、精度よく有効容積を求めることができる。その結果、精度よくショートパスを検知できる。
第3発明によれば、反応容器の有効容積を指標としてショートパスを検知するので、精度よくショートパスを検知できる。また、ショートパスの検知を自動化できるので、ショートパスの発生を早期に検知できる。また、ショートパスの原因が反応液の対流不良であるか、反応容器内の堆積物であるかが分かるので、ショートパスを解消するために適切な対応をとることができる。
本発明の一実施形態に係るショートパス検知方法は、硫化物から目的金属を回収する湿式製錬プロセスにおける塩素浸出工程の浸出槽に用いられる。湿式製錬プロセスは、原料に含まれる目的金属を塩素浸出する塩素浸出工程と、塩素浸出工程の後工程であり、塩素浸出工程で得られた浸出液から電解採取により目的金属を回収する電解工程とを有する。湿式製錬プロセスの詳細は前述の通りであるので省略する(図4参照)。
まず、塩素浸出工程の浸出槽について説明する。
図1に示すように、塩素浸出工程の設備には浸出槽1が備えられている。浸出槽1には、原料(マットスラリー、MS、およびセメンテーション残渣)を含むスラリーが供給されている。浸出槽1には、塩素吹込管11と撹拌機12が備えられている。塩素吹込管11の開口端は浸出槽1の底付近に配置されており、スラリーに塩素ガスを吹きこむことができるようになっている。撹拌機12は、モータと、そのモータの駆動により回転する攪拌羽根とから構成されており、浸出槽1内のスラリーを攪拌できるようになっている。
つぎに、本実施形態に係るショートパス検知方法を説明する。
本実施形態のショートパス検知方法は、上記浸出槽1においてスラリーのショートパスを検知する方法である。ここで、ショートパスとは、スラリーが浸出槽1内でほとんど滞留せずに排出される現象を意味する。ショートパスは、浸出槽1内のスラリーの対流不良に起因する場合と、浸出槽1内に堆積物が溜まり浸出槽1の容積が実質的に減少することに起因する場合とがある。
まず、浸出槽1にトレーサーを添加する。トレーサーはスラリーが供給される供給口13から添加すればよい。また、トレーサーは所定量を一度に短時間で添加する。
つぎに、オーバーフロー口14から流出したスラリーのトレーサー濃度を時系列で測定する。浸出槽1に添加されたトレーサーは、浸出槽1内でスラリーと混合された後、オーバーフロー口14から流出する。この流出したスラリーのトレーサー濃度を測定するのである。ここで、「時系列で測定」とは、トレーサー濃度の時間変化が分かるように測定することを意味する。トレーサー濃度を断続的に(所定時間間隔で)測定してもよいし、連続的に測定してもよい。トレーサー濃度の測定方法は特に限定されないが、例えば蛍光X線法や、ICP−mass法が用いられる。
つぎに、浸出槽1内の流体の流れを完全混合流れと仮定して、時系列のトレーサー濃度から浸出槽1の有効容積を求める。
つぎに、求められた有効容積Veが、予め定められた容積閾値Vtを下回るか否かを判断し、容積閾値Vtを下回る場合に浸出槽1においてスラリーのショートパスが発生していると判断する。ここで、容積閾値Vtは、例えば浸出槽1の実容積Vaと同じ値、または若干小さい値として定められる。なお、実容積Vaは、浸出槽1の形状(底面積や液位等)から求められる容積である。
本実施形態に係るショートパス検知方法は、前述のような操業中におけるショートパスの検知以外にも、反応容器の設計変更の効果確認にも用いることができる。前述のごとく、浸出槽1は浸出効率を高くするため、スラリーの滞留時間が最適になるように設計される。設計段階においては、シミュレーションによりスラリーの滞留時間を評価し、その結果をもとに設計を見直すことが行われる。
つぎに、本発明の一実施形態に係るショートパス検知装置を説明する。
図3に示すように、本実施形態に係るショートパス検知装置2は、塩素浸出工程の浸出槽1に設けられ、浸出槽1におけるスラリーのショートパスを検知する装置である。
まず、コンピュータ23は、バルブ21cを所定の開度で所定の時間開き、所定量のトレーサーを浸出槽1に添加する。
つぎに、濃度測定器22でオーバーフロー口14から流出したスラリーのトレーサー濃度を時系列で測定する。
濃度測定器22から測定結果が入力されたコンピュータ23は、浸出槽1内の流体の流れを完全混合流れと仮定して、時系列のトレーサー濃度から浸出槽1の有効容積Veを求める。
そして、コンピュータ23は、求められた有効容積Veが容積閾値Vtを下回るか否かを判断し、容積閾値Vtを下回る場合に浸出槽1においてスラリーのショートパスが発生していると判断する。ショートパスが発生していると判断された場合には、警報器24を動作させ、ショートパスの発生を警報する。
上記実施形態では、湿式製錬プロセスにおける塩素浸出工程の浸出槽においてスラリーのショートカットを検出したが、他の反応容器および反応液の場合にも本発明を適用できる。
(共通の条件)
まず、実施例1、2および比較例1における共通の条件を説明する。
・浸出槽
浸出槽として円筒形の槽を用いた。浸出槽の実容積は30m3である。浸出槽には塩素吹込管が設けられており、浸出槽の底付近から塩素ガスを吹き込み可能となっている。また、浸出槽の中心に撹拌軸が位置するように撹拌機が設けられている。
・スラリー
浸出槽に供給するスラリーは、マットスラリー、MS、およびセメンテーション残渣の混合スラリーである。MSのニッケル量は0〜4t/hour、セメンテーション残渣のニッケル量は0〜1t/hourである。浸出槽に供給するスラリーの流量を5〜14m3/hourとした。スラリーの温度は50℃〜120℃、酸化還元電位は350〜600mV(銀−塩化銀電極)とした。
・トレーサー
トレーサーとして塩化リチウムを用いた。塩化リチウム3.0kgを用いて濃度0.5kg/Lの水溶液(6L)を調整した。
上記浸出槽で塩素浸出を行った。トレーサーを浸出槽の供給口から3秒で添加し、オーバーフロー口から排出されたスラリーのトレーサー濃度を測定した。測定は、トレーサーの添加後1分間に5点、1分経過時から1時間経過時までに5点、1時間経過時から8時間経過時までに4点行った。
実施例1とは別の浸出槽で塩素浸出を行った。トレーサーを浸出槽の供給口から3秒で添加した、オーバーフロー口から排出されたスラリーのトレーサー濃度を測定した。トレーサー濃度の測定結果を数2でフィッティングして求めた有効容積Veは30m3であった。実容積30m3との差がないため、この浸出槽においてはショートパスが発生していないと判断した。
実施例1、2とは別の浸出槽で塩素浸出を行った。ただし、ショートパスの検知は行わなかった。攪拌翼の改良を行わなかったため、実施例1に比べて浸出率が低いままであった。
11 塩素吹込管
12 撹拌機
13 供給口
14 オーバーフロー口
2 ショートパス検知装置
21 トレーサー添加器
21a タンク
21b 配管
21c バルブ
22 濃度測定器
23 コンピュータ
24 警報器
Claims (3)
- 反応液が連続して流入、流出する反応容器において該反応液のショートパスを検知する方法であって、
前記反応容器にトレーサーを添加し、
前記反応容器から流出した前記反応液のトレーサー濃度を時系列で測定し、
前記反応容器内の流体の流れを完全混合流れと仮定して、時系列のトレーサー濃度から該反応容器の有効容積を求め、
前記有効容積が容積閾値を下回り、かつ、前記トレーサー濃度の初期濃度が濃度閾値を超える場合に、前記反応液の対流不良によるショートパスと判断し、
前記有効容積が容積閾値を下回り、かつ、前記トレーサー濃度の初期濃度が濃度閾値を超えない場合に、前記反応容器内の堆積物によるショートパスと判断する
ことを特徴とする反応容器のショートパス検知方法。 - 前記トレーサーは塩化リチウムであり、
前記トレーサーの添加量W[kg]は、前記反応容器の実容積をV[m3]としたときに、以下の式を満たす
W≧0.1×V
ことを特徴とする請求項1記載の反応容器のショートパス検知方法。 - 反応液が連続して流入、流出する反応容器において該反応液のショートパスを検知する装置であって、
前記反応容器にトレーサーを添加するトレーサー添加器と、
前記反応容器から流出した前記反応液のトレーサー濃度を時系列で測定する濃度測定器と、
前記濃度測定器の測定結果が入力されるコンピュータと、を備え
前記コンピュータは、
前記反応容器内の流体の流れを完全混合流れと仮定して、時系列のトレーサー濃度から該反応容器の有効容積を求め、
前記有効容積が容積閾値を下回り、かつ、前記トレーサー濃度の初期濃度が濃度閾値を超える場合に、前記反応液の対流不良によるショートパスと判断し、
前記有効容積が容積閾値を下回り、かつ、前記トレーサー濃度の初期濃度が濃度閾値を超えない場合に、前記反応容器内の堆積物によるショートパスと判断する
ことを特徴とする反応容器のショートパス検知装置。
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