JP6100106B2 - トナー - Google Patents
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Description
装置の小型化の観点では、各部材の容積を小さくすることが重要である。一成分現像方式では、トナー担持体(以下、現像スリーブともいう)を用いてトナーを現像領域に搬送し、現像する。また、トナーへの電荷付与は、主としてトナー規制部材(以下、現像ブレードともいう)によってトナーが規制された領域において、トナーと現像スリーブ等の摩擦帯電付与部材との摺擦による摩擦帯電によって行なわれる。特に装置の小型化という点においては、現像スリーブの小径化が重要な技術となっている。
長寿命化の観点では、トナーの充填量を増やすこと及び、印字一枚当たりのトナーの消費量を低減させることが重要であるが、耐久使用後半におけるトナーの劣化を抑制する技術、及び、劣化したトナーでも十分な画質を得られる技術の創出が必要となってくる。
上述の現像スリーブの小径化と組み合わせると、様々な技術的な課題が生じてしまうことが分かっている。そのうちの一つが、高温高湿環境において、耐久使用の後半において、現像効率が著しく低下し、画像全面が抜ける「白抜け」及び、現像スリーブ2周目の濃度が低下する「ネガゴースト」という問題がある。(以下それぞれ、「白抜け」、及び「ゴースト」と呼ぶ)
この白抜け及びゴーストは、トナーが劣化した際に、トナーの流動性が低下し、トナー全体の循環及び現像ブレードの摺擦が行われる領域(以下、ブレードニップと呼ぶ)でのトナーの入れ替わりが適正に行われないことが原因となっている。磁性一成分現像方式では、現像スリーブに含まれる磁気ローラーによって、トナーを現像スリーブに引きつけ、搬送している。特に、磁性一成分現像方式において現像スリーブを小径化した際には、磁気ローラーも付随して小径化する必要があるため、磁気力が弱まる。このため、トナーを引きつけ、搬送する力が弱まり、トナーカートリッジ(CRG)内におけるトナーの循環性が悪化する。また、トナー全体が適正に摩擦帯電されるには、ブレードニップ内において現像スリーブまたは現像ブレードに接しているトナーが、接していないトナーと入れ替わるという、ブレードニップ内におけるトナーの循環性が必要となる。しかし、劣化したトナーは循環性が悪く、トナーの流動性が低下している。このため、ブレードニップにおいて、トナーの入れ替わりが起きにくくなるため、同じトナーが摺擦を何度も受けることによって、チャージアップしたトナーが生じる。このため、耐久使用後半においてはチャージアップしたトナーが、現像スリーブ1周目よりも2周目以降で増加することによって、濃度に濃淡差が生じる「ゴースト」が発生する。さらに、耐久使用後半に進むにつれてチャージアップしたトナーが増加することにより、現像効率を低下させ、画像全面が抜ける「白抜け」が発生する。
トナーの流動性向上のために、これまでに多くの研究がなされてきている。
特許文献1では、疎水性の異なる2種類のシリカを外添し、高温高湿環境における画像弊害への効果を言及している。
特許文献2では、疎水性の高いシリカ微粒子を外添し、高温高湿環境における現像性への効果を言及している。
一方、シリカ以外の外添剤をトナー粒子に付着させる研究も多くなされてきている。
特許文献3では、シリカ以外の大粒径の樹脂粒子等を添加し、流動性を改善させることで長期使用にも耐えうる技術を提案している。
しかし、上述のゴースト及び白抜け問題は、装置の小型化及び長寿命化が進むにつれて、さらに厳しくなることが予想され、今後も課題として存在しうると考えられる。このよ
うな背景によって、従来の技術をもってしても課題解決には及ばず、依然と改善の余地がある。
具体的には、高温高湿環境においても長期間に渡って、現像スリーブ2周目の画像濃度が低下する「ゴースト」、及び画像全面が抜ける「白抜け」を抑制することができる磁性トナーを提供することにある。
結着樹脂及び磁性体を含有する磁性トナー粒子と、無機微粒子とを含有する磁性トナーであって、
該無機微粒子がシリカ微粒子であり、
該磁性トナーの見掛け密度をB(g/cm3)とし、真密度をA(g/cm3)とし、見掛け密度を測定した状態から30回タッピングして測定されたタップ密度をP(g/cm3)としたときに、B/Aが0.39以上、0.47以下であり、
下記式(1)から得られる初期密度変化率が14.0以上、18.0以下であり、
該磁性トナーの、回転式プロペラ型ブレードを備えた粉体流動性測定装置により測定される、[Total Energy量(mJ)/トナーの密度(g/ml)]が、200mJ/(g/ml)以上、300mJ/(g/ml)以下であることを特徴とする磁性トナー。
(式1)初期密度変化率={1−(B/P)}×100
結着樹脂及び磁性体を含有する磁性トナー粒子と、無機微粒子とを含有する磁性トナーであって、
該無機微粒子がシリカ微粒子であり、
該磁性トナーの見掛け密度をB(g/cm3)とし、真密度をA(g/cm3)とし、見掛け密度を測定した状態から30回タッピングして測定されたタップ密度をP(g/cm3)としたときに、B/Aが0.39以上、0.47以下であり、
下記式(1)から得られる初期密度変化率が14.0以上、18.0以下であり、
該磁性トナーの、回転式プロペラ型ブレードを備えた粉体流動性測定装置により測定される、[Total Energy量(mJ)/トナーの密度(g/ml)]が、200mJ/(g/ml)以上、300mJ/(g/ml)以下であることを特徴とする磁性トナー。
(式1)初期密度変化率={1−(B/P)}×100
ここで、高温高湿環境において起こる「ゴースト」及び「白抜け」は以下の原因により発生すると考えている。
高温高湿環境において耐久使用を進めるにつれ、トナーはブレードニップにおける摺擦や他の部材によりストレスを受けることにより、トナーの外添剤が埋め込まれてトナーが劣化し、十分な流動性を確保できなくなる。この状態で耐久使用を継続するとブレードニップにおいてトナーの入れ替わりが起きにくくなることにより、同じトナーが現像ブレードの摺擦を何度も受け、チャージアップしたトナーが生じる。このような状態で現像すると、現像効率が著しく低下し、画像全面が抜ける「白抜け」が発生する。さらに、トナーの充填量を増やし印字枚数を増加(長寿命化)した場合は、トナーの劣化が激しくなる。
一方、現像スリーブを小径化した場合は、現像スリーブに含まれる磁気ローラーも小径化する必要があるため、磁気力が弱まり、トナーカートリッジ(CRG)内におけるトナーの循環性が悪化する。トナーの循環性が悪化したCRG内では、ブレードニップ近傍の摩擦熱によって温められたトナーとその他の場所のトナーが衝突することにより、ブレードニップ入口にトナーの凝集塊ができる。このブレードニップ入口にトナーの凝集塊ができることで、ブレードニップにおけるトナーの入れ替わりが一層抑制される。以上のことから、耐久使用後半ではブレードニップにおいて同じトナーが摺擦を何度も受けることになり、チャージアップしたトナーが生じる。そして、チャージアップしたトナーが蓄積することにより、現像効率が著しく低下し、耐久使用後半に「白抜け」が起こる。また、「白抜け」が起こる前の現象として、ブレードニップにチャージアップしたトナーが蓄積してくると、現像スリーブ上でのトナーの入れ替わりが少なくなるため、現像スリーブ1周目から2周目でトナーの載り量が減少する。このため、現像スリーブ1周目と2周目で濃度の濃淡差が生じる「ゴースト」が発生する。
(1)耐久使用を進めても、外添剤がトナー粒子へ埋め込まれにくいこと。(トナーの劣化の抑制)
(2)トナーが劣化した状態でも、ブレードニップにおけるトナーの入れ替わりが起こること。
特に、(2)を解決するためには、次の3点が重要である。
(2−1)トナーの循環性
これは、磁気ローラーの磁気力に起因したトナーの循環性を示す。
(2−2)トナーの供給容易性
これは、トナーがブレードニップにおいて、流動状態から圧密状態へと変化しやすいことを示す。
(2−3)圧密状態からのトナーのほぐれ易さ
これは、ブレードニップにおける圧密状態からのトナーのほぐれやすさを示し、現像ブレードによってトナーの帯電性が維持されることを示す。
これらを同時に解決することで、高温高湿環境においても長期間に渡って、ゴースト及び白抜けを抑制できることを本発明者らは見出した。特に、後述の「見掛け密度/真密度、初期密度変化率、及びトータルエナジー(Total Energy[TEと略記する])」と、「ブレードニップにおけるトナーの入れ替わり」の間に相関関係を見出し、本発明に至った。
本発明の磁性トナーは、トナーの循環性、及びブレードニップにおけるトナーの入れ替わりを以下のように規定している。
本発明の磁性トナーは、磁性トナー粒子と、無機微粒子とを含有し、該無機微粒子がシリカ微粒子であり、該磁性トナーの見掛け密度をB(g/cm3)とし、真密度をA(g/cm3)としたときに、BのAに対する比[B/A]が0.39以上、0.47以下であり、0.41以上、0.45以下であることが好ましい。
上述の範囲にB/Aを制御することで、トナーが圧密状態からほぐれた時のトナーの見掛け密度がトナーの真密度に対して小さく、トナーの循環性を本発明で必要な範囲に制御できる。B/Aが小さいトナーということは、圧密状態からほぐれた時にトナー一粒一粒にまでほぐされて、トナーが空気を噛みこんで体積が大きくなることを示している。空気を噛みこんだトナーは、隣接するトナーとの接触を減らすことができるため、トナー間で働く付着力を低減させることができる。これにより、高温高湿環境下においてトナーが劣化した場合でも、トナーの循環性を高めることができる。
トナーの見掛け密度は、トナーが含有するシリカ微粒子の量及び種類、トナー粒子の粒径及び円形度を調節することにより上記範囲に制御することができ、いずれの方法によって達成してもよい。B/Aが0.39以上、0.47以下の場合、トナーの循環性が高いため、高温高湿環境下であってトナー残量が少ない状況でも磁気ローラーの磁気力によってトナーが循環し、ブレードニップ近傍にもトナーが供給される。
すなわち、上記(2−1)の効果を得ることができる。特に、小径の現像スリーブを搭載すると、磁気ローラーの磁気力が低下することによって、トナーの循環性が悪化する。そのような条件下であっても、B/Aを本発明の範囲内に制御することにより、本発明の効果を得ることができる。
B/Aが0.47よりも大きい場合、トナーの見掛け密度がトナーの真密度に対して相対的に大きくなる。B/Aを0.47よりも大きくするためには、トナー粒子の円形度を大きくしたトナー粒子を用いて見掛け密度を大きくするか、磁性体量を減らすなどしてトナーの真密度を小さくする必要がある。しかし、トナー粒子の円形度を大きくすることで見掛け密度を大きくした場合、トナー粒子の充填率が高くなりトナーとしてはパッキングされ易くなるため、トナーの循環性が弱まり、(2−1)の効果を発揮できない。また、磁性体量を大幅に減らした場合は、磁気ローラーの磁気力によるトナー循環が弱くなるために、(2−1)の効果を発揮できない。これにより、高温高湿環境の耐久使用後半ではブレードニップ近傍にトナーが供給されず、結果としてゴーストや白抜けを引き起こしてしまう。
一方、B/Aが0.39よりも小さい場合、トナーの見掛け密度がトナーの真密度に対して相対的に小さくなる。B/Aを0.39よりも小さくするためには、トナー粒子の円形度やシリカ微粒子の粒径を小さくすることでトナーの見掛け密度を小さくするか、磁性体量を増やすなどしてトナーの真密度を大きくする必要がある。しかし、シリカ微粒子の粒径やトナー粒子の円形度を小さくすることで見掛け密度を小さくした場合、トナー間の接触面積が増加することにより、トナー間付着力が増大し、トナーの循環性が弱まり、(
2−1)の効果を発揮できない。また、磁性体量を増やすなどをして真密度を大きくした場合、トナー一粒辺りの重量が大きくなるために、トナーの循環性が低下し、(2−1)の効果を発揮できない。これにより、高温高湿環境の耐久使用後半ではブレードニップ近傍にトナーが供給されず、結果としてゴーストや白抜けを引き起こしてしまう。
(式1)初期密度変化率=(1−B/P)×100
上述の範囲に初期密度変化率を制御することによって、磁性トナーのブレードニップへの供給量を適正な範囲に制御することができる。初期密度変化率が大きいトナーというのは、タッピングによる密度変化が大きいトナーのことである。タッピングによる密度変化が大きいトナーというのは、振動によりトナーが圧密状態へと変化しやすいことを意味する。このため、ブレードニップにおいて、現像スリーブと現像ブレードの摺擦により起こる振動により、トナーが圧縮される。つまり、初期密度変化率を大きくすることで、ブレードニップにおけるトナーの密度変化を大きくし、圧密状態を維持できる。この効果発現のメカニズムの詳細は分かっていないが、発明者らは以下のように推測している。
まず、本発明で規定している、トナーの見掛け密度を測定した状態から30回タッピングして測定されたタップ密度は、従来のJIS K5101のタップ密度と比較して、トナー表面におけるシリカ微粒子の付着状態を表現しやすい。なぜなら、600回タップする従来のタップ密度では、タッピングの振動によってトナーの充填率が徐々に最適化されて、トナー表面におけるシリカ微粒子の付着状態に起因する密度変化が測定できなくなる。
このため、従来のタップ密度では、トナー表面におけるシリカ微粒子の付着又は被覆状態、及び、該シリカ微粒子によって付与されるトナーの流動性までを検出することができない。本発明で規定した、トナーの見掛け密度を測定した状態から30回タッピングして測定されたタップ密度に対する見掛け密度の割合[すなわち、上記B/P]は、シリカ微粒子の付着又は被覆状態、及び、該シリカ微粒子が付与するトナーの流動性までを考慮した、ブレードニップ近傍におけるトナーの密度変化を表すことができる。高温高湿環境におけるブレードニップ近傍のトナーはシリカ微粒子の埋め込みによって劣化しており、流動性が大きく低下している。このため、初期密度変化率が大きいトナーを用いることにより、シリカ微粒子が埋め込まれた状態においても、ブレードニップにおいてトナーの密度変化が大きいため、圧密状態を維持することができる。
本発明で規定する初期密度変化率が14.0以上、18.0以下の範囲に入る磁性トナーは、トナーの見掛け密度を測定した状態から30回タッピングして測定されたタップ密度に対する見掛け密度の割合が小さいトナーのことである。この範囲に初期密度変化率を制御することにより、高温高湿環境下においてトナーが劣化した条件下においても、現像に必要なトナーをブレードニップに供給することができる。このため、(2−2)の効果を得ることができる。
初期密度変化率が14.0未満の場合、トナーの見掛け密度を測定した状態から30回タッピングして測定されたタップ密度に対する見掛け密度の割合が大きいため、ブレードニップにおいて圧密状態を維持することができない。これにより、同じトナーが現像ブレードの摺擦を複数回受けることにより、チャージアップしたトナーが生じる。その結果、高温高湿環境ではブレードニップ近傍にトナーが供給されず、ゴーストや白抜けを引き起こしてしまう。
本発明において、上記初期密度変化率は、トナーの真密度、トナーの形状、シリカ微粒子の種類と量、及びその付着状態などを制御することにより、上記範囲に調整することが可能である。
まず、磁性トナーの磁性体量を減らすなどして、トナーの真密度を低く設定することで
、見掛け密度とタッピング時の密度の変化を大きくする方法が考えられる。しかし、磁性トナーの真密度が1.50未満である場合、初期密度変化率は上昇するものの、現像性が低下し、画像濃度を低下させる傾向にある。このため、電子写真の現像剤として弊害が大きい。
また、トナーの形状として、平均円形度が0.960未満である場合、シリカ微粒子の外添状態を制御しても初期密度変化率を上記範囲内に調整しにくい傾向にある。トナーが凹凸の多い形状の場合、トナー粒子間の摩擦抵抗が大きくなるために、タッピング時の密度変化が抑制されると考えられる。そのため、上記範囲を達成するためには平均円形度が0.960以上の円形度の高いトナーであることが好ましい。本発明においてトナーの平均円形度は、0.970以上であることがより好ましい。さらに、トナーの平均円形度が0.960以上の場合であって、トナーに適切な外添剤を適切な条件で被覆させることが好ましい。
一例としては、外添剤としてシリカ微粒子を使用し、比較的多量に添加する方法が考えられる。しかし、この場合初期密度変化率は上昇するものの、低温定着性が低下する場合、遊離したシリカ微粒子が増加することによる部材汚染などが発生する場合、があるため、電子写真の現像剤として弊害が多い。
そこで、本発明者らはシリカ微粒子を多量に外添するのではなく、シリカ微粒子の凝集状態と被覆状態を制御することで、現像剤として他の性能に影響を及ぼさないシリカ微粒子量で、初期密度変化率を上記範囲内に制御することが好適と考えている。
例えば、シリカ微粒子の外添混合処理条件の一形態として、図4に示す外添装置の駆動部8の動力を、0.06W/g以上、0.15W/g以下の弱い条件で外添した後、0.20W/g以上、2.0W/g以下の強い条件で外添する2段階外添が挙げられる。図4に示す外添装置は狭いクリアランス部において、トナー粒子同士の衝突回数を多くすることができるため、衝突によりシリカ微粒子に加える力を大きくすることができる。この効果により、図4に示す外添装置はシリカ微粒子を二次粒子から一次粒子へとほぐし、トナーの被覆率を高めることができる。さらに、1段外添と比較して上記外添条件の2段外添は弱い条件でシリカ微粒子を拡散させ、強い条件でシリカ微粒子をほぐし、一定量のシリカ微粒子をトナー粒子表面に効率的に付着させることができる。このため、シリカ微粒子を多量外添することなく、初期密度変化率を上記の範囲に制御することができる。
本発明者らは、[TE/密度]を上述の範囲に制御することによって、ブレードニップにおける磁性トナーのほぐれやすさを制御できることを見出した。本発明における[TE/密度]は以下の測定方法に示すようにトナーの圧密状態をほぐすのに必要な力を表している。ブレードニップにおいては、トナーの圧密状態を現像ブレードがほぐしている。このため、[TE/密度]が上述の範囲に入っているトナーは、圧密状態からほぐしやすく、現像ブレードによるトナーのほぐしを均一に行うことができる。すなわち、(2−3)の効果を得ることができる。
[TE/密度]が、300mJ/(g/ml)よりも大きい場合、圧密状態からトナーがほぐれるのに必要な力が大きいため、現像ブレードの摺擦によってトナーを十分ほぐすことができず、現像スリーブ上の載り量にムラができる。このため、現像できなかった同じトナーが現像ブレードとの摺擦を何度も受けることによってチャージアップしたトナーが生じる。
本発明の磁性トナーは耐久使用中のシリカ微粒子の埋め込まれやすさを以下のように規定している。シリカ微粒子の埋め込みは、トナー劣化に伴って起こる。本発明者らは、本発明で規定する「TE/密度」と「シリカ微粒子の埋め込み状態」の間に相関関係があることを見出した。その理由として、本発明者らは以下のように推測している。
本発明の範囲に[TE/密度]を制御するためには、達成方法の(A)乃至(C)のいずれかによる方法を採ることが考えられる。(A)乃至(C)の方法は、単独で行ってもよいが、複数組み合わせることによって達成してもよい。
(A)磁性トナーの粒度分布を適正化し、微粉及び粗粉量を適正化してパッキング性を制御する方法
(B)磁性トナー粒子の形状(平均円形度)及び表面平滑性を高め、トナー粒子間の接触面積を減少させる方法
(C)磁性トナー表面に、表面エネルギー、疎水化度、及び粒径などを適正化した有機及び/または無機微粒子の複数種を付着させる方法
(A)は磁性トナー粒子の粒度分布をシャープにすることにより、[TE/密度]が低減可能である。粒度分布をシャープにすることにより、トナー粒子間のシリカ微粒子の付着状態のムラを無くし、圧密状態からほぐれる時のトナー粒子の引っかかりをなくすことができる。結果として、現像ブレードの摺擦を受けるブレードニップ部において、トナー粒子間の摩擦係数を低減し、耐久使用後半におけるシリカ微粒子の埋め込みが抑制できる。(B)は磁性トナー粒子の平均円形度を高めることにより、[TE/密度]が低減可能である。平均円形度を高めることにより、トナー粒子間の接触面積を減少させることにより、圧密状態において働くトナー粒子間の付着力を低減することができる。その結果、トナー粒子の接触によって生じる摩擦係数を低減し、シリカ微粒子の埋め込みが抑制できる。(C)は磁性トナー粒子表面に無機微粒子を適切に付着させることにより、[TE/密度]が低減可能である。流動性の高い無機微粒子をトナーに付着させることにより、圧密状態からほぐれる時のトナーの流動性を高めることができる。その結果、トナーの圧密状態時に受けるトナーの摩擦を流動性の高いシリカによって低減することができるため、シリカ微粒子の埋め込みが抑制できる。
以上、(A)、(B)、及び(C)のいずれの方法を採用しても、[TE/密度]を低減可能であり、かつ、シリカ微粒子の埋め込み抑制につながっている。そして、本発明の磁性トナーは、[TE/密度]を200mJ/(g/ml)以上、300mJ/(g/ml)以下の範囲に制御することにより、高温高湿環境においてシリカ微粒子がトナー粒子表面に埋没してしまい、トナーの流動性が低下する現象を抑制することができる。すなわち、(1)の効果を得ることができる。
上述(1)及び(2)の「耐久使用を進めても、外添剤がトナー粒子へ埋め込まれにくいこと」、「トナーが劣化した状態でも、ブレードニップにおけるトナーの入れ替わりが起こること」の2つの相乗効果によって、初めて高温高湿環境下においても長期間に渡ってゴースト及び白抜けを解決することができるものと、本発明者らは考えている。
また、79.6kA/mを印加したときの磁気特性として、抗磁力(Hc)は1.6乃至12.0kA/mであることが好ましく、磁化の強さ(σs)は30乃至90Am2/
kgであることが好ましく、残留磁化(σr)は1乃至10Am2/kgであることが好ましい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、4.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10.0質量部以上25.0質量部以下である。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、磁性トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
本発明の磁性トナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
荷電制御剤の配合量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、0.3質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上8.0質量部以下である。
本発明に用いられるシリカ微粒子の一態様としては、シリカ原体をシリコーンオイルによって疎水化処理することで製造されたものが好ましく例示できる。
本発明に用いられるシリカ微粒子の他の一態様としては、シリカ原体をシリコーンオイル、並びに、シラン化合物及び/またはシラザン化合物によって疎水化処理することで製造されたものが好ましく例示できる。
疎水化処理の程度は、高温高湿環境における帯電性の低下の抑制という観点から、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。
上記シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
上記シリカ微粒子に用いられるシリコーンオイルの25℃における動粘度は、30cSt以上500cSt以下であることが好ましい。動粘度が上記範囲の場合、シリカ原体をシリコーンオイルで疎水化処理する際に、均一性を制御しやすくなる。さらに、シリコーンオイルの動粘度は、シリコーンオイルの分子鎖長に密接に関係しているため、分子末端の数に影響する。動粘度が上述の範囲にあると、シリカ微粒子の凝集度の悪化が少なく、好ましい。シリコーンオイルの25℃における粘度のより好ましい範囲は、40cSt以上300cSt以下である。シリコーンオイルの粘度を測定する装置としては、細管式動粘度計(蕪木科学器械工業(株)製)又は全自動微量動粘度計(ビスコテック(株)製)等が挙げられる。
上記シラン化合物としては、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン等のアルコキシシラン類、クロルシラン、ブロモシラン、ヨードシラン等のハロシラン類、ハイドロシラン類、アルキルシラン類、アリールシラン類、ビニルシラン類、アクリルシラン類、エポキシシラン類、シリル化合物類、シロキサン類、シリルウレア類、シリルアセトアミド類、及びこれらのシラン化合物類が有する異種の置換基を同時に有するシラン化合物類があげられる。これらのシラン化合物を用いることにより、流動性、転写性、帯電安定化が得られる。これらのシラン化合物は複数用いても良い。
具体例として、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位のSiに水酸基を1つずつ有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種或いは2種以上の混合物として用いても良い。
上記シラザン化合物は、分子中にSi−N結合を有する化合物の総称である。具体的には、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、テトラエチルテトラメチルシクロテトラシラザン、テトラフェニルジメチルジシラザン、ジプロピルテトラメチルジシラザン、ジブチルテトラメチルジシラザン、ジヘキシルテトラメチルジシラザン、ジオクチルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザンなどが挙げられる。また、これらシラザン化合物を部分的にフッ素などで置換した、有機含フッ素シラザン化合物などを用いてもよい。特に本発明では、ヘキサメチルジシラザンが好ましく用いられる。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、疎水化処理工程中において、又は、疎水化処理工程後において解砕処理が施されたものであることが好ましい。さらに、2段階で疎水化処理を行う場合、疎水化処理工程の間に解砕処理を行うことも可能である。
本発明に用いられるシリカ微粒子の見掛け密度が、15g/L以上、45g/L以下であることが好ましく、18g/L以上、30g/L以下であることがより好ましい。シリカ微粒子の見掛け密度が上記範囲にあることは、シリカ微粒子が密に詰まり難く、シリカ微粒子間で空気を多く噛みこんでおり、見掛け密度が従来技術に比して低いことを示している。従って、該シリカ微粒子が外添されたトナーにおいても、トナー同士が密に詰まりにくく、付着力が低減できるために、高温高湿環境におけるトナー劣化が抑制される。
シリカ微粒子の見掛け密度を上記範囲に制御する手段としては、シリカ微粒子に用いるシリカ原体の粒径、上述の解砕処理の有無とその強度、及びシリコーンオイルなどの疎水化処理剤の処理量等を調整することが挙げられる。シリカ原体の粒径を低下させることで、得られるシリカ微粒子のBET比表面積が大きくなり、空気を多く介在できるようになるため、見掛け密度を低下させることができる。また、解砕処理を行うことで、シリカ微粒子に含有される、比較的大きな二次粒子を、比較的小さな二次粒子へほぐすことができ、見掛け密度を低下させることが可能である。本発明のように見掛け密度が非常に低いシリカ微粒子を作製するには、解砕処理を行うことが有効である。解砕処理の手段としては、ピン式解砕装置、旋回式解砕装置、又は衝突式解砕装置等が用いられる。
シリコーンオイルによる疎水化処理の具体的な手順は、例えば、シリコーンオイルを溶かした溶剤(好ましくは有機酸等でpH4に調整した溶剤)の中にシリカ微粒子を入れて反応させ、その後、溶剤を除去する。この後、解砕処理を施してもよい。続いて、シラン化合物及び/またはシラザン化合物による疎水化処理を行う場合、具体的な手順としては、これらを溶かした溶剤の中に、解砕された、シリコーンオイル処理済シリカ微粒子を入れて反応させ、その後、溶剤を除去し、解砕処理を施す。また、次のような方法でも良い。例えば、シリコーンオイルによる疎水化処理では、シリカ微粒子を反応槽に入れる。そして、窒素雰囲気下、撹拌しながらアルコール水を添加し、シリコーンオイルを反応槽に導入して疎水化処理を行い、さらに加熱撹拌して溶剤を除去し、解砕処理を行う。シラン化合物及び/またはシラザン化合物による疎水化処理では、窒素雰囲気下、撹拌しながら、シラン化合物及び/またはシラザン化合物を導入して疎水化処理を行い、さらに加熱撹拌して溶剤を除去した後に冷却する。本発明で用いられるシリカ微粒子において、シリコーンオイルの疎水化処理と、シラン化合物及び/またはシラザン化合物による疎水化処理の両方を実施することが好ましい態様の一つであり、当該疎水化処理はどちらを先に行ってもよい。
本発明において、上記シリコーンオイルによる疎水化処理では、シリコーンオイルをシリカ原体の表面に化学的に固定化することが好ましい。そのため、化学的に固定化するために、加熱処理を行うことが好ましい。該加熱温度は100℃以上が好ましく、該加熱温度は高いほど好ましい。この加熱処理工程は、シリコーンオイル処理を行った直後に行うことが好ましいが、解砕処理を行う場合は、解砕処理工程後に加熱処理工程を行ってもよい。
上記窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)の測定は、JISZ8830(2001年)に準じて行う。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。
また、本発明に用いられるシリカ原体の一次粒子の個数平均粒径は、3nm以上50nm以下であることが好ましく、5nm以上40nm以下であることがより好ましい。
(式2) 5≦C(A)/C×100(%)≦20
[C(A)/C]が上記範囲にあるということは、シリカ微粒子において全疎水化処理剤に由来する炭素量[C]がシリカ原体を被覆可能なように添加されており、かつ、シリコーンオイルに由来する炭素量よりも、シラン化合物及び/またはシラザン化合物に由来する炭素量[C(A)]が少ないことを示している。このような条件でシリカ原体を疎水化処理するためには、シリコーンオイルで疎水化処理できなかったシリカ原体表面をシラン化合物及び/またはシラザン化合物によって疎水化処理することが好ましい。その結果、疎水化度の高いシリカ微粒子を安定して得ることが可能である。これにより、トナーの
ほぐれ易さを大幅に改善できる。ほぐれ易さを改善できる理由の詳細は明らかになっていないが、本発明者らは以下のように考えている。シリカ微粒子表面のシリコーンオイル分子末端のうち、片末端のみが自由度を有しており、シリカ微粒子同士の凝集性に影響する。一方、上記式2を満たすような疎水化処理を行うことで、シリカ微粒子の最表面にシリコーンオイル分子末端がほとんど存在しなくなり、シリカ微粒子の凝集性を大幅に低下することができる。これにより、該シリカ微粒子を外添した際のトナー同士の凝集性を大幅に低下させることができ、トナーのほぐれ易さを向上させることが可能である。
シリカ微粒子の含有量を上記範囲に制御することで、トナーの流動性を適正な範囲に制御するとともに、トナー劣化の発生を抑制し、耐久使用を通じて良好な画像を得やすい。
シリカ微粒子の含有量が、0.40質量部未満の場合、トナーの流動性が十分でない場合があるとともに、トナーの劣化が促進されやすい傾向にある。
(式3)拡散指数=X1/X2
(式4)拡散指数≧−0.0042×X1+0.62
上記被覆率X1は、シリカ微粒子単体をESCAで測定した時のSi元素の検出強度に対して、トナーを測定した時のSi元素の検出強度の比から、算出することができる。この被覆率X1は、トナー粒子表面のうち、シリカ微粒子が実際に被覆している面積の割合を示す。
被覆率X1が50.0面積%以上75.0面積%以下の場合、耐久使用を通じて、トナーの流動性及び帯電性を良好な状態に制御しやすい。被覆率X1が50.0面積%未満の場合、後述するトナーのほぐれ易さを得にくくなる傾向にある。このため、上述のような厳しい評価条件においては、トナーの劣化により流動性が低下しやすく、さらに現像スリーブ等との離型性が不足し易く、耐久使用後半に白抜け及びゴーストが発生しやすい傾向となる。
一方、シリカ微粒子による理論被覆率X2は、磁性トナー粒子100質量部あたりのシリカ微粒子の質量部数、及びシリカ微粒子の粒径等を用い、式5により算出される。これはトナー粒子表面を理論的に被覆できる面積の割合を示す。
(式5)理論被覆率X2(面積%)=31/2/(2π)×(dt/da)×(ρt/ρa)×C×100
da:シリカ微粒子の個数平均粒径(D1)
dt:トナーの重量平均粒径(D4)
ρa:シリカ微粒子の真比重
ρt:トナーの真比重
C:シリカ微粒子の質量/トナーの質量
(Cは後述するトナー中のシリカ微粒子の含有量を用いる。)
拡散指数は、実測の被覆率X1と理論的な被覆率X2の乖離を示す。この乖離の程度は、磁性トナー粒子表面から垂直方向に二層、三層と積層したシリカ微粒子の多さを示すと考えている。理想的には拡散指数は1になるが、これは、被覆率X1が理論被覆率X2と一致した場合であり、二層以上積層したシリカ微粒子が全く存在しない状態である(すなわち、シリカ微粒子が磁性トナー表面を一層で、覆い尽くした場合である)。一方、シリカ微粒子が凝集した二次粒子として磁性トナー表面に存在すると、実測の被覆率と理論的
な被覆率の乖離が生じ、拡散指数が低くなる。つまり、拡散指数は、二次粒子として存在するシリカ微粒子の量を示すと言い換えることもできる。
本発明において、拡散指数は、上記式4で示される範囲であることが好ましく、この範囲は従来の技術で製造されるトナーよりも大きいと考えられる。拡散指数が大きいということは、磁性トナー粒子表面のシリカ微粒子のうち二次粒子として存在している量が少なく、一次粒子として存在する量が多いことを示す。なお、上述した通り、拡散指数の上限は1である。
被覆率X1、及び、拡散指数が式4で示される範囲を同時に満たした場合、加圧時のトナーのほぐれ易さを改善できるため好ましい。この理由について、本発明者らは以下のように考えている。
これまで、トナーのほぐれ易さは、数nm程度の小粒径の外添剤を多量に外添して被覆率X1を上げることで、向上すると考えられてきた。一方、本発明者らの検討によると、被覆率X1を同じにして、拡散指数の異なるトナーのほぐれ易さを測定した場合、トナーのほぐれ易さに差が生じることが明らかとなった。さらに、加圧しながらほぐれ易さを測定した場合、さらに顕著な差が見られる。特に、ブレードニップにおけるトナーの挙動をより反映するのは、加圧時のトナーのほぐれ易さであると本発明者らは考えている。このため、加圧時のトナーのほぐれ易さをより緻密に制御するためには、被覆率X1に加えて拡散指数を適切な範囲に調整することが好ましいと本発明者らは考えている。
被覆率X1、及び、拡散指数が式4で示される範囲を同時に満たした場合、トナーのほぐれ易さが良好になる理由について、詳細は分かっていないが、本発明者らは次のように推測している。トナーがブレードニップのような狭く圧の高い場所に存在するとき、トナー同士は表面に存在する外添剤同士が衝突しないように、「噛みあわせ」の状態になりやすいことに起因すると考えている。このとき、二次粒子として存在しているシリカ微粒子が多いと、噛みあわせの影響が大きくなり、迅速にトナー同士をほぐしにくいと思われる。
特に、トナーが劣化した際には、一次粒子として存在しているシリカ微粒子がトナー粒子表面に埋没してしまい、トナーの流動性が低下する。その時に、埋没していない二次粒子として存在するシリカ微粒子同士による噛みあわせの影響が大きくなり、トナーのほぐれやすさを阻害すると推察される。本発明の磁性トナーは、多くのシリカ微粒子が一次粒子として存在するため、トナーが劣化した際にも、トナー同士の噛み込みが発生しづらく、ブレードニップで摺擦を受けた際に、一粒一粒へ非常にほぐれやすい。すなわち、従来の被覆率X1の制御だけでは困難であった、トナーのほぐれ易さ、をより改善することが可能となった。
本発明における拡散指数の境界線は、被覆率X1が50.0面積%以上、75.0面積%以下の範囲において、被覆率X1を変数とした関数である。この関数の算出は、シリカ微粒子、外添条件等を変化させて、被覆率X1と拡散指数を得た際、トナーが加圧時に十分ほぐれ易くなる現象から、経験的に得たものである。
ここで、拡散指数が被覆率X1に依存する理由に関して、詳細は分かっていないが、本発明者らは次のように推測している。加圧時の磁性トナーのほぐれ易さを改善するためには、二次粒子として存在しているシリカ微粒子の量が少ない方が良いが、被覆率X1の影響も少なからず受ける。被覆率X1が増加するにつれて、磁性トナーのほぐれ易さが徐々に良好になるため、二次粒子として存在するシリカ微粒子量の許容量が増えることになる。このように、拡散指数の境界線は、被覆率X1を変数とした関数になると考えている。すなわち、被覆率X1と拡散指数の間には相関関係があり、被覆率X1に応じて拡散指数を制御することが好ましいことを、上記の如く実験的に求めた。
拡散指数が下記に示される式6の範囲にある場合、二次粒子として存在するシリカ微粒子の量が多くなり、磁性トナーの劣化を抑制する効果が低くなるため、および、磁性トナーのほぐれやすさが低下してしまうため、耐久使用後半の「白抜け」及び「ゴースト」が発生し易い傾向になる。
(式6)拡散指数<−0.0042×X1+0.62
粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂及び磁性体、並びに必要に応じて離型剤等のその他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、又はボールミル等の混合機により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、及びエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散又は溶解し、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行って磁性トナー粒子を得る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
上記粉砕には、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。また、本発明の好ましい円形度を有する磁性トナーを得るためには、更に熱をかけて粉砕したり、補助的に機械的衝撃力を加える処理を行ったりすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)された磁性トナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法が挙げられる。また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、圧縮力、摩擦力等の力により磁性トナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び磁性体、並びに必要に応じて重合開始剤、架橋剤、及び荷電制御剤などのその他の添加剤を、均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散後、重合性単量体組成物中の重合性単量体を重合し、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー粒子(以後「重合トナー粒子」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているた
め、所定の平均円形度を満たし、かつ、トナーの流動性を高めることができるために好ましい。
本発明に関わる重合トナー粒子の製造において、重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては公知のものが使用できる。その中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、或いは他の重合性単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明において、上記懸濁重合法に使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30.0時間以下であるものが好ましい。また、重合開始剤の添加量は重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
具体的な重合開始剤例としては、アゾ系又はジアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
上記懸濁重合法において、重合反応時に架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、芳香族ジビニル化合物、二重結合を2個有するカルボン酸エステル、ジビニル化合物、及び3個以上のビニル基を有する化合物、が単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
以下、具体的に懸濁重合法による磁性トナー粒子の製造を説明するが、これに限定されるわけではない。上述の重合性単量体及び磁性体等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。
上記分散安定剤として公知の界面活性剤、有機分散剤又は無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.20質量部以上20.00質量部以下の量を用いる事が好ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種を併用してもよい。更に、重合性単量体100質量部に対して、0.0001質量部以上0.1000質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。
上記重合性単量体の重合反応における、重合温度は40℃以上、一般には50℃以上90℃以下の温度に設定される。
上記重合性単量体の重合終了後、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することにより磁性トナー粒子が得られる。この磁性トナー粒子に、シリカ微粒子を外添混合して磁性トナー粒子の表面に付着させることで、本発明の磁性トナーを得ることができる。また、製造工程(シリカ微粒子の混合前)に分級工程を入れ、磁性トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉を除去することも可能である。
本発明の磁性トナーには、上記シリカ微粒子に加えて、一次粒子の個数平均粒径(D1)が80nm以上、3μm以下の粒子を添加してもよい。例えば、フッ素樹脂粉末、ステ
アリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;シリカ等のスペーサー粒子を本発明の効果に影響を与えない程度に少量用いることもできる。
図4は、本発明に用いられるシリカ微粒子を外添混合する際に、用いることができる混合処理装置の一例を示す模式図である。
当該混合処理装置は、磁性トナー粒子とシリカ微粒子に対して、狭いクリアランス部において、シェアがかかる構成になっているために、シリカ微粒子を二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、磁性トナー粒子表面に付着することができる。
さらに、後述するように、回転体の軸方向において、磁性トナー粒子とシリカ微粒子が循環しやすく、固着が進む前に十分に均一混合されやすい点で、被覆率X1及び拡散指数を本発明において好ましい範囲に制御しやすい。
一方、図5は、上記混合処理装置に使用される攪拌部材の構成の一例を示す模式図である。
以下、上記シリカ微粒子の外添混合工程について図4及び図5を用いて説明する。
上記シリカ微粒子を外添混合する混合処理装置は、少なくとも複数の攪拌部材3が表面に設置された回転体2と、回転体を回転駆動する駆動部8と、攪拌部材3と間隙を有して設けられた本体ケーシング1とを有する。
本体ケーシング1の内周部と、撹拌部材3との間隙(クリアランス)は、磁性トナー粒子に均一にシェアを与え、シリカ微粒子を二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、磁性トナー粒子表面に付着しやすくするために、一定かつ微小に保つことが重要である。
また本装置は、本体ケーシング1の内周部の径が、回転体2の外周部の径の2倍以下である。図4において、本体ケーシング1の内周部の径が、回転体2の外周部の径(回転体2から撹拌部材3を除いた胴体部の径)の1.7倍である例を示す。本体ケーシング1の内周部の径が、回転体2の外周部の径の2倍以下であると、磁性トナー粒子に力が作用する処理空間が適度に限定されるため、二次粒子となっているシリカ微粒子に十分に衝撃力が加わるようになる。
また、上記クリアランスは、本体ケーシングの大きさに応じて、調整することが重要である。本体ケーシング1の内周部の径の、1%以上5%以下程度とすることが、シリカ微粒子に十分なシェアをかけるという点で重要である。具体的には、本体ケーシング1の内周部の径が130mm程度の場合は、クリアランスを2mm以上5mm以下程度とし、本体ケーシング1の内周部の径が800mm程度の場合は、10mm以上30mm以下程度とすればよい。
本発明におけるシリカ微粒子の外添混合工程は、混合処理装置を用い、駆動部8によって回転体2を回転させ、混合処理装置中に投入された磁性トナー粒子及びシリカ微粒子を攪拌、混合することで、磁性トナー粒子の表面にシリカ微粒子を外添混合処理する。
図5に示すように、複数の撹拌部材3の少なくとも一部が、回転体2の回転に伴って、磁性トナー粒子及びシリカ微粒子を回転体の軸方向の一方向に送る送り用撹拌部材3aとして形成される。また、複数の撹拌部材3の少なくとも一部が、磁性トナー粒子及びシリカ微粒子を、回転体2の回転に伴って、回転体の軸方向の他方向に戻す戻し用撹拌部材3bとして形成されている。
ここで、図4のように、原料投入口5と製品排出口6が本体ケーシング1の両端部に設けられている場合には、原料投入口5から製品排出口6へ向かう方向(図4で右方向)を「送り方向」という。
すなわち、図5に示すように、送り用撹拌部材3aの板面は送り方向(13)に磁性トナー粒子を送るように傾斜している。一方、撹拌部材3bの板面は戻り方向(12)に磁性トナー粒子及びシリカ微粒子を送るように傾斜している。
これにより、「送り方向」への送り(13)と、「戻り方向」への送り(12)とを繰り返し行いながら、磁性トナー粒子の表面にシリカ微粒子の外添混合処理を行う。
また、撹拌部材3aと3bは、回転体2の円周方向に間隔を置いて配置した複数枚の部材が一組となっている。図5に示す例では、撹拌部材3a、3bが回転体2に互いに180度の間隔で2枚の部材が一組をなしているが、120度の間隔で3枚、あるいは90度の間隔で4枚、というように多数の部材を一組としてもよい。
図5に示す例では、撹拌部材3aと3bは等間隔で、計12枚形成されている。
さらに、図5において、Dは撹拌部材の幅、dは撹拌部材の重なり部分を示す間隔を示す。磁性トナー粒子及びシリカ微粒子を、送り方向と戻り方向に効率よく送る観点から、図5における回転体2の長さに対して、Dは20%以上30%程度の幅であることが好ましい。図5においては、23%である例を示す。さらに撹拌部材3aと3bは撹拌部材3aの端部位置から垂直方向に延長線を引いた場合、撹拌部材3bと撹拌部材の重なり部分dをある程度有することが好ましい。これにより、二次粒子となっているシリカ微粒子に効率的にシェアをかけることが可能である。Dに対するdは、10%以上30%以下であることがシェアをかける点で好ましい。
なお、羽根の形状に関しては、図5に示すような形状以外にも、送り方向及び戻り方向に磁性トナー粒子を送ることができ、クリアランスを維持することができれば、曲面を有する形状や先端羽根部分が棒状アームで回転体2に結合されたパドル構造であってもよい。
図4に示す装置は、少なくとも複数の攪拌部材3が表面に設置された回転体2と、回転体2を回転駆動する駆動部8と、攪拌部材3と間隙を有して設けられた本体ケーシング1と、本体ケーシング1の内側及び回転体端部側面10にあって、冷熱媒体を流すことのできるジャケット4を有している。
更に、図4に示す装置は、磁性トナー粒子及びシリカ微粒子を導入するために、本体ケーシング1上部に形成された原料投入口5、外添混合処理されたトナーを本体ケーシング1から外に排出するために、本体ケーシング1下部に形成された製品排出口6を有している。
更に、図4に示す装置は、原料投入口5内に、原料投入口用インナーピース16が挿入されており、製品排出口6内に、製品排出口用インナーピース17が挿入されている。
本発明においては、まず、原料投入口5から原料投入口用インナーピース16を取り出し、磁性トナー粒子を原料投入口5より処理空間9に投入する。次にシリカ微粒子を原料投入口5より処理空間9に投入し、原料投入口用インナーピース16を挿入する。次に、駆動部8により回転体2を回転させ(11は回転方向を示す)、上記で投入した処理物を、回転体2表面に複数設けられた撹拌部材3により撹拌、混合しながら外添混合処理する。
尚、投入する順序は、先にシリカ微粒子を原料投入口5より投入し、次に、磁性トナー粒子を原料投入口5より投入しても構わない。また、ヘンシェルミキサーのような混合機で予め、磁性トナー粒子とシリカ微粒子を混合した後、混合物を、図4に示す装置の原料投入口5より投入しても構わない。
より具体的には、外添混合処理条件として、駆動部8の動力を、0.2W/g以上、2.0W/g以下に制御することが、本発明で規定する被覆率X1及び拡散指数を得るうえで好ましい。また、駆動部8の動力を、0.6W/g以上、1.6W/g以下に制御することが、より好ましい。
0.2W/gより動力が低い場合には、被覆率X1が高くなりにくく、拡散指数が低くなりすぎる傾向にある。一方、2.0W/gより高い場合には、拡散指数が高くなるが、シリカ微粒子が埋め込まれすぎてしまう傾向にある。
処理時間としては、特に限定されないが、好ましくは、3分以上、10分以下である。処理時間が3分より短い場合には、被覆率X1及び拡散指数が低くなる傾向にある。
外添混合時の撹拌部材の回転数については特に限定されないが、図4に示す装置の処理空間9の容積が2.0×10−3m3の装置において、撹拌部材3の形状を図5のものとしたときの撹拌部材の回転数としては、800rpm以上、3000rpm以下であることが好ましい。800rpm以上、3000rpm以下であることで本発明で規定する被覆率X1及び拡散指数を得やすくなる。
さらに、本発明において、特に好ましい処理方法は、外添混合処理操作の前に、プレ混合工程を持たせることである。プレ混合工程を入れることにより、シリカ微粒子が磁性トナー粒子表面上で高度に均一分散されることで、被覆率X1が高くなりやすく、さらに拡散指数を高くしやすい。
より具体的には、プレ混合処理条件として、駆動部8の動力を、0.06W/g以上、0.20W/g以下とし、処理時間を0.5分以上、1.5分以下とすることが好ましい。プレ混合処理条件として、0.06W/gより負荷動力が低い、或いは処理時間が0.5分より短い場合には、プレ混合として十分な均一混合がなされにくい。一方、プレ混合処理条件として、0.20W/gより負荷動力が高い、或いは処理時間1.5分より長い場合には、十分な均一混合がなされる前に、磁性トナー粒子表面にシリカ微粒子が固着されてしまう場合がある。
プレ混合処理の撹拌部材の回転数については、図4に示す装置の処理空間9の容積が2.0×10−3m3の装置において、撹拌部材3の形状を図5のものとしたときの撹拌部材の回転数としては、50rpm以上、500rpm以下であることが好ましい。50rpm以上、500rpm以下であることで本発明で規定する被覆率X1及び拡散指数を得やすくなる。
外添混合処理終了後、製品排出口6内の、製品排出口用インナーピース17を取り出し、駆動部8により回転体2を回転させ、製品排出口6から磁性トナーを排出する。得られた磁性トナーを、必要に応じて円形振動篩機等の篩機で粗粒等を分離し、磁性トナーを得る。
<磁性トナーの見掛け密度及びタップ密度の測定方法、並びに初期密度変化率の算出方法>
磁性トナーの見掛け密度及びタップ密度は粉体特性評価装置(パウダーテスタ、ホソカワミクロン社製)を用いて以下の方法で測定する。
直径5.03cm、容積100cm3の円筒容器へ目開き608μm(24メッシュ)の篩いを通して上方から均一に磁性トナーを30秒間供給した。この時の供給速度は、30秒間で円筒容器に磁性トナーが充分満たされるように調整した。30秒間供給した直後に円筒容器の上面の磁性トナーをブレードによりすり切り、円筒容器内の磁性トナー質量を測定し、磁性トナー質量÷100から見掛け密度(g/cm3)を得た。この操作を5回行い、平均値を本発明における見掛け密度(g/cm3)とした。
見掛け密度測定後に円筒状のキャップを上記円筒容器にはめ、この上縁まで磁性トナーを加えてタップ高さ1.8cmのタッピングを30回行う。終了後、キャップを外して円筒容器の上面の磁性トナーをブレードによりすり切り、円筒容器内の磁性トナー質量を測定し、磁性トナー質量÷100から「見掛け密度を測定した状態から30回タッピングした」、タップ密度(g/cm3)を得る。この操作を5回行い、平均値を本発明におけるタップ密度とした。
一方、初期密度変化率は、初期密度変化率=(1−B/P)×100から求めた。
本発明における、TEは、回転式プロペラ型ブレードを備えた粉体流動性分析装置(パウダーレオメータFT−4、Freeman Technology社製)(以下、FT−4と省略する)を用いて測定する。
具体的には、以下の操作により測定を行う。尚、全ての操作において、プロペラ型ブレードは、FT−4測定専用23.5mm径ブレード(図6(a)参照。23.5mm×6.5mmのブレード板の中心に法線方向に回転軸が存在する。ブレード板は、両最外縁部分(回転軸から12mm部分)が、70°、回転軸から6mmの部分が35°といったように、反時計回りになめらかにねじられたもので(図6(b)参照)、材質はSUS製)を使用する。
まず、FT−4測定専用容器[直径25mm、容積25mlのスプリット容器(型番:C4031)、容器底面からスプリット部分までの高さ約51mm。以下、単に容器ともいう。]に23℃、60%環境に3日間放置されたトナーを24g入れ圧縮することでトナー粉体層とする。
また、トナーの圧縮は、圧縮試験用ピストン(直径24mm、高さ20mm、下部メッシュ張り)を上記プロペラ型ブレードの代わりに用いる。
(1)トナーの圧密操作
上述のFT−4測定専用容器にトナーを8g加える。FT−4測定専用の圧縮ピストンを取り付け40Nで60秒間圧密を行う。さらにトナーを8g加え、同様に圧縮操作を計3回行い、計24gの圧密されたトナーが専用容器に入っている状態にする。
(2)スプリット操作
上述のFT−4測定専用容器のスプリット部分でトナー粉体層をすり切り、トナー粉体層上部のトナーを取り除くことで、同じ体積(25ml)のトナー粉体層を形成する。
(3)測定操作
(A)トナー粉体層表面に対して時計回り(ブレードの回転によりトナー粉体層を押し込まない方向)の回転方向で、ブレードの周速(ブレードの最外縁部の周速)を10mm/secとし、トナー粉体層への垂直方向の進入速度を、移動中のブレードの最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角度(以下、「ブレード軌跡角」)が、5(deg)になるスピードとし、トナー粉体層の底面から10mmの位置までプロペラ型ブレードを進入させる。
(B)その後、トナー粉体層表面に対して時計回りの回転方向で、ブレードの周速を60mm/secとし、トナー粉体層への垂直方向の進入速度を、ブレード軌跡角が、2(deg)になるスピードとし、トナー粉体層の底面から1mmの位置までプロペラ型ブレードを進入させる。
(C)その後、トナー粉体層表面に対して反時計回りの回転方向で、ブレードの周速を10mm/secとし、トナー粉体層からの垂直方向の抜き取り速度を、ブレード軌跡角が、5(deg)になるスピードとし、トナー粉体層の底面から80mmの位置までブレードを移動させ、抜き取りを行う。抜き取りが完了したら、ブレードを時計回り、反時計回りに交互に小さく回転させることでブレードに付着したトナーを払い落とす。
上記測定操作(A)において、プロペラ型ブレードを回転させながら容器内のトナー粉体層中に進入させ、トナー粉体層の底面から60mmの位置から測定を開始し、底面から10mmの位置まで、プロペラ型ブレードを進入させた時に得られる、回転トルクと垂直
荷重の総和をTEとする。得られたTEを測定時のセル内でのトナー密度(トナー密度はFT−4により自動計測される)で割ることで、本発明における[TE/密度]を得る。密度で割るのは測定時の充填効率などの要因を排除するためである。
(1)磁性トナー中のシリカ微粒子の含有量の定量(標準添加法)
磁性トナー3gを直径30mmのアルミリングに入れ、10トンの圧力でペレットを作製する。そして、波長分散型蛍光X線分析(XRF)により、珪素(Si)の強度を求める(Si強度−1)。なお、測定条件は使用するXRF装置で最適化されたものであれば良いが、一連の強度測定はすべて同一条件で行うこととする。磁性トナーに、一次粒子の個数平均粒径が12nmのシリカ微粒子を、磁性トナーに対して1.0質量%添加して、コーヒーミルにより混合する。
混合後、上記と同様にペレット化したのちに、上記同様にSiの強度を求める(Si強度−2)。同様の操作を、シリカ微粒子を、トナーに対して2.0質量%、3.0質量%添加混合したサンプルにおいても、Siの強度を求める(Si強度−3,Si強度−4)。Si強度−1乃至4を用いて、標準添加法によりトナー中のシリカ含有量(質量%)を計算する。
(2)磁性トナーからシリカ微粒子の分離
磁性トナー5gを、精密天秤を用いて200mlの蓋付きポリカップに秤量し、メタノールを100ml加え、超音波分散機で5分間分散させる。ネオジム磁石により磁性トナーを引き付け、上澄み液を捨てる。メタノールによる分散と上澄みを捨てる操作を3回繰り返したのち、10%NaOHを100mlと、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を数滴加え、軽く混合したのち、24時間静置する。その後、再びネオジム磁石を用いて分離する。なお、この際にNaOHが残留しないように繰り返し蒸留水ですすぐ。回収された粒子を真空乾燥機により十分に乾燥させ、粒子Aを得る。上記操作により、外添されたシリカ微粒子は溶解、除去される。
(3)粒子A中のSi強度測定
3gの粒子Aを直径30mmのアルミリングに入れ、10トンの圧力でペレットを作製し、波長分散型蛍光X線分析(XRF)により、Siの強度を求める(Si強度−5)。Si強度−5と磁性トナー中のシリカ含有量の定量で使用したSi強度−1乃至4を利用して、粒子A中のシリカ含有量(質量%)を計算する。
(4)トナーから磁性体の分離
5gの粒子Aに対して、100mlのテトラヒドロフランを加え、良く混合した後に超音波分散を10分間行う。磁石により磁性粒子を引き付け、上澄み液を捨てる。この作業を5回繰り返し、粒子Bを得る。この操作で、磁性体以外の樹脂等の有機成分はほぼ取り除くことができる。ただし、樹脂中のテトラヒドロフラン不溶解分が残存する可能性があるため、上記操作で得られた粒子Bを800℃まで加熱して残存する有機成分を燃焼させることが好ましく、加熱後に得られた粒子Cを、トナーに含有されていた磁性体と近似することができる。
粒子Cの質量を測定することにより、磁性トナー中の磁性体含有量W(質量%)とすることができる。この際、磁性体の酸化増量分を補正するために、粒子Cの質量に0.9666(Fe2O3→Fe3O4)を乗じる。各定量値を以下の式に代入することにより、外添されたシリカ微粒子量を算出する。
外添されたシリカ微粒子量(質量%)=磁性トナー中のシリカ含有量(質量%)−粒子A中のシリカ含有量(質量%)
トナー表面のシリカ微粒子による被覆率X1は、以下のようにして算出する。
下記装置を下記条件にて使用し、トナー表面の元素分析を行う。
・測定装置:Quantum2000(商品名、アルバックファイ株式会社製)
・X線源:モノクロAl Kα
・Xray Setting:100μmφ(25W(15KV))
・光電子取りだし角:45度
・中和条件:中和銃とイオン銃の併用
・分析領域:300×200μm
・Pass Energy:58.70eV
・ステップサイズ:1.25eV
・解析ソフト:Maltipak(PHI社)
ここで、Si原子の定量値の算出には、C 1c(B.E.280〜295eV)、O1s(B.E.525〜540eV)及びSi 2p(B.E.95〜113eV)のピークを使用した。ここで得られたSi元素の定量値をY1とする。次いで、上述のトナー表面の元素分析と同様にして、シリカ微粒子単体の元素分析を行い、ここで得られたSi元素の定量値をY2とする。
本発明において、トナー表面のシリカ微粒子による被覆率X1は、上記Y1及びY2を用いて下式のように定義する。
被覆率X1(面積%)=Y1/Y2×100
尚、本測定の精度を向上させるために、Y1及びY2の測定を、2回以上行うことが好ましい。
定量値Y2を求めるに際して、外添に使用されたシリカ微粒子を入手できれば、それを用いて測定を行えばよい。
また、トナー表面から分離したシリカ微粒子を測定試料とする場合、シリカ微粒子のトナー粒子からの分離は以下の手順で行う。
1)磁性トナーの場合
まず、イオン交換水100mLに、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6ml入れ分散媒を作製する。この分散媒に、トナー5gを添加し、超音波分散機で5分間分散させる。その後、いわき産業社製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、1分当たり350往復の条件で20分間振とうする。その後、ネオジム磁石を用いてトナー粒子を拘束し、上澄みを採取する。この上澄みを乾燥させることにより、シリカ微粒子を採集する。十分な量のシリカ微粒子を採集することができない場合には、この作業を繰り返して行う。
この方法では、シリカ微粒子以外の外添剤が添加されている場合には、シリカ微粒子以外の外添剤も採集される。このような場合には、採集された外添剤から、遠心分離法などを利用して、シリカ微粒子を選別すればよい。
2)非磁性トナーの場合
イオン交換水100mlにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに該ショ糖濃厚液31gと、6mLのコンタミノンNを入れ、分散液を作製する。この分散液にトナー1gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブを上記シェイカーにて1分当たり350往復の条件で20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて、3500rpm、30minの条件で遠心分離を行う。遠心分離後のガラスチューブ内においては、最上層にはトナーが存在し、下層の水溶液側にはシリカ微粒子が存在する。下層の水溶液を採取して、遠心分離を行い、ショ糖とシリカ微粒子とを分離し、シリカ微粒子を採集する。必要に応じて、遠心分離を繰り返し行い、分離を十分に行った後、分散液を乾燥し、シリカ微粒子を採集する。
磁性トナーの場合と同様に、シリカ微粒子以外の外添剤が添加されている場合には、シリカ微粒子以外の外添剤も採集される。そのため、採集された外添剤から、遠心分離法などを利用して、シリカ微粒子を選別する。
磁性トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する(磁性トナー粒子の場合も同様に算出する)。測定装置としては、100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャのフラッシュ」機能により、アパーチャチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、磁性トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いて磁性トナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影される磁性トナー表面のシリカ微粒子画像から算出される。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上に磁性トナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分な磁性トナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は二次電子像と比べてシリカ微粒子のチャージアップが少ないため、シリカ微粒子の粒径を精度良く測定することが出来る。
S−4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PC−SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)シリカ微粒子の個数平均粒径(D1)(前記da)の算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を100000(100k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作を更に2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、磁性トナー表面上の少なくとも300個のシリカ微粒子について粒径を測定して、平均粒径を求める。ここで、シリカ微粒子は凝集塊として存在するものもあるため、一次粒子と確認できるものの最大径を求め、得られた最大径を算術平均することによって、シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)(da)を得る。
磁性トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する(磁性トナーの場合も同様に測定する)。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定
器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個の磁性トナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、磁性トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本発明においては、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像測定装置を使用する。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行う。
フロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
シリカ微粒子の見掛け密度の測定は、100mlのメスシリンダーに、紙の上にのせた測定試料をゆっくり加えて100mlになるようにし、試料を加える前と後のメスシリンダーの質量差を求め次式によって算出する。なお、試料をメスシリンダーに加える場合、紙を叩いたりしないよう注意する。
見かけ密度(g/L)=(100ml投入した時点の質量(g))/0.1
シリカ微粒子の疎水化処理に由来する炭素量[C(質量%)]、及び、シリカ微粒子のシラン化合物及び/またはシラザン化合物による疎水化処理に由来する炭素量[C(A)(質量%)]は以下の手順で測定する。
(シリコーンオイルの抽出)
(1)ビーカーにシリカ微粒子0.50g、クロロホルム40mlを入れ、2時間攪拌する。
(2)攪拌を止めて、12時間静置する。
(3)サンプルをろ過して、クロロホルム40mlで3回洗浄する。
(炭素量測定)
酸素気流下、1100℃で試料を燃焼し、発生したCO、CO2量をIRの吸光度により測定して、試料中の炭素量を測定する。クロロホルムの抽出前後での炭素量を比較することにより、シラン化合物及び/またはシラザン化合物による疎水化処理に由来する炭素量[C(A)(質量%)]、シリカ微粒子の疎水化処理に由来する炭素量[C(質量%)]を計算する。
(1)試料2gを円筒金型に入れプレスする。
(2)プレスした試料0.15gを精秤し、燃焼用ボードに乗せ、堀場製作所EMA−110で測定する。
(3)クロロホルム抽出後に測定した炭素量をシラン化合物及び/またはシラザン化合物による疎水化処理に由来する[C(A)(質量%)]とする。また、クロロホルム抽出前に測定した炭素量をシリカ微粒子の疎水化処理に由来する炭素量[C(質量%)]とする。
トナー及びシリカ微粒子の真密度は、乾式自動密度計オートピクノメーター(ユアサアイオニクス社製)により測定した。条件は下記の通りである。
セル :SMセル(10ml)
サンプル量 :約2.0g(トナー)、0.05g(シリカ微粒子)
この測定方法は、気相置換法に基づいて、固体・液体の真密度を測定するものである。液相置換法と同様、アルキメデスの原理に基づいているが、置換媒体としてガス(アルゴンガス)を用いるため、微細孔への精度が高い。
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.00から1.10当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で0.15質量%となる量のP2O5、鉄元素に対して珪素元素換算で0.50質量%となる量のSiO2を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.90から1.20当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを約4.8に調整した。そして、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100質量部に対し1.6質量部(磁性酸化鉄の量は含水サ
ンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、撹拌を十分行い、分散液のpHを8.6にして表面処理を行った。生成した疎水性磁性体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径が0.21μmの磁性体1を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、下記成分を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。
・ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 75質量部
・ビスフェノールA プロピレンオキサイド3モル付加物 25質量部
・テレフタル酸 100質量部
・チタン系触媒 0.25質量部
(チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート))
次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸10質量部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂1は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されたメインピーク分子量(Mp)が10500であった。
<シリカ微粒子1の製造例>
ジメチルシリコーンオイル(25℃における動粘度:50cSt)20質量部をヘキサン10,000質量部で希釈した溶液に、フュームドシリカ(シリカ原体;球形、一次粒子の個数平均粒径:8nm)100質量部を徐々に添加し、130℃で反応させた後に溶剤を除去した(表1:オイル処理)。その後、ピン式解砕装置を用いて解砕処理したものを、90%のメタノール水10質量部、及びへキサメチレンジシラザン10質量部をヘキサン10,000質量部に溶解させた液に入れて反応させ(表1:シラザン処理)、溶剤および副生成物を除去してシリカ微粒子1を得た。得られたシリカ微粒子1の一次粒子の個数平均粒径は6nmであった。シリカ微粒子1の物性を表2に示す。
シリカ微粒子1の製造例において、シリカ原体の粒径、シリコーンオイルの添加部数、解砕処理の強度、疎水化処理のシラザン処理とオイル処理の順序を変化させること以外は同様にして、表1に示す通りにシリカ微粒子2乃至10を製造した。また、シリカ微粒子7の製造ではシラザン処理を行わなかった。得られたシリカ微粒子2乃至10の物性を表2に示す。
イオン交換水720質量部に0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入して60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7質量部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 78.0質量部
・n−ブチルアクリレート 22.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.6質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学工業(株)) 3.0質量部
・磁性体1 90.0質量部
・ポリエステル樹脂1 5.0質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して重合性単量体組成物を得た。得られた重合性単量体組成物を60℃に加温し、フィッシャートロプシュワックス(HNP−51、日本精蝋社製、融点:74℃、数平均分子量Mn:500)15.0質量部を添加混合し、溶解した後に重合開始剤としてジラウロイルパーオキサイド7.0質量部を溶解し、トナー組成物を得た。
上記水系媒体中に上記トナー組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホ
モミキサー(特殊機化工業(株))にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ74℃で6時間反応させた。
反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄した後に濾過・乾燥して磁性トナー粒子1を得た。得られた磁性トナー粒子1の物性を表3に示す。
磁性トナー粒子1の製造例において、ホモミキサーの回転数12000rpmを、11000rpm(磁性トナー粒子2)、10500rpm(磁性トナー粒子3)、9000rpm(磁性トナー粒子4)、7500rpm(磁性トナー粒子5)に低下させること以外は同様にして、磁性トナー粒子2乃至5を製造した。得られた磁性トナー粒子2及至5の物性を表3に示す。
磁性トナー粒子1の製造例において、磁性体1の添加量を90.0質量部の代わりに、55.0質量部に変更した以外は同様にして、磁性トナー粒子6を得た。得られた磁性トナー粒子6の物性を表3に示す。
磁性トナー粒子1の製造例において、磁性体1の添加量を90.0質量部の代わりに、110.0質量部に変更した以外は同様にして、磁性トナー粒子7を得た。得られた磁性トナー粒子7の物性を表3に示す。
磁性トナー粒子1の製造例において、磁性体1の添加量を90.0質量部の代わりに、50.0質量部に変更した以外は同様にして、磁性トナー粒子8を得た。得られた磁性トナー粒子8の物性を表3に示す。
磁性トナー粒子1の製造例において、磁性体1の添加量を90.0質量部の代わりに、115.0質量部に変更した以外は同様にして、磁性トナー粒子9を得た。得られた磁性トナー粒子9の物性を表3に示す。
・スチレンアクリル共重合体 100質量部
(スチレンとn−ブチルアクリレートの質量比が78.0:22.0、メインピーク分子量Mpが10000)
・磁性体1 90質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学工業(株)) 2質量部
・フィッシャートロプシュワックス(HNP−51) 4質量部
(日本精蝋社製、融点:74℃、数平均分子量Mn:500)
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて機械式粉砕させて微粉砕した。得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去した。
得られた原料トナー粒子を、表面改質装置ファカルティー(ホソカワミクロン社製)で表面改質及び微粉除去を行い、磁性トナー粒子10を得た。表面改質装置ファカルティーを用いた表面改質及び微粉除去の条件は、分散ローターの回転周速を150m/secと
し、微粉砕品の投入量を1サイクル当たり7.6kgとし、表面改質時間(サイクルタイム:原料供給が終了してから排出弁が開くまでの時間)を82秒間とした。またトナー粒子排出時の温度は44℃であった。得られた磁性トナー粒子10の物性を表3に示す。
100質量部の磁性トナー粒子10、及び0.50質量部のシリカ微粒子6をヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機(株))で混合し、熱風処理前に外添を行った。この際の外添条件は、回転数を3000rpmとし、処理時間を2分間とした。次いで、この熱風処理前に外添を行った磁性トナー粒子を、熱風を吹き付けることにより磁性トナー粒子の表面改質を行う装置であるメテオレインボー(日本ニューマチック工業社製)で表面改質を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度2kg/hr、熱風流量700L/min、吐出熱風温度300℃で行った。該熱風処理を行って、得られた磁性トナー粒子11の物性を表3に示す。
磁性トナー粒子1の製造例で得た磁性トナー粒子1に対して、図4に示す装置を用いて、外添混合処理を行った。
本実施例においては、図4に示す装置で、本体ケーシング1の内周部の径が130mmであり、処理空間9の容積が2.0×10−3m3の装置を用い、駆動部8の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材3の形状を図5のものとした。そして、図5における攪拌部材3aと攪拌部材3bの重なり幅dを攪拌部材3の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌部材3と本体ケーシング1内周とのクリアランスを3.0mmとした。
上記した装置構成で、磁性トナー粒子1の100質量部と、シリカ微粒子4の0.70質量部とを、図4に示す装置に投入した。
磁性トナー粒子とシリカ微粒子を投入後、磁性トナー粒子とシリカ微粒子を均一に混合するために、プレ混合を実施した。プレ混合の条件は、駆動部8の動力を0.10W/g(駆動部8の回転数150rpm)とし、処理時間を1分間とした。
プレ混合終了後、外添混合処理を行った。外添混合処理条件は、駆動部8の動力を0.60W/g(駆動部8の回転数1400rpm)で一定となるように、攪拌部材3の最外端部周速を調整し、処理時間を5分間とした。外添混合処理条件を表4に示す。
外添混合処理後、直径500mm、目開き75μmのスクリーンを設置した円形振動篩機で粗粒等を除去し、実施例用トナー1を得た。実施例用トナー1を走査型電子顕微鏡で拡大観察し、磁性トナー表面のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径を測定したところ
、8nmであった。実施例用トナー1の外添条件、物性を表4に示す。
実施例用トナー1の製造例において、表4に示す、シリカ微粒子の種類、シリカ微粒子の量、磁性トナー粒子、外添装置、外添条件へ変更した以外は同様にして、実施例用トナー2乃至22、および、比較例用トナー1乃至11を製造した。得られた実施例用トナー2乃至22、および、比較例用トナー1乃至11の物性を表5にそれぞれ示す。
ここで、外添装置としてヘンシェルミキサーを使用する場合、ヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機(株))を用いた。また、一部の製造例においては、プレ混合工程を行わなかった。
なお、図3として、実施例用トナー1乃至22、及び比較例用トナー1乃至11の被覆率X1と拡散指数をプロットした図を示す。
画像形成装置として、直径10mmである小径の現像スリーブを搭載した、LBP―3100(キヤノン(株)製)を用い、印字速度を16枚/分を24枚/分に改造した。さらに、カートリッジを改造して、トナー充填量を2倍にした。
上記改造機を用い実施例用トナー1を使用し、高温高湿環境下(32.5℃/80%RH)にて印字率が1.5%の横線を1枚間欠モードで3日に渡り、15000枚(1日当たり5000枚)画出し試験を行った。このような条件で評価することにより、磁性トナーが受けるストレスが多く蓄積されることになるため、より厳しい条件で耐久性能を評価
することができる。
<高温高湿環境下(HH)における耐久使用初期の画像濃度の評価(以下、評価1と表記する)>
耐久使用初期(10枚目)に、高温高湿環境下(32.5℃/80%RH)においてベタ黒画像部を形成し、このベタ黒画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。該ベタ黒画像の反射濃度の評価(評価1)の判断基準は以下の通りである。評価結果を表6に示す。
A:非常に良好(1.45以上)
B:良好(1.40以上1.45未満)
C:普通(1.35以上1.40未満)
D:劣る(1.35未満)
なお、本評価において、実用上問題ないレベルと考えているのは、Cランク以上の画像濃度である。
上記耐久性の評価において、耐久使用2日目終了時(1万枚印字時)に後述する「ネガゴースト」の評価を行った。また、耐久使用3日目終了時(1.5万枚印字時)に後述する「白抜け」の評価を行った。
その結果、耐久初期と比較してゴースト、白抜けがほとんど見られない、濃度が均一な画像を得ることができた。
[ネガゴーストの評価]
ネガゴーストに関する画像評価には、高温高湿環境下(32.5℃/80%RH)において、現像スリーブの一周分だけベタ黒画像の帯を出力した後、ハーフトーンの画像を出力した。パターンの概略図を図7に示す。
評価方法は、一枚のプリント画像のうち、現像スリーブ2周目において、1周目でベタ黒画像が形成された場所(黒印字部)と、されない場所(非画像部)での、マクベス濃度反射計により測定された反射濃度の差を下記のごとく算出した。ネガゴーストは、一般的に現像スリーブ2周目で出る画像において、現像スリーブ1周目に黒印字部だった部分の画像濃度が、現像スリーブ1周目に非画像部だった部分の画像濃度よりも低く、1周目で出したパターンの形がそのまま現れるゴースト現象である。ここの濃度差を、反射濃度差を測定することにより評価を行った。
「反射濃度差」={反射濃度(現像スリーブ1周目に非画像部だった部分の画像の反射濃度)}−{反射濃度(現像スリーブ1周目に黒印字部だった部分の画像の反射濃度)}
反射濃度差が小さいほどネガゴーストの発生がないと評価される。ネガゴーストの総合評価としてA、B、C、Dの4段階で評価し、耐久使用2日目終了時(1万枚印字時)の評価(評価2)の結果を表6に示す。
(評価基準)
A:0.00以上0.10未満
B:0.10以上0.15未満
C:0.15以上0.20未満
D:0.20以上
なお、本評価において、実用上問題ないレベルと考えているのは、Cランク以上の画像濃度である。
白抜けの評価は、耐久使用3日目終了時(1.5万枚印字時)に、高温高湿環境下(32.5℃/80%RH)において、ベタ黒画像を1枚出力し、得られたベタ黒画像の濃度が、耐久使用初期(10枚目)に出力したベタ黒画像の濃度より、0.3以上低下していた場合を白抜けとした。なお、ベタ黒画像の濃度は、マクベス反射濃度計(マクベス社製
)にて測定した。白抜けは下記基準で評価した。評価結果を表6に示す。
A:白抜け部なし(非常に良好)
B:画像後半が若干濃度薄いが白抜け発生なし(良好)
C:画像後半で若干の白抜け(幅1.0cm未満)が見られる(実用上問題なし)
D:画像後半で白抜けが見られる(実用上問題あり)
実施例1において、実施例用トナー2乃至22を用いて、同様に評価を行った。
その結果、評価した全ての項目において、実用上問題ない画像を得ることができた。評価結果を表6に示す。
実施例1において、比較例用トナー1乃至11を用いて、同様に評価を行った。その結果、全ての磁性トナーにおいて、「白抜け」が実用上問題ありとなった。評価結果を表6に示す。
D:撹拌部材の幅、100:静電潜像担持体(感光体)、102:トナー担持体、103:現像ブレード、114:転写部材(転写帯電ローラー)、116:クリーナー容器、117:帯電部材(帯電ローラー)、121:レーザー発生装置(潜像形成手段、露光装置)、123:レーザー、124:ピックアップローラー、125:搬送ベルト、126:定着器、140:現像器、141:攪拌部材
Claims (6)
- 結着樹脂及び磁性体を含有する磁性トナー粒子と、無機微粒子とを含有する磁性トナーであって、
該無機微粒子がシリカ微粒子であり、
該磁性トナーの見掛け密度をB(g/cm3)とし、真密度をA(g/cm3)とし、見掛け密度を測定した状態から30回タッピングして測定されたタップ密度をP(g/cm3)としたときに、B/Aが0.39以上、0.47以下であり、
下記式(1)から得られる初期密度変化率が14.0以上、18.0以下であり、
該磁性トナーの、回転式プロペラ型ブレードを備えた粉体流動性測定装置により測定される、[Total Energy量(mJ)/トナーの密度(g/ml)]が、200mJ/(g/ml)以上、300mJ/(g/ml)以下であることを特徴とする磁性トナー。
(式1)初期密度変化率={1−(B/P)}×100 - 前記磁性トナーの平均円形度が0.960以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
- 前記磁性トナーの真密度が、1.50以上、1.65以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナー。
- 前記シリカ微粒子の見掛け密度が、15g/L以上、45g/L以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁性トナー。
- 前記シリカ微粒子は、シリカ原体をシリコーンオイル、並びに、シラン化合物及び/またはシラザン化合物によって疎水化処理することで製造されており、
該シリカ微粒子の該疎水化処理に由来する炭素量をC、該シリカ微粒子の該シラン化合物及び/またはシラザン化合物による疎水化処理に由来する炭素量をC(A)としたときに、該Cが4.0質量%以上、10.0質量%以下であり、該C(A)のCに対する百分率[C(A)/C×100(%)]が下記式2を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁性トナー。
(式2)5≦C(A)/C×100(%)≦20 - 前記磁性トナーは、前記シリカ微粒子を磁性トナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上、1.50質量部以下含有し、X線光電子分光装置(ESCA)により求めた、該磁性トナー表面の該シリカ微粒子による被覆率X1が50.0面積%以上、75.0面積%以下であり、該シリカ微粒子による理論被覆率をX2としたとき、下記式3で示される拡散指数が下記式4を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁性トナー。
(式3)拡散指数=X1/X2
(式4)拡散指数≧−0.0042×X1+0.62
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