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JP6199727B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池および太陽電池の製造方法に関する。
潜在的に高い光電変換効率を有する太陽電池として裏面電極型太陽電池がある。図4は、一般的な裏面電極型太陽電池の断面模式図である。図4に示すように、裏面電極型太陽電池200は、シリコン等の半導体基板201に対し、ベース層205およびエミッタ層203が同一面内に配置される構造をしており、これらの上に正負の電極209および210が配置されている。図4のように、同一面内に2つの拡散層(エミッタ層203およびベース層205)を設ける必要があるため、製造工程においては、相互拡散を避けるためシリコン酸化膜等で拡散マスクを形成したりする必要がある。
受光面側には、通常反射率低減のためにテクスチャと呼ばれる微細な凹凸204aが形成され、さらにこの上に反射防止膜208が設けられる。また、裏面には、裏面パッシベーション層207が設けられる。前述のとおり、電極はすべて裏面側に配置されるため、電極による入射光のロスがなくなり、高い光電変換効率を示す。また、さらに変換効率を高めるため、基板表面に、基板の導電型と同じ電界層(FSF(Front Surface Field)層206)を設けることもある。FSF層については、特許文献1〜3などで公知の方法となっている。
上記エミッタ層、ベース層、FSF層の形成方法としては、熱拡散法が広く用いられる。例えば、基板上にエミッタ層を形成する際には、基板を熱処理炉に入れ、基板がn型の場合はp型の拡散源として、B、Al、Ga等、基板がp型の場合はn型の拡散源として、P、As、Sb等を用い、拡散源毎に所定の温度、時間滞留させて基板の表面から熱拡散させることで拡散層が形成される。
特開平3−285360号公報 特開2008−186927号公報 特開2011−159783号公報 特開2010−161310号公報
裏面電極型太陽電池においては、ベース層205の占有面積は小さい方が光生成キャリアの収集効率は向上する。しかしながら、ベース面積を小さくしていくと、電極との接触面積が減少しコンタクト抵抗が増大して、結果的には変換効率の低下をもたらす。一方、電極との接着性を向上させるためには、表面積は大きい方が好ましい。従って、変換効率を高めるためには、ベース面積を小さくしながらも、ベース層の表面積を大きくし、コンタクト抵抗を維持する必要があった。
また、裏面電極型太陽電池は、上述のように相互拡散を避けるため、マスク工程が多く工数が多くなるという問題があった。これに対し、特許文献4では、裏面のパッシベーション膜を受光面テクスチャ形成のマスクとして利用する優れた発明が開示されている。しかしながら、この方法を用いても、2度のマスク形成、除去工程が生じ、簡易な方法とはいえなかった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、コンタクト抵抗を低減して光電変換効率を高めた太陽電池を提供することを目的とする。また、マスク工程の少ない太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、第一の導電型の半導体基板の第一主表面上に、前記第一の導電型と同じ導電型の第一導電型層及び前記第一の導電型と反対の導電型の第二導電型層を有する太陽電池であって、
前記第一導電型層の表面及び前記半導体基板の第二主表面上に凹凸を有するものであることを特徴とする太陽電池を提供する。
このような太陽電池であれば、第一導電型層(ベース層)の表面積を大きくしつつ、第一主表面(裏面)全体に対する第一導電型層の占有面積(ベース面積)を小さくすることができる。その結果、コンタクト抵抗を低減して光電変換効率を高めた太陽電池とすることができる。
また、前記凹凸の高さが1〜50μmであることが好ましい。
本発明の太陽電池は、このような高さの凹凸を有することが、特に好適である。
また、前記凹凸がテクスチャであることが好ましい。
このような太陽電池であれば、第二主表面の反射率をより低下することができる。
また、前記第二導電型層の表面が凹凸を有しないことが好ましい。
このような太陽電池であれば、裏面電極型太陽電池としてより好ましい。
更に本発明では、第一の導電型の半導体基板の第一主表面上の少なくとも一部に、前記第一の導電型と反対の導電型の第二導電型層を形成する工程と、
前記第一主表面上に、部分的にマスクを形成する工程と、
前記半導体基板上の第二主表面上及び前記第一主表面上の前記マスクが形成されていない部分に凹凸を形成する工程と、
前記凹凸が形成された部分の前記第一主表面上に、前記第一の導電型と同じ導電型の第一導電型層を形成する工程と
を有することを特徴とする太陽電池の製造方法を提供する。
このような太陽電池の製造方法であれば、コンタクト抵抗を低減して光電変換効率を高めた太陽電池を安定して得ることができる。また、従来の裏面電極型太陽電池の製造方法と比べて、マスク工程を減らすことができる。その結果、製造コストを減らし、生産性を向上させることができる。
また、前記第二導電型層を形成する工程において、前記第二導電型層を前記第一主表面の全面に形成し、前記マスクを形成する工程において、前記第一導電型層を形成する部分以外に前記マスクを形成することが好ましい。
このような太陽電池の製造方法であれば、第二導電型層(エミッタ層)形成時に第一主表面等にマスクを形成する必要がないため、製造工数を更に減らすことができる。
また、前記第二導電型層を形成する工程において、前記第二導電型層を前記第一主表面に部分的に形成し、前記マスクを形成する工程において、前記第二導電型層上に前記マスクを形成することが好ましい。
このような太陽電池の製造方法であれば、所望のパターンの第二導電型層を予め第一主表面に形成することができる。
また、前記凹凸をテクスチャとすることが好ましい。
凹凸をテクスチャとすることによって、第二主表面の反射率がより低下した太陽電池を得ることができる。
また、前記テクスチャを、アルカリ性溶液に前記半導体基板を浸漬することにより形成することが好ましい。
このような方法であれば、容易にテクスチャを形成することができる。
また、前記第一導電型層及び前記第二導電型層を熱拡散により形成することが好ましい。
このような方法であれば、製造コストの面で好ましい。
本発明の太陽電池であれば、第一導電型層(ベース層)の表面積を大きくしつつ、第一主表面全体に対する第一導電型層の占有面積(ベース面積)を小さくすることができる。その結果、コンタクト抵抗を低減して光電変換効率を高めた太陽電池とすることができる。また、本発明の太陽電池の製造方法であれば、裏面電極型太陽電池において、工程を簡略化しながら、ベース層とFSF層が一度に形成でき、さらに、ベース面積は小さくなっても凹凸(例えばテクスチャ)が存在するためベース領域の表面積は増加し、電極とのコンタクト抵抗は低い状態で維持される。従って、これにより得られる太陽電池は高い光電変換効率を有する。
本発明の太陽電池の一例を示す断面模式図である。 本発明の太陽電池の製造方法の実施態様の一例を示すフロー図である。 本発明の太陽電池の製造方法の実施態様の別の例を示すフロー図である。 一般的な裏面電極型太陽電池の断面模式図である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
上記のように、コンタクト抵抗を低減して光電変換効率を高めた太陽電池が求められている。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、第一の導電型の半導体基板の第一主表面上に、前記第一の導電型と同じ導電型の第一導電型層及び前記第一の導電型と反対の導電型の第二導電型層を有する太陽電池であって、
前記第一導電型層の表面及び前記半導体基板の第二主表面上に凹凸を有する太陽電池が、コンタクト抵抗が低く、光電変換効率に優れることを見出し、本発明の太陽電池を完成させた。
更に、上記のように、マスク工程の少ない太陽電池の製造方法が求められている。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、第一の導電型の半導体基板の第一主表面上の少なくとも一部に、前記第一の導電型と反対の導電型の第二導電型層を形成する工程と、
前記第一主表面上に、部分的にマスクを形成する工程と、
前記半導体基板上の第二主表面上及び前記第一主表面上の前記マスクが形成されていない部分に凹凸を形成する工程と、
前記凹凸が形成された部分の前記第一主表面上に、前記第一の導電型と同じ導電型の第一導電型層を形成する工程と
を有する太陽電池の製造方法が、マスク工程の少ない太陽電池の製造方法であることを見出し、本発明を完成させた。
以下の詳細な説明では、本発明の全体の理解、および特定の具体例でどのように実施するかを提供するために、多くの特定の細部が説明される。しかしながら、本発明は、それらの特定の細部無しに実施できることが理解されるであろう。以下では、公知の方法、手順、および技術は、本発明を不明瞭にしないために、詳細には示されない。本発明は、特定の具体例について特定の図面を参照しながら説明されるが、本発明はこれに限定されるものでは無い。ここに含まれ記載された図面は模式的であり、本発明の範囲を限定しない。また図面において、図示目的で幾つかの要素の大きさは誇張され、それゆえに縮尺通りではない。
[太陽電池]
以下、本発明の太陽電池について、n型基板の場合を例にとって、図1を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下では、第一導電型層をベース層、第二導電型層をエミッタ層、第一主表面を裏面、第二主表面を表面または受光面とも記載する。
本発明の太陽電池は、上述のように、半導体基板の第一主表面の第一導電型層の表面及び第二主表面上に凹凸を有するもの、即ち半導体基板の裏面のベース層の表面と受光面に微細な凹凸を有するものである。このような太陽電池であれば、ベース層の表面積を大きくしつつ、裏面全体に対するベース層の占有面積を小さくすることができる。その結果、コンタクト抵抗を低減して光電変換効率を高めた太陽電池とすることができる。
図1は、本発明の太陽電池の一例を示す断面模式図である。図1に示すように、本発明の太陽電池100は、シリコン等の半導体基板101に対し、ベース層105およびエミッタ層103が同一面内に配置される構造をしており、これらの上に正負の電極109および110が配置されている。更に、受光面には凹凸104a、ベース層105の表面には凹凸104bが形成されている。更に、通常、受光面には、FSF層106が形成されている。更に、FSF層106の上には、反射防止膜108が設けられ、裏面には、裏面パッシベーション層107が設けられる。
また、凹凸の高さは1〜50μmであることが好ましい。本発明の太陽電池は、このような高さの凹凸を有することが、特に好適である。1〜50μmの範囲であれば、反射防止効果が大きい上に、形成するのも比較的容易にできる。
また、凹凸がテクスチャであることが好ましい。このような太陽電池であれば、第二主表面の反射率をより低下することができる。
また、前記第二導電型層の表面が凹凸を有しないことが好ましい。このような太陽電池であれば、裏面電極型太陽電池としてより好ましい。これは、発電時、エミッタ層で発生した少数キャリアは、表面において少なからず再結合してしまうからである。すなわち、凹凸をなくし表面積を小さくすれば、再結合する可能性は減少し、ひいては光電変換効率の向上につながる。
[太陽電池の製造方法]
以下に、本発明の太陽電池の製造方法の一例を、n型基板の場合を例にとって、図2、3を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図2は、本発明の太陽電池の製造方法の実施態様の一例を示すフロー図であり、第二導電型層(エミッタ層)を第一主表面(裏面)に部分的に形成する工程を含むフロー図である。図3は、本発明の太陽電池の製造方法の実施態様の別の例を示すフロー図であり、第二導電型層(エミッタ層)を第一主表面(裏面)の全面に形成する工程を含むフロー図である。
まず、図2の工程(2−a)、図3の工程(3−a)に示すように、高純度シリコンにリン、砒素、アンチモンのようなV族元素をドープし、比抵抗0.1〜5Ω・cmとしたアズカット単結晶{100}n型シリコン基板101表面のスライスダメージを、濃度5〜60%の水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような高濃度のアルカリ、もしくは、ふっ酸と硝酸の混酸などを用いてエッチングする。単結晶シリコン基板は、CZ法、FZ法いずれの方法によって作製されてもよく、また、後のドーパント拡散が再現性よくできるのであれば該エッチング工程は必ずしも必要ではない。また、基板は必ずしも単結晶である必要はなく、多結晶でもかまわないが、多結晶の場合は少数キャリアのライフタイムが小さい等の理由から、高効率を狙うには単結晶が好ましい。
次に、n型基板101の裏面にエミッタ層(第二導電型層)103を形成する。エミッタ層はパターン状に形成してもよいし、後の理由から、裏面全面に形成してもよい。エミッタ層はエピタキシャル製膜やドーパント元素を加速して基板に照射するインプラ(イオン注入)法等で形成することができるが、コストの面から熱拡散法が好ましい。拡散源としては、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等が使用できる。ホウ素を用いる場合は、BBrなどの拡散源をキャリアガスと共に熱処理炉内に導入して拡散させる気相拡散法や、ホウ酸などのホウ素源を溶剤に溶解して基板に塗布し熱処理する塗布拡散法等を用いることができる。
ここで、まず、エミッタ層を基板裏面の全面に形成した場合について下記に示す。
図3の工程(3−d)に示すように、基板101、101´の2枚を重ね合わせた状態で熱処理炉に載置し、BBr等の拡散源、アルゴン、窒素等のキャリアガスとともに900〜1100℃、1〜60分程度の熱処理を施すことにより、裏面全面にエミッタ層103、103´を形成することができる(2枚重ね拡散)。また、ホウ酸などを純水やアルコールに溶解した塗布剤を裏面上に塗布し、900〜1100℃、1〜60分程度の熱処理を施すことでも裏面全面にエミッタ層を形成することができる。この際、上記の2枚重ね拡散をすれば、受光面へのホウ素の回り込みを小さくでき、生産性も向上できるので好ましい。
このような方法であれば、エミッタ層形成時に裏面等にマスクを形成する必要がないため、製造工数を更に減らすことができる。
次に、エミッタ層をパターン状(部分的に)に形成する場合の方法について下記に示す。
エミッタ層は、パターン状に形成してもよい。パターン形成の場合は、マスク(拡散マスク)が必要となる。拡散マスクとしてはシリコン酸化膜や、シリコン窒化膜等が使用できる。シリコン窒化膜の製膜には化学気相成長(CVD)法が、シリコン酸化膜の製膜にはCVD法や熱酸化法が使用できる。図2の工程(2−b)に示すように、これらの方法を用いて裏面全面に拡散マスク102a、102bを製膜した後、図2の工程(2−c)に示すように、フォトリソグラフィー法やエッチングペースト等を用いてエミッタ形成する部分のみ開口する。パターンは例えば0.5〜2mm周期の平行線が可能であるが、線ではなく周期的に点在させてもかまわないし、略全面をエミッタとし非エミッタ領域を点在させてもかまわない。開口した後、図2の工程(2−d)に示すように、上記方法を用いてエミッタ拡散を行い、エミッタ層103を形成する。
エミッタ層拡散後、受光面に酸化膜がある場合には、これの除去が必要である。また、拡散を行うと表面には少なからずガラス層が形成される。ふっ酸などでこれら酸化膜やガラス層を除去する。例えば濃度1〜10%のふっ酸水溶液に基板ごと短時間浸漬させることで除去することが可能である。なお、受光面に酸化膜がない場合はこの除去工程は必ずしも必要な工程ではない。
次に、第一主表面上(裏面)に、部分的にマスクを形成しベース層(第一導電型層)105形成の準備をする。上記同様、拡散マスクとしてはシリコン酸化膜や、シリコン窒化膜等が使用できる。シリコン窒化膜の製膜にはCVD法が、シリコン酸化膜の製膜にはCVD法や熱酸化法が使用できる。これらの方法を用いて裏面全面にマスク製膜した後、フォトリソグラフィー法やエッチングペースト等を用いてベース形成する部分のみ開口する。熱酸化法を用いた場合、受光面にも酸化膜が形成されてしまうため、これも同様の方法で除去する。パターンは例えば0.5〜2mm周期の平行線が可能であるが、線ではなく周期的に点在させてもかまわない。
エミッタ層が全面に形成されている場合は、図3の工程(3−e)に示すように、ベース層を形成する部分以外にマスク102cを形成する。エミッタ層が部分的に形成されている場合は、図2の工程(2−e)に示すように、部分的に形成されたエミッタ層上にマスク102cを形成する。
引き続き、図2の工程(2−f)、図3の工程(3−f)に示すように、半導体基板の第二主表面上(受光面)及び第一主表面上(裏面)のマスクが形成されていない部分(ベース形成する部分)に微小な凹凸104a、104bの形成を行う。受光面に凹凸104aを形成することによって、受光面の反射率を低下することができる。ベース形成する部分に凹凸104bを形成することによって、ベース形成する部分の表面積を大きくすることができる。
微小な凹凸は、CF、CHFなどのエッチングガスを使用する気相エッチング法や、アルカリ性もしくは酸性溶液中に基板を浸漬させる液相エッチング法のいずれかの方法を用いることによって、形成することができる。特に、アルカリ性溶液を使用する場合は、単結晶基板の面方位によりエッチング速度が異なる性質を利用するもので、{100}基板を用いた場合は、テクスチャと呼ばれる正四面体の微細なピラミッド型構造が基板表面に無数に形成できる。これらいずれかの方法で形成される凹凸形状は、例えば走査型電子顕微鏡などで確認することができる。電子顕微鏡で得られた像の中で最も高い箇所と、低い箇所の差を凹凸高さとみなすことができる。
テクスチャは、加熱した水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ溶液(濃度1〜10%、温度60〜100℃)中に10分から30分程度浸漬することで形成される。上記溶液中に、所定量の2−プロパノールを溶解させ、反応を促進させることが多い。
これにより、マスクが開口された部分のみテクスチャが形成される。すなわち、図2の工程(2−f)に示すように、エミッタ層は変質せず、ベース部および受光面のみにテクスチャが形成される。さらに、上述において裏面全面にエミッタ形成してあった場合、図3の工程(3−f)に示すように、このエッチング処理により開口部の拡散層は除去される。
テクスチャ形成後、塩酸、硫酸、硝酸、ふっ酸等、もしくはこれらの混合液の酸性水溶液中で洗浄する。これらの酸溶液いずれかに過酸化水素水を混合し加熱してもよく、この場合清浄度が向上するため好ましい。
引続き図2の工程(2−g)、図3の工程(3−g)に示すように、ベース層105形成を行う。ベース層もエピタキシャル製膜やドーパントを加速して基板に照射するインプラ法等で形成することができるが、コストの面から熱拡散法が好ましい。拡散源としては、リン、砒素、アンチモン等が使用できる。リンを用いる場合は、オキシ塩化リンなどの拡散源をキャリアガスと共に熱処理炉内に導入して拡散させる気相拡散法や、リン酸などのリン源を溶剤に溶解して基板に塗布し熱処理する塗布拡散法等を用いることができる。
基板を熱処理炉に載置し、オキシ塩化リン等の拡散源、アルゴン、窒素等のキャリアガスとともに800〜1000℃、1〜60分程度の熱処理を施すことにより、裏面開口部にベース層105を、受光面にFSF層106をそれぞれ同時に形成することができる。また、リン酸などを純水やアルコールに溶解した塗布剤を裏面上に塗布し、800〜1000℃、1〜60分程度の熱処理を施してもベース層を形成できる。この場合、リンはオートドープにより受光面へ拡散し、薄い拡散層を形成するためFSF層としては好ましい。
次いで、図2の工程(2−h)、図3の工程(3−h)に示すように、受光面に反射防止膜108形成を行う。反射防止膜としてはプラズマCVD装置によるSiNx膜やSiO膜などが使用でき、熱酸化膜も使用可能である。膜厚は85〜105nmが反射率低減効果が最大となり好適である。SiNx膜の場合は、反応ガスとして、モノシラン(SiH)およびアンモニア(NH)を混合して用いることが多いが、NHの代わりに窒素を用いることも可能であり、また、プロセス圧力の調整、反応ガスの希釈、さらには、基板に多結晶シリコンを用いた場合には基板のバルクパッシベーション効果を促進するため、反応ガスに水素を混合することもある。SiOの場合は、テトラエトキシシランを分解して使用する方法が一般的である。
次いで、図2の工程(2−h)、図3の工程(3−h)に示すように、裏面にSiNx膜等を製膜してパッシベーションを行い、裏面パッシベーション層107を形成する。反射防止膜として熱酸化膜を使用した場合は、裏面の追加製膜は不要である。
最後に図2の工程(2−i)、図3の工程(3−i)に示すように、電極形成を行う。電極形成には、蒸着法、スパッタ法、めっき法、インクジェット法等が使用できるが、コストの観点から印刷法が好ましい。スクリーン印刷法を用いる場合は、Ag粉末とガラスフリットを有機物バインダと混合したAgペーストを、例えば櫛歯状のパターン状に印刷する。電極印刷の後、焼成により表面絶縁膜にAg粉末を貫通させ(ファイアースルー)、電極109および110とシリコン等の半導体基板101を導通させる。焼成は、通常700〜900℃の温度で5〜30分間処理することで行われる。
本発明の太陽電池の製造方法によれば、工程を簡略化しながらも、ベース層とFSF層が一度に形成でき、さらに、ベース面積は小さくなっても凹凸(例えばテクスチャ)が存在するため表面積は増加し、電極とのコンタクト抵抗は低い状態で維持される。従って、これにより得られる太陽電池は、高い光電変換効率を有する。本発明の太陽電池の製造方法であれば、上記のように工程が簡略化されているため、従来よりも低コストで、高い出力を有する太陽電池を製造することができる。
以上、n型基板の場合を例に説明したが、p型基板の場合でも、上記のドーパント材料を逆に使用すればよく、何ら問題はない。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の有効性を確認するため、本発明の太陽電池の製造方法で太陽電池を作製した。
[実施例]
基板厚さ200μm、比抵抗1Ω・cmの、リンドープ{100}n型アズカットシリコン基板8枚に対し、熱濃水酸化カリウム水溶液によりダメージ層を除去した。
次に、BBrを用いた気相拡散法により、裏面エミッタ層を形成した。基板2枚を重ね合わせた状態で熱処理炉に投入し、キャリアガスをアルゴンとしたBBr雰囲気下で1000℃、30分の熱処理を行った。四探針法で測定したシート抵抗は35Ωとなった。
次に拡散マスクとして熱酸化膜形成を行った。温度1050℃、2時間、酸素雰囲気中で熱処理し、約110nmの酸化膜が基板両面に形成された。引続き、レジストを裏面にスピン塗布し、パターン状に露光、現像し、濃度10%ふっ酸に浸漬して、ベース層形成部および受光面の酸化膜を除去した。パターンは1.4mm周期、開口は200μmの平行線とした。
開口後、72℃の水酸化カリウム/2−プロパノール水溶液中に浸漬しテクスチャ形成を行い、引き続き75℃に加熱した塩酸/過酸化水素混合溶液中で洗浄を行った。これにより、開口部(ベース層形成部および受光面)のみテクスチャが形成されたことが、反射率の低下として目視にて確認された。引続きオキシ塩化リンを用いて、温度850℃、40分の気相拡散を行い、裏面開口部にベース層を、受光面にFSF層をそれぞれ同時に形成した。
次いで、プラズマCVDを用い、受光面および裏面にシリコン窒化膜を95nm製膜した。反応ガスはモノシランおよびアンモニアとし、製膜温度は400℃とした。
最後に、ベース層、エミッタ層それぞれの上に、Agペーストを櫛歯状にスクリーン印刷して乾燥し、780℃の空気雰囲気下で焼成して太陽電池を完成させた。
[比較例]
比較例として、ベース層にテクスチャを形成しないセルの作製も行った。上記の拡散マスク形成およびマスク開口後にテクスチャ形成せずリン拡散を行い、裏面にのみシリコン窒化膜をプラズマCVDにより95nm製膜した。この後受光面のテクスチャを形成し、受光面にシリコン窒化膜を製膜し、最後にスクリーン印刷法にて電極を形成した。
スペクトルAM1.5G(グローバル)、照度1cmあたり100mWの擬似太陽光条件下で電流電圧特性を測定した。各条件の平均値を下記表1に示す。
Figure 0006199727
ベース層にテクスチャを形成しないセルである比較例に比べて、実施例は、受光面のFSF層形成により短絡電流および開放電圧が改善し、さらには、ベース層表面にテクスチャが形成されることによりコンタクト抵抗が改善し、形状因子の改善が見られる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
100、200…太陽電池、 101、101´、201…半導体基板、
102a、102b、102c…拡散マスク、
103、103´、203…エミッタ層(第二導電型層)、
104a、104b、204a…凹凸、 105、205…ベース層(第一導電型層)、
106、206…FSF層、 107、207…裏面パッシベーション層、
108、208…反射防止膜、 109、110、209、210…電極。

Claims (5)

  1. 第一の導電型の半導体基板の第一主表面上の全面に、前記第一の導電型と反対の導電型の第二導電型層を形成する工程と、
    前記第一主表面上に、前記第一の導電型と同じ導電型の第一導電型層を形成する部分以外にマスクを形成する工程と、
    前記半導体基板上の第二主表面上及び前記第一主表面上の前記マスクが形成されていない部分に凹凸を形成する処理を行い、該処理により、前記マスクが形成されていない部分の前記第二導電型層の除去も行う工程と、
    前記凹凸が形成された部分の前記第一主表面上に、前記第一の導電型と同じ導電型の第一導電型層を形成する工程と
    をこの順序に従って順次行うことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 前記凹凸をテクスチャとすることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記テクスチャを、アルカリ性溶液に前記半導体基板を浸漬することにより形成することを特徴とする請求項に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記第一導電型層及び前記第二導電型層を熱拡散により形成することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記部分的にマスクを形成する工程において、前記形成されるマスクのパターンを平行線とすることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
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