JP6198535B2 - 廃液固化剤及び廃液固化剤の製造方法 - Google Patents
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しかし、いずれの場合も、液状のままで処理すると、万一の事故などによる廃液容器の破損や、廃液の飛散による二次感染の恐れがあるために、廃液、特に医療廃液を固化(ゲル化ともいう)した後に処理することが望まれている。すなわち、廃液に処理剤を投入することによって前記廃液をゲル状に固化させる廃液の処理方法が望まれている。
これらの医療廃液を固化するための廃液処理剤においては、血液や体液等に含まれている電解質による吸水性樹脂の吸水性能低下を防ぐための幾つかの手法(特許文献1、2など)が提案されている。特許文献1は、イオン型吸水性樹脂とノニオン型吸水性樹脂とをブレンドしたものである。特許文献2は、吸水性樹脂に、廃液中に含まれる電解質のイオン強度を低下させる物質、例えばキレート剤、イオン交換性樹脂、イオン感応物質等を配合したものである。
このように、吸水性樹脂からなる廃液固化剤を投入して廃液をゲル状に固化させる処理方法においては、廃液中の電解質(血液等)の濃淡に関わらず、安定した固化性能を持つ廃液固化剤は得られていないのが実状である。
本発明は、廃液中の電解質(血液等)の濃淡に関わらず、安定した固化性能を持ち、固化物中の廃液が滲み出にくく、固化物が柔らかくなり難い廃液固化剤を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の廃液固化剤は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性となる加水分解性ビニルモノマー(a2)を必須構成単位とする架橋重合体(A)からなる吸収性樹脂(X)と界面活性剤(Y)とを有する廃液固化剤であって、(Y)のHLBが5〜12であり、(Y)が25℃、103hPaで固体である廃液固化剤である。
また、本発明の廃液固化剤の製造方法は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性となる加水分解性ビニルモノマー(a2)を必須構成単位とする架橋重合体(A)からなる吸収性樹脂(X)及び界面活性剤(Y)を有する廃液固化剤の製造方法であって、(Y)のHLBが5〜12であり、(Y)が25℃、103hPaで固体である廃液固化剤の製造方法である。
更に、廃液中の電解質(血液等)の濃度が10%程度の薄い場合でも、本発明の廃液固化剤は一部が浮遊しながら徐々に沈降していくことから、廃液の固化性は良好であり、廃液の滲み出しや、固化物が柔らかくなるという問題は生じ難い。その結果、廃液中の電解質(血液等)の濃淡に関わらず、安定した固化性能を持つ廃液固化剤を得ることが出来る。
本発明の廃液固化剤は、上記条件を満たすことにより、廃液中の電解質の濃度が高くなっても廃液が滲み出にくく、固化物が柔らかくなりにくい。また、容器サイズや血液濃度の変化による固化性の変化が少なくなる。
本発明の廃液固化剤は、廃液中の電解質の濃度が高くなっても廃液が滲み出にくく、固化物が柔らかくなりにくく、容器サイズや血液濃度の変化による固化性の変化が少ないという観点から、血液や体液等を含有した廃液用として好ましい。
その他のビニルモノマー(a3)を構成単位とする場合、その他のビニルモノマー単位の含有量(モル%)は、吸収性能の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の合計のモル数に基づいて、0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.1〜15である。
内部架橋剤(b)としては、公知の内部架橋剤、例えば、特開2003−225565号公報に記載の内部架橋剤が使用できる。これらの内部架橋剤のうち、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、さらに好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
これらの表面架橋剤のうち、吸水性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位の水溶性置換基{カルボキシ基、水酸基等}及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の加水分解によって生成する水溶性置換基{カルボキシ基、水酸基等}と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル、特に好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
本発明において、界面活性剤(Y)は、HLBが5〜12であり、25℃、103hPaで固体であるものである。
ここで「HLB」とは、親水性と親油性のバランスを示す指標であって、例えば「界面活性剤入門」〔2007年三洋化成工業株式会社発行、藤本武彦著〕212頁に記載されている小田法によって、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB=10×無機性/有機性
HLBを導き出すための有機性の値及び無機性の値については前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
界面活性剤(Y)のHLBが12を超えて親水性が高くなると、電解質(血液等)の濃度が10%程度まで薄くなった場合に、比較的短時間で容器の底に沈んでしまうため、電解質(血液等)を含む廃液を固化するのに長時間を要し、固化状態も離水が発生し易くなる。
界面活性剤(Y)のHLBが5未満に疎水性が強くなると、電解質(血液等)の濃度が30%程度まで濃くなった場合に吸水速度が遅くなり、廃液固化性が低下して廃液が滲み出やすくなる。
非イオン界面活性剤は、水に溶けてもイオン性を示さないが、界面活性を呈するものである。本発明において、非イオン界面活性剤としては、公知のHLBが5〜12であり、25℃、103hPaで固体である非イオン界面活性剤が含まれる。
非イオン界面活性剤としては、廃液中の電解質の濃度が高くなっても廃液が滲み出にくい及び固化物が柔らかくなりにくい観点から、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
具体的には、ジグリセリンモノラウレート[理研ビタミン(株)製のもの{ポエムDL−100(HLB=9.4)等}等]、ジグリセリンモノミリステート[理研ビタミン(株)製のもの{ポエムDM−100(HLB=8.7)等}等]、ジグリセリンモノステアレート[理研ビタミン(株)製のもの{ポエムDS−100A(HLB=7.7)等}等]、ジグリセリンモノオレート[理研ビタミン(株)製のもの{ポエムDO−100V(HLB=7.3)、リケマールDO−100(HLB=7.4)等}等]、デカグリセリンステアレート[理研ビタミン(株)製のもの{ポエムJ−0081HV(HLB=12)、ポエムJ−0381V(HLB=12)等}等]等が挙げられる。
界面活性剤(Y)の含有量が0.1重量%以上であることで、電解質(血液等)の濃度が10%程度まで薄くなった場合に容器の底に沈みにくく、電解質(血液等)を含む廃液を固化するのに長時間を要することなくし、固化状態も離水が発生しにくく、好ましい。
界面活性剤(Y)の含有量が5.0重量%以下であることで、電解質(血液等)の濃度が30%程度まで濃くなった場合に吸水速度が遅くなることがなく、廃液固化性が低下することがないので廃液が滲み出にくく、好ましい。
吸水性樹脂(X)の表面近傍に界面活性剤(Y)を有するものとしては、下記方法により得たものが挙げられる。
(1)固体である界面活性剤(Y)をそのまま吸水性樹脂(X)に例えばドライブレンド法のように直接混合させる方法
(2)水や親水性有機溶媒中に、界面活性剤(Y)をスラリー状に分散させて吸水性樹脂(X)に混合する方法
(3)疎水性の有機溶媒中に、界面活性剤(Y)を溶解させて、吸水性樹脂(X)を含浸させ、乾燥する方法
これらの混合方法のうち、乾燥のしやすさ及び残留溶剤が少ない観点から、(1)が好ましい。
添加物としては、公知(たとえば特開2003−225565号公報)の添加剤{防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}等が使用でき、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
ヌレ時間(I):25℃の0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50gを入れた有効容積100ml(内径50mm)のビーカーに、廃液固化剤1.00gを一括で投入してから廃液固化剤が湿潤するまでの時間。
ヌレ時間(I)が20秒以上であることで、電解質(血液等)の濃度が10%程度まで薄くなった場合に比較的短時間で容器の底に沈んでしまうことがなく、電解質(血液等)を含む廃液を固化するのに長時間を要することがなく、固化状態も離水が発生しにくく、好ましい。
ヌレ時間(I)が90秒以下であることで、電解質(血液等)の濃度が30%程度まで濃くなった場合に吸水速度が遅くなることがなく、廃液固化性が低下することがないので廃液が滲み出にくく、好ましい。
従って、ヌレ時間(I)を上記範囲とすることで、吸水倍率、吸収速度が適度となり、容器サイズの大小にかかわらず、廃液を固化することができる。
25℃の0.90質量%塩化ナトリウム水溶液50gを入れた、軸方向を鉛直として置かれた有効容量100mlのビーカー(内径50mm、高さ70mm)の上部に、JIS−K3362記載の見かけ密度測定用ロートを、その下部口の液面からの高さが50mmになるように設置する。該ロートの下部口を開けた状態で、該ロート内に静かに廃液固化剤1.00gを投入し、廃液固化剤を投入してから廃液固化剤が湿潤するまでの時間を測定する。廃液固化剤の外観が透明になった時点を湿潤した時点として判断する。
ヌレ時間(II):塩化ナトリウムを0.9重量%及び下記凝結防止剤入り牛血を10重量%含む25℃の水溶液50gを入れた有効容積100ml(内径50mm)のビーカーに、廃液固化剤1.00gを一括で投入してから廃液固化剤が湿潤するまでの時間。
凝結防止剤入りの牛血:牛血4000mlに、pH8.0に調整した0.5Mのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム水溶液200mlを加えた牛血。
0.5Mのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム水溶液の作成法
37.2gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物を160mlの水に加えた後、水酸化ナトリウムを加えてpH8.0に合わせ、更に水を追加して200mlの0.5Mエチレンジアミン四酢酸ナトリウム水溶液を作成する。
ヌレ時間(II)が80秒以上であることで、電解質(血液等)の濃度が10%程度まで薄くなった場合に短時間で容器の底に沈んでしまうことがなく、電解質(血液等)を含む廃液を固化するのに長時間を要することなく、固化状態も離水が発生しにくく、好ましい。
ヌレ時間(II)が500秒以下であることで、電解質(血液等)の濃度が30%程度まで濃くなった場合に吸水速度が適度であり、廃液固化性が低下することがなく廃液が滲み出にくく、好ましい。
従って、ヌレ時間(II)を上記範囲とすることで、吸水倍率、吸収速度が適度となり、容器サイズの大小にかかわらず、廃液を固化することができる。
塩化ナトリウムを0.9重量%及び上記凝結防止剤入り牛血を10重量%含む25℃の水溶液50gを入れた、軸方向を鉛直として置かれた有効容量100mlのビーカー(内径50mm、高さ70mm)の上部に、JIS−K3362記載の見かけ密度測定用ロートを、その下部口の液面からの高さが50mmになるように設置し、該ロートの下部口を開けた状態で、該ロート内に静かに廃液固化剤1.00gを投入し、廃液固化剤を投入してから廃液固化剤が湿潤するまでの時間を測定する。廃液固化剤の外観が透明になった時点を湿潤した時点として判断する。
ヌレ時間(III):塩化ナトリウムを0.9重量%及び下記凝結防止剤入り牛血を30重量%含む25℃の水溶液50gを入れた有効容積100ml(内径50mm)のビーカー内に、廃液固化剤1.00gを一括で投入してから廃液固化剤が湿潤するまでの時間。
凝結防止剤入りの牛血:牛血4000mlに、pH8.0に調整した0.5Mのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム水溶液200mlを加えた牛血。
ヌレ時間(III)が300秒以上であることで、電解質(血液等)の濃度が10%程度まで薄くなった場合に短時間で容器の底に沈んでしまうことがなく、電解質(血液等)を含む廃液を固化するのに長時間を要することなく、固化状態も離水が発生しにくく、好ましい。
ヌレ時間(III)が1800秒以下であることで、電解質(血液等)の濃度が30%程度まで濃くなった場合に吸水速度が適度であり、廃液固化性が低下することがなく廃液が滲み出にくく、好ましい。
従って、ヌレ時間(III)を上記範囲とすることで、吸水倍率、吸収速度が適度となり、容器サイズの大小にかかわらず、廃液を固化することができる。
塩化ナトリウムを0.9重量%及び上記凝結防止剤入り牛血を30重量%含む25℃の水溶液50gを入れた、軸方向を鉛直として置かれた有効容量100mlのビーカー(内径50mm、高さ70mm)の上部に、JIS−K3362記載の見かけ密度測定用ロートを、その下部口の液面からの高さが50mmになるように設置し、該ロートの下部口を開けた状態で、該ロート内に静かに廃液固化剤1.00gを投入し、廃液固化剤を投入してから廃液固化剤が湿潤するまでの時間を測定する。廃液固化剤の外観が透明になった時点を湿潤した時点として判断する。
生理食塩水の吸収倍率は、吸水性樹脂(X)の内部架橋及び/又は表面架橋の量を増加させることにより減少させることができ、内部架橋及び/又は表面架橋の量を減少させることにより増加させることができる。
生理食塩水の吸収倍率の測定方法は下記である。
縦20cm、横10cm、幅約5mmのナイロン製の網袋(250メッシュ)に、廃液固化剤の試料(サンプル量;0.1g)を入れ、これを袋ごと過剰の生理食塩水(25℃)に浸す。浸漬60分後に袋ごと空中に引き上げ、静置して30分間水切りした後、質量(Sg)を測定して下式より吸収倍率を求める。
[網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量(Tg)をブランクとする。]
生理食塩水の吸収倍率=(S−T)/0.1
生理食塩水の荷重下吸収量の測定方法は下記である。
[生理食塩水の荷重下吸収量の測定法]
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、250〜500μmの粒子径にふるい分けした測定試料0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この測定試料の上に分銅(重量:200g、外径:24.5mm、)を乗せる。この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M1)を計量した後、生理食塩水60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、60分静置する。60分後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、これを斜めに傾け、垂れた水滴を除去した後、測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M2)を計量し、次式から荷重下吸収量を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃である。
生理食塩水の荷重下吸収量(g/g)={(M2)−(M1)}/0.16
また、架橋重合体(A)は、必要により内部架橋剤(b)を構成単位としてもよく、(b)として好ましいものは上述と同様である。
(1)固体である界面活性剤(Y)をそのまま吸水性樹脂(X)に例えばドライブレンド法のように直接混合させる方法
(2)水や親水性有機溶媒中に、界面活性剤(Y)をスラリー状に分散させて吸水性樹脂(X)と混合する方法
(3)疎水性の有機溶媒中に、界面活性剤(Y)を溶解させて、吸水性樹脂(X)を含浸させる方法
これらの混合方法のうち、乾燥性しやすさ及び残留溶剤の低減の観点から、(1)が好ましい。
工程(I):架橋重合体(A)の表面を架橋処理する工程
本発明の廃液固化剤は、飲料廃液、工場廃液、放射線廃液、糞尿廃液など各種の廃液の固化に使用でき、廃液中に有機物や固体分散物等が含まれていてもよく、その迅速かつ均一な固化から、従来の問題を多く抱えた医療廃液の固化に好ましく使用される。廃液とは、廃棄するための水性液もしくは濾漏した水性液を指す。
本発明の廃液固化剤を用いて、本発明の廃液固化方法を使用することにより、廃液中の電解質(血液等)の濃淡に関わらず、安定した固化性能が得られることから、廃液が滲み出にくく、固化物が柔らかくなりにくい。
包装体の大きさとしては、10〜1,000gの廃液固化剤を密封することができ、その一部を開放して、そこから廃液固化剤を取り出せるものが好ましく、例えば、ポリ広口ビン、水溶性及び透水性の包装体等が挙げられる。
ポリ広口ビンとしては、ソフトパッキン付ポリ広口ビン(市販品では、例えば、テラオカ研究機器製カタログ800記載のもの;材質ポリエチレン等)等が挙げられる。
1Lのビーカーに、アクリル酸230.4g(3.2mol)、架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0g(3.9mmol)、及び水1001.7gを添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリエント電機(株)製、商品名溶存酸素計 DO220PBで測定)とした後、重合開始剤として、35%の過酸化水素水0.023g、L−アスコルビン酸0.00575g、及び過硫酸カリウム0.23gを添加した。約30分後、重合反応が開始し、約2時間後に最高温度60℃に到達した。更に、この温度で5時間熟成させて重合を完結させた。得られた重合体は、含水ゲル状を有していた。この重合体をニーダー((株)入江商会製、商品名BENCH KNEADERPNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して細断し、更に48%の水酸化ナトリウム水溶液192.0gを配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合し含水ゲル状重合体(A1)を得た。その後、バンド乾燥機(透気乾燥機、井上金属(株)製)を用いて120℃で1時間乾燥し、市販のジューサーミキサーにて粉砕し、目開き850及び106μmのふるいを用いて106〜850μmの粒度に調整した後、この100部を高速攪拌(ホソカワミクロン(株)製、高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの10重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の2部(0.1モル%)をスプレー噴霧しながら加えて混合した。この混合物を140℃で30分間静置して加熱架橋(表面架橋)することにより重量平均粒子径370μm(日機装(株)製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)の吸収性樹脂(X1)を得た。(X1)100部をナウター型混合機に入れて粉末を撹拌しながらリョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)0.8部を添加した後、(X1)とリョートーシュガーエステルS−1170を80〜90℃に保ちながら30分間撹拌して均一に混合させた。その後、含水率を4.5重量%に調整して廃液固化剤(1)を得た。なお、含水率は4.5重量%より低い場合、水を噴霧することで調整、又含水率が4.5重量%より高い場合は、50〜60℃に保ちながら100〜150mmHgの減圧にて余剰水除去することで調整を行った。
実施例1において、リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)の添加量を「0.8部」から「0.5部」に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(2)を得た。
実施例1において、リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)の添加量を「0.8部」から「1.5部」に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(3)を得た。
実施例1において、エチレングリコールジグリシジルエーテルの10重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)を「2部(0.1モル%)」から「3部(0.15モル%)」に代え、リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)の添加量を「0.8部」から「1.0部」に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、含水率を4.5重量%に調整して廃液固化剤(4)を得た。
実施例1において、「リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)0.8部」に代えて、「リョートーシュガーエステルS−970(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB9)0.6部」を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(5)を得た。
実施例1において、エチレングリコールジグリシジルエーテルの10重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)を「2部(0.1モル%)」から「3部(0.15モル%)」に代え、「リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)0.8部」に代えて、「リョートーシュガーエステルS−970(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB9)1.0部」を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(6)を得た。
実施例1において、「リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)0.8部」に代えて、「リョートーシュガーエステルS−770(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB7)0.8部」を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(7)を得た。
実施例1において、「リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)0.8部」に代えて、「リケマールP−300(理研ビタミン(株)製、パルミチン酸ソルビタンエステル、HLB5.6)1.0部」を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(8)を得た。
実施例1において、「リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)0.8部」に代えて、「リケマールS−71−D(理研ビタミン(株)製、ステアリン酸ジグリセリンエステル、HLB5.4)1.0部」を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(9)を得た。
実施例1において、リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)の添加量を「0.8部」から「0.3部」に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(10)を得た。
実施例1において、「リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)0.8部」に代えて、「リケマールP−300(理研ビタミン(株)製、パルミチン酸ソルビタンエステル、HLB5.6)0.1部」を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(11)を得た。
実施例1において、エチレングリコールジグリシジルエーテルの10重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)を「2部(0.1モル%)」から「3部(0.15モル%)」に代え、「リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11)0.8部」に代えて、「リョートーシュガーエステルS−970(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB9)0.4部」を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(12)を得た。
1Lのビーカーに、アクリル酸230.4g(3.2mol)、架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.5g、及び水1001.7gを添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリエント電機(株)製、商品名溶存酸素計 DO220PBで測定)とした後、重合開始剤として、35重量%の過酸化水素水0.023g、L−アスコルビン酸0.00575g、および過硫酸カリウム0.23gを添加した。約30分後、重合反応が開始し、約2時間後に最高温度60℃に到達した。更に、この温度で5時間熟成させて重合を完結させた。得られた重合体は、含水ゲル状を有していた。この重合体をニーダー((株)入江商会製、商品名BENCH KNEADERPNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して細断し、更に48重量%の水酸化ナトリウム水溶液192.0g(中和度72%)を配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。その後、バンド乾燥機(透気乾燥機、井上金属(株)製)を用いて120℃で1時間乾燥し、市販のジューサーミキサーにて粉砕し、目開き850及び106μmのふるいを用いて重量平均粒子径370μmの粒度に調整し、含水率を4.5重量%に調整して吸収性樹脂(X2)を得た。これを比較の廃液固化剤(R1)とした。
市販のデンプン系高吸水性樹脂{三洋化成工業(株)製、商品名:サンフレッシュ(登録商標)ST−100、重量平均粒子径370μm}を比較の廃液固化剤(R2)とした。
実施例1で途中作成した吸収性樹脂(X1)を廃液固化剤(R3)とした。
実施例1において、「リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB=11)0.8部」に代えて、「リケマールPS−100(理研ビタミン(株)製、プロピレングリコールモノステアレート、HLB=3.7)1.0部」を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(R4)を得た。
実施例1において、「リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB=11)0.8部」に代えて、「リケマールS−71−D(理研ビタミン(株)製、ステアリン酸ジグリセリンエステル、HLB5.4)0.05部」を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(R5)を得た。
実施例1において、「リョートーシュガーエステルS−1170(三菱化学フーズ(株)製、ステアリン酸ショ糖エステル、HLB=11)0.8部」に代えて、「DKエステルF−140(第一工業製薬(株)製、ショ糖脂肪酸エステル、HLB=13)0.8部」を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、廃液固化剤(R6)を得た。
a)固化時間
固化時間(1)
a−1)凝固防止剤入り牛血10重量%含有0.90重量%塩化ナトリウム水溶液に対する固化時間
凝固防止剤入り牛血は、牛血4000mlを採血したのち、直ちに0.5Mのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム水溶液(pH=8.0、和光純薬工業(株)製)100mlを加え、血液の凝固を防止したものを使用した。
軸方向を鉛直として置かれた有効容積3500mlのポリエチレン製容器(上部内径1330mm、下部内径1060mm、高さ3450mm)に、塩化ナトリウムを0.90重量%及び上記凝固防止剤入り牛血を10重量%含む25℃の凝固防止剤入り牛血10重量%含有0.90重量%塩化ナトリウム水溶液3500mlを入れた。ポリエチレン製容器の上部に、JIS K3362記載の見かけ密度測定用ロートを、その下部口の液面からの高さが32mmになる様に設置し、該ロートの下部口を開けた状態で、該容器内に廃液固化剤115gを連続的に投入した後、該容器を倒しても、水溶液が動かなくなるまでの時間を固化時間(1)とした。
a−2)凝固防止剤入り牛血30重量%含有0.90重量%塩化ナトリウム水溶液に対する固化時間
凝固防止剤入り牛血は、牛血4000mlを採血したのち、直ちに0.5Mのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム水溶液(pH=8.0、和光純薬工業(株)製)100mlを加え、血液の凝固を防止したものを使用した。
軸方向を鉛直として置かれた有効容積3500mlのポリエチレン製容器(上部内径1330mm、下部内径1060mm、高さ3450mm)に、塩化ナトリウムを0.90重量%及び上記凝固防止剤入り牛血を30重量%含む凝固防止剤入り牛血30重量%含有0.90重量%塩化ナトリウム25℃の水溶液3500mlを入れた。ポリエチレン製容器の上部に、JIS K3362記載の見かけ密度測定用ロートを、その下部口の液面からの高さが32mmになる様に設置し、該ロートの下部口を開けた状態で、該容器内に廃液固化剤115gを連続的に投入した後、該容器を倒しても、水溶液が動かなくなるまでの時間を固化時間(2)とした。
固化状態(1)
b−1)凝固防止剤入り牛血10重量%含有0.90重量%塩化ナトリウム水溶液に対する固化状態
上記固化時間(1)において、凝固防止剤入り牛血10重量%含有0.90重量%塩化ナトリウム水溶液に廃液固化剤を投入してから1時間経過後に容器を床に寝かせ、容器の真ん中、軸方向にカッターナイフで切り込み、両開きにした後、固化状態(1)を以下の基準で評価した。
◎:カッターナイフの切れ込みが全く崩れず、固形物の変形もないもの
○:カッターナイフの切り込みが崩れず、固化物の形が崩れないものの少し変形しているもの
△:カッターナイフの切り込みが崩れ、固化物の形が崩れているもの
×:水溶液が固化できず、離水しているもの
b−2)凝固防止剤入り牛血30重量%含有0.90重量%塩化ナトリウム水溶液に対する固化状態
上記固化時間(2)において、凝固防止剤入り牛血30重量%含有0.90重量%塩化ナトリウム水溶液に廃液固化剤を投入してから1時間経過後に容器を床に寝かせ、容器の真ん中、軸方向にカッターナイフで切り込み、両開きにした後、固化状態(2)を以下の基準で評価した。
◎:カッターナイフの切れ込みが全く崩れず、固形物の変形もないもの
○:カッターナイフの切り込みが崩れず、固化物の形が崩れないものの少し変形しているもの
△:カッターナイフの切り込みが崩れ、固化物の形が崩れているもの
×:水溶液が固化できず、離水しているもの
ヌレ時間(I)
0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50gを100mlのガラス製のビーカー(内径50mm、高さ70mm)に量り取った後、JIS−K3362記載の見かけ密度測定用ロートを、その下部口の液面からの高さが50mmになるように設置した。該ロートの下部口を開けた状態で、該ロート内に静かに薬包紙に量り取った廃液固化剤1.00gを投入し、廃液固化剤を投入してから廃液固化剤が湿潤するまでの時間を測定し、(I)とした。
上記の固化性試験で作成した凝固防止剤入り牛血10重量%含有0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50gを100mlのガラス製のビーカー(内径50mm、高さ70mm)に量り取り取った後、JIS−K3362記載の見かけ密度測定用ロートを、その下部口の液面からの高さが50mmになるように設置した。該ロートの下部口を開けた状態で、該ロート内に静かに薬包紙に量り取った廃液固化剤1.00gを投入し、廃液固化剤を投入してから廃液固化剤が湿潤するまでの時間を測定し、ヌレ時間(II)とした。
上記の固化性試験で作成した凝固防止剤入り牛血30重量%含有0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50gを100mlのガラス製のビーカー(内径50mm、高さ70mm)に量り取り取った後、JIS−K3362記載の見かけ密度測定用ロートを、その下部口の液面からの高さが50mmになるように設置した。該ロートの下部口を開けた状態で、該ロート内に静かに薬包紙に量り取った廃液固化剤1.00gを投入し、廃液固化剤を投入してから廃液固化剤が湿潤するまでの時間を測定し、ヌレ時間(III)とした。
また、HLBが3.7と疎水性が強い界面活性剤を用いた比較例4の廃液固化剤を用いると、電解質(血液等)の濃度が30%まで濃くなった場合に吸水速度が遅くなり、廃液固化性が低下して廃液が滲み出やすくなることがわかる。
また、HLBが13と親水性が強すぎる界面活性剤を用いた比較例6の廃液固化剤を用いると、電解質(血液等)の濃度が10%程度まで薄くなった場合に短時間で容器の底に沈んでしまうため、電解質(血液等)を含む廃液を固化するのに長時間を要し、固化状態も離水が発生することがわかる。
一方、HLBが5〜12の界面活性剤を用いた実施例1〜12の廃液固化剤を用いた場合、牛血濃度が10重量%の水溶液は11〜28分、30重量%の水溶液は16〜25分と短時間で固化できることがわかる。更に、HLBが5〜12の界面活性剤を用いた実施例1〜12の廃液固化剤を用いた場合、異なる牛血濃度(10重量%と30重量%)に於いて、いずれも固化状態が良好であることから、電解質の濃度による影響が小さいことがわかる。
Claims (6)
- 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性となる加水分解性ビニルモノマー(a2)を必須構成単位とする架橋重合体(A)からなる吸収性樹脂(X)と、非イオン界面活性剤(Y)とを混合する廃液固化剤の製造方法であって、(Y)の含有量が、吸水性樹脂(X)の重量を基準として、0.2〜4.5重量%であり、(Y)のHLBが5.4〜12であり、(Y)が25℃、103hPaで固体である廃液固化剤の製造方法。
- 前記非イオン性界面活性剤(Y)が、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の廃液固化剤の製造方法。
- さらに、下記工程(I)を含む請求項1または2に記載の廃液固化剤の製造方法。
工程(I):架橋重合体(A)の表面を架橋処理する工程 - 下記に示すヌレ時間(I)が20〜90秒である請求項1〜3のいずれかに記載の廃液固化剤の製造方法。
ヌレ時間(I):25℃の0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50gを入れた有効容積100ml(内径50mm)のビーカーに、廃液固化剤1.00gを一括で投入してから廃液固化剤が湿潤するまでの時間。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた廃液固化剤を充填してなる廃液固化用包装体の製造方法。
- 廃液に廃液固化剤を投入して廃液を固化させる廃液の処理方法であって、廃液固化剤が請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた廃液固化剤である廃液固化方法。
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