JP6190635B2 - プリディストータ、プリディストータの制御方法 - Google Patents
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歪補償信号発生経路909は、3次歪信号|s1|2s1を発生する3次歪発生器9092A1と3次歪信号|s1|2s1のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う3次歪ベクトル調整器9092A2を含む歪信号生成部9092Aと、3次歪信号|s2|2s2を発生する3次歪発生器9092B1と3次歪信号|s2|2s2のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う3次歪ベクトル調整器9092B2を含む歪信号生成部9092Bと、相互変調歪信号2|s2|2s1と2|s1|2s2を発生する相互変調歪生成部90950と相互変調歪信号2|s2|2s1のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う副3次歪ベクトル調整器90951と相互変調歪信号2|s1|2s2のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う副3次歪ベクトル調整器90952を含む副歪信号生成部9095と、分配器902Aからの信号を歪信号生成部9092Aと副歪信号生成部9095にそれぞれ分配する信号分配部9091Aと、分配器902Bからの信号を歪信号生成部9092Bと副歪信号生成部9095にそれぞれ分配する信号分配部9091Bと、歪信号生成部9092Aの出力と副歪信号生成部9095の出力を合成する信号加算部9093Aと、歪信号生成部9092Bの出力と副歪信号生成部9095の出力を合成する信号加算部9093Bとを含む。信号加算部9093Aの出力は信号加算器903Aの入力となり、信号加算部9093Bの出力は信号加算器903Bの入力となる。3次歪ベクトル調整器9092A2、3次歪ベクトル調整器9092B2、副3次歪ベクトル調整器90951および副3次歪ベクトル調整器90952のそれぞれで調整するベクトル係数の値は制御器907の指示に基づく。
参考特許文献に基づくプリディストータでは、歪成分を補償するために、例えば、3次歪ベクトル調整器9092A2、副3次歪ベクトル調整器90951、3次歪ベクトル調整器9092B2、副3次歪ベクトル調整器90952の順に、それぞれのベクトル係数の調整量を決定する。このとき、各ベクトル調整器に与えるベクトル係数の決定に要する時間(以下、調整時間ともいう)が同じと仮定して調整時間をt1秒とした場合、全てのベクトル調整器のベクトル係数を決定するまでに4t1秒の時間がかかる。キャリアアグリゲーションで用いるコンポーネントキャリアの数が増えた場合、3次歪ベクトル調整器の数と副3次歪ベクトル調整器の数が増加する場合があるため、調整時間がこの例に比べてさらに増加する。つまり、調整時間はベクトル調整器の数に応じて増大する。この調整時間の増大は、歪成分を補償するまでの時間を増大させてしまう。
べき級数モデルによると、コンポーネントキャリアの数とべき級数モデルのモデル次数に応じて、種々の歪信号を想定しえる。このような歪信号は、コンポーネントキャリアごとにコンポーネントキャリアの信号だけを用いて得られる自己歪信号(k番目のコンポーネントキャリアの信号をsk、べき級数モデルのモデル次数を超えない次数をmとすると、|sk|mskと表される)と、互いに異なる二つ以上のコンポーネントキャリアの信号を用いて得られる相互変調歪信号(モデル次数が3のべき級数モデルの例であれば、例えば、|s1|2s2やs2 2s1 *などである)、の二種類に大別される。
図4に第1実施形態のプリディストータ100の構成とその周辺装置を示す。この例における周辺装置は、二つの信号発生装置A,Bと、増幅装置950と、帰還信号生成装置960である。また、この例では、信号発生装置Aが発生する信号は、1つ目の周波数帯域を用いて送信する複素ベースバンド信号s1であり、I相信号とQ相信号(以下、I/Q信号ともいう)から成るディジタル信号とする。信号発生装置Bが発生する信号は、1つ目の周波数帯域とは異なる二つ目の周波数帯域を用いて送信する複素ベースバンド信号s2であり、I相信号とQ相信号(以下、I/Q信号ともいう)から成るディジタル信号とする。
管理部1072は、歪補償信号発生経路909に含まれる四つのベクトル調整器(3次歪ベクトル調整器9092A2、3次歪ベクトル調整器9092B2、副3次歪ベクトル調整器90951および副3次歪ベクトル調整器90952)のうち制御するべきベクトル調整器を選択するように選択部1073を制御する。選択部1073は、電力測定器101に電力の測定を指示する。
選択部1073は、電力測定器101の測定結果を比較し、最も電力が大きくなる成分が入力されるベクトル調整器を選択するとともに、管理部1072に選択結果を通知する。
管理部1072は、選択部1073が選択したベクトル調整器を制御するようにベクトル調整器制御部1071に指示する。ベクトル調整器制御部1071は、摂動法(参考文献1「T. Nojima and T. Konno, “Cuber Predistortion Linearizer for Relay Equipment in 800 MHz Band Land Mobile Telephone System,”IEEE Transactions on vehicular technology, Vol. 34, Issue 4, pp.169-177, 1985.」参照)もしくは2次関数近似を用いる計算法(参考文献2「J. Ohkawara, Y. Suzuki, and S. Narahashi, "Fast Calculation Scheme for Frequency Characteristic Compensator of Digital Predistortion Linearizer," IEEE Vehicular Technology Conference Spring 2009, proceedings, Apr. 2009.」参照)などの既知の方法によって管理部1072から通知されたベクトル調整器に与える振幅と位相を制御し、歪成分を補償するための振幅と位相の調整量を求める。このとき、選択されていないベクトル調整器に与える振幅を0とすることが好ましい。0とすることによって選択されていないベクトル調整器が選択されたベクトル調整器に与える影響を低減できる場合があるからである。ベクトル調整器制御部1071は、求めた調整量を管理部1072に通知する。
ベクトル調整器制御部1071は、歪観測器906に対して3次歪成分上側帯域Ab2もしくは3次歪成分下側帯域Ab1のいずれか一方の帯域を指定してその電力測定を指示し、この測定結果に基づいて、その帯域内の電力を低減するように3次歪ベクトル調整器9092A2に与える位相と振幅をそれぞれ調整する。最初に任意に設定した位相XPの前後において指定した帯域内の電力PDを測定し、電力PDが減少する方向へ事前に定めたオフセット値ΔXPだけ位相を変更し、電力PDを歪観測器906で測定する。位相の変更と電力PDの測定を繰り返すことで、電力PDが予め定めた閾値TH以下となる位相XPMINを求める。位相の調整により電力PDが予め定めた閾値TH以下とならない場合には、同様の処理によって振幅を調整する。位相と振幅の調整を繰返し行い、電力PDが予め定めた閾値TH以下となる位相XPMINと振幅XAMINをそれぞれ求める。なお、指定した帯域幅は予め定められた帯域幅としてもよい。帯域幅を狭くすることによって歪観測器906の処理を簡易化できる場合がある。
異なるR点(以下、Rは3以上の整数とする)の位相(XP1、XP2、…、XPR)にてそれぞれ指定した帯域内の電力(PD1、PD2、…、PDR)を測定し、用いた位相(XP1、XP2、…、XPR)と測定した電力(PD1、PD2、…、PDR)から、最小2乗法によって、位相に対する指定した帯域内電力の依存性を示す2次関数(PD=a2XP2+a1XP+a0)の係数(a2、a1、a0)を求める。係数(a2、a1、a0)において電力PDを最小にする位相XPMIN(=-a1/2a2)を3次歪ベクトル調整器9092A2に設定する。ここでは、2次関数を例として説明したが、位相の計算において位相に対する指定した帯域内電力の依存性として三角関数(PD=b2 cos(b1−XP)+b0)の係数(b2、b1、b0)を最小2乗法によって求めてもよい。得られた三角関数において電力PDを最小にする(すなわちb1−XP=πである)位相XPMIN(=b1−π)を3次歪ベクトル調整器9092A2に設定する。2次関数近似を用いた計算方法において、係数a2が0以下となる場合または2次関数の係数が求まらない場合、測定した電力(PD1、PD2、…、PDR)のうち最も電力を低くした位相をXPMINとしてもよい。振幅についても同様の処理によって電力PDを最小にする振幅XAMINを求め、3次歪ベクトル調整器9092A2に設定する。
最小2乗法を用いて2次関数を特定するためにはRを少なくとも3とする必要があるが、Rを大きくすることによってより高精度に近似できることから、計算時間などの要求条件が許す範囲内でRを3より大きな値としてよい。Rは位相値と振幅値の設定で同数にするのが最も簡易であるが、位相値もしくは振幅値のどちらか一方の近似精度を高める必要がある場合は、位相値と振幅値の設定でRを異なる値としてもよい。
管理部1072は、ステップS2の処理で選択されなかった各ベクトル調整器の振幅と位相を設定するようにベクトル調整器制御部1071に指示する。
ベクトル調整器制御部1071は、ステップS3の処理で得られた振幅と位相の調整量を選択されなかった各ベクトル調整器の振幅と位相の調整量として設定する。
図3に示したスペクトルにおいて送信帯域Abに発生する歪成分には二つの成分(|s1|2s1と2|s2|2s1)が合成されている。このため、3次歪ベクトル調整器9092A2に入力する歪信号(|s1|2s1)と副3次歪ベクトル調整器90951に入力する歪信号(2|s2|2s1)を用いて、この二つの歪成分をそれぞれ個別に補償することを考える。このとき、例えば信号s1と信号s2に大きな電力差があるなどの理由で二つの歪成分の電力に差がある場合、電力が小さい方の歪成分を補償するためベクトル調整器に与える振幅と位相を調整しても歪成分の電力がほとんど変化せず歪成分を補償する振幅と位相を精度良く求められない場合がある。このため、求められた振幅と位相の調整量を他のベクトル調整器の振幅と位相の調整量として設定しても歪成分が閾値TH以下とならない可能性がある。第1実施形態では、このような不都合を回避するため、最も電力が大きくなる歪信号が入力されるベクトル調整器を選択する。
第1実施形態の変形例1では、次のようにしてベクトル調整器のベクトル係数を設定する。
3次歪ベクトル調整器9092A2に入力する歪信号(|s1|2s1)の電力が最も高くかつ当該歪信号と副3次歪ベクトル調整器90951に入力する歪信号(2|s2|2s1)との電力差が予め定めた範囲内(ただし、十分に小さい範囲内であることが好ましい)となる場合、ステップS3の処理において、3次歪ベクトル調整器9092A2と副3次歪ベクトル調整器90951を一緒に調整してもよい。このとき、3次歪ベクトル調整器9092A2と副3次歪ベクトル調整器90951に与える振幅と位相はそれぞれ同じ値とする。この理由は、異なる値を設定して歪成分の電力が大きくなった場合、二つの振幅(もしくは位相)のうちどちらの影響によって歪成分の電力が増加したのか切り分けることが困難となるためである。3次歪ベクトル調整器9092A2に入力する歪信号と副3次歪ベクトル調整器90951に入力する歪信号との電力差が小さい場合、二つのベクトル調整器についてベクトル係数を一緒に調整することによって、一つのベクトル調整器を選択する場合よりもより高精度に歪成分を補償するための振幅と位相の調整量を求められる場合がある。
第1実施形態の変形例2では、次のようにしてベクトル調整器のベクトル係数を設定する。
電力増幅器の特性によっては各ベクトル調整器に与える振幅と位相をそれぞれ異なる値としなければ歪成分の電力を閾値THよりも小さくできない場合がある。このため、図6に示す手順でプリディストータ100を制御してもよい。
上述のステップS1からステップS4までの各処理が実行された後、管理部1072は、3次歪成分下側帯域Ab1,Bb1と3次歪成分上側帯域Ab2,Bb2の各電力を通知するようにベクトル調整器制御部1071に指示する。
ベクトル調整器制御部1071は、歪観測器906に3次歪成分下側帯域Ab1,Bb1と3次歪成分上側帯域Ab2,Bb2の各電力をそれぞれ測定するように指示し、歪観測器906が得た測定結果を管理部1072に通知する。
管理部1072は、通知された各帯域の電力が閾値よりも小さいか否かを判定する。管理部1072は、すべての帯域の電力が閾値よりも小さい場合、処理を終了する。電力が閾値以上となる帯域がある場合、管理部1072は、閾値以上となる帯域をベクトル調整器制御部1071に通知する。閾値は帯域ごとに個別に定めてもよい。個別に定めることによって調整時間を短縮できる場合や電力増幅器に要求される性能を緩和できる場合がある。
ベクトル調整器制御部1071は、管理部1072から通知された帯域に対応するベクトル調整器に与える振幅と位相の調整量を決定する。ここでは、該当するベクトル調整器について1つずつ順番に振幅と位相の調整量を決定する。電力増幅器の特性によっては各ベクトル調整器に与える振幅と位相の調整量が管理部1072から指示された振幅値と位相値に対して大きな差を持つことなく歪成分の電力を閾値よりも小さくできる場合がある。このため、調整時間は、オフセット値を小さくした摂動法を用いることによって短縮できる場合がある。摂動法を用いてベクトル調整器に与える振幅を調整する場合、振幅を減少させる方向にするようにしてもよい。これによって電力増幅器で発生する歪成分の電力が増加することを回避できる場合がある。なぜなら、振幅を調整するベクトル調整器に入力する成分の電力がステップS2の処理で選択されたベクトル調整器に入力する成分の電力に比べて小さいからである。
電力増幅器の特性によってはステップS4の処理にてベクトル調整器の位相のみを設定するように管理部1072がベクトル調整器制御部1071に指示してもよい。この場合、ベクトル調整器の振幅を個別に調整するように管理部1072がベクトル調整器制御部1071に指示する。電力増幅器で発生する歪成分の位相に大きな違いがなく振幅に差がある場合には、この設定方法が有効である。
図7を参照して、第2実施形態のプリディストータ200を説明する。第2実施形態のプリディストータ200は、制御器107の選択部1073が電力測定器101だけでなく歪観測器906の測定結果を用いて調整すべきベクトル調整器を選択する点が第1実施形態と異なる。電力増幅器で発生する歪成分の電力も選択の指標に加えることで、歪成分の電力を測定した後にベクトル調整器を選択することとなるが第1実施形態と比べて歪成分を補償しやすいベクトル調整器を選択できる場合がある。
第2実施形態におけるステップS21の処理は、第1実施形態におけるステップS1の処理と同じである。
選択部1073は、歪成分の電力を測定するように歪観測器906に指示する。歪観測器906は、3次歪成分下側帯域Ab1,Bb1と3次歪成分上側帯域Ab2,Bb2の各電力を測定し、測定結果を選択部1073に通知する。
選択部1073は、歪観測器906からの各電力の測定結果を比較し、電力が最も大きい帯域を選択する。次いで、電力測定器101からの各電力の測定結果を比較し、選択された帯域に対応する歪信号の電力うち電力が高い方の歪信号を選択する。帯域の選択結果と選択した歪信号が入力するベクトル調整器の選択結果を管理部1072に通知する。
管理部1072は、選択部1073が選択したベクトル調整器を制御するようにベクトル調整器制御部1071に指示する。ベクトル調整器制御部1071は、上述の摂動法もしくは2次関数近似を用いる計算法などの既知の方法によって管理部1072から通知されたベクトル調整器に与える振幅と位相を制御し、歪成分を補償するための振幅と位相の調整量を求める。この処理では、歪観測器906で測定する帯域はステップS22の処理にて選択部1073が選択した帯域を用いる。これによって最も歪成分の電力が大きい帯域の結果を用いることができるため、歪成分を低減する振幅と位相を求めやすい場合がある。ベクトル調整器制御部1071は、求めた調整量を管理部1072に通知する。
第2実施形態におけるステップS24の処理は、第1実施形態におけるステップS4の処理と同じである。
図9に第3実施形態のプリディストータ300の構成とその周辺装置を示す。この例における周辺装置は、二つの信号発生装置A,Bと、増幅装置980と、帰還信号生成装置960である。また、この例では、信号発生装置Aが発生する信号は、1つ目の周波数帯域を用いて送信する複素ベースバンド信号s1であり、I相信号とQ相信号(以下、I/Q信号ともいう)から成るディジタル信号とする。信号発生装置Bが発生する信号は、1つ目の周波数帯域とは異なる二つ目の周波数帯域を用いて送信する複素ベースバンド信号s2であり、I相信号とQ相信号(以下、I/Q信号ともいう)から成るディジタル信号とする。
歪補償信号発生経路909は、3次歪信号|s1|2s1を発生する3次歪発生器9092A1と3次歪信号|s1|2s1のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う3次歪ベクトル調整器9092A2を含む歪信号生成部9092Aと、3次歪信号|s2|2s2を発生する3次歪発生器9092B1と3次歪信号|s2|2s2のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う3次歪ベクトル調整器9092B2を含む歪信号生成部9092Bと、相互変調歪信号2|s2|2s1と2|s1|2s2とs2 2s1 *とs1 2s2 *を発生する相互変調歪生成部30950と相互変調歪信号2|s2|2s1のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う副3次歪ベクトル調整器90951と相互変調歪信号2|s1|2s2のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う副3次歪ベクトル調整器90952と相互変調歪信号s1 2s2 *のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う副3次歪ベクトル調整器30953と相互変調歪信号s2 2s1 *のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う副3次歪ベクトル調整器30954とを含む副歪信号生成部3095と、分配器302Aからの信号を歪信号生成部9092Aと副歪信号生成部3095にそれぞれ分配する信号分配部9091Aと、分配器302Bからの信号を歪信号生成部9092Bと副歪信号生成部3095にそれぞれ分配する信号分配部9091Bと、歪信号生成部9092Aの出力と副歪信号生成部3095の出力と歪信号生成部9092Aの出力とを合成する信号合成部3093を含む。信号合成部3093の出力は信号加算器303の入力となる。3次歪ベクトル調整器9092A2、3次歪ベクトル調整器9092B2、副3次歪ベクトル調整器90951、副3次歪ベクトル調整器90952、副3次歪ベクトル調整器30953および副3次歪ベクトル調整器30954のそれぞれで調整するベクトル係数の値は制御器307の指示に基づく。
ベクトル係数推定部3075は、副3次歪ベクトル調整器30953を制御するようにベクトル調整器制御部3071に指示する。ベクトル調整器制御部3071は、上述の摂動法もしくは2次関数近似を用いる計算法などの既知の方法によってベクトル係数推定部3075から通知された副3次歪ベクトル調整器30953に与える振幅と位相を制御し、歪成分を補償するための振幅と位相の調整量を求める。このとき、歪観測器306は、図12に示す相互変調歪成分下側帯域Cbの電力を測定し、測定結果をベクトル調整器制御部3071に通知する。ベクトル調整器制御部3071は、求めた調整量をベクトル係数推定部3075に通知する。
ベクトル係数推定部3075は、副3次歪ベクトル調整器30954を制御するようにベクトル調整器制御部3071に指示する。ベクトル調整器制御部3071は、上述の摂動法もしくは2次関数近似を用いる計算法などの既知の方法によってベクトル係数推定部3075から通知された副3次歪ベクトル調整器30954に与える振幅と位相を制御し、歪成分を補償するための振幅と位相の調整量を求める。このとき、歪観測器306は、図12に示す相互変調歪成分上側帯域Dbの電力を測定し、測定結果をベクトル調整器制御部3071に通知する。ベクトル調整器制御部3071は、求めた調整量をベクトル係数推定部3075に通知する。
ベクトル係数推定部3075は、ステップS31とステップS32の各処理で得られた振幅と位相の調整量を用いて3次歪ベクトル調整器9092A2,9092B2、副3次歪ベクトル調整器90951,90952に与える振幅と位相の調整量を推定する。以下に振幅を推定する例を示すが、位相の推定も同じである。ステップS31の処理で得られた歪成分を補償する振幅の調整量をYA5、ステップS32の処理で得られた歪成分を補償する振幅の調整量をYA6とする。
副3次歪ベクトル調整器30953で補償する歪成分の中心周波数をfd3、副3次歪ベクトル調整器30954で補償する歪成分の中心周波数fd4、3次歪ベクトル調整器9092A2と副3次歪ベクトル調整器90951で補償する歪成分の中心周波数fd1、3次歪ベクトル調整器9092B2と副3次歪ベクトル調整器90952で補償する歪成分の中心周波数fd2する。
3次歪ベクトル調整器9092A2および副3次歪ベクトル調整器90951に与える各振幅の調整量をYA5+(fd1-fd3)(YA6−YA5)/(fd4-fd3)とする。3次歪ベクトル調整器9092B2および副3次歪ベクトル調整器90952に与える各振幅の調整量をYA5+(fd2-fd3)(YA6−YA5)/(fd4-fd3)とする。
ベクトル係数推定部3075は、ステップS33の処理で得られた振幅と位相の調整量を各ベクトル調整器に設定するようにベクトル調整器制御部3071に指示する。ベクトル調整器制御部3071は、ベクトル係数推定部3075から通知された振幅と位相の調整量を各ベクトル調整器の振幅と位相の調整量として設定する。
ステップS31の処理では、3次歪成分下側帯域Ab1内の電力を測定し、副3次歪ベクトル調整器30953の振幅と位相の調整量を求める。ステップS32の処理では、3次歪成分上側帯域Bb2内の電力を測定し、副3次歪ベクトル調整器30954の振幅と位相の調整量を求める。ステップS33の処理では、次のような処理を行う。副3次歪ベクトル調整器30953で得られた振幅を副3次歪ベクトル調整器30953によって補償する歪成分が発生する帯域の中心周波数に配置し、副3次歪ベクトル調整器30954で得られた振幅を副3次歪ベクトル調整器30954によって補償する歪成分が発生する帯域の中心周波数に配置し、これらの振幅値に基づく線形補間によって、3次歪ベクトル調整器9092A2と副3次歪ベクトル調整器90951によって補償する歪成分が発生する帯域の中心周波数における振幅の調整量と、3次歪ベクトル調整器9092B2と副3次歪ベクトル調整器90952によって補償する歪成分が発生する帯域の中心周波数における振幅の調整量を求める。位相の推定も、この振幅の推定と同じである。
Claims (4)
- 電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すような歪補償信号を、複数のコンポーネントキャリアを含む入力信号に予め付加するプリディストータであって、
上記コンポーネントキャリアの信号を遅延伝達する線形伝達経路と、
上記コンポーネントキャリアごとに当該コンポーネントキャリアの信号だけを用いて得られる自己歪信号、および、互いに異なる二つ以上の上記コンポーネントキャリアの信号を用いて得られる相互変調歪信号のうち少なくとも一部(以下、自己歪信号と相互変調歪信号のうち少なくとも一部を歪信号と総称する)、のそれぞれを生成する歪信号生成手段と、これら歪信号それぞれに対応して設けられており、対応する歪信号の振幅と位相を調整するベクトル調整器とを含み、上記歪補償信号を出力する歪補償信号発生経路と、
上記線形伝達経路の出力と上記歪補償信号発生経路の出力とを合成する信号加算器と、
各上記歪信号の電力を上記コンポーネントキャリアの信号を用いて測定する電力測定器と、
上記信号加算器の出力に対して電力増幅を行う上記電力増幅器の出力に含まれる歪成分を観測する歪観測器と、
少なくとも上記電力測定器の測定結果を用いて上記複数のベクトル調整器のうち一部のベクトル調整器を選択して、この選択されたベクトル調整器に与える振幅および/または位相の調整量を上記歪観測器の観測結果に基づいて決定し、さらに、決定された当該調整量または当該調整量に基づく調整量を選択されなかったベクトル調整器の振幅および/または位相の調整量として設定する制御器と
を含むプリディストータ。 - 請求項1に記載のプリディストータであって、
上記制御器は、選択部と、ベクトル調整器制御部とを含み、
上記選択部は、上記電力測定器の測定結果を比較して、最も電力が大きい歪信号が入力されるベクトル調整器を選択し、
上記ベクトル調整器制御部は、上記歪観測器の観測結果に基づいて、上記電力増幅器で発生する歪成分を低減するように、上記選択部が選択したベクトル調整器に与える振幅および/または位相の調整量を決定し、さらに、決定された当該調整量または当該調整量に基づく調整量を選択されなかったベクトル調整器の振幅および/または位相の調整量として設定する
ことを特徴とするプリディストータ。 - 請求項1に記載のプリディストータであって、
上記制御器は、選択部と、ベクトル調整器制御部とを含み、
上記選択部は、上記歪観測器の観測結果を比較して、上記電力増幅器で発生する歪成分のうち電力が最も大きい歪成分が発生する帯域を選択し、さらに、上記電力測定器の測定結果のうち当該選択された帯域に対応する歪信号の電力を比較し、最も電力が大きい歪信号が入力されるベクトル調整器を選択し、
上記ベクトル調整器制御部は、上記歪観測器の観測結果に基づいて、上記電力増幅器で発生する歪成分を低減するように、上記選択部が選択したベクトル調整器に与える振幅および/または位相の調整量を決定し、さらに、決定された当該調整量または当該調整量に基づく調整量を選択されなかったベクトル調整器の振幅および/または位相の調整量として設定する
ことを特徴とするプリディストータ。 - 電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すような歪補償信号を、複数のコンポーネントキャリアを含む入力信号に予め付加するプリディストータの制御方法であって、
上記プリディストータは、
上記コンポーネントキャリアの信号を遅延伝達する線形伝達経路と、
上記コンポーネントキャリアごとに当該コンポーネントキャリアの信号だけを用いて得られる自己歪信号、および、互いに異なる二つ以上の上記コンポーネントキャリアの信号を用いて得られる相互変調歪信号のうち少なくとも一部(以下、自己歪信号と相互変調歪信号のうち少なくとも一部を歪信号と総称する)、のそれぞれを生成する歪信号生成手段と、これら歪信号それぞれに対応して設けられており、対応する歪信号の振幅と位相を調整するベクトル調整器とを含み、上記歪補償信号を出力する歪補償信号発生経路と、
上記線形伝達経路の出力と上記歪補償信号発生経路の出力とを合成する信号加算器と、
各上記歪信号の電力を上記コンポーネントキャリアの信号を用いて測定する電力測定器と、
上記信号加算器の出力に対して電力増幅を行う上記電力増幅器の出力に含まれる歪成分を観測する歪観測器と、
各上記ベクトル調整器の振幅と位相の調整量を設定する制御器とを含み、
上記制御方法は、
上記電力測定器が、各上記歪信号の電力を上記コンポーネントキャリアの信号を用いて測定するステップと、
上記制御器が、少なくとも上記電力測定器の測定結果を用いて上記複数のベクトル調整器のうち一部のベクトル調整器を選択するステップと、
上記制御器が、選択されたベクトル調整器に与える振幅および/または位相の調整量を上記歪観測器の観測結果に基づいて決定するステップと、
上記制御器が、決定された上記調整量または当該調整量に基づく調整量を選択されなかったベクトル調整器の振幅および/または位相の調整量として設定するステップと
を有するプリディストータの制御方法。
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