音速の飛行速度において推進システムのナセルカウリング表面によって作り出される音響擾乱は、吸気口が吸い込む流管の空気力学的境界面とノズルからのジェットプルーム排気とからの音響擾乱と共に、すべて、航空機の衝撃音の知覚される音の大きさに影響を与える。従来からの設計のナセルは、乗物全体の衝撃音の騒音範囲と最終的には一体となる多くの衝撃波を作り出す。これらの衝撃波の特徴の強さを弱める上での課題は、超音速の流れ場において、別の擾乱を作り出すことなく流れの流線を別のルートに変えるという固有の問題に存在する。
漏洩(Spillage)は、衝撃音の強さに大きな影響を与える吸気口の特性である。漏洩は、推進システムによって利用できない過剰な流れであり、吸入口の側部の周りで吸気口の圧縮場によって必然的にそらされる(「漏洩される」)過剰な流れである。典型的な設計では、漏洩は末端衝撃波によって発生し、その末端衝撃波は、典型的な吸気口の設計では、漏洩を発生させ得る唯一の物理的機構である。例えば、エンジンの設計から外れた運転のため、より多くの漏洩が必要とされると、吸気口の末端衝撃波は必然的により強くなり、衝撃音により大きな悪影響を与える。衝撃波であるため、この特徴は離散的であり、乗物の音響場に衝撃をもたらすことになる。そして、その離散的な性質のため、衝撃性の特徴は、他の低衝撃音設計技術を用いて減衰または打ち消すことが難しい。
変速機などのエンジンの突起部分の周りにナセルを合わせるために用いられるカウルの膨らみ又は出っ張りと同様に、吸入口およびノズル出口の両方において、流れ方向でカウリング表面に角度を付けることは、衝撃音の強さに寄与する。吸入口のカウルの角度およびナセルの出っ張りは、圧縮衝撃波を発生させる接近してくる超音速の流れに対して妨害となる特徴を作り出す。また、ノズル出口における、任意のカウルの出っ張りの下流側の表面に沿うカウルの角度は、圧縮衝撃波によって局所的な流れ場に再適応する傾向がある膨張波扇を作り出す。
最後に、典型的な設計では、流れ角度のナセルカウリングとの不整合、および、排気流出圧力のノズル出口領域への不完全な適用により、せん断面に沿って強い圧縮衝撃波および膨張再衝撃波を発生させるという特徴によって、排気ジェットプルーム自体は局所的な音響場を悪化させる。エンジンの設計から外れた運転は、この流れ角度および圧力の不整合をさらに悪化させる。これらの問題は、従来の超音速ジェットエンジンを描写する図1〜図3に例示されている。
図1は、所定のマッハ速度で運転するように構成された、吸気口構造体22およびノズル構造体24を備える従来技術の超音速ジェットエンジン20を概略的に示している。吸気口構造体22は、カウル26と中心本体28とを備える。中心本体28はカウル26と同軸に並べられている。カウル26はカウル縁部30を備えており、中心本体28は圧縮面32および尖端部34(「先端部」とも称される)を備えている。カウル縁部30および圧縮面32は共に、空気がターボ機械37へと入るのを可能にする吸気口36を画定している。
中心本体28の突出部38(「スパイク」とも称される)が、距離L1だけ、カウル縁部30から前方に延出している。従来技術の超音速ジェットエンジン20に接近する超音速の空気流(図示せず)が、吸気口36に入る前に突出部38に遭遇することになる。超音速流は、尖端部34に先ず遭遇し、後方向に斜めの角度で延びることになる初期衝撃波(図示せず)を生じることになる。その斜めの角度は、いくつかの要因があるが、従来技術の超音速ジェットエンジン20が進んでいるマッハ速度に対応する。従来から、航空機が所定のマッハ速度(「設計速度」または「巡航速度」としても知られる)で移動するときに尖端部34からカウル縁部30へと延びる初期衝撃波となる長さを、突出部38に与えることが望ましいとされている。航空機が所定のマッハ速度で移動するときに初期衝撃波を尖端部34からカウル縁部30へと延ばさせる突出部の長さを、本明細書では、「従来のスパイクの長さ」と称することにする。
ノズル構造体24は、後縁部42を有するノズル40を備えている。ノズル構造体24は、表面を有するプラグ本体44をさらに備えている。後縁部42および表面46は、排気口48を画定している。プラグ本体44は、従来技術の超音速ジェットエンジン20の運転中にターボ機械38から排出される排気ガス(本明細書では「排気プルーム」と称される)の膨張を抑制するように構成されている。プラグ本体44は、排気プルームがプラグ本体44に沿って下流に進むにつれて連続的に小さくなる直径を有しており、それによって排気プルームの膨張するガスを収める空間を提供している。排気プルームの排気ガスの膨張を抑制するプラグ本体44の能力は、プラグ本体44の後端部50で途切れる。後端部50の下流側の点において、排気プルームの排気ガスは完全に膨張することになる。
図1に示すように、プラグ本体44の突出部52が、距離L2だけ、カウル40の後縁部42から延出している。技術的に知られているように、距離L2は、従来技術の超音速ジェットエンジン20が所定のマッハ数と対応する出力設定で運転されるときに後縁部42の内側面を離れて伝播するマッハ線の交差位置に対応するように、エンジン設計者によって選択されている。後縁部42の内側面を離れて伝播するマッハ線の交差位置に対応する突出部の長さを、本明細書では、「従来のプラグ本体の長さ」と称することにある。
図2は、所定のマッハ速度で進む従来技術の超音速ジェットエンジン20を示している。従来技術の超音速ジェットエンジン20が予定経路に沿って進むとき、空気の自由流れ52が突出部38に近づいてくる。自由流れ52の一部は、流管54を形成するように仮想線で示されている。流管54は、カウル縁部30の直径に対応する直径を有しており、ターボ機械38の運転の不連続な時間間隔に対応する長さを有している。流管54内のすべての空気は吸気口構造体22と何らかの相互作用を持つことになり、流管54内の空気の一部は吸気口36に入り、空気の残りの部分は吸気口36の外に漏洩されることになる。
自由流れ52と尖端部34との間での相互作用は、初期衝撃波56を生じさせる。自由流れ52のカウル縁部30との相互作用は、圧縮面32に向かって内側に伝播する末端衝撃波58を生じさせる。また、自由流れ52のカウル縁部30との相互作用は、従来技術の超音速ジェットエンジン20から外側に伝播するカウル衝撃波60を生じさせる。カウル衝撃波60の強さは、ある程度は、カウル縁部30が水平に対して斜めにされている角度と対応している。角度が大きくなると、カウル衝撃波60はより強くなる。
従来技術の超音速ジェットエンジン20は、所定のマッハ速度で予定経路に沿って進みつつ、所定の質量流量で空気を消費するように構成されている。従来技術の超音速ジェットエンジン20は、予定経路に沿って移動するとき、流管54において利用可能な空気の体積よりも少ない体積の空気を消費することになる。したがって、流管54内にある空気の一部は吸気口36に入ることになるが、流管54内にある空気の一部は漏洩されることになる(「過剰空気」)。流管54内の過剰空気は、漏洩するために、吸気口36に対して径方向外向きである方向に移動しなければならない。しかしながら、過剰空気は、末端衝撃波58を通過する後まで、吸気口36に接近する経路から外れて移動することはできない。これは、ジェットエンジンが音速を超える速度で流管54に接近する一方で、ジェットエンジンの移動から生じて空気を介して流管54へと向かう圧力擾乱は音速でしか移動しないためである。したがって、過剰空気が吸気口36の経路から外れて移動する最初の機会は、過剰空気が末端衝撃波58を通過する後まで発生しない。この現象は図3に示されている。
図3は、流管54が吸気口36に接近するときの流管54の外側層62を示している。外側層62は、過剰空気、つまり、ターボ機械38(図2参照)によって消費されることがなく、そのため吸気口36に入ることのない、流管54の一部分を表している。外側層62は、末端衝撃波58を通過すると、自由流れ52を介して、従来技術の超音速ジェットエンジン20の移動に伴う圧力擾乱に遭遇する。そして、外側層62は、図示するように、側方へと押し出され、カウル縁部30を回り込んであふれ出る。外側層62が吸気口36への進路から外れてカウル縁部30を回り込むこの漏洩は、カウル衝撃波60をカウル縁部30の前方に移動させることになり、それによってカウル衝撃波60の強さを大きくさせてしまう。この衝撃波がより強くなると、それに伴う騒音擾乱がより大きくなることになる。
図2を参照すると、排気プルーム63が排気口48から放出されている。図示した例では、排気プルーム63は、ノズル構造体24から離れるように下流へと移動する真っ直ぐな円筒状の排気ガスを含んでいる。ノズル40の後縁部42に接近する自由流れの空気64は、排気プルーム63によって形成される真っ直ぐな円筒に対してある角度で進んでくる。自由流れの空気64が後縁部42を通過して排気プルーム63に遭遇すると、排気プルーム63によって作り出される、せん断層は固体の表面のように振る舞い、自由流れの空気64は方向を突然変化させられる。方向のこの突然の変化は、後尾衝撃波(tailshock)66を生じさせる。自由流れの空気64と排気プルーム63との遭遇は、排気プルーム63のガスを突然に方向変化させることにもなり、プルームに追加的な衝撃波を下流で生じさせることになる(図示せず)。後尾衝撃波66(およびプルームでの追加的な衝撃波)の強さは、自由流れの空気64と排気プルーム63との間のずれ量に応じることになる。
排気プルーム63は、後端部50の下流を通過すると、完全に膨張した状態に素早く達することになる。排気プルーム63が完全に膨張し、下流に移動している場所から、排気プルーム63と自由流れ64とは、互いと平行に流れることになり、共にプラグ本体44の長手方向軸線と平行である方向に流れることになる。自由流れ64が排気プルーム63と最初に遭遇する場所で始まり、排気プルーム63と自由流れ64とがプラグ本体44の長手方向軸線と平行に流れる場所で終わる遷移領域は、それらが後尾衝撃波66に近いため、所定のマッハ速度における従来技術の超音速ジェットエンジン20の移動から生じる衝撃音の知覚される音の大きさに影響を与え得る膨張および圧縮を生じさせる可能性がある。
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示のものであり、本発明、または、本発明の用途および利用を制限するようには意図されていない。さらに、前述の背景技術または以下の詳細な説明で提示されるいずれの理論によっても拘束されるような意図はいない。
流管が超音速で移動する超音速ジェットエンジンの吸気口に遭遇したときの流管からの過剰空気の漏洩を実質的に排除する吸気口構造体が、本明細書で開示される。実施形態において、吸気口構造体は、流管が吸気口衝撃波および/または末端衝撃波と遭遇する前に流管から空気をあらかじめ漏洩させる延ばされた突出部を備える、延ばされた中心本体を備えている。中心本体の長さは、長さL1(図1参照)が従来のスパイクの長さを超えるように長くされている。また、突出部は、流管が突出部を通過する際に実質的にすべての過剰空気が吸気口へと接近する進路から押し出されるように、輪郭および寸法を有している。その結果、ジェットエンジンが所定のマッハ速度で移動しつつ所定の出力設定で運転しているとき、吸気口への進路に留まる流管の空気は、ジェットエンジンのターボ機械の消費率と合致する質量流量を有していることになる。これは、吸気口で漏洩を実質的に排除し、カウル衝撃波をカウル縁部に実質的に直に留めさせることができる。これは、カウル衝撃波の強さを大きく減少させ、その結果、カウル衝撃波に伴う知覚される騒音を低減する。
また、少なくとも1つの実施形態によれば、本明細書で開示された吸気口構造体によれば、カウルを、従来の吸気口構造体と比較して実質的により小さなカウル角度とすることができる。より小さなカウル角度は吸気口をより大きな直径とさせることになるが、突出部を適切に寸法決定および構成することで、吸気口に接近する流管を、吸気口の大きくされた直径に見合うために必要な大きさが何であっても、その大きさまで増大させることができる。さらに、突出部の延ばされた長さのため、吸気口に接近する流管は、増大させることができるだけでなく、より小さなカウル角度とより揃って並ぶようにさせるために、中心本体の長手方向軸線とより揃って並ぶように転向させることもできる。小さくされたカウル角度は、カウル衝撃波の強さをさらに弱め、それにより、カウル衝撃波に伴う知覚される騒音を低減する。
本明細書では、ノズルの後縁部を通過して流れる自由流れの空気と排気プルームとの間のずれを実質的に排除するノズル構造体が開示される。一実施形態によれば、ノズル構造体は、長さL2(図1参照)が従来のプラグ本体の長さを超えるように、延ばされた突出部を備える長くされたプラグ本体を備えている。さらに、プラグ本体は、排気プルームがノズルの後縁部を通過して流れる自由流れの空気の方向と実質的に揃えられた方向でノズルを出て行かされるように、構成されている。このような構成は、ずれている排気プルームと遭遇したときに自由流れの方向の急激な変化から生じることになるであろう衝撃波を、低減または排除することになる。
さらに別の実施形態によれば、L2を長くすることで、排気プルームガスの完全な膨張を、従来のプラグ本体を備える従来のジェットエンジンと比較して、ジェットエンジンが予定経路をさらに移動するまで遅延させることができる。これは、排気プルームの遷移段階を引き伸ばし、また、自由流れをジェットエンジンの長手方向軸線と平行な方向へと等エントロピで転向させる機会をもたらし、それによって、自由流れの方向の変化などによって引き起こされるかもしれない何らかの衝撃波を排除する。さらに別の実施形態では、さらに、ノズルの後縁部が、従来のジェットエンジンのノズルの後縁部の角度と比較して小さな角度を有することができるように、プラグ本体を構成することができる。
前述のように、従来の吸気口構造体およびノズル構造体のカウル縁部およびノズル後縁部と比較して、本明細書で開示された吸気口構造体およびノズル構造体の両方は、それらのそれぞれのカウル縁部およびノズル後縁部を、自由流れの空気に対して比較的浅い角度とすることができる。これらの角度が浅くなることは、超音速飛行中の自由流れに対して、吸気口構造体およびノズル構造体の断面形状を実質的に小さくする。その結果、本開示の吸気口構造体およびノズル構造体は、それぞれ、本明細書で開示される吸気口構造体およびノズル構造体のいずれかまたは両方を備える超音速ジェットエンジンに作用する抗力を大幅に低下させる。
前述の解決策、および、それらの解決策を実施するための方法は、この適用を伴う図解を検討すると共に以下の詳細な説明を検討することで、さらに理解され得る。
図4は、吸気口72およびノズル74を備える汎用超音速ジェットエンジン70を示す概略図である。簡略化のため、汎用超音速ジェットエンジン70は、吸気口72に配置される中心本体と、ノズル74に配置されるプラグ本体とがない状態で描かれている。汎用超音速ジェットエンジン70はターボ機械76を備えており、そのターボ機械76は、所定の出力設定で運転しつつ所定の速度で移動している間に、所定の速度で空気を消費しつつ所定の速さおよび所定の圧力で排気ガスを生成するように構成されている。
流管78は、汎用超音速ジェットエンジン70の前方に位置されている。流管78は、吸気口72の直径に対応する直径を有しており、汎用超音速ジェットエンジン70が上流に進むときに吸気口72によって取り入れられる進路上にある自由流れの空気を表している。したがって、流管78に含まれる空気のすべては、何らかの形で吸気口72と相互作用することになる。その空気の一部は吸気口72を通過することになるが、残りの空気は、ターボ機械76が消費できないため、吸気口72のカウル縁部から漏洩することになる。
残余流管80が、流管78の内部に示されている。残余流管80は、汎用超音速ジェットエンジン70のターボ機械76によって消費されることになる流管78の内部の空気を表している。残余流管80以外の流管78内の空気のすべては、流管78が吸気口72と遭遇したときに、吸気口72のカウル縁部を回り込んで漏洩することになる。本開示の吸気口構造体の1つの目的は、流管78が吸気口72と遭遇する前に、残余流管80内に含まれる空気以外の空気のすべてを、吸気口72への進路の外へと押し出すことである。
排気プルーム82が、汎用超音速ジェットエンジン70の下流に位置されている。排気プルーム82は、汎用超音速ジェットエンジン70が所定の出力設定で運転されつつ所定の速度で移動しているときにターボ機械76によって排気されることになるガスの体積を表している。図示するように、排気プルーム82は、ノズル74の直径より小さい直径を有している。しかしながら、排気ガスがノズル74を出るとき、排気ガスの外周部は、ノズル74の直径と等しい直径を有している。排気ガスが下流に移動してプラグ本体の影響を逃れた後、排気ガスの直径は、排気ガスが完全に膨張され、排気ガスの静圧が排気プルーム82の周囲の自由流れの静圧と等しくなるまで、収縮することになる。本開示のノズル構造体の1つの目的は、ノズル74の外部を流れる自由流れが、完全に膨張された排気プルーム82と一体となるとき、等エントロピで(つまり、衝撃波なしで)方向を変えることを確実にすることである。
図5は、本開示の教示に従って作られた吸気口構造体92およびノズル構造体94を備える超音速ジェットエンジン90を示す概略図である。超音速ジェットエンジン90はターボ機械96をさらに備えており、そのターボ機械96は、超音速ジェットエンジン90が所定の速度で移動しつつ所定の出力設定で運転しているとき、所定の速さで空気を消費しつつ所定の速さおよび所定の圧力で排気ガスを生成するように構成されている。吸気口構造体92は軸対称な吸気口構造体を備えるようにして描写されているが、他の実施形態では、他の構成も可能であることは理解されるべきである。
吸気口構造体92は、カウル縁部100および中心本体102を備えるカウル98を具備しており、中心本体102は、カウル98内に少なくとも一部配置されつつカウル98と同軸に並べられている。中心本体102は、従来のスパイクの長さを超える長さを有する突出部104を備えている。比較の目的のため、従来のスパイクの長さを有する突出部106が、仮想線によって示されており、中心本体102の先端に重ね合わされている。突出部104の長さは、超音速ジェットエンジン90についての所望の利用および/または仕様に対応しており、また、所望の衝撃音の大きさの測定基準に合致するように要求された流管の平滑特性、および、設計外の条件における衝撃波の後での少ない漏洩に吸気口を合致させて保持するように要求された、設計内での衝撃波の前での漏洩の量を含むが、これらに限定されることのない、多くの要因に基づいて決定されてもよい。
中心本体102は、本開示の教示と矛盾することのない例示の中心本体であり、頂部108、初期圧縮面110、膨張面112、および終期圧縮面114を備える。他の実施形態では、中心本体102は、中間の膨張面(膨張面112)を省略していてもよい。カウル縁部100は、最終圧縮面114から離間されて、空気がターボ機械96による消費/使用のために通過する吸気口116を画定している。図示するように、頂部108は、吸気口116のかなり上流に位置されており、その結果、流管が吸気口116に遭遇するかなり前に、超音速ジェットエンジン90に接近する流管に衝突することができる。
流管が頂部108に遭遇するとき、流管の空気は、中心本体102から径方向外向きの方向にそらされることになる。この外向きの移動の結果、そらされた空気の一部は吸気口116への経路の外へと移動されることになる。突出部104が下流の方向で大きくなる直径を有しているため、流管が吸気口116に向かって移動し続けると、より多くの量の空気が吸気口116への経路の外へとそらされることになる。特性曲線法が中心本体102の輪郭を決定するために用いられてもよい。特性曲線法は、技術的によく知られており、期待できる超音速形状および超音速体の高速の予備的な分析のために、古典的なガスの動的関係および等式進行法を用いる。特性曲線法を用いることで、中心本体102および突出部104の正確な輪郭および寸法を、吸気口116への経路に残っている流管の空気がターボ機械96による空気消費の所定の速さと実質的に合致するように、選択することができる。その結果、末端衝撃波を通過する残りの空気の実質的にすべては、ターボ機械96によって消費されることになり、カウル縁部100では、空気の漏洩が実質的に起こることがない。適切な表面構成を作り出すために特性曲線法を用いる場合、先ず、流管の表面を吸入口のカウル縁部へと連続的に円滑であって等エントロピで増大させることを定める所望の表面の湾曲が、吸い込まれる流管に対して選択される。そして、特性曲線法は、所望の流管形状となる超音速圧縮場および超音速膨張場を作り出す中心本体の突出面104の曲率を設計するために用いられる(つまり、「逆設計」手法)。特性曲線法がこの例で用いる追加の重要なパラメータは、自由流れマッハ数、所望の緩和等エントロピ圧縮のレベル、末端衝撃波に沿ったマッハ数の分布を含んでいる。この情報を用いる場合、特性曲線法は、中心本体102に対して適切な表面形状を作り出すために用いることができる。
初期圧縮面110による空気の分散が衝撃波を発生させないことを確実にするために、ある実施形態では、初期圧縮面110は等エントロピ圧縮面となるように構成されてもよい。技術的に知られているように、等エントロピ圧縮面は、分離した衝撃波を発生させてしまうことになる任意の分離する不連続部がない連続的な湾曲形状を有している。流管の空気が初期圧縮面110によって分散されるや、超音速ジェットエンジン90の長手方向軸線とより揃えられる方向に流管を戻すように転向させることが望ましいかもしれない。これは膨張面112によって実現され、その膨張面112は、その曲率のおかげで、流管を軸線方向へと戻すように転向させる。これにより、カウル縁部100は、局所的な自由流れに対して非常に浅い角度を有することができ、それによって、カウル縁部100によって発生させられるカウル衝撃波の強さを実質的に低下させる。
終期圧縮面114は、従来の超音速ジェットエンジンの従来の圧縮面によって行われる同じ目的、つまり、流管が末端衝撃波と遭遇する前、かつ、流管が吸気口に入る前に、接近してくる流管の速度を下げることを行う。技術的に知られているように、超音速の空気流は、空気流の方向を変えるために、湾曲された表面を用いて減速させることができる。また、この終期圧縮の段階の間に、あらゆる衝撃波の発生を回避することが望ましい。したがって、ある実施形態では、等エントロピ圧縮面が用いられてもよい。他の実施形態では、終期圧縮面114を緩和等エントロピ圧縮の構成となるように構成することが望ましいかもしれない。緩和等エントロピ圧縮面は、技術的に公知であり、係属中の米国特許出願第11/639,339号、米国特許出願第13/338,005号、および米国特許出願第13/338,010号に開示されて説明されており、それら特許出願の各々は、本明細書において、その全体が参照により援用されている。終期圧縮面114を緩和等エントロピ圧縮の構成を有するように構成することで、吸気口116に接近する空気流では、従来の等エントロピ圧縮面によって引き起こされる転向量と比較して、超音速ジェットエンジン90の軸線方向からの転向量が少なくなる。これは、超音速ジェットエンジン90の軸線方向に対して比較的小さな角度を有するカウル縁部100に寄与し、そのため、結果的に生じるカウル衝撃波の強さの低下に寄与する。
超音速ジェットエンジン90は、バイパス部118をさらに備えている。バイパス部118は、ターボ機械96の周囲およびターボ機械96を過ぎた比較的高圧の歪みを有する乱流空気を、ターボ機械96を通過させずに通すために一般的に用いられる、超音速ジェットエンジン90を通る代替の流れ経路である。バイパス部118などのバイパス部は、さらに、超音速ジェットエンジン90の長手方向軸線に対して比較的浅い角度を有するカウル縁部100に寄与する。それによって、これは、カウル縁部100によって形成されるカウル衝撃波の強さをさらに低下させる超音速ジェットエンジンにおけるバイパス部の使用は、技術的に知られている。例えば、バイパス部は、米国仮特許出願第60/960,986号および米国特許出願第12/000,066号に開示されて説明されており、それら特許出願の各々は、本明細書において、その全体が参照により援用されている。
吸気口構造体92はバイパス分岐部120を備えている。バイパス分岐部120は、吸気口116に入ってくる空気を分割する(分岐する)物理的構造物であり、空気の一部をバイパス部118に沿って進ませ、空気の別の一部をターボ機械96へと導く進路122に沿って進ませる。ターボ機械96は、航空機が所定のマッハ速度へと加速する際、複数の出力設定を経ることになる。各出力設定において、ターボ機械96は、所定のマッハ速度での所定の質量流量とは異なることになる対応する質量流量で、空気を消費することになる。前述のように、中心本体102および突出部104は、吸気口116に入る空気の量を所定のマッハ速度および所定の出力設定における質量流量と実質的に合致させることになる空気の量を、あらかじめ漏洩するように構成されている。吸気口116に入る空気と、所定の出力設定で運転しつつ所定のマッハ速度で移動するときにターボ機械96によって消費されることになる空気との間に何らかの不整合がある限り、および、その不整合が漏洩となる限り、漏洩が、カウル縁部100ではなく、バイパス分岐部120において発生することになる。バイパス分岐部120における漏洩は、カウル衝撃波の強さに影響を与えることはない。他のマッハ速度について、および、他の出力設定について、吸気口116に入る空気の速度は、ターボ機械96が空気を消費する速さと合致することはない。それらのマッハ速度および出力設定について、吸気口116に入る過剰空気は、バイパス分岐部120からバイパス部118へと漏出することになる。この方法では、バイパス部118は、ターボ機械96によって消費することができない空気のためのオーバーフロー経路として機能する。
ノズル構造体94は、後縁部126を備えるノズル124と、ノズル124内に少なくとも一部配置されつつノズル124と同軸に並べられたプラグ本体128とを備えている。プラグ本体128は、従来のプラグ本体の長さを超える長さを有する突出部130を備えている。比較の目的のため、従来のプラグ本体の長さを有する突出部132が、仮想線によって示されており、プラグ本体128の先端に重ね合わされている。突出部130の長さは、超音速ジェットエンジン90についての所望の利用および/または仕様に対応しており、また、所望の衝撃音の大きさの測定基準に合致するように要求された流管の平滑特性、ジェット出口圧力およびマッハ数、ならびに、設計的な観点における最大実用長さを含むが、これらに限定されることのない、多くの要因に基づいて決定されてもよい。
プラグ本体128は、後端部134、膨張面136、および、圧縮面138を備えている。膨張面136は、後縁部126から離間されて、排気ガスが通過して排気プルームに形成される排気口140を定めている。排気ガスは、ターボ機械96が所定の出力設定で運転されるとき、所定の質量流量でターボ機械96によって生成される。その結果、排気口140の大きさおよび形状は、所望の総推力を得るように構成することができる。
ノズル124から排出される排気プルームは、排気口140の出口面積と対応し、さらに、ターボ機械96が所定の出力設定で運転するとき、かつ、超音速ジェットエンジン90が所定のマッハ速度で移動するときに、ターボ機械96から流出する排気ガスの質量流量と対応する所定の静圧を有している。後縁部126は、従来の超音速ジェットエンジンの従来のノズルと比較して、超音速ジェットエンジン90の軸線方向に対してより小さな角度を有している。より小さな後縁部の角度は、自由流れがノズル124の外表面を通過するときにより小さな抗力を発生させ、自由流れが後縁部126を越えて流れるときに自由流れをより浅い角度とさせる。
バイパス部118の存在は、超音速ジェットエンジン90の長手方向軸線に対してかなり浅い角度を有するノズル124に寄与する。バイパス部118の存在を受け入れるために、ノズル構造体94はバイパス壁141を備えている。バイパス部118を通過する空気は、バイパス壁141を越えて流れることになり、ターボ機械96によって排出される排気ガスといったいとなって排気プルームを形成することになる。バイパス部を備える超音速ジェットエンジンの実施形態の図5の例示に拘わらず、本明細書で開示される教示がバイパス部を備えていない超音速ジェットエンジンと矛盾することのないことは理解されるべきである。
以下に説明するように、ノズル124は環状の構成を有している。その結果、ノズル124から排出される排気プルームも環状の構成を有している。ノズル構造体94は、突出部130が従来のプラグ本体の長さを超える長さを有しているため、排気プルームを、従来のノズル構造体よりも長い距離で環状の構成を留めさせることができる。したがって、プラグ本体128は、図4に描写した完全に膨張した排気プルームへとすぐに崩れてしまうのではなく、排気プルームが下流方向に移動するときに、排気プルームを環状の構成に留めさせることができる(ただし環状の構成は収縮する)ように構成されている。排気プルームが環状の構成に留まっている距離を延ばすことで、自由流れが超音速ジェットエンジン90の長手方向軸線と並ぶように転向する距離が延ばされる。これは、衝撃波が生じるのを防止する助けとなる。
プラグ本体128に従来のプラグ本体の長さを超える突出部130を設けることで、環状の排気プルームの形状および輪郭を、排気プルームがノズル124から排出された後もうまく制御することができ、また、排気プルームを、後縁部126を越えて移動する自由流れと接して流れるように沿わせることができる。排気プルームを、後縁部126を越えて流れる自由流れの静圧と実質的に等しい静圧とさせる表面形状とするように、プラグ本体128を構成することで、プラグ本体128は、自由流れが超音速ジェットエンジン90の軸線方向に向かって転向する速さを制御できる。以下に説明するように、プラグ本体128および突出部130の輪郭および構成は、特性曲線法を用いて決定することができる。
図6は、一実施形態による吸気口構造体92の軸線方向からの図を示している。図示するように、吸気口構造体92は軸対称の構成を有している。頂部108は、超音速ジェットエンジン90の長手方向軸線上に位置付けられている。中心本体102は、同じ長手方向軸線と同軸上において、バイパス分岐部120とともに並べられており、それによって、カウル縁部100と同軸に並べられている。一実施形態では、吸気口構造体92は、軸対称である必要はなく、他の構成を有してもよい。
図7は、一実施形態によるノズル構造体94の軸線方向からの図を示している。図示するように、ノズル構造体94は軸対称の構成を有している。後端部134は、超音速ジェットエンジン90の長手方向軸線上に位置付けられている。プラグ本体128は、バイパス壁141と同軸に並べられており、それによって、後縁部126と同軸に並べられている。
図8は、超音速ジェットエンジン90が所定のマッハ速度で進んでおり、かつ、ターボ機械96が所定の出力設定で運転しているときの超音速ジェットエンジン90を示す概略図である。カウル衝撃波142および末端衝撃波144は、それぞれ、カウル縁部100から外向きおよび内向きに伝播するように示されている。流管78は、超音速ジェットエンジン90の上流に位置されており、吸気口116の直径に等しい直径を有している。残余流管80は、流管78の内部に示されており、ターボ機械96によって消費されることになる空気の体積を表している。
流管78が頂部108に遭遇するとき、流管78の空気は径方向外向きの方向にそれ始める。この移動は、流管78の空気の一部を吸気口116への進路の外へと押し出すことになる。流管78が吸気口116に向かって移動し続けると、流管78の空気は、下流方向において直径の大きくなる中心本体102の表面によって、径方向外向きに連続的に押し出される。吸気口116への進路の外への流管78の過剰空気の移動は、矢印143によって描写されている。残余流管80の外径の径方向への膨張は、矢印145によって描写されている。残余流管80が、図8で最初に示す位置から吸気口116の直ぐ上流側の位置まで進む時間までに、残余流管80の外径は、吸気口116の直径と等しくなるように膨張されている。
中心本体102の輪郭および直径、具体的には、突出部104の輪郭および寸法(図5参照)のおかげで、残余流管80の空気の体積は、ターボ機械96が所定の時間間隔において空気を消費する速さと実質的に等しい。その結果、残余流管80の空気の実質的にすべてが、吸気口116に入り、末端衝撃波144を通過した後にターボ機械96によって消費されることになる。これにより、末端衝撃波144を、カウル縁部100に接した状態に留めることができる。さらに、中心本体102は、空気の流れが従来の超音速ジェットエンジンに入る角度と比較して非常に浅い角度で空気の流れが吸気口116に入るように、残余流管80の空気の流れを制御して方向付けするように構成されている。これにより、カウル縁部100を比較的浅い角度とし、その結果、比較的弱いカウル衝撃波とすることができる。
ノズル124では、排気ガスが、所定の質量流量において、ならびに、部分的に排気口140の面積および形状によって決定され、ターボ機械96が排出するガスの速さおよび圧力によっても決定される静圧において、排気口140から排出される。排気ガスは、後縁部126を越えて移動すると、ノズル124の壁によってもはや拘束されなくなる。したがって、排気ガスの自然な特質により、排気ガスが下流方向に移動するにつれて、下流方向を横断する方向で外向きに膨張することになる。下流方向を横断する方向での排気ガスの移動は、後縁部126を越えて流れる自由流れの静圧によって妨害される。同様に、後縁部126を越えて移動する自由流れの下流方向を横断する方向での移動は、排気ガスの静圧によって妨害される。その結果、自由流れおよび排気ガスが後縁部126を越えて移動する位置において、自由流れおよび排気ガスは互いに遭遇して反発しあうことになる。一方の流れが他方の流れより大きな静圧である場合には、両方の流れが小さな静圧の流れの方へと転向することになる。
ノズル構造体94は、排気ガスが、ノズル出口での局所的な自由流れと一致する静圧となるように、構成されている。このため、ならびに、プラグ本体128の輪郭および構成のため、二つの流れは自由流れの方向に転向することはない。排気口140において、プラグ本体128は、膨張面(膨張面136、図5参照)を排気ガスに対して呈する輪郭を有し、排気ガスを自由流れから離れる方向で膨張可能としている。プラグ本体128および突出部130(図5参照)の具体的な輪郭および構成を選択することで、排気ガスは、プラグ本体128および突出部130の外周部が適切な大きさの静圧量を自由流れにもたらすことができる速さで、径方向内向きに膨張することができ、また、その適切な大きさの静圧を自由流れにもたらすことは、自由流れと排気ガスとが急激な方向変化を一切被ることなく、それらのせん断面において互いに接して流れるように行われる。
排気ガスが下流方向に出口140から離れるように移動し続けると、排気ガスは、径方向内向きの方向に膨張し続け、突出部130(図5参照)の直径がなくなるまで膨張し続けることができる。プラグ本体128の表面沿ったある位置において、排気ガスは膨張面136(図5参照)から離れて移動し、さらに圧縮面138(図5参照)上で移動することになる。ここで、排気ガスは、圧縮面と向かい合わされると、径方向内向きの方向で膨張する能力が減退し、その結果、排気ガスは軸線方向に揃った流れに戻り始めることになる。突出部130(図5参照)に適切な輪郭および構成を与えることで、突出部130は、自由流れを等エントロピで転向させる外向きの膨張の間に、排気ガスにその周囲において静圧を持たせることになる。
最終的に、排気ガスは後端部134を越えて移動し、その後端部134の位置において、プラグ本体128が排気ガスの膨張にさらなる影響を与えることはない。その直後、排気ガスは、その静圧が自由流れの静圧と等しくなる、完全に膨張した状態に達することになる。この位置から、排気ガス(排気プルーム82)および自由流れは、互いと平行に下流方向へと流れることになる。
プラグ本体128が自由流れに与える影響は、以下のように要約できる。自由流れは、後縁部126の外壁と接する方向から、超音速ジェットエンジン90の長手方向軸線と平行な方向へと転向される。この遷移段階の間、自由流れは、排気ガスによって発揮される静圧の結果として転向される。プラグ本体128の輪郭は、排気ガスの静圧を制御する。したがって、プラグ本体128の適切な輪郭および構成を選択することで、自由流れを、衝撃波を生じることなく等エントロピで転向させることができる。
図9は、吸気口構造体92の一部を拡大図で示している。この図は、従来の中心本体146(仮想線で示している)を備える従来の超音速ジェットエンジンと、中心本体102を搭載した超音速ジェットエンジン90とを比較している。従来の超音速ジェットエンジンは、従来のカウル148および従来のバイパス分岐部150を備えており、一方、超音速ジェットエンジン90は、カウル98およびバイパス分岐部120を備えている。図に示すように、カウル98は、自由流れに対して、従来のカウル148よりもはるかに浅い角度を有している。カウル角度のこの縮小は、前述のように、従来のスパイクの長さを超える長さを有している突出部を備える中心本体102によって、可能とさせられる。中心本体102の追加的な長さによって、中心本体102には、中心本体102上を流れる自由流れの方向を、超音速ジェットエンジン90の長手方向軸線により揃って並んだ方向に転向させる機会が与えられる。バイパス分岐部120の角度も、より長手方向の流れ方向を有する、末端衝撃波144を横切って吸気口116に入る接近する空気の流れを受け入れるように変更されている。カウル角度の急激な縮小を許容することで、中心本体102は、カウル縁部100によって生成されるカウル衝撃波の強さにおける実質的な低下に寄与する。
図10は、プラグ本体128を設計するための技術の視覚的な描写を提供している。超音速ジェットエンジン90の予想される利用に応じて、設計者は、排気ガスが完全に膨張した状態に達することと、排気ガスが自由流れの方向と平行に流れ始めることとが望ましいとされる下流の場所を、選択することになる。図10では、この場所は矢じり152によって特定されている。矢じり152同士は、ターボ機械96の既知の出力と対応する、排気プルーム82(図8参照)の直径と等しい距離だけ離間されている。長手方向軸線における矢じり152の場所は、設計基準に基づいて変化できるが、側方の方向における矢じり152同士の互いからの距離は、ターボ機械96の出力設定に基づいて固定されている。
設計者が矢じり152の場所を選択したら、次のステップは、プラグ本体128の後端部134の場所を決定することである。後端部134の場所は、マッハ線の伝播の周知の原理に基づいて決定される。マッハ線は、超音速流の表面から、以下の数式で決定される角度βで伝播することになる。
β=arcsine(1/マッハ数)
したがって、後端部134を進む排気ガスの公知のマッハ速度に関して、マッハ線154は、角度βで後端部134から伝播することになる。角度βと矢じりの場所との両方を用いて、後端部134の場所は、各矢じり152での各マッハ線154の端を位置決めし、上流の方向に見て、マッハ線同士が交差する場所を決定することによって、決定することができる。公差の位置は、後端部134が配置されることになる場所である。後端部134の場所が決定されれば、プラグ本体128の全体の長さを決定できる。
次に、所望の曲率が、自由流れを転向させるために選択される。この曲率は、仮想線155によって表され、ノズル設計者によって選択される。1つの基準は、自由流れの方向において等エントロピ変化となる曲率を選択することであるかもしれない。所望の曲率が選択されれば、プラグ本体128の輪郭および構成は、特性曲線法を用いて決定することができる。特性曲線法を利用するとき、仮想線155は境界条件であると見なされ、プラグ本体128の輪郭および構成は、排気ガスを仮想線155と沿わせることになるプラグ本体128の曲率を選択することで計算される。プラグ本体128の形状を決定するとき、計算流体力学のソフトウェアの使用など、他の技法も利用可能である。
図11は、超音速ジェットエンジンが所定の出力設定で運転しつつ所定のマッハ速度で移動するとき、所定の質量流量で空気を消費するように構成された超音速ジェットエンジンで使用するための吸気口構造体を製造するための方法156を例示するフロー図である。
ステップ158において、カウルと、中心本体と、バイパス分岐部とが準備される。ある実施形態では、超音速エンジンはバイパス部を含まなくてもよい。このような実施形態に関しては、このステップは、バイパス分岐部を準備することを含まないことになる。カウルはカウル縁部を備えている。中心本体は、頂部と、頂部の下流に配置された第1の圧縮面と、第1の圧縮面の下流に配置された第2の圧縮面とを備えている。
ステップ160において、中心本体は、中心本体がカウルと同軸となり、中心本体の突出部が従来のスパイクの長さを越える長さでカウル縁部の上流に延出し、かつ、第2の圧縮面がカウル縁部と共に吸気口を画定するようにカウル縁部から離間されるように、カウルに対して位置決めされる。
ステップ162において、バイパス分岐部と共に構成された超音速エンジンに関して、バイパス分岐部は、超音速ジェットエンジンが所定の出力設定で運転しつつ所定のマッハ速度で移動しているときに第2の所定の質量流量で空気を受け入れるように構成されたバイパス部を形成するために、カウルと中心本体との間に位置決めされる。
適切に実施されるとき、方法のステップ158〜162は、ジェットエンジンが所定の出力設定で運転しつつ所定のマッハ速度で移動しているときに、中心本体の突出部が、吸気口への進路に位置される空気の流れを吸気口への進路の外へとそらしつつ、吸気口へと接近して入る空気の残りの流れが所定の質量流量よりも大きくならないように構成される、吸気口構造体を生み出すことになる。バイパス部を備える超音速ジェットエンジンの実施形態に関しては、ジェットエンジンが所定の出力設定で運転しつつ所定のマッハ速度で移動しているときに、中心本体は、吸気口への進路に位置される空気の流れを吸気口への進路の外へとそらしつつ、吸気口へと接近して入る空気の残りの流れが第1の所定の質量流量(つまり、空気が超音速ジェットエンジンのターボ機械によって消費される所定の速さ)と第2の所定の質量流量(つまり、バイパス部がターボ機械の周囲で空気流を通す速さ)とを合わせた流量よりも大きくならないように構成される。
図12は、超音速ジェットエンジンが所定の出力設定で運転しつつ所定のマッハ速度で移動するとき、排気ガスのプルームを生成するように構成された超音速ジェットエンジンで使用するためのノズル構造体を製造するための方法164を例示するフロー図である。
ステップ166において、ノズルと、プラグ本体と、バイパス壁とが準備される。ある実施形態では、バイパス部が利用されない。このような実施形態に関しては、バイパス壁が準備されることはない。ノズルは、排気ガスのプルームを排出するように構成され、ノズルの軸線方向に対して所定の角度に配向された後縁部を備える。プラグ本体は、膨張面と、膨張面の下流の圧縮面とを備える。
ステップ168において、プラグ本体は、ノズル内に一部配置されつつノズルと同軸に並べられるように、かつ、プラグ本体の突出部が従来のプラグ本体の長さを超える長さで後縁部の下流に延出するように、ノズルに対して位置決めされる。
ステップ170において、バイパス部を利用する実施形態に関しては、バイパス壁がノズルとプラグ本体との間に位置決めされることになる。
適切に実施されるとき、方法のステップ166〜170は、プラグ本体の突出部が、実質的に円形の断面を、プラグ本体の突出部の実質的に長手方向の長さ全体に沿って有するノズル構造体を生み出すことになる。プラグ本体は、排気ガスのプルームがノズルの後縁部の近くでノズルの後縁部から流れ去る空気の自由流れの方向と実質的に平行に流れるように、排気ガスのプルームを形成するように構成され、さらに、後縁部から流れ去る空気の自由流れがプラグ本体の長手方向軸線と平行な方向に移動するように、排気ガスのプルームが、ノズルの後縁部から流れ去る空気の自由流れを、ノズルの後縁部の下流の場所で等エントロピで転向させるように構成されることになる。バイパス部を利用する実施形態では、プラグ本体は、排気ガスのプルームおよびバイパス空気流が、ノズルの後縁部から流れ去る空気の自由流れを、プラグ本体の後縁部の下流の場所で、プラグ本体の長手方向軸線と平行な方向へと等エントロピで転向させるように構成されることになる。
少なくとも1つの例示の実施形態が、本開示の前述の詳細な説明において提示されたが、多くの変形品が存在することは理解されるべきである。この例示の実施形態または他の実施形態は、単なる実例であり、本発明の範囲、用途、または構成をいかなる方法においても限定するようには意図されていないことも理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、当業者に対して、本発明の例示の実施形態を実施するための便宜上の手引きを与えることになる。様々な変更が、添付の特許請求の範囲で説明される本開示の範囲から逸脱することなく、例示の実施形態に記載される要素の機能および配置において行われてもよいことは、理解されるだろう。