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JP6176711B2 - グラフェン膜の欠陥修復方法及びグラフェン膜の透過率測定装置 - Google Patents

グラフェン膜の欠陥修復方法及びグラフェン膜の透過率測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、グラフェン膜の欠陥修復方法及びグラフェン膜の透過率測定装置に関する。特に、グラフェン膜のマイクロメートルオーダーの局所的な透過率を測定し、欠陥を修復する方法に関する。
グラフェン膜はSP結合した炭素原子による平面状の結晶性炭素膜であり、高い光透過率と電気伝導性のため、多岐にわたる工業的な利用が期待されている。これまで、グラフェン膜の利用例として、透明導電膜や透明電極が数多く報告されている。また、最近、グラフェン膜を発熱体として用いる例も報告されている。
一方、グラフェン膜の形成において、基板上にグラフェン膜が一様に形成されるものはなく、また、結晶性炭素膜において欠陥が生じる問題がある。平面状の結晶性炭素膜が積層した構造を有するグラフェン膜は、層数が異なったり、欠陥を有したりすることにより、光透過性や電気伝導性を含め様々な物性も異なってくる。グラフェン膜の層数の算出は、例えば、グラフェン膜の透過率を算出して換算する方法が知られている。また、グラフェン膜の欠陥の評価には、ラマン分光測定を用いた評価方法が知られている。
グラフェン膜の透過率を大気中で測定するためには、例えば、ヘーズメータが従来用いられている。ヘーズメータを用いた場合、透明基板に白色光を照射し、基板からの透過光の強度を、積分球奥に設置された受光素子によって検出することにより、透過率を測定する。ヘーズメータでの測定範囲は、光がどれだけ絞られているかに依存するが、1cm程度である。したがって、グラフェン膜の透過率を測定する場合、少なくとも1cm角のグラフェン膜が必要である。このため、微小な領域(例えばミクロン単位)にしか存在しないグラフェン膜の透過率をヘーズメータにより測定することは困難であった。これは光を絞りすぎると透過光の強度が得られず、信号がノイズに埋もれてしまうためである。そのため、微小領域のグラフェン膜の透過率を測定する技術の確立が急務となっている。
また、基板上にグラフェン膜を形成する段階での層数の制御について、例えば、非特許文献1には、グラフェンの原料分子が触媒金属の表面で化学反応してグラフェンが成長する過程を逐次的にモニターすることにより、グラフェンに含まれる炭素原子層数の精密に制御することが記載されている。また、特許文献1には、グラフェン膜が筒状に形成された構造を有するカーボンナノチューブにおいて、酸化処理によって生じた欠陥を真空加熱処理により除去する方法が記載されている。しかしながら、何れの方法も比較的大きな範囲のグラフェン膜の欠陥を検出したり、修復したりする技術であり、微小領域の欠陥を検出したり、特定の位置の欠陥を修復したりすることはできなかった。
特開2009−256189号公報
J. Appl. Phys. 111, 064324 (2012)
したがって、これまでは、グラフェン膜の局所的な透過率や層数を評価すること、特定の位置の欠陥を修復することについての取り組みはなされて来なかった。本発明は、上述の問題を解決するものであって、グラフェン膜のマイクロメートルオーダーの局所的な透過率を測定可能な測定装置及びグラフェン膜の欠陥修復方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態によると、グラフェン膜の局所領域におけるラマン分光測定によりグラフェン膜の欠陥個所を検出し、該欠陥個所にレーザーを照射して、前記グラフェン膜の欠陥個所を修復するグラフェン膜の欠陥修復方法であって、前記局所領域の欠陥個所の修復は、共鳴ラマン散乱測定を行い、前記共鳴ラマン散乱測定において得られるスペクトルで、1310cm−1以上1350cm−1以下の範囲内での最大のピーク強度をDとしたときに、Dバンドが現れる局所的な領域を前記グラフェン膜の欠陥個所として識別し、前記グラフェン膜の欠陥個所として識別された個所にカーボンソースを与えながらレーザーを照射して、該欠陥に前記カーボンソースを充填して修復を行なうグラフェン膜の欠陥修復方法が提供される。
また、本発明の一実施形態によると、グラフェン膜の局所領域に測定用レーザーを照射して透過率を測定してグラフェン膜の欠陥個所を検出し、該欠陥個所に修復用レーザーを照射して、前記グラフェン膜の局所領域の欠陥を修復するグラフェン膜の欠陥修復方法であって、前記局所領域の欠陥の修復は、前記透過率に基づいて前記グラフェン膜の層数のバラツキを算出し、前記グラフェン膜の層数のバラツキを前記測定用レーザーの強度よりも大きな強度の修復用レーザーを照射して修復を行なうグラフェン膜の欠陥修復方法が提供される。
また、本発明の一実施形態によると、グラフェン膜の局所領域の欠陥を修復するためにレーザー光を照射して基材上に設けられたグラフェン膜の透過率を算出して透過率測定装置であって、所定の波長のレーザーを発振するレーザー光源と、前記レーザー光源に対向して配置され、前記レーザー光を透過する基材上に設けられたグラフェン膜を透過したレーザーの強度を測定する検出器と、前記レーザー光を透過する基材上に設けられたグラフェン膜と前記検出器との間に配設され、前記レーザーの波長以外の信号を除去するフィルターとを有し、前記レーザー光源と前記フィルターとの間に配置された前記レーザーを透過する基板上に設けられたグラフェン膜の局所位置に前記レーザーを照射し、前記グラフェン膜を透過した前記レーザーの強度を、前記フィルターを介して、前記検出器で検出し、前記グラフェン膜の透過率を算出する手段を備えるグラフェン膜の透過率測定装置が提供される。
前記グラフェン膜の透過率測定装置において、前記基材上に設けられたグラフェン膜は、移動可能なステージに載置されてもよい。
前記グラフェン膜の透過率測定装置において、共鳴ラマン散乱測定部をさらに備え、前記グラフェン膜に対して共鳴ラマン散乱測定を行ってもよい。
本発明の一実施形態によると、所定の波長のレーザーを発振するレーザー光源と、前記レーザー光源に対向して配置され、前記レーザー光を透過する基材上に設けられたグラフェン膜を透過したレーザーの強度を測定する検出器と、前記レーザー光を透過する基材上に設けられたグラフェン膜と前記検出器との間に配設され、前記レーザーの波長以外の信号を除去するフィルターとを有し、前記レーザー光源と前記フィルターとの間に配置された前記レーザーを透過する基板上に設けられたグラフェン膜の局所位置に前記レーザーを照射し、前記グラフェン膜を透過した前記レーザーの強度を、前記フィルターを介して、前記検出器で検出し、前記グラフェン膜の透過率を算出する手段を備えるグラフェン膜の透過率測定装置が提供される。
本発明によると、グラフェン膜のマイクロメートルオーダーの局所的な透過率を測定可能な測定装置及びグラフェン膜の欠陥修復方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る透過率測定装置100を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る透過率測定装置200を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る透過率測定装置300を示す模式図である。 本発明の一実施例に係るグラフェン膜の有無と検出器130の出力値との関係を示す図である。 本発明の一実施例に係るグラフェン膜の有無と検出器130の出力値との関係を示す図である。 本発明の一実施例に係る透過率測定装置300を用いて測定された透過率とヘーズメータにより測定された透過率から見積もったグラフェン膜の層数との相関を示す模式図である。 本発明の一実施例に係るファンデルパウ素子の光学顕微鏡像である。 本発明の一実施例に係るファンデルパウ素子のグラフェン膜のラマンスペクトルである。
以下、図面を参照して本発明に係るグラフェン膜の欠陥修復方法及びグラフェン膜の透過率測定装置について説明する。但し、本発明のグラフェン膜の欠陥修復方法及びグラフェン膜の透過率測定装置は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本発明は、従来測定が困難であったマイクロメートルオーダーの領域範囲でのグラフェン膜の局所透過率測定を実現し、局所領域の欠陥個所の修復を実現するものである。本発明は、従来の白色光を光源に用いるヘーズメータに替えて、レーザーを用いることにより、マイクロメートルオーダーの領域範囲での局所透過率測定または共鳴ラマン散乱測定を行なって欠陥箇所を識別し、レーザー加工を組み合わせることにより、グラフェン膜の欠陥個所の修復を行うものである。
本明細書において、「局所」とは、マイクロメートルオーダーの領域範囲を意味し、1mm未満の領域範囲をいう。本発明においては、好ましくは100μm角以下又は100μm以下の径、より好ましくは10μm角以下又は10μm以下の径、さらに好ましくは2μm角以下又は2μm以下の径の範囲の局所領域透過率測定及び欠陥箇所の修復を実現するものである。
(グラフェン膜の透過率測定装置の第1の実施形態)
まず、グラフェン膜の欠陥箇所を識別するため、グラフェン膜の透過率測定装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るグラフェン膜の透過率測定装置100を示す模式図である。透過率測定装置100は、レーザー光源110、検出器130及びフィルター150を備える。レーザーを透過する基材50上に設けられたグラフェン膜10が、レーザー光源110とフィルター150との間に配設される。
レーザー光源110は、所定の波長のレーザーを発振するレーザー光源110から発信されるレーザーの波長は、200nm以上900nm以下が好ましい。200nmよりも短い波長の光は、グライフェン膜に吸収されるため、好ましくない。また、レーザー光源110からグラフェン膜10に照射されるレーザーは、100μm以下の直径を有することが好ましい。レーザーの直径は、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。このような小さな直径を有するレーザーは、グライフェン膜10の局所的な透過率を評価するのに効果的である。レーザー光源110としては、上記の波長範囲のレーザーを発信可能であれば、公知の光源を用いることができる。また、レーザー光源110は、発信したレーザーを上記の直径の範囲となるような光学系を備えてもよい。
検出器130は、レーザー光源110に対向して配置され、レーザー光を透過する基材50上に設けられたグラフェン膜10を透過したレーザーの強度を測定する装置である。検出器130は、グラフェン膜10を透過して減衰したレーザーを検出可能な光検出器であれば公知のものを用いることができる。例えば、検出器として、フォトダイオード又は熱起電力を用いた検出器を用いることができる。
フィルター150は、レーザー光を透過する基材50上に設けられたグラフェン膜10と検出器130との間に配設され、グラフェン膜10を透過したレーザーの波長以外の信号をノイズとして除去する。フィルター150は、基材50上に設けられたグラフェン膜10の後段に配設するが、光学的な影響を最小限にするため、基材50に接して配設するのが好ましい。また、フィルター150と基材50とを離隔して配設する場合は、強度補正を行うことが好ましい。
基材50は、例えばグラフェン膜10を配置する基板であって、レーザーを透過する部材であれば、可撓性を有する部材であってもよく、高い剛性を有する部材であってもよい。例えば、ガラス、シリコン、サファイア、ナノ結晶ダイヤモンド薄膜等の無機材料や、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の有機材料を用いることができるが、これらに限定されるものではない。基材50の厚みは、レーザーを透過してグラフェン膜10の透過率を測定可能であれば特に制限はないが、レーザーの減衰の観点から、可能な限り薄いほうが好ましい。
透過率測定装置100によりグラフェン膜10の透過率を測定するには、レーザー光源110から所定の波長のレーザーを発振して、レーザー光源110とフィルター150との間に配置された基板50上に設けられたグラフェン膜10の選択された局所位置にレーザーを照射する。グラフェン膜10を透過したレーザーの強度を、フィルター150を介して検出する。グラフェン膜10が配設されていない基材50を透過したレーザーの強度と、グラフェン膜10が配設された基材50を透過したレーザーの強度から、グラフェン膜の局所的な透過率を算出する。グラフェン膜10を透過したレーザーの強度から、グラフェン膜の局所的な透過率を算出する手段としては、公知のコンピュータを用いた計算処理等が挙げられる。
本実施形態に係る透過率測定装置100は、グラフェン膜10にレーザーを照射することにより、グラフェン膜10のマイクロメートルオーダーの局所的な透過率を測定することができる。透過率測定装置は、グラフェン膜の透過率測定には、限定されない。
(第2の実施形態)
本発明に係る透過率測定装置の第2の実施形態として、図2を参照して、移動可能なステージ250を備えた透過率測定装置200について説明する。透過率測定装置200は、レーザー光源110、検出器130、フィルター150及び移動可能なステージ250を備える。レーザーを透過する基材50上に設けられたグラフェン膜10が、ステージ250に載置され、レーザー光源110とフィルター150との間に配設される。図2においては、フィルター150をステージ250の後段に配設した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フィルター150を基材50とステージ250との間に配設してもよく、また、基材50を載置するステージ250の部分にフィルター150を一体に構成してもよい。
本実施形態においては、グラフェン膜10が配設された基材50を移動可能なステージ250に載置することにより、グラフェン膜10を走査しながら、グラフェン膜10を透過したレーザーの強度を検出し、グラフェン膜10の局所的な透過率をグラフェン膜10全体にわたり算出することができる。グラフェン膜10の表面全体を2次元的に走査可能なように、ステージ250は、X軸方向及びY軸方向の少なくとも2つの軸方向に移動可能であることが好ましい。また、図示しないが、透過率測定装置200は、ステージ250を移動させる駆動部及びステージ250の位置を制御する制御部を備えることが好ましい。このような駆動部及び制御部を備えることにより、自動制御によりグラフェン膜10を配置したステージ250を移動させながら、グラフェン膜10の局所的な透過率を連続して測定して、グラフェン膜10全体の透過率及びその分布を測定することができる。
(第3の実施形態)
グラフェンの品質の評価方法の1つとして、共鳴ラマン散乱測定法によるG/D比の検討が一般に行われている。G/D比とは、共鳴ラマン散乱測定法において得られるスペクトルで、1560cm−1以上1600cm−1以下の範囲内での最大のピーク強度をG、1310cm−1以上1350cm−1以下の範囲内での最大のピーク強度をDとしたときの比である。ラマンスペクトルにおいて、1590cm−1付近に見られるラマンシフトはGバンドと呼ばれ、グラファイトに由来する。一方、1350cm−1付近に見られるラマンシフトはDバンドと呼ばれ、アモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来する。したがって、Dバンドが現れる局所的な領域をグラフェン膜10の欠陥として識別することができる。グラフェン膜のG/D比が大きいほど、欠陥が少なく高品質のグラフェン膜であると評価することができる。ここで、ラマンG/D比を評価するときは、一般に波長532nmを用いる。
本発明に係る透過率測定装置の第3の実施形態として、図3を参照して、共鳴ラマン散乱測定部390をさらに備えた透過率測定装置300について説明する。透過率測定装置300は、レーザー光源110、検出器130、フィルター150及び共鳴ラマン散乱測定部390を備える。共鳴ラマン散乱測定部390は、レーザー照射により生じた共鳴ラマン散乱を検出可能な、レーザー光源110側の位置に配設される。共鳴ラマン散乱測定部390を備える場合、レーザー光源110から発振されるレーザーの代表的な波長は532nmであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の実施形態で説明した波長の範囲のレーザーであれば用いることができる。
透過率測定装置300は、共鳴ラマン散乱測定部390を備えることにより、グラフェン膜10を透過したレーザーの強度を検出した局所的な範囲の共鳴ラマン散乱測定を行うことができる。また、透過率測定装置300は、グラフェン膜10の透過率を算出するとともに、共鳴ラマン散乱測定を同時に行うこともできる。したがって、透過率測定装置300においては、グラフェン膜10の局所的な透過率の測定と欠陥の評価とを行うことができる。
また、図3においては、第1の実施形態の透過率測定装置100に共鳴ラマン散乱測定部390を配設した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。第2の実施形態の透過率測定装置200に示した移動可能なステージ250をさらに備える構成とすることもできる。透過率測定装置300にステージ250をさらに備えることにより、グラフェン膜10を配置したステージ250を移動させながら、グラフェン膜10を透過したレーザーの強度を検出し、グラフェン膜10の局所的な透過率をグラフェン膜10全体にわたり算出することができる。また同様に、グラフェン膜10を走査しながら、グラフェン膜10を透過したレーザーの強度を検出した部分の共鳴ラマン散乱測定を行うことができる。
なお、透過率測定装置300がステージ250を備える場合、第2の実施形態において説明したように、グラフェン膜10は、ステージ250に載置され、レーザー光源110とフィルター150との間に配設される。また、フィルター150を基材50とステージ250との間に配設してもよく、また、基材50を載置するステージ250の部分にフィルター150を一体に構成してもよい。
(グラフェン膜の層数算出方法)
従来のヘーズメータを用いた場合、単層のグラフェンの光透過率は、97.7%程度であり、総数が1層増す毎に、その累乗で光透過率は低下することが一般に知られている。ヘーズメータは光源として白色光を用いるが、本発明に係る透過率測定装置はレーザー光源を用いるため、単層のグラフェンの光透過率がヘーズメータで測定した場合とは異なる。したがって、本発明に係るグラフェン膜の層数算出方法においては、ヘーズメータにより層数が既知のグラフェン膜について、本発明に係る透過率測定装置を用いて事前に光透過率を求めて、光透過率とグラフェン膜の層数との相関をとることにより、層数が未知のグラフェン膜について層数を算出することができる。
透過率測定装置100を用いてグラフェン膜10の層数を算出する場合、レーザー光源110から所定の波長のレーザーを発振して、レーザーを透過する基材50上に設けられたグラフェン膜10の選択された局所位置にレーザーを照射する。グラフェン膜10を透過したレーザーの強度を、フィルター150を介して検出する。グラフェン膜10が配設されていない基材50を透過したレーザーの強度と、グラフェン膜10が配設された基材50を透過したレーザーの強度から、グラフェン膜10の局所的な透過率を算出する。
上述したように、本発明においては、層数が既知のグラフェン膜を用いて、透過率測定装置100により、光透過率とグラフェン膜の層数との相関を事前に求める。光透過率とグラフェン膜の層数との相関から、得られたグラフェン膜10の局所的な透過率に基づいて、グラフェン膜10の層数を算出することができる。このような光透過率とグラフェン膜の層数との相関をデータベースとして備えることにより、透過率測定装置100は、層数が未知のグラフェン膜について、層数を自動的に算出することができる。
また、透過率測定装置200を用いてグラフェン膜10の層数を算出する場合、グラフェン膜10が配設された基材50を移動可能なステージ250に載置することにより、グラフェン膜10を配置したステージ250を移動させながら、グラフェン膜10を透過したレーザーの強度をグラフェン膜10全体に対して局所的に検出し、グラフェン膜10の透過率を算出する。上述したように、透過率測定装置200においても、光透過率とグラフェン膜の層数との相関をデータベースとして備えることにより、層数が未知のグラフェン膜について、層数を自動的に算出することができる。また、上述したように、平面状の結晶性炭素膜が積層した構造を有するグラフェン膜は、局所的に層数が異なることがある。透過率測定装置200においては、グラフェン膜10を自動制御によりステージ250を移動させ、グラフェン膜10の局所的な透過率を連続して測定して、グラフェン膜10全体について、層数及びその分布を測定することができる。
また、透過率測定装置300を用いた場合、グラフェン膜10の層数を算出するとともに、ラマンG/D比によりグラフェン膜10の欠陥を評価することもできる。また、Dバンドが現れる局所的な領域をグラフェン膜10の欠陥として識別することができる。透過率測定装置300がステージ250を備える場合は、グラフェン膜10全体について、層数及びその分布を測定するとともに、グラフェン膜10の欠陥の評価を行うこともできる。
(グラフェン膜の欠陥修復方法)
識別グラフェン膜の欠陥を修復する方法について、以下に説明する。本発明に係るグラフェン膜の欠陥修復方法は、レーザーを用いたラマン分光測定または透過率測定により、グラフェン膜の欠陥を検出し、グラフェン膜の局所的な欠陥を修復することができる。レーザーを用いたラマン分光測定または本発明に係る透過率測定装置は、1つのレーザー光源を備えた構成として説明したが、グラフェン膜の欠陥を修正するためにグラフェン膜に照射するレーザーの強度を、グラフェン膜の欠陥を評価するときに用いるレーザーの強度よりも強くする必要がある場合には、1つのレーザー光源で照射する強度を変更しもよく、グラフェン膜の一部を除去するために、高強度のレーザーを発振する別途のレーザー光源を備えるようにしてもよい。
透過率測定装置100をグラフェン膜の欠陥修復方法として用いる場合、レーザー光源110から所定の波長のレーザーを測定用の第1の強度で発振して、レーザー光源110とフィルター150との間に配置された基板50上に設けられたグラフェン膜10の選択された局所位置にレーザーを照射する。グラフェン膜10を透過したレーザーの強度を、フィルター150を介して検出する。グラフェン膜10が配設されていない基材50を透過したレーザーの強度と、グラフェン膜10が配設された基材50を透過したレーザーの強度から、グラフェン膜10の局所的な透過率を算出する。光透過率とグラフェン膜の層数との相関に基づいて、グラフェン膜10の透過率から層数を算出する。
算出されたグラフェン膜10の層数が少ない部分を欠陥として識別する。すなわち、グラフェン膜10の層数が少ない部分とは、そのグラフェン層に欠陥(穴)がある部分である。このような局所的な欠陥がある位置にカーボンソースを与えながら、レーザーを照射して、グラフェン膜の局所的な欠陥にカーボンソースを充填して修復を行なうことができる。
また、透過率測定装置200をグラフェン膜の欠陥修復方法として用いる場合、グラフェン膜10が配設された基材50を移動可能なステージ250に載置することにより、グラフェン膜10を配置したステージを移動させながら、グラフェン膜10を透過したレーザーの強度を検出し、グラフェン膜10の透過率を算出する。光透過率とグラフェン膜の層数との相関に基づいて、グラフェン膜10の透過率から層数を算出する。算出されたグラフェン膜10の層数が少ない部分を欠陥として識別し、グラフェン膜の局所的な欠陥がある位置にカーボンソースを与えながら、レーザーを照射して、グラフェン膜の局所的な欠陥を修復することができる。
透過率測定装置200を用いた場合、グラフェン膜10全体について局所的に算出した層数に基づいて欠陥の分布をマッピングした後に、グラフェン膜10の局所的な欠陥を修復することもできる。
また、上述したように、グラフェン膜の欠陥の評価方法としては、共鳴ラマン散乱を測定して、1310cm−1以上1350cm−1以下の範囲内での最大のピーク強度をDとしたときに、Dバンドが現れる局所的な領域をグラフェン膜10の欠陥として識別することもできる。透過率測定装置300を用いた場合、共鳴ラマン散乱測定部390により、グラフェン膜10に対して共鳴ラマン散乱測定を行い、共鳴ラマン散乱測定において得られたスペクトルで、1310cm−1以上1350cm−1以下の範囲内での最大のピーク強度をDとしたときに、Dバンドが現れる局所的な領域をグラフェン膜10の欠陥として識別し、グラフェン膜10の局所的な欠陥がある位置にカーボンソースを与えながらレーザーを照射して、欠陥にカーボンソースを充填して修復を行ってもよい。
また、透過率測定装置300がステージ250を備える場合は、グラフェン膜10を配置したステージを移動させながら、共鳴ラマン散乱測定を行い、グラフェン膜10全体について、局所的な共鳴ラマン散乱測定において得られるスペクトルで、Dバンドが現れる局所的な領域を欠陥として識別することができる。グラフェン膜10の局所的な欠陥がある位置にカーボンソースを与えながらレーザーを照射して、グラフェン膜10の局所的な欠陥を修正することもできる。グラフェン膜10の局所的な欠陥及びその分布を測定するとともに、Dバンドが現れる局所的な領域をグラフェン膜10の欠陥として識別し、グラフェン膜10の局所的な欠陥がある位置にカーボンソースを与えながらレーザーを照射して、グラフェン膜10の局所的な欠陥を修正することもできる。
また、本発明に係るグラフェン膜の欠陥修復方法は、グラフェン膜の成膜工程において、in situの欠陥修復に利用するようにしてもよい。すなわち、グラフェン膜の成膜装置に、上述した透過率測定装置の光学系および測定系を配置し、成膜中のグラフェン膜の局所的な欠陥を認識して、局所的な欠陥ある位置にレーザーを照射して、グラフェン膜10の局所的な欠陥を修正することもできる。
なお、本発明においては、グラフェン膜10の欠陥の評価に、グラフェン膜10の透過率、層数及びDバンドから2以上を選択して、併用することもできる。
(グラフェン膜の層数制御方法)
上述したように、本発明に係る透過率測定装置を用いることにより、グラフェン膜の層数を算出することができる。一方、本発明においては、光源としてレーザーを用いるため、レーザーの強度を大きくすることにより、グラフェン膜の一部を除去することもできる。すなわち、グラフェン膜の透過率に基づいてグラフェン膜の層数のバラツキを算出し、グラフェン膜の層数のバラツキを測定用レーザーの強度よりも大きな強度の修復用レーザーを照射して修復を行なうこともできる。高強度のレーザーをグラフェン膜に局所的に照射することにより、熱振動によりグラフェン膜の一部を剥離させたり、大気中の酸素によりグラフェン膜の一部の炭素を燃焼(二酸化炭素として除去)したりすることができる。面内でグラフェン膜の層数が均一になることを目的とした場合、レーザーを用いて透過率測定と層数制御を同時に行う。局所透過率を測定し、設定した層数(透過率)になるようにグラフェン膜をレーザーで一層ずつ削っていく。削った後に再度層数を確認し、設定した層数になるまでこの操作を繰り返す。グラフェン膜に対してこの操作を行うことにより、面内でのグラフェン膜の層数を均一にすることができる
なお、グラフェン膜の一部を除去するために照射するレーザーの強度は、グラフェン膜の層数を算出するときに用いるレーザーの強度よりも強くする必要がある。上述した本発明に係る透過率測定装置は、1つのレーザー光源を備えた構成として説明したが、以下のグラフェン膜の層数制御方法においては、1つのレーザー光源で照射する強度を変更しもよく、グラフェン膜の一部を除去するために、高強度のレーザーを発振する別途のレーザー光源を備えるようにしてもよい。
透過率測定装置100を用いてグラフェン膜10の層数を制御する場合、レーザー光源110から所定の波長のレーザーを測定用の第1の強度で発振して、レーザーを透過する基材50上に設けられたグラフェン膜10に照射する。グラフェン膜10を透過したレーザーの強度を、フィルター150を介して検出する。グラフェン膜10が配設されていない基材50を透過したレーザーの強度と、グラフェン膜10が配設された基材50を透過したレーザーの強度から、グラフェン膜10の透過率を算出する。光透過率とグラフェン膜の層数との相関に基づいて、グラフェン膜10の透過率から層数を算出する。
所定の層数を超過して積層したグラフェン膜10に、測定用の第1の強度よりも大きな第2の強度のレーザーを照射して、所定の層数を超過した分のグラフェン膜を除去する。ここで、照射するレーザーの第2の強度とは、グラフェン膜10に局所的に照射することにより、熱振動によりグラフェン膜の一部を剥離させたり、大気中の酸素によりグラフェン膜の一部の炭素を燃焼(二酸化炭素として除去)したりすることができる強度である。このように所定の層数を超過した分のグラフェン膜を除去することにより、層数が制御された高品質のグラフェン膜を得ることが可能となる。このようなグラフェン膜の層数制御方法は従来知られておらず、白色光を用いるヘーズメータでは実現することはできない。
また、透過率測定装置200を用いてグラフェン膜10の層数を制御する場合、グラフェン膜10が配設された基材50を移動可能なステージ250に載置することにより、グラフェン膜10を走査しながら、グラフェン膜10を透過したレーザーの強度を検出し、グラフェン膜10の透過率を算出する。光透過率とグラフェン膜の層数との相関に基づいて、グラフェン膜10の透過率から層数を算出する。透過率測定装置100を用いた場合と同様に、所定の層数を超過して積層したグラフェン膜10に、測定用の第1の強度よりも大きな第2の強度のレーザーを照射して、所定の層数を超過した分のグラフェン膜を除去する。
透過率測定装置200を用いた場合は、移動可能なステージ250により、グラフェン膜10を配置したステージ250を移動させながら、グラフェン膜10の層数を算出し、所定の層数を超過して積層したグラフェン膜10に、測定用の第1の強度よりも大きな第2の強度のレーザーを照射して、所定の層数を超過した分のグラフェン膜を局所的に除去することができる。また、透過率測定装置200を用いた場合、グラフェン膜10全体について局所的な層数の分布をマッピングした後に、所定の層数を超過した部分のグラフェン膜を除去することもできる。
また、透過率測定装置300を用いた場合、グラフェン膜10の層数を算出するとともに、ラマンG/D比によりグラフェン膜10の欠陥を評価することもできる。また、Dバンドが現れる局所的な領域をグラフェン膜10の欠陥として識別することができる。これにより、欠陥のある/または欠陥が多い層のグラフェン膜のみを除去して、グラフェン膜10の層数を制御することもできる。透過率測定装置300がステージ250を備える場合は、グラフェン膜10全体について、層数及びその分布を測定するとともに、グラフェン膜10の欠陥の評価を行い、欠陥のある/または欠陥が多い層のグラフェン膜のみを除去して、グラフェン膜10の層数を制御することもできる。
(測定試料)
本発明者らによる国際公開WO2011/115197に記載のマイクロ波表面波プラズマ化学気相成長法により、銅箔上にグラフェン膜を合成した。基材として石英基板を用い、合成したグラフェン膜を石英基板へ転写した。なお、グラフェン膜の転写には、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)を使用した。最後に、測定試料は、アセトンに浸潤させた。
(実施例1)
実施例1の局所透過率測定を行うために、図3に示した透過率測定装置300を用いた。サンプルの下にラインフィルタを配置している。レーザーの波長以外の信号はノイズとして除去できるようにしている。532nmのレーザーを発振するレーザー光源を用いた。レーザー光源のアパーチャは10%に設定した。光学顕微鏡により、レーザーを照射する領域(座標)を決定し、測定試料にレーザーを照射して、検出器の出力から透過率を求めた。
図4は、ヘーズメータにより見積もられた層数が1層のグラフェン膜を石英基板上に転写し、石英基板上にグラフェン膜が存在する領域と存在しない領域にレーザーを照射して、検出器130からの出力を測定した結果である。グラフェン膜が存在する領域と存在しない領域の切り替えは、ステージ250を動かすことにより行った。図中の期間Aは石英基板上に配設されたグラフェン膜にレーザーが照射されている期間を示し、期間Bはグラフェン膜が存在しない石英基板にレーザーが照射されている期間を示す。図4の結果から、グラフェン膜が存在する領域と存在しない領域で出力が変化し、グラフェン膜が存在する領域での検出器130の出力値(A)は、グラフェン膜が存在しない領域の出力値(B)よりも小さくなることが明らかである。
図5は、ヘーズメータにより見積もられた層数が6層のグラフェン膜を石英基板上に転写した測定試料について、石英基板上にグラフェン膜が存在する領域(Gr/Qz)と存在しない領域(Qz)にレーザーを照射して、検出器130からの出力を測定した結果である。グラフェン膜の層数が異なっても、図4と同様の結果が得られることがわかる。
(グラフェン膜の透過率測定)
上述した方法で合成したグラフェン膜を準備した。グラフェン膜の透過率と層数の相関を検証するため、層数が異なるグラフェン膜を複数種類準備し、石英基板へ転写して測定試料とした。本実施例用に、測定試料は4種類準備した。準備した各々の測定試料に対して、ヘーズメータ(日本電色工業株式会社:NDH 5000SP)を用いて透過率を測定した。上述したように、白色光を用いるヘーズメータでは、照射した光がグラフェン膜1層あたり2.3%吸収される。この理論値から、各々の測定試料に含まれるグラフェン膜の層数を見積もった。
その後、各々の測定試料に対して、透過率測定装置300により、局所透過率測定を実施した。各々の測定試料に対して、グラフェン膜の存在する領域にレーザーを照射し、検出器130の出力値を得た。この測定は、各々の測定試料に対して、測定領域を変えて数か所行い、その平均を平均出力値とした。石英基板のみに対して、同様の測定を行い、グラフェン膜が存在する場合の出力値とグラフェン膜が存在しない場合の出力値との比率から、グラフェン膜の局所的な透過率を求めた。
(グラフェン膜の層数算出)
ヘーズメータにより見積もったグラフェンの層数と、透過率測定装置300により求めた透過率とをグラフにプロットした。図6は、ヘーズメータにより測定された透過率から見積もったグラフェン膜の層数に、透過率測定装置300を用いて測定された透過率をプロットしたグラフである。図6から、グラフェン膜の層数が増加するにつれて、局所透過率測定から得られた透過率が減少することが明らかとなった。得られたプロットに対して近似直線を引いたところ、本実施例に係る局所透過率はexp(-0.019x)に比例することが明らかとなった。ここで、指数関数の係数はグラフェン膜の吸収率に対応する。すなわち、本実施例から、グラフェン1層あたりレーザーが1.9%吸収されると見積もられ、白色光における理論値(2.3%)に類似した値であった。本実施例から、レーザーの透過率は、グラフェン膜の層数と相関があることが実証された。
(実施例2)
実施例1のグラフェン膜を用いたファンデルパウ素子に対して、微小領域のグラフェン膜の局所透過率の測定を行った。微小領域のグラフェン膜を用いたファンデルパウ素子は、石英基板上にグラフェン膜を転写後、公知のフォトリソグラフィ、金属蒸着、リフトオフプロセスにより作製した。素子内のグラフェン膜は90μm四方の大きさである。なお、ファンデルパウ素子の作製方法の詳細は特願2012−234901に記載されている。作製したファンデルパウ素子の光学顕微鏡像を図7に示す。
グラフェン膜が存在する場所と存在しない場所にレーザーを照射することにより、それぞれについて検出器130の出力値を求め、その比率をからグラフェン膜の層数を算出した。その結果、透過率はグラフェン膜のみで76.8%であった。1層あたり2.3%吸収するという理論値を適用すると、測定試料のグラフェン膜は約12層であると見積もられた。
(共鳴ラマン散乱測定)
局所透過率を見積もった上述の測定試料に対して共鳴ラマン散乱測定を行った。図8に透過率測定装置300による共鳴ラマン散乱の測定結果を示す。1600cm−1近傍に存在するピーク(Gバンド)、及び2700cm−1近傍に存在するピーク(2Dバンド)から、グラフェン膜が形成されていることが確認できた。
10:グラフェン膜、50:基材、110:レーザー光源、130:検出器、150:フィルター、200:透過率測定装置、250:ステージ、300:透過率測定装置、390:測定部

Claims (6)

  1. グラフェン膜の局所領域における透過率の測定と、ラマン分光測定によりグラフェン膜の欠陥個所を検出し、
    該欠陥個所にレーザーを照射して、前記グラフェン膜の欠陥個所を修復するグラフェン膜の欠陥修復方法であって、
    前記局所領域の欠陥個所の修復は、前記透過率に基づいて前記グラフェン膜の層数のバラツキを算出し、且つ、
    共鳴ラマン散乱測定を行い、前記共鳴ラマン散乱測定において得られるスペクトルで、1310cm-1以上1350cm-1以下の範囲内での最大のピーク強度をDとしたときに、Dバンドが現れる局所的な領域を前記グラフェン膜の欠陥個所として識別し、
    前記グラフェン膜の欠陥個所として識別された個所にカーボンソースを与えながらレーザーを照射して、該欠陥に前記カーボンソースを充填して修復を行なうことを特徴とするグラフェン膜の欠陥修復方法。
  2. 前記グラフェン膜の前記局所領域に測定用レーザーを照射して前記透過率を測定し、且つ、前記ラマン分光測定により前記グラフェン膜の欠陥個所を検出し、
    前記測定用レーザーの強度よりも大きな強度の修復用レーザーを照射して、前記欠陥に前記カーボンソースを充填して修復を行なうことを特徴とする請求項1に記載のグラフェン膜の欠陥修復方法。
  3. 前記グラフェン膜全体について、層数の分布を測定するとともに、前記グラフェン膜の欠陥の評価を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のグラフェン膜の欠陥修復方法。
  4. グラフェン膜レーザー光を照射して基材上に設けられたグラフェン膜の透過率の測定と、ラマン分光測定とによりグラフェン膜の欠陥個所を検出し、前記グラフェン膜の局所領域の欠陥を修復するグラフェン膜の成膜装置であって、
    所定の波長のレーザーを発振するレーザー光源と、
    前記レーザー光源に対向して配置され、前記レーザー光を透過する基材上に設けられたグラフェン膜を透過したレーザーの強度を測定する検出器と、
    前記レーザー光を透過する基材上に設けられたグラフェン膜と前記検出器との間に配設され、前記レーザーの波長以外の信号を除去するフィルターと
    共鳴ラマン散乱測定部を有し、
    前記レーザー光源と前記フィルターとの間に配置された前記レーザーを透過する基板上に設けられたグラフェン膜の局所位置に前記レーザーを照射し、
    前記グラフェン膜を透過した前記レーザーの強度を、前記フィルターを介して、前記検出器で検出し、
    前記グラフェン膜の透過率を算出し、前記透過率に基づいて前記グラフェン膜の層数のバラツキを算出し、且つ、
    前記グラフェン膜に対して共鳴ラマン散乱測定を行い、前記共鳴ラマン散乱測定において得られるスペクトルで、1310cm -1 以上1350cm -1 以下の範囲内での最大のピーク強度をDとしたときに、Dバンドが現れる局所的な領域を前記グラフェン膜の欠陥個所として識別し、
    前記グラフェン膜の欠陥個所として識別された個所にカーボンソースを与えながら前記レーザー光源がレーザーを照射して、該欠陥に前記カーボンソースを充填して修復を行うことを特徴とするグラフェン膜の成膜装置。
  5. 前記レーザー光源は前記グラフェン膜の前記局所領域に測定用レーザーを照射し、
    前記検出器は前記透過率を測定し、且つ、前記共鳴ラマン散乱測定部は前記ラマン分光測定により前記グラフェン膜の欠陥個所を検出し、
    前記レーザー光源は前記測定用レーザーの強度よりも大きな強度の修復用レーザーを照射して、前記欠陥に前記カーボンソースを充填して修復を行なうことを特徴とする請求項4に記載のグラフェン膜の成膜装置。
  6. 前記基材上に設けられたグラフェン膜は、移動可能なステージに載置され、前記グラフェン膜全体について、層数の分布を測定するとともに、前記グラフェン膜の欠陥の評価を行うことを特徴とする請求項4又は5に記載のグラフェン膜の成膜装置。
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