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JP6173899B2 - 超音波画像診断装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、胎児の部位の動きを計測する超音波画像診断装置に関する。
超音波画像診断装置は被爆のない無侵襲な診断装置であるため、診断からフォローアップまで幅広い臨床領域で用いられる。近年ではその性能向上ともに胎児の発達を詳細に診断することが可能となっている。
胎児の部位の運動を観察することで肉体や脳の発達具合を評価できることが知られている。特に中枢神経機能との相関を推測しやすい眼球運動は、妊娠の進行とともに胎児の脳が正常に発達しているかを判断する重要な指標の1つとなり得る。しかし具体的な検査においては、検査者が超音波診断装置のBモード画像を長時間録画し、その動画像を見ながら運動回数を数えているのが現状である。
しかし、運動回数の計測には1時間以上の長時間の計測が必要である。その間、検査者は超音波プローブの位置が動かないように維持する必要があるが、胎児自体が大きく動いてしまうこともある。さらに録画する動画像データが大容量となるため、検査後の解析に時間がかかるなど、検査者にとって非常に負担が大きいという問題点がある。
一方、血流など関心物体の動きを検出するものとして、超音波エコーの周波数遷移から求められるドプラ情報がある(例えば特許文献1参照)。しかし胎児の脳の発達程度に応じて出現する急速眼球運動や緩速眼球運動などの複数の運動状態を検出し、さらには妊娠週との関係から胎児の脳の発達程度を評価するシステムは存在しない。
特開2010−274120号公報
本発明が解決しようとする課題は上記問題を解決し、胎児の脳の発達程度を評価する超音波画像診断装置を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本実施形態の超音波画像診断装置は、超音波画像上の胎児の部位にサンプリング点を設定するサンプリングポジション設定部と、前記サンプリング点で設定された部位の運動から得られるドプラ波形情報を取得し、このドプラ波形情報のパルス毎に波形判定パラメータを抽出する運動検出部と、前記波形判定パラメータと運動状態を判定する判定基準とを比較することにより前記サンプリング点で設定された部位の運動状態を判定し、その判定結果を前記波形判定パラメータとともに統計情報として集計する集計部と、前記判定基準を保存する判定情報保存部と、前記統計情報を保持する集計情報保存部と、を有する。
本実施形態における超音波画像診断装置のブロック構成図。 超音波画像の眼球断面像上にサンプリング点を設定する際の説明図。 超音波画像上の胎児の顔部に対し、眼球部または口唇部にサンプリング点を設定する際の説明図。 サンプリング点におけるドプラ波形情報の例。 判定情報保存部に保存される判定情報データベースの例。 胎児の部位の運動回数をカウントするためにフローチャート図。 カウント処理、およびエラー処理の詳細フローチャート図。 警告メッセージの第1の例。 警告メッセージの第2の例。 警告メッセージの第3の例。 集計情報保存部に保存される集計情報データベースの例。 集計結果の第1の表示例。 集計結果の第2の表示例。 集計結果の第3の表示例。
以下、実施形態について図1から図14を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
図1に示す本実施形態の超音波画像診断装置は、先端にトランスジューサが装着され超音波の送受信を行う超音波プローブ1、超音波を発生するための駆動信号を送信し、被検体から反射してきたエコー信号を電気信号として検出する送受信部2、超音波画像診断の各種診断モードに対する信号処理を行う信号管理処理部3、信号管理処理部3で行われた各種診断モードの処理信号を映像信号に変換するスキャンコンバータ4、サンプリング点の表示、注意喚起のための警告メッセージ、あるいは複数の医用画像のサイド・バイ・サイド表示などの各種操作情報、画像情報などの付加情報を作成する付加情報作成部5、スキャンコンバータ4から出力される診断画像とともに、前記付加情報をモニタ6に表示するための画像生成部7、超音波画像診断装置に対する各種制御命令を入力する操作卓8、超音波画像診断装置を制御するための各種信号を仲介する入力制御処理部9、超音波画像診断装置を統合的に制御する制御部10を有している。
信号管理処理部3は、ドプラ量から血流などの動きを観測するドプラスペクトルプロセッサ11、ドプラ量をカラー化して表示するカラードプラプロセッサ12、Bモード画像を処理するBモード画像プロセッサ13など、複数の画像診断モードに対するプロセッサを有している。
操作卓8上には各種制御命令を入力するために、マウス、トラックボール、ジョイスティック、キーボード、各種スイッチなどのユーザインタフェースデバイスが配置される。
制御部10は、超音波画像診断装置を統合的に制御するが、本実施形態の特徴となる信号解析処理部14の構成についてのみ図示し、信号解析処理部14の動作について主に述べる。
信号解析処理部14は、例えばBモード画像などの超音波画像の胎児の部位にサンプリング点を設定するサンプリングポジション設定部141と、前記サンプリング点で設定された部位の運動から得られるドプラ波形情報を取得する運動検出部142と、前記ドプラ波形情報のパルス毎について前記サンプリング点で設定された部位の運動状態を、判定基準を用いて判定し、その結果を統計情報として集計する集計部143と、胎児の位置ずれを検出する位置ずれ検出部144を有している。
また、前記判定基準を保存する判定情報保存部15と、前記統計情報を保存する集計情報保存部16と、各種診断モードのエコーデータを保存するエコーデータ保存部17を有する。
以上のようにして構成された超音波画像診断装置の動作について具体的に説明する。
図2は、リニアプローブを使用した際の超音波画像の眼球断面像上にサンプリング点を設定する際の説明図である。符号21は角膜、符号22は水晶体、符号23は硝子体、符号24はスケール、符号25はサンプリング点、符号26は基準点である。また図2において、上部から超音波が送信されるものとする。
サンプリング点25は、水晶体22のエッジに設定することが好ましい。Bモード画像上では水晶体22は白く写るため、サンプリング点25を設定する際の識別に有利であり、ドプラ波形情報の応答感度も高い。さらには部位運動の際の輝度差情報を利用し、ドプラ波形情報と併用することで高精度な部位運動状態の判定が行える。また図2では、基準点26は視神経乳頭に設定されており、サンプリング点25との位置関係を規定できる。母親の胎内で胎児が移動した際には、基準点26と視神経乳頭の位置がずれて観測される。また、サンプリング点25の移動は、カラードプラプロセッサ12の信号を利用しても検出可能である。
位置ずれ検出部144は、この基準点25の位置ずれを計測することで基準点26を視神経乳頭に追従させサンプリング点25の位置を補正する。
図3は、超音波画像上の胎児の顔に対し、眼球部または口唇部にサンプリング点を設定する際の説明図である。超音波プローブ1には2次元マトリックスのアレイプローブを使用し胎児の3次元画像を観察する。符号31は眼球部、符号32は鼻尖部、符号33は口唇部を示す。水晶体22は遠近両端の一対の点(図示せず)、または図示するように輪状エコー34として観測される。胎児の眼球運動を観測する場合には、遠近両端の一対の点または輪状エコー34を目印にサンプリング点25Eを設定する。また、胎児の口唇運動を観測する場合には、口角または口唇開口部に対してサンプリング点25Mを設定する。図2の場合、基準点は鼻尖部32に設定している。このように設定されたサンプリング点と基準点はサンプリングポジション設定部141に記憶される。
運動検出部142は、信号管理処理部3のドプラスペクトルプロセッサ11からサンプリング点の部位の運動を示すドプラ波形情報を取得する。そしてドプラ波形情報から運動状態を特徴付けるパラメータを抽出する(以下波形判定パラメータと称する)。そしてこの波形判定パラメータは、部位の運動状態を判定する判定基準と比較される。
図4は、運動検出部142が取得するサンプリング点におけるドプラ波形情報の例である。横軸は時間、縦軸は速度を表している。例えば眼球運動について説明すると、眼球運動は、水晶体22が静止した状態から移動し再び静止点まで戻る動きが検出されることからドプラ波形情報41は概ねプラスとマイナスの波形を持つパルスとなる。
図4では各パルスに対し定義される波形判定パラメータの例が記載されている。プラス側の最大速度をVP、マイナス側の速度をVM、各パルス間の時間間隔をTI、TWはパルスの継続時間(パルス幅)を示している。また各パルスに対し、さらに平均、分散などの統計処理を施すことで各種統計情報を波形判定パラメータとして追加することもできる。
判定情報保存部15には、ドプラ波形情報の各パルスに対して運動状態を識別するための判定基準が過去の観察結果などを基に統計的に算出されてデータベース化されている。
図5は、判定情報保存部15に保存される判定情報データベースの例である。図5に示す例では、胎児の運動部位、パルス最大速度、パルス速度分布、パルス幅、パルス時間分布、パルス間周期などが判定基準として記録されている。また、コメント欄に示すように、眼球運動については、急速運動用と緩速運動用に判定基準は異なるものが設定される。各判定基準には判定に対する閾値範囲が設定されており、その波形判定パラメータがその閾値範囲に含まれるものかどうかで判定が行われるものである。
ここで、胎児の部位運動と脳神経機能の発達の関係について簡単に述べる。1分間を計測単位として胎児の眼球運動の回数を計測すると、1回以上の運動回数が継続する眼球運動期と、眼球運動が計測されない無眼球運動期が観測される。
さらに、眼球運動期においては、REM(Rapid Eye Movement)睡眠状態かNREM(Non-Rapid Eye Movement)睡眠状態かによって眼球運動の速度や継続時間などが異なる。REM睡眠状態では、急速眼球運動が観測されるとともに緩速眼球運動が共存する。またNREM睡眠時には、規則的な口唇運動が観測されるため、無眼球運動期には口唇運動が同期して観測される。
次に、図6のフローチャートを用いて、胎児の部位の運動回数をカウントするためのフローを説明する。部位の運動回数の測定は基本的な統計情報であり、部位の運動状態を判定するのに非常に重要である。
まず、ステップST61では、Bモード画像をモニタ6に表示させる。
ステップST62では、図2または図3に示すようにサンプリング点、好ましくは基準点も同時に設定される。サンプリング点と基準点を同時に設定した場合には、位置ずれ検出部144にて胎児移動を画像処理により検出することができるため、基準点の位置ずれ量に基づいてサンプリング点の位置補正をすることができる。
また、設定したサンプリング点が胎児のどの部位を示しているか(例えば眼球、または口唇)の情報を明示的に設定する。これにより後述のステップにて部位に対応する判定基準を判定情報保存部15から読み出すことができる。
ステップST63ではドプラーモードで測定を開始し、図4に示すようなサンプリング点のドプラ波形情報41を取得する。
ステップST64で、ドプラ波形情報が検出されなければ(ST64:No)、サンプリング点が正しく設定されているかどうかを確認し、サンプリング点がずれていれば、正しく設定し直して胎児の部位運動が観測されるまでBモード画像を見ながら待機する。ドプラ波形情報が検出されれば(ST64:Yes)、ステップST65に進み、判定情報保存部15から部位の運動状態を判定する判定基準を読み出す。
ステップST66では、ドプラ波形情報の各パルスに対し、波形判定パラメータを抽出し、判定情報保存部15から取得した判定基準と比較することで運動回数をカウントし、このカウント処理を測定時間の間継続する。ステップST66は、カウントアップ処理(ST661)とエラー処理(ST662)に大別されるが、このステップの詳細については後述する。
ステップST67では、測定が終了したかどうかを判断し、計測時間内であれば(ステップST67:No)、ステップST66に戻りパルスのカウント処理を続ける。測定終了であれば(ステップST67:Yes)、測定時間内のパルスカウントについて集計し、統計処理を施す(ステップST68)。ステップST69では、集計情報保存部16に集計結果を保存し、集計部143は、その集計結果に対してさらに統計処理を行うことで検査者の意図に沿った結果をモニタ6に表示することができる。
図7は、カウント処理、およびエラー処理の詳細を記したフローチャート図である。また、図8から図10は、各種警告メッセージの例を示している。まず、図7を用いてステップST661のカウント処理について説明する。
ステップST701では、カウント処理に際して胎児が移動していないかどうかを確認する。このステップは操作者による目視でも行うことができるが、位置ずれ検出部144において、ステップST62において設定した基準点と、画像上の部位とがずれていないかどうかを自動的に検出することができる。この移動検出は、母親の移動や操作者によるプローブ位置の移動も含んでおり、胎児の移動が少ない場合には、位置ずれ検出部144はサンプリング点が正しい位置に設定されるように自動的に調整を行うこともできる。
胎児の移動が検出されたならば(ST701:No)、操作者はサンプリング点と基準点の再調整を行う。胎児の移動が検出されず、ドプラ波形情報のパルスを検出したならば(ST701:Yes)、各パルスについてステップST702〜ステップST704までの波形判定処理を行う。
ステップST702では、ドプラ波形情報のパルスについて最大速度が判定基準の閾値範囲にあるかどうかを判定する。この判定は、プラスとマイナスの速度についてそれぞれ行ってもよいし、プラスとマイナスの速度の絶対値を求め、絶対値の大きい方について判定を行ってもよい。パルスの最大速度が判定基準の閾値範囲にある場合(ステップST702:Yes)、次の判定ステップST703に進む。
ステップST703では、パルスの速度分布が判定基準の閾値範囲にあるかどうかを判定する。さらにステップST704ではパルスの継続時間について判定基準の閾値範囲にあるかどうかを判定する。このように、各パルスの最大速度、速度分布および継続時間など複数の波形判定パラメータを用いることにより、部位の運動状態判定に対して正確性が向上する。なお、継続時間の代わりに統計的な処理を施した時間分布を用いてもよい。さらにはパルスの時間間隔や、この他の統計情報を波形判定パラメータとした判定ステップを追加してもよい。また、不必要なステップをスキップしてもよい。
ステップST702〜ステップST704のどれかが、判定基準の閾値範囲外であるならば(ステップST702〜ST704:No)、エラー処理ST662に進む。ステップST702〜ステップST704のいずれもが、判定基準の閾値範囲内にある場合には、部位運動として判定され、ステップST705においてカウントアップを行う。また、カウントアップを行うと同時に、カウントアップした時刻、部位の種別(眼球、口唇など)、運動状態の種別(急速眼球運動、緩速眼球運動など)を記録する。そして測定を終了する時間が来るまでカウントアップ処理を継続する。
ステップST662のエラー処理について説明する。ステップST661のカウントアップ処理にて、ドプラ波形情報から部位運動を判定できなくなった場合、サンプリング点が大きくずれている場合がある。その場合はステップST62に戻り、サンプリング点の調整を行う。この時、図8に示すように「サンプリング点を再確認し、位置がずれている場合は再設定してください。」などのメッセージ表示を行うとよい。
ステップST706において、設定した測定時間が経過したかどうか判断する。測定時間が経過していれば(ステップST706:Yes)、パルス検出を終了する。測定時間が終了していなければ、図9に示すように、「所定の観察時間が経過していませんが観察を中止しますか?」などのメッセージをモニタ6に表示し、その判断を操作者に選択させる(ステップST707)。操作者が観察を中止する場合には、ステップST708に進む。ステップST708ではさらに、図10に示すような「カウントを破棄しますか?それとも予測値を計算しますか?」などのメッセージを表示する。今まで計測したカウントを破棄する場合には(ステップST708:Yes)、ステップST710に進み、カウントを破棄する。操作者がカウントを破棄せず、現在までに取得したカウント値を使用して予測値を計算する場合には(ステップST709:Yes)、ステップST711に進む。
ステップST711では、この時までにカウントしたデータに基づいて所定の時間当たりのパルスカウント値などの予測値を計算し、集計情報保存部16に保存する。
図11は、集計情報保存部16に保存されるデータベースの例である。フィールド項目は、患者ID、部位、妊娠週、測定日時、測定時間、カウント数、予想カウント数、備考などである。図11では患者ID、Aさんについて眼球部と口唇部についてのデータベースが記載されている。1番目のレコードは、妊娠38週の眼球運動についてのデータであり、2012年の10月11日15:24から診察が開始されている。また、所定の測定時間(ここでは60分)にわたり診察がなされている。この1番目のレコードは、さらに詳細情報が折りたたまれており、測定単位の1分ごとのカウント数を表示することができる。さらには、測定単位の1分毎の結果についても折りたたまれており(図示せず)、ドプラ波形情報の各パルスをカウントアップした時間、パルス幅、最大速度など、診察時に設定した波形判定パラメータの値を記憶し表示できる。
2番目のレコードは妊娠週が36週のデータであるが、測定時間が35分であり所定の測定時間(60分)に満たない。この時、ステップST709でNoを選択していれば所定時間当たりの予想カウント値などの予測値が計算され格納される。
また、集計部143は、集計情報保存部16に保存されたデータベースを読出し、各種集計を行いモニタ6に集計結果の表示を行う。図12〜図14は、集計結果の表示例である。
図12は、妊娠38週の60分にわたる眼球運動の結果である。横軸は時間であり、1分を測定単位とする眼球運動回数を表している。眼球運動は妊娠14週頃から観察できるようになるが、妊娠30週を過ぎた頃からは眼球運動期と無眼球運動期が明瞭に区別されて観察されるようになる。従って、図12の例では胎児は正常に発達していることが推察される。
図13は、同じく妊娠38週の眼球運動の結果である。横軸は、パルス幅の継続時間の頻度を集計して表示している。測定時に使用した波形判定パラメータ(パルス幅)の値を集計情報保存部16のデータベースから読出して統計処理を施したものである。これにより、急速眼球運動と緩速眼球運動の両方が観測されていることが判別され、REM睡眠が起こっていることが推察される。
図14は、過去の履歴を参照し、妊娠週に対する眼球運動の推移を表している。これにより、妊娠週が経過するに従って眼球運動が多くなることがわかる。
口唇運動については図示していないが、図13と同様な統計処理を行うことによりNREM睡眠が起こっているかどうかを判定することができる。また、口唇運動に関しては、ドプラ波形情報のパルス間周期も重要な波形判定パラメータとなり、無眼球運動期と大きな相関が得られる。
以上述べたように本実施形態によれば、運動を確認したい胎児の部位にサンプリング点を設定し、この部位運動を表すドプラ波形情報を取得し、ドプラ波形情報の各パルスについて部位運動状態の自動判定を行うことができる。このため、従来のように長時間録画した動画像データを見ながら運動回数を計測していた方法に比べ、正確で迅速な統計処理が行えるという効果を奏する。また、眼球運動については、急速眼球運動と緩速眼球運動という複数の運動状態の区別も自動的に行える。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、説明の都合上、1つのサンプリング点を設定する場合について述べた。超音波プローブ1に2次元マトリックスのアレイプローブを使用した場合には、複数のサンプリング点を設定して同時にスキャンが行え、そのマルチドプラ情報を得ることができる。本実施形態では、このマルチドプラ情報により、部位の移動・回転方向の認識や異なる運動状態の相関関係などを求めることができる。
まず、図2の眼球断面像を用いて眼球運動の移動方向、回転方向の算出について説明する。図2の眼球断面を、鼻(図示せず)を中心に水晶体22の左右方向の動きが検出できるものと仮定する。超音波プローブ1に2次元マトリックスのアレイプローブを使用した場合には、図2と垂直となる方向の眼球断面像に対して、図2と同じ水晶体22にサンプリング点を設定することができる。そうすると、このサンプリング点に対しては、鼻を基準に水晶体22の上下方向の動きが検出できることになる。
すなわち、眼球が上下に動いたか、左右に動いたかが識別でき、さらには同時刻のマルチドプラ情報を用いていることから、眼球が回転しているかどうかを判定することも可能となる。REM睡眠における眼球の回転運動が判定できることは非常に重要である。また、左右の眼球に対してサンプリング点を設定すれば、左右の眼球運動の比較が行える。
次に、図3を用いて異なる運動状態の相関関係について説明する。ここでは、同時に眼球部31と口唇部33に同時にサンプリング点25E,25Mを設定することにより、同じ測定時間における眼球運動と口唇運動の相関関係を集計することが可能となる。
このように、サンプリング点が同時に複数個設定される場合には、集計部143において、複数のサンプリング点から得られるマルチドプラ情報から各サンプリング点の運動状態を判定し、それらの関連付けや異なる運動状態の相関関係を求めることによって詳細な運動状態の集計が可能となる。
第2の実施形態によれば、2次元マトリックスのアレイプローブ使用時には複数のサンプリング点が設定できるため、部位の運動方向、回転などの詳細な運動状態の観察が可能となり、異なる部位の運動状態の相関関係についても同時に統計処理が行えるという効果を奏する。
現状の医学では母親の胎内で成長する胎児の脳波を直接取得することは非常に困難であるが、本実施形態を実施することによって胎児の脳発達を詳細に評価することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
実施形態では、胎児の眼球運動と口唇運動を主例として説明した。しかし適用される診断はこれに限定しない。心臓弁の発達状態などにも適用できることは言うまでもないし、眼球運動に関しては出産後の新生児に対しても適用可能である。また上述したフローチャートはドプラ波形情報のパルスのカウントについて記したが、これに限定するものではない。
これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…超音波プローブ、
2…送受信部、
3…信号管理処理部、
4…スキャンコンバータ、
5…付加情報表示部、
6…モニタ、
7…画像生成部、
8…操作卓、
9…入力制御処理部、
10…制御部、
14…信号解析処理部、
15…判定情報保存部、
16…集計情報保存部、
141…サンプリングポジション設定部、
142…運動検出部、
143…集計部、
144…位置ずれ検出部。

Claims (9)

  1. 超音波画像上の胎児の部位にサンプリング点を設定するサンプリングポジション設定部と、
    前記サンプリング点で設定された部位の運動から得られるドプラ波形情報を取得し、このドプラ波形情報のパルス毎に波形判定パラメータを抽出する運動検出部と、
    前記波形判定パラメータと運動状態を判定する判定基準とを比較することにより前記サンプリング点で設定された部位の運動状態を判定し、その判定結果を前記波形判定パラメータとともに統計情報として集計する集計部と、
    前記判定基準を保存する判定情報保存部と、
    前記統計情報を保持する集計情報保存部と、
    を有する超音波画像診断装置。
  2. 前記波形判定パラメータは、ドプラ波形情報のパルス毎に得られる最大速度情報、速度分布情報、パルス幅情報、およびパルス間周期を含む複数の波形情報で構成され、
    前記判定基準は、少なくとも1つ以上の波形判定パラメータに対して運動状態を判定するための統計的閾値範囲が前記部位毎に設定される請求項1記載の超音波画像診断装置。
  3. 前記部位に対する複数の運動状態を判別するために、各運動状態に対する判定基準をそれぞれ有する請求項2記載の超音波画像診断装置。
  4. 前記胎児の部位は眼球部であり、前記サンプリング点は眼球の水晶体に設定される請求項1記載の超音波画像診断装置。
  5. 前記判定情報保存部は、眼球の急速運動か緩速眼球運動かを判定する判定基準を有する請求項4記載の超音波画像診断装置。
  6. 前記胎児の部位は口唇部である請求項1記載の超音波画像診断装置。
  7. 前記集計部は、妊娠週に応じて前記集計情報を表示し、胎児の脳発達状況の評価を行う請求項1記載の超音波画像診断装置。
  8. 前記胎児の部位の位置ずれを検出する位置ずれ検出部をさらに有し、前記胎児の部位の位置ずれを検出した場合には、前記サンプリング点の位置ずれを補正する請求項1記載の超音波装置。
  9. 前記サンプリングポジション設定部にサンプリング点が同時に複数個設定される場合に、前記集計部は、複数のサンプリング点から得られるマルチドプラ情報から各サンプリング点の運動状態を判定し、それらの運動状態の関連付けや異なる運動状態の相関関係を求めることによって詳細な運動状態の集計を行う請求項1記載の超音波装置。
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