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JP6173876B2 - 研磨液組成物 - Google Patents

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JP6173876B2 JP2013221188A JP2013221188A JP6173876B2 JP 6173876 B2 JP6173876 B2 JP 6173876B2 JP 2013221188 A JP2013221188 A JP 2013221188A JP 2013221188 A JP2013221188 A JP 2013221188A JP 6173876 B2 JP6173876 B2 JP 6173876B2
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Description

本開示は、研磨液組成物、及びこれを用いた基板の製造方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するために、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、表面粗さ、うねり、端面ダレの低減に代表される平滑性・平坦性の向上とスクラッチ、突起、ピット等の低減に代表される欠陥低減に対する要求が厳しくなっている。このような要求に対して、カルボキシ基やスルホン酸基などの官能基を有する共重合体を含有する研磨液組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献1及び2は、分子中に繰り返し単位と、スルホン酸(塩)基とを有し、さらに繰り返し単位の主鎖中に芳香族基を有する陰イオン性界面活性剤を用いることにより、スクラッチ等の欠陥を低減することができ、研磨工程において発泡が少なく、効率よく研磨することができる研磨剤組成物を開示する。
特許文献3は、アニオン性基を有する水溶性高分子を含有することにより生産性を損なうことなく研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さを低減できる磁気ディスク基板用研磨液組成物を開示する。
特開2010−135052号公報 特開2012−135863号公報 特開2010−170650号公報
磁気ディスクドライブの大容量化に伴い、基板の表面品質に対する要求特性はさらに厳しくなっており、基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥(突起欠陥及び凹み欠陥を含む。以下同じ)、及びうねりをいっそう低減できる研磨液組成物の開発が求められている。
そこで、本開示は、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥、及びうねりを低減できる研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法を提供する。
本開示は一態様において、シリカ粒子と、酸と、水溶性重合体と、水とを含有する研磨液組成物であって、前記水溶性重合体が、主鎖に、下記式(I)で表される構成単位、及び、下記式(II)で表される基を含む構成単位を含有する研磨液組成物に関する。
Figure 0006173876
[式(I)及び(II)中、Mは、それぞれ独立して、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アミンを表す。]
本開示はその他の態様において、本開示の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨する工程を含む、基板の製造方法に関する。
本開示はその他の態様において、本開示の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨することを含む、基板の研磨方法に関する。
本開示の研磨液組成物によれば、生産性を損なうことなく、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のうねりが低減された基板、好ましくは磁気ディスク基板、さらに好ましくは垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板を製造できるという効果が奏されうる。
本開示は、ホスフィノ基を有する構成単位と、カルボキシ基を有する構成単位とを主鎖に含む構成の水溶性共重合体を含有する研磨液組成物を用いた研磨により、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減できるという知見に基づく。
すなわち、本開示は、シリカ粒子と、酸と、水溶性重合体と、水とを含有する研磨液組成物であって、前記水溶性重合体が、主鎖に、上記式(I)で表される構成単位、及び、上記式(II)で表される基を含む構成単位を含有する水溶性重合体である研磨液組成物(以下、「本開示の研磨液組成物」ともいう)に関する。
本開示の研磨液組成物により研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減できるメカニズムの詳細は明らかではないが以下のように推定される。すなわち、本開示の研磨液組成物は、低pH領域で疎水性を示すカルボキシ基が研磨パッドに吸着してぬれ性を付与し、ホスフィノ基が被研磨基板と相互作用してぬれ性を付与すると考えられる。これにより、研磨パッド―被研磨基板間の摩擦振動が抑制され、スクラッチ、ナノ欠陥及び基板表面うねりが低減されると推定される。但し、本開示はこのメカニズムに限定されなくてもよい。
[水溶性重合体]
本開示において「水溶性」とは、一又は複数の実施形態において、20℃の水100gに対する溶解度が2g以上であることをいう。また、「主鎖」とは、前記水溶性重合体において、モノマー単位が結合して形成される直鎖構造のうち最も長い部分をいい、「側鎖」とは、前記直鎖から枝分かれしている部分をいう。
前記水溶性重合体は、主鎖に、下記式(I)で表される構成単位、及び、下記式(II)で表される基を含む構成単位を含有する。
Figure 0006173876
式(I)及び(II)中、Mは、それぞれ独立して、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アミンである。アルカリ金属は、一又は複数の実施形態において、ナトリウム、カリウムが挙げられる。有機アミンは、一又は複数の実施形態において、エチルアミン、メチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、アルカノールアミンが挙げられる。これらの中でも式(I)のMは、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、酸性条件下(例えばpH1.5)において水素原子となるものが好ましい。また、式(II)のMは、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、水素原子が好ましい。
前記水溶性重合体は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、下記式(III)で表される構成を含む。
Figure 0006173876
[式(III)中、M1は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アミンを表し、
1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、
1〜X4は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、又は−C(=O)Y基を表し、Yは、−OZ1又は−NZ23を表し、Z1は水素原子、アルカリ金属、又は脂肪族炭化水素基を表し、Z2及びZ3は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂肪族スルホン酸、又は脂肪族スルホン酸塩を表し、かつ、X1〜X4のうち少なくとも1つは−COOM2であって、M2は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アミンを表し、
m及びnは、それぞれ独立に、1以上の数を表す]
上記式(III)において、ホスフィノ基(−P(O)(OM1)−)の両隣の構成単位は、同じであってもよく(R1=R2かつX1=X3かつX2=X4)、異なってもよい。上記式(III)のM1及びM2におけるアルカリ金属及び有機アミンは、式(I)のMの一又は複数の実施形態をとりうる。式(III)のM1は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、酸性条件下(例えばpH1.5)において水素原子となるものが好ましく、式(III)のM2は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、水素原子が好ましい。また、上記式(III)におけるR1及びR2は、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、水素原子が好ましい。上記式(III)におけるX1及びX3は、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、水素原子が好ましい。また、上記式(III)におけるX2は、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、-COOHが好ましい。水素原子である。上記式(III)におけるX4は、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、X2、又は、-C(O)-NH-C(CH3)(CH3)-CH2-SO3Mが好ましい。上記式(III)におけるn及びmの数は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、m+nが、2以上50以下が好ましく、より好ましくは3以上20以下である。
前記水溶性重合体は、一又は複数の実施形態において、次亜リン酸[HOP(O)H2]又はその塩と、モノエチレン性不飽和カルボン酸又はその塩及びモノエチレン性不飽和カルボン酸誘導体又はその塩からなる群から選ばれるすくなくとも1種のモノマーとを重合させて得られる又は得られた共重合体である。
モノエチレン性不飽和カルボン酸としては、一又は複数の実施形態において、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸及びこれらの組み合わせが挙げられる。モノエチレン性不飽和モノカルボン酸は、一又は複数の実施形態において、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、プロピリデン酢酸、エチリデンプロピオン酸、ジメチルアクリル酸等が挙げられる。モノエチレン性不飽和ジカルボン酸は、一又は複数の実施形態において、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、メチレンマロン酸、シトラコン酸、これらの不飽和ジカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン等、さらに前記無水物を鹸化したものが挙げられる。これらの中でも、モノエチレン性不飽和カルボン酸は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。なお、モノエチレン性不飽和カルボン酸は、そのまま又は中和されて塩の形で使用されうる。
モノエチレン性不飽和カルボン酸誘導体は、一又は複数の実施形態において、エステル誘導体、アミド誘導体、及びこれらの組み合わせが挙げられる。モノエチレン性不飽和カルボン酸のエステル誘導体は、一又は複数の実施形態において、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。モノエチレン性不飽和カルボン酸のアミド誘導体は、一又は複数の実施形態において、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジ−n−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)などの(メタ)アクリル酸アミド類が挙げられる。これらの中でも、モノエチレン性不飽和カルボン酸誘導体は、一又は複数の実施形態において、研磨後の研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)が好ましい。
前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占める式(I)で表される構成単位の含有量は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、1モル%以上30モル%以下が好ましく、より好ましくは5モル%以上25モル%以下、さらに好ましくは5モル%以上15モル%以下である。
前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占めるジ亜リン酸又はその塩に由来する構成単位の含有量は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、1モル%以上30モル%以下が好ましく、より好ましくは5モル%以上25モル%以下、さらに好ましくは5モル%以上15モル%以下である。
前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占める式(II)で表される構成単位の含有量は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、70モル%以上99モル%以下が好ましく、より好ましくは25モル%以上95モル%以下、さらに好ましくは85モル%以上95モル%以下である。
前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占めるモノエチレン性不飽和カルボン酸又はその塩に由来する構成単位の含有量は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減から、70モル%以上99モル%以下が好ましく、より好ましくは25モル%以上95以下、さらに好ましくは85モル%以上95モル%以下である。
なお、本開示において、前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占めるある構成単位の含有量(モル%)として、合成条件によっては、前記水溶性重合体の合成の全工程で反応槽に仕込まれた全構成単位を導入するための化合物中に占める前記反応槽に仕込まれた該構成単位を導入するための化合物量(モル%)を使用してもよい。また、本明細書において、前記水溶性重合体を構成するある2つの構成単位の構成比(モル比)として、合成条件によっては、前記水溶性重合体の合成の全工程で反応槽に仕込まれた該2つの構成単位を導入するための化合物量比(モル比)を使用してもよい。
[その他の構成単位]
前記水溶性重合体は、式(III)に含まれないその他の構成単位を有していてもよい。前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占めるその他の構成単位の含有率は、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、0モル%以上30モル%以下が好ましく、より好ましくは0モル%以上20モル%以下、さらに好ましくは0モル%以上10モル%以下、さらにより好ましくは0モル%以上5モル%以下、さらにより好ましくは実質的に0モル%又は0モル%である。
前記水溶性重合体を構成する全構成単位中におけるジ亜リン酸又はその塩に由来する構成単位(構成単位A)とモノエチレン性不飽和カルボン酸又はその塩に由来する構成単位(構成単位B)のモル比率(構成単位A/構成単位B)は、研磨後の基板表面のスクラッチ、ナノ欠陥及びうねりを低減する観点から、1/99以上30/70以下であることが好ましく、より好ましくは5/95以上25/75以下、さらに好ましくは5/95以上15/85以下である。
[水溶性重合体の重量平均分子量]
前記水溶性重合体の重量平均分子量は、生産性を損なうことなく研磨後の基板表面のスクラッチ及びうねりを低減する観点から、500以上120000以下が好ましく、より好ましくは1000以上100000以下、さらに好ましくは1000以上50000以下、さらにより好ましくは1500以上40000以下、さらにより好ましくは3000以上40000以下、さらにより好ましくは4500以上40000以下、さらにより好ましくは5000以上40000以下である。該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて実施例に記載の条件で測定した値とする。
[水溶性重合体の含有量]
本開示の研磨液組成物における前記水溶性重合体の含有量は、生産性を損なうことなく研磨後の基板表面のスクラッチ及びうねりを低減する観点から、0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.003質量%以上0.5質量%以下、さらに好ましくは0.005質量%以上0.2質量%以下、さらにより好ましくは0.007質量%以上0.15質量%以下、さらにより好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下、さらにより好ましくは0.01質量%以上0.07質量%以下、さらにより好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。なお、本明細書において「研磨液組成物中における含有成分の含有量」とは、研磨液組成物を研磨に使用する時点での前記成分の含有量をいう。したがって、本開示の研磨液組成物が濃縮物として作製された場合には、前記成分の含有量はその濃縮分だけ高くなりうる。
[研磨材]
本開示の研磨液組成物に使用される研磨材としては、シリカが挙げられ、表面粗さを低減する観点、スクラッチを低減する観点から、コロイダルシリカが好ましい。
〔研磨材の平均粒径〕
本開示における「研磨材の平均粒径」とは、特に言及しない限り、動的光散乱法において検出角90°で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径をいう(以下、「散乱強度分布に基づく平均粒径」ともいう)。研磨材の平均粒径は、研磨後の基板表面のスクラッチを低減する観点から、1nm以上40nm以下が好ましく、より好ましくは5nm以上37nm以下、さらに好ましくは10nm以上35nm以下である。なお、研磨材の平均粒径は、具体的には実施例に記載の方法により求めることができる。
本開示の研磨液組成物中における研磨材の含有量は、研磨速度を向上させる観点から、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらにより好ましくは4質量%以上である。また、研磨後の基板表面のスクラッチ低減の観点からは、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは13質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下である。すなわち、研磨材の含有量は、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上13質量%以下、さらにより好ましくは4質量%以上10質量%以下である。
[水]
本開示の研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。被研磨基板の表面清浄性の観点からイオン交換水及び超純水が好ましく、超純水がより好ましい。研磨液組成物中の水の含有量は、60質量%以上99.4質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以上98.9質量%以下である。また、本開示の効果を阻害しない範囲内でアルコール等の有機溶剤を適宜配合してもよい。
[酸]
本開示の研磨液組成物は、研磨速度向上の観点から、酸を含有することが好ましい。本開示において、酸の使用は、酸及び又はその塩の使用を含む。本開示の研磨液組成物に使用される酸としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。中でも、基板表面のスクラッチ及びうねり低減の観点、酸化剤の安定性向上及び廃液処理性向上の観点から、無機酸、有機ホスホン酸が好ましい。無機酸の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸が好ましく、リン酸、硫酸がより好ましい。有機ホスホン酸の中では、ヒドロキシホスホノ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩が好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)がより好ましい。
前記酸は単独で又は2種以上を混合して用いてもよいが、研磨速度の向上及び基板の洗浄性向上の観点から、2種以上を混合して用いることが好ましく、スクラッチ低減、酸化剤の安定性向上及び廃液処理性向上の観点から、リン酸、硫酸、及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸からなる群から選択される2種以上の酸を混合して用いることがさらに好ましい。
前記酸の塩を用いる場合の塩としては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨後の基板表面のスクラッチ低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物中における前記酸及びその塩の含有量は、研磨速度向上、並びに研磨後の基板表面のスクラッチ低減の観点から、0.001質量%以上5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上4.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以上3.0質量%以下、さらにより好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下、さらにより好ましくは0.4質量%以上1.0質量%以下である。
[酸化剤]
本開示の研磨液組成物は、研磨速度の向上、基板表面のスクラッチ及びうねり低減の観点から、酸化剤を含有することが好ましい。本開示の研磨液組成物に使用できる酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。
前記過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等が挙げられ、過マンガン酸又はその塩としては、過マンガン酸カリウム等が挙げられ、クロム酸又はその塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等が挙げられ、ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等が挙げられ、酸素酸又はその塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、金属塩類としては、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。
研磨後の基板表面のスクラッチ及び基板表面うねりの低減の観点から好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。より好ましい酸化剤としては、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、研磨後の基板表面のスクラッチ及び基板表面うねりの低減の観点から、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。従って、表面品質を保ちつつ研磨速度を向上させるためには、上記含有量は、好ましくは0.01質量%以上4質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上1質量%以下である。
[その他の成分]
本開示の研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。研磨液組成物中のこれら他の任意成分の含有量は、0質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0質量%以上5質量%以下である。但し、本開示の研磨液組成物は、他の成分、とりわけ界面活性剤を含むことなく、基板表面のスクラッチ及びうねりの低減効果を発揮し得る。さらに、本開示の研磨液組成物は、アルミナ砥粒を含ませることができ、最終研磨工程より前の粗研磨工程に使用することもできる。
[研磨液組成物のpH]
本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度向上の観点から、4.0以下が好ましく、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.0以下、さらにより好ましくは2.5以下である。また、表面粗さ低減の観点から、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上、さらにより好ましくは1.2以上である。したがって、研磨液組成物のpHは、好ましくは0.5以上4.0以下、より好ましくは0.8以上3.5以下、さらに好ましくは1.0以上3.0以下、さらにより好ましくは1.2以上2.5以下である。
[研磨液組成物の調製方法]
本開示の研磨液組成物は、例えば、水と、研磨材と、水溶性重合体と、さらに所望により、酸及び/又はその塩と、酸化剤と、他の成分とを公知の方法で混合することにより調製できる。この際、研磨材は、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。本開示の研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、上述した範囲であるが、その他の態様として、本開示の研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。
本開示の研磨液組成物は、精密部品用基板の製造に好適に使用できる。例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の磁気ディスク基板、フォトマスク基板、光学レンズ、光学ミラー、光学プリズム、半導体基板などの精密部品用基板の研磨に適しており、とりわけ、磁気ディスク基板の研磨に適している。半導体基板の製造においては、シリコンウエハ(ベアウエハ)のポリッシング工程、埋め込み素子分離膜の形成工程、層間絶縁膜の平坦化工程、埋め込み金属配線の形成工程、埋め込みキャパシタ形成工程等において本開示の研磨液組成物を用いることができる。
本開示の研磨液組成物が好適な被研磨物の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨物に好適である。例えば、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板により適しており、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板がさらに適している。
[基板の製造方法]
本開示は、その他の態様として、基板の製造方法(以下、「本開示の製造方法」ともいう。)に関する。本開示の製造方法は、上述した研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨する工程(以下、「本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう。)を含む基板の製造方法である。これにより、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面うねりが低減された基板を提供できる。本開示の製造方法は、磁気ディスク基板の製造方法に適しており、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。よって、本開示の製造方法は、その他の態様として、本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程を含む基板の製造方法であり、好ましくは磁気ディスク基板の製造方法であり、より好ましくは垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法である。
本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程は、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨する工程であり、或いは、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本開示の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する工程である。
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。また使用した研磨液を再利用する循環研磨においても、本開示の研磨液組成物は使用できる。なお、研磨機としては、特に限定されず、基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
[研磨パッド]
本開示で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
研磨パッドの表面部材の平均開孔径は、スクラッチ低減及びパッド寿命の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、さらにより好ましくは35μm以下である。パッドの研磨液保持性の観点から、開孔で研磨液を保持し液切れを起こさないようにするために、平均開孔径は0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは1μm以上、さらにより好ましくは10μm以上である。また、研磨パッドの開孔径の最大値は、研磨速度維持の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
[研磨荷重]
本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、好ましくは5.9kPa以上、より好ましくは6.9kPa以上、さらに好ましくは7.5kPa以上である。これにより、研磨速度の低下を抑制できるため、生産性の向上が可能となる。なお、本開示の製造方法において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程は、研磨荷重は20kPa以下が好ましく、より好ましくは18kPa以下、さらに好ましくは16kPa以下である。これにより、スクラッチの発生を抑制することができる。したがって、本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程において研磨圧力は5.9kPa以上20kPa以下が好ましく、6.9kPa以上18kPa以下がより好ましく、7.5kPa以上16kPa以下がさらに好ましい。研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
[研磨液組成物の供給]
本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程における本開示の研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05mL/分以上15mL/分以下であり、より好ましくは0.06mL/分以上10mL/分以下、さらに好ましくは0.07mL/分以上1mL/分以下、さらにより好ましくは0.07mL/分以上0.5mL/分以下である。
本開示の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本開示の研磨液組成物となる。
[被研磨基板]
本開示において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板、ガラス基板が好適である。中でも、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、アルミノシリケートガラス基板に適しており、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板がさらに適している。アルミノシリケートガラス基板には、結晶構造を有しているもの、化学強化処理を施したものが含まれる。化学強化処理は研磨後に行ってもよい。
上記被研磨基板の形状には特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状であればよい。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2〜95mm程度であり、その厚みは例えば0.5〜2mm程度である。
また、本開示によれば、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のうねりが低減された基板を提供できるため、高度の表面平滑性が要求される磁気ディスク基板、とりわけ垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板の研磨に好適に用いることができる。
[研磨方法]
本開示は、その他の態様として、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含む被研磨基板の研磨方法に関する。本開示の研磨方法を使用することにより、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のうねりが低減された基板が提供される。本開示の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。なお、具体的な研磨の方法及び条件は、上述のとおりとすることができる。
本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することは、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨することであり、或いは、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本開示の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨することである。
上述した実施形態に関し、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態にかかる組成物、製造方法、或いは用途を開示する。
<1> シリカ粒子と、酸と、水溶性重合体と、水とを含有する研磨液組成物であって、前記水溶性重合体が、主鎖に、下記式(I)で表される構成単位、及び、下記式(II)で表される基を含む構成単位を含有する、研磨液組成物。
Figure 0006173876
[式(I)及び(II)中、Mは、それぞれ独立して、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アミンを表す。]
<2> 前記水溶性重合体が、下記式(III)で表される構成を含む、<1>記載の研磨液組成物。
Figure 0006173876
[式(III)中、M1は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アミンを表し、
1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、
1〜X4は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、又は−C(=O)Y基を表し、Yは、−OZ1又は−NZ23を表し、Z1は水素原子、アルカリ金属、脂肪族炭化水素基を表し、Z2、及びZ3は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂肪族スルホン酸、又は脂肪族スルホン酸塩を表し、かつ、X1〜X4のうち少なくとも1つは−COOM2であって、M2は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アミンを表し、
m及びnは、それぞれ独立に、1以上の数を表す]
<3> 式(III)におけるR1及びR2が、好ましくは水素原子である、<2>記載の研磨液組成物。
<4> 式(III)におけるM1が。好ましくは、酸性条件下(例えばpH1.5)において水素原子となるもの、より好ましくはナトリウム又は水素原子、さらに好ましくは水素原子である、<2>又は<3>に記載の研磨液組成物。
<5> 式(III)におけるM2が、好ましくは水素原子である、<2>から<4>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<6> 式(III)におけるX1及びX3が、好ましくは水素原子である、<2>から<5>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<7> 式(III)におけるX2が、好ましくは−COOHである、<2>から<6>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<8> 式(III)におけるX4が、好ましくはX2、又は、-C(O)-NH-C(CH3)(CH3)-CH2-SO3Mであって、Mは、好ましくは、酸性条件下(例えばpH1.5)において水素原子となるもの、より好ましくはナトリウム又は水素原子である、<2>から<7>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<9> 式(III)におけるn及びmの数は、m+nが、好ましくは2以上、より好ましくは3以上となる数である、<2>から<8>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<10> 式(III)におけるn及びmの数は、m+nが、好ましくは50以下、より好ましくは20以下となる数である、<2>から<9>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<11> 前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占める式(I)で表される構成単位の含有量が、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上である、<1>から<10>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<12> 前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占める式(I)で表される構成単位の含有量はが、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、さらに好ましくは15モル%以下である、<1>から<11>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<13> 前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占める式(I)で表される構成単位の含有量が、好ましくは1モル%以上30モル%以下、より好ましくは5モル%以上25モル%以下、さらに好ましくは5モル%以上15モル%以下である、<1>から<12>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<14> 前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占める式(II)で表される構成単位の含有量が、好ましくは70モル%以上、より好ましくは25モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上である、<1>から<13>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<15> 前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占める式(II)で表される構成単位の含有量が、好ましくは99モル%以下、より好ましくは95以下である、<1>から<14>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<16> 前記水溶性重合体が、次亜リン酸又はその塩と、モノエチレン性不飽和カルボン酸又はその塩及びモノエチレン性不飽和カルボン酸誘導体又はその塩からなる群から選ばれるすくなくとも1種のモノマーとを重合させて得られる共重合体である、<1>から<15>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<17> 前記水溶性重合体を構成する全構成単位中におけるジ亜リン酸又はその塩に由来する構成単位(構成単位A)とモノエチレン性不飽和カルボン酸又はその塩に由来する構成単位(構成単位B)のモル比率(構成単位A/構成単位B)が、好ましくは1/99以上、より好ましくは5/95以上、さらに好ましくは5/95以上である、<1>から<16>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<18> 前記水溶性重合体を構成する全構成単位中におけるジ亜リン酸又はその塩に由来する構成単位(構成単位A)とモノエチレン性不飽和カルボン酸又はその塩に由来する構成単位(構成単位B)のモル比率(構成単位A/構成単位B)が、好ましくは30/70以下、より好ましくは25/75以下、さらに好ましくは15/85以下である、<1>から<17>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<19> 前記水溶性重合体が、ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ホスフィノカルボン酸共重合体、これらの塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、<1>から<18>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<20> 前記水溶性重合体の重量平均分子量が、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは1500以上、さらにより好ましくは3000以上、さらにより好ましくは4500以上、さらにより好ましくは5000以上である、<1>から<19>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<21> 前記水溶性重合体の重量平均分子量が、好ましくは120000以下、より好ましくは100000以下、さらに好ましくは50000以下、さらにより好ましくは40000以下である、<1>から<20>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<22> 前記シリカ粒子の平均粒径が、好ましくは1nm以上40nm以下、より好ましくは5nm以上37nm以下、さらに好ましくは10nm以上35nm以下である、<1>から<21>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<23> 被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である、<1>から<22>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<24> 研磨液組成物のpHが、好ましくは0.5以上4.0以下、より好ましくは0.8以上3.5以下、さらに好ましくは1.0以上3.0以下、さらにより好ましくは1.2以上2.5以下である、<1>から<23>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<25> <1>から<24>のいずれかに記載の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨する工程を含む、基板の製造方法。
<26> <1>から<24>のいずれかに記載の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨することを含む、基板の研磨方法。
[実施例1〜8及び比較例1〜4]
実施例1〜8及び比較例1〜4の研磨液組成物を調製して被研磨基板の研磨を行い、純水で洗浄して評価用基板とし、該評価用基板の表面のうねり、ナノ欠陥数、及びスクラッチ数の評価を行った。使用した水溶性重合体、研磨液組成物の調製方法、各パラメーターの測定方法、研磨条件(研磨方法)及び評価方法は以下のとおりである。
1.研磨液組成物の調製
研磨材(コロイダルシリカ)と、水溶性重合体、酸と、過酸化水素水(濃度:35質量%)とをイオン交換水に添加し、撹拌することにより、実施例1〜8及び比較例1〜4の研磨液組成物を調製した(pH1.5)。
コロイダルシリカは、平均粒径25nmの球形シリカを6.0質量%となる添加量で使用した。
酸は、硫酸、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ソルーシア・ジャパン製)又はリン酸を、それぞれ、0.4質量%、1.0質量%又は1.0質量%となる添加量で使用した(表2)。
過酸化水素は、0.4質量%となる添加量で使用した。
水溶性重合体は、表1に示す水溶性重合体A、B、Cの組成であって、表2に示す重量平均分子量のものを0.02質量%又は0.05質量%となる添加量で使用した。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により下記条件で測定した。
なお、比較例3及び4において、ホスフィン酸(H2P(O)OH)を0.05質量%となる添加量で使用した。
〔水溶性共重合体Aの重量平均分子量の測定方法〕
カラム:TSKgel α−M+TSKgel α−M(東ソー製)
溶離液:60mmol/L リン酸,50mmol/L LiBr/DMF
温度:40℃
流速:1.0ml/分
試料サイズ:5mg/ml
検出器:RI
標準物質:ポリスチレン(分子量3600、30000:西尾工業株式会社社製。9.64万、842万:東ソー株式会社製、92.9万:chemco社製)
〔水溶性共重合体B及びCの重量平均分子量の測定方法〕
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1体積比
温度:40℃
流速:1.0ml/分
試料サイズ:5mg/ml
検出器:RI
標準物質:ポリエチレングリコール(2.4万、10.1万、18.5万、54万:東ソー製、25.8万、87.5万 創和科学製)
Figure 0006173876
〔コロイダルシリカの平均粒径〕
研磨液組成物の調製に用いたコロイダルシリカと、硫酸と、HEDPと、過酸化水素水とをイオン交換水に添加し、撹拌することにより、標準試料を作製した(pH1.5)。標準試料中におけるコロイダルシリカ、硫酸、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ5質量%、0.5質量%、0.1質量%、0.5質量%とした。この標準試料を動的光散乱装置(大塚電子社製DLS-6500)により、同メーカーが添付した説明書に従って、200回積算した際の検出角90°におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒径を求め、コロイダルシリカの平均粒径とした。
2.研磨方法
前記のように調製した実施例1〜8及び比較例1〜4の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨された基板表面のうねり、ナノ欠陥数、スクラッチ数測定した。その結果を表2に示す。
[被研磨基板]
被研磨基板として、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nm、長波長うねり(波長0.4〜2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50〜400μm)の振幅は2nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径15μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.15mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:10kPa
研磨時間:6分間
[うねり(短波長うねり)の評価方法]
研磨後の8枚の基板から任意に3枚を選択し、下記の条件で測定した。その3枚の測定値の平均値を基板の短波長うねりとして算出した。その結果を、下記表2に、比較例1を100とした相対値として示す。
測定機:New View 5032(Zygo製)
レンズ:2.5倍
ズーム:0.5倍
測定波長:80〜500μm(短波長うねり)
測定位置:基板中心より半径27mm
解析ソフト:Zygo Metro Pro(Zygo社製)
[ナノ欠陥数の測定方法]
測定機器:OSA7100(KLA Tencor社製)
評価:研磨試験機に投入した基板のうち、無作為に4枚を選択し、各々の基板を8000rpmにてレーザーを照射してナノ欠陥数を測定した。その4枚の基板の各々両面にあるナノ欠陥数(個)の合計を8で除して、基板面当たりのナノ欠陥数(個)を算出した。その結果を、下記表2に、比較例1を100とした相対値として示す。
[スクラッチ数の測定方法]
測定機器:OSA7100(KLA Tencor社製)
評価:研磨試験機に投入した基板のうち、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してスクラッチを測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。その結果を、下記表2に、比較例1を100とした相対値として示す。
Figure 0006173876
上記表2に示すとおり、実施例1〜8の研磨液組成物は、比較例1〜4の研磨液組成物に比べて、短波長うねり、基板表面のナノ欠陥、及び、基板表面のスクラッチを効果的に低減することが示された。
本開示によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。

Claims (9)

  1. シリカ粒子と、酸と、水溶性重合体と、水とを含有する研磨液組成物であって、
    前記水溶性重合体が、主鎖に、下記式(I)で表される構成単位、及び、下記式(II)で表される基を含む構成単位を含有する、研磨液組成物。
    Figure 0006173876
    [式(I)及び(II)中、Mは、それぞれ独立して、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アミンを表す。]
  2. 前記水溶性重合体が、下記式(III)で表される構成を含む、請求項1記載の研磨液組成物。
    Figure 0006173876
    [式(III)中、M1は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アミンを表し、
    1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、
    1〜X4は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、又は−C(=O)Y基を表し、Yは、−OZ1又は−NZ23を表し、Z1は水素原子、アルカリ金属、又は脂肪族炭化水素基を表し、Z2及びZ3は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂肪族スルホン酸、又は脂肪族スルホン酸塩を表し、かつ、X1〜X4のうち少なくとも1つは−COOM2であって、M2は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アミンを表し、
    m及びnは、それぞれ独立に、1以上の数を表す]
  3. 前記水溶性重合体が、次亜リン酸又はその塩と、モノエチレン性不飽和カルボン酸又はその塩及びモノエチレン性不飽和カルボン酸誘導体又はその塩からなる群から選ばれるすくなくとも1種のモノマーとを重合させて得られる共重合体である、請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
  4. 前記水溶性重合体が、ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ホスフィノカルボン酸共重合体、これらの塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1から3のいずれかに記載の研磨液組成物。
  5. 前記水溶性重合体を構成する全構成単位中に占める式(I)で表される構成単位の含有量が、1モル%以上30モル%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の研磨液組成物。
  6. 被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である、請求項1から5のずれかに記載の研磨液組成物。
  7. pHが、0.5以上4.0以下である、請求項1から6のいずれかに記載の研磨液組成物。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨する工程を含む、基板の製造方法。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨することを含む、基板の研磨方法。
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