JP6172670B2 - Mu−mimoシステムとmu−mimoの通信方法 - Google Patents
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Description
無線通信の技術には、MU−MIMOがあり、非特許文献1には、そのMU−MIMO技術を用いる国際標準規格の1つであるIEEE802.11acが記載されている。
そして、産業用ロボットに指令信号を送る制御装置をビームフォーマとし、産業用ロボットをビームフォーミとして、MU−MIMOによる無線通信を行うことにより、制御装置は、高速通信環境下で、複数の産業用ロボットに対し同時に指令信号を送ることが可能となる。従って、MU−MIMOを産業用イーサネットに適用できれば、1つの制御装置で同時に複数の産業用ロボットの動作を円滑に制御可能となる。
なお、このシステムでは、ビームフォーマ100が同時にパラレルでデータを送ることができる数(ストリーム数)とビームフォーミ101、102、103、104が同数であるが、MU−MIMOはこれに限定されず、ストリーム数がビームフォーミ数より多いこともあるのは言うまでもない。
そして、ビームフォーマ100は、プリコーディングを行った各データをビームフォーミ101、102、103、104にそれぞれ送信する。
この同期通信は、産業用ロボットの設置現場に限らず、複数の機器が連関して作動する他の現場においても利用されている。
一方、同期通信の同期精度を上げるには、複数のビームフォーミの中で最も通信状態が悪い通信レベルを向上させることが重要である。
従って、MU−MIMOを同期精度の高い(例えば、数μsecオーダ)同期通信に適用するには、MU−MIMOにおいて、ビームフォーミの通信レベルの底上げが求められる。
以下、図8に示すシステムにおいて、ビームフォーミ101、102間でチャネルの相関が高い場合に起こる現象を説明する。なお、ビームフォーミ103、104は、他のビームフォーミとチャネルの相関が低いものとする。
その結果、ビームフォーミ103、104がそれぞれ通信を完了しているのに対し、ビームフォーミ101、102は、その干渉の影響により、通信エラーが多発し、通信未完了の状態が継続する。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、チャネルの相関が高いビームフォーミが安定的に通信を行うことができるMU−MIMOシステムとMU−MIMOの通信方法を提供することを目的とする。
ここで、チャネルの相関が高いとは、チャネルの相関によるビームフォーミのパケットエラー率、あるいは、符号誤り率が所定の値以上となるチャネルの相関レベルであることを意味する。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るMU−MIMOシステム10は、ビームフォーマ11が、複数のビームフォーミ12、13、14、15それぞれに対応する複数のデータ12a、13a、14a、15aを、ストリーム12s、13s、14s、15sに割り当ててプリコーディングし、複数のビームフォーミ12、13、14、15それぞれに送信する無線通信システムである。以下、詳細に説明する。
OSI参照モデルを含む複数のレイヤから構成された送受信処理回路20は、ビームフォーミ12、13、14、15それぞれに対して送信するデータ12a、13a、14a、15aを生成し、プリコーディング処理を行う。
ビームフォーマ11と無線通信を行う複数のビームフォーミ12、13、14、15もそれぞれ、図示しないアンプに接続された送受信用アンテナ22を有し、ビームフォーマ11から送られたデータ12a、13a、14a、15aを受信する。
本実施の形態では、ビームフォーミ12、13、14、15はそれぞれ産業用ロボットであり、ビームフォーマ11は、ビームフォーミ12、13、14、15に指令信号を送る制御装置である。指令信号とは、ビームフォーミ12、13、14、15の動作を決定する信号を意味する。
ビームフォーミ12は複数の動作パターンを行うことができ、各動作パターンに対して異なる指令信号が設けられている。データ12aを構成するデジタル情報列は、ビームフォーミ12の動作パターンごとに異なり、ビームフォーミ12はデータ12aのデジタル情報列に応じて所定の動作パターンを行う。この点、ビームフォーミ13とデータ13aの関係、ビームフォーミ14とデータ14aの関係、及び、ビームフォーミ15とデータ15aの関係も、ビームフォーミ12とデータ12aの関係とそれぞれ同じである。
割り当て手段24は、ビームフォーミ12、13、14、15のチャネル状態(情報)を、所定の時間間隔でビームフォーミ12、13、14、15からそれぞれ取得する。次に、割り当て手段24は、ビームフォーミ12、13、14、15の各チャネル状態を基にして、データ処理手段23から受け取ったデータ12a、13a、14a、15aそれぞれの割り当て先を、ストリーム12s、13s、14s、15sの中から選択する。
複数のビームフォーミ12、13、14、15がそれぞれ他のビームフォーミ12、13、14、15との関係でチャネルの相関が低い場合、複数のデータ12a、13a、14a、15aはそれぞれ別個のストリーム12s、13s、14s、15sに割り当てられる。本実施の形態では、データ12a、13a、14a、15aが、図2に示すように、ストリーム12s、13s、14s、15sにそれぞれ割り当てられる。
ここで、チャネルの相関が低いとは、チャネルの相関によるビームフォーミ12、13、14、15のパケットエラー率がX%(所定の値)未満となるチャネルの相関レベルを意味し、反対に、パケットエラー率がX%以上のチャネルの相関レベルはチャネルの相関が高いということになる。X%は、例えば、20〜80%の範囲の値であり、この値は、MU−MIMOシステムを利用する現場で要求される通信レベルに応じて異なる。
なお、1つのデータ群は複数のデータを備えたデジタル情報列のかたまり(パケット)である。
そして、K番目のビームフォーミグループにおいて、N個(Nは2以上の整数)のビームフォーミ間でチャネルの相関が高くなっているとすると、割り当て手段は、そのN個のビームフォーミそれぞれに対応するデータを1つにまとめたデータ群(以下、「データ群K」とも言う)を、1つ又は複数のストリームに割り当てる。データ群Kが割り当てられるストリームは、データ群Kに含まれるデータに対応するビームフォーミに割り当てられた(対応した)ストリームである。
一方、各ビームフォーミがL(L≧2)個の送受信用アンテナを備え、各ビームフォーミにL個のストリームが割り当てられる場合、割り当て手段は、データ群Kを、(N×L)個のストリームにそれぞれ割り当てる。
なお、一つのビームフォーミに複数のストリームを対応させることで、ダイバーシチ(diversity)効果による通信の安定性向上を図れることは言うまでもない。
因って、割り当て手段24は、複数のビームフォーミ12、13、14、15それぞれのチャネル状態から検出したビームフォーミ間のチャネルの相関を基にして、どのデータをデータ群として一つにまとめるかを決定し、更に、データ群にまとめるデータが存在する場合、そのデータ群にまとめる複数のデータを決定することになる。
なお、データ14a、15a及びデータ群1213aをストリームに割り当てるアルゴリズムとしては、最大チャネル容量選択法や、最大最小特異値法等の周知の方法を採用することができる。
ビームフォーミ12(ビームフォーミ13についても同じ)は、ビームフォーマ11から受け取ったプリコーディングされたデータ群1213aに含まれているデータ12a(ビームフォーミ13については、データ13a)を基に、次に行うべき動作パターンを決定する。
従って、ビームフォーミ12、13はそれぞれ、少なくとも送受信用アンテナ16、17のうち一方から発信されたデータ群1213aの受信に成功することで、次に行うべき動作パターンを決定可能なダイバーシチ効果を得られる状態にある。
プリコーディングには、演算方法が異なるCI(Channel Inversion)、RCI(Regularized Channel Inversion)、及び、BD(Block Diagonalization)の各手法があり、本実施の形態では、プリコーディングの手法として、BDを採用しているが、これに限定されないのは言うまでもない。
データuと、データuをプリコーディングしたデータsは、以下の式1の関係にある。
そして、重み行列WBDは、以下の式4で示すように、各ビームフォーミへの重み行列wkで構成されるため、各ビームフォーミごとの重み行列wkを求めることで、重み行列WBDを得ることできる。
このとき、ビームフォーミ12に対応するH1,2’は以下の式9で表される。
この処理を、ビームフォーミ13、14、15について行うことにより、以下の式10で示される重み行列WBD2が生成される。
MU−MIMOシステム10の変形例である図3(B)に示すMU−MIMOシステム30は、ビームフォーミ12、13、14、15のチャネルの相関が固定されている。
以下、MU−MIMOシステム30について説明する。なお、MU−MIMOシステム10と同様の構成については、MU−MIMOシステム10と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
ビームフォーマ31が備える割り当て手段24は、ストリーム32s、33sそれぞれに割り当てるデータ群が定められた設定テーブルを有している。本実施の形態では、その設定テーブルに、データ12a、13aを一つにまとめたデータ群1213aをストリーム32sに割り当て、データ14a、15aを一つにまとめたデータ群1415aをストリーム33sに割り当てることが予め定められている。
そして、ストリーム32sに割り当てられたデータ群1213aは、ビームフォーマ31が備える演算手段25によりプリコーディングされ、送受信用アンテナ16からビームフォーミ12、13に送信される。ストリーム33sに割り当てられたデータ群1415aもデータ群1213aと同様に、演算手段25によりプリコーディングされ、送受信用アンテナ17からビームフォーミ14、15に送信される。
ここまで記載したように、MU−MIMOシステムのシステム設計に応じて、割り当て手段は、複数のデータを一つにまとめたデータ群を1つ又は複数のストリームに割り当てることになる。
まず、割り当て手段は、所定の時間間隔で取得する複数のビームフォーミそれぞれのチャネル状態から検出したビームフォーミ間のチャネルの相関を基に、データ群にまとめる複数のデータを動的に決定する。
そして、割り当て手段は、決定した内容に従って、複数のビームフォーミ間でチャネルの相関が高くなっているビームフォーミグループごとに、複数のデータをデータ群にまとめ、その複数のデータを一つにまとめたデータ群を1つ又は複数のストリームに割り当てる(工程A)。
そして、演算手段は、ストリームに割り当てられたデータ群、及び、ストリームに割り当てられたデータをプリコーディングし(工程B)、それらを送出手段に与える。
送出手段は、プリコーディングされたデータ群を、そのデータ群に含まれる複数のデータそれぞれに対応するビームフォーミに送信すると共に、プリコーディングされたデータを、そのデータに対応するビームフォーミに送信する(工程C)。
本実施例では、IEEE802.11ac規格に準拠したシミュレータを用いて、1つのビームフォーマと4つのビームフォーミの通信をシミュレーションした。シミュレーション諸元を以下に記載する。
SNR[dB]:30〜50(5刻み)
各ビームフォーミに対する総送信パケット数:1000
各ビームフォーミに対する総送信ビット数:8.0×106
各ビームフォーミのアンテナ数:1
ビームフォーマのアンテナ数:4
変調方式:64QAM
符号比率:5/6
チャネルモデル:TGac Model B
プリコーディング手法:BD
ストリーム割り当てアルゴリズム:最大チャネル容量選択法
シミュレーション結果より、ビームフォーミ1、2で、実施例の方法が、比較例の方法に比べ、BER特性が良くなり、通信の安定性が大幅に増すことが明らかとなった。比較例の方法では、ビームフォーミ1、2のいずれにおいても、BER(Bit Error Rate)が10−1以下になることはなく、これは、通信ができない状態であると考えられる。
また、最大チャネル容量選択法の代わりに、最大最小特異値法を採用した場合も、同様のシミュレーション結果が得られることが確認されている。
例えば、ビームフォーミは産業用ロボットに限定されず、タブレット端末等の通信端末であってもよく、ビームフォーマも産業用ロボットの動作を制御する制御装置に限定されず、通信端末に信号を送信する基地局端末であってもよい。
Claims (5)
- ビームフォーマが、複数のビームフォーミそれぞれに対応する複数のデータを、ストリームに割り当ててプリコーディングし、前記複数のビームフォーミそれぞれに送信するMU−MIMOシステムであって、
複数の前記ビームフォーミ間でチャネルの相関が高くなっているビームフォーミグループごとに、該複数のビームフォーミそれぞれに対応する複数の前記データを一つにまとめたデータ群を、1つ又は複数の前記ストリームに割り当てる割り当て手段と、
前記データ群をプリコーディングする演算手段と、
プリコーディングされた前記データ群を該データ群に含まれる複数の前記データにそれぞれ対応する前記ビームフォーミに送信する送出手段とを備えることを特徴とするMU−MIMOシステム。 - 請求項1記載のMU−MIMOシステムにおいて、前記割り当て手段は、前記複数のビームフォーミそれぞれのチャネル状態から検出した該ビームフォーミ間のチャネルの相関を基にして、前記データ群にまとめる複数の前記データを決定することを特徴とするMU−MIMOシステム。
- 請求項1又は2記載のMU−MIMOシステムにおいて、前記ビームフォーミは産業用ロボットであり、前記ビームフォーマは前記産業用ロボットに指令信号を送る制御装置であることを特徴とするMU−MIMOシステム。
- ビームフォーマが、複数のビームフォーミそれぞれに対応する複数のデータを、ストリームに割り当ててプリコーディングし、前記複数のビームフォーミにそれぞれ送信するMU−MIMOの通信方法において、
複数の前記ビームフォーミ間でチャネルの相関が高くなっているビームフォーミグループごとに、該複数のビームフォーミそれぞれに対応する複数の前記データを一つにまとめたデータ群を、1つ又は複数の前記ストリームに割り当てる工程Aと、
前記データ群をプリコーディングする工程Bと、
プリコーディングされた前記データ群を、該データ群に含まれる複数の前記データそれぞれに対応する前記ビームフォーミに送信する工程Cとを有するMU−MIMOの通信方法。 - 請求項4記載のMU−MIMOの通信方法において、前記データ群にまとめる複数の前記データを、前記複数のビームフォーミそれぞれのチャネル状態から検出した該ビームフォーミ間のチャネルの相関を基に決定することを特徴とするMU−MIMOの通信方法。
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