JP6172577B2 - 竪型粉砕機 - Google Patents
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Description
竪型粉砕機は、被粉砕物(本明細書においては単に原料と称することもある)を効率的に粉砕することができるという優れた特性を備えている。
特に、上抜き式、或いはエアスエプト式等と呼ばれているタイプの竪型粉砕機は、機内に下方から上方に向かって上昇しながら流れるガスの気流を形成して、機内に備えた分級機構等によって、粉砕後の原料について、粒径別に分級することにより所望の粒径となったものを製品として取り出すことができるという優れた機能を備えている。
スティックスリップ現象とは、粉砕ローラが回転テーブル上に形成された原料層の上で瞬間的なスリップし、一瞬、回転が止まったような状態になる現象であって、運転中、この現象が断続的に繰り返されると、粉砕ローラの回転が不規則になって、竪型粉砕機に振動を発生させる要因となる。
スティックスリップ現象は、回転テーブル上の原料と粉砕ローラが滑りやすい状態の際に、粉砕ローラの噛み込み速度を高めると、特に生じやすい。
粒径の小さな細かな粒子は、機内で群となり、回転テーブル上に紛体の層(紛体層、或いは原料層と称することもある)を形成するが、紛体層は、通常、その内部に空気を取り込んだ状態となっている。そして、粉体の一般的な性質として、紛体層を形成する紛体の径が小さくなればなるほど、その中に多量の空気を抱え込みやすくなる。
言い換えれば、原料を細かに微粉砕しようとすれば、循環原料の量も増えるために、回転テーブル上の紛体層について、粒径の小さな細かな原料を多く含むようになり、空隙率の高い、所謂、嵩高い状態(嵩密度としては低い状態)になる。
嵩高い紛体層は、空気を大量に含んでいるために、見かけ上、原料層の摩擦係数が小さくなっている。その結果、運転中、粉砕ローラが滑りやすい状態になって異常振動が発生し易くなる。
補助ローラを使用して原料を圧密してから後粉砕ローラで粉砕する場合、原料が圧密されることにより、原料の中にあるガスが脱気されて、粉砕ローラがスリップしにくくなるという作用効果を奏する。
しかし、特許文献1に開示された技術においては、直接的に粉砕を目的としない補助ローラ等を機内に配する必要がある。そのため、構造が複雑になり、メンテナンスの手間も増え、コスト高にもなることから、簡便な構造で、異常振動を低減化できる方法が求められていた。
なお、特許文献1に開示された技術においては、補助ローラ等を機内に配する必要があることから、粉砕ローラの設置個数に制限を受ける。そのため、条件によっては、補助ローラを使用できないケースも想定される。
したがって、補助ローラと併用して、さらに異常振動を抑制する効果を高めることのできる技術が求められていた。
(1) 回転テーブル上の粉砕ローラで粉砕した原料を、回転テーブルの下方から供給したガスにより吹き上げて回転テーブルの上方に配した分級機構で分級することによって、
所望する粒径となった原料をガスとともに上部から機外に取り出すとともに、
分級機構で分級されて上部から機外に取り出されなかった原料を、回転テーブルと分級機構の間に配した内部コーンで捕集して、回転テーブル上に、再度、供給する竪型粉砕機において、内部コーンにガイド板を配して、ガイド板で、内部コーンから回転テーブルに供給する原料に、回転テーブルの回転方向と逆方向の向きの速度を与える構成とした。
図1から図6は本発明の実施形態に係わり、その好ましい例を示したものであって、図1は竪型粉砕機の全体構成を説明する断面図である。
また、図2は内部コーンとガイド板の配置を説明する図であり、図2(1)は上方からら観察した図であり、図2(2)は側面から断面を観察した図である
図3は内部コーン内に配したガイド板の形状を説明する図であり、図3(1)は上方から観察した図であり、図3(2)又(3)は、それぞれB部又C部の拡大又断面図である。図4から図6は原料の流れの挙動を概念的に示したものであり、図4は内部コーン内の原料の流れ、図5は内部コーンから回転テーブルに向う原料の流れ、図6は回転テーブル上の原料の流れ、について示したものである。
なお、図7乃至図9は、従来技術に係り原料の流れの挙動を概念的に示したものであり、内部コーンにガイド板を備えないケースの例を示したものであって、図7は内部コーン内の原料の流れ、図8は内部コーンから回転テーブルに向う原料の流れ、図9は回転テーブル上の原料の流れ、について示したものである。
図1に示した竪型粉砕機1は、エアスエプト式等と呼ばれているタイプの竪型粉砕機1であり、後述するガスの気流と内部に備えた分級機構16を利用して、所望の粒径となった原料を機外に取り出す一方、所望の粒径となっていない原料については、再度、回転テーブル2上に供給して、粉砕ローラ3で、繰り返し粉砕する構成となっている。
図1に示した竪型粉砕機1は、竪型粉砕機1の外郭を形成するケーシング1B、1A、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2B、図示しない駆動モータによって駆動される回転テーブル2、及び、コニカル型の粉砕ローラ3等を備えている。
また、図1に示した竪型粉砕機1は、図6に示したように、粉砕ローラ3が回転テーブル2上において、その外周部分に位相を90度ずらした形で、4個配されている構造となっている。竪型粉砕機1は、図示しない駆動モータの駆動用電源としてインバータ電源を備えて、運転中、回転テーブル2の回転速度が任意に変更可能な可変速式の竪型粉砕機1である。
回転分級羽根13は、回転軸15に接続されて、竪型粉砕機1の上部に設置された図示しない駆動モータにより駆動されて、自在に回転する構成となっており、回転分級羽根13の外周側に固定式の一次分級羽根14が配置されている。
内部コーン22は、略切頭円錐型を逆にした形状をしており、その上部が円環状となって上方に向かって開口し、その上端の外周部には、前述した一次分級羽根14が、等間隔で複数本配されている。
また、本発明の第1実施形態において、内部コーン22の下部になるコーン下端24は、円筒状で、回転テーブル2の中心に向けて下方に向かって開口する形状となっている。
第1実施形態においては、図2(1)に示すように、8列のガイド板20を備えており、それぞれのガイド板20は、図3(2)に、その詳細な形状を示すように、内部コーン22の内側の面で、一定の高さ(第1実施形態においては50mm)を保って、緩やかに螺旋状を描きながら伸びている。
外部から竪型粉砕機1の機内に投入された原料は、原料投入シュート35を介して内部コーン22内に投入されて、後述する循環原料と合わせられて、コーン下端24から、回転テーブル2上に供給される。コーン下端24から回転テーブル2の中心部近傍に供給された原料は、回転テーブル2上で、回転テーブル2の回転による影響等を受けることにより、回転テーブル2の中心側から外周側に向かって移動しながら紛体層を形成して、粉砕ローラ3により噛み込まれて粉砕される。
そして、ガスによって吹き上げられた原料の中で、比較的径の大きな原料は、吹き上げられる際にガスの流れから逸脱して落下し、環状通路30側、或いは、回転テーブル2上側に、再度、戻る方向に移動する。
なお、環状通路30に達した原料の中で、極端に重量が大きな原料は、環状通路30に達しても、そこで吹き上げられずに、そのまま落下して、竪型粉砕機1の下部にある下部取出口34より機外に排出される。
また、一次分級羽根14を通過した原料の中で、所望の粒径にまで細かく粉砕されていなかった原料は、内部コーン22内に落下し、そこで前述した原料投入シュート35を介して機内に投入された新規原料と合わせられて、回転テーブル2上に、再度、供給されて、粉砕ローラ3と回転テーブル2の間に噛み込まれて粉砕される。
内部コーン22内に落下した原料は、内部コーン22の内周面に配された螺旋状に伸びるガイド板20に案内されて、外周側から内周側に向かって、螺旋状に旋回しながら下方に流れ、コーン下端24側へと移動する。そして、コーン下端24に流れた原料は、回転テーブル2の回転方向に対して、反対方向側に向かう速度を与えられた状態で、回転テーブル2上に供給される。
図4に示すように、内部コーン22内に投入された原料は、螺旋状のガイド板20に案内されて、内部コーン22の内側面を外周側から内周側に向かって、回転テーブル2の回転方向と反対側に渦巻くようにして、中心側方向に流れて移動する。
内部コーン22に投入された原料は、螺旋状のガイド板20に案内されて、内部コーン22の上方側から下方側に向かって渦巻くように流れながら移動し、回転テーブル2上へと供給される。
本来、回転テーブル2上に供給された原料は、回転テーブル2の回転による影響を受けることにより、回転テーブル2の回転方向側に流されながら、回転テーブル2の中心側から外周側へと移動する。
しかし、本発明による第1実施形態においては、原料が、コーン下端24から回転テーブル2へ供給された際において、回転テーブル2の回転方向に対して、反対方向側に向かう速度を与えられた状態にある。
そのため、回転テーブル2上に供給された原料は、コーン下端24から、最初、回転テーブル2の回転方向と反対側に向かって流れだし、回転テーブル2の回転方向と反対側に向かおうとする向きの速度と、回転テーブル2の回転方向側に流されながら進もうとする向きの速度が、互いに影響しあった状態で、移動する。
前述した第1実施形態と異なり、従来技術では、回転テーブル2上へ原料を供給する際において、供給する原料に、回転テーブル2の回転方向に対して反対方向側に向かう速度を積極的に与えていない。
粉砕ローラ3により原料が噛み込まれて際の速度について言えば、前述した本願発明による第1実施形態と異なり、回転テーブル2上へ供給する原料に対して回転テーブル2の回転方向と反対側に向かおうとする向きの速度を与えて低減化させていないから、第1実施形態の場合に比較して速くなる。
したがって、粉砕ローラ3により原料を噛み込む際の速度について低減化されておらず、粉砕ローラ3と紛体層の間で生じるスリップの可能性が抑制できていないから、異常振動の低減化が図られれていない。
内部コーン22の内側面において、外周側から内周側に、回転テーブル2の回転方向と逆方向に旋回する螺旋状のガイド板を配した場合に、原料が内部コーン22内を流れる際には、ガイド板20の回転テーブル2の回転方向と反対方向の面である耐摩耗層20Aに沿って片寄って流れる。
したがって、ガイド板20について、回転テーブル2の回転方向と反対方向の面に、耐摩耗層20Aを形成することによって、ガイド板20の寿命を延ばすことができる。
しかし、本発明に適応できるガイド板20の構成はこれに限らず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において変更が可能であって、他の形状のガイド板20を使用しても良く、例えば、コーン下端24内に一定の角度で傾斜させたガイド板を配することによって、回転テーブル2上に供給する原料に対して回転テーブル2の回転方向と反対方向側に向かう向きの速度を効与える構成等としても良い。
2 回転テーブル
3 粉砕ローラ
13 回転分級羽根
14 一次分級羽根
15 回転軸
16 分級機構
17 ダムリング
20 ガイド板
20A 耐摩耗層
20B 基板
22 内部コーン
1A 下部ケーシング
1B 上部ケーシング
2B 減速機
30 環状通路(環状空間部)
33 ガス供給口
35 原料投入口
39 上部取出出口
Claims (4)
- 回転テーブル上の粉砕ローラで粉砕した原料を、回転テーブルの下方から供給したガスにより吹き上げて回転テーブルの上方に配した分級機構で分級することによって、
所望する粒径となった原料をガスとともに上部から機外に取り出すとともに、
分級機構で分級されて上部から機外に取り出されなかった原料を、回転テーブルと分級機構の間に配した内部コーンで捕集して、回転テーブル上に、再度、供給する竪型粉砕機において、
内部コーンにガイド板を配して、ガイド板で、内部コーンから回転テーブルに供給する原料に、回転テーブルの回転方向と逆方向の向きの速度を与える竪型粉砕機。 - 前記ガイド板が、外周側から内周側に、回転テーブルの回転方向と逆方向に旋回する螺旋状のガイド板であることを特徴とした請求項1に記載の竪型粉砕機。
- 前記ガイド板の回転テーブルの回転方向と反対方向の面に硬化肉盛による耐摩耗層を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の竪型粉砕機。
- 外部から機内に投入する新規原料を、前記内部コーンに投入して回転テーブル上に供給する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の竪型粉砕機。
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