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JP6171501B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP6171501B2 JP2013077945A JP2013077945A JP6171501B2 JP 6171501 B2 JP6171501 B2 JP 6171501B2 JP 2013077945 A JP2013077945 A JP 2013077945A JP 2013077945 A JP2013077945 A JP 2013077945A JP 6171501 B2 JP6171501 B2 JP 6171501B2
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Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、ビード耐久性能を維持しつつ操縦安定性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
従来の重荷重用タイヤでは、高い耐久性能を確保するために、タイヤ子午線方向の断面視にて六角形の断面形状を有するビードコアが広く採用されている。さらに、近年の重荷重用タイヤでは、ビードコア内部の応力分布の適正化およびタイヤ軽量化を図るために、タイヤ子午線方向の断面視にて六角形の一部を切り欠いた断面形状を有するビードコアが採用されている。かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
特開平7−279070号公報
一方で、空気入りタイヤでは、操縦安定性能を向上させるべき課題もある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ビード耐久性能を維持しつつ操縦安定性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、一対のビードコアと、前記一対のビードコアのタイヤ径方向外側に配置される一対のビードフィラーと、前記一対のビードコアに架け渡されると共にタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に巻き返されて前記ビードコアおよび前記ビードフィラーを包み込むカーカス層とを備える空気入りタイヤであって、前記ビードフィラーよりも高いゴム硬度を有する補強ゴムと、前記補強ゴムよりも低いゴム硬度を有すると共に前記ビードコアを被覆するゴム被覆層とを備え、且つ、前記ビードコアが、1本あるいは複数本の線材をタイヤ周方向に巻廻して成る環状構造を有すると共に、タイヤ子午線方向の断面視にて、六角形の各頂点のうちタイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向外側の領域にある1つあるいは2つの頂点を切り欠いた切欠部をもつ断面形状を有し、前記補強ゴムが、前記ビードコアの切欠部に配置されると共に前記ゴム被覆層の外周に配置されることを特徴とする。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、ビードコアが六角形の一部を切り欠いた断面形状を有する構成にて、補強ゴムがビードコアの切欠部に配置されることにより、ビード部の剛性が補強される。これにより、タイヤの操縦安定性が向上する利点がある。特に、過荷重などの過度な横力に対するビード部の剛性が確保されるので、タイヤのコーナリング性能が向上する。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤのビード部を示す拡大図である。 図3は、図2に記載したビード部のビードコアを示す説明図である。 図4は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図5は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図6は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図7は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の断面図の片側領域を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、長距離輸送用のトラック、バスなどに装着される重荷重用ラジアルタイヤを示している。
なお、同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17を備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、複数のビードワイヤを束ねて成る環状部材であり、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、ローアーフィラー121およびアッパーフィラー122から成り、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
カーカス層13は、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13は、スチールあるいは有機繊維材(例えば、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で85[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
ベルト層14は、複数のベルトプライ141〜145を積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。これらのベルトプライ141〜145は、例えば、高角度ベルト141と、一対の交差ベルト142、143と、ベルトカバー144と、周方向補強層145とから構成される。また、各ベルトプライ141〜145は、コートゴムで被覆されたスチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードを圧延加工して構成され、所定のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、リムフランジに対する左右のビード部の接触面を構成する。
なお、図1の構成では、空気入りタイヤ1が、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝2と、これらの周方向主溝2に区画されて成る複数の陸部3とをトレッド部に備えている。
また、ビード部には、レインフォース18が配置されている。このレインフォース18は、複数のスチールコードを圧延加工して成るシート状部材であり、ビードコア11およびカーカス層13の巻き返し部を覆って配置されてビード部を補強する。
[ビード部の構造]
従来の重荷重用タイヤでは、高い耐久性を確保するために、タイヤ子午線方向の断面視にて、六角形の断面形状を有するビードコアが採用されている。さらに、近年の重荷重用タイヤでは、ビードコア内部の応力分布の適正化およびタイヤ軽量化を図るために、タイヤ子午線方向の断面視にて、六角形の一部を切り欠いた切欠部をもつ断面形状を有するビードコアが採用されている。
ここで、上記のような切欠部をもつビードコアを備える構成では、一般的な六角形状のビードコアを備える構成と比較して、タイヤの操縦安定性能が低いという課題がある。この傾向は、特に、過荷重での走行時にてタイヤが過度な横力を受けたときに、顕著に現れる。
そこで、この空気入りタイヤ1では、上記のような切欠部をもつビードコアを備える構成において、ビード耐久性能を維持しつつ操縦安定性能を向上させるために、以下の構成を採用している。
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのビード部を示す拡大図である。図3は、図2に記載したビード部のビードコアを示す説明図である。これらの図において、図2は、タイヤ左右のビード部のうちの一方のビード部の拡大断面図を示し、図3は、単体のビードコアの拡大断面図を示している。
図2および図3に示すように、この空気入りタイヤ1では、ビードコア11が、1本あるいは複数本の線材111をタイヤ周方向に巻廻して成る環状構造を有する。また、ビードコア11が、タイヤ子午線方向の断面視にて、六角形の各頂点のうちタイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向外側にある1つあるいは2つの頂点を切り欠いた切欠部113をもつ断面形状を有する。
タイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向外側とは、タイヤ子午線方向の断面視にて、ビードコア11の重心に原点をとりタイヤ径方向およびタイヤ幅方向を軸として4つの領域を定義するときに、ビードコア11の重心に対してタイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向外側となる領域をいう。
また、基準となる六角形は、図3の仮想線が示すように、タイヤ子午線方向の断面視にて、ビードコア11の外部に凸となる6つの頂点P1〜P6を有する図形をいう。この六角形は、ビード部のリム嵌合面に略平行となる辺P3−P4をビードコア11の内周面側に有する。例えば、図3の構成では、辺P3−P4とタイヤ幅方向とのなす角θが、θ=15[deg]に設定されている。また、辺P3−P4は、六角形の各辺のうち最も長尺な辺である。
ビードコア11は、線材111を六角形の各辺に沿って層状に巻廻して構成される。このとき、ビードコアの内周面の辺P3−P4に沿って配置された層が最も内径側となり、この層を基準として複数の層が径方向外側に積層される。また、線材111が一定の断面形状および外径を有する場合には、六角形を構成する3組の対辺が、相互に平行となる。
ビードコア11の切欠部113とは、基準となる六角形に囲まれた領域のうち線材111が巻廻されていない領域(線材111を間引いた領域)をいう。この切欠部113は、ビードコア11を二分割しない範囲内で、任意の断面形状を有し得る。
例えば、図2の構成では、ビードコア11が、線材111と、ゴム被覆層112とから構成されている。また、線材111が、スチールコードから成り、一定の外径をもつ円形の断面形状を有している。また、1本の線材111がタイヤ周方向に連続的に巻廻されて、所定の断面形状を有する環状のコアが形成されている。そして、ゴム被覆層112が、このコアの外周を覆って配置されている。また、ゴム被覆層112が、後述する補強ゴム19よりも低いゴム硬度を有している。
また、補強ゴム19が、鈎状あるいはインロー形状の断面形状を有し、その鈎状部191をビードコア11の切欠部113に嵌め込んで切欠部113に係合している。これにより、補強ゴム19が、ビードコア11の切欠部113に対して安定的に取り付られている。また、補強ゴム19が、ビードコア11の切欠部113とカーカス層13の巻き返し部との間に介在して配置されている。具体的には、補強ゴム19が、上記の鈎状部191をビードコア11の切欠部113に嵌め込み、ビードコア11のタイヤ幅方向外側の周面に沿ってカーカス層13の巻き返し部の内周面まで延在している。これにより、補強ゴム19が、ビードコア11の切欠部113からカーカス層13の巻き返し部までの領域に充填されている。
また、図3に示すように、タイヤ子午線方向の断面視にて、1本の線材111が仮想線で示された六角形に沿って層状に巻廻されて、コアが形成されている。具体的には、巻廻された線材111の複数の断面が、タイヤ径方向内側にありタイヤ幅方向外側に法線方向を向ける辺P3−P4に沿って一列に配置されて、第1層が形成されている。また、この第1層のタイヤ径方向外側に第2層〜第6層が順次積層されて、多層構造が構成されている。このとき、線材111の1つの断面が6つの断面で囲まれるように、線材111の断面が千鳥状に配列されている。これにより、線材111の配置密度が高められている。
また、仮想線で示された六角形に囲まれた領域のうちタイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向外側にある一部の領域には、線材111が巻廻されていない。これにより、ビードコア11(巻廻された線材111から成るコア)が、六角形の6つの頂点P1〜P6のうち1つの頂点P6を切り欠いた切欠部113を有している。このため、ビードコア11が、5つの頂点P1〜P5を結ぶ4つの辺P1−P2、P2−P3、P3−P4、P4−P5と、2つの頂点P1、P5の間に形成された凹状の切欠部113と、2つの頂点P1、P5から頂点P6に向かって延びて切欠部113に接続する2つの辺とに囲まれた断面形状を有している。
かかるビードコア11を採用する構成では、ビードコア11が切欠部113を有することにより、ビードコア11が軽量化される。また、切欠部113が、タイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向内側の領域に配置されることにより、ビード部の剛性が適正に確保される。
また、図2に示すように、この空気入りタイヤ1は、補強ゴム19を備える。
補強ゴム19は、ビードフィラー12よりも高いゴム硬度を有するゴム部材であり、ビードコア11の切欠部113に嵌め込まれて配置される。このとき、補強ゴム19が、ビードフィラー12よりも1ポイント以上、好ましくは5ポイント以上高いゴム硬度を有することが好ましい。
また、補強ゴム19のゴム硬度が、84以上、好ましくは90以上であることが好ましい。補強ゴム19のゴム硬度の上限は、特に限定がないが、タイヤ製造コストとの関係で制約を受ける。
ゴム硬度とは、JIS−K6263に準拠したJIS−A硬度をいい、加硫後の状態で測定される。
また、図2に示すように、タイヤ子午線方向の断面視にて、ビードコア11の六角形の各辺のうちビードコア11のタイヤ径方向の最も外側にありビード部のリム嵌合面に略平行な辺(図3の辺P1−P6)に沿って直線Lを引く。この辺P1−P6は、ビードコア11の外周面であり、タイヤ子午線方向の断面視にて、ビードコア11のタイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向内側の面を構成する。
このとき、補強ゴム19が、カーカス層13とビードコア11(線材111およびゴム被覆層112)と直線Lとに囲まれた領域Aの50[%]以上100[%]以下の面積を埋めて配置されることが好ましく、70[%]以上100[%]以下の面積を埋めて配置されることがより好ましい。
例えば、図2の構成では、補強ゴム19が、ビードコア11の切欠部113に嵌め込まれてビードコア11の全周に渡って配置されている。これにより、硬質な補強ゴム19が、ビードコア11に対してタイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向外側の領域Aを補強して配置されている。また、ローアーフィラー121が、ビードコア11および補強ゴム19のタイヤ径方向外側に隣接して配置されて、ビードコア11および補強ゴム19を覆っている。また、アッパーフィラー122が、ローアーフィラー121のタイヤ径方向外側に隣接して配置されている。また、ビードコア11、補強ゴム19、ローアーフィラー121およびアッパーフィラー122により、カーカス層13の巻き返し部に囲まれた領域Aが埋められている。
また、上記の構成では、ローアーフィラー121のゴム硬度、アッパーフィラー122のゴム硬度、ビードコア11のゴム被覆層112のゴム硬度、補強ゴム19のゴム硬度が、この順に大きくなるように設定される。これにより、これらの部材間のゴム硬度の関係が適正化される。
なお、ローアーフィラー121のゴム硬度、アッパーフィラー122のゴム硬度およびゴム被覆層112のゴム硬度は、上記の関係を満たすことを要件として、適宜選択できる。一般には、ローアーフィラー121のゴム硬度およびアッパーフィラー122のゴム硬度が、55以上80以下の範囲にあり、ゴム被覆層112のゴム硬度が、70以上85以下の範囲にある。
この空気入りタイヤ1では、ビードコア11が六角形の一部に切欠部113をもつ断面形状を有する構成にて、補強ゴム19がビードコア11の切欠部113に配置されることにより、ビード部の剛性が補強される。これにより、タイヤの操縦安定性が向上する。特に、過荷重などの過度な横力に対するビード部の剛性が確保されるので、タイヤのコーナリング性能が向上する。
[変形例]
図4および図5は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、ビード部の拡大断面図を示している。
図2の構成では、上記のように、補強ゴム19が、鈎状の断面形状を有し、その鈎状部191(図中での符号省略)をビードコア11の切欠部113に嵌め込み、ビードコア11のタイヤ幅方向外側の周面に沿ってカーカス層13の巻き返し部の内周面まで延在している。このとき、補強ゴム19が、カーカス層13とビードコア11(線材111およびゴム被覆層112)と直線Lとに囲まれた領域Aの一部を埋めて配置されている。また、領域Aの他の部分には、ローアーフィラー121およびアッパーフィラー122の一部が挿入されて配置されている。
これに対して、図4の構成では、補強ゴム19が、領域Aの全域を埋めて配置されている。これにより、ビードコア11の切欠部113からタイヤ幅方向外側の領域Aの全域が、効果的に補強されている。また、図4の構成は、図2の構成と比較して、ビード部の製造工程を容易化できる。
また、図2の構成では、図3に示すように、ビードコア11の切欠部113が、1段階の凹部をもつ断面形状を有している。そして、補強ゴム19が、この切欠部113に合致する鈎状部191を有し、切欠部113に嵌め合わされて配置されている。
これに対して、図5の構成では、ビードコア11の切欠部113が、ジグザグ形状の断面形状を有している。このため、補強ゴム19も、この切欠部113に合致するジグザグ形状の鈎状部191を有し、切欠部113に嵌め合わされて配置されている。このように、補強ゴム19は、ビードコア11の切欠部113の形状に合致する鈎状形状を有することが好ましい。
図6は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、単体のビードコアの拡大断面図を示している。
図2の構成では、上記のように、ビードコア11が、タイヤ子午線方向の断面視にて、基準となる六角形の各頂点P1〜P6のうちタイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向外側の領域にある1つの頂点P6を切り欠いた断面形状を有している。このため、ビードコア11が、残りの5つの頂点P1〜P5を有し、頂点P6の位置に周方向に溝状に凹んだ切欠部113を有している。
しかし、これに限らず、図6に示すように、ビードコア11が、タイヤ子午線方向の断面視にて、基準となる六角形の各頂点P1〜P6のうちタイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向外側の領域にある2つの頂点P5、P6を切り欠いた断面形状を有しても良い。これにより、ビード部の剛性を確保しつつビードコア11をさらに軽量化できる。例えば、図6の構成では、六角形の2つの頂点P5、P6を切り欠いて成る切欠部113が、ジグザグ状の断面形状を有している。かかる構成では、補強ゴム19が、この切欠部113のジグザグ形状に合致する鈎状形状を有し、ビードコア11の切欠部113に嵌め込まれて切欠部113を埋めるように配置される。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11と、ビードコア11、11のタイヤ径方向外側に配置される一対のビードフィラー12、12と、一対のビードコア11、11に架け渡されると共にタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に巻き返されてビードコア11、11およびビードフィラー12、12を包み込むカーカス層13とを備える(図2参照)。また、空気入りタイヤ1は、ビードフィラー12よりも高いゴム硬度を有する補強ゴム19を備える。また、ビードコア11が、1本あるいは複数本の線材111をタイヤ周方向に巻廻して成る環状構造を有する。また、ビードコア11が、タイヤ子午線方向の断面視にて、六角形の各頂点P1〜P6のうちタイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向外側の領域にある1つあるいは2つの頂点(図3では、頂点P6、図6では、頂点P5、P6)を切り欠いた切欠部113をもつ断面形状を有する。補強ゴム19が、ビードコア11の切欠部113に配置される(図3および図6参照)。
かかる構成では、ビードコア11が六角形の一部を切り欠いた断面形状を有する構成にて、補強ゴム19がビードコア11の切欠部113に配置されることにより、ビード部の剛性が補強される。これにより、タイヤの操縦安定性が向上する利点がある。特に、過荷重などの過度な横力に対するビード部の剛性が確保されるので、タイヤのコーナリング性能が向上する。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、ビードコア11が、線材111の1つの断面を線材111の6つの断面で囲む態様で線材111の断面をタイヤ径方向およびタイヤ幅方向に配列して成る多層構造を有する(図3参照)。かかる構成では、線材111が密に配置されるので、線材の断面を格子状に配列する構成と比較して、ビードコア11の剛性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、補強ゴム19のゴム硬度が、84以上である。これにより、補強ゴム19のゴム硬度が適正化されて、ビード部の剛性が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、六角形の各辺のうちビードコア11のタイヤ径方向の最も外側にありビード部のリム嵌合面に略平行な辺に沿って直線Lを引くときに、補強ゴム19が、カーカス層13とビードコア11と直線Lとに囲まれた領域Aの50[%]以上100[%]以下の面積を埋めて配置される(図2参照)。かかる構成では、ビードコア11のタイヤ幅方向外側の領域Aにおける補強ゴム19のボリュームが適正に確保されるので、ビード部の剛性が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、補強ゴム19が、ビードコア11の切欠部113に係合する鈎状部191(図中の符号省略)を有する(図2参照)。かかる構成では、補強ゴム19の鈎状部191とビードコア11の切欠部113とが係合して嵌り合うことにより、補強ゴム19がビードコア11に一体化される。これにより、ビード部の剛性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、補強ゴム19が、ビードコア11の切欠部113とカーカス層13の巻き返し部との間に介在して配置される(図2参照)。かかる構成では、補強ゴム19がビードコア11の切欠部113とカーカス層13の巻き返し部との間の領域Aの剛性を高めるので、ビード部の剛性が効果的に向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ビードフィラー12が、補強ゴム19よりも低いゴム硬度を有すると共にビードコア11および補強ゴム19のタイヤ径方向外側に配置されるローアーフィラー121と、ローアーフィラー121よりも低いゴム硬度を有すると共にローアーフィラー121のタイヤ径方向外側に配置されるアッパーフィラー122とを備える(図2参照)。かかる構成では、ビードフィラー12がローアーフィラー121およびアッパーフィラー122から成る二色構造を有し、補強ゴム19、ローアーフィラー121、アッパーフィラー122の順でタイヤ径方向外側に向かってゴム硬度が低くなるように配置される。これにより、ビード部の剛性分布が適正化されて、タイヤの耐久性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、補強ゴム19よりも低いゴム硬度を有すると共にビードコア11(線材111から成るコア)を被覆するゴム被覆層112を備える(図2参照)。かかる構成では、ゴム被覆層112が配置されることにより、線材111との接着性が向上する利点がある。
図7は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、相互に異なる複数の試験タイヤについて、(1)耐久性能および(2)操縦安定性能に関する評価が行われた(図7参照)。この性能試験では、タイヤサイズ295/75R22.5の試験タイヤがJATMA規定の適用リムに組み付けられ、この試験タイヤにJATMA規定の最高空気圧が付与される。
(1)耐久性能に関する評価は、室内ドラム試験機を用いた低圧耐久試験により行われる。そして、JATMA規定の最大負荷能力の150[%]の荷重が試験タイヤに付与されて、走行速度50[km/h]にて、ビード部が故障するまでの走行時間が測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
(2)操縦安定性能に関する評価では、室内ドラム試験機が用いられ、JATMA規定の最大負荷能力の120[%]の荷重およびスリップ角1[deg]が試験タイヤに付与されて、コーナリングパワーが測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
実施例1の試験タイヤは、図1〜図3に記載した構造を有する。また、ビードコア11が、スチール製の線材111と、ゴム硬度82のゴム被覆層112とから構成される。補強ゴム19の配置面積比は、カーカス層13とビードコア11(線材111およびゴム被覆層112)と直線Lとに囲まれた領域Aにおける配置面積比である。実施例2〜5の試験タイヤは、実施例1の試験タイヤの変形例である。従来例および比較例の試験タイヤは、図1および図2の構成において、補強ゴム19を備えていない。
試験結果に示すように、実施例1〜5の試験タイヤでは、タイヤの耐久性能および操縦安定性能が向上することが分かる。
1:空気入りタイヤ、2:周方向主溝、3:陸部、11:ビードコア、111:線材、112:ゴム被覆層、113:切欠部、12:ビードフィラー、121:ローアーフィラー、122:アッパーフィラー、13:カーカス層、14:ベルト層、141:高角度ベルト、142、143:交差ベルト、144:ベルトカバー、145:周方向補強層、15:トレッドゴム、16:サイドウォールゴム、17:リムクッションゴム、18:レインフォース、19:補強ゴム、191:鈎状部

Claims (7)

  1. 一対のビードコアと、前記一対のビードコアのタイヤ径方向外側に配置される一対のビードフィラーと、前記一対のビードコアに架け渡されると共にタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に巻き返されて前記ビードコアおよび前記ビードフィラーを包み込むカーカス層とを備える空気入りタイヤであって、
    前記ビードフィラーよりも高いゴム硬度を有する補強ゴムと、前記補強ゴムよりも低いゴム硬度を有すると共に前記ビードコアを被覆するゴム被覆層とを備え、且つ、
    前記ビードコアが、1本あるいは複数本の線材をタイヤ周方向に巻廻して成る環状構造を有すると共に、タイヤ子午線方向の断面視にて、六角形の各頂点のうちタイヤ径方向外側かつタイヤ幅方向外側の領域にある1つあるいは2つの頂点を切り欠いた切欠部をもつ断面形状を有し、
    前記補強ゴムが、前記ビードコアの切欠部に配置されると共に前記ゴム被覆層の外周に配置されることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. タイヤ子午線方向の断面視にて、前記ビードコアが、前記線材の1つの断面を前記線材の6つの断面で囲む態様で前記線材の断面をタイヤ径方向およびタイヤ幅方向に配列して成る多層構造を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記補強ゴムのゴム硬度が、84以上である請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ子午線方向の断面視にて、六角形の各辺のうち前記ビードコアのタイヤ径方向の最も外側にありビード部のリム嵌合面に略平行な辺に沿って直線Lを引くときに、
    前記補強ゴムが、前記カーカス層と前記ビードコアと直線Lとに囲まれた領域の50[%]以上の面積を埋めて配置される請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記補強ゴムが、前記ビードコアの切欠部に係合する鈎状部を有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記補強ゴムが、前記ビードコアの切欠部と前記カーカス層の巻き返し部との間に介在して配置される請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ビードフィラーが、前記補強ゴムよりも低いゴム硬度を有すると共に前記ビードコアおよび前記補強ゴムのタイヤ径方向外側に配置されるローアーフィラーと、前記ローアーフィラーよりも低いゴム硬度を有すると共に前記ローアーフィラーのタイヤ径方向外側に配置されるアッパーフィラーとを備える請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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