以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の既設管の置換方法の一実施形態が模式的に示されている。
この既設管の置換方法は、更生対象の既設管100の始端及び終端に発進立坑S1及び到達立坑S2をそれぞれ掘削し、発進立坑S1から到達立坑S2にかけて埋設された既設管100を破砕するとともに、破砕された既設管100の破砕片を周囲に押し退けることによって形成された空間に既設管100と同一呼び径の更生管4を敷設するものである。
ここで、既設管100は、基準長さの管体を順に接合して形成されている。例えば、長さが4000mmの塩化ビニル管を順に接合して形成された既設管や、長さが2000mmのヒューム管を順に接合して形成された既設管を挙げることができる。
この置換方法を実施するため、既設管100を破砕する破砕ヘッド1と、破砕ヘッド1にアダプタ2を介して連結される先導鋼管3と、先導鋼管3に連結される複数本の更生管4と、これらの破砕ヘッド1、アダプタ2、先導鋼管3及び複数本の更生管4を牽引ワイヤ5を介して牽引するワイヤ牽引装置6と、ワイヤ牽引装置6を支持する反力回収装置7が使用される。
破砕ヘッド1は、図2に示すように、前端から後端近傍にかけてテーパー面に形成された略中空円錐台形状の基体12の外周面に180度隔てて2枚の破砕刃13を軸線方向に固定してなる破砕ヘッド本体11と、牽引軸14と、牽引軸14の先端部とねじ結合可能な牽引ヘッド15とからなり、牽引軸14に破砕ヘッド本体11を嵌挿するとともに、牽引軸14の先端部に牽引ヘッド15をねじ結合し、破砕ヘッド本体11を牽引軸14と牽引ヘッド15との間で固定して構成される。そして、破砕ヘッド1の基体12は、後述するアダプタ2の前方連結部21と連結するため、後端部に周方向に間隔をおいて複数個の連結穴11a(雌ねじ)が形成されている。また、破砕ヘッド1の基体12は、前端側外径が既設管100の内径よりも小径に設定され、後端側外径が既設管100の外径と同等以上に設定されている。さらに、破砕刃13は、斜辺部に刃13aを設けた三角形状に形成されて、基体12に軸心方向に沿って形成された溝に配置されている。この場合、破砕刃13の刃13aは、基体12の前端側外径にほぼ一致する高さから後方に向かって基体12の外周面から徐々に高くなるようにテーパー状に形成され、その後端部は、既設管100の外径を越える高さに設定されている。
なお、牽引ヘッド15には、牽引ワイヤ5のエンドクランプ51がピンを介して連結される。
アダプタ2は、破砕ヘッド1における基体12の後端部内周面に対応する外周面を有するとともに、その後端部に形成された連結穴11aに対応して、周方向に間隔をおいて複数個の連結穴21aを形成した前方連結部21と、後述する先導鋼管3と連結するため、周方向に間隔をおいて複数個の連結穴23a(雌ねじ)を形成した後方連結部23と、これらの前方連結部21と後方連結部23を接続する、前方連結部21から後方連結部23に向かって末広がりのテーパー面に形成された中間部22とからなり、後方連結部23の外径は、既設管100の外径よりも大きな外径に形成されている。
これにより、アダプタ2の前方連結部21を破砕ヘッド1の基体12の後端部内周面に嵌挿し、それらの連結穴11a,21aを合わせてボルトをねじ込むことにより、破砕ヘッド1にアダプタ2を連結することができる。この際、破砕ヘッド1の基体12の外周面側後端縁がアダプタ2の中間部22におけるテーパー面の外周面側前端縁と一致するように設定されている。つまり、破砕ヘッド1にアダプタ2を連結した場合、破砕ヘッド1の基体12の後端縁にアダプタ2の中間部22のテーパー面が基体12の勾配よりも大きな勾配で連続する。
先導鋼管3は、前述したアダプタ2の後方連結部23の内径に対応する外径の管本体31及び該管本体31の後端部外周面に溶着された短筒状の受け口32,33から主要部が構成され、立坑S1,S2に対応して先端先導鋼管3A、1本又は複数本の中間先導鋼管3B及び終端先導鋼管3Cが用意されている。
先端先導鋼管3Aは、設定長さの管本体31及び該管本体31の後端部外周面にその後端縁から設定長さ突出するように溶着された受け口32からなり、管本体31の外周面には、前端部を除いて軸心方向に延びる複数本の補強リブ(丸棒)311が周方向に設定間隔をおいて溶着されている。そして、先端先導鋼管3Aの管本体31の前端部には、アダプタ2の後方連結部23に形成された連結穴23aに対応して、周方向に間隔をおいて複数個の連結穴31aが形成され、また、受け口32の後端部には、周方向に間隔をおいて複数個の連結穴32aが形成されている。
中間先導鋼管3Bは、設定長さの管本体31及び該管本体31の後端部外周面にその後端縁から設定長さ突出するように溶着された受け口32からなり、管本体31の外周面には、前端部を除いて軸心方向に延びる複数本の補強リブ(丸棒)311が周方向に設定間隔をおいて溶着され、また、管本体31の前端部内周面には、その内径に対応する外径の短筒状補強リング312が溶着されている。そして、中間先導鋼管3Bの管本体31の前端部及び補強リング312には、先端先導鋼管3Aの受け口32に形成された連結穴32aに対応して、周方向に間隔をおいて複数個の連結穴31bが形成され、また、受け口32の後端部には、周方向に間隔をおいて複数個の連結穴32aが形成されている。
終端先導鋼管3Cは、設定長さの管本体31及び該管本体31の後端部外周面にその後端縁から設定長さ突出するように溶着された受け口33からなり、管本体31の外周面には、前端部を除いて軸心方向に延びる複数本の補強リブ(丸棒)311が周方向に設定間隔をおいて溶着され、また、管本体31の前端部内周面には、その内径に対応する外径の短筒状補強リング312(中間先導鋼管3B参照)が溶着されている。そして、終端先導鋼管3Cの管本体31の前端部及び補強リング312には、中間先導鋼管3Bの受け口32に形成された連結穴32aに対応して、周方向に間隔をおいて複数個の連結穴31bが形成され、また、受け口33の後端部には、後述する更生管4とボルトを介して連結するため、周方向に間隔をおいて複数個の連結穴33aが形成されている。
これにより、先端先導鋼管3Aの管本体31の前端部をアダプタ2の後方連結部23の内周面に嵌挿し、それらの連結穴23a,31aを合わせてボルトを挿入し、ナットをねじ込むことにより、アダプタ2に先端先導鋼管3Aを連結することができる。
また、最先の中間先導鋼管3Bの管本体31の前端部を先端先導鋼管3Aの受け口32の内周面に嵌挿し、それらの連結穴31b,32aを合わせてボルトを挿入し、ナットをねじ込むことにより、先端先導鋼管3Aに最先の中間先導鋼管3Bを連結することができる。同様に、後続する中間先導鋼管3Bの管本体31の前端部を先行する中間先導鋼管3Bの受け口32の内周面に嵌挿し、それらの連結穴31b,32aを合わせてボルトを挿入し、ナットをねじ込むことにより、先行する中間先導鋼管3Bに後続する中間先導鋼管3Bを連結することができる。さらに、終端先導鋼管3Cの管本体31の前端部を最終の中間先導鋼管3Bの受け口32の内周面に嵌挿し、それらの連結穴31b,32aを合わせてボルトを挿入し、ナットをねじ込むことにより、最終の中間先導鋼管3Bに終端先導鋼管3Cを連結することができる。
なお、中間先導鋼管3Bの補強リング312の内周面及び終端先導鋼管3Cの補強リング312の内周面には、それぞれ軸心に関して左右対称に一対のステー313が配設されており、後述するように、ステー313に牽引具を係合させて引き出すことができる。
この実施形態においては、先導鋼管3は、発進立坑S1及び到達立坑S2を長さ2.5m×幅1.5mの最小限度の開口面積に抑えるため、先端先導鋼管3A、複数本の中間先導鋼管3B及び終端先導鋼管3Cを順に連結し、既設管100を構成する基準長さの管体、具体的には、長さが4000mmの塩化ビニル管(呼び径250mm)に対応する4000mm以上の長さに形成する場合を例示したが、立坑S1,S2を開削するのに制約がない場合は、既設管100を構成する管体の基準長さ以上の長さの1本の先導鋼管3であっても構わない。例えば、長さが2000mmのヒューム管を順次接合して既設管が形成されているときには、2000mm以上の1本の先導鋼管3で施工できる。この場合は、先導鋼管3の管本体31の前端部にアダプタ2との連結穴31aを形成するとともに、後端部に更生管4との受け口33を溶着すればよい。同様に、2本の先導鋼管3(先端先導鋼管3A及び終端先導鋼管3C)を連結して2000mm以上に形成してもよい。
したがって、既設管100を構成する管体が折損して既設管100に不陸や蛇行が存在した場合に、不陸等を発生した管体に跨がって先導鋼管3を配置することができる。
更生管4は、前述した終端先導鋼管3Cの受け口33の内径に対応する外径の合成樹脂製管体41であって、先端更生管4A、1本又は複数本の中間更生管4B及び終端更生管4Cが用意されている。具体的には、先端更生管4Aは、設定長さの管体41の後端部内周面に雌ねじ41bが形成され、中間更生管4Bは、設定長さの管体41の前端部外周面に雄ねじ41aが、後端部内周面に雌ねじ41bがそれぞれ形成され、終端更生管4Cは、設定長さの管体41の前端部外周面に雄ねじ41aが形成されたものである。
これにより、先端更生管4Aの前端部を終端先導鋼管3Cの受け口33の内周面に沿って嵌挿するとともに、受け口33の連結穴33aに合わせて先端更生管4Aの前端部に連結穴(雌ねじ)を形成し、それらの連結穴を通してボルトをねじ込むことにより、終端先導鋼管3Cに先端更生管4Aを連結することができる。また、中間更生管4Bの前端部に形成された雄ねじ41aを先端更生管4Aの後端部に形成された雌ねじ41b又は先行する中間更生管4Bの後端部に形成された雌ねじ41bにねじ込むことにより、先端更生管4Aに中間更生管4Bをねじ結合し、あるいは、先行する中間更生管4Bに後続する中間更生管4Bをねじ結合することができる。さらに、終端更生管4Cの前端部に形成された雄ねじ41aを最終の中間更生管4Bの後端部に形成された雌ねじ41bにねじ込むことにより、最終の中間更生管4Bに終端更生管4Cをねじ結合することができる。
この実施形態においては、更生管4として、硬質塩化ビニル製スパイラル推進管を採用したが、このような例に限定されず、例えば、耐衝撃性硬質塩化ビニル管や耐熱性硬質塩化ビニル管にねじを形成して使用することもできる。
また、前述したように、発進立坑S1の開口面積の関係から、長さが1000mmの更生管4を用いたが、発進立坑S1を開削するに際して制約がない場合には、長さが2000mmの更生管4を用いることもでき、長さを限定するものではない。
ワイヤ牽引装置6は、市販品であって、1対の油圧シリンダ61、牽引ワイヤ5を把持可能なグリップ装置(図示せず)及び後述する反力回収装置7に連結されて回転自在に支持されたプーリ62から構成される。そして、油圧シリンダ61を伸長作動させると、グリップ装置がプーリ62を巻回する牽引ワイヤ5を把持して上方に移動することにより、牽引ワイヤ5を牽引して引き上げる。一方、油圧シリンダ61を縮小作動させると、グリップ装置が牽引ワイヤ5の把持を解除して下方に移動することにより、牽引ワイヤ5を静止状態に維持し、結局、油圧シリンダ61の伸縮作動によって、牽引ワイヤ5を間欠的に牽引することができる。
なお、ワイヤ牽引装置6によって引き出された牽引ワイヤ5は、到達立坑S2近傍の地上に配置されたワイヤドラム52に巻き取られる。また、油圧シリンダ61に圧油を供給する油圧ユニット(図示せず)が到達立坑S2近傍の地上に設置される。
反力回収装置7は、図5及び図6に示すように、鍵穴状の開口71aが下端縁から中間部にかけて形成された方形状の前方支持板71及び長溝状の開口72aが下端縁から中間部にかけて形成された方形状の後方支持板72の対向する各隅角部を4本の管状の連結材73を介して連結するとともに、前方支持板71から設定間隔をおいて鍵穴状の開口74aが下端縁から中間部にかけて形成された方形状の反力板74をその開口74aの中心と前方支持板71の開口71aの中心とを一致させて前方支持板71にボルトを介して連結して構成されている。そして、反力回収装置7は、前方支持板71の開口71aの中心が既設管100の軸心と一致するように、到達立坑S2に架台75(図1参照)を介して設置される。その際、前方支持板71の開口71aを通して到達立坑S2の壁面から突出された既設管100の管端部を通過させ、さらに、既設管100の管端面に反力板74を突き当てて前方支持板71とボルトを介して連結する。
なお、反力板74の開口74aの周縁部には、既設管100の外径に対応する段差部74xが形成されており、既設管100の管端面が反力板74の段差部74xに突き当てられて支持されている。
また、反力回収装置7の連結材73の長さ及び左右の連結材73間の間隔は、先導鋼管3の直径及び長さに基づいて設定されており、後述するように、到達立坑S2に到達した先導鋼管3を反力回収装置7における上方の一対の連結材73,73間を通して引き上げることができる。
次に、このように構成された機材を用いて不陸等が発生した既設管100を複数本の更生管4で置き換える施工手順について説明する。
なお、図1においては、破砕ヘッド1の牽引軸14にエアハンマ16を固定し、必要に応じてエアハンマ16による振動を破砕ヘッド1を介して既設管100に作用させながら破砕ヘッド1を牽引して既設管100を破砕する場合を示している。このため、エアハンマ16に圧縮空気を供給するエア配管161にアダプタ2、先導鋼管3を順に通過させ、破砕ヘッド1にアダプタ2を連結した後、アダプタ2に先導鋼管3を連結し、次いで、更生管4を順にエア配管161に通して先導鋼管3、先行する更生管に連結する構成を示しているが、以下の施工手順においては、エアハンマ16及びエア配管161は省略されている。
まず、更生対象の既設管100の施工区間の始端及び終端において、それぞれ立坑を掘削する。ここで、既設管100の上流側立坑を発進立坑S1とし、下流側を到達立坑S2とする。そして、各立坑S1,S2において、壁面からそれぞれ設定長さだけ突出させた状態で既設管100を切断するとともに、切断した既設管(管体)を除去する。
次いで、既設管100に取付管200が接続されている場合には、破砕ヘッド1の移動に際して、取付管200が既設管100に引きずられて接続口が前方に移動しないように、既設管100から取付管200を切り離す。具体的には、掘削した発進立坑S1(到達立坑S2)からTVカメラ30及び削孔機40を搬送した後、既設管100と取付管200との接続口100aをTVカメラ30で確認しつつ、削孔機40のカッター刃401を回転させながら上昇させ、接続口100aの周縁を切削する。すなわち、取付管200の、既設管100と連結している端縁部を設定長さにわたって切除し、既設管100から切り離す(図7参照)。
取付管200を既設管100から切り離したならば、図示しない通線材を介して到達立坑S2から発進立坑S1にかけて既設管100内に牽引ワイヤ5を挿通するとともに、発進立坑S1に破砕ヘッド1を搬入し、牽引ワイヤ5の先端に設けたエンドクランプ51をピンを介して破砕ヘッド1の牽引ヘッド15に連結する。
次いで、到達立坑S2に反力回収装置7を搬入し、到達立坑S2の壁面から突出する既設管100の管端部に前方支持板71の開口71aを通して落とし込んで設置する。すなわち、既設管100の軸心に前方支持板71の開口71aの中心及び後方支持板72の開口72aの中心が一致するように、到達立坑S2に架台75を介して設置する。さらに、既設管100の管端面に反力板74を突き当てて前方支持板71とボルトを介して連結した後、反力回収装置7の後方支持板72にワイヤ牽引装置6を連結するとともに、牽引ワイヤ5をワイヤ牽引装置6のグリップ機構に嵌合させる。
一方、発進立坑S1において、その壁面から突出する既設管100の管端部に破砕ヘッド1の牽引ヘッド15側を挿入する。そして、破砕ヘッド1にアダプタ2を連結した後、アダプタ2に先導鋼管3(先端先導鋼管3A、設定本数の中間先導鋼管3B、終端先導鋼管3C)の順に連結する。
次いで、ワイヤ牽引装置6の油圧シリンダ61を伸長作動させると、グリップ装置を介して牽引ワイヤ5を把持して引き上げる。これにより、牽引ワイヤ5は、既設管100を経て到達立坑S2側に牽引され、さらに、反力回収装置7における前方支持板71の開口71aの中心、反力板74の開口74aの中心及び後方支持板72の開口72aの中心を経てプーリ62を巻回して引き取られる。引き取られた牽引ワイヤ5は、ワイヤドラム52に順に巻き取られる。油圧シリンダ61がストロークエンドに達すれば、油圧シリンダ61を縮小作動させ、その際、グリップ装置による牽引ワイヤ5の把持を解除する。以下、油圧シリンダ61の伸縮作動により、牽引ワイヤ5は、到達立坑S2に向けて間欠的に牽引される。すなわち、牽引ワイヤ5は、発進立坑S1における既設管100の軸心及び到達立坑S2における既設管100の軸心を結ぶ、既設管100内の最短距離に沿って牽引される。
牽引ワイヤ5の牽引により、牽引ワイヤ5が連結された破砕ヘッド1は、到達立坑S2に向けて強制的に移動する。破砕ヘッド1が移動すれば、破砕刃13が既設管100を切断して破砕するとともに、その破砕片を基体12に沿って周囲に押し退ける。したがって、破砕ヘッド1によって既設管100が破砕されて押し退けられた空間は、発進立坑S1における既設管100の軸心と到達立坑S2における既設管100の軸心を結ぶ最短距離に沿うように形成される。
その後、破砕ヘッド1に連結されたアダプタ2が移動し、破砕ヘッド1が破砕した既設管100の破砕片をさらに外方に押し退ける。つまり、破砕ヘッド1が既設管100を破砕するとともに、その破砕片を周囲に押し退けることによって既設管100にほぼ対応する空間を形成した後、アダプタ2が破砕した既設管100の破砕片をさらに外方に押し退けて既設管100にほぼ対応する空間よりも大きな空間を形成し、アダプタ2によって形成された空間に先導鋼管3(先端先導鋼管3A、中間先導鋼管3B・・・)を導入する。
この際、牽引ワイヤ5による軸線方向の牽引力は、到達立坑S2の周壁に対して反力回収装置7によって支持される。また、牽引ワイヤ5がワイヤ牽引装置6のプーリ62を巻回することで発生する牽引力による曲げモーメントは、反力回収装置7の反力板74の段差部74xに既設管100の管端面が嵌合されることにより、既設管100に作用する曲げモーメントとして作用し、既設管100の剛性によって支持することができる。
なお、牽引ワイヤ5の牽引力は、反力回収装置7を到達立坑S2の周壁に押し付けるように作用することから、反力板74の段差部74xが既設管100の管端部から外れることはない。
また、先導鋼管3に作用する土圧や摩擦力による座屈荷重は、補強リブ311及び補強リング312によって支持される。
以下、破砕ヘッド1が到達立坑S2に向けて移動すれば、移動した長さを補充するように、設定本数の中間先導鋼管3B・・・を順に連結し、既設管100が破砕され、その破砕片が押し退けられた空間に導入する。そして、最終の中間先導鋼管3Bに終端先導鋼管3Cを連結し、既設管100を構成する管体の長さ以上の先導鋼管3を形成する。これにより、先端先導鋼管3A、設定本数の中間先導鋼管3B及び終端先導鋼管3Cが一体に連結されて既設管100を構成する管体の長さ以上の長さの先導鋼管3がアダプタ2に続いて移動する。
ところで、仮に地震及び地震に伴う液状化現象等によって既設管を構成する1本もしくは複数本の管体が折損し、既設管100に1箇所もしくは複数箇所の不陸等が発生していたとしても、既設管100を構成する管体の長さ以上の長さを有する先導鋼管3は、一体に連結された破砕ヘッド1及びアダプタ2とともに各不陸等を発生した管体に跨がって牽引ワイヤ5による最短距離に沿うように移動することにより、各不陸等を順に修正することができる(図9参照)。
具体的には、施工前後において、地上面よりロケータにより設定間隔毎にビーコンを用いて既設管100及び更生管4の深度(管底高)を1m間隔で計測し、最大値と最小値の差を算出したところ、当初、既設管100では189mmであったのに対し、更新後は更生管4では50mm以下であり、ロケータとビーコンの測定誤差も考慮すると、不陸が修正されたことを示している。
なお、既設管100の破砕片を周囲に押し退けることから、地盤への影響が考えられたが、施工前後における地盤高の変化は最大でも±5mmであり、誤差の範囲内と考えられる。
さらに、破砕ヘッド1が到達立坑S2に向けて移動すれば、先導鋼管3(終端先導鋼管3C)に更生管4(先端更生管4A、中間更生管4B・・・)を順に連結し、先導鋼管3が移動した距離を補充するように連結する。
なお、更生管4のねじ結合に際しては、ねじ結合部分から不明水が浸入するのを防止するため、雄ねじ41aに水と反応して膨潤し、シール効果を発現する接合剤を塗布する。
以下、牽引ワイヤ5をワイヤ牽引装置6を介して牽引し、破砕ヘッド1が移動することに合わせて中間更生管4Bを順に連結することにより、既設管100を破砕してその破砕片を周囲に押し退けるとともに、既設管100の不陸等を修正した空間に更生管4を順に導入することを繰り返す(図9参照)。
破砕ヘッド1が到達立坑S2に到達すれば、破砕ヘッド1を反力回収装置7の後方支持板72近傍まで牽引した後、アダプタ2と先端先導鋼管3Aとの連結を解除するとともに、先端先導鋼管3Aと最先の中間先導鋼管3Bとの連結を解除し、破砕ヘッド1及び先端先導鋼管3Aを地上に回収する。次いで、詳細には図示しないが、T字状の牽引具を最先の中間先導鋼管3Bの2本のステー313に係合させ、ウインチ等を利用して次段の中間先導鋼管3Bとともに到達立坑S2に引き出す。この後、最先の中間先導鋼管3Bと次段の中間先導鋼管3Bの連結を解除するとともに、次段の中間先導鋼管3Bと後続する中間先導鋼管3Bの連結を解除し、最先の中間先導鋼管3B及び次段の中間先導鋼管3Bを地上に回収する。
以下同様に、T字状の牽引具を先行する中間先導鋼管3Bの2本のステー313に係合させ、ウインチ等を利用して後続する中間先導鋼管3Bとともに到達立坑S2に引き出した後、先行する中間先導鋼管3Bと後続する中間先導鋼管3Bとの連結を解除するとともに、後続する中間先導鋼管3Bとその後段の中間先導鋼管3Bとの連結を解除し、引き出した2本の中間先導鋼管3Bを地上に回収することを繰り返して全ての中間先導鋼管3Bを回収する。最後に、終端先導鋼管3Cを引き出して回収すれば、終端先導鋼管3Cに連結された先端更生管4Aの前端部が到達立坑S2に引き出される(図10参照)。
先端更生管4Aの前端部が到達立坑S2内に突出すれば、ワイヤ牽引装置6及び反力回収装置7を地上に回収する。
次いで、更生管4と取付管200とを接続する。具体的には、図10に示すように、取付管200の桝等を利用して地上から削孔機50を下ろし、更生管4に取付管200との接続口4aを形成するためのパイロット穴4x(図11(b)参照)を形成する。次いで、発進立坑S1(到達立坑S2)からTVカメラ30及び削孔機40を搬送し、更生管4に形成されたパイロット穴4xをTVカメラ30で確認しつつ、削孔機40のカッター刃402を回転させながら上昇させ、パイロット穴4xの周縁を切削し、取付管200との接続口4a(図12(b)参照)を形成する(図11参照)。
更生管4に取付管200との接続口4aを形成したならば、補修用パッカー60を縮径させ、その外周面に更生管4と同一の材料である塩化ビニル樹脂製のチーズ状補修部材70を配設して更生管4内に搬入し、その接続口4aまで搬送する(図12参照)。次いで、TVカメラ30で確認しつつ、補修用パッカー60に加熱空気を供給して拡径させ、その首部を接続口4aを通して取付管200内に突出させ、補修部材70の首部分を取付管200の下端部内周面に密着させるとともに、補修部材70の胴部分を更生管4の内周面に密着させる。この際、補修部材70は、加熱空気によって加熱されることにより、軟化溶融して取付管200の下端部内周面及び接続口4a近傍の更生管4の内周面にそれぞれ密着状態で貼着する(図13参照)。
これにより、既設管100の更生作業に先立って既設管100との接続が切り離された取付管200の下端部が更生管4とその接続口4aを通して補修部材70によって補修されて接続される。そして、更生管4と取付管200とが補修部材70を介して接続されたならば、加熱空気に代えて冷却空気を供給して補修部材70を硬化させた後、空気の供給を中止して補修用パッカー60を縮径させ、更生管4を通して立坑側に引き出せばよい。
ここで、既設管100の不陸が下方に凸であれば、不陸を修正した更生管4と、先に切り離された取付管200の管端部との間隔は接近するため補修部材70を用いて両者を接続するのに問題はない。一方、既設管100の不陸が上方に凸であれば、不陸を修正した更生管4と、取付管200の管端部との間隔は拡大することになる。したがって、更生管4と取付管200の管端部との間隔が設定高さ以上になった場合には、補修部材70のみによる補修は不可能となる。
この場合は、詳細には図示しないが、従来公知の取付管更生方法を併用すればよい。すなわち、取付管200内に、取付管200の内径よりも小径であって、形状記憶温度において円管形状に形状回復する塩化ビニル等の熱可塑性樹脂製のライニングパイプを挿入し、ライニングパイプを加熱加圧して膨張拡径させ、円管形状に復元させて取付管200の内周面に密着させた後、更生管4内に突出したライニングパイプの端部を切断し、更生管4の接続口4a周縁との間を補修部材70を用いて接続すればよい。
また、逆に、更生管4と取付管200の管端部との間隔が設定範高さ以下の場合は、チーズ状の補修部材70の他、鞍状の管口サドルを補修部材として用いることもできる。
以上のように、本発明によれば、既設管100に不陸等が存在したとしても、その不陸等を修正しつつ更生管4に置き換えて敷設することができることから、地震等によって不陸等が発生した下水道管等を開削工法によって現状復旧することが困難な場合であっても、使用可能な状態に速やかに復旧させることができる。
また、既設管100に取付管200が接続されている場合であっても既設管100と置き換えて敷設した更生管4と簡単に接続して、使用可能な状態に速やかに復旧させることができる。
ところで、前述した実施形態においては、既設管100に取付管200が接続されている場合の施工手順について説明したが、取付管200が既設管100に接続されていない場合は、取付管200に対する作業を省略して施工すればよいことは、説明するまでもなく明らかである。
また、前述した実施形態においては、破砕ヘッド1によって破砕した既設管100の破砕片を既設管100の管径よりも大径のアダプタ2を介して外方に押し退けて先導鋼管3を導入する場合を説明したが、土質等によってはアダプタ2を用いることなく破砕ヘッド1に先導鋼管3(先端先導鋼管3A)を直接連結してもよい。この場合は、破砕ヘッド1の基体12後端部を先導鋼管3に対応するように設計すればよい。
ところで、図14には、本発明の既設管の置換方法の他の実施形態が模式的に示されている。
この既設管の置換方法も、前述した実施形態と同様に、更生対象の既設管100の始端及び終端に発進立坑S1及び到達立坑S2をそれぞれ掘削し、発進立坑S1から到達立坑S2にかけて埋設された既設管100を破砕するとともに、破砕された既設管100の破砕片を周囲に押し退けることによって形成された空間に既設管100と同一呼び径の更生管4を導入して敷設するものである。ただし、既設管100に取付管200は接続されていない。
この置換方法を実施するため、既設管100を破砕する破砕ヘッド1と、破砕ヘッド1にアダプタ2を介して連結される先導鋼管3と、先導鋼管3に連結される複数本の更生管4と、これらの破砕ヘッド1、アダプタ2、先導鋼管3及び複数本の更生管4を牽引ワイヤ5を介して牽引するワイヤ牽引装置6と、ワイヤ牽引装置6を支持する反力回収装置7と、先導鋼管3に連結されて更生管4を推進させる牽引管8及び後部押し治具9が使用される。
ここで、破砕ヘッド1、アダプタ2、更生管4、牽引ワイヤ5、ワイヤ牽引装置6及び反力回収装置7については、アダプタ2の径を若干拡大した以外、前述した実施形態と同一であり、主に先導鋼管3、牽引管8及び後部押し治具9について説明する。
先導鋼管3は、図16に示すように、管本体35及び該管本体35の後端に溶着された短筒状の受け口部36、管本体35の前端に溶着された短筒状の挿し口部37から主要部が構成され、立坑S1,S2に対応して先端先導鋼管3A、複数本の中間先導鋼管3B及び終端先導鋼管3Cが用意されている。
先端先導鋼管3Aは、アダプタ2の後方連結部23の内径に対応する外径の設定長さの管本体35及び該管本体35の後端に溶着された受け口部36からなり、管本体35の後端部外周面には、前端部を除いて軸心方向に延びる設定長さの複数本の補強リブ(丸棒)351が周方向に設定間隔をおいて溶着されている。そして、先端先導鋼管3Aの管本体35の前端部には、アダプタ2の後方連結部23に形成された連結穴23aに対応して、周方向に間隔をおいて複数個の連結穴35aが形成され、また、受け口部36の内周面には雌ねじ(台形ねじ)36aが形成されている。
中間先導鋼管3Bは、先端先導鋼管3Aの管本体35と同径の設定長さの管本体35、該管本体35の前端に溶着された挿し口部37及び管本体35の後端に溶着された受け口部36からなり、管本体35の前端部外周面及び後端部外周面には、軸心方向に延びる複数本の設定長さの補強リブ(丸棒)351が周方向に設定間隔をおいてそれぞれ溶着されている。そして、中間先導鋼管3Bの挿し口部37の外周面には、前述した先端先導鋼管3Aの受け口部36に形成された雌ねじ36aに対応する雄ねじ(台形ねじ)37aが形成されるとともに、受け口部36の内周面には挿し口部37の雄ねじ37aに対応する雌ねじ(台形ねじ)36aが形成されている。
終端先導鋼管3Cは、更生管4の外径に対応する内径の設定長さの管本体35及び該管本体35の前端に溶着された挿し口部37からなり、管本体35の前端部外周面には、軸心方向に延びる設定長さの複数本の補強リブ(丸棒)351が周方向に設定間隔をおいて溶着されている。そして、終端先導鋼管3Cの挿し口部37の外周面には、前述した中間先導鋼管3Bの受け口部36に形成された雌ねじ36aに対応する雄ねじ(台形ねじ)37aが形成されている。また、終端先導鋼管3Cの挿し口部37は、その後端に隔壁371を有し、該隔壁371の中心部には、内周面に雌ねじ(管用テーパねじ)372aを形成した継手372が溶着されている。この継手372は、後述する牽引管8を構成する継手81と同一のものである。さらに、終端先導鋼管3Cの管本体35の後端部には、更生管4とボルトを介して連結するため、周方向に間隔をおいて複数個の連結穴35bが形成されている。
これにより、先端先導鋼管3Aの管本体35の前端部をアダプタ2の後方連結部23の内周面に沿って嵌挿し、それらの連結穴23a,35aを合わせてボルトを挿通し、ナットをねじ込むことにより、アダプタ2に先端先導鋼管3Aを連結することができる。
また、最先の中間先導鋼管3Bを軸心回りに回転させてその挿し口部37を先端先導鋼管3Aの受け口部36にねじ込むことにより、先端先導鋼管3Aに最先の中間先導鋼管3Bをねじ結合することができる。同様に、後続する中間先導鋼管3Bを軸心回りに回転させてその挿し口部37を先行する中間先導鋼管3Bの受け口部36にねじ込むことにより、先行する中間先導鋼管3Bに後続する中間先導鋼管3Bをねじ結合することができる。さらに、終端先導鋼管3Cを軸心回りに回転させてその挿し口部37を最終の中間先導鋼管3Bの受け口部36にねじ込むことにより、最終の中間先導鋼管3Bに終端先導鋼管3Cをねじ結合することができる。
このように、先導鋼管3を順に雌ねじ36aに雄ねじ37aをねじ込んでねじ結合することにより、それらの連結部分の剛性を大きく向上させることができ、既設管100の不陸等、例えば、一組の管体の接合部の離脱に伴う不陸等を修正する際に作用する大きな曲げ引張応力に抗することができるとともに、連結作業を効率よく遂行することができる。すなわち、隣接する先導鋼管3を複数本のボルトナットを介して連結する場合において、ボルトナットが緩むと(特に、エアハンマ16を使用すると、挿入方向に対して平行に前後動させるため、半径方向に伸びるボルトナットの緩みが発生し易い。)、先導鋼管3はその連結部分を起点として曲げ引張応力によって折れ曲がる可能性が大きくなり、不陸修正能力が低下することになるが、このような事態を防止することができる。
この実施形態においては、先導鋼管3は、発進立坑S1及び到達立坑S2を長さ2.5m×幅1.5mの最小限度の開口面積に抑えるため、先端先導鋼管3A、複数本の中間先導鋼管3B及び終端先導鋼管3Cを順に連結し、既設管100を構成する基準長さの管体、具体的には、基準長さが4000mmの塩化ビニル管(呼び径250mm)一組に相当する8000mm以上の長さに形成する場合を例示したが、立坑S1,S2を開削するのに制約がない場合は、既設管100を構成する管体の基準長さに相当する長さの先導鋼管3を組み合わせて、一組の管体の長さに相当する長さに形成してもよい。例えば、基準長さが2000mmのヒューム管を順次接合して既設管が形成されているときには、2000mmの先端先導鋼管3A及び2000mmの終端先導鋼管3Cを連結して一組の管体の長さに相当する4000mmの長さの先導鋼管3を形成してもよい。
したがって、既設管100を構成する一組の管体の接合部が離脱して既設管100に不陸や蛇行が発生した場合に、不陸等を発生した一組の管体に跨がって先導鋼管3を配置することができる。
牽引管8は、図17に示すように、内周面に雌ねじ(管用テーパねじ)が形成された継手81及び該継手81に前端部が溶着され、後端部に継手81の雌ねじに対応する雄ねじ(管用テーパねじ)82aが形成された鋼管82からなり、継手81は、前述した終端先導鋼管3Cに設けられた継手372と同一のものである。
ただし、牽引管8は、標準長さの更生管4に合わせて、標準長さの鋼管82及び継手81からなる標準牽引管とともに、標準長さよりも短小な更生管4に合わせて標準長さよりも短小な鋼管82及び継手81からなる調整牽引管が用意されている。
また、終端先導鋼管3Cに設けられた継手372には、該継手372と、最先の牽引管8を仲介するため、継手372の雌ねじ372a、牽引管8の継手81の雌ねじに対応する雄ねじ(管用テーパねじ)83aが前後各端部にそれぞれ形成された鋼管である先頭牽引管83がねじ結合される(図16参照)。
したがって、終端先導鋼管3Cの継手372にねじ結合された先頭牽引管83の雄ねじ83aに、最先の牽引管8を軸心回りに回転させてその継手81の雌ねじをねじ結合した後、以下順に、先行する牽引管8における鋼管82の雄ねじ82aに後続する牽引管8の継手81の雌ねじをねじ結合することにより、設定長さの牽引管8を形成することができる。
後部押し治具9は、図18に示すように、更生管4の後端部に装着される治具本体91と、更生管4に装着された治具本体91が脱落しないように牽引管8(鋼管82)に対して固定するナット部材92、ボルト部材93及びストッパ94とから構成されている。治具本体91は、更生管4の外径に対応する外径の円盤911と、円盤911の外周面に溶着された短筒状の外筒部912と、更生管4の雌ねじ41bの内径に対応する外径を有し、円盤911に外筒部912と同心上に溶着された短筒状の内筒部913とからなり、円盤911の中心部には、後述するように、ボルト部材93の軸部932が挿通可能な穴91aが形成されている。また、治具本体91の内筒部913の外周面は、更生管4の雌ねじ41bを含む後端部内周面形状に対応する形状に形成されており、更生管4の後端部内周面に位置決めすることができる。
ナット部材92は、ナット921に座板922を溶着して形成され、該座板922には、ボルト部材93の軸部932を挿通可能な穴が形成されている。
ボルト部材93は、頭部931及び軸部932からなり、全長にわたって牽引管8の鋼管82を挿通可能な挿通穴93aが軸部932の中心と同一軸心上に形成されるとともに、軸部932には、ナット部材92のナット921に形成された雌ねじに対応する雄ねじが形成されている。
ストッパ94は、牽引管8の鋼管82の外径に略対応する内径の貫通穴(図示せず)が形成された中空円筒状のストッパ本体941を半割りして形成され、半割りされた左右のストッパ本体941には、その軸心を挟む上半部及び下半部において軸心方向に間隔をおいて軸心方向と直交する水平方向に形成された複数個の雌ねじ及び連結穴がそれぞれ形成され、一方のストッパ本体941の連結穴を通して他方のストッパ本体941の雌ねじに連結ボルト942をねじ込むことにより、一体に連結される。
なお、左右のストッパ本体941の貫通穴には、鋼管82の外径を谷の径とする雌ねじが形成されており、左右のストッパ本体941を牽引管8の鋼管82に装着し、連結ボルト942をねじ込んで左右のストッパ本体941を一体に連結した際、その雌ねじの山が鋼管82に食い込み、鋼管82に対して移動しないように固定することができる。
なお、ボルト部材93とストッパ94との間には、ワッシャ95が配設されており、ボルト部材93がストッパ94に直接接触することが防止されている。
次に、このように構成された機材を用いて不陸等が発生した既設管100を複数本の更生管4で置き換える施工手順について説明する。
なお、図14においては、破砕ヘッド1の牽引軸14にエアハンマ16を固定した場合を示している。このため、エアハンマ16に圧縮空気を供給するエア配管161にアダプタ2、先導鋼管3、更生管4を順に通過させ、破砕ヘッド1にアダプタ2を連結し、次いで、アダプタ2に先導鋼管3を連結し、さらに、先導鋼管3、先行する更生管4を連結する。この場合、終端先導鋼管3Cの隔壁371及び後部押し治具9の治具本体91の円盤911には、エア配管161を通過させる穴(図示せず)が形成されている。
まず、更生対象の既設管100の施工区間の始端及び終端において、それぞれ発進立坑S1、到達立坑S2を掘削する。そして、各立坑S1,S2において、壁面からそれぞれ設定長さだけ突出させた状態で既設管100を切断するとともに、切断した既設管(管体)を除去する。
既設管(管体)を除去したならば、到達立坑S2から発進立坑S1にかけて既設管100内に牽引ワイヤ5を挿通するとともに、発進立坑S1に破砕ヘッド1を搬入し、牽引ワイヤ5の先端に設けたエンドクランプ51をピンを介して破砕ヘッド1の牽引ヘッド15に連結する。
次いで、到達立坑S2に反力回収装置7を搬入し、前述したように設置した後、反力回収装置7にワイヤ牽引装置6を連結するとともに、牽引ワイヤ5をワイヤ牽引装置6のグリップ機構に嵌合させる。
一方、発進立坑S1において、その壁面から突出する既設管100の管端部に破砕ヘッド1の牽引ヘッド15側を挿入する。そして、破砕ヘッド1にアダプタ2を連結した後、アダプタ2に先導鋼管3(先端先導鋼管3A、中間先導鋼管3B・・・)を順に連結する。
その後、ワイヤ牽引装置6の油圧シリンダ61を伸長作動させ、グリップ装置を介して牽引ワイヤ5を把持して引き上げる。これにより、牽引ワイヤ5は、既設管100を経て到達立坑S2側に牽引され、反力回収装置7の中心を経てプーリ62を巻回して引き取られる。引き取られた牽引ワイヤ5は、ワイヤドラム52に順に巻き取られる。油圧シリンダ61がストロークエンドに達すれば、油圧シリンダ61を縮小作動させ、その際、グリップ装置による牽引ワイヤ5の把持を解除する。以下、油圧シリンダ61の伸縮作動により、牽引ワイヤ5は、到達立坑S2に向けて間欠的に牽引される。すなわち、牽引ワイヤ5は、発進立坑S1における既設管100の軸心及び到達立坑S2における既設管100の軸心を結ぶ、既設管100内の最短距離に沿って牽引される。
牽引ワイヤ5の牽引により、牽引ワイヤ5が連結された破砕ヘッド1は、到達立坑S2に向けて強制的に移動する。破砕ヘッド1が移動すれば、破砕刃13が既設管100を切断して破砕するとともに、その破砕片を基体12に沿って周囲に押し退ける。したがって、破砕ヘッド1によって既設管100が破砕されて押し退けられた空間は、発進立坑S1における既設管100の軸心と到達立坑S2における既設管100の軸心を結ぶ最短距離に沿うように形成される。
その後、破砕ヘッド1に連結されたアダプタ2が移動し、破砕ヘッド1が破砕した既設管100の破砕片をさらに外方に押し退ける。つまり、破砕ヘッド1が既設管100を破砕するとともに、その破砕片を周囲に押し退けることによって既設管100にほぼ対応する空間を形成した後、アダプタ2が破砕した既設管100の破砕片をさらに外方に押し退けて既設管100にほぼ対応する空間よりも大きな空間を形成し、アダプタ2によって形成された空間に先導鋼管3(先端先導鋼管3A、中間先導鋼管3B・・・)を導入する。
以下、破砕ヘッド1が到達立坑S2に向けて移動すれば、移動した長さを補充するように、設定本数の中間先導鋼管3B・・・を順にねじ結合し、既設管100が破砕され、その破砕片が押し退けられた空間に導入する。そして、最終の中間先導鋼管3Bに終端先導鋼管3Cをねじ結合し、既設管100を構成する一組の管体の長さ以上の先導鋼管3を形成する。これにより、先端先導鋼管3A、設定本数の中間先導鋼管3B及び終端先導鋼管3Cが一体に連結されて既設管100を構成する一組の管体の長さ以上の長さの先導鋼管3がアダプタ2に続いて移動する。
一方、先導鋼管3の終端先導鋼管3Cが破砕ヘッド1及びアダプタ2を介して既設管100を破砕するとともに、その破砕片を押し退けて形成された空間に導入されたならば、終端先導鋼管3Cに設けられた継手372に先頭牽引管83の前端部をねじ結合するとともに、先頭牽引管83の後端部に、牽引管8の継手81をねじ結合する。次いで、先端更生管4Aをその内部に牽引管8及び先頭牽引管83が位置するように挿通させるとともに、その前端部を終端先導鋼管3Cの管本体35の後端部内周面に嵌挿した後、終端先導鋼管3Cの管本体35の連結穴35bを通して先端更生管4Aの前端部にボルトをねじ込み、終端先導鋼管3Cに先端更生管4Aを連結する。この状態では、先端更生管4Aの後端部から牽引管8の鋼管82の後端部が突出しており、この鋼管82の突出部分を利用して、先端更生管4Aの後端部に後部押し治具9を取り付ける。
具体的には、牽引管8の鋼管82に治具本体91を挿通し、その内筒部913及び外筒部912をそれぞれ先端更生管4Aの後端部内外周面に沿わせて差し込み、装着する。次いで、牽引管8の鋼管82にナット部材92及びボルト部材93を順に挿通するとともに、ナット部材92の雌ねじにボルト部材93の軸部932に形成された雄ねじをねじ込む。さらに、牽引管8の鋼管82にワッシャ95を挿通するとともに、ボルト部材93の近傍において、ストッパ94の二つ割りされた左右のストッパ本体941を牽引管8の鋼管82に装着した後、一方のストッパ本体941の雌ねじに他方のストッパ本体941の連結穴を通して連結ボルト942をねじ込み、左右のストッパ本体941を連結し、鋼管82を挟み込む。この際、牽引管8の鋼管82の外周面に、ストッパ本体941の貫通穴に形成された雌ねじが食い込み、ストッパ94を牽引管8に対して移動しないように固定する。さらに、ボルト部材93をナット部材92に対して緩めれば、ナット部材92からボルト部材93の頭部931が離れる方向に移動する。この際、ボルト部材93の頭部93がワッシャ95を介してストッパ94に突き当たり、それ以上の後退が阻止される。なおも、ボルト部材93を緩めれば、相対的にナット部材92を前進させることから、ナット部材92が治具本体91を押し出し、先端更生管4Aの後端部に突き当てる。
この結果、先端更生管4Aは、先導鋼管3(終端先導鋼管3C)に対して先端部が周方向に間隔をおいて複数本のボルトを介して連結されるとともに、先頭牽引管83、牽引管8及び後部押し治具9を介して連結される。
この状態において、ワイヤ牽引装置6を作動させると、前述したように、牽引ワイヤ5は、到達立坑S2に向けて間欠的に牽引され、破砕ヘッド1が既設管100を破砕しつつ到達立坑S2に向けて移動し、アダプタ2を介して破砕ヘッド1に連結された先導鋼管3、その終端先導鋼管3Cに連結された更生管4(先端更生管4A)が到達立坑S2に向けて移動する。この場合、終端先導鋼管3Cに対して先端更生管4Aが先頭牽引管83、牽引管8及び後部押し治具9を介して一体に連結されていることにより、終端先導鋼管3Cを含む先導鋼管3の到達立坑S2方向への移動は、先端更生管4Aを到達立坑S2に向けて押し出すことになる。これにより、ワイヤ牽引装置6による牽引力を、先端更生管4Aに対して軸心方向の推進力として作用させることができ、終端先導鋼管3Cと先端更生管4Aとを連結する複数本のボルトに剪断力が作用することを防止できるとともに、終端先導鋼管3Cに対する先端更生管4Aの連結部分に曲げ引張応力が作用することを防止できる。
先導鋼管3の牽引に追従して先端更生管4Aが牽引され、先端更生管4Aが破砕ヘッド1及びアダプタ2を介して既設管100を破砕するとともに、その破砕片を押し退けて形成された空間に導入されたならば、先端更生管4Aの後端部に取り付けられた後部押し治具9を取り外す。すなわち、ボルト部材93をナット部材92に対して若干ねじ込み、ストッパ94に対する突き当たりを若干緩めた後、ストッパ94の連結ボルト942を緩め、左右のストッパ本体941の連結を解除して牽引管8から抜き出すとともに、ワッシャ95、ねじ結合されたボルト部材93及びナット部材92を牽引管8から抜き出す。さらに、先端更生管4Aの後端部に装着された治具本体91を離脱させ、同様に牽引管8から抜き出す(図19(a)参照)。
先端更生管4Aから後部押し治具9を離脱させたならば、先端更生管4Aの後端部から突出している最先の牽引管8の鋼管82に新たな牽引管8の継手81をねじ込んだ後(図19(b)参照)、最先の中間更生管4Bをその内部に牽引管8が位置するように挿通させるとともに、その雄ねじ41aを先端更生管4Aの雌ねじ41bにねじ結合する(図19(c)参照)。この状態では、最先の中間更生管4Bの後端部から後続する牽引管8の鋼管82の後端部が突出している。次いで、最先の中間更生管4Bの後端部に後部押し治具9を取り付ける。具体的には、後続する牽引管8の鋼管82に治具本体91を挿通し、その内筒部913及び外筒部912を最先の中間更生管4Bの後端部内外周面に沿わせて差し込み、装着する(図19(d)参照)。次いで、後続する牽引管8の鋼管82に、ねじ結合されたナット部材92及びボルト部材93、ワッシャ95、さらには、連結ボルト942を介して緩やかに連結された左右のストッパ本体941からなるストッパ94を順に挿通した後、ボルト部材93の近傍において、連結ボルト942をねじ込み、左右のストッパ本体941を連結し、鋼管82を挟み込む(図19(e)参照)。この際、牽引管8の鋼管82に、ストッパ本体941の貫通穴に形成された雌ねじが食い込み、ストッパ94を牽引管8に対して移動しないように固定する。さらに、ボルト部材93をナット部材92に対して緩めることにより、その頭部93をワッシャ95を介してストッパ94に突き当てる。なおも、ボルト部材93を緩めれば、相対的にナット部材92を前進させるとともに、ナット部材が92が突き当てられた治具本体91を前進させ、最先の中間更生管4Bの後端部に突き当てる。
この結果、最先の中間更生管4Bは、先端更生管4Aに対してねじ結合されるとともに、先導鋼管3(終端先導鋼管3C)に対して先頭牽引管83、牽引管8及び後部押し治具9を介して連結される。
この状態において、ワイヤ牽引装置6を作動させることにより、牽引ワイヤ5は、到達立坑S2に向けて間欠的に牽引され、破砕ヘッド1が既設管100を破砕しつつ到達立坑S2に向けて移動し、アダプタ2を介して破砕ヘッド1に連結された先導鋼管3、その終端先導鋼管3Cに連結された更生管4(先端更生管4A及び最先の中間更生管4B)が到達立坑S2に向けて移動する。この場合、最先の中間更生管4Bは、終端先導鋼管3Cに対して先端更生管4Aを介して連結されるとともに、先頭牽引管83、牽引管8及び後部押し治具9を介して一体に連結されていることにより、終端先導鋼管3Cを含む先導鋼管3の到達立坑S2方向の移動は、最先の中間更生管4Bを到達立坑S2に向けて押し出すことになる。これにより、先端更生管4A及び最先の中間更生管4Bのねじ結合部分に曲げ引張応力が作用することを防止できる。すなわち、既設管100の不陸等を通過する際、連結部分に曲げ引張応力が作用し易く、更生管4が脱落する可能性があるが、ワイヤ牽引装置6による牽引力を、更生管4に対して軸心方向の推進力として作用させることができることから、更生管4の連結部分に曲げ引張応力が作用することはなく、更生管4の脱落を確実に防止することができる。
先導鋼管3の牽引に追従して先端更生管4A及び最先の中間更生管4Bが牽引され、最先の中間更生管4Bが破砕ヘッド1及びアダプタ2を介して既設管100を破砕するとともに、その破砕片を押し退けて形成された空間に導入されたならば(図19(f)参照)、最先の中間更生管4Bの後端部に取り付けられた後部押し治具9を取り外した後、前述したように作業すればよい。
すなわち、最終の牽引管8に対する後部押し治具9のストッパ94の固定を解除して牽引管8から抜き出すとともに、ワッシャ95、ボルト部材93及びナット部材92を牽引管8から抜き出し、さらに、治具本体91を最先の中間更生管4B(先行する中間更生管4B)から離脱させて牽引管8から抜き出す。次いで、後続する牽引管8の継手81を先行する牽引管8の鋼管82にねじ結合した後、後続する牽引管8を通して後続する中間更生管4Bを先行する中間更生管4Bにねじ結合する。そして、後部押し治具9の治具本体91を後続する牽引管8の鋼管82を通して後続する中間更生管4Bの後端部に装着するとともに、ボルト部材93及びナット部材92、ワッシャ95を順に後続する牽引管8の鋼管82に挿通した後、ストッパ94を後続する牽引管8の鋼管82に挿通し、ボルト部材93の近傍において牽引管8の鋼管82に固定する。次いで、ボルト部材93を介して治具本体91を後続する中間更生管4Bの後端部に固定した後、ワイヤ牽引装置6を作動させることにより、牽引ワイヤ5を介して破砕ヘッド1が既設管100を破砕しつつ到達立坑S2に向けて移動し、先導鋼管3(終端先導鋼管3C)に連結された更生管4(先端更生管4A及び中間更生管4B・・・)が到達立坑S2に向けて移動する。この場合、後続する中間更生管4Bは、終端先導鋼管3Cに対して先端更生管4Aを含む先行する中間更生管4Bを介して連結されるとともに、先頭牽引管83、複数本の牽引管8及び後部押し治具9を介して一体に連結されていることにより、終端先導鋼管3Cを含む先導鋼管3の到達立坑S2方向の移動は、後続する中間更生管4Bの後端部を到達立坑S2に向けて押し出すことになる。これにより、先端更生管4A及び最先の中間更生管4Bを含む先行する中間更生管4B及び後続する中間更生管4Bのねじ結合部分に曲げ引張応力が作用することを防止できる。
なお、中間更生管4Bの接続に際しては、更生管4の内径に対応する外径を有するとともに、牽引管8の鋼管82の外径に対応する内径の挿通穴を有する中空円筒状の発泡スチロール等のスペーサを牽引管8の鋼管82に挿通して更生管4内に設定間隔をおいて介在させ、更生管4に土砂等の異物が侵入することを防止することが好ましい。
ところで、仮に地震及び地震に伴う液状化現象等によって既設管を構成する一組もしくは複数組の管体の接合部が離脱し、既設管100に1箇所もしくは複数箇所の不陸等が発生していたとしても、既設管100を構成する一組の管体の長さ以上の長さを有する先導鋼管3は、一体に連結された破砕ヘッド1及びアダプタ2とともに各不陸等を発生した一組の管体に跨がって牽引ワイヤ5による最短距離に沿うように移動することにより、各不陸等を順に修正することができる。この際、既設管100の不陸等を修正する先導鋼管3に大きな曲げ引張応力が作用するが、先端先導鋼管3A、複数本の中間先導鋼管3B、終端先導鋼管3Cが互いにねじ結合されて、連結部分の剛性を大きく向上させていることにより、曲げ引張応力に抗することができる。
以下、ワイヤ牽引装置6を作動させて牽引ワイヤ5を牽引し、破砕ヘッド1が移動することに合わせて中間更生管4Bが導入されたならば、その中間更生管4Bに固定された後部押し治具9を取り外した後、牽引管8を連結するとともに、後続する中間更生管4Bを連結し、後部押し治具9を装着して固定し、牽引ワイヤ5を牽引し、既設管100を破砕してその破砕片を周囲に押し退けるとともに、既設管100の不陸等を修正した空間に後続する中間更生管4Bを導入することを繰り返す。
破砕ヘッド1が到達立坑S2に到達すれば、破砕ヘッド1を反力回収装置7の後方支持板72近傍まで牽引した後、アダプタ2と先端先導鋼管3Aとの連結を解除するとともに、先端先導鋼管3Aと最先の中間先導鋼管3Bとのねじ結合を解除し、破砕ヘッド1及び先端先導鋼管3Aを地上に回収する。次いで、図20に示す牽引治具38、具体的には、中間先導鋼管3Bの挿し口部37の雄ねじ37aに対応する雌ねじ38aが形成されるとともに、牽引ワイヤ5のエンドクランプ51とピンを介して連結可能な牽引ヘッド381を備えた短筒蓋状の牽引治具38を用意し、牽引治具38の雌ねじ38aを最先の中間先導鋼管3Bの雄ねじ37aにねじ結合するとともに、その牽引ヘッド381に牽引ワイヤ5のエンドクランプ51をピンを介して連結した後、ワイヤ牽引装置6を作動させることにより、最先の中間先導鋼管3Bを先頭に後続する複数本の中間先導鋼管3B・・・を到達立坑S2に引き出すことができる。次いで、最先の中間先導鋼管3Bから牽引治具38を離脱させるとともに、最先の中間先導鋼管3Bと後続する中間先導鋼管3Bとのねじ結合を解除した後、最先の中間先導鋼管3Bを地上に回収する。以下同様に、先行する中間先導鋼管3Bと後続する中間先導鋼管3Bとのねじ結合を解除し、先行する中間先導鋼管3Bを地上に回収することを繰り返して、到達立坑S2に引き出した中間先導鋼管3Bを取り除く。到達立坑S2に到達した中間先導鋼管3Bを取り除いたならば、前述したように、到達立坑S2に臨む先行する中間先導鋼管3Bに牽引治具38を連結し、ワイヤ牽引装置6を作動させて複数本の中間先導鋼管3Bを到達立坑S2に引き出した後、先行する中間先導鋼管3Bから順に後続する中間先導鋼管3Bとのねじ結合を解除して地上に回収することを繰り返す。以下同様に作業して、複数本の中間先導鋼管3Bとともに最終の中間先導鋼管3Bにねじ結合された終端先導鋼管3Cを到達立坑S2に引き出し、互いのねじ結合を順に解除して地上に回収する。
この際、中間先導鋼管3Bの引き出しに合わせて、中間更生管4Bの導入が継続され、終端先導鋼管3Cの引き出しに合わせて終端更生管4Cが導入される。
終端先導鋼管3Cを回収すれば、終端先導鋼管3Cに連結された先端更生管4Aが到達立坑S2に引き出される。
この場合、終端先導鋼管3Cには、その継手372に先頭牽引管83以下、複数本の牽引管8が順に連結されていることから、先端更生管4Aに対する終端先導鋼管3Cのボルト連結を解除するとともに、終端先導鋼管3Cを軸心回りに回転させて先頭牽引管8と継手372とのねじ結合を解除すると、更生管4内に先頭牽引管83以下複数本の牽引管8が残される。これらの先頭牽引管83及び複数本の牽引管8については、ロープ等を掛け回し、ウインチを利用して到達立坑S2に順に引き出し、ねじ結合を解除して地上に回収することを繰り返すことにより、更生管4から除去することができる。
先頭牽引管83及び複数本の牽引管8を除去すれば、ワイヤ牽引装置6及び反力回収装置7を地上に回収する。
以上のように、地震及び地震に伴う液状化現象等によって下水道管等の既設管100に該既設管100を構成する管体間の接合部の離脱に基づく1箇所もしくは複数箇所の不陸や蛇行が発生したとしても、それらの不陸等を修正しつつ更生管4に置き換えて敷設することができることから、地震等によって不陸等が発生した下水道管等を開削工法によって現状復旧することが困難な場合であっても、使用可能な状態に速やかに復旧させることができる。