JP6164967B2 - 鞍乗り型車両の車体フレーム - Google Patents
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Description
そこで、ダウンフレーム取付部は、鍛造後に機械加工で凹溝状の差し込み部を形成し、この差し込み部にダウンフレームの前部を嵌合して長い嵌合長を確保し、嵌合部を溶接して長い溶接距離を形成するようにしていた。
しかし、このように、長い嵌合長の差し込み部を形成すると、機械加工が複雑かつ多くなり、加工時間も多くなるので機械加工費が高くなる。また、溶接距離が長くなるだけ溶接費が高くなる。さらに、メインフレーム取付部とダウンフレーム取付部を一体化するためには、ヘッドパイプを大型化する必要があるが、機械加工で削除されるムダ肉が多いためそれだけ多くの材料を必要とし、材料費を高くする。したがって、このようなコストアップを招かない構造が望まれている。
また、ダウンフレーム取付部がメインフレーム取付部の高荷重部に隣接するため、ダウンフレーム取付部の溶接品質は強度に大きく影響する。特に、メインフレーム取付部の溶接部とダウンフレーム取付部の溶接部が重なるダブルビード(2重ビード)が生じると溶接品質が安定しなくなる。そこで、溶接品質に依存しない構造も望まれる。
本願はこのような要請の実現を目的とする。
前記ヘッドパイプ(11)は、パイプ部(40)と、このパイプ部(40)に一部が重なるように前記メインフレーム(20)の前端部を溶接するメインフレーム取付部(44)と、前記ダウンフレーム(21)の上端部を溶接するダウンフレーム取付部(50)とを備えた鞍乗り型車両の車体フレームにおいて、
前記ヘッドパイプ(11)は、前記パイプ部(40)及び前記メインフレーム取付部(44)から下方へ延出する下方延出部(45)を備え、
この下方延出部(45)の下部に前記ダウンフレーム取付部(50)が設けられることを特徴とする。
前記ダウンフレーム取付部(50)は、前記上側支持部(51)の下端から前記パイプ部(40)と平行方向に延出して前記下側支持部(53)に連結する連結部(54)と、この連結部(54)の下端部よりも後方へ前記下側支持部(53)から延びる延長部(55)とで構成されることを特徴とする。
その結果、鍛造後における機械加工を少なくすることができ、かつ機械加工で切除するムダ肉が少なくなるので、コストダウンを図ることができる。
また、ダウンフレーム取付部を高荷重部であるパイプ部から離間させることで溶接品質に依存しない結合強度を得ることができるとともに、ダウンフレーム取付部をメインフレーム取付部と離間させることにより、溶接品質を高めることができる。
そのうえ、成形素材の量を同じとすれば、切除するムダ肉が少なくなる分だけヘッドパイプを大型化できる。
リヤフォーク17の後端部には後輪18が支持され、リヤフォーク17の前後方向中間部と車体フレーム10の後側上部間にリヤサスペンションを構成するリヤクッション19が設けられている。後輪18はチェーンを介してエンジン15により駆動される。
シート28の前方には燃料タンク29が配置され、メインフレーム20上に支持されている。クッションブラケット26にはリヤクッション19の上端が支持されている。
メインフレーム20の後端もピボットフレーム24の前端部と溶接線31で溶接一体化されている。ピボットフレーム24はアルミ等の軽合金製の鋳造もしくは鍛造品である。
ダウンフレーム21の下端部は、ブラケット22の上端部と溶接線33で溶接一体化されている。
左右のロアーフレーム23は、各後端部がピボットフレーム24の下端部に溶接線35で溶接一体化されている。
パイプ部40の上下には、シャフト穴41が拡径されたベアリングホルダ部43a、43bをなし、ここにステアリングシャフト42を支持するベアリング(図示省略)が嵌合されるようになっている。
また、延長部55は、図4に示す正面視が下すぼまりの舌片状をなしている。
しかも、機械加工で削除される部分は、抜き勾配のための不要肉部分のため、切削される部分は可及的に少量である。したがって、機械加工が迅速容易になり、かつムダ肉も少なくなる。
また、機械加工後の連結部54及び延長部55の角度は、ダウンフレーム21の上端部を当接するために必要なものに調整される。
側面視において、シャフト穴41に軸心(ステアリングシャフト42の軸線)をL0、この直線L0と平行で連結部54の後端を通る線を後立壁後端線L1、さらに直線L0と平行でメインフレーム取付部44の後端を通る線をメインフレーム取付部後端線L2とすれば、L1とL2の間にはDなる距離がある。
また、パイプ部40に対する前輪14からの大荷重が入力されるパイプ部40からも離間されているため、ダウンフレーム溶接線32は高荷重点からも後方へ大きく離れていることになる。
したがって、ダウンフレーム溶接線32の長さは、連結部54の上端54aに沿う長さa、連結部54の側端54bに沿う長さb及び延長部55の周囲55aに沿う長さcからなる(b及びcは片側のみ示す)。
同様に、ダウンフレーム21の上端面21aを連結部54の後面に当接し、上端下面21bを延長部55の上面に当接し、周囲を隅肉溶接すると、ダウンフレーム溶接線32が形成される(図2)。
さらに、下方延出部45の形成によりダウンフレーム21を短いものにできるので、非スウェージング加工のストレート形状とすることができ、ダウンフレーム21の加工工数並びにコストを削減できる。
すなわち、図3中に示す従来のダウンフレーム121のように、メインフレーム取付部44に隣接して溶接する場合、ダウンフレーム121は図7に示す嵌合凹部に嵌合する差し込み形状にすることになる。
また下側支持部153及び側壁159の前端部は連結部154で閉じられ、上方及び後方へ開放されている。
したがって、この場合の溶接線の長さは、連結部154の上端154aに沿う長さd、側壁159の上端部159aに沿う長さe、側壁159の後端159bに沿う長さf及び延長部155の周囲155aに沿う長さgからなる(e、f及びgは片側のみ示す)。
但し、スティッフナー36を設ければより車体強度を高くすることができる。
また、本願発明は上記自動2輪車に限らず、種々の形式の鞍乗り型車両に適用できる。
Claims (5)
- 前輪を支持するヘッドパイプ(11)と、このヘッドパイプに連結して左右後方に延出する左右一対のメインフレーム(20)と、前記ヘッドパイプ(11)に連結して下方に延出するダウンフレーム(21)とを備え、
前記ヘッドパイプ(11)は、パイプ部(40)と、このパイプ部(40)に一部が重なるように前記メインフレーム(20)の前端部を溶接するメインフレーム取付部(44)と、前記ダウンフレーム(21)の上端部を溶接するダウンフレーム取付部(50)とを備えた鞍乗り型車両の車体フレームにおいて、
前記ヘッドパイプ(11)は、前記パイプ部(40)及び前記メインフレーム取付部(44)から下方へ延出する下方延出部(45)を備え、
この下方延出部(45)の下部に前記ダウンフレーム取付部(50)が設けられ、
このダウンフレーム取付部(50)は、前記メインフレーム取付部(44)の後下方において、前記パイプ部(40)及び前記メインフレーム取付部(44)から離間して配置されるとともに、
前記下方延出部(45)は、前記メインフレーム取付部(44)の下部から後下方に延出する上側支持部(51)と、前記パイプ部(40)の下部から後下方に延出する下側支持部(53)とを備え、
前記上側支持部(51)は、上面が前記メインフレーム取付部(44)の下部から斜め下がり後方へ延出する平面状をなし、
前記ダウンフレーム取付部(50)は、
前記上側支持部(51)の後端部から前記パイプ部(40)と平行方向に延出して前記下側支持部(53)に連結する連結部(54)と、この連結部(54)の下端部よりも後方へ前記下側支持部(53)から延びる延長部(55)とで構成され、
前記連結部(54)は、前記パイプ部(40)と平行で上下方向及び車幅方向へ広がる平面状をなし、
前記延長部(55)は、上面が平面状をなし、
前記ダウンフレーム(21)は、その上端部の上端面(21a)及び上端下面(21b)を前記ダウンフレーム取付部(50)の前記連結部(54)及び延長部(55)に当接させて溶接され、
前記ダウンフレーム取付部(50)に対する前記ダウンフレーム(21)の溶接により形成されるダウンフレーム溶接線(32)が、前記連結部(54)と前記ダウンフレーム(21)の前記上端面(21a)との当接部及び前記上端下面(21b)と前記延長部(55)との当接部周囲だけに形成されていることを特徴とする鞍乗り型車両の車体フレーム。 - 前記上側支持部(51)は、側面視で、前記パイプ部(40)の下端よりも長く後下方へ延出していることを特徴とする請求項1に記載した鞍乗り型車両の車体フレーム。
- 前記ダウンフレームの上端面(21a)は、側面視で、前記パイプ部(40)の下端よりも後下方へ配置されていることを特徴とする請求項2に記載した鞍乗り型車両の車体フレーム。
- 前記ダウンフレーム溶接線(32)は、前記メインフレームを前記メインフレーム取付部へ溶接することにより形成されるメインフレーム溶接線(30)と分離されていることを特徴とする請求項3に記載した鞍乗り型車両の車体フレーム。
- 前記ダウンフレーム取付部(50)は、前記連結部(54)の後面及び延長部(55)の上面がそれぞれ、側面視で一直線になる平面になるように車幅方向へ機械加工されたものであることを特徴とする請求項1に記載した鞍乗り型車両の車体フレーム。
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