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JP6164387B1 - 焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法 - Google Patents

焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法 Download PDF

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Abstract

酸化されやすいCrやMoを合金化元素として含有する合金鋼粉を、水アトマイズ法により効率的に、安定して製造する方法を提供する。溶鋼を水アトマイズして水アトマイズ鉄基粉末を得る水アトマイズ工程と、前記水アトマイズ鉄基粉末に、還元のための熱処理を行って合金鋼粉を得る熱処理工程とを有し、前記合金鋼粉が、質量%で、Cr:0.3〜3.5%およびMn:0.08%超、1.0%以下を合金化元素として含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、前記溶鋼中におけるC含有量[C](質量%)と、前記溶鋼中におけるCr、Mn、およびVの含有量[Cr]、[Mn]、および[V](質量%)とが、下記(1)式の関係を満たす、焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法。0.07≦[C]/{[Cr]2/3+2([Mn]+[V])}≦0.23 …(1)

Description

本発明は、焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法に関するものであり、特に、CrやMn等の酸化しやすい合金化元素を含む合金鋼粉を水アトマイズ法で製造する際の前記合金化元素の酸化を抑制し、合金鋼粉を安定的に製造することのできる方法に関するものである。
鉄粉や合金鋼粉を、金型を用いて所望の形状に圧縮成形した後に焼結する粉末冶金法は、複雑な形状を有する機械部部品を低コストで製造できる技術として、例えば、自動車用部品の製造など、幅広い用途に用いられている。粉末冶金法において原料として用いられる鉄粉や合金鋼粉(以下、単に「鉄粉」という場合がある)としては、ミルスケールや鉄鉱石をコークスなどの炭素源を還元剤として固相還元することによって得られる海綿鉄粉や、所定の成分に調整した溶鋼に高圧水ジェットを噴射して粉砕した水アトマイズ鉄粉などが工業的に製造されている。
いずれの方法で製造された鉄粉も、水素などの還元雰囲気で焼鈍する熱処理(仕上還元処理)を行うことによって、粉末冶金用の原料として適した品質となる。前記熱処理では、鉄粉に含まれる炭素や酸素が除去され、また鉄粉粒子内に含まれる歪が除去され、結晶粒が成長する。
特に高い強度を要求される部材を粉末冶金法によって製造する場合は、合金化元素を添加した合金鋼粉が原料粉として用いられる。その時、前記合金化元素として、焼入れ性向上効果が高い元素を用いることにより、原料粉に混合された黒鉛が原料粉粒子に拡散して強化された組織を形成する作用を促進することができる。中でもCrは、比較的低コストであるにもかかわらず焼入れ性向上効果が高いため、Crを主要な合金化元素として含有する合金鋼粉やその応用が、幅広く研究されている。
Crを合金化元素として含む合金鋼粉(Cr含有合金鋼粉)は、水アトマイズ法によって製造することが好適である。水アトマイズ法を用いたCr含有合金鋼粉の製造フローの一例を図2に示す。主原料である鉄源としては、電解鉄やベースメタルなどの高純度のものを用いることが望ましいが、転炉で精錬された溶鋼や高純度スクラップなど低コストで比較的高純度なものも工業的には使用可能である。前記鉄源を加熱溶解し、Cr源やその他の合金化元素、必要に応じてスラグ成分や加炭材などの副原料を添加して、原料溶鋼とする。次に、前記原料溶鋼は、水アトマイズ法によって粉砕され、水アトマイズ鉄基粉末(water-atomized iron-based powder)となる。水アトマイズ法においては、タンディッシュのノズルから流れ出る原料溶鋼に高圧の水を吹き付けることにより、溶鋼が粉砕されるとともに凝固する。得られた水アトマイズ鉄基粉末には、さらに還元のための熱処理(仕上熱処理)が施され、高強度焼結部材の製造に適したCr含有合金鋼粉が得られる。
しかし、CrはFeに比べて酸化され易い元素であるため、上述のように水アトマイズ法によって鉄基粉末を製造すると、容易に酸化されてしまう。原料粉末に含まれる酸素の量が多くなると、加圧成形時の圧縮性が低くなるため、焼結部材用原料粉として高品質のCr含有合金鋼粉を製造するためには合金鋼粉中に含まれる酸素の量を低減させる必要がある。そこで、合金鋼粉の酸素量を低減させるために、様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、Crを合金化元素として含む水アトマイズ鉄基粉末を、還元雰囲気中ではなく真空中で熱処理して還元する方法が開示されている。前記方法では、水アトマイズ鉄基粉末に含まれている炭素が還元剤として機能する。
また、特許文献2には、合金化元素としてCr、Mo、およびMnを含む水アトマイズ鉄基粉末において、酸素と炭素の重量比O:Cを1〜4とし、前記水アトマイズ鉄基粉末を露点が制御された減圧雰囲気中で還元する方法が開示されている。
特許文献3には、H2Oガスを含有するH2ガス雰囲気中で水アトマイズ鉄基粉末を熱処理する際に、炉内の酸素ポテンシャル等を測定し、その結果に基づいてH2Oガス量を調整する方法が開示されている。
特許文献4には、水アトマイズ鉄基粉末粉を不活性ガス雰囲気中で加熱し、その際に発生するCOガスの量をモニターし、COガス発生量が増大した際にCOガスを排気する方法が開示されている。前記方法により、前記鉄基粉末中の炭素と酸素の量が、それぞれC:0.005%、O:0.10%まで低減される。
特開昭55−62101号公報 特開2010−159495号公報 特表2000−514875号公報 特表2002−501123号公報
特許文献1〜4に開示されている方法によれば、Crを含有する水アトマイズ鉄基粉末を熱処理によって還元し、合金鋼粉中に含まれる酸素の量を低減させることができる。しかし、Crの酸化は、熱処理を行う前の鉄基粉末を得る段階、すなわち、原料溶鋼を水アトマイズする工程において主に進行するため、従来の方法では、Cr含有鉄基粉末を、水アトマイズ法で安定的に製造することができないという問題があった。
図3は、鉄基粉末の製造に一般的に用いられる水アトマイズ装置100を模式的に示した図である。溶解炉1にて、所定の成分組成を有する原料溶鋼2を作製し、次いで、原料溶鋼2をタンディッシュ3に注入する。原料溶鋼2は、タンディッシュ3の底部に設けられた溶鋼ノズル4を通過して、溶鋼流5として噴霧槽6内に落下する。溶鋼流5は、水ノズル7から噴射される高圧水ジェット8によって小さな粒子状にされて、水アトマイズ鉄基粉末9となる。
この時、溶鋼ノズル4から流下する原料溶鋼2の温度は、周囲の雰囲気と接触することにより急激に低下する。その結果、溶鋼中における酸素の溶解度が低下し、飽和溶解度以上の酸素はCrと反応してCr酸化物を生成する。生成したCr酸化物の一部は、溶鋼ノズル4の先端部である溶鋼注入口10の近傍に、溶鋼注入口10を塞ぐ形で堆積して行く。
上記のようにCr酸化物が堆積した結果、溶鋼注入速度が時間とともに減少し、水アトマイズ鉄基粉末の生産効率が低下する。そして、さらにCr酸化物の堆積が進行すると、ついには溶鋼注入口10が閉塞してしまうので、堆積物を除去するために操業を停止する必要が生じ、さらに生産効率が低下する。
また、溶鋼注入量が時間と共に減少すると、それに伴って、得られる水アトマイズ鉄基粉末の粒度や粒子形状などが変化する。このことは、製造される合金鋼粉の品質のばらつきに繋がり、その結果、焼結部材用原料として好適な合金鋼粉を製造することが困難となる。
このように、焼入れ性を向上させるためにCrを添加すると、Cr酸化物の生成による生産効率の低下や品質のばらつきといった問題が生じるため、Cr含有鉄基粉末を水アトマイズ法によって、効率的に、安定して製造することはできなかった。特許文献1〜4に開示された従来の技術は、いずれも、水アトマイズ法によって鉄基粉末を得た後の処理に関するものであるため、前記の問題を解決することはできない。
また、MnやVもCrと同様に酸化されやすい性質を有しているため、これらの合金化元素を含有する鉄基粉末を水アトマイズ法により安定的に製造することは困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、CrやMnなどの合金化元素を含有する鉄基粉末を水アトマイズ法により製造する際に生じる前記合金化元素の酸化を抑制し、焼結部材原料用合金鋼粉を、効率的に、安定して製造する方法を提供することを目的とする。あわせて、粒子内部に空孔が少ない稠密な粉末粒子を得ることを目的とする。
本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法であって、
C、Cr、およびMnを含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる成分組成を有する溶鋼を水アトマイズして水アトマイズ鉄基粉末とする水アトマイズ工程と、
前記水アトマイズ鉄基粉末に熱処理を行って焼結部材原料用合金鋼粉とする熱処理工程とを有し、
前記溶鋼中におけるC含有量[C](質量%)と、前記溶鋼中におけるCr、Mn、およびVの含有量[Cr]、[Mn]、および[V](質量%)とが、下記(1)式の関係を満たし、
前記焼結部材原料用合金鋼粉が、質量%で、
Cr:0.3〜3.5%および
Mn:0.08%超、1.0%以下、
を合金化元素として含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる成分組成を有する、焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法。

0.07≦[C]/{[Cr]2/3+2([Mn]+[V])}≦0.23 …(1)
(ただし、前記溶鋼がVを含有しない場合、[V]は0とする)
2.前記溶鋼の成分組成および前記焼結部材原料用合金鋼粉の成分組成が、質量%で、
Mo:0.1〜2.0%、および
V :0.1〜0.5%の一方または両方を、合金化元素としてさらに含有する、上記1に記載の焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法。
3.前記溶鋼の成分組成および前記焼結部材原料用合金鋼粉の成分組成が、質量%で、
S :0.3%以下
をさらに含有する、上記1または2に記載の焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法。
4.前記溶鋼の成分組成が、前記焼結部材原料用合金鋼粉中に含まれる前記合金化元素よりも酸化物の標準生成自由エネルギーが低い易酸化性元素を、合計で0.01〜0.10質量%さらに含有する、上記1〜3のいずれか一項に記載の焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法。
5.前記易酸化性元素が、Si、Ti、およびAlから選択される1または2以上である、上記4に記載の焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法。
本発明によれば、CrやMn等を合金化元素として含有する鉄基粉末を水アトマイズ法により製造する時に生じる合金化元素の酸化を抑制し、合金鋼粉を、効率的に、安定して製造することができる。
本発明の一実施形態における合金鋼粉の製造フローを表す図である。 従来の、水アトマイズ法を用いたCr含有合金鋼粉の製造フローの一例を表す図である。 一般的な水アトマイズ装置を模式的に示した図である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。なお、以下の説明において、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。また、「鉄基粉末」とは、Fe含有量が50%以上である金属粉末を指すものとする。
本発明の焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法は、溶鋼を水アトマイズして水アトマイズ鉄基粉末を得る水アトマイズ工程と、前記水アトマイズ鉄基粉末に、還元のための熱処理を行って合金鋼粉を得る熱処理工程とを有している。
図1に、本発明の一実施形態における合金鋼粉の製造フローを示す。まず、鉄源を溶解して原料溶鋼を製造する。前記鉄源としては、転炉溶鋼や高純度スクラップなど、任意のものを用いることができる。電解鉄など高純度の鉄源を用いることも可能であり、複数の種類の鉄源を組み合わせて使用することもできる。原料溶鋼の製造の際には、最終的に所望の成分組成の合金鋼粉が得られるように、前記鉄源にCr源、Mn源、およびその他の合金化元素を添加することができる。また、必要に応じて、炭材、その他の副原料(スラグ成分など)、および後述する「易酸化性元素」を添加することもできる。
前記Cr源としては任意のものを用いることができる。使用できるCr源としては、例えば、フェロクロムや金属クロムなどが挙げられる。また、Mn源としては、例えば、金属マンガンやフェロマンガン等を使用することができる。その他の合金化元素は、該合金化元素単体(金属)、該合金化元素を含有する合金、該合金化元素を含有する化合物など、任意の形態で添加することができる。前記炭材としては、任意の炭素含有材料を用いることができる。前記炭素含有材料としては、例えば、コークスや黒鉛粉などの炭素材料に加え、鋳鉄などの炭素濃度が高い鉄素材が挙げられる。
上記のようにして得た原料溶鋼を、水アトマイズ装置に注入して粉砕することによって水アトマイズ鉄基粉末を得る。前記水アトマイズ法による水アトマイズ鉄基粉末の製造には、特に限定されることなく、例えば、図3に示したものなど、任意の水アトマイズ装置を使用することができる。
その後、得られた水アトマイズ鉄基粉末に熱処理を施すことによって、CrおよびMnを含有する焼結部材原料用合金鋼粉が製造される。前記熱処理は、例えば、特許文献1〜4に記載されている方法など、水アトマイズ鉄基粉末を還元することができる方法であれば任意の方法を用いることができる。
前記熱処理により、水アトマイズ鉄基粉末に含まれる炭素や酸素が除去される。また、前記熱処理によって鉄基粉末は焼鈍され、鉄粉粒子内に含まれる歪が除去されるとともに、結晶粒が成長する。熱処理後の合金鋼粉に含有されるCとOの量は、C:0.1質量%以下、O:0.2質量%以下とすることが好ましい。熱処理の条件は、水アトマイズ鉄基粉末に含まれているCおよびOの量に応じて調整すればよい。
[溶鋼の成分組成]
本発明の一実施形態においては、前記溶鋼として、C、Cr、およびMnを含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる成分組成を有する溶鋼を用いることができる。また、他の実施形態において、前記溶鋼の成分組成は、Mo:0.1〜2.0%、およびV :0.1〜0.5%の一方または両方を、合金化元素としてさらに含有することができる。また、他の実施形態において、前記溶鋼の成分組成は、S:0.3%以下をさらに含有することができる。また、他の実施形態において、前記溶鋼の成分組成は、後述する易酸化性元素を、合計で0.01〜0.10質量%さらに含有することもできる。
本発明の一実施形態における溶鋼は、次の成分組成を有するものであってよい。
C、
Cr、
Mn、
任意に、Mo:0.1〜2.0%およびV:0.1〜0.5%の一方または両方、
任意に、S:0.3%以下、および、
任意に、易酸化性元素を合計で0.01〜0.10質量%を含有し、
残部Feおよび不可避不純物からなる成分組成。
[溶鋼のC、Cr、Mn、V含有量]
本発明では水アトマイズに供する溶鋼中におけるC含有量[C](質量%)と、前記溶鋼中におけるCr、Mn、およびVの含有量[Cr]、[Mn]、および[V](質量%)とが、下記(1)式の関係を満たすようにすることが重要である。
0.07≦[C]/{[Cr]2/3+2([Mn]+[V])}≦0.23 …(1)
なお、前記溶鋼がVを含有しない場合、上記(1)式の[V]は0とする。上記(1)式を満たすように、合金化元素の含有量に応じてC含有量を調整することによって、Cr等の酸化されやすい元素を合金化元素として含有する鉄基粉末を、水アトマイズ法により効率的に、安定して製造することができる。その理由を以下に説明する。
溶鋼中にCが存在すると、該CはOと反応してCOガスを生じる。そこで、合金化元素であるCr、Mn、およびVの含有量に対するC含有量が一定の比率以上、具体的には、0.07≦[C]/{[Cr]2/3+2([Mn]+[V])}となるようにC含有量を調整すれば、CがOと反応してCOガスが発生する反応の方が、前記合金化元素がOと反応して酸化物が生成する反応よりも優先的に起こるようになる。その結果、水アトマイズ中に前記合金化元素の酸化物が生成して溶鋼注入ノズル口に付着することが防止され、溶鋼を安定的に注入できるようになる。なお、より好適なC含有量は、0.1≦[C]/{[Cr]2/3+2([Mn]+[V])}である。
一方、C含有量が高いほど、合金化元素の酸化物の生成を抑制する効果は高くなるため、酸化物の付着防止という観点ではC含有量を高くすることが好ましい。しかし、過度にC含有量が高くなると、COガスの発生量が増大し、発生したCOガスがアトマイズ鉄基粉末の内部に空孔を形成する。そこで、前記空孔の形成を抑制するために、{[Cr]2/3+2([Mn]+[V])}≦0.23となるようにC含有量を調整する。なお、より好適なC含有量は、[C]/{[Cr]2/3+2([Mn]+[V])}≦0.2である。
原料溶鋼のC含有量は、鉄源を溶解する工程における炭材の投入量を調整することによって制御することができる。同様に、原料溶鋼中のCr、Mn、V含有量は、溶鋼を製造する際に添加されるCr源、Mn源、V源の量を調整することによって制御することができる。したがって、上記(1)式の関係を満たすように溶鋼製造時の炭材およびCr源、Mn源、V源の添加量を制御することが好ましい。
なお、上記(1)式においては、[C]を、[Cr]2/3、[Mn]、および[V]に対する比で規定している。これは、次の(2)〜(4)式で表される、Cr酸化物Cr23、Mn酸化物MnO、およびV酸化物VOのそれぞれがCで還元される反応が熱力学的に成立するかどうかが、[Cr]2/3、[Mn]、および[V]と[C]との比によって決定されるためである。
Cr23+3C → (2/3)Cr+3CO …(2)
MnO+C → Mn+CO …(3)
VO+C → V+CO …(4)
なお、本発明の方法により製造される合金鋼粉には、上記合金化元素以外にも、Moが合金化元素として含まれる場合がある。しかし、MoはCrよりも酸化されにくいため、本発明の条件を満たしていれば安定して水アトマイズを行うことができる。
特許文献1〜4に開示されているような従来の技術では、水アトマイズ法によって得られた鉄基粉末を熱処理することによって還元する時の条件には注意が払われていたが、本発明のように、水アトマイズを行う際の溶鋼中のC含有量と、Cr、Mn、およびVの含有量の関係を制御することは行われていなかった。また、そのような制御を行うことによって、操業の安定性を向上させ、さらに鉄基粉末内部に空孔が形成されることを抑制できることも知られていなかった。例えば、特許文献2には、Cr:2.5〜3.5%、C:0.1〜0.9%を含有する水アトマイズ鉄基粉末が開示されているが、C含有量は、合金元素の含有量と無関係に選択されている。
なお、上記溶鋼におけるC含有量は、上記(1)式の関係を満たすものであれば特に限定されないが、C:0.01〜1.00%とすることが好ましい。
[易酸化性元素]
本発明においては、水アトマイズに用いる溶鋼が、易酸化性元素を含有することもできる。ここで、「易酸化性元素」とは、後述する合金鋼粉中に含まれる合金化元素よりも酸化物の標準生成自由エネルギーが低い元素を意味する。例えば、合金鋼粉がCrおよびMnを含有する場合、前記易酸化性元素とは、CrおよびMnの両者よりも酸化物の標準生成自由エネルギーが低い元素を意味する。また、合金鋼粉がCr、Mn、Mo、およびVを含有する場合、前記易酸化性元素とは、Cr、Mn、Mo、およびVのいずれよりも酸化物の標準生成自由エネルギーが低い元素を意味する。
前記易酸化性元素としては、例えば、Si、Al、Tiなどを用いることができる。前記易酸化性元素としては、1つの元素のみを用いることもできるし、複数の元素を組み合わせて用いることもできる。安価な原料が入手可能であるという点では、Siを用いることが好ましい。
前記易酸化性元素は、溶鋼中に溶解している酸素と反応して酸化物となり、溶鋼中の溶融酸素量を低減させる。そのため、易酸化性元素を溶鋼に添加することにより、水アトマイズの時に、溶鋼が溶鋼注入口から注入されて該溶鋼の温度が低下しても、溶鋼中の酸素が飽和しにくくなり、合金化元素の酸化物の生成が抑制される。この作用により、溶鋼ノズルへの合金化元素の酸化物の付着がさらに抑制されて操業が一層安定化する。また、COガスの発生量も抑制され、その結果、水アトマイズ鉄基粉末中に空孔が形成される現象がさらに抑制される。
前記易酸化性元素の溶鋼中の含有量は合計で0.01〜0.10質量%とすることが好ましい。易酸化性元素の合計含有量が0.01質量%未満では、上述の効果を十分に得ることができない。なお、易酸化性元素の酸化物は原料溶鋼表面のスラグに吸収されるため、不可避的に不純物として含有される以上の易酸化性元素がアトマイズされる溶鋼流に混入することはない。しかし、易酸化性元素の合計含有量が0.10質量%を超えると溶鋼流に混入する量が増大し、該易酸化性元素の酸化物が溶鋼注入口に付着して操業不安定性の原因となるため好ましくない。
[合金鋼粉の成分組成]
本発明の一実施形態における焼結部材原料用合金鋼粉は、Cr:0.3〜3.5%およびMn:0.08%超、1.0%以下を合金化元素として含有し、残部がFeおよび不可避不純物である成分組成を有する。また、該合金鋼粉の成分組成は、Mo:0.1〜2.0%およびV:0.1〜0.5%の一方または両方を合金化元素としてさらに含有することもできる。また、S:0.3%以下をさらに含有することもできる。以下、前記成分組成の限定理由について説明する。
Cr:0.3〜3.5%
Crは、焼入性を向上させて、焼結部材の引張強度および疲労強度を向上させる機能を有する元素である。さらに、Crは、焼結部材を熱処理した後の硬さを高め、耐摩耗性を向上させる効果がある。これらの効果を得るため、Cr含有量を0.3%以上とする。一方、Cr含有量が3.5%を超えると、焼結時に生成するCr酸化物の量が多くなり、生成した酸化物は疲労破壊の起点となって、焼結部材の疲労強度を低下させる。そのため、Cr含有量を3.5%以下とする。なお、Cr含有量は、0.5〜3.5%とすることが好ましく、1.0〜3.5%とすることがより好ましい。なお、本発明の方法によれば、溶鋼中のCrの酸化が抑制されるため、Cr酸化物の析出による溶鋼中Cr量の減少は殆ど発生しない。したがって、本発明の焼結部材原料用合金鋼粉におけるCr含有量を上記範囲とするためには、水アトマイズ工程で用いられる溶鋼のCr含有量を0.3〜3.5%とすることが好ましい。
Mn:0.08%超、1.0%以下
Mnは、焼入性向上、固溶強化などによって、焼結部材の強度を向上させる機能を有する元素である。前記効果を得るために、Mn含有量を0.08%超とする。Mn含有量は0.10%以上とすることが好ましい。一方、Mn含有量が1.0%を超えると靱性が低下する。そのため、Mn含有量を1.0%以下とする。Mn含有量は、0.8%以下とすることが好ましい。なお、Crと同様に、本発明の方法によれば、Mn酸化物の析出による溶鋼中Mn量の減少は殆ど発生しない。したがって、本発明の焼結部材原料用合金鋼粉におけるMn含有量を上記範囲とするためには、水アトマイズ工程で用いられる溶鋼のMn含有量を0.08%超、1.0%以下とすることが好ましい。
Mo:0.1〜2.0%
Moは、焼入性向上、固溶強化、析出強化などによって、焼結部材の強度を向上させる機能を有する元素である。前記効果を十分に得るためには、Mo含有量を0.1%以上とすることが好ましい。一方、Mo含有量が2%を超えると靭性が低下するため、Mo含有量を2.0%以下とすることが好ましい。したがって、Moを添加する場合は、Mo含有量を0.1〜2.0%とする。なお、Mo含有量の好ましい下限は0.1%であり、さらに好ましくは0.2%である。一方、Mo含有量の好ましい上限は1.5%であり、より好ましくは1.0%である。
V:0.1〜0.5%
Vもまた、焼入性向上、固溶強化、析出強化などによって、焼結部材の強度を向上させる機能を有する元素である。前記効果を十分に得るためには、V含有量を0.1%以上とすることが好ましい。一方、V含有量が0.5%を超えると靭性が低下するため、V含有量を0.5%以下とすることが好ましい。したがって、Vを添加する場合は、V含有量を0.1〜0.5%とする。なお、V含有量の下限は0.2%であることが好ましい。またV含有量の上限は0.4%であることが好ましい。
S:0.3%以下
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、焼結後の切削加工性を改善する作用を持つ。しかしながら、過剰にSを添加すると固溶Sが増加し、Sの偏析に起因する粒界強度の低下が顕著となる。これを防ぐために、合金鋼粉のS含有量を0.3%以下とすることが好ましい。なお、焼結後S含有量の下限は特に限定されず、0%とすることができるが、工業的には0%超であってよい。
本発明の焼結部材用合金鋼粉は、以上の成分と、残部Feおよび不可避不純物とからなる。本発明の焼結部材用合金鋼粉は、本発明の作用・効果を損なわない限りにおいて、他の微量元素を含有することもできる。
前記不可避不純物としては、例えば、C、O、およびPが挙げられる。また、上述のように本発明の合金鋼粉は0.3%以下のSを含有することができるが、Sが添加されない場合であっても、合金鋼粉は不可避不純物としてのSを含むことができる。さらに、上記易酸化性元素を溶鋼に添加した場合は、該易酸化性元素の残留分も、不可避不純物として合金鋼粉に含有される。
Pは、Sと同様に結晶粒界に偏析して粒界強度を低下させる性質を有している。そのため、合金鋼粉中に不純物として含有されるPの量は0.01%以下とすることが好ましい。なお、P含有量の下限は特に限定されず、0%とすることができるが、工業的には0%超であってよい。
次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。本発明の実施形態は、本発明の趣旨に適合する範囲で適宜変更することが可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。
図3に示した構成の水アトマイズ装置を用いて、種々の成分組成を有する溶鋼から水アトマイズ鉄基粉末を製造した。まず、表1に示す成分組成を有する溶鋼を、誘導加熱炉を用いて、各2000kg作製した。前記溶鋼をタンディッシュに装入し、タンディッシュ底の溶鋼注入ノズルから溶鋼流として噴霧槽に落下させ、水圧15MPaの水ジェットを前記溶鋼流に衝突させてアトマイズ鉄基粉末を得た。アトマイズ中は誘導加熱炉の総重量をロードセルで連続的に計測した。また、誘導加熱炉からタンディッシュへの装入量を調整して、アトマイズ中はタンディッシュ内の溶鋼の液面高さが一定となるようにした。したがって、アトマイズされる溶鋼流の注入速度は、誘導加熱炉の総重量の単位時間当たりの減少率から見積もることができる。なお、溶鋼注入開始直前に誘導加熱炉から溶鋼サンプルを採取して、その成分をカントバック(Quantovac、スパーク放電発光分析法)で分析した。表1に示した溶鋼の成分組成は、前記分析によって得られたものである。なお、溶鋼の成分組成のうち、表1に溶鋼の成分組成として示されている元素以外の残部は、Feと、他の不可避不純物である。また、表中の「Tr.」は検出限界以下であることを意味し、具体的には0.001%以下である。表1には、[C]/[Cr]2/3+2([Mn]+[V])の値を「含有量比」として示した。このようにして製造した水アトマイズ鉄基粉末を、ドライ水素雰囲気で1200℃×2時間熱処理して、焼結部材原料用合金鋼粉を製造した。
[注入速度安定率]
水アトマイズ工程における溶鋼注入速度の安定性を、以下のようにして評価した。溶鋼の注入開始後5分の時点から2分間の平均溶鋼注入速度を初期注入速度Mi、注入完了5分前から2分間の平均溶鋼注入速度を終期注入速度Mfとし、溶鋼注入の安定性の指標として、次式で定義される注入速度安定率RMを求めた。
M =(Mf/Mi)×100(%)
Mが100%に近いほど、注入初期から終期まで注入速度が変化せずに安定して水アトマイズが行えていることを示す。一方、RMが小さいほど、操業時間の経過とともに溶鋼注入速度が低下して不安定な操業となっていることを示す。したがって、RMは100%に近いほど好ましい。なお、RMは90%以上であることが好ましく、最低でも70%以上、好ましくは75%以上であることが必要である。
[粒子稠密率]
また、水アトマイズ鉄基粉末に含まれる個々の粒子内部の空孔生成状態を以下のようにして評価した。まず、上述の方法で製造された水アトマイズ鉄基粉末を、目開き106μmと75μmの篩の間に分級した。次いで、得られた粒子を樹脂に埋め込んだ後、粒子断面を鏡面研磨し、得られた断面を、光学顕微鏡を用いて観察した。観察倍率を100倍とし、800μm×600μmの視野で10箇所写真撮影を行った。撮影された光学顕微鏡像に含まれる粒子の総数をNT、そのうち直径20μm以上の空孔を含む粒子数をNVとし、粒子の稠密性の指標として、次式で定義される粒子稠密率RVを求めた。
V =(1− NV/NT)×100(%)
Vが100%に近いほど、大きな空孔を含む粒子が少なく、稠密な粒子が得られていることを示す。一方、RVが小さいほど、多くの粒子に大きな空孔が含まれていることを示す。したがって、RVは100%に近いほど好ましい。なお、RVは80%以上であることが好ましい。
算出されたRMおよびRVの値を、表1に合わせて示す。本発明の条件を満たす発明例においては、RMが高く、溶鋼の注入安定性に優れていた。これに対し、C含有量が低く、本発明の(1)式の条件を満たさない比較例においては、溶鋼の注入安定性が劣っていた。また、[C]/{[Cr]2/3+2([Mn]+[V])}が本発明の範囲より低いNo.17の比較例においては、約500kgの原料溶鋼を注入した時点で溶鋼注口が閉塞したが、本発明の条件を満たす発明例においては、原料溶鋼全量をアトマイズすることができた。以上の結果より、本発明の方法によれば、水アトマイズ中におけるCrやMnの酸化物の生成を抑制し、合金鋼粉を効率的に安定して製造できることが分かる。なお、Si含有量が過剰である比較例No.9では、Si酸化物が溶鋼注入口に堆積してRMが低下するとともに、不可避的に不純物として含有される以上のSiが合金鋼粉中に含まれていた。
また、本発明の条件を満たす発明例においては、RVが高く、得られる水アトマイズ鉄基粉末の稠密性に優れていた。これに対し、溶鋼のC含有量が高く、本発明の(1)式の条件を満たさない比較例においては、水アトマイズ鉄基粉末の稠密性が劣っていた。この結果より、本発明の方法によれば、溶鋼中のCが酸素と反応することによって生じるCOガスが粉末中に残留することに起因する空孔の形成を抑制できることが分かる。
さらに、易酸化性元素であるSi、Al、Tiの少なくとも1つを溶鋼に添加した発明例においては、易酸化性元素を添加しなかった例に比べてRMおよびRVが向上した。
なお、(1)式の条件を満たす本発明例では溶鋼中の合金元素の酸化が抑制されるため、熱処理して製造された合金鋼粉における合金化元素の含有量は、表1に示した溶鋼中における合金化元素の含有量と実質的に同じであった。また、Cは酸化されてCOガスとして除去される結果、不可避不純物としての存在するものを除き、本発明例の合金鋼粉にCは残留していなかった。したがって、本発明例における合金鋼粉は本発明における成分組成の条件を満たしていた。一方、表1に示した「含有量比」が(1)式で規定される範囲よりも低い比較例では、合金鋼粉に含まれる合金化元素の量は溶鋼中における量よりも0.1質量%以上低かった。なお、表1に示した「含有量比」が(1)式で規定される範囲よりも高い比較例では、粒子稠密率は低いものの溶鋼中の合金元素の酸化は抑制されるため、合金鋼粉の合金化元素含有量は溶鋼成分組成と殆ど差異がなかった。
Figure 0006164387
1 溶解炉
2 原料溶鋼
3 タンディッシュ
4 溶鋼ノズル
5 溶鋼流
6 噴霧槽
7 水ノズル
8 高圧水ジェット
9 水アトマイズ鉄基粉末
10 溶鋼注入口
100 水アトマイズ装置

Claims (4)

  1. 焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法であって、
    C、Cr、およびMnを含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる成分組成を有する溶鋼を水アトマイズして水アトマイズ鉄基粉末とする水アトマイズ工程と、
    前記水アトマイズ鉄基粉末に熱処理を行って焼結部材原料用合金鋼粉とする熱処理工程とを有し、
    前記溶鋼中におけるC含有量[C](質量%)と、前記溶鋼中におけるCr、Mn、およびVの含有量[Cr]、[Mn]、および[V](質量%)とが、下記(1)式の関係を満たし、
    前記焼結部材原料用合金鋼粉が、質量%で、
    Cr:0.3〜3.5%および
    Mn:0.08%超、1.0%以下、
    を合金化元素として含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる成分組成を有する、焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法。

    0.07≦[C]/[[Cr]2/3+2([Mn]+[V])]≦0.23 …(1)
    (ただし、前記溶鋼がVを含有しない場合、[V]は0とする)
  2. 前記溶鋼の成分組成および前記焼結部材原料用合金鋼粉の成分組成が、質量%で、
    Mo:0.1〜2.0%、および
    V :0.1〜0.5%の一方または両方を、合金化元素としてさらに含有する、請求項1に記載の焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法。
  3. 前記溶鋼の成分組成および前記焼結部材原料用合金鋼粉の成分組成が、質量%で、
    S :0.3%以下
    をさらに含有する、請求項1または2に記載の焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法。
  4. 前記溶鋼の成分組成が、前記焼結部材原料用合金鋼粉中に含まれる前記合金化元素よりも酸化物の標準生成自由エネルギーが低い易酸化性元素を、合計で0.01〜0.10質量%さらに含有し、
    前記易酸化性元素が、Si、Ti、およびAlから選択される1または2以上である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼結部材原料用合金鋼粉の製造方法。
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