以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1−1.固体撮像素子の全体構成
1−2.画素の構成
1−3.AD変換回路の構成
1−4.画素タイミング駆動回路の構成
1−5.アドレスデコーダ回路の構成
1−6.固体撮像素子全体のタイミングチャート
1−7.第1の実施形態についてのまとめ
2.一般的な固体撮像素子との比較
2−1.一般的なアドレスデコーダ回路の構成
2−2.第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路と一般的なアドレスデコーダ回路との比較
3.第2の実施形態
3−1.アドレスデコーダ回路の構成
3−2.固体撮像素子全体のタイミングチャート
3−3.第2の実施形態に係るアドレスデコーダ回路と一般的なアドレスデコーダ回路との比較
4.第3の実施形態
4−1.アドレスデコーダ回路の構成
4−2.固体撮像素子全体のタイミングチャート
4−3.第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路と一般的なアドレスデコーダ回路との比較
5.変形例
6.適用例
7.ハードウェア構成
8.補足
本技術は、例えばデジタルスチルカメラ等の撮像装置における固体撮像素子の駆動に対して好適に適用され得る。以下では、本開示の好適な一実施形態として、撮像装置において、数行おき又は数列おきに読み出した画素信号によって撮像画像が生成される間引き読み出しモードと称される撮影モードを例に挙げて、当該実施形態についての説明を行う。上述したように、間引き読み出しモードにおいては、1行分の画素を走査するために必要な時間である1水平走査期間(1H期間)内に、間引かれる画素からの余剰電荷の掃き出し動作(以下、電子シャッタ動作とも呼称する。)と、他の画素からの画素信号の読み出し動作(以下、単に読み出し動作とも呼称する。)とがともに行われる。
ただし、本技術はかかる例に限定されず、1H期間内に、所定の画素における電子シャッタ動作と、他の画素における読み出し動作とがともに行われる場合であれば、他の撮影モード時における固体撮像素子の駆動に対しても適用可能である。例えば、本技術が適用可能な他の撮影モードとしては、残像等を低減するために、画素における読み出し動作が行われる前に、当該画素に対して電子シャッタ動作を行うことにより、画素のリセットをより確実に行う撮影モード等が挙げられる。
<1.第1の実施形態>
[1−1.固体撮像素子の全体構成]
まず、図1を参照して、本開示の第1の実施形態に係る固体撮像素子の全体構成について説明する。図1は、本開示の第1の実施形態に係る固体撮像素子の全体構成を示す概略図である。
図1を参照すると、第1の実施形態に係る固体撮像素子10は、画素アレイ部110、AD変換部120、センサコントローラ130、画素タイミング駆動部140及びアドレスデコーダ部150を備える。第1の実施形態に係る固体撮像素子10は、例えばCMOSイメージセンサである。
画素アレイ部110は、複数の画素111が2次元状(行及び列)に配列されて構成される。以下の説明では、図1に示す画素アレイ部110における画素111の配列方向について、紙面左右方向を行方向、紙面縦方向を列方向とも呼称する。図1では、簡単のため、複数の画素111を代表して1つの画素111の等価回路図を図示している。画素111は、被写体からの光を受光するとともに、受光した光に応じた電荷を光電変換により画素ごとに蓄積する。そして、蓄積された電荷が垂直信号線を介してAD変換部120に伝搬される。なお、画素111の具体的な構成については下記[1−2.画素の構成]で詳しく説明する。ただし、本実施形態に係る画素111の回路の構成は任意であり、図1又は後述する図2に示される例以外の構成であってもよい。
AD変換部120は、画素111から伝搬される電荷に応じた垂直信号線の電位をデジタル値に変換するアナログデジタル変換(AD変換)を行う。図1では、簡単のため、AD変換部120における1つのAD変換回路121を代表的に図示しているが、実際には、画素アレイ部110の各画素列に対応するように複数のAD変換回路121が設けられていてよい。AD変換回路121によってAD変換された信号が、画素111における蓄積電荷に応じた信号(画素信号)として後段の画像処理回路に出力される。出力された各画素からの画素信号に対して、当該画像処理回路が各種の信号処理を施すことにより、被写体を表す撮像画像が生成される。なお、当該画像処理回路における撮像画像を生成する処理については、公知の各種の処理が適用されてよいため、詳細な説明は省略する。なお、AD変換回路121の具体的な構成については下記[1−3.AD変換回路の構成]で詳しく説明する。
センサコントローラ130は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の各種のプロセッサによって構成され、固体撮像素子10全体の動作を制御する、制御部の一例である。また、センサコントローラ130は、例えばマイコン(マイクロコントローラ:Microcontroller)等のプロセッサを有する小型の情報処理装置であってもよい。例えば、センサコントローラ130は、クロック信号(CLK信号)に基づいて、画素タイミング駆動部140が画素111に対して、画素111を駆動するための駆動信号を出力するタイミングを制御する。具体的には、センサコントローラ130は、画素タイミング駆動部140に対して、CLK信号に基づく所定のタイミングで画素駆動パルスを出力することにより、画素タイミング駆動部140に所定のタイミングで駆動信号を生成させる。なお、CLK信号は、センサコントローラ130自身が生成してもよいし、外部の他の回路によって生成されセンサコントローラ130に提供されてもよい。
また、センサコントローラ130は、CLK信号に基づいて、アドレスデコーダ部150に対して、駆動する画素行を特定するための行アドレス信号(Vアドレス信号)や、アドレスデコーダ部150に搭載されるラッチ回路(詳しくは後述する。)を動作させるためのラッチ入力信号を、所定のタイミングで出力する。また、センサコントローラ130は、AD変換部120に対して所定の信号を出力することにより、各AD変換回路121の動作を制御することができる。
このように、第1の実施形態では、センサコントローラ130は、画素タイミング駆動部140、アドレスデコーダ部150及びAD変換部120の動作を制御することにより、固体撮像素子10全体の動作を制御することができる。なお、センサコントローラ130による画素タイミング駆動部140、アドレスデコーダ部150及びAD変換部120の動作の制御は、センサコントローラ130を構成するプロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより実現される。また、図1に示す例では、センサコントローラ130は、固体撮像素子10の一部として図示されているが、本実施形態はかかる例に限定されず、センサコントローラ130は固体撮像素子10の外部に設けられてもよい。例えば、固体撮像素子10が撮像装置等の電子機器に搭載される場合であれば、固体撮像素子10はセンサコントローラ130の機能を内部に備えなくてもよく、当該電子機器の動作を制御するプロセッサがセンサコントローラ130の機能を併せ持っていてもよい。
画素タイミング駆動部140は、センサコントローラ130からの制御により、画素アレイ部110の画素111に対して、画素111を駆動するための駆動信号を所定のタイミングで出力する。ここで、駆動信号とは、画素111内の各トランジスタを駆動する信号の総称であり、例えば、後述する転送トランジスタのゲート部に印加されるTRG信号、リセットトランジスタのゲート部に印加されるRST信号及び選択トランジスタのゲート部に印加されるSEL信号等を含む。画素111に対して所定のタイミングで駆動信号が入力されることにより、電子シャッタ動作、読み出し動作及び電荷の蓄積動作等の各種の動作を行うように、画素111が駆動される。
図1では図示されないが、本実施形態では、画素タイミング駆動部140は、画素アレイ部110の各画素行に設けられる複数の画素タイミング回路を有し、当該画素タイミング回路によって画素アレイ部110の画素行ごとに駆動信号が出力される。具体的には、画素タイミング駆動部140は、アドレスデコーダ部150から入力される、Vアドレス信号に対応する画素行の画素を駆動するための制御信号と、センサコントローラ130から入力される画素駆動パルスと、に基づいて、当該画素行の画素に対して駆動信号を出力する。ここで、画素駆動パルスとは、画素タイミング駆動部140が駆動信号を生成するタイミングを制御するために入力されるパルスの総称であり、例えば、上述したTRG信号を生成するタイミングを制御する転送トランジスタ駆動パルス(TRG駆動パルス又はTRG駆動信号)、上述したRST信号を生成するタイミングを制御するリセットトランジスタ駆動パルス(RST駆動パルス又はRST駆動信号)及び上述したSEL信号を生成するタイミングを制御する選択トランジスタ駆動パルス(SEL駆動パルス又はSEL駆動信号)等を含む。なお、画素タイミング駆動部140を構成する画素タイミング回路の具体的な構成については下記[1−4.画素タイミング駆動回路の構成]で詳しく説明する。
アドレスデコーダ部150は、画素アレイ部110内の画素行を特定するためのVアドレス信号に基づいて、当該Vアドレス信号に対応する画素行の画素を駆動するための制御信号を生成する。生成された制御信号は、画素タイミング駆動部140に対して出力される。図1では図示されないが、本実施形態では、アドレスデコーダ部150は、画素アレイ部110の各画素行に設けられる複数のアドレスデコーダ回路を有し、当該アドレスデコーダ回路によって画素アレイ部110の画素行ごとに制御信号が出力される。具体的には、当該アドレスデコーダ回路は、センサコントローラ130から入力されるVアドレス信号とラッチ入力信号とに基づいて、当該画素行に対応する画素タイミング駆動回路に対して制御信号を出力する。ここで、本実施形態では、アドレスデコーダ部150のアドレスデコーダ回路には、少なくとも2つの互いに異なる系統のVアドレス信号が供給される。また、1H期間内に、少なくとも2つの互いに異なるアドレスデコーダ回路が、少なくとも2つの互いに異なる画素行の画素111に対して、電子シャッタ動作又は読み出し動作を行わせる制御信号を生成する。アドレスデコーダ部150を構成するアドレスデコーダ回路の具体的な構成については下記[1−5.アドレスデコーダ回路の構成]で詳しく説明する。
以上、図1を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子10の全体構成について説明した。以上説明した固体撮像素子10の構成の中でも、センサコントローラ130、画素タイミング駆動部140及びアドレスデコーダ部150は、固体撮像素子10を駆動するための各種の信号を処理する構成であり、固体撮像素子10を駆動する駆動装置であるとみなすことができる。従って、以下の説明では、センサコントローラ130、画素タイミング駆動部140及びアドレスデコーダ部150の少なくともいずれかを含む装置のことを、駆動装置とも呼称することとする。また、当該駆動装置を駆動する方法のことを駆動方法とも呼称する。
次に、固体撮像素子10の各構成について詳細に説明する。
[1−2.画素の構成]
図2及び図3を参照して、上述した画素アレイ部110を構成する画素111の構成について説明する。図2は、画素111の等価回路を示す図である。図3は、図2に示す画素111の動作を示すタイミングチャートである。
図2を参照すると、本実施形態に係る画素111は、被写体からの光を受光し光電変換を行う受光素子であるフォトダイオード112と、光電変換によりフォトダイオード112に蓄積された電荷をフローティングディフュージョン(FD)に転送する転送トランジスタ113(TRG113)と、FDの電位(FD電位)をリセットするリセットトランジスタ114(RST114)と、ソースフォロワ回路を介してFD電位に応じた信号を伝搬するアンプトランジスタ115(AMP115)と、電子シャッタ動作又は読み出し動作を行う画素行を選択する選択トランジスタ116(SEL116)と、から構成される。SEL116のソース/ドレイン(S/D)の一方が垂直信号線117に接続されており、FD電位に応じた信号が垂直信号線117の電位として、後段のAD変換回路121に出力される。なお、画素111の構成は、一般的なCMOSイメージセンサにおける、いわゆる4トランジスタの画素と同様の構成であってよいため、詳細な説明は省略する。
図3を参照して、画素111の駆動時の動作について説明する。図3では、1水平走査期間(1H期間)内での、電子シャッタ動作時と読み出し動作時における画素駆動パルス(TRG駆動パルス、RST駆動パルス及びSEL駆動パルス)のタイミングを併せて図示している。実際には、ある1H期間内に、いずれかの画素行においては、電子シャッタ動作及び読み出し動作のいずれかが行われる。センサコントローラ130から画素タイミング駆動部140に対して画素駆動パルスが入力されることにより、画素タイミング駆動部140において、画素111の各トランジスタ(TRG113、RST114及びSEL116)を駆動するための駆動信号(TRG信号、RST信号及びSEL信号)が生成される。
なお、図3を含め、以下のタイミングチャートについての説明では、受光素子112における蓄積電荷が電子であり、画素111を構成する各トランジスタがnMOSトランジスタである場合について説明する。従って、タイミングチャートにおいて駆動信号を表すパルスの電位が高い(High)の場合に各トランジスタが「ON」され、パルスの電位が低い(Low)の場合に各トランジスタが「OFF」される。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、受光素子112における蓄積電荷は正孔(ホール)であってもよく、画素111を構成する各トランジスタはpMOSトランジスタであってもよい。画素111を構成する各トランジスタがpMOSトランジスタである場合には、図示されるタイミングチャートにおけるパルスの電位の高低の関係が、以下に説明する実施形態と同様に各回路を駆動させるように、必要に応じて適宜逆転され得る。
まず、電子シャッタ動作時における画素駆動パルスのタイミングについて説明する。電子シャッタ動作時には、フォトダイオード112及びFDに蓄積された電荷を掃き出す動作が行われる。従って、電子シャッタ動作時には、図3に示すように、電子シャッタ動作時におけるTRG駆動パルスである電子シャッタ時転送パルス(STRパルス又はSTR信号)及び電子シャッタ動作時におけるRST駆動パルスである電子シャッタ時リセットパルス(SRSTパルス又はSRST信号)が、少なくとも所定の期間、ともにHigh状態になるように制御される。このようなSTRパルス及びSRSTパルスが画素タイミング駆動部140に入力されることにより、画素111では、少なくとも所定の期間TRG113及びRST114がONされ、フォトダイオード112及びFDに蓄積された電荷が排出されることとなる。なお、電子シャッタ動作時における画素駆動パルスのタイミングとしては、一般的な固体撮像素子において電子シャッタ動作が行われる際の画素駆動パルスのタイミングが適用されてよい。
次に、読み出し動作時における画素駆動パルスのタイミングについて説明する。読み出し動作時には、フォトダイオード112に蓄積された電荷に対応する電位が垂直信号線117を介して後段のAD変換回路121に出力される動作が行われる。図3では、フォトダイオード112において所定の時間電荷の蓄積が行われた後の画素駆動パルスのタイミングが図示されている。図3に示すように、読み出し動作時には、まず、読み出し動作時におけるRST駆動パルスである読み出し時リセットパルス(RRSTパルス又はRRST信号)がHigh状態にされる。このとき、読み出し動作時におけるTRG駆動パルスである読み出し時転送パルス(RTRパルス又はRTR信号)は電荷蓄積時と変わらずLow状態のまま維持される。このようなRTRパルス及びRRSTパルスが画素タイミング駆動部140に入力されることにより、画素111では、TRG113はOFFされたままRST114のみがONされ、フォトダイオード112に電荷が蓄積された状態でFD電位がリセットされる。図3に示すように、読み出し動作時には、読み出し動作時におけるSEL駆動パルスである読み出し時選択パルス(RSELパルス又はRSEL信号)はHigh状態に維持されており、リセットされた状態でのFD電位に対応する垂直信号線117の電位が、プリデータ相(P相)の電位として、後段のAD変換回路121に出力される。
読み出し動作時には、次いで、RRSTパルスがLow状態にされ、続けてRTRパルスがHigh状態にされる。このようなRTRパルス及びRRSTパルスが画素タイミング駆動部140に入力されることにより、画素111では、RST114がOFFされた状態でTRG113がONされるため、フォトダイオード112に蓄積された電荷がFDに転送される。転送された電荷に応じたFD電位に対応する垂直信号線117の電位が、データ相(D相)の電位として、後段のAD変換回路121に出力される。このように、読み出し動作時には、P相における電位とD相における電位とが連続的にAD変換回路121に出力される。なお、読み出し動作時における画素駆動パルスのタイミングとしては、一般的な固体撮像素子において読み出し動作が行われる際の画素駆動パルスのタイミングが適用されてよい。
[1−3.AD変換回路の構成]
次に、図4及び図5を参照して、上述したAD変換部120を構成するAD変換回路121の構成について説明する。図4は、第1の実施形態に係るAD変換回路121の概略構成を示すブロック図である。図5は、読み出し動作時におけるAD変換回路121の動作を示すタイミングチャートである。
図4を参照すると、本実施形態に係るAD変換回路121は、垂直信号線117を介して画素111のAMP115とソースフォロワ接続するための定電流回路122と、シングルスロープ型のDAコンバータ123と、垂直信号線117の電位とDAコンバータ123の電位とを比較する比較器124と、アナログ値をデジタル値に変換するカウンタ125と、から構成される。なお、AD変換回路121の構成は、一般的なCMOSイメージセンサにおけるAD変換回路と同様の構成であってよい。
図5を参照して、AD変換回路121の動作について説明する。図5では、読み出し動作時における1H期間内での、垂直信号線117の電位(垂直信号線電位)と、DAコンバータ123の電位(DAコンバータ電位)と、比較器124の出力パルス(比較器出力パルス)と、カウンタ125からの出力(カウンタ出力)と、を図示している。上記[1−2.画素の構成]で説明したように、AD変換回路121には、P相での電位とD相での電位とが連続的に入力される。従って、図3に示すように、垂直信号線電位は、P相での電位及びD層での電位に対応して、階段状にその値が変化する。
DAコンバータ123はランプスロープを出力するように構成され、比較器124は垂直信号線電位よりもDAコンバータ電位が低くなったタイミングで反転パルスを出力するように構成される。カウンタ125は、カウントを開始してから比較器124から反転パルスが出力されるまでの間カウントを続行する。P相での電位に対するカウントもD相での電位に対するカウントもともにダウンカウントであるが、P相での電位に対するカウントが終了した後にP相に対応するカウント値を反転させるようにカウンタ125が構成されているため、D相での電位に対するカウント値は相関二重サンプリング処理(CDS処理)が施されたP相−D相のカウント値となる。カウンタ125におけるCDS処理に対しては、公知の一般的に用いられている手法が適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
以上、図4及び図5を参照して、AD変換回路121の構成について説明した。CDS処理が施されたカウンタ125におけるカウント値が、画素111の画素信号として後段に設けられる画像処理回路に出力され、当該画像処理回路によって当該画素信号に基づいて撮像画像が生成される。なお、以上説明したようなAD変換回路121における各構成要素の動作は、センサコントローラ130によって制御され得る。
[1−4.画素タイミング駆動回路の構成]
次に、図6を参照して、上述した画素タイミング駆動部140を構成する画素タイミング駆動回路の構成について説明する。図6は、第1の実施形態に係る画素タイミング駆動回路の等価回路を示す図である。なお、図6では、1つの画素タイミング回路の等価回路図を示しているが、実際には、複数の画素タイミング回路が画素アレイ部110の各画素行に設けられてよい。
図6を参照すると、本実施形態に係る画素タイミング駆動回路141は、電子シャッタラッチ出力信号(SLQ信号)、読み出しラッチ出力信号(RLQ信号)、TRG駆動パルス(RTRパルス及びSTRパルス)、RST駆動パルス(RRSTパルス及びSRSTパルス)並びにSEL駆動パルス(RSELパルス)に基づいて、駆動信号であるTRG信号、RST信号及びSEL信号を生成するように構成される。TRG信号、RST信号及びSEL信号が、それぞれ、画素111のTRG113、RST114及びSEL116のゲート部に印加されることにより、画素111が、電子シャッタ動作、読み出し動作又は蓄積動作等の所定の動作を行うこととなる。
ここで、SLQ信号及びRLQ信号は、アドレスデコーダ部150によって生成される制御信号である。画素タイミング駆動回路141は、例えばSLQ信号がHighである場合に当該画素行の画素に対して電子シャッタ動作を行うような駆動信号を生成し、同様にRLQ信号がHighである場合に当該画素行の画素に対して読み出し動作を行うような駆動信号を生成する。このように、SLQ信号は当該画素行に対して電子シャッタ動作が行われるかどうかを示す信号であり、RLQ信号は当該画素行に対して読み出し動作が行われるかどうかを示す信号であると言える。SLQ信号及びRLQ信号については、下記[1−5.アドレスデコーダ回路の構成]で詳しく説明する。また、画素駆動パルスであるTRG駆動パルス、RST駆動パルス及びSEL駆動パルスは、例えば図3に示すタイミングで、センサコントローラ130から画素タイミング駆動回路141に入力される。
図6を参照すると、画素タイミング駆動回路141は、1.2V電源で駆動する前段部142と、−1.2V〜2.8Vの間で駆動する後段部143と、から構成される。前段部142は、前段のアドレスデコーダ部150から入力されるSLQ信号及びRLQ信号と、センサコントローラ130から入力されるRTRパルス、STRパルス、RRSTパルス、SRSTパルス及びRSELパルスと、に対して所定の論理に基づく処理を施し、後段部143に出力する。
後段部143は、前段部142からの出力信号を昇圧又は降圧するレベルシフタと、TRG信号、RST信号及びSEL信号を、画素111のTRG113、RST114及びSEL116にそれぞれ印加するドライバと、を有する。昇圧を行うレベルシフタは、例えば1.2Vの信号を2.8Vまで昇圧するように構成され、降圧を行うレベルシフタは、例えば1.2Vの信号を−1.2Vまで降圧するように構成される。例えば、TRG信号であれば、TRG113をONする際には2.8Vに昇圧されたTRG信号がTRG113のゲート部に印加され、TRG113をOFFする際には−1.2Vに降圧されたTRG信号がTRG113のゲート部に印加される。
なお、図6に示す画素タイミング駆動回路141の回路構成はあくまで一例であり、上述した機能を有すれば、画素タイミング駆動回路141は他の回路構成を有してもよい。
[1−5.アドレスデコーダ回路の構成]
次に、図7及び図8を参照して、上述したアドレスデコーダ部150を構成するアドレスデコーダ回路の構成について説明する。図7は、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路の等価回路を示す図である。図8は、図7に示すアドレスデコーダ回路の動作についてのタイミングチャートを示す図である。なお、図7では、1つのアドレスデコーダ回路の等価回路図を示しているが、実際には、複数のアドレスデコーダ回路が画素アレイ部110の各画素行に設けられてよい。
図7を参照すると、本実施形態に係るアドレスデコーダ回路151は、2つのラッチ回路152、153を有し、当該ラッチ回路152、153に対する入力信号であるラッチ入力信号(SLRST信号、SLSET_X信号、RLRST信号及びRLSET_X信号)と、画素アレイ部110中の画素行を特定するための2系統のVアドレス信号(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)とに基づいて、制御信号である電子シャッタラッチ出力信号(SLQ信号)、負論理(NOT)電子シャッタラッチ出力信号(XSLQ信号)、読み出しラッチ出力信号(RLQ信号)及び負論理(NOT)読み出しラッチ出力信号(XRLQ信号)を生成するように構成される。ラッチ回路152、153は、例えばいわゆるSRラッチである。ラッチ入力信号及びVアドレス信号は、センサコントローラ130からアドレスデコーダ回路151に入力される。
第1の実施形態では、ラッチ回路152、153のうち一方のラッチ回路152は、Vアドレス信号によって特定された画素行の画素に対して電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を出力する電子シャッタ動作用ラッチ回路である。上述したラッチ入力信号のうちSLRST信号及びSLSET_X信号は、電子シャッタ動作に関する信号である。SLRST信号は、ラッチ回路152のReset側の入力端子に印加され、ラッチ回路152をリセットする電子シャッタラッチリセット信号である。また、SLSET_X信号は、ラッチ回路152のSet側の入力端子に印加され、ラッチ回路152にVアドレス信号の値を保持させる電子シャッタラッチセット信号である。
ラッチ回路152は、Vアドレス信号、SLRST信号及びSLSET_X信号に基づいて、当該画素行に対して電子シャッタ動作が行われるかどうかを示す信号である電子シャッタラッチ出力信号(SLQ信号)及びSLQ信号の負論理信号である負論理(NOT)電子シャッタラッチ出力信号(XSLQ信号)を生成する。図7に示す例では、ラッチ回路152のReset側の入力端子には、センサコントローラ130から入力されるSLRST信号が直接入力される。また、ラッチ回路152の前段にはNORゲート154が設けられ、ラッチ回路152のSet側の入力端子には、当該NORゲート154によるSLSET_X信号とVアドレス信号との論理和が入力される。
また、他方のラッチ回路153は、Vアドレス信号によって特定された画素行の画素に対して読み出し動作を行わせるための制御信号を出力する読み出し動作用ラッチ回路である。上述したラッチ入力信号のうちRLRST信号及びRLSET_X信号は、読み出し動作に関する信号である。RLRST信号は、ラッチ回路153のReset側の入力端子に印加され、ラッチ回路153をリセットする読み出しラッチリセット信号である。また、RLSET_X信号は、ラッチ回路153のSet側の入力端子に印加され、ラッチ回路153にVアドレス信号の値を保持させる読み出しラッチセット信号である。
ラッチ回路153は、Vアドレス信号、RLRST信号及びRLSET_X信号に基づいて、当該画素行に対して読み出し動作が行われるかどうかを示す信号である読み出しラッチ出力信号(RLQ信号)及びRLQ信号の負論理信号である負論理(NOT)読み出しラッチ出力信号(XRLQ信号)を生成する。図7に示す例では、ラッチ回路153のReset側の入力端子には、センサコントローラ130から入力されるRLRST信号が直接入力される。また、ラッチ回路153の前段にはNORゲート155が設けられ、ラッチ回路153のSet側の入力端子には、当該NORゲート155によるRLSET_X信号とVアドレス信号との論理和が入力される。
ここで、ラッチ回路152、153は、所定の信号値を保持するメモリ回路の一例である。第1の実施形態では、当該メモリ回路は、Vアドレス信号とメモリ入力信号との論理積に応答して当該Vアドレス信号を保持する機能を有すればよい。また、当該メモリ入力信号は、読み出し動作を行う画素行を特定するVアドレス信号を当該メモリ回路に保持させるための読み出しメモリ信号と、電子シャッタ動作を行う画素行を特定するVアドレス信号を当該メモリ回路に保持させるための電子シャッタメモリ信号と、を含んでよく、センサコントローラ130は、Vアドレス信号とともに、これら読み出しメモリ信号及び電子シャッタメモリ信号のいずれかをアドレスデコーダ回路151に対して入力することにより、アドレスデコーダ回路151に、当該Vアドレス信号によって特定される前記画素行の画素に、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成させてよい。
第1の実施形態では、このような機能を有するメモリ回路を、SRラッチであるラッチ回路152、153によって実現している。ラッチ回路152、153には、メモリ入力信号として、センサコントローラ130から、SRラッチのSet側の入力端子に印加されるラッチセット信号(上述したSLSET_X信号及びRLSET_X信号)が入力され、ラッチ回路152、153は、Vアドレス信号と当該ラッチセット信号との論理積に応答して当該Vアドレス信号を保持することができる。また、ラッチセット信号は、読み出しラッチセット信号(RLSET_X信号。上記読み出しメモリ信号に対応。)と電子シャッタラッチセット信号(SLSET_X信号。上記電子シャッタメモリ信号に対応。)とを含んでもよく、センサコントローラ130は、Vアドレス信号とともに、これらRLSET_X信号及びSLSET_X信号のいずれかをアドレスデコーダ回路151に対して入力することにより、アドレスデコーダ回路151に、当該Vアドレス信号によって特定される画素行の画素に、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成させてよい。
また、図7に示すように、第1の実施形態では、アドレスデコーダ回路151に対して互いに異なる2つの系統のVアドレス信号(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)が入力される。アドレスデコーダ回路151には、NORゲート154、155の前段にANDゲート156が設けられており、当該ANDゲート156によるADD_X_A信号及びADD_X_B信号の論理積が、NORゲート154、155にVアドレス信号として入力される。なお、図7では、ADD_X_A信号及びADD_X_B信号を示す信号線をバスとしてそれぞれ1本の線として図示している。センサコントローラ130は、ADD_X_A信号の系統のバス内である画素行を特定すると同時に、ADD_X_B信号の系統のバス内で異なる画素行を特定するように、Vアドレス信号を発行することができる。このように、第1の実施形態では、互いに異なる2つの画素行を特定するための互いに異なるVアドレス信号が、同じタイミングでセンサコントローラ130からアドレスデコーダ部150に出力され得る。また、ADD_X_A信号及びADD_X_B信号が入力されるゲートはANDゲート156に限定されず、他の種類の論理ゲートであってもよい。アドレスデコーダ回路151は、Vアドレス信号とラッチセット信号とが適切なタイミングで入力されることにより、当該Vアドレス信号によって特定される画素行の画素に、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成するように構成されればよく、その構成は図7に示す構成例に限定されない。例えば、アドレスデコーダ回路151は、メモリ回路としてラッチ回路以外の他の回路を有してもよいし、論理ゲートの構成も上記の機能を有する様に適宜設計されてよい。
図8を参照して、アドレスデコーダ回路151の動作について説明する。図8では、1H期間内におけるVアドレス信号(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)、ラッチ入力信号(SLRST信号、SLSET_X信号、RLRST信号、RLSET_X信号)及びアドレスデコーダ回路151の出力である制御信号(SLQ信号、XSLQ信号、RLQ信号及びXRLQ信号)のタイミングが図示されている。
まず、読み出し動作時のアドレスデコーダ回路151の動作について説明する。図8に示す例では、1H期間内の前半に、4つの画素行(画素行A、画素行B、画素行G、画素行H)の画素に対する読み出し動作が行われる。例えば、画素行A及び画素行BはADD_X_A信号で表される系統のVアドレス信号によって特定され、画素行G及び画素行HはADD_X_B信号で表される系統のVアドレス信号によって特定される。また、例えば、画素行Aを特定するVアドレス信号と画素行Gを特定するVアドレス信号とは同じタイミングでアドレスデコーダ回路151に入力され、画素行Bを特定するVアドレス信号と画素行Hを特定するVアドレス信号とは同じタイミングでアドレスデコーダ回路151に入力される。
読み出し動作時は、まず、読み出し動作用ラッチ回路であるラッチ回路153に対してRLRST信号が入力され、ラッチ回路153がリセットされる。次いで、画素行Aを特定するVアドレス信号及び画素行Gを特定するVアドレス信号がラッチ回路153に対して入力されている最中に、これらのVアドレス信号を画素行A及び画素行Gに対応する各ラッチ回路153に保持させるために、RLSET_X信号がアドレスデコーダ回路151に対して入力される。その後、画素行B及び画素行Hに対しても同様に、画素行B及び画素行Hを特定するVアドレス信号と、これらのVアドレス信号を画素行B及び画素行Hに対応する各ラッチ回路153に保持させるためのRLSET_X信号が、アドレスデコーダ回路151に対して入力される。
SRラッチの特性から、RLRST信号でラッチ回路153をリセットさせた後、Vアドレス信号とRLSET_X信号との論理積がHighであった場合にはRLQ信号はHighとなる。逆に、読み出し行のVアドレス信号とRLSET_X信号との論理積がLowであった場合にはRLQ信号はLowのままとなる。図8に示す例では、RLQ信号及びXRLQ信号として、読み出し動作を行う画素行としてVアドレス信号が発行されたある1つの画素行に対応するアドレスデコーダ回路151におけるRLQ信号及びXRLQ信号のタイミングを図示している。実際には、読み出し動作を行う画素行として指定された他の画素行に対応するアドレスデコーダ回路151においても、例えばVアドレス信号が入力されたタイミングを基点として同様のタイミングでRLQ信号及びXRLQ信号が出力され得る。このように、本実施形態では、読み出し動作を行いたい画素行に対応するアドレスデコーダ回路151に対して、Vアドレス信号及びRLSET_X信号を適切なタイミングで入力することにより、その出力であるRLQ信号をHigh状態にすることができる。RLQ信号は、後段の画素タイミング駆動回路141に入力され、画素タイミング駆動回路141は、当該RLQ出力信号がHigh状態である場合、当該画素行の画素に読み出し動作を行わせるような駆動信号を生成することができる。
次に、電子シャッタ動作時のアドレスデコーダ回路151の動作について説明する。図8に示す例では、1H期間内の後半に、8つの画素行(画素行C、画素行D、画素行E、画素行F、画素行I、画素行J、画素行K、画素行L)の画素に対する電子シャッタ動作が行われる。例えば、画素行C、画素行D、画素行E及び画素行FはADD_X_A信号で表される系統のVアドレス信号によって特定され、画素行I、画素行J、画素行K及び画素行LはADD_X_B信号で表される系統のVアドレス信号によって特定される。また、例えば、画素行Cを特定するVアドレス信号と画素行Iを特定するVアドレス信号、画素行Dを特定するVアドレス信号と画素行Jを特定するVアドレス信号、画素行Eを特定するVアドレス信号と画素行Kを特定するVアドレス信号、及び、画素行Fを特定するVアドレス信号と画素行Lを特定するVアドレス信号、はそれぞれ、同じタイミングでアドレスデコーダ回路151に入力される。
電子シャッタ動作時は、まず、電子シャッタ動作用ラッチ回路であるラッチ回路152に対してSLRST信号が入力され、ラッチ回路152がリセットされる。次いで、画素行Cを特定するVアドレス信号及び画素行Iを特定するVアドレス信号がラッチ回路152に対して入力されている最中に、これらのVアドレス信号を画素行C及び画素行Iに対応する各ラッチ回路152に保持させるために、RLSET_X信号がアドレスデコーダ回路151に対して入力される。その後、画素行Dと画素行I、画素行Eと画素行K、画素行Fと画素行Lのそれぞれに対しても同様に、これらの画素行を特定するVアドレス信号と、これらのVアドレス信号をこれらの画素行に対応する各ラッチ回路152に保持させるためのSLSET_X信号が、アドレスデコーダ回路151に対して入力される。
SRラッチの特性から、SLRST信号でラッチ回路152をリセットさせた後、Vアドレス信号とSLSET_X信号との論理積がHighであった場合にはSLQ信号はHighとなる。逆に、電子シャッタ行のVアドレス信号とSLSET_X信号との論理積がLowであった場合にはSLQ信号はLowのままとなる。図8に示す例では、SLQ信号及びXSLQ信号として、電子シャッタ動作を行う画素行としてVアドレス信号が発行されたある1つの画素行に対応するアドレスデコーダ回路151におけるSLQ信号及びXSLQ信号のタイミングを図示している。実際には、電子シャッタ動作を行う画素行として指定された他の画素行に対応するアドレスデコーダ回路151においても、例えばVアドレス信号が入力されたタイミングを基点として同様のタイミングでSLQ信号及びXSLQ信号が出力され得る。このように、本実施形態では、電子シャッタ動作を行いたい画素行に対応するアドレスデコーダ回路151に対して、Vアドレス信号及びSLSET_X信号を適切なタイミングで入力することにより、その出力であるSLQ信号をHigh状態にすることができる。SLQ信号は、後段の画素タイミング駆動回路141に入力され、画素タイミング駆動回路141は、当該SLQ信号がHigh状態である場合に、当該画素行の画素に電子シャッタ動作を行わせるような駆動信号を生成することができる。
以上、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151の構成及び動作について説明した。以上説明したように、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151は、画素アレイ部110内の画素行を特定するためのVアドレス信号に基づいて、当該Vアドレス信号に対応する画素行の画素を駆動するための制御信号を生成する。アドレスデコーダ回路151は、Vアドレス信号に対応する画素行の画素に対して、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるが制御信号を少なくとも生成することができる。また、アドレスデコーダ回路151には、少なくとも2つの互いに異なる系統のVアドレス信号が供給され、1水平走査期間内に、少なくとも2つの互いに異なるアドレスデコーダ回路151が、少なくとも2つの互いに異なる画素行に対して制御信号を生成することができる。
ここで、図9を参照して、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151の動作に関する信号の中でも、特に、Vアドレス信号とラッチセット信号(LSET信号)との関係について説明する。図9は、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151における、Vアドレス信号とラッチセット信号(LSET信号)との関係について説明するための説明図である。ここで、ラッチセット信号(LSET信号)とは、ラッチ回路152、153においてSet側の入力端子に印加される信号であり、上述した例ではSLSET_X信号及びRLSET_X信号に対応している。
図9では、アドレスデコーダ回路151の動作に関する信号のうち、CLK信号、Vアドレス信号であるADD_X_A信号及びADD_X_B信号並びにLSET信号のタイミングチャートを図示している。上述したように、第1の実施形態においてはアドレスデコーダ回路151に互いの異なる2つの系統のVアドレス信号が入力されるため、例えば図9では、画素行A、画素行B及び画素行Cを特定するVアドレス信号が、ADD_X_A信号で表される系統から入力され、画素行D、画素行E及び画素行Fを表すVアドレス信号が、画素行A、画素行B及び画素行Cを特定するVアドレス信号と同じタイミングで、ADD_X_B信号で表される系統から入力されている。
図9に示すADD_X_A信号及びADD_X_B信号は、電子シャッタ動作又は読み出し動作を行う画素行を特定するためのVアドレス信号であり、ADD_X_A信号及びADD_X_B信号の入力と重なるタイミングでアドレスデコーダ回路151にLSET信号が入力されることにより、アドレスデコーダ回路151において当該ADD_X_A信号及びADD_X_B信号の値が保持されることとなる。ここで、例えば、ラッチ回路152、153におけるラッチセット期間が最小単位の1クロック分の期間であったとする。この場合、ラッチ回路152、153におけるセットアップ/ホールド期間のマージンを考慮すると、ラッチセット期間の前後に1クロック分ずつバッファが確保されることが好ましい。従って、第1の実施形態では、Vアドレス信号は、ラッチセット期間の1クロック分と、その前後にバッファとしてそれぞれ確保される1クロック分とを合わせた、計3クロック分の期間発行され得る。上述した図8に示す例でも、ラッチ回路152、153におけるセットアップ/ホールド期間のマージンを考慮して、ラッチセット期間(すなわちSLSET_X信号及びRLSET_X信号が入力される期間)が1クロック分であるのに対して、Vアドレス信号の発行期間が3クロック分確保されている。
図9に示す例では、画素行Aを表すADD_X_A信号と画素行Dを表すADD_X_B信号とが3クロック分の期間同じタイミングで入力され、当該期間と重なるように1クロック分の期間LSET信号が入力されている。同様に、画素行Bを表すADD_X_A信号と画素行Eを表すADD_X_B信号とが3クロック分の期間同じタイミングで入力され、画素行Cを表すADD_X_A信号と画素行Fを表すADD_X_B信号とが3クロック分の期間同じタイミングで入力され、これらの期間と重なるように1クロック分の期間LSET信号がそれぞれ入力されている。このように、第1の実施形態においては、アドレスデコーダ回路151に対して、1クロック分の期間LSET信号が入力される間に、互いに異なる2つの画素行を示すVアドレス信号が入力される。
[1−6.固体撮像素子全体のタイミングチャート]
次に、図10を参照して、第1の実施形態に係る固体撮像素子10全体の動作について説明する。図10は、第1の実施形態に係る固体撮像素子10全体の動作についてのタイミングチャートを示す図である。図10では、1H期間内における、センサコントローラ130から画素タイミング駆動部140及びアドレスデコーダ部150に入力される信号のタイミングが図示されている。具体的には、1H期間内における、Vアドレス信号(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)、ラッチ入力信号(RLRST信号、RLSET_X信号、SLRST信号及びSLSET_X信号)及び画素駆動パルス(RTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルス)のタイミングが図示されている。
図10に示す例では、1H期間内の前半に、4つの画素行(画素行A、画素行B、画素行G及び画素行H)の画素に対する読み出し動作が行われる。まず、画素行A、画素行B、画素行G及び画素行Hを特定するVアドレス信号と、読み出し動作に関するラッチ入力信号であるRLRST信号及びRLSET_X信号とが、所定のタイミングでセンサコントローラ130からアドレスデコーダ部150に入力される。アドレスデコーダ部150はこれらの入力信号に基づいて、読み出し動作に関するラッチ出力信号であるRLQ信号及びXRLQ信号を生成し、生成したRLQ信号及びXRLQ信号を後段の画素タイミング駆動部140に出力する。なお、アドレスデコーダ部150における、読み出し動作に関するVアドレス信号、ラッチ入力信号及びラッチ出力信号のタイミングについては、例えば図8を参照して説明したタイミングと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
次いで、画素行A、画素行B、画素行G及び画素行Hを特定するVアドレス信号並びにRLRST信号及びRLSET_X信号の入力タイミングに合わせて、読み出し動作に関する画素駆動パルスであるRTRパルス、RRSTパルス及びRSELパルスが、所定のタイミングでセンサコントローラ130から画素タイミング駆動部140に入力される。図10に示す例では、RTRパルス、RRSTパルス及びRSELパルスとして、読み出し動作が行われるある1つの画素行に対応する画素タイミング駆動回路141に対して入力されるRTRパルス、RRSTパルス及びRSELパルスのタイミングを図示している。実際には、読み出し動作が行われる他の画素行に対応する画素タイミング駆動回路141に対しても、例えばVアドレス信号が入力されたタイミングを基点として同様のタイミングでRTRパルス、RRSTパルス及びRSELパルスが入力されてよい。画素タイミング駆動部140は、これらの画素駆動パルスと、アドレスデコーダ部150から入力されたRLQ信号とに基づいて、読み出し動作を行わせるように画素111を駆動するための駆動信号(TRG信号、RST信号及びSEL信号)を出力する。このようにして、第1の実施形態に係る固体撮像素子10では、センサコントローラ130により、選択された画素行の画素が所望のタイミングで読み出し動作を行うようにその動作が制御され得る。なお、1H期間内における画素駆動パルスのタイミングについては、例えば図3を参照して説明したタイミングと同様であるため、詳細な説明は省略する。
また、図10に示す例では、1H期間内の後半に、8つの画素行(画素行C、画素行D、画素行E、画素行F、画素行I、画素行J、画素行K、及び画素行L)の画素に対する電子シャッタ動作が行われる。まず、画素行C、画素行D、画素行E、画素行F、画素行I、画素行J、画素行K及び画素行Lを特定するVアドレス信号と、電子シャッタ動作に関するラッチ入力信号であるSLRST信号及びSLSET_X信号とが、所定のタイミングでセンサコントローラ130からアドレスデコーダ部150に入力される。アドレスデコーダ部150はこれらの入力信号に基づいて、電子シャッタ動作に関するラッチ出力信号であるSLQ信号及びXSLQ信号を生成し、生成したSLQ信号及びXSLQ信号を後段の画素タイミング駆動部140に出力する。なお、アドレスデコーダ部150における、電子シャッタ動作に関するVアドレス信号、ラッチ入力信号及びラッチ出力信号のタイミングについては、例えば図8を参照して説明したタイミングと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
次いで、画素行C、画素行D、画素行E、画素行F、画素行I、画素行J、画素行K及び画素行Lを表すVアドレス信号並びにSLRST信号及びSLSET_X信号の入力タイミングに合わせて、電子シャッタ動作に関する画素駆動パルスであるSTRパルス及びSRSTパルスが、所定のタイミングでセンサコントローラ130から画素タイミング駆動部140に入力される。図10に示す例では、STRパルス及びSRSTパルスとして、電子シャッタ動作が行われるある1つの画素行に対応する画素タイミング駆動回路141に対して入力されるSTRパルス及びSRSTパルスのタイミングを図示している。実際には、電子シャッタ動作が行われる他の画素行に対応する画素タイミング駆動回路141に対しても、例えばVアドレス信号が入力されたタイミングを基点として同様のタイミングでSTRパルス及びSRSTパルスが入力されてよい。画素タイミング駆動部140は、これらの画素駆動パルスと、アドレスデコーダ部150から入力されたSLQ信号とに基づいて、電子シャッタ動作を行わせるように画素111を駆動するための駆動信号(TRG信号、RST信号及びSEL信号)を出力する。このようにして、第1の実施形態に係る固体撮像素子10では、センサコントローラ130により、選択された画素行の画素が所望のタイミングで電子シャッタ動作を行うようにその動作が制御され得る。なお、1H期間内における画素駆動パルスのタイミングについては、例えば図3を参照して説明したタイミングと同様であるため、詳細な説明は省略する。
[1−7.第1の実施形態についてのまとめ]
以上、図1−8を参照して、本開示の第1の実施形態について説明した。なお、以上では、アドレスデコーダ回路151に対して、互いに異なる2つの系統のVアドレス信号が入力される場合について説明したが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。例えば、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151には、3系統以上の互いに異なるVアドレス信号が入力されてもよい。その場合、図7に示すANDゲート156の入力端子をVアドレス信号の系統の数だけ増やすことにより、以上説明した機能と同様の機能を有する様に、アドレスデコーダ回路151を構成することができる。
<2.一般的な固体撮像素子との比較>
次に、以上説明した第1の実施形態に係る固体撮像素子の構成と、一般的な既存の固体撮像素子の構成とを比較する。ここで、第1の実施形態に係る固体撮像素子では、アドレスデコーダ部150の構成以外は、一般的な固体撮像素子の構成と同様であってよい。従って、以下では、まず、第1の実施形態との主な相違点である、一般的な固体撮像素子におけるアドレスデコーダ部の構成について説明する。次いで、第1の実施形態におけるアドレスデコーダ部150の構成と、一般的な固体撮像素子におけるアドレスデコーダ部の構成との比較を行う。
[2−1.一般的なアドレスデコーダ回路の構成]
一般的な固体撮像素子においても、アドレスデコーダ部は画素アレイの各画素行に対応する複数のアドレスデコーダ回路を有する。図11及び図12を参照して、一般的な固体撮像素子のアドレスデコーダ部を構成するアドレスデコーダ回路の構成について説明する。図11は、一般的なアドレスデコーダ回路の等価回路を示す図である。図12は、図11に示す一般的なアドレスデコーダ回路の動作についてのタイミングチャートを示す図である。
図11を参照すると、一般的なアドレスデコーダ回路551は、2つのラッチ回路552、553を有し、当該ラッチ回路552、553に対する入力信号であるラッチ入力信号(SLRST信号、SLSET_X信号、RLRST信号及びRLSET_X信号)と、画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号(ADD_X信号)とに基づいて、制御信号である電子シャッタラッチ出力信号(SLQ信号)、負論理(NOT)電子シャッタラッチ出力信号(XSLQ信号)、読み出しラッチ出力信号(RLQ信号)及び負論理(NOT)読み出しラッチ出力信号(XRLQ信号)を生成するように構成される。ラッチ回路552、553は、例えばいわゆるSRラッチである。
ラッチ回路552は、図7に示す第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151のラッチ回路152に対応する。すなわち、ラッチ回路552は、Vアドレス信号によって特定された画素行の画素に対して電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を出力する電子シャッタ動作用ラッチ回路である。具体的には、ラッチ回路552は、Vアドレス信号、SLRST信号及びSLSET_X信号に基づいて、当該画素行に対して電子シャッタ動作が行われるかどうかを示す信号である電子シャッタラッチ出力信号(SLQ信号)及びSLQ信号の負論理信号である負論理(NOT)電子シャッタラッチ出力信号(XSLQ信号)を生成する。図11に示す例では、ラッチ回路552のReset側の入力端子には、センサコントローラから入力されるSLRST信号が直接入力される。また、ラッチ回路552の前段にはNORゲート554が設けられ、ラッチ回路552のSet側の入力端子には、当該NORゲート554によるSLSET_X信号とVアドレス信号との論理和が入力される。
また、ラッチ回路553は、図7に示す第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151のラッチ回路153に対応する。すなわち、ラッチ回路553は、Vアドレス信号によって特定された画素行の画素に対して読み出し動作を行わせるための制御信号を出力する読み出し動作用ラッチ回路である。具体的には、ラッチ回路553は、Vアドレス信号、RLRST信号及びRLSET_X信号に基づいて、当該画素行に対して読み出し動作が行われるかどうかを示す信号である読み出しラッチ出力信号(RLQ信号)及びRLQ信号の負論理信号である負論理(NOT)読み出しラッチ出力信号(XRLQ信号)を生成する。図11に示す例では、ラッチ回路553のReset側の入力端子には、センサコントローラから入力されるRLRST信号が直接入力される。また、ラッチ回路553の前段にはNORゲート555が設けられ、ラッチ回路553のSet側の入力端子には、当該NORゲート555によるRLSET_X信号とVアドレス信号との論理和が入力される。
ここで、図11に示すように、一般的なアドレスデコーダ回路551に対しては、1系統のVアドレス信号しか入力されない。それに伴い、一般的なアドレスデコーダ回路551においては、図7に示す第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151のように異なる系統のVアドレス信号の論理和を取るための論理ゲートが存在せず、Vアドレス信号であるADD_X信号が、直接NORゲート554、555に入力される。アドレスデコーダ回路551がこのように構成されることにより、一般的な固体撮像素子においては、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行う画素行として、同一のタイミングに互いに異なる複数の画素行を選択することができない。
図12に、一般的なアドレスデコーダ回路551の動作を表す、各種の信号のタイミングチャートを示す。図12では、1H期間内におけるVアドレス信号(ADD_X信号)、ラッチ入力信号(SLRST信号、SLSET_X信号、RLRST信号及びRLSET_X信号)及びアドレスデコーダ回路551の出力である制御信号(SLQ信号、XSLQ信号、RLQ信号及びXRLQ信号)のタイミングが図示されている。
また、図13に、一般的な固体撮像素子全体の動作を表す、各種の信号のタイミングチャートを示す。図13は、一般的な固体撮像素子全体の動作についてのタイミングチャートを示す図である。図13では、1H期間内における、Vアドレス信号(ADD_X信号)、ラッチ入力信号(RLRST信号、RLSET_X信号、SLRST信号及びSLSET_X信号)及び画素駆動パルス(RTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルス)のタイミングが図示されている。
図12に示すタイミングチャートにおいて、ラッチ入力信号及び制御信号のタイミングについては、図8に示す第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151でのこれらの信号のタイミングと同様である。また、図13に示すタイミングチャートにおいて、ラッチ入力信号及び画素駆動パルスのタイミングについては、図10に示す第1の実施形態に係る固体撮像素子10でのこれらの信号のタイミングと同様である。図12及び図13に示すように、一般的なアドレスデコーダ回路551及び固体撮像素子においては、Vアドレス信号がADD_X信号1系統しか入力されない点が、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151及び固体撮像素子10とは異なる。このように、一般的なアドレスデコーダ回路551及び固体撮像素子においては、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行う画素行として、同一のタイミングに、ある1つの画素行しか選択することができない。
[2−2.第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路と一般的なアドレスデコーダ回路との比較]
次に、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路と一般的なアドレスデコーダ回路との比較を行う。
当該比較のために、図14に、一般的なアドレスデコーダ回路551の動作に関する信号の中でも、特に、Vアドレス信号とラッチセット信号(LSET信号)との関係を示す。図14は、上述した図9に対応する図であり、一般的なアドレスデコーダ回路551における、Vアドレス信号とラッチセット信号(LSET信号)との関係について説明するための説明図である。
図14では、アドレスデコーダ回路551の動作に関する信号のうち、CLK信号、Vアドレス信号であるADD_X信号及びLSET信号のタイミングチャートを図示している。図14に示すタイミングチャートと、図9に示す第1の実施形態におけるVアドレス信号及びLSET信号のタイミングチャートとを比較すると、入力されるVアドレス信号の系統の数が異なる。
上述したように、一般的なアドレスデコーダ回路551には、1系統のVアドレス信号(ADD_X信号)しか入力されない。また、これも上述したように、ある画素行を特定するためのVアドレス信号は、ラッチ回路552、553におけるセットアップ/ホールド期間のマージンを考慮すると、少なくとも3クロック分の期間発行されることが好ましい。従って、一般的なアドレスデコーダ回路551においては、1H期間中にVアドレス信号によって特定され得るアドレス行の数が制限されてしまう。しかしながら、例えば間引き読み出しモードでのブルーミングによる画質の劣化を防ぐためには、間引かれる画素に対する電子シャッタ動作が行われることが好ましく、当該電子シャッタ動作を行うためには当該電子シャッタ動作を行う画素行を特定するためのVアドレス信号の発行が必要となる。結果的に、一般的な固体撮像素子では、1H期間内に電子シャッタ動作と読み出し動作とが共に行われる場合において、1H期間の長さの短縮に限界が生じてしまい、ブルーミングによる画質の劣化を抑制しつつ、より高速の撮影を行うことが困難であった。
一方、図9を参照して説明したように、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151には、互いに異なる複数の系統のVアドレス信号が入力される。従って、同じタイミングに互いに異なる複数の画素行を特定するためのVアドレス信号を入力することが可能となる。図9に示す例では、2つの系統の(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)Vアドレス信号が入力されているため、図13に示す一般的な場合と比較して、1H期間内にVアドレス信号によって特定され得る画素行の数が倍になる。従って、1H期間内に電子シャッタ動作が行われる画素行の数が増加されるため、結果的に1H期間を短縮することが可能となる。よって、第1の実施形態では、1H期間内に電子シャッタ動作と読み出し動作とが共に行われる場合であっても、画質の向上とより高速の撮影とが共に実現され得る。なお、上述したように、第1の実施形態においては、入力されるVアドレス信号の系統の数は2つに限定されず、より多い数の系統のVアドレス信号が入力可能なようにアドレスデコーダ回路151を構成することが可能である。より多い数の系統のVアドレス信号が入力されることにより、1H期間内に発行可能なVアドレス信号の画素行の数が更に増加するため、1H期間の長さをより短縮することが可能となる。
また、図7に示す第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151の構成と、図11に示す一般的なアドレスデコーダ回路551の構成とを比較すると、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151は、一般的なアドレスデコーダ回路551の構成に対して論理ゲート(ANDゲート156)を1つ追加するだけで実現されており、ANDゲート156より後段の構成は一般的なアドレスデコーダ回路551の構成と同様であってよい。従って、第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151における、一般的なアドレスデコーダ回路551からの回路面積の増分は微小であり、固体撮像素子10のチップサイズの増大を引き起こすものではない。
<3.第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態について説明する。本開示の第2の実施形態に係る固体撮像素子は、上述した第1の実施形態に係る固体撮像素子10に対して、アドレスデコーダ部の構成が異なる実施形態に対応している。従って、以下の第2の実施形態についての説明では、第1の実施形態との相違点であるアドレスデコーダ部の構成について主に説明することとし、固体撮像素子におけるその他の構成については詳細な説明は省略する。なお、第2の実施形態に係る固体撮像素子も、第1の実施形態に係る固体撮像素子10と同様に、例えばCMOSイメージセンサであり得る。
[3−1.アドレスデコーダ回路の構成]
第2の実施形態に係る固体撮像素子においても、アドレスデコーダ部は画素アレイの各画素行に対応する複数のアドレスデコーダ回路を有する。図15及び図16を参照して、第2の実施形態に係る固体撮像素子のアドレスデコーダ部を構成するアドレスデコーダ回路の構成について説明する。図15は、第2の実施形態に係るアドレスデコーダ回路の等価回路を示す図である。図16は、図15に示す第2の実施形態に係るアドレスデコーダ回路の動作についてのタイミングチャートを示す図である。
図15を参照すると、第2の実施形態に係るアドレスデコーダ回路251は、2つのラッチ回路252、253を有し、当該ラッチ回路252、253に対する入力信号であるラッチ入力信号(LRST信号及びLSET_X信号)と、画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号(ADD_X信号)とに基づいて、制御信号である電子シャッタラッチ出力信号(SLQ信号)、負論理(NOT)電子シャッタラッチ出力信号(XSLQ信号)、読み出しラッチ出力信号(RLQ信号)及び負論理(NOT)読み出しラッチ出力信号(XRLQ信号)を生成するように構成される。ラッチ回路252、253は、例えばいわゆるSRラッチである。ラッチ入力信号及びVアドレス信号は、第2の実施形態に係る固体撮像素子内に設けられるセンサコントローラ(例えば図1に示すセンサコントローラ130と同様の機能を有する。)からアドレスデコーダ回路251に入力される。
LRST信号は、ラッチ回路252、253のReset側の入力端子に印加され、ラッチ回路252、253をリセットするラッチリセット信号である。また、LSET_X信号は、ラッチ回路252、253のSet側の入力端子に印加され、ラッチ回路252、253にVアドレス信号の値を保持させるラッチセット信号である。上述した一般的な既存のアドレスデコーダ回路551では、ラッチセット信号としては、読み出しラッチセット信号(RLSET_X信号)と電子シャッタラッチセット信号(SLSET_X信号)との2つの系統が存在し、ラッチリセット信号としては、読み出しラッチリセット信号(RLRST信号)と電子シャッタラッチリセット信号(SLRST信号)との2つの系統が存在していた。一方、第2の実施形態では、1つの系統のラッチセット信号(LSET_X信号)と、1つの系統のラッチリセット信号(LRST信号)と、により、電子シャッタ動作用ラッチ回路であるラッチ回路252及び読み出し動作用ラッチ回路であるラッチ回路253の両方が駆動される。これは、第2の実施形態において、LSET_X信号の検出に際し、パルスの両側のエッジ(立ち上がり及び立ち下がり)を検出するDDR(Double Data Rate)方式が適用されることにより実現される。LSET_X信号の検出については、図16を参照して後述する。
図15を参照して、アドレスデコーダ回路251のより詳細な構成について説明する。ラッチ回路252は、図7に示す第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151のラッチ回路152に対応する。すなわち、ラッチ回路252は、Vアドレス信号によって特定された画素行の画素に対して電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を出力する電子シャッタ動作用ラッチ回路である。具体的には、ラッチ回路252は、Vアドレス信号、LRST信号及びLSET_X信号に基づいて、当該画素行に対して電子シャッタ動作が行われるかどうかを示す信号である電子シャッタラッチ出力信号(SLQ信号)及びSLQ信号の負論理信号である負論理(NOT)電子シャッタラッチ出力信号(XSLQ信号)を生成する。図15に示す例では、ラッチ回路252のReset側の入力端子には、センサコントローラから入力されるLRST信号が直接入力される。また、ラッチ回路252の前段にはNORゲート254が設けられており、ラッチ回路252のSet側の入力端子には、当該NORゲート254によるLSET_X信号とVアドレス信号との論理和が入力される。ただし、LSET_X信号は、NORゲート254に入力される際には符号が反転された形で入力される。
また、ラッチ回路253は、図7に示す第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151のラッチ回路153に対応する。すなわち、ラッチ回路253は、Vアドレス信号によって特定された画素行の画素に対して読み出し動作を行わせるための制御信号を出力する読み出し動作用ラッチ回路である。具体的には、ラッチ回路253は、Vアドレス信号、LRST信号及びLSET_X信号に基づいて、当該画素行に対して読み出し動作が行われるかどうかを示す信号である読み出しラッチ出力信号(RLQ信号)及びRLQ信号の負論理信号である負論理(NOT)読み出しラッチ出力信号(XRLQ信号)を生成する。図15に示す例では、ラッチ回路253のReset側の入力端子には、センサコントローラから入力されるLRST信号が直接入力される。また、ラッチ回路253の前段にはNORゲート255が設けられ、ラッチ回路253のSet側の入力端子には、当該NORゲート255によるLSET_X信号とVアドレス信号との論理和が入力される。
ここで、ラッチ回路252、253は、所定の信号値を保持するメモリ回路の一例である。第2の実施形態では、当該メモリ回路は、Vアドレス信号とメモリ入力信号との論理積に応答して当該Vアドレス信号を保持する機能を有する。第2の実施形態に係るセンサコントローラは、Vアドレス信号とともに、当該メモリ入力信号をアドレスデコーダ回路251に対して入力することにより、アドレスデコーダ回路251に、当該Vアドレス信号によって特定される前記画素行の画素に、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成させることができる。
第2の実施形態では、このような機能を有するメモリ回路を、SRラッチであるラッチ回路252、253によって実現している。ラッチ回路252、253には、メモリ入力信号として、ラッチセット信号(上述したLSET_X)が入力され、ラッチ回路252、253は、Vアドレス信号と当該ラッチセット信号との論理積に応答して当該Vアドレス信号を保持することができる。第2の実施形態に係るセンサコントローラは、Vアドレス信号とともに、当該ラッチセット信号をアドレスデコーダ回路251に対して入力することにより、アドレスデコーダ回路251に、当該Vアドレス信号によって特定される前記画素行の画素に、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成させてよい。
図16を参照して、第2の実施形態に係るアドレスデコーダ回路251の動作について説明する。図16では、1H期間内におけるVアドレス信号(ADD_X信号)、ラッチ入力信号(LRST信号及びLSET_X信号)及びアドレスデコーダ回路251の出力である制御信号(SLQ信号、XSLQ信号、RLQ信号及びXRLQ信号)のタイミングが図示されている。なお、図16に示す例では、SLQ信号、XSLQ信号、RLQ信号及びXRLQ信号として、電子シャッタ動作又は読み出し動作を行う画素行としてVアドレス信号が発行されたある1つの画素行に対応するアドレスデコーダ回路251におけるSLQ信号、XSLQ信号、RLQ信号及びXRLQ信号のタイミングを図示している。実際には、電子シャッタ動作又は読み出し動作を行う画素行として指定された他の画素行に対応するアドレスデコーダ回路251においても、例えばVアドレス信号が入力されたタイミングを基点として同様のタイミングでSLQ信号、XSLQ信号、RLQ信号及びXRLQ信号が出力され得る。
図16を参照すると、アドレスデコーダ回路251には、まずLRST信号が入力され、ラッチ回路252、253が共にリセットされる。図12を参照して説明した一般的なアドレスデコーダ回路551では、読み出し動作用のラッチ回路553をリセットするためのRLRST信号と、電子シャッタ動作用のラッチ回路552をリセットするためのSLRST信号と、が、それぞれ別系統の信号として入力されていたが、第2の実施形態では、1つの系統のラッチリセット信号によって、双方のラッチ回路252、253がリセットされる。
次いで、アドレスデコーダ回路251には、ADD_X信号及びLSET_X信号が入力される。ここで、上述したように、第2の実施形態では、LSET_X信号を検出する際にDDR方式が適用される。DDR方式によってLSET_X信号が検出されることにより、立ち上がり及び立ち下がりの両側のエッジの検出をトリガーとしてラッチ回路252、253におけるラッチセット動作が行われることとなるため、ラッチ回路252、253におけるセットアップ/ホールド期間のマージンを考慮しても、アドレス発行期間として例えば2クロック分の期間が確保されれば安定的な動作が可能となる。
また、第2の実施形態では、アドレスデコーダ回路251が、LSET_X信号がDDR方式で検出される際に、立ち上がりが検出された場合にはラッチ回路252、253のうちの一方が駆動され、立ち下がりが検出された場合にはラッチ回路252、253のうちの他方が駆動されるように構成されてもよい。例えば、LSET_X信号の立ち上がりが検出された場合にはラッチ回路253が駆動され、LSET_X信号の立ち下がりが検出された場合にはラッチ回路252が駆動されてもよい。アドレスデコーダ回路251をこのように構成することにより、例えばLSET_X信号の立ち上がりが検出された場合には、ラッチ回路253が駆動されて、選択された画素行の画素に読み出し動作を行わせるための制御信号であるRLQ信号及びXRLQ信号が出力され、例えばLSET_X信号の立ち下がりが検出された場合には、ラッチ回路252が駆動されて、選択された画素行の画素に電子シャッタ動作を行わせるための制御信号であるSLQ信号及びXSLQ信号が出力されることとなる。後段の画素タイミング駆動回路においては、これらの制御信号に基づいて、対応する画素行の画素に読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるような駆動信号が生成される。このように、第2の実施形態においては、DDR方式を適用することにより、アドレスデコーダ回路251が、1つの系統のラッチセット信号によって、選択された画素行の画素に読み出し動作を行わせるための処理と、選択された画素行の画素に電子シャッタ動作を行わせるための処理と、をそれぞれ行うことが可能となる。なお、アドレスデコーダ回路251は、Vアドレス信号とラッチセット信号とが適切なタイミングで入力されることにより、当該Vアドレス信号によって特定される画素行の画素に、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成するように構成されればよく、その構成は図15に示す構成例に限定されない。例えば、アドレスデコーダ回路251は、メモリ回路としてラッチ回路以外の他の回路を有してもよいし、論理ゲートの構成も上記の機能を有する様に適宜設計されてよい。
[3−2.固体撮像素子全体のタイミングチャート]
次に、図17を参照して、第2の実施形態に係る固体撮像素子全体の動作について説明する。図17は、第2の実施形態に係る固体撮像素子全体の動作についてのタイミングチャートを示す図である。図17では、1H期間内における、第2の実施形態に係るセンサコントローラから画素タイミング駆動部及びアドレスデコーダ部に入力される信号のタイミングが図示されている。具体的には、1H期間内における、Vアドレス信号(ADD_X信号)、ラッチ入力信号(LSET_X信号及びLRST信号)及び画素駆動パルス(RTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルス)のタイミングが図示されている。
図17に示す例では、まず、LRST信号がアドレスデコーダ回路251に入力され、ラッチ回路252、253が共にリセットされた後に、ADD_X信号及びLSET_X信号が所定のタイミングで入力される。上述したように、第2の実施形態では、ラッチセット信号であるLSET_X信号が、その立ち上がり及び立ち下がりによって検出される。従って、図17に示すように、LSET_X信号の立ち上がり又は立ち下がりが、Vアドレス信号における各画素行を特定する信号の入力中に検出されるように、LSET_X信号及びVアドレス信号の入力タイミングが適宜制御される。
アドレスデコーダ回路251は、検出されたLSET_X信号の立ち上がり又は立ち下がりと、立ち上がり又は立ち下がりが検出された際のVアドレス信号とに基づいて、読み出し動作又は電子シャッタ動作に関するラッチ出力信号(RLQ信号、XRLQ信号、SLQ信号及びXSLQ信号)を生成し、生成したこれらの信号を後段の画素タイミング駆動部に出力する。ここで、上述したように、第2の実施形態では、アドレスデコーダ回路251が、例えばLSET_X信号の立ち上がりが検出された場合には、選択された画素行の画素に読み出し動作を行わせるための制御信号であるRLQ信号及びXRLQ信号を生成し、例えばLSET_X信号の立ち下がりが検出された場合には、選択された画素行の画素に電子シャッタ動作を行わせるための制御信号であるSLQ信号及びXSLQ信号が生成されるように、構成されてもよい。従って、例えば、第2の実施形態では、LSET_X信号の例えば立ち上がりが検出されることにより、当該立ち上がりが検出されたタイミングで入力されるVアドレス信号が表す画素行の画素に対する読み出し動作が行われ、立ち下がりが検出されることにより、当該立ち下がりが検出されたタイミングで入力されるVアドレス信号が表す画素行の画素に対する電子シャッタ動作が行われる。なお、アドレスデコーダ回路251での、Vアドレス信号、ラッチ入力信号及びラッチ出力信号のタイミングについては、例えば図16に示すタイミングと同様であってよいため、詳細な説明は省略する。
次いで、Vアドレス信号並びにLRST信号及びLSET_X信号の入力タイミングに合わせて、読み出し動作又は電子シャッタ動作に関する画素駆動パルスであるRTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルスが、所定のタイミングでセンサコントローラから画素タイミング駆動部に入力される。図17に示す例では、RTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルスとして、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行う画素行としてVアドレス信号が発行されたある1つの画素行に対応する画素タイミング駆動回路に対するRTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルスのタイミングを図示している。実際には、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行う画素行として指定された他の画素行に対応する画素タイミング駆動回路に対しても、例えばVアドレス信号が入力されたタイミングを基点として同様のタイミングでRTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルスが入力されてよい。
画素タイミング駆動部では、これらの画素駆動パルスと、アドレスデコーダ回路251から入力されたRLQ信号又はSLQ信号とに基づいて、読み出し動作又はシャッタ動作を行わせるように画素を駆動するための駆動信号(TRG信号、RST信号及びSEL信号)を出力する。このようにして、第2の実施形態に係る固体撮像素子では、センサコントローラにより、選択された画素行の画素が所望のタイミングで読み出し動作又は電子シャッタ動作を行うように、その動作が制御され得る。なお、1H期間内における画素駆動パルスのタイミングについては、第1の実施形態と同様であってよく、例えば図3を参照して説明したタイミングと同様であるため、詳細な説明は省略する。
[3−3.第2の実施形態に係るアドレスデコーダ回路と一般的なアドレスデコーダ回路との比較]
次に、第2の実施形態に係るアドレスデコーダ回路と一般的なアドレスデコーダ回路との比較を行う。
当該比較のために、図18に、第2の実施形態に係るアドレスデコーダ回路251の動作に関する信号の中でも、特に、Vアドレス信号とラッチセット信号(LSET信号)との関係を示す。図18は、上述した図14に対応する図であり、第2の実施形態に係るアドレスデコーダ回路251における、Vアドレス信号とラッチセット信号(LSET信号)との関係について説明するための説明図である。
図18では、アドレスデコーダ回路251の動作に関する信号のうち、CLK信号、Vアドレス信号であるADD_X信号及びLSET_X信号のタイミングチャートを図示している。図18に示すタイミングチャートと、図14に示す一般的なアドレスデコーダ回路551におけるVアドレス信号及びLSET信号のタイミングチャートとを比較すると、各画素行を特定するためのVアドレス信号の発行期間が異なる。
ここで、図12に示すように、一般的なアドレスデコーダ回路551においては、ラッチセット信号(RLSET_X信号、SLSET_X信号)を検出する際に、パルスの片側のエッジ(立ち上がり又は立ち下がり)を検出するSDR(Single Data Rate)方式が適用されていた。従って、上記[2−1.一般的なアドレスデコーダ回路の構成]で説明したように、アドレスデコーダ回路551のラッチ回路552、553におけるセットアップ/ホールド期間のマージンを考慮すると、アドレス発行期間として少なくとも3クロック分の期間が確保されることが好ましかった。従って、1H期間の長さの短縮に限界があり、ブルーミングによる画質の劣化を抑制しつつ、より高速の撮影を行うことは困難であった。
一方、上記説明したように、第2の実施形態に係るアドレスデコーダ回路251では、LSET信号を検出するためにDDR方式が適用される。従って、アドレスデコーダ回路251のラッチ回路252、253におけるセットアップ/ホールド期間のマージンを考慮しても、各画素行を特定するためのVアドレス信号の発行期間としては、少なくとも2クロック分の期間が確保されれば安定的な動作が可能となる。このように、第2の実施形態では、DDR方式が適用されることにより、図18に示すように、Vアドレス信号の発行期間が2クロック分に短縮される。従って、第2の実施形態では、1H期間の長さをより短縮することが可能となるため、1H期間内に電子シャッタ動作と読み出し動作とが共に行われる場合であっても、画質の向上とより高速の撮影とが共に実現され得る。
また、第2の実施形態では、ラッチセット信号の立ち上がりと立ち下がりとで異なるラッチ回路252、253が駆動されてもよい。また、ラッチ回路252、253は、1つの系統のラッチリセット信号によってリセットされてよい。このように、第2の実施形態では、1つの系統のラッチセット信号と、1つの系統のラッチリセット信号と、により、電子シャッタ動作用ラッチ回路であるラッチ回路252及び読み出し動作用ラッチ回路であるラッチ回路253の両方が駆動され得る。ここで、一般的なアドレスデコーダ回路551においては、ラッチセット信号及びラッチリセット信号のそれぞれに対して、読み出し動作用及び電子シャッタ動作用の2つの系統の信号が存在していた。第2の実施形態では、DDR方式を適用することにより、ラッチセット信号及びラッチリセット信号の系統の数を削減することができるため、レイアウト面積(回路面積)を小さくすることができ、消費電力も低減することが可能となる。
なお、上記実施形態では、LSET信号の立ち上がり又は立ち下がりを検出することにより、読み出し動作又は電子シャッタ動作のいずれかの動作が行われるように、アドレスデコーダ回路251が構成される場合について説明したが、第2の実施形態はかかる例に限定されない。本実施形態では、LSET信号の立ち上がりが検出された場合に行われる処理及びLSET信号の立ち下がりが検出された場合に行われる処理は、上記の例に限定されず、固体撮像素子において行われ得る各種の処理が割り当てられてよい。例えば、固体撮像素子によって動画が撮影される場合であれば、LSET信号の立ち上がりが検出された場合には、より低いフレームレートで撮像画像が生成され、ユーザに対していわゆるスルー画が出力されるプレビューモードに対応した画素信号の読み出しが行われ、LSET信号の立ち下がりが検出された場合には、より高いフレームレートで撮像画像が生成され、得られた撮像画像に基づいて焦点位置を決定する処理が行われるオートフォーカスモードに対応した画素信号の読み出しが行われるように、固体撮像素子が構成されてもよい。
ここで、近年、固体撮像素子においては、更なる多画素化や高速化が要求されており、アドレスデコーダ部における処理にもより一層の高速化が求められている。これまでは、一般的な既存の固体撮像素子におけるアドレスデコーダ部の処理方法であっても、要求仕様を満たすことのできる可能性があったと考えられるが、上記の状況を鑑みると、一般的な固体撮像素子におけるアドレスデコーダ部の処理方法では、将来的には、より一層の高速化に対する要求を満たすことが困難になることが想定される。以上説明した第2の実施形態は、上述したように、LSET信号を検出するためにDDR方式を適用することにより、1H期間を短縮する(すなわち、処理速度を高速化する)だけでなく、LSET信号の立ち上がりと立ち下がりとで互いに異なる様々な処理を行うように固体撮像素子が構成されることにより、より高機能な固体撮像素子を実現し得るものである。
<4.第3の実施形態>
次に、本開示の第3の実施形態について説明する。本開示の第3の実施形態に係る固体撮像素子は、上述した第1の実施形態に係る固体撮像素子10に対して、アドレスデコーダ部の構成が異なる実施形態に対応している。従って、以下の第3の実施形態についての説明では、第1の実施形態との相違点であるアドレスデコーダ部の構成について主に説明することとし、固体撮像素子におけるその他の構成については詳細な説明は省略する。なお、第3の実施形態は、上述した第1の実施形態と第2の実施形態とを足し合わせた実施形態に対応している。また、第3の実施形態に係る固体撮像素子も、第1の実施形態に係る固体撮像素子10と同様に、例えばCMOSイメージセンサであり得る。
[4−1.アドレスデコーダ回路の構成]
第3の実施形態に係る固体撮像素子においても、アドレスデコーダ部は画素アレイの各画素行に対応する複数のアドレスデコーダ回路を有する。図19及び図20を参照して、第3の実施形態に係る固体撮像素子のアドレスデコーダ部を構成するアドレスデコーダ回路の構成について説明する。図19は、第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路の等価回路を示す図である。図20は、図19に示す第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路の動作についてのタイミングチャートを示す図である。
図19を参照すると、第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路351は、2つのラッチ回路352、353を有し、当該ラッチ回路352、353に対する入力信号であるラッチ入力信号(LSET_X信号及びLRST信号)と、画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)とに基づいて、制御信号である電子シャッタラッチ出力信号(SLQ信号)、負論理(NOT)電子シャッタラッチ出力信号(XSLQ信号)、読み出しラッチ出力信号(RLQ信号)及び負論理(NOT)読み出しラッチ出力信号(XRLQ信号)を生成するように構成される。ラッチ回路352、353は、例えばいわゆるSRラッチである。ラッチ入力信号及びVアドレス信号は、第3の実施形態に係る固体撮像素子内に設けられるセンサコントローラ(例えば図1に示すセンサコントローラ130と同様の機能を有する。)からアドレスデコーダ回路351に入力される。
LRST信号は、ラッチ回路352、353のReset側の入力端子に印加され、ラッチ回路352、353をリセットするラッチリセット信号である。また、LSET_X信号は、ラッチ回路352、353のSet側の入力端子に印加され、ラッチ回路352、353にVアドレス信号の値を保持させるラッチセット信号である。第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、LSET_X信号の検出に際し、DDR方式が適用される。従って、第3の実施形態では、第2の実施形態と同様、1つの系統のラッチセット信号(LSET_X信号)と、1つの系統のラッチリセット信号(LRST信号)と、により、電子シャッタ動作用ラッチ回路であるラッチ回路352及び読み出し動作用ラッチ回路であるラッチ回路353の両方が駆動される。
図19を参照して、アドレスデコーダ回路351のより詳細な構成について説明する。ラッチ回路352は、図7に示す第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151のラッチ回路152に対応する。すなわち、ラッチ回路352は、Vアドレス信号によって特定された画素行の画素に対して電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を出力する電子シャッタ動作用ラッチ回路である。具体的には、ラッチ回路352は、Vアドレス信号、LRST信号及びLSET_X信号に基づいて、当該画素行に対して電子シャッタ動作が行われるかどうかを示す信号である電子シャッタラッチ出力信号(SLQ信号)及びSLQ信号の負論理信号である負論理(NOT)電子シャッタラッチ出力信号(XSLQ信号)を生成する。図19に示す例では、ラッチ回路352のReset側の入力端子には、センサコントローラから入力されるLRST信号が直接入力される。また、ラッチ回路352の前段にはNORゲート354が設けられており、ラッチ回路352のSet側の入力端子には、当該NORゲート354によるLSET_X信号とVアドレス信号との論理和が入力される。ただし、LSET_X信号は、NORゲート354に入力される際には符号が反転された形で入力される。
また、ラッチ回路353は、図7に示す第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151のラッチ回路153に対応する。すなわち、ラッチ回路353は、Vアドレス信号によって特定された画素行の画素に対して読み出し動作を行わせるための制御信号を出力する読み出し動作用ラッチ回路である。具体的には、ラッチ回路353は、Vアドレス信号、LRST信号及びLSET_X信号に基づいて、当該画素行に対して読み出し動作が行われるかどうかを示す信号である読み出しラッチ出力信号(RLQ信号)及びRLQ信号の負論理信号である負論理(NOT)読み出しラッチ出力信号(XRLQ信号)を生成する。図19に示す例では、ラッチ回路353のReset側の入力端子には、センサコントローラから入力されるLRST信号が直接入力される。また、ラッチ回路353の前段にはNORゲート355が設けられ、ラッチ回路353のSet側の入力端子には、当該NORゲート355によるRLSET_X信号とVアドレス信号との論理和が入力される。
ここで、ラッチ回路352、353は、所定の信号値を保持するメモリ回路の一例である。第3の実施形態では、当該メモリ回路は、Vアドレス信号とメモリ入力信号との論理積に応答して当該Vアドレス信号を保持する機能を有する。第3の実施形態に係るセンサコントローラは、Vアドレス信号とともに、当該メモリ入力信号をアドレスデコーダ回路351に対して入力することにより、アドレスデコーダ回路351に、当該Vアドレス信号によって特定される前記画素行の画素に、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成させることができる。
第3の実施形態では、このような機能を有するメモリ回路を、SRラッチであるラッチ回路352、353によって実現している。ラッチ回路352、353には、メモリ入力信号として、ラッチセット信号(上述したLSET_X)が入力され、ラッチ回路352、353は、Vアドレス信号と当該ラッチセット信号との論理積に応答して当該Vアドレス信号を保持することができる。第2の実施形態に係るセンサコントローラは、Vアドレス信号とともに、当該ラッチセット信号をアドレスデコーダ回路351に対して入力することにより、アドレスデコーダ回路351に、当該Vアドレス信号によって特定される前記画素行の画素に、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成させてよい。
また、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様、アドレスデコーダ回路351に対して互いに異なる2つの系統のVアドレス信号(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)が入力される。アドレスデコーダ回路351には、NORゲート354、355の前段にANDゲート356が設けられており、当該ANDゲート356によるADD_X_A信号及びADD_X_B信号の論理積が、NORゲート354、355にVアドレス信号として入力される。なお、図19では、ADD_X_A信号及びADD_X_B信号を示す信号線をバスとしてそれぞれ1本の線として図示している。センサコントローラは、ADD_X_A信号の系統のバス内である画素行を特定すると同時に、ADD_X_B信号の系統のバス内で異なる画素行を特定するように、Vアドレス信号を発行することができる。このように、第3の実施形態では、互いに異なる2つの画素行を特定するための互いに異なるVアドレス信号が、同じタイミングでセンサコントローラからアドレスデコーダ回路151に出力され得る。また、ADD_X_A信号及びADD_X_B信号が入力されるゲートはANDゲート356に限定されず、他の種類の論理ゲートであってもよい。アドレスデコーダ回路351は、Vアドレス信号とラッチセット信号とが適切なタイミングで入力されることにより、当該Vアドレス信号によって特定される画素行の画素に、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成するように構成されればよく、その構成は図19に示す構成例に限定されない。例えば、アドレスデコーダ回路351は、メモリ回路としてラッチ回路以外の他の回路を有してもよいし、論理ゲートの構成も上記の機能を有する様に適宜設計されてよい。
図20を参照して、第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路351の動作について説明する。図20では、1H期間内におけるVアドレス信号(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)、ラッチ入力信号(LRST信号及びLSET_X信号)及びアドレスデコーダ回路351の出力である制御信号(SLQ信号、XSLQ信号、RLQ信号及びXRLQ信号)のタイミングが図示されている。なお、図20に示す例では、SLQ信号、XSLQ信号、RLQ信号及びXRLQ信号として、電子シャッタ動作又は読み出し動作を行う画素行としてVアドレス信号が発行されたある1つの画素行に対応するアドレスデコーダ回路251におけるSLQ信号、XSLQ信号、RLQ信号及びXRLQ信号のタイミングを図示している。実際には、電子シャッタ動作又は読み出し動作を行う画素行として指定された他の画素行に対応するアドレスデコーダ回路251においても、Vアドレス信号が入力されたタイミングを基点として同様のタイミングでSLQ信号、XSLQ信号、RLQ信号及びXRLQ信号が出力され得る。
図20を参照すると、アドレスデコーダ回路351には、まずLRST信号が入力され、ラッチ回路352、353が共にリセットされる。図12を参照して説明した一般的なアドレスデコーダ回路551では、読み出し動作用のラッチ回路553をリセットするためのRLRST信号と、電子シャッタ動作用のラッチ回路552をリセットするためのSLRST信号と、が、それぞれ別系統の信号として入力されていたが、第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に、1つの系統のラッチリセット信号によって、双方のラッチ回路352、353がリセットされる。
次いで、アドレスデコーダ回路351には、ADD_X_A信号、ADD_X_B信号及びLSET_X信号が入力される。ここで、上述したように、第3の実施形態では、LSET_X信号を検出する際にDDR方式が適用される。DDR方式によってLSET_X信号が検出されることにより、立ち上がり及び立ち下がりの両側のエッジの検出をトリガーとしてラッチ回路352、353におけるラッチセット動作が行われることとなるため、セットアップ/ホールド期間のマージンを考慮しても、アドレス発行期間として2クロック分の期間が確保されれば安定的な動作が可能となる。
また、第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に、アドレスデコーダ回路351が、LSET_X信号がDDR方式で検出される際に、立ち上がりが検出された場合にはラッチ回路352、353のうちの一方が駆動され、立ち下がりが検出された場合にはラッチ回路352、353のうちの他方が駆動されるように構成されてもよい。例えば、LSET_X信号の立ち上がりが検出された場合にはラッチ回路353が駆動され、LSET_X信号の立ち下がりが検出された場合にはラッチ回路352が駆動されてもよい。アドレスデコーダ回路351をこのように構成することにより、例えばLSET_X信号の立ち上がりが検出された場合には、ラッチ回路353が駆動されて、選択された画素行の画素に読み出し動作を行わせるための制御信号であるRLQ信号及びXRLQ信号が出力され、例えばLSET_X信号の立ち下がりが検出された場合には、ラッチ回路352が駆動されて、選択された画素行の画素に電子シャッタ動作を行わせるための制御信号であるSLQ信号及びXSLQ信号が出力されることとなる。後段の画素タイミング駆動回路においては、これらの制御信号に基づいて、対応する画素行の画素に読み出し動作又は電子シャッタ動作を行わせるような駆動信号が生成される。このように、第3の実施形態においては、DDR方式を適用することにより、アドレスデコーダ回路351が、1つの系統のラッチセット信号によって、選択された画素行の画素に読み出し動作を行わせるための処理と、選択された画素行の画素に電子シャッタ動作を行わせるための処理と、をそれぞれ行うことが可能となる。
更に、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、アドレスデコーダ回路351に対して互いに異なる2つの系統のVアドレス信号が入力される。図20に示す例では、1H期間中に、ADD_X_A信号で表される系列のVアドレス信号として、画素行A、画素行B、画素行C、画素行D、画素行E及び画素行Fを特定するVアドレス信号が入力され、ADD_X_B信号で表される系列のVアドレス信号として、画素行G、画素行H、画素行I、画素行J、画素行K及び画素行Lを特定するVアドレス信号が入力されている。第3の実施形態では、図20に示すように、互いに異なる2つの画素行を特定するためのVアドレス信号が、同じタイミングでアドレスデコーダ回路351に入力され得る。
[4−2.固体撮像素子全体のタイミングチャート]
次に、図21を参照して、第3の実施形態に係る固体撮像素子全体の動作について説明する。図21は、第3の実施形態に係る固体撮像素子全体の動作についてのタイミングチャートを示す図である。図21では、1H期間内における、センサコントローラから画素タイミング駆動部及びアドレスデコーダに入力される信号のタイミングが図示されている。具体的には、1H期間内における、Vアドレス信号(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)、ラッチ入力信号(LSET_X信号及びLRST信号)及び画素駆動パルス(RTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルス)のタイミングが図示されている。
図21に示す例では、まず、LRST信号がアドレスデコーダ回路351に入力され、ラッチ回路352、353が共にリセットされた後に、ADD_X_A信号、ADD_X_B信号及びLSET_X信号が所定のタイミングで入力される。ここで、上述したように、第3の実施形態では、互いに異なる2つの画素行を特定するためのVアドレス信号(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)が、同じタイミングでアドレスデコーダ回路351に入力され得る。また、これも上述したように、第3の実施形態では、ラッチセット信号であるLSET_X信号が、その立ち上がり及び立ち下がりによって検出される。従って、図21に示すように、LSET_X信号の立ち上がり又は立ち下がりが、2つの系統のVアドレス信号における各画素行を特定する信号の入力中に検出されるように、LSET_X信号及びVアドレス信号の入力タイミングが適宜制御される。
アドレスデコーダ回路351は、検出されたLSET_X信号の立ち上がり又は立ち下がりと、立ち上がり又は立ち下がりが検出された際のVアドレス信号とに基づいて、読み出し動作又は電子シャッタ動作に関するラッチ出力信号(RLQ信号、XRLQ信号、SLQ信号及びXSLQ信号)を生成し、生成したこれらの信号を後段の画素タイミング駆動部に出力する。ここで、上述したように、第3の実施形態では、アドレスデコーダ回路351が、例えばLSET_X信号の立ち上がりが検出された場合には、選択された画素行の画素に読み出し動作を行わせるための制御信号であるRLQ信号及びXRLQ信号を生成し、例えばLSET_X信号の立ち下がりが検出された場合には、選択された画素行の画素に電子シャッタ動作を行わせるための制御信号であるSLQ信号及びXSLQ信号が生成されるように、構成されてもよい。従って、例えば、第3の実施形態では、LSET_X信号の例えば立ち上がりが検出されることにより、当該立ち上がりが検出されたタイミングで入力されるVアドレス信号が表す画素行の画素に対する読み出し動作が行われ、立ち下がりが検出されることにより、当該立ち下がりが検出されたタイミングで入力されるVアドレス信号が表す画素行の画素に対する電子シャッタ動作が行われる。なお、アドレスデコーダ回路351での、Vアドレス信号、ラッチ入力信号及びラッチ出力信号のタイミングについては、例えば図20に示すタイミングと同様であってよいため、詳細な説明は省略する。
次いで、Vアドレス信号並びにLRST信号及びLSET_X信号の入力タイミングに合わせて、読み出し動作又は電子シャッタ動作に関する画素駆動パルスであるRTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルスが、所定のタイミングで画素タイミング駆動部に入力される。図21に示す例では、RTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルスとして、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行う画素行としてVアドレス信号が発行されたある1つの画素行に対応する画素タイミング駆動回路に対するRTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルスのタイミングを図示している。実際には、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行う画素行として指定された他の画素行に対応する画素タイミング駆動回路に対しても、例えばVアドレス信号が入力されたタイミングを基点として同様のタイミングでRTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルスが入力されてよい。
画素タイミング駆動部では、これらの画素駆動パルスと、アドレスデコーダ回路351から入力されたRLQ信号又はSLQ信号とに基づいて、読み出し動作又はシャッタ動作を行わせるように画素を駆動するための駆動信号(TRG信号、RST信号及びSEL信号)を出力する。このようにして、第3の実施形態に係る固体撮像素子では、センサコントローラにより、選択された画素行の画素が所望のタイミングで読み出し動作又は電子シャッタ動作を行うように、その動作が制御され得る。なお、1H期間内における画素駆動パルスのタイミングについては、第1の実施形態と同様であってよく、例えば図3を参照して説明したタイミングと同様であるため、詳細な説明は省略する。
[4−3.第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路と一般的なアドレスデコーダ回路との比較]
次に、第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路と一般的なアドレスデコーダ回路との比較を行う。
当該比較のために、図22に、第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路351の動作に関する信号の中でも、特に、Vアドレス信号とラッチセット信号(LSET信号)との関係を示す。図22は、上述した図14に対応する図であり、第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路351における、Vアドレス信号とラッチセット信号(LSET信号)との関係について説明するための説明図である。
図22では、アドレスデコーダ回路351の動作に関する信号のうち、CLK信号、Vアドレス信号であるADD_X_A信号及びADD_X_B信号並びにLSET_X信号のタイミングチャートを図示している。図22に示すタイミングチャートと、図14に示す一般的なアドレスデコーダ回路551におけるVアドレス信号及びLSET信号のタイミングチャートとを比較すると、各画素行を特定するためのVアドレス信号の発行期間及びVアドレス信号の系統数が異なる。
まず、Vアドレス信号の発行期間について説明する。上述したように、一般的なアドレスデコーダ回路551においては、LSET信号を検出するためにSDR方式が適用されていた。従って、アドレスデコーダ回路551のラッチ回路552、553におけるセットアップ/ホールド期間のマージンを考慮すると、アドレス発行期間として少なくとも3クロック分の期間が確保されることが好ましかった。従って、1H期間の長さの短縮に限界があり、ブルーミングによる画質の劣化を抑制しつつ、より高速の撮影を行うことは困難であった。
一方、上記説明したように、第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路351では、LSET_X信号を検出するためにDDR方式が適用される。従って、アドレスデコーダ回路351のラッチ回路352、353におけるセットアップ/ホールド期間のマージンを考慮しても、各画素行を特定するためのVアドレス信号の発行期間としては、少なくとも2クロック分の期間が確保されれば安定的な動作が可能となる。このように、第3の実施形態では、DDR方式が適用されることにより、図22に示すように、Vアドレス信号の発行期間が2クロック分に短縮される。従って、第3の実施形態では、1H期間の長さをより短縮することが可能となるため、1H期間内に電子シャッタ動作と読み出し動作とが共に行われる場合であっても、画質の向上とより高速の撮影とが共に実現され得る。
また、第3の実施形態では、ラッチセット信号の立ち上がりと立ち下がりとで異なるラッチ回路352、353が駆動されてもよい。また、ラッチ回路352、353は、1つの系統のラッチリセット信号によってリセットされてよい。このように、第3の実施形態では、1つの系統のラッチセット信号と、1つの系統のラッチリセット信号と、により、電子シャッタ動作用ラッチ回路であるラッチ回路352及び読み出し動作用ラッチ回路であるラッチ回路353の両方が駆動され得る。ここで、一般的なアドレスデコーダ回路551においては、ラッチセット信号及びラッチリセット信号のそれぞれに対して、読み出し動作用及び電子シャッタ動作用の2つの系統の信号が存在していた。第3の実施形態では、DDR方式を適用することにより、ラッチセット信号及びラッチリセット信号の系統の数を削減することができるため、レイアウト面積(回路面積)を小さくすることができ、消費電力も低減することが可能となる。
次に、Vアドレス信号の系統数について説明する。上述したように、一般的なアドレスデコーダ回路551には、1系統のVアドレス信号(ADD_X_A信号)しか入力されない。一方、図22に示すように、第3の実施形態に係るアドレスデコーダ回路351には、互いに異なる複数の系統のVアドレス信号が入力されるため、同じタイミングで互いに異なる複数のVアドレス信号を入力することが可能となる。図22に示す例では、アドレスデコーダ回路351に対して互いに異なる2つの系統のVアドレス信号(ADD_X_A信号及びADD_X_B信号)が入力されているため、一般的なアドレスデコーダ回路551と比較して、1H期間内にVアドレス信号によって特定され得る画素行の数が倍になる。従って、1H期間内に電子シャッタ動作が行われる画素行の数が増加されるため、結果的に1H期間を更に短縮することが可能となる。よって、1H期間内に電子シャッタ動作と読み出し動作とが共に行われる場合において、更なる撮影の高速化が実現される。なお、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様、入力されるVアドレス信号の系統の数は2つに限定されず、より多い数の系統のVアドレス信号が入力可能なようにアドレスデコーダ回路151を構成することが可能である。より多い数の系統のVアドレス信号が入力されることにより、1H期間内に発行可能なVアドレス信号の画素行の数が更に増加するため、1H期間の長さをより短縮することが可能となる。
このように、第3の実施形態は、第1の実施形態と第2の実施形態とを合わせた実施形態に対応している。従って、第3の実施形態においては、第1の実施形態によって得られる効果と第2の実施形態によって得られる効果とをともに得ることができ、1H期間内に電子シャッタ動作と読み出し動作とが共に行われる場合において、ブルーミングによる画質の劣化を抑えつつ、更なる撮影の高速化が実現される。
<5.変形例>
次に、本実施形態における一変形例について説明する。本変形例は、上述した第2の実施形態の変形例に対応している。第2の実施形態では、ラッチセット信号(LSET_X信号)がDDR方式で検出されていた。また、アドレスデコーダ回路251が、LSET_X信号の立ち上がりと立ち下がりとで、異なるラッチ回路252、253が駆動されるように構成されていた。一方、本変形例では、LSET_X信号がDDR方式で検出されることは第2の実施形態と同様であるが、LSET_X信号の立ち上がりと立ち下がりとが区別されず、アドレスデコーダ回路のラッチ回路は、LSET_X信号の立ち上がり及び立ち下がりのいずれかが検出されたことをトリガーとしてVアドレス信号を保持するように構成される。従って、本変形例では、LSET_X信号は、読み出しラッチセット信号(RLSET_X信号)と電子シャッタラッチセット信号(SLSET_X信号)との2つの系統の信号を含む。本変形例では、RLSET_X信号のタイミングとSLSET_X信号のタイミングとがそれぞれ独立に制御され得るため、本変形例は、第2の実施形態において、読み出し動作を行うタイミングと電子シャッタ動作を行うタイミングとが分割された変形例であると言える。
図23を参照して、このような、第2の実施形態において、読み出し動作を行うタイミングと電子シャッタ動作を行うタイミングとが分割された変形例について説明する。図23は、第2の実施形態において、読み出し動作を行うタイミングと電子シャッタ動作を行うタイミングとが分割された変形例における、固体撮像素子全体の動作を示すタイミングチャートである。
図23では、1H期間内における、センサコントローラから画素タイミング駆動部及びアドレスデコーダ部に入力される信号のタイミングが図示されている。具体的には、1H期間内における、Vアドレス信号(ADD_X信号)、ラッチ入力信号(RLRST信号、RLSET_X信号、SLRST信号及びSLSET_X信号)及び画素駆動パルス(RTRパルス、RRSTパルス、RSELパルス、STRパルス及びSRSTパルス)のタイミングが図示されている。
ここで、図23に示すタイミングチャートは、ラッチセット信号(RLSET_X信号、SLSET_X信号)が検出される際にDDR方式が適用されること、及び、Vアドレス信号が1系統であること以外は、図10に示す第1の実施形態における固体撮像素子10全体のタイミングチャートと同様であってよい。図23に示す例では、1H期間内の前半に、2つの画素行(画素行A及び画素行B)の画素に対する読み出し動作が行われる。まず、本変形例に係るアドレスデコーダ回路にRLRST信号が入力され、当該アドレスデコーダ回路に設けられる2つのラッチ回路が共にリセットされた後に、画素行A及び画素行Bを表すADD_X信号及びRLSET_X信号が所定のタイミングで入力される。ここで、当該アドレスデコーダ回路では、RLSET_X信号をDDR方式で検出する。従って、第2の実施形態で説明したように、アドレスデコーダ回路におけるラッチ回路のセットアップ/ホールド期間を考慮しても、読み出し動作を行う画素行を特定するためのVアドレス信号の発行期間が2クロック分の期間確保されれば、当該ラッチ回路における安定的な動作が保証される。本変形例に係るアドレスデコーダ回路は、ADD_X信号及びRLSET_X信号に基づいて、読み出し動作に関するラッチ出力信号であるRLQ信号及びXRLQ信号を生成し、生成したRLQ信号及びXRLQ信号を後段の本変形例に係る画素タイミング駆動回路に出力する。
次いで、画素行A及び画素行Bを表すVアドレス信号並びにRLRST信号及びRLSET_X信号の入力タイミングに合わせて、読み出し動作に関する画素駆動パルスであるRTRパルス、RRSTパルス及びRSELパルスが、所定のタイミングで画素タイミング駆動部に入力される。図23に示す例では、RTRパルス、RRSTパルス及びRSELパルスとして、読み出し動作を行う画素行としてVアドレス信号が発行されたある1つの画素行に対応する画素タイミング駆動回路に対するRTRパルス、RRSTパルス及びRSELパルスのタイミングを図示している。実際には、読み出し動作を行う画素行として指定された他の画素行に対応する画素タイミング駆動回路に対しても、例えばVアドレス信号が入力されたタイミングを基点として同様のタイミングでRTRパルス、RRSTパルス及びRSELパルスが入力されてよい。画素タイミング駆動部では、これらの画素駆動パルスと、アドレスデコーダ部から入力されたRLQ信号とに基づいて、読み出し動作を行わせるように画素を駆動するための駆動信号(TRG信号、RST信号及びSEL信号)を出力する。このようにして、本変形例に係る固体撮像素子では、センサコントローラにより、選択された画素行の画素が所望のタイミングで読み出し動作を行うように、その動作が制御され得る。なお、1H期間内における画素駆動パルスのタイミングは、例えば第1の実施形態において図3を参照して説明したタイミングと同様であってよいため、詳細な説明は省略する。
また、図23に示す例では、1H期間内の後半に、4つの画素行(画素行C、画素行D、画素行E及び画素行F)の画素に対する電子シャッタ動作が行われる。まず、本変形例に係るアドレスデコーダ回路にSLRST信号が入力され、当該アドレスデコーダ回路に設けられる2つのラッチ回路が共にリセットされた後に、画素行C、画素行D、画素行E及び画素行Fを表すADD_X信号及びSLSET_X信号が所定のタイミングで入力される。ここで、アドレスデコーダ回路では、SLSET_X信号をDDR方式で検出する。従って、第2の実施形態で説明したように、アドレスデコーダ回路におけるラッチ回路のセットアップ/ホールド期間を考慮しても、電子シャッタ動作を行う画素行を特定するためのVアドレス信号の発行期間が2クロック分の期間確保されれば、当該ラッチ回路における安定的な動作が保証される。本変形例に係るアドレスデコーダ回路はADD_X信号及びSLSET_X信号に基づいて、電子シャッタ動作に関するラッチ出力信号であるSLQ信号及びXSLQ信号を生成し、生成したSLQ信号及びXSLQ信号を後段の画素タイミング駆動回路に出力する。
次いで、画素行C、画素行D、画素行E及び画素行Fを表すVアドレス信号並びにSLRST信号及びSLSET_X信号の入力タイミングに合わせて、電子シャッタ動作に関する画素駆動パルスであるSTRパルス及びSRSTパルスが、所定のタイミングで画素タイミング駆動部に入力される。図23に示す例では、STRパルス及びSRSTパルスとして、電子シャッタ動作を行う画素行としてVアドレス信号が発行されたある1つの画素行に対応する画素タイミング駆動回路に対するSTRパルス及びSRSTパルスのタイミングを図示している。実際には、電子シャッタ動作を行う画素行として指定された他の画素行に対応する画素タイミング駆動回路に対しても、例えばVアドレス信号が入力されたタイミングを基点として同様のタイミングでSTRパルス及びSRSTパルスが入力されてよい。画素タイミング駆動部では、これらの画素駆動パルスと、アドレスデコーダ部から入力されたSLQ信号とに基づいて、電子シャッタ動作を行わせるように画素を駆動するための駆動信号(TRG信号及びRST信号)を出力する。このようにして、本変形例に係る固体撮像素子では、センサコントローラにより、選択された画素行の画素が所望のタイミングで電子シャッタ動作を行うように、その動作が制御され得る。なお、1H期間内における画素駆動パルスのタイミングは、例えば例えば第1の実施形態において図3を参照して説明したタイミングと同様であってよいため、詳細な説明は省略する。
以上、図23を参照して、第2の実施形態において、読み出し動作を行うタイミングと電子シャッタ動作を行うタイミングとが分割された変形例について説明した。以上説明したように、本変形例では、RLSET_X信号及びSLSET_X信号がDDR方式で検出される。従って、アドレスデコーダ部におけるラッチ回路のセットアップ/ホールド期間を考慮しても、読み出し動作又は電子シャッタ動作を行う画素行を特定するためのVアドレス信号の発行期間が2クロック分の期間確保されれば、当該ラッチ回路における安定的な動作が保証される。ここで、上記<2.一般的な固体撮像素子との比較>で説明したように、一般的なアドレスデコーダ回路551では、LSET信号を検出するためにSDR方式が適用されているため、アドレスデコーダ回路551のラッチ回路552、553におけるセットアップ/ホールド期間のマージンを考慮すると、各画素行を特定するためのVアドレス信号の発行期間としては、少なくとも3クロック分の期間が確保されることが好ましかった。従って、一般的な固体撮像素子では、1H期間の長さの短縮に限界があり、ブルーミングによる画質の劣化を抑制しつつ、より高速の撮影を行うことは困難であった。一方、本変形例では、上述のように、画素行を特定するためのVアドレス信号の発行期間が2クロック分に短縮され得る。従って、1H期間を短縮することが可能となり、1H期間内に電子シャッタ動作と読み出し動作とが共に行われる場合であっても、画質の向上とより高速の撮影とが共に実現され得る。
<6.適用例>
次に、以上説明した第1、第2及び第3の実施形態の一適用例について説明する。ここでは、図24を参照して、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子が適用され得る電子機器の一例として、例えばデジタルスチルカメラ等の撮像装置の構成について説明する。図24は、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子が適用された撮像装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図24を参照すると、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子が適用される撮像装置40は、レンズ部411、CMOSイメージセンサ412、操作部414、制御部415、画像処理部416、表示部417、コーデック処理部418及び記録部419を有する。撮像装置40は、被写体を撮像し、その被写体の画像である撮像画像を電気信号として出力する装置である。
レンズ部411は、レンズや絞り等の光学素子によって構成され、被写体からの光を後段のCMOSイメージセンサ412に導光する。レンズ部411の駆動は、制御部415によって制御され得る。例えば、制御部415からの制御により、レンズ部411において、被写体に焦点が合うように各種のレンズの位置が調整されたり、撮影中の露光値が所定の値になるように絞りが調整されたりする。焦点や露光値等の撮影に関する各種のパラメータが適宜調整されたレンズ部411を通過した被写体からの光が、CMOSイメージセンサ412に入射される。
CMOSイメージセンサ412は、被写体を撮像する固体撮像素子の一例であり、上述した第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子に対応する。CMOSイメージセンサ412は、制御部415によりその駆動が制御され、入射された被写体からの光を画素内の受光素子によって光電変換し、各画素の蓄積電荷に応じた電位をAD変換することにより、被写体からの光に応じた各画素からの出力信号である画素信号を得る。CMOSイメージセンサ412は、得られた画素信号を画像処理部416に提供する。
操作部414は、例えば、ジョグダイヤル(登録商標)、キー、ボタン又はタッチパネル等により構成され、ユーザによる操作入力に応じた情報を撮像装置40に入力するための入力インターフェースである。ユーザが操作部414を介して入力した各種の情報は制御部415に提供され、制御部415は当該情報に基づいて各種の処理を行う。
制御部415は、例えばCPUやDSP等の各種のプロセッサによって構成され、撮像装置40の動作を統括的に制御する。例えば、制御部415は、操作部414を介して入力されたユーザの操作入力に応じた情報に基づいて、レンズ部411、CMOSイメージセンサ412、画像処理部416、表示部417、コーデック処理部418及び記録部419の駆動を制御し、各部に撮像に関する各種の処理を行わせる。また、制御部415は、図1に示すセンサコントローラ130の機能を有してもよい。なお、制御部415の機能は、制御部415を構成するプロセッサが所定のプログラムに基づいて動作することにより実現され得る。当該プログラムは、撮像装置40内に搭載されるROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)(ともに図示せず。)等の記憶素子に記憶されてよく、制御部415を構成するプロセッサは、これらの記憶素子にアクセスし、当該プログラムを読み出すことにより、一連の処理を実行することができる。
画像処理部416は、例えばCPUやDSP等の各種のプロセッサによって構成され、CMOSイメージセンサ412から提供された画素信号に対して各種の信号処理を施すことにより、被写体の画像である撮像画像を生成する。例えば、画像処理部416は、画素信号に対して、黒レベル補正処理、混色補正処理、欠陥補正処理、デモザイク処理、マトリックス処理、ガンマ補正処理及びYC変換等の、撮像画像生成時に行われ得る各種の信号処理を施す。なお、画像処理部416が行う信号処理の内容は任意であり、画像処理部416は上述した処理以外にも、一般的な撮像装置において撮像画像を生成する際に行われている各種の公知の信号処理を行ってもよい。画像処理部416は、生成した撮像画像についての情報を表示部417及びコーデック処理部418に提供する。
表示部417は、例えば、液晶ディスプレイ装置等のディスプレイ装置によって構成され、撮像装置40において処理される各種の情報をその表示画面に視覚的に表示する。例えば、表示部417は、画像処理部416から提供される画像信号に基づいて、撮像画像(すなわち、被写体の画像)をその表示画面に表示する。また、表示部417は、例えばユーザが撮影に関する各種のパラメータを設定するための設定画面等、撮影に関する各種の情報をその表示画面に表示してもよい。
コーデック処理部418は、例えばCPUやDSP等の各種のプロセッサによって構成され、画像処理部416から提供される画像信号に対して、所定の方式の符号化処理を施す。符号化処理の結果得られた画像データは記録部419に提供される。なお、コーデック処理部418が施す符号化処理の方式には、一般的な画像信号に対する符号化処理において用いられている、各種の公知の方式が適用されてよい。
記録部419は、撮像装置40において処理される各種の情報を記録することができる。例えば、記録部419は、コーデック処理部418から提供される画像データを記録する。記録部419に記録された画像データが、必要に応じて画像処理部416に読み出され、表示部417に提供されることにより、対応する画像が表示部417の表示画面に表示される。なお、記録部419は、一般的な撮像装置において撮像画像の画像データを記録するために用いられる各種のメディアによって構成されてよい。
上述したように、撮像装置40のCMOSイメージセンサ412は、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子に対応する。上記<1.第1の実施形態>、<3.第2の実施形態>及び<4.第3の実施形態>で説明したように、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子においては、1H期間内に電子シャッタ動作と読み出し動作とが共に行われる場合において、1H期間をより短縮することが可能であり、画質の向上とより高速の撮影とが共に実現され得る。従って、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子を撮像装置40に適用することにより、より高品質な撮像画像をより高速の撮影条件下において取得することが可能な撮像装置40が実現され得る。
なお、図24に示す撮像装置40の構成は、あくまで、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子が適用され得る電子機器の一構成例を示すものである。本実施形態に係る当該電子機器の構成は、図24に例示する構成に限定されるものではなく、固体撮像素子が適用され得る電子機器が備える公知の各種の構成を有してよい。
<7.ハードウェア構成>
上記<1.第1の実施形態>、<3.第2の実施形態>及び<4.第3の実施形態>で説明した、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子における一連の動作は、図1に示すセンサコントローラ130が所定のプログラムに従って各種の情報処理を行い、固体撮像素子内の各種の構成の動作を適宜制御することにより実現され得る。このような、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子に対して一連の動作を行わせるプログラムは、図1に示すセンサコントローラ130のように、固体撮像素子内に設けられる例えばマイコン等の専用の情報処理装置に対してインストールされてもよいし、PC(Personal Computer)等の汎用的な情報処理装置にインストールされてもよい。
図25を参照しながら、このような、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子に一連の動作を実行させるためのプログラムがインストールされ得る、情報処理装置のハードウェア構成について説明する。図25は、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。なお、図25に示す情報処理装置900は、例えば、図1に示すセンサコントローラ130、図24に示す撮像装置40、及び、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子に一連の動作を実行させるためのプログラムがインストールされ得る情報処理装置を実現し得る。
情報処理装置900は、CPU901、ROM(Read Only Memory)903、およびRAM(Random Access Memory)905を含む。また、情報処理装置900は、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インターフェース913、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、通信装置921、ドライブ923、接続ポート925を含んでもよい。情報処理装置900は、CPU901に代えて、又はこれとともに、DSP(Digital Signal Processor)若しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)と呼ばれるような処理回路を有してもよい。
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919又はリムーバブル記録媒体929に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置900内の動作全般又はその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行時のパラメータ等を一次記憶する。CPU901、ROM903及びRAM905は、CPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。更に、ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス911に接続されている。CPU901は、本実施形態では、例えば図1に示すセンサコントローラ130におけるプロセッサや、図24に示す制御部415、画像処理部416及びコーデック処理部418に対応する。
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバー等、ユーザによって操作される装置によって構成される。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置(いわゆる、リモコン)であってもよいし、情報処理装置900の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器931であってもよい。更に、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置900のユーザは、この入力装置915を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。本実施形態においては、例えば、ユーザが、入力装置915を介して、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子の動作に関する各種の情報や指示を情報処理装置900に対して入力してもよい。また、入力装置915は、上述した適用例においては、例えば撮像装置40の操作部414に対応する。
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプ等の表示装置や、スピーカ及びヘッドホン等の音声出力装置や、プリンタ装置等がある。出力装置917は、例えば、情報処理装置900が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置900が行った各種処理により得られた結果を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。当該表示装置は、上述した適用例においては、例えば撮像装置40の表示部417に対応する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
ストレージ装置919は、情報処理装置900の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ及び外部から取得した各種のデータ等を格納する。本実施形態においては、例えば第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子の動作に関する各種の情報が、ストレージ装置919に記憶されてもよい。また、ストレージ装置919は、上述した適用例においては、例えば、撮像装置40の記録部419に対応する。
通信装置921は、例えば、通信網(ネットワーク)927に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置921は、例えば、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置921は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ又は各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置921は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置921に接続されるネットワーク927は、有線又は無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等であってもよい。本実施形態においては、例えば第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子の動作に関する各種の情報が、通信装置921によってネットワーク927を介して他の装置との間で送受信されてもよい。
ドライブ923は、記録媒体用リーダライタであり、情報処理装置900に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ923は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体929に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ923は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体929に情報を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体929は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体929は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ又はSDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体929は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)又は電子機器等であってもよい。本実施形態では、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子の動作に関する各種の情報が、ドライブ923によってリムーバブル記録媒体929から読み出されたり、リムーバブル記録媒体929に書き込まれたりしてもよい。
接続ポート925は、機器を情報処理装置900に直接接続するためのポートである。接続ポート925の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート及びSCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート925の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子及びHDMI(登録商標)(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート925に外部接続機器931を接続することで、情報処理装置900は、外部接続機器931から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器931に各種のデータを提供したりする。本実施形態では、第1、第2及び第3の実施形態に係る固体撮像素子の動作に関する各種の情報が、接続ポート925を介して外部接続機器931から取得されたり、外部接続機器931に出力されたりしてもよい。
以上、本開示の実施形態に係る情報処理装置900の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置900の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
<8.補足>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
例えば、上記実施形態では、固体撮像素子10がCMOSイメージセンサである場合を例に挙げて説明したが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。第1の実施形態に係る固体撮像素子10は、2次元次に画素111が配置された画素アレイ部110を有し、画素アレイ部110の画素行のアドレスを指定することにより任意の画素111の駆動を制御することが可能な撮像素子であればよく、CMOSイメージセンサ以外の他の形式を有する固体撮像素子であってもよい。
また、上記実施形態では、アドレスデコーダ回路151においてVアドレス信号を保持するメモリ回路がSRラッチであるラッチ回路152、153である場合について説明したが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。第1の実施形態に係るアドレスデコーダ回路151が有するメモリ回路は、入力されるVアドレス信号とメモリ入力信号との論理積に応答して当該Vアドレス信号を保持する機能を有すればよく、いわゆるSRラッチ以外の他の形式を有するメモリ回路であってもよい。
また、上記実施形態では、第1の実施形態に係る固体撮像素子10の構成及び動作が好適に適用され得る場合の一例として、間引き読み出し動作と称される撮影モードが行われる場合を例に挙げて説明したが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。第1の実施形態に係る固体撮像素子10の構成及び動作は、1H期間内に、所定の画素における電子シャッタ動作と、他の画素における読み出し動作とがともに行われる場合であれば、他の撮影モード時における固体撮像素子の構成及び動作に対しても適用可能である。例えば、第1の実施形態が適用可能な他の撮影モードとしては、残像等を低減するために、画素における読み出し動作が行われる前に、当該画素に対して電子シャッタ動作を行うことにより、画素のリセットをより確実に行う撮影モード等が挙げられる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)固体撮像素子内の画素アレイの各画素行に設けられ、当該画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号に基づいて、当該Vアドレス信号に対応する画素行の画素に、当該画素から蓄積電荷を読み出す読み出し動作又は当該画素から蓄積電荷を掃き出す電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を少なくとも生成するアドレスデコーダ回路、を備え、前記アドレスデコーダ回路には、少なくとも2つの互いに異なる系統の前記Vアドレス信号が供給され、1水平走査期間内に、少なくとも2つの互いに異なる前記アドレスデコーダ回路が、少なくとも2つの互いに異なる画素行に対して前記制御信号を生成する、駆動装置。
(2)前記アドレスデコーダ回路は、前記Vアドレス信号とメモリ入力信号との論理積に応答して前記Vアドレス信号を保持するメモリ回路を有し、前記メモリ回路に入力される前記Vアドレス信号は、互いに異なる系統の前記Vアドレス信号の論理和である、前記(1)に記載の駆動装置。
(3)前記アドレスデコーダ回路に対して前記Vアドレス信号及び前記メモリ入力信号を所定のタイミングで入力することにより、前記メモリ回路に、前記読み出し動作又は前記電子シャッタ動作を行わせる画素行に対応する前記Vアドレス信号を保持させる制御部、を更に備える、前記(2)に記載の駆動装置。
(4)前記メモリ入力信号は、前記読み出し動作を行う画素行を特定する前記Vアドレス信号を前記メモリ回路に保持させるための読み出しメモリ信号と、前記電子シャッタ動作を行う画素行を特定する前記Vアドレス信号を前記メモリ回路に保持させるための電子シャッタメモリ信号と、を含み、前記制御部は、前記Vアドレス信号とともに、前記読み出しメモリ信号及び前記電子シャッタメモリ信号のいずれかを前記アドレスデコーダ回路に対して入力することにより、前記アドレスデコーダ回路に、前記Vアドレス信号によって特定される前記画素行の画素に前記読み出し動作又は前記電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成させる、前記(3)に記載の駆動装置。
(5)前記アドレスデコーダ回路は、前記メモリ入力信号の入力を、前記メモリ入力信号の立ち上がり及び立ち下がりで検出する、前記(2)〜(4)のいずれか1項に記載の駆動装置。
(6)前記メモリ回路は、前記メモリ入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの一方が検出された際に保持した前記Vアドレス信号に対応する画素行の画素に対して前記読み出し動作を行わせるための制御信号を生成し、前記メモリ入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの他方が検出された際に保持した前記Vアドレス信号に対応する画素行の画素に対して前記電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成する、前記(5)に記載の駆動装置。
(7)前記制御信号に基づいて、前記Vアドレス信号によって特定される前記画素行の画素を駆動するための駆動信号を生成することにより、前記読み出し動作又は前記電子シャッタ動作を前記画素に行わせる画素タイミング駆動回路、を更に備える、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の駆動装置。
(8)前記画素タイミング駆動回路に対して、前記画素内のトランジスタを駆動するタイミングを制御する画素駆動パルスを入力することにより、前記画素タイミング駆動回路に所定のタイミングで前記駆動信号を生成させる制御部、を更に備える、前記(7)に記載の駆動装置。
(9)前記メモリ回路は、SRラッチ回路であり、前記メモリ入力信号は、当該SRラッチ回路におけるセット側の入力端子に印加されるラッチセット信号である、前記(2)〜(6)のいずれか1項に記載の駆動装置。
(10)前記固体撮像素子は、CMOSイメージセンサである、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の駆動装置。
(11)固体撮像素子内の画素アレイの各画素行に設けられ、当該画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号に基づいて、当該Vアドレス信号に対応する画素行の画素に、当該画素から蓄積電荷を読み出す読み出し動作又は当該画素から蓄積電荷をリセットする電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成するアドレスデコーダ回路に対して、少なくとも2つの互いに異なる系統の前記Vアドレス信号が供給されることにより、1水平走査期間内に、少なくとも2つの互いに異なる前記アドレスデコーダ回路が、少なくとも2つの互いに異なる画素行に対して前記制御信号を生成すること、を含む、駆動方法。
(12)被写体からの光を受光し受光した光に応じた画素信号を出力する複数の画素が配列された画素アレイを有する固体撮像素子と、前記被写体からの光を筐体内の前記固体撮像素子まで導光する光学系と、複数の前記画素から出力された前記画素信号に基づいて、前記被写体の画像である撮像画像を生成する画像処理部と、を備え、前記固体撮像素子は、前記画素アレイの各画素行に設けられ、当該画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号に基づいて、当該Vアドレス信号に対応する画素行の画素に、当該画素から蓄積電荷を読み出す読み出し動作又は当該画素から蓄積電荷をリセットする電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成するアドレスデコーダ回路、を有し、前記アドレスデコーダ回路には、少なくとも2つの互いに異なる系統の前記Vアドレス信号が供給され、1水平走査期間内に、少なくとも2つの互いに異なる前記アドレスデコーダ回路が、少なくとも2つの互いに異なる画素行に対して前記制御信号を生成する、電子機器。
(13)固体撮像素子内の画素アレイの各画素行に設けられ、当該画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号に基づいて、当該Vアドレス信号に対応する画素行の画素に、当該画素から蓄積電荷を読み出す読み出し動作又は当該画素から蓄積電荷をリセットする電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を少なくとも生成するアドレスデコーダ回路、を備え、前記アドレスデコーダ回路は、前記Vアドレス信号とメモリ入力信号との論理積に応答して前記Vアドレス信号を保持するメモリ回路を有し、前記アドレスデコーダ回路は、前記メモリ入力信号の入力を、前記メモリ入力信号の立ち上がり及び立ち下がりで検出する、駆動装置。
(14)前記メモリ回路は、前記メモリ入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの一方が検出された際に保持した前記Vアドレス信号に対応する画素行の画素に対して前記読み出し動作を行わせるための制御信号を生成し、前記メモリ入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの他方が検出された際に保持した前記Vアドレス信号に対応する画素行の画素に対して前記電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成する、前記(13)に記載の駆動装置。
(15)前記メモリ入力信号は、1系統である、前記(13)又は(14)に記載の駆動装置。
(16)前記アドレスデコーダ回路に対して前記Vアドレス信号及び前記メモリ入力信号を所定のタイミングで入力することにより、前記メモリ回路に、前記読み出し動作又は前記電子シャッタ動作を行わせる画素行に対応する前記Vアドレス信号を保持させる制御部、を更に備える、前記(13)〜(15)のいずれか1項に記載の駆動装置。
(17)前記アドレスデコーダ回路には、少なくとも2つの互いに異なる系統の前記Vアドレス信号が供給され、1水平走査期間内に、少なくとも2つの互いに異なる前記アドレスデコーダ回路が、少なくとも2つの互いに異なる画素行に対して前記制御信号を生成する、前記(13)〜(16)のいずれか1項に記載の駆動装置。
(18)前記メモリ回路に入力される前記Vアドレス信号は、互いに異なる系統の前記Vアドレス信号の論理和である、前記(17)に記載の駆動装置。
(19)前記制御信号に基づいて、前記Vアドレス信号によって特定される前記画素行の画素を駆動するための駆動信号を生成することにより、前記読み出し動作又は前記電子シャッタ動作を前記画素に行わせる画素タイミング駆動回路、を更に備える、前記(13)〜(18)のいずれか1項に記載の駆動装置。
(20)前記画素タイミング駆動回路に対して、前記画素内のトランジスタを駆動するタイミングを制御する画素駆動パルスを入力することにより、前記画素タイミング駆動回路に所定のタイミングで前記駆動信号を生成させる制御部、を更に備える、前記(19)に記載の駆動装置。
(21)前記メモリ回路は、SRラッチ回路であり、前記メモリ入力信号は、当該SRラッチ回路におけるセット端子に入力されるラッチセット信号である、前記(13)〜(20)のいずれか1項に記載の駆動装置。
(22)前記固体撮像素子は、CMOSイメージセンサである、前記(13)〜(21)のいずれか1項に記載の駆動装置。
(23)固体撮像素子内の画素アレイの各画素行に設けられ、当該画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号に基づいて、当該Vアドレス信号に対応する画素行の画素に、当該画素から蓄積電荷を読み出す読み出し動作又は当該画素から蓄積電荷をリセットする電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成するアドレスデコーダ回路に対して入力される、当該アドレスデコーダ回路内に設けられるメモリ回路が前記Vアドレス信号を保持するためのメモリ入力信号を、当該メモリ入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくともいずれかで検出すること、を含み、前記メモリ回路は、前記Vアドレス信号とメモリ入力信号との論理積に応答して前記Vアドレス信号を保持する、駆動方法。
(24)被写体からの光を受光し受光した光に応じた画素信号を出力する複数の画素が配列された画素アレイを有する固体撮像素子と、前記被写体からの光を筐体内の前記固体撮像素子まで導光する光学系と、複数の前記画素から出力された前記画素信号に基づいて、前記被写体の画像である撮像画像を生成する画像処理部と、を備え、前記固体撮像素子は、前記画素アレイの各画素行に設けられ、当該画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号に基づいて、当該Vアドレス信号に対応する画素行の画素に、当該画素から蓄積電荷を読み出す読み出し動作又は当該画素から蓄積電荷をリセットする電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成するアドレスデコーダ回路、を有し、前記アドレスデコーダ回路は、前記Vアドレス信号とメモリ入力信号との論理積に応答して前記Vアドレス信号を保持するメモリ回路を有し、前記アドレスデコーダ回路は、前記メモリ入力信号の入力を、前記メモリ入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくともいずれかで検出する、電子機器。
(25)固体撮像素子内の画素アレイの各画素行に設けられ、当該画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号に基づいて、当該Vアドレス信号に対応する画素行の画素に、当該画素から蓄積電荷を読み出す読み出し動作又は当該画素から蓄積電荷をリセットする電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成するアドレスデコーダ回路に対して、少なくとも2つの互いに異なる系統の前記Vアドレス信号が供給されることにより、1水平走査期間内に、少なくとも2つの互いに異なる前記アドレスデコーダ回路が、少なくとも2つの互いに異なる画素行に対して前記制御信号を生成すること、を含み、前記アドレスデコーダ回路は、前記Vアドレス信号とメモリ入力信号との論理積に応答して前記Vアドレス信号を保持するメモリ回路を有し、前記アドレスデコーダ回路は、前記メモリ入力信号の入力を、前記メモリ入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくともいずれかで検出する、駆動方法。
(26)被写体からの光を受光し受光した光に応じた画素信号を出力する複数の画素が配列された画素アレイを有する固体撮像素子と、前記被写体からの光を筐体内の前記固体撮像素子まで導光する光学系と、複数の前記画素から出力された前記画素信号に基づいて、前記被写体の画像である撮像画像を生成する画像処理部と、を備え、前記固体撮像素子は、前記画素アレイの各画素行に設けられ、当該画素アレイ中の画素行を特定するためのVアドレス信号に基づいて、当該Vアドレス信号に対応する画素行の画素に、当該画素から蓄積電荷を読み出す読み出し動作又は当該画素から蓄積電荷をリセットする電子シャッタ動作を行わせるための制御信号を生成するアドレスデコーダ回路、を有し、前記アドレスデコーダ回路には、少なくとも2つの互いに異なる系統の前記Vアドレス信号が供給され、1水平走査期間内に、少なくとも2つの互いに異なる前記アドレスデコーダ回路が、少なくとも2つの互いに異なる画素行に対して前記制御信号を生成し、前記アドレスデコーダ回路は、前記Vアドレス信号とメモリ入力信号との論理積に応答して前記Vアドレス信号を保持するメモリ回路を有し、前記アドレスデコーダ回路は、前記メモリ入力信号の入力を、前記メモリ入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくともいずれかで検出する、電子機器。