JP6148099B2 - 天井落下防止構造およびその施工方法 - Google Patents
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Description
天井は、例えば、上階の床躯体から吊り下げられた吊りボルトと、この吊りボルトに支持されて略水平に延びる野縁受けと、略水平でかつ野縁受けに交差する方向に延びるとともに野縁受けに支持される野縁と、この野縁の下面に張り付けられた天井面材と、を備える。
よって、このような構造の天井では、大きな地震荷重が作用すると、クリップが外れたり野縁受けがハンガーから外れたりして、天井材が落下するおそれがある。
まず、天井下地を構成する吊りボルトと野縁受けとの間や、吊りボルトと床躯体との間に、斜めに延びるブレースを取り付けたりする方法が提案されている(特許文献1、2参照)。あるいは、吊りボルトをワイヤーで上階の床躯体に連結する方法が提案されている(特許文献3参照)。
これにより、天井面全体の揺れを抑え、地震時の天井の挙動を小さくできるから、天井材が落下するのを防止できる。
また、天井裏空間のふところ高さが低い場合には、天井裏空間内で作業を行うことができないため、結局、天井を解体することになる。そのため、コストが非常に高くなるうえに、耐震補強を行おうとしても、天井下で居住者の執務が継続中である場合は、確実に施工できない場合があった。
また、既存建物に本発明の天井落下防止構造を構築する場合でも、天井裏空間では配管や配線を避けて束材を取り付けるだけでよいので、確実に施工できる。また、天井下で居住者の執務が継続中であっても、執務場所から離れた位置や執務の合間に施工できるので、執務を継続しながら簡易かつ確実に施工できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る天井落下防止構造としての天井落下防止装置10が適用された天井1の断面図である。図2は、天井落下防止装置10を下方から視た斜視図である。
また、野縁受け22と野縁23とが交差する箇所において、野縁受け22と野縁23との間にクリップ26を嵌め込むことで、野縁23が野縁受け22に支持される。
また、天井面を構成する天井面材24の複数箇所には、天井面材24を上下に貫通する円形の天井開口27が形成されている。
本体41の略中心には、貫通孔43が形成されている。この貫通孔43には、束材30の支持部32が挿通される。また、本体41のうち壁部42の外側の部分は、鍔部44となっている。この鍔部44の外径は、天井開口27の直径よりも大きくなっている。
また、壁部42の外径は、天井開口27の直径よりも小さくなっている。
また、本体41貫通孔43には、束材30の支持部32が挿通されており、この状態で、この支持部32に露出した部分にナット45が螺合されている。これにより、ナット45がキャップ40に係止して、キャップ40は支持部32に支持されている。
ここで、天井開口27と束材30の支持部32との間は、地震動により天井1が揺れても、天井面材24が束材30に衝突しない程度の大きさの隙間となっている。
この受け材50は、具体的には、天井1の野縁受け22に略平行に延びる主部材51と、主部材51に交差する方向つまり天井1の野縁23に略平行に延びる副部材52と、を備える。
すなわち、主部材51の上面には、長さ方向に沿って溝51Aが形成されており、上述の束材30の支持部32は、この溝51Aを貫通している。この支持部32の主部材51Aから露出した下端には、ナット33が螺合されて締め付けられている。これにより、ナット33が主部材51に係止して、主部材51は支持部32に支持される。
したがって、ナット45の高さ位置(レベル)を調整することで、キャップ40の高さ位置(レベル)を調整して、その結果、主部材51の高さ位置(レベル)を調整できる。
また、これら主部材51同士は、直線状に延びる継手53を介して接合される。
ステップS1では、天井面材24の下側つまり室内側から作業して、天井面材24に天井開口27を形成する。
具体的には、図7に示すように、作業者Aは、天井面材24の下側からハンマードリル60のドリルビット61を天井開口27に通して、床躯体3に削孔する。その後、この削孔した穴にアンカー4を打ち込む。
具体的には、天井面材24の下側から、束材30の支持部32の下端部を把持して天井開口27に通し、束材30の基部31をアンカー4に螺合する。
具体的には、本体41の貫通孔43に束材30の支持部32を挿通しながら、壁部42を天井開口27に下から挿入して、本体41で天井開口27を下から塞ぐ。この状態で、この支持部32の露出した部分にナット45を螺合する。
具体的には、作業者Aは、主部材51の貫通孔に束材30の支持部32を挿通して、主部材51を天井面材24の下面に配置する。この状態で、この支持部32の露出した部分にナット33を螺合する。
具体的には、継手54を用いて、主部材51に副部材52を取り付ける。
(1)、想定外に大きな揺れが天井1に加わって、野縁23や野縁受け22などの天井材同士の連結が外れてしまっても、天井1は全体として受け材50に引っ掛かるので、天井1の構成部材や、ダクト、配線ラックなどの天井内重量物が落下するのを防止できる。
また、既存建物2に天井落下防止装置10を取り付ける場合、天井裏空間では、配管や配線を避けて束材30を取り付けるだけでよいので、天井落下防止装置10を確実に施工できる。
例えば、上述の実施形態では、天井1を在来天井としたが、これに限らず、システム天井にも適用できる。
また、上述の実施形態では、主部材51同士あるいは主部材51と副部材52とを、継手53、54を用いて接合したが、これに限らず、直接、主部材51同士あるいは主部材51と副部材52とを接合してもよい。
また、本実施形態では、キャップ40の本体41の周縁部を鍔部44としたが、これに限らず、図9に示すように、鍔部44を設けなくてもよい。
1…天井
2…既存建物
3…上階の床躯体(構造体)
4…アンカー
10…天井落下防止装置(天井落下防止構造)
21…吊りボルト
22…野縁受け
23…野縁
24…天井面材
25…ハンガー
26…クリップ
27…天井開口
30…束材
31…基部
32…支持部
33…ナット
40、40A…キャップ
41…本体
42…壁部
43…貫通孔
44…鍔部
45…ナット
50…受け材
51…主部材
51A…溝
52…副部材
53…継手
54…継手
60…ハンマードリル
61…ドリルビット
Claims (2)
- 天井の落下を防止する天井落下防止構造であって、
前記天井の天井面には、複数の開口が形成され、
前記天井の天井裏空間の構造体から前記複数の開口を通って前記天井面の下方まで延びる複数の束材と、
当該束材に支持されて前記開口を塞ぐ複数のキャップと、
前記天井の天井面に沿って前記複数の束材間に架設された受け材と、を備え、
前記束材は、前記構造体に固定される基部と、当該基部に回動可能に支持される棒状の支持部と、を備えることを特徴とする天井落下防止構造。 - 天井の落下を防止する天井落下防止構造の施工方法であって、
前記天井の天井面に、複数の開口を形成する工程と、
基部と当該基部に回動可能に支持される棒状の支持部とを備える束材を用意し、当該束材を前記天井面の下側から前記複数の開口を通して前記天井の天井裏空間に差し込んで、当該天井裏空間の構造体に前記束材の基部を取り付ける工程と、
前記開口を塞ぐ複数のキャップを前記束材の支持部に取り付ける工程と、
前記天井の天井面に沿って前記複数の束材の支持部同士の間に受け材を架設する工程と、を備えることを特徴とする天井落下防止構造の施工方法。
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