JP6147010B2 - 河川内の土砂等堆積防止方法及びこれに用いる土砂等排出システム - Google Patents
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現在、長年に亘る土砂等の堆積により、河床全体に土砂等が堆積されている状況の水力発電所が多い。このような発電所では、発電による放水によって放水口側の河床に形成されたポケットに土砂等が堆積するのを防止しているのが現状で、洪水時に発電を停止し放水を止めてしまうと、河床のポケットが土砂等で埋まり、その除去に多くの手間と時間を要し、大きな事業損失となる。
このようにダムの取水口側のダム底や放水口側の河床が土砂で埋まってしまう事例が全国の多くのダム貯水池で問題となっている。
また、水力発電所のダムは河川の上流から流れてくる土砂や礫を堰き止めているため、ダムから下流への土砂や礫の供給量が低下し、海岸線の減少などの問題が発生しており、かかる問題の対策としては、ダムで堰き止められた土砂や礫をダムの下流へ供給することが望ましい。
そこで、このようなダムで堰き止められた河川では、洪水時に、水力発電所などの施設の機能が影響を受けないように、また、上流から流れてくる土砂や礫が自然な状態で下流へ還元されるように、河川内に土砂等を堆積させないことが求められる。
この方法は、土砂等取り込み地点に当該土砂等取り込み地点の大きさに応じて複数台の特殊エジェクターを動力水供給管及び排砂管とともに設置することが好ましい。
この方法は、例えば、水力発電所のダムに適用し、土砂等取り込み地点を、ダムの取水口側のダム底又は放水口側の河床又はその両方とすることが好ましい。
この方法では、特殊エジェクターの吸引口にホッパーを取り付けて、河川内に流れ込む土砂等を前記ホッパーにより前記特殊エジェクターの吸引口に吸引案内するようにすることが好ましい。
この方法では、土砂等取り込み地点にピットを形成し、前記ピットに前記特殊エジェクターを前記動力水供給管及び前記排砂管とともに設置することが好ましい。この場合、ピットの縁部にスクリーンを設置して、前記ピット内に流木、巨礫などの異物が入り込むのを阻止することが好ましい。
(2)また、本発明は、上記河川内の土砂等堆積防止方法に用いる土砂等排出システムであって、高圧の動力水を送給する超高圧ポンプと、噴射口、吸引口、及び吐出口を有し、前記超高圧ポンプから送給される動力水により駆動され、土砂等を吸引、圧送する特殊エジェクターと、前記超高圧ポンプと前記特殊エジェクターの噴射口との間に接続され、前記超高圧ポンプから前記特殊エジェクターに動力水を供給するための動力水供給管と、前記特殊エジェクターの吐出口に接続されて土砂等の排出先まで延ばされ、前記特殊エジェクターで吸引、圧送される土砂等を排送するための排砂管と、を備え、前記超高圧ポンプの作動により前記特殊エジェクターを駆動し、土砂等を前記特殊エジェクターの吸引口から吸引して、前記特殊エジェクターの吐出口、前記排砂管を通して排送する、ことを要旨とする。
このシステムでは、特殊エジェクターの吸引口に土砂等を前記吸引口に吸引案内するためのホッパーを備えることが好ましい。
このシステムでは、1セットの超高圧ポンプと複数台の特殊エジェクターを構成単位とし、前記超高圧ポンプと前記各特殊エジェクターの噴射口との間にそれぞれ各別の動力水供給管が接続され、前記各特殊エジェクターの吐出口にそれぞれ土砂の排出方向と逆方向の流れを阻止する逆止弁を配設された共通の排砂管が連結されることが好ましい。
また、このシステムは、1セットの超高圧ポンプと複数台の特殊エジェクターを構成単位とし、前記超高圧ポンプと前記各特殊エジェクターの噴射口との間にそれぞれ各別の動力水供給管が接続され、前記各特殊エジェクターの吐出口にそれぞれ各別の排砂管が接続されるようにしてもよい。
(2)本発明の土砂等排出システムによれば、既述のとおり、超高圧ポンプ、特殊エジェクター、動力水供給管及び排砂管を備え、超高圧ポンプにより特殊エジェクターを駆動し、この特殊エジェクターで土砂等を吸引し、排砂管へ圧送するようにしたので、上記河川内の土砂等堆積防止方法を実現し、ダムの貯水池、河川などの水底に土砂等の堆積を防止することができる、という格別な効果を奏する。
図1、図2に示すように、この土砂等堆積防止方法では、河川内で土砂等を取り込もうとする土砂等取り込み地点P1に、噴射口22、吸引口213、及び吐出口23を有し、超高圧ポンプ1から送給される高圧の動力水により駆動され、土砂等を連続的に吸引、圧送する特殊エジェクター2を設置し、この特殊エジェクター2の噴射口22に動力水を供給するための動力水供給管3を接続して、動力水供給管3を河川外の超高圧ポンプ設置位置P2まで延ばすとともに、この特殊エジェクター2の吐出口23に土砂等を排送するための排砂管4を接続して、排砂管4を土砂等の排出先P3まで延ばしておく。そして、河川内で土砂等を取り込もうとするときに、河川外の超高圧ポンプ設置位置P2に超高圧ポンプ1を設置し、動力水供給管3と接続して、超高圧ポンプ1を作動することにより特殊エジェクター2を駆動して、この特殊エジェクター2の吸引口213から土砂等を吸引し、排砂管4を通して土砂等の排出先P3へ排送する。
図1、図2に示すように、このシステムSは、高圧の動力水を送給する超高圧ポンプ1と、噴射口22、吸引口213、及び吐出口23を有し、超高圧ポンプ1から送給される高圧の動力水により駆動され、土砂等を吸引、圧送する特殊エジェクター2と、超高圧ポンプ1と特殊エジェクター2の噴射口22との間に接続され、超高圧ポンプ1から特殊エジェクター2に動力水を供給するための動力水供給管3と、特殊エジェクター2の吐出口23に接続されて土砂等の排出先P3まで延ばされ、特殊エジェクター2で吸引、圧送される土砂等を排送するための排砂管4とを備えて構成される。
また、この特殊エジェクター2の吸引口213には、土砂等をこの吸引口213に吸引案内するためのホッパー24が併せて設けられる(図1参照)。
なお、この排砂管で距離400m以上の砂礫土砂の輸送を行う場合は、排砂管に流体を挿入すればよい。この場合、流体は空気とし、空気注入装置により空気を注入する。空気注入装置は空気を供給するコンプレッサーと、コンプレッサーと排砂管との間に接続される注入管とからなり、注入管が特殊エジェクターの吐出口の先0〜20mの位置で排砂管の一部に配管された空気挿入管に接続され、排砂管内に空気を供給する。空気量は1気圧換算で20m3/分以下とする。このようにすると、特殊エジェクターの内管の先0〜20mの位置で排砂管の一部に配管された空気挿入管に空気注入装置により空気が供給され、排砂管内に排送される土砂に空気が混合されるので、排砂管内の土砂濃度が低くなり、排砂管内が土砂により閉塞されるのを防ぎ、所定の排出先まで確実に排送されることになる。また、この排砂管を水に浮かせて配管する必要がある場合は、鋼管1本につき2個のフロートを設置して貯水池に配管すればよい。
この方法では、既述のとおり、まず、河川内で土砂等を取り込もうとする土砂等取り込み地点P1、この場合、ダムの放水口側の河床に、特殊エジェクター2を動力水供給管3、排砂管4とともに設置する。この場合、放水口側の河床にピット5を作り、このピット5(土砂等取り込み地点P1)にピット5(土砂等取り込み地点P1)の大きさに応じて複数台の特殊エジェクター2を設置し、動力水供給管3及び排砂管4を各特殊エジェクター2に接続して各特殊エジェクター2の近傍に配管設置する。ピット5は、ダムの放水口前の河床をダム側から見て奥行方向所定の範囲まで断面凹状に掘削し、その周壁及び底板を現場打ちのコンクリート又はプレキャスト製のコンクリートにより形成して構築する。そして、このピット5内に複数の特殊エジェクター2をダムの放水口の幅方向に所定の間隔で設置し、各特殊エジェクター2の噴射口22に各別に動力水供給管3を接続して、各動力水供給管3を各特殊エジェクター2の一方の側方に配管して河川外の超高圧ポンプ設置位置P2まで延ばし、各特殊エジェクター2の吐出口23にそれぞれ逆止弁付きの共通の1本の排砂管4を連結して(この場合、一端の特殊エジェクター2の吐出口23に排砂管4を直結し、他の各特殊エジェクター2の各吐出口23に排砂用の連結管41を介して排砂管4を連結して)、この共通の排砂管4を各特殊エジェクター2の他の側方に配管して土砂等の排出先P3まで、この場合、河川の下流まで延ばす。また、各特殊エジェクター2には各吸引口213にホッパー24を取り付ける。この場合、各特殊エジェクター2をピット5内にダムの放水口の幅方向に予め設定した所定の間隔で設置することで、各特殊エジェクター2の吸引口213上で各ホッパー24を相互に隣接して配置する。
また、このピット5には、流木や巨礫などの異物がピット5内に入り込まないようにするため、ピット5の開口縁部全周に洪水時の河川の水面よりも高くスクリーン6を設置する。この場合、スクリーン6を複数のH鋼により構成し、H鋼をそれぞれピット5の縁部に鉛直に立てて固定し、ピット5の縁部に沿って配列する。各H鋼の間隔は特殊エジェクター2による吸引圧送が困難な流木や巨礫のピットへの流入を阻止できる程度であればよく、ここでは200mm程度とする。
このようにして、河川内で土砂等を取り込もうとするとき、この場合、河川の洪水時前に、予め、河川外の超高圧ポンプ設置位置P2に超高圧ポンプ1を設置し、動力水供給管3と接続しておき、洪水時に、超高圧ポンプ1を作動することにより各特殊エジェクター2を駆動して、ダムの放水口側の河床で各特殊エジェクター2の吸引口213から、ダムの放水口前の河川流域に流れ込む土砂等を連続的に吸引し、排砂管4を通して土砂等の排出先P3の河川の下流へ排送する。
また、この土砂等の吸引、圧送では、超高圧ポンプ1による高い圧力と大容量の動力水の送給能力と、これに対応可能な大口径の内管23を有する大型の特殊エジェクター2とにより、特殊エジェクター2は粒径150mm程度の石を吸引、圧送することができるので、吸引口213から吸引される土砂の中に粒径150程度の大きさの石が含まれていても、この石は土砂とともに、特殊エジェクター2内部に吸引され、内管23を通して排砂管4へ圧送されて、河川の下流へ排送される。
さらに、この方法及びシステムでは、河川内で土砂等を取り込む必要があるときに、河川外の超高圧ポンプ設置位置P2に超高圧ポンプ1を設置して、動力水供給管3と接続し、このポンプ1を作動すればよいので、例えば水中ポンプなどを常時固定設備として設置するような場合と異なり、全体としてコストの大幅な低減を図ることができる。
またさらに、この方法及びシステムでは、内管23の直径と容量の大きな大型の特殊エジェクター2を用いているので、この特殊エジェクター2で、礫などを吸引しても、内管23がこの礫などで閉塞されることがなく、土砂とともに土砂等の排出先P3へ確実に排送することができる。
また、この方法及びシステムの上記ダムでの適用例では、土砂等の排出先P3を河川の下流として例示したが、予め決められた土捨場などであってもよい。
P2 超高圧ポンプ設置位置
P3 土砂等の排出先
S 土砂等排出システム
1 超高圧ポンプ
2 特殊エジェクター
211 ノズル接続口
212 内管接続口
213 吸引口
21 外管
22 ノズル(噴射口)
23 内管(吐出口)
24 ホッパー
3 動力水供給管
4 排砂管
41 排砂用の連結管
5 ピット
6 スクリーン
Claims (10)
- 河川の水底に土砂等の堆積を防止するのに用いる河川内の土砂等堆積防止方法であって、
河川内で土砂等を取り込もうとする土砂等取り込み地点に、噴射口、吸引口、及び吐出口を有し、超高圧ポンプから送給される高圧の動力水により駆動され、土砂等を連続的に吸引、圧送する特殊エジェクターを設置し、前記特殊エジェクターの噴射口に動力水を供給するための動力水供給管を接続して、前記動力水供給管を河川外の超高圧ポンプ設置位置まで延ばすとともに、前記特殊エジェクターの吐出口に土砂等を排送するための排砂管を接続して、前記排砂管を土砂等の排出先まで延ばしておき、
河川内で土砂等を取り込もうとするときに、前記河川外の超高圧ポンプ設置位置に前記超高圧ポンプを設置し、前記動力水供給管と接続して、前記超高圧ポンプを作動することにより前記特殊エジェクターを駆動し、前記特殊エジェクターの吸引口から土砂等を吸引して、前記排砂管を通して前記土砂等の排出先へ排送する、
ことを特徴とする河川内の土砂等堆積防止方法。 - 土砂等取り込み地点に当該土砂等取り込み地点の大きさに応じて複数台の特殊エジェクターを動力水供給管及び排砂管とともに設置する請求項1に記載の河川内の土砂等堆積防止方法。
- 水力発電所のダムに適用し、土砂等取り込み地点を、ダムの取水口側のダム底又は放水口側の河床又はその両方とする請求項1又は2に記載の河川内の土砂等堆積防止方法。
- 特殊エジェクターの吸引口にホッパーを取り付けて、河川内に流れ込む土砂等を前記ホッパーにより前記特殊エジェクターの吸引口に吸引案内する請求項1乃至3のいずれかに記載の河川内の土砂等堆積防止方法。
- 土砂等取り込み地点にピットを形成し、前記ピットに前記特殊エジェクターを前記動力水供給管及び前記排砂管とともに設置する請求項1乃至4のいずれかに記載の河川内の土砂等堆積防止方法。
- ピットの縁部にスクリーンを設置して、前記ピット内に流木、巨礫などの異物が入り込むのを阻止する請求項5に記載の河川内の土砂等堆積防止方法。
- 請求項1に記載の河川内の土砂等堆積防止方法に用いる土砂等排出システムであって、
高圧の動力水を送給する超高圧ポンプと、
噴射口、吸引口、及び吐出口を有し、前記超高圧ポンプから送給される動力水により駆動され、土砂等を吸引、圧送する特殊エジェクターと、
前記超高圧ポンプと前記特殊エジェクターの噴射口との間に接続され、前記超高圧ポンプから前記特殊エジェクターに動力水を供給するための動力水供給管と、
前記特殊エジェクターの吐出口に接続されて土砂等の排出先まで延ばされ、前記特殊エジェクターで吸引、圧送される土砂等を排送するための排砂管と、
を備え、
前記超高圧ポンプの作動により前記特殊エジェクターを駆動し、土砂等を前記特殊エジェクターの吸引口から吸引して、前記特殊エジェクターの吐出口、前記排砂管を通して排送する、
ことを特徴とする土砂等排出システム。 - 特殊エジェクターの吸引口に土砂等を前記吸引口に吸引案内するためのホッパーを備える請求項7に記載の土砂等排出システム。
- 1セットの超高圧ポンプと複数台の特殊エジェクターを構成単位とし、前記超高圧ポンプと前記各特殊エジェクターの噴射口との間にそれぞれ各別の動力水供給管が接続され、前記各特殊エジェクターの吐出口にそれぞれ土砂の排出方向と逆方向の流れを阻止する逆止弁を配設された共通の排砂管が連結される請求項7又は8に記載の土砂等排出システム。
- 1セットの超高圧ポンプと複数台の特殊エジェクターを構成単位とし、前記超高圧ポンプと前記各特殊エジェクターの噴射口との間にそれぞれ各別の動力水供給管が接続され、前記各特殊エジェクターの吐出口にそれぞれ各別の排砂管が接続される請求項7又は8に記載の土砂等排出システム。
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