JP6145379B2 - ブロー成形容器及びブロー成形容器の製造方法 - Google Patents
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Description
エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を主成分とする第1層(以下、「(1)層」ともいう)を備えるブロー成形容器であって、上記(1)層が、飽和アルデヒド(II)を含有し、この飽和アルデヒド(II)の上記(1)層における含有量が0.01ppm以上100ppm以下であることを特徴とするブロー成形容器である。
図1のブロー成形容器5は、
(1)エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を主成分とする層1、
(2)上記(1)層の内面側及び外面側に配置され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂を主成分とする一対の層2、
(3)上記(1)層と(2)層との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする一対の層3、及び
(4)エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂、及びカルボン酸変性ポリオレフィンを含有する層4を備える。具体的にブロー成形容器5は、容器内部表面6から容器外部表面7に向かって、(2)層2、(3)層3、(1)層1、(3)層3、(4)層4、(2)層2の順に積層した多層構造を有する。ブロー成形容器5の全体平均厚みとしては、300〜10,000μmが好ましく、500〜8,500μmがより好ましく、1,000〜7,000μmがさらに好ましい。なお、これらの全体平均厚みはブロー成形容器5の胴部における平均厚みをいう。全体平均厚みが大き過ぎると重量が大きくなり、例えば自動車等の燃料容器に使用する場合には燃費に悪影響を及ぼし、容器のコストも上昇する。一方全体平均厚みが小さ過ぎると剛性が保てず、容易に破壊されてしまうおそれがある。したがって、容量や用途に対応した厚みを設定することが重要である。なお、図1はブロー成形容器5の周壁の部分断面図である。以下、各層毎に説明する。
(1)層1は、EVOH(I)を主成分とする層であり、0.01ppm以上100ppm以下の飽和アルデヒド(II)を含有する。ブロー成形容器1は、上記特定量の飽和アルデヒド(II)を含有する(1)層1を備えることで、溶融成形によるゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥の発生、着色及び臭気を抑制することができ、外観に優れる。また、上記(1)層1が上記特定量の飽和アルデヒド(II)を含有することで、ブロー成形容器5の製造工程におけるセルフパージ性にも優れるため、製造コストを低減することができる。また、上記(1)層1は、共役ポリエン化合物をさらに含有することが好ましい。さらに、上記(1)層1は、本発明の効果を損なわない限り、ホウ素化合物、酢酸類、リン化合物、その他の任意成分を含有してもよい。ここで、「主成分」とは、質量基準で最も多い成分をいう。「ppm」は、各層中の該当成分の質量割合であり、1ppmは0.0001質量%である。「ホウ素化合物の含有量」は、ホウ酸換算質量としての含有量である。「酢酸塩の含有量」は、酢酸換算質量としての含有量である。「リン化合物の含有量」は、リン元素換算質量としての含有量である。以下、各成分について詳述する。
EVOH(I)は、エチレンとビニルエステルとの共重合体をケン化して得られるエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
飽和アルデヒド(II)は、溶融成形によるゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥の発生、着色及び臭気を抑制すると共に、セルフパージ性を改善するものである。ここで、飽和アルデヒド(II)とは分子内のアルデヒド基以外の部分に不飽和結合を含まないアルデヒドをいう。飽和アルデヒド(II)は、アルデヒド基以外の部分に不飽和結合を含まない限りは、直鎖状のアルデヒドであっても、分枝状のアルデヒドであっても、分子内に環構造を有するアルデヒドであってもよい。飽和アルデヒド(II)の分子内のアルデヒド基の数は、1であっても2以上であってもよい。
共役ポリエン化合物は、溶融成形時の酸化劣化を抑制するものである。ここで、共役ポリエン化合物とは、炭素−炭素二重結合と炭素−炭素単結合が交互に繋がってなる構造を有し炭素−炭素二重結合の数が2個以上である、いわゆる共役二重結合を有する化合物である。この共役ポリエン化合物は、共役二重結合を2個有する共役ジエン、3個有する共役トリエン、又はそれ以上の数を有する共役ポリエンであってもよい。また、上記共役二重結合が互いに共役せずに1分子中に複数組あってもよい。例えば、桐油のように共役トリエン構造が同一分子内に3個ある化合物も上記共役ポリエン化合物に含まれる。
イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1−メトキシ−1,3−ブタジエン、2−メトキシ−1,3−ブタジエン、1−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−ニトロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、2−ブロモ−1,3−ブタジエン、フルベン、トロポン、オシメン、フェランドレン、ミルセン、ファルネセン、ソルビン酸、ソルビン酸エステル、ソルビン酸塩等の共役ジエン;
1,3,5−ヘキサトリエン、2,4,6−オクタトリエン−1−カルボン酸、エレオステアリン酸、桐油、コレカルシフェロール等の共役トリエン;
シクロオクタテトラエン、2,4,6,8−デカテトラエン−1−カルボン酸、レチノール、レチノイン酸等の共役ポリエン等が挙げられる。なお、上記共役ポリエン化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ホウ素化合物は、溶融成形時のゲル化を抑制すると共に押出成形機等のトルク変動(加熱時の粘度変化)を抑制するものである。また、上記(1)層1がホウ素化合物をさらに含有することで、製造時のセルフパージ性にもさらに優れるため、さらに低コストで製造することができる。
オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ酸類;
ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル等のホウ酸エステル;
上記ホウ酸類のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、ホウ砂等のホウ酸塩;
水素化ホウ素類等が挙げられる。これらのうち、ホウ酸類が好ましく、オルトホウ酸(以下、単に「ホウ酸」と称することもある)がより好ましい。
酢酸類は、ブロー成形容器5の着色と溶融成形時のゲル化とを抑制するものである。この酢酸類は、酢酸及び酢酸塩を含む。酢酸類としては、酢酸及び酢酸塩を併用することが好ましく、酢酸及び酢酸ナトリウムを併用することがより好ましい。
リン化合物は、ゲル状ブツ等の欠陥の発生、着色及び臭気をより抑制し、成形品の外観を向上させるものである。このリン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸等のリン酸塩等が挙げられる。
上記(1)層1は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含有してもよい。その他の任意成分としては、例えばアルカリ金属又はその塩、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、熱安定剤、他の樹脂、高級脂肪族カルボン酸の金属塩等が挙げられる。当該樹脂組成物は、これらの任意成分を2種以上含有してもよく、任意成分の合計含有量としては、上記(1)層1中の1質量%以下が好ましい。
上記(1)層1は、各成分を含有するEVOH含有樹脂組成物により形成することができる。このEVOH含有樹脂組成物の製造方法としては、EVOH(I)中に飽和アルデヒド(II)を均一にブレンドでき、最終的に得られる(1)層1において、0.01ppm以上100ppm以下の範囲の飽和アルデヒド(II)を含有させられる製造方法であれば特に限定されないが、
(1)エチレンとビニルエステルとを共重合させる工程(以下、「工程(1)」ともいう)、及び
(2)工程(1)により得られた共重合体をケン化する工程(以下、「工程(2)」ともいう)
を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体含有樹脂組成物の製造方法であって、
上記樹脂組成物中に0.01ppm以上100ppm以下の飽和アルデヒド(II)を含有させることを特徴とする樹脂組成物の製造方法が好ましい。
上記工程(1)において特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法、
上記工程(2)において特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法、
上記工程(2)により得られたEVOHに、特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法等が挙げられる。しかし、上記工程(1)において特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法、又は上記工程(2)において特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法を採用する場合において、得られる樹脂組成物中に所望量の飽和アルデヒド(II)を含有させるためには、上記工程(1)における重合反応、上記工程(2)におけるケン化反応で消費される量を考慮して添加量を多くする必要があり、これらの反応を阻害するおそれがある。また、重合反応やケン化反応の反応条件により消費される量が変動するため、樹脂組成物中の飽和アルデヒド(II)の含有量を調節することが難しい。したがって、上記工程(2)より後に、上記工程(2)により得られたEVOH(I)に、特定量の飽和アルデヒド(II)を添加する方法が好ましい。
上記(2)層2は、上記(1)層1の内面側及び外面側に配置され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂を主成分とする層である。この式によって算出される溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂は、耐湿性に優れる。なお、Fedorsの式から算出される溶解性パラメータとは、(E/V)1/2で表される値である。上記式中、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)であり、E=Σeiで表される。なお、eiは蒸発エネルギーである。また、Vは分子容(cm3/mol)であり、V=Σvi(vi:モル体積)で表される。
上記(3)層3は、上記(1)層1と(2)層2との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする層である。上記(3)層3は、(1)層1と(2)層2等の他の層との間の接着層として機能させることができる。なお、上記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物を付加反応、グラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基又はその無水物基を有するオレフィン系重合体のことをいう。
低密度、中密度又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテン等のポリオレフィン;
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のオレフィンとこれらのオレフィンと共重合し得るビニルエステル、不飽和カルボン酸エステル等のコモノマーとの共重合体等が挙げられる。これらうち、直鎖状低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が5〜55質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体、及びアクリル酸エチル含有量8〜35質量%であるエチレン−アクリル酸エチル共重合体が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン及び酢酸ビニル含有量が5〜55質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
上記(4)層4は、上記エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)、上記熱可塑性樹脂、及び上記カルボン酸変性ポリオレフィンを含有する層である。また、上記(4)層4は、ブロー成形容器5の製造工程における上記(1)層1、(2)層2及び(3)層3の回収物を用いて形成されることが好ましい。回収物としては、ブロー成形容器5の製造工程において発生するバリ、検定の不合格品等が挙げられる。ブロー成形容器5がこのような回収層としての(4)層4をさらに有することで、かかるバリや、検定の不合格品を再利用することによって、ブロー成形容器5の製造時に使用される樹脂のロスを低減することが可能となる。
ブロー成形容器5は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を主成分とする樹脂組成物を用いてブロー成形する工程を有し、上記樹脂組成物が飽和アルデヒド(II)を含有し、この飽和アルデヒド(II)の上記樹脂組成物における含有量が0.01ppm以上100ppm以下である製造方法により製造することが好ましい。具体的には、(1)層1を形成する乾燥EVOH含有樹脂組成物ペレット、(2)層2を形成する高密度ポリエチレン樹脂等、(3)層3を形成する接着性樹脂、及び(4)層4を形成する回収樹脂等を用い、ブロー成形機にて100℃〜400℃の温度で、例えば(内)2/3/1/3/4/2(外)の4種6層パリソンを用いてブロー成形し、金型内温度10℃〜30℃で10秒間〜30分間冷却し、全層平均厚み300μm〜10,000μmの中空容器を成形することができる。
本発明のブロー成形容器は、上記図1の形態に限定されず、少なくとも(1)層を備えていればよい。具体的には、回収層としての(4)層等を備えなくてもよい。さらに、他の層が積層されてもよい。また、接着性がよい樹脂の組合せを選択することで、接着層としての(3)層を省略してもよい。
本発明のブロー成形容器は、燃料容器として使用できる。該燃料容器はフィルター、残量計、バッフルプレート等を備えていてもよい。当該燃料容器は、上述のブロー成形容器を備えることで、外観、ガスバリア性、耐油性等にも優れるため燃料容器として好適に用いられる。ここで、燃料容器とは、自動車、オートバイ、船舶、航空機、発電機、工業用若しくは農業用機器等に搭載された燃料容器、又はこれら燃料容器に燃料を補給するための携帯用燃料容器、さらには、燃料を保管するための容器を意味する。また、燃料としては、ガソリン、特にメタノール、エタノール又はMTBE等をブレンドした含酸素ガソリン等が代表例として挙げられるが、その他、重油、軽油、灯油等も含まれるものとする。これらうち、当該燃料容器は、含酸素ガソリン用燃料容器として特に好適に用いられる。
本発明のブロー成形容器は、ボトルとして使用できる。成形方法は例えば、ダイレクトブロー成形及びインジェクションブロー成形が挙げられる。ボトル状に成形した当該ブロー成形容器は、外観、ガスバリア性、耐油性等にも優れるため、食品、化粧品などのボトル容器に好適に用いられる。
[合成例1]
250Lの加圧反応槽を用いて以下の条件でエチレン−酢酸ビニル共重合体の重合を実施した。
酢酸ビニル83.0kg、
メタノール26.6kg、
2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2.5g/Lメタノール溶液)の供給量 1119.5mL/hr
重合温度 60℃
重合槽エチレン圧力 3.6MPa
重合時間 5.0時間
得られた共重合体における酢酸ビニルの重合率は約40%であった。この共重合反応液にソルビン酸を添加した後、追出塔に供給し、塔下部からのメタノール蒸気の導入により未反応酢酸ビニルを塔頂より除去して、エチレン−酢酸ビニル共重合体の41%メタノール溶液を得た。このエチレン−酢酸ビニル共重合体のエチレン含有量は32mol%であった。このエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液をケン化反応器に仕込み、苛性ソーダ/メタノール溶液(80g/L)を、共重合体中のビニルエステル成分に対して0.4当量となるように添加し、メタノールを加えて共重合体濃度が20%になるように調整した。この溶液を60℃に昇温し、反応器内に窒素ガスを吹き込みながら約4時間反応させた。この溶液を円形の開口部を有する金板から水中に押し出して析出させ、切断することで直径約3mm、長さ約5mmのペレットを得た。得られたペレットを遠心分離機で脱液し、さらに大量の水を加え脱液する操作を繰り返した。
上記脱液したペレット20kgを、180kgの水/メタノール=40/60(質量比)の混合溶媒に入れ、60℃で6時間攪拌し完全に溶解させた。得られた溶液に飽和アルデヒド(II)、及び共役ポリエン化合物を添加し、さらに1時間攪拌して飽和アルデヒド(II)及び共役ポリエン化合物を完全に溶解させ、樹脂組成物溶液を得た。この樹脂組成物溶液を直径4mmのノズルより、0℃に調整した水/メタノール=90/10(質量比)の凝固浴中に連続的に押出してストランド状に凝固させた。このストランドをペレタイザーに導入して多孔質の樹脂組成物チップを得た。得られた多孔質の樹脂組成物チップを酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄を行った。この洗浄液と樹脂組成物チップを分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で4時間乾燥を行い、さらに100℃で16時間乾燥を行って、樹脂組成物(乾燥樹脂組成物ペレット)を得た。得られた樹脂組成物における各成分の含有量を上記定量方法により定量し、(1)層における含有量とした。飽和アルデヒド(II)の添加量、浸漬処理用水溶液の各成分の濃度を調節することにより、飽和アルデヒド(II)及び共役ポリエン化合物の含有量が表1に記載の通りとなるように各樹脂組成物を調製した。
合成例1と同様に操作し、ペレットを得た。得られたペレット20kg、飽和アルデヒド(II)を180kgの水/メタノール=40/60(質量比)の混合溶媒に入れ、60℃で6時間攪拌し完全に溶解させた。得られた溶液に共役ポリエン化合物としてのソルビン酸を添加し、さらに1時間攪拌してソルビン酸を完全に溶解させ、樹脂組成物溶液を得た。この樹脂組成物溶液を直径4mmのノズルより、0℃に調整した水/メタノール=90/10(質量比)の凝固浴中に連続的に押出してストランド状に凝固させた。このストランドをペレタイザーに導入して多孔質の樹脂組成物チップを得た。得られた多孔質の樹脂組成物チップを酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄した後、酢酸、酢酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム及びホウ酸を含む水溶液で浸漬処理を行った。この浸漬処理用水溶液と樹脂組成物チップを分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で4時間乾燥を行い、さらに100℃で16時間乾燥を行って、樹脂組成物(乾燥樹脂組成物ペレット)を得た。得られた樹脂組成物における各成分の含有量は、上記定量方法を用いて定量した。なお、浸漬処理用水溶液の各成分の濃度を調節することにより、各成分の含有量が表1に記載の通りとなるように樹脂組成物を調製した。
このようにして得られた各EVOH含有樹脂組成物について、以下のように評価した。評価結果を表1に合わせて示す。また、本実施例における各定量は、以下の方法を用いて行った。
メトラー・トレド社のハロゲン水分率分析装置「HR73」を用い、乾燥温度180℃、乾燥時間20分、サンプル量約10gの条件で、含水EVOHペレットの含水率を測定した。以下に示す含水EVOHの含水率は、EVOHの乾燥質量基準の質量%である。
DMSO−d6を溶媒とした1H−NMR(日本電子株式会社製「JNM−GX−500型」)により求めた。
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS Z8801−1〜3準拠)で分けた。上記ふるいを通過したEVOH粉末10gとイオン交換水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付けて、95℃で10時間撹拌した。得られた溶液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。この希釈溶液を、横河電機社のイオンクロマトグラフィー「ICS−1500」を用い、下記測定条件に従ってカルボン酸イオンの量を定量することで、カルボン酸及びカルボン酸イオンの量を算出した。なお、定量に際してはモノカルボン酸又は多価カルボン酸を用いて作成した検量線を用いた。
カラム :DIONEX社の「IonPAC ICE−AS1(9φ×250mm、電気伝導度検出器)」
測定温度 :35℃
溶離液流速 :1mL/min.
分析量:50μL
乾燥EVOHペレット0.5gをアクタック製のテフロン(登録商標)製耐圧容器に仕込み、和光純薬工業社の精密分析用硝酸5mLをさらに加えた。30分放置後、ラプチャーディスク付きキャップリップにて容器に蓋をし、アクタック社のマイクロウェーブ高速分解システム「スピードウェーブ MWS−2」にて150℃10分、次いで180℃10分処理し、乾燥EVOHペレットを分解させた。乾燥EVOHペレットの分解が完了できていない場合は、処理条件を適宜調節した。得られた分解物を10mLのイオン交換水で希釈し、すべての液を50mLのメスフラスコに移し取り、イオン交換水で定容し、分解物溶液を得た。
K :766.490nm
Mg :285.213nm
Ca :317.933nm
P :214.914nm
B :249.667nm
Si :251.611nm
Al :396.153nm
Zr :343.823nm
Ce :413.764nm
W :207.912nm
Mo :202.031nm
50質量%の2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)溶液200mgに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)50mL、酢酸11.5mL及びイオン交換水8mLを添加し、DNPH調整溶液を作製した。その後、乾燥EVOH含有樹脂組成物ペレット1gをDNPH調整溶液20mLに添加し、35℃にて1時間攪拌溶解させた。この溶液にアセトニトリルを添加してEVOHを析出させ沈降させた後、濾過して得られた溶液を濃縮し、抽出サンプルを得た。この抽出サンプルを下記条件の高速液体クロマトグラフィーにて定量分析することで、飽和アルデヒド(II)を定量した。定量に際しては、それぞれの飽和アルデヒド(II)の標品をDNPH溶液と反応させて作成した検量線を使用した。なお、飽和アルデヒド(II)の検出下限は、0.01ppmであった。なお、本願においては、ブロー成形容器における各層中の各成分の含有量として、その層を形成するために用いた乾燥樹脂組成物における含有量を用いた。
移動相:水/アセトニトリル=52:48(体積比)
検出器:PDA(360nm)、TOF−MS
乾燥樹脂組成物ペレットを凍結粉砕により粉砕し、呼び寸法0.150mm(100メッシュ)のふるい(JIS規格Z8801−1〜3準拠)によって粗大粒子を除去して得た粉砕物10gをソックスレー抽出器に充填し、クロロホルム100mLを用いて48時間抽出処理した。この抽出液中の共役ポリエン化合物の量を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析することで、共役ポリエン化合物の量を定量した。なお、定量に際しては、それぞれの共役ポリエン化合物の標品を用いて作成した検量線を使用した。
乾燥樹脂組成物ペレットを空気中120℃で15時間熱処理したペレット10gを300mlの三角フラスコに取り、水/プロパノール混合溶液(質量比:水/プロパノール=45/55)100mlを加え、75℃で3時間攪拌した。3時間加熱攪拌した溶液について、目視にて溶液の透明性と着色を下記評価基準により評価した。
「良好(A)」:透明、目視で確認できる浮遊物なし。
「やや良好(B)」:やや白濁、目視で確認できる浮遊物あり。
「不良(C)」:白濁、浮遊物あり。
「良好(A)」:無色
「やや良好(B)」:やや着色
「不良(C)」:著しく着色
乾燥樹脂組成物ペレット60gをラボプラストミル(東洋精機製作所製「20R200」二軸異方向)100rpm、260℃で混練し、混練開始から5分後のトルク値が1.5倍になるまでの所要時間を測定し、以下の評価基準で評価した。
「良好(A)」:60分以上
「やや良好(B)」:40分以上60分未満
「不良(C)」:40分未満
樹脂組成物ペレット20gを100mLガラス製サンプル管に入れ、アルミホイルで口部に蓋をした後、熱風乾燥機内で220℃で30分間加熱した。乾燥機から取り出し、室温で30分間放冷した後、サンプル管を2〜3回振り混ぜ、アルミホイルの蓋を取り臭気を評価した。試料ペレットの臭気の強さを下記評価基準により評価した。
A: 臭気を感じない
B: 弱い臭気を感じる
C: 明らかに臭気を感じる
上記乾燥EVOH樹脂ペレット4質量部、高密度ポリエチレン樹脂(三井石油化学製 HZ8200B、190℃−2160g荷重におけるMFR=0.01g/10分)86質量部、及び接着性樹脂(三井化学製ADMER GT−6A、190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)10質量部をドライブレンド後、二軸押出機(「2D25W」、株式会社東洋精機製作所製;25mmφ、ダイ温度220℃、スクリュー回転数100rpm)を用い、窒素雰囲気下で押出しペレット化を行った。さらにモデル回収樹脂を得るために、この押出ペレットをさらに同押出機及び同条件で押出しペレット化を実施、同作業を4回(押出機でのブレンドは計5回)実施し回収樹脂を得た。
[実施例1〜14、比較例1〜3]
上記乾燥EVOH樹脂ペレット、上記高密度ポリエチレン樹脂、上記接着性樹脂、及び上記回収樹脂を用い、鈴木製工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で、(内側)高密度ポリエチレン/接着性樹脂/EVOH/接着性樹脂/回収樹脂/樹脂組成物(外側)の4種6層パリソンを2時間放流し、2時間加熱状態のまま運転を停止させた。その後運転を再開し、各所定時間後に製造したブロー成形容器を評価した。なお、ブロー成形容器の製造においては、金型内温度15℃で20秒間冷却し、全層厚み1,000μm((内側)高密度ポリエチレン/接着性樹脂/EVOH/接着性樹脂/回収樹脂/樹脂組成物(外側)=(内側)340/50/40/50/400/120μm(外側))の3Lタンクを成形した。このタンクの底面直径は100mm、高さは400mmであった。なお、実施例1〜11、13、14、比較例1、2の乾燥EVOH樹脂ペレットは、上記合成例1によって得た。また、実施例12の乾燥EVOH樹脂ペレットは、上記合成例2によって得た。比較例3の乾燥EVOH樹脂ペレットは、上記合成例1により得ているが、EVOH含有樹脂組成物の調製において飽和アルデヒド(II)は添加しなかった。
このようにして得られた各ブロー成形容器について、以下のように評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
[外観の評価]
再立ち上げ40分後に成形した3Lタンクについて、目視にてストリーク及び着色を下記基準にて評価し、外観の評価とした。
「良好(A)」:ストリークは認められなかった。
「やや良好(B)」:ストリークが確認された。
「不良(C)」:多数のストリークが確認された。
「良好(A)」:無色
「やや良好(B)」:黄変
「不良(C)」:著しく黄変
再立ち上げ20分後、40分後、及び10時間後にブロー成形した3Lタンクに、プロピレングリコールを2.5L充填し、開口部をポリエチレン40μm/アルミ箔12μm/ポリエチレンテレフタレート12μm構成のフィルムで熱シールして蓋をした。このタンクを−40℃で3日間冷却し、開口部が上になるように6mの高さから落下させ、破壊した個数で評価した(n=10)。再立ち上げ20分後の耐衝撃性がセルフパージ性の指標となる。
「良好(A)」:3個未満
「やや良好(B)」:3個〜6個未満
「不良(C)」:6個以上
2 (2)層
3 (3)層
4 (4)層
5 ブロー成形容器
6 容器内部表面
7 容器外部表面
Claims (10)
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を主成分とする第1層を備えるブロー成形容器であって、
上記第1層が、プロパナール(II)を含有し、
このプロパナール(II)の上記第1層における含有量が0.01ppm以上100ppm以下であることを特徴とするブロー成形容器。 - 上記第1層が共役ポリエン化合物を含有し、この共役ポリエン化合物の上記第1層における含有量が0.01ppm以上1,000ppm以下である請求項1に記載のブロー成形容器。
- 上記共役ポリエン化合物が、ソルビン酸及びソルビン酸塩の少なくとも一方である請求項2に記載のブロー成形容器。
- 上記第1層の内面側及び外面側に配置され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂を主成分とする一対の第2層、及び
上記第1層と一対の第2層との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする一対の第3層を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のブロー成形容器。 - 上記エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)、上記熱可塑性樹脂及び上記カルボン酸変性ポリオレフィンを含有する第4層を備える請求項4に記載のブロー成形容器。
- 上記第4層が、ブロー成形容器の製造工程における上記第1層、第2層及び第3層の回収物を用いて形成される請求項5に記載のブロー成形容器。
- 上記第1層の平均厚みが全層平均厚みの5.0%以下であり、かつ
上記第4層におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量が9.0質量%以下である請求項5又は請求項6に記載のブロー成形容器。 - 燃料容器である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のブロー成形容器。
- ボトルである請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のブロー成形容器。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を主成分とする樹脂組成物を用いてブロー成形する工程を有し、
上記樹脂組成物がプロパナール(II)を含有し、
このプロパナール(II)の上記樹脂組成物における含有量が0.01ppm以上100ppm以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のブロー成形容器の製造方法。
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