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JP6141733B2 - 血液循環装置 - Google Patents

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JP6141733B2
JP6141733B2 JP2013195762A JP2013195762A JP6141733B2 JP 6141733 B2 JP6141733 B2 JP 6141733B2 JP 2013195762 A JP2013195762 A JP 2013195762A JP 2013195762 A JP2013195762 A JP 2013195762A JP 6141733 B2 JP6141733 B2 JP 6141733B2
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Description

本発明は、血液を患者の体外へ移送して循環させる血液循環装置に関する。
例えば患者の心臓外科手術を行う場合には、体外循環装置のポンプを作動して患者の静脈(大静脈)より脱血し、人工肺により血液中のガス交換を行った後に、この血液を再び患者の動脈(大動脈)に戻す体外血液循環を行う。このような手術や治療を適切に行うためには、ポンプによる血液の流量値を正確に把握することが必要である。
特許文献1は、体外循環装置とは異なる体内埋め込み型の血液ポンプの流量推定方法を示している。この血液ポンプの流量推定方法では、血液ポンプ特性の個体差によって血液の吐出流量の推定結果の精度が劣化するのを抑制することができる。血液ポンプの流量推定方法の第1ステップでは、複数の血液ポンプのそれぞれを用いて補正項を含む一般流量推定式を作成するステップ及び患者の体内に埋め込んだ血液ポンプ実機を用いて得られる測定データを補正項に代入して一般流量推定式から血液ポンプ実機における流量推定式を作成するステップを含む。そして、第2ステップでは、患者の体内に埋め込んだ血液ポンプ実機におけるモータの回転数N及ぶモータの消費電流I並びに患者の血液の属性データZを測定して、血液ポンプ実機における流量推定式とこれらの値N,I,Zに基づいて、血液ポンプの流量を推定する。
この血液ポンプの流量推定をする場合に第2ステップでは、特許文献1の段落番号0033に記載されているように、患者の血液の属性データZは、患者の血液の粘度及び密度を測定する代わりに、患者の血液のヘマトクリット値を測定して、このヘマトクリット値から換算して得られる換算粘度及び換算密度を用いて血液ポンプの吐出流量を推定している。
特開2010−119859号公報
特許文献1に記載されている血液ポンプの吐出流量の推定方法では、患者の体内に埋め込んだ血液ポンプ実機について、患者の血液のヘマトクリット値を測定して、このヘマトクリット値から換算して得られる換算粘度及び換算密度を用いて単にあらかじめ血液ポンプの吐出流量を推定しておくだけである。
ところが、体外循環装置のポンプを作動して体外血液循環を行う場合には、患者の血液の特性(密度)は、各患者によって違っているだけではなく、手術中には、例えば血液が整理食塩水と混ざって、循環される血液が薄くなることがあり、体外血液循環中には患者の血液の特性(密度)が一定ではなく時々刻々と変化する。
このため、特許文献1においてヘマトクリット値から換算して得られる換算粘度及び換算密度を用いてあらかじめ血液ポンプの吐出流量を推定しておく技術は、患者の血液中のヘマトクリット値と患者の血液の特性(密度)が一定とした場合のみ利用できるだけであり、患者の血液の特性(密度)が一定ではなく変化する体外循環装置には適用することはできない。さらには、体内循環装置の場合でも、患者の状況(例えば、運動による発汗で血液中の水分が減った場合や、乾燥した環境下で体内の水分量が減った場合など)によっては患者の血液の特性(密度)が変化するので、このような場合では体内循環装置であっても適用することはできない。
そこで、本発明は、ポンプを作動して血液循環を行う場合に、時々刻々と変化する患者の血液の特性の変化に対応して、血液の流量値を正確に測定することができる血液循環装置を提供することを目的とする。
本発明の血液循環装置は、循環回路に配置されたポンプを用いて、患者の血液を前記患者の体外で循環させる血液循環装置であって、前記循環回路に配置されて、前記循環回路を通る前記血液の測定流量値を得る超音波信号検出部と、前記循環回路に配置されて、前記循環回路を通る前記血液のヘマトクリット値を測定する測定部と、を有し、前記測定部は、前記血液循環回路において、血液が循環される方向において、前記超音波信号検出部より上流側で且つ前記超音波信号検出部に接近した位置に配置され、前記測定部により測定されたヘマトクリット値を前記測定ごとに常時更新して更新後のヘマトクリット値に基づいて、前記超音波信号検出部から得られる前記血液の測定流量値を補正して、補正した血液の流量値を得る制御部とを有することを特徴とする。
上記構成によれば、超音波信号検出部により検出される血液の測定流量値は、血液の密度により測定誤差が生じる。特に、測定部が血液の密度と相関性のあるヘマトクリット値は、例えば手術中の生理食塩水の使用等を原因として変化する。そこで、ヘマトクリット値を測定して、該ヘマトクリット値を更新し、該更新後のヘマトクリット値に基づいて、超音波信号検出部から得られる血液の測定流量値を補正して、補正した血液の流量値を得る。このため、ポンプを作動して血液循環を行う場合に、時々刻々と変化する患者の血液の特性の変化に対応して、血液の流量値を正確に測定することができる。
好ましくは、前記更新後のヘマトクリット値及び血液温度に基づいて、前記血液の前記測定流量値を補正することを特徴とする。
好ましくは、前記測定部は、発光部と受光部を有し、発光部から血液へ照射された光を受光部が検出することでヘマトクリット値を測定することを特徴とする。
本発明は、時々刻々と変化する患者の血液の特性の変化に対応して、ポンプによる血液の流量値を正確に測定することができる血液循環装置を提供することができる。
本発明の体外循環装置の好ましい第1実施形態を示す系統図。 図2(A)と図2(B)は、超音波気泡検出センサの構造例と、脱血チューブ11の一部分の断面を示す図。 図3(A)と図3(B)は、液温が異なる時の複数の対応表の例を示す図。 本発明の体外循環装置の好ましい第2実施形態を示す系統図。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。例えば、本発明の実施形態では、血液循環装置を体外循環装置で説明するが、体外循環装置に限られたものではなく、体内埋め込み型の体内循環装置でも構わないということを意味している。
図1は、本発明の体外循環装置の好ましい実施形態を示す系統図である。
図1に示す体外循環装置1が行う「体外循環」には、「体外循環動作」と、「補助循環動作」を含む。体外循環装置1は、「体外循環動作」と「補助循環動作」のいずれも行うことができる。
「体外循環動作」とは、例えば心臓外科手術によって一時的に心臓での血液循環を止めるような場合に、この体外循環装置1により血液の循環動作とこの血液に対するガス交換動作(酸素付加および/または二酸化炭素除去)を行うことである。「補助循環動作」とは、体外循環装置1の適用対象である患者Pの心臓が十分な機能を果たせない場合や肺によるガス交換が十分に行えないような状態において体外循環装置1によっても血液の循環動作とこの血液に対するガス交換動作を行うことである。
図1に示す体外循環装置1は、例えば患者の心臓外科手術を行う場合には、体外循環装置1のポンプを作動して患者の静脈(大静脈)から脱血して、人工肺により血液中のガス交換を行って血液の酸素化を行った後に、この血液を再び患者の動脈(大動脈)に戻す人工肺体外血液循環を行うことができる。この体外循環装置1は、心臓と肺の代行を行う装置である。
図1に示す体外循環装置1は、血液を循環させる循環回路1Rを有している。循環回路1Rは、人工肺2と、遠心ポンプ3と、駆動手段であるドライブモータ4と、静脈側カテーテル(脱血側カテーテル)5と、動脈側カテーテル(送血側カテーテル)6と、制御部としてのコントローラ10を有している。
図1に示すように、静脈側カテーテル(脱血側カテーテル)5は、大腿静脈より挿入され、静脈側カテーテル5の先端が右心房に留置される。動脈側カテーテル(送血側カテーテル)6は、大腿動脈より挿入される。静脈側カテーテル5は脱血チューブ11を用いて遠心ポンプ3に接続されている。脱血チューブ(脱血ラインともいう)11は、血液を送る管路である。ドライブモータ4がコントローラ10の指令SGにより遠心ポンプ3を動作すると、遠心ポンプ3は、脱血チューブ11から脱血して人工肺2に通した後に、送血チューブ12(送血ラインともいう)を介して患者Pに血液を戻すことができる。
人工肺2は、遠心ポンプ3と送血チューブ12の間に配置されている。人工肺2は、この血液に対するガス交換動作(酸素付加および/または二酸化炭素除去)を行う。人工肺2は、例えば膜型人工肺であるが、特に好ましくは中空糸膜型人工肺を用いる。この人工肺2には、酸素ガス供給部13から酸素ガスがチューブ14を通じて供給される。送血チューブ12は、人工肺2と動脈側カテーテル6を接続している管路である。脱血チューブ11と送血チューブ12は、例えば塩化ビニル樹脂やシリコーンゴム等の透明性の高い、可撓性を有する合成樹脂製の管路が使用できる。脱血チューブ11内では、血液はV方向に流れ、送血チューブ12内では、血液はW方向に流れる。
図1に示すように、超音波気泡検出センサ20が、脱血チューブ11の途中において脱血チューブ11の外側に配置されている。
ファストクランプ17は、送血チューブ12の途中位置において送血チューブ12の外側に配置されている。
超音波気泡検出センサ20が、脱血チューブ11内に送られている血液中に気泡があるのを検出した場合には、超音波気泡検出センサ20は、コントローラ10に気泡を検出した検出信号を送る。これにより、ファストクランプ17は、コントローラ10の指令により、血液が患者P側に送られるのを阻止するために、送血チューブ12を緊急に閉塞する。
超音波気泡検出センサ20では血液循環動作中に三方活栓18の誤操作やチューブの破損等により回路内に気泡が混入された場合にこの混入された気泡を検出することができる。また超音波気泡センサ20では設定された感度によって検出する気泡の大きさを変更することができる。もし気泡が検出されると、図1のコントローラ10は、アラームによる警報を報知したり、遠心ポンプ3の回転数を低くしたり、あるいは遠心ポンプ3を停止ししかもファストクランプ17に指令して、ファストクランプ17により送血チューブ12を直ちに閉塞して、気泡が患者Pの体内に送られるのを阻止することができる。
これにより、体外循環装置1の血液回路の一時停止を行って、気泡が患者Pの人体に混入するのを防止する。
ここで、血液中に気泡が存在しないにもかかわらず、気泡が存在すると誤動作した場合には、上述したように体外循環装置1の循環回路1Rの一時停止を行ってしまうリスクがあることから、気泡の存在の有無を間違いなく確実に認識する必要がある。
次に、図1に示す超音波気泡検出センサ20の構造例を、図2を参照して説明する。
図2(A)と図2(B)は、超音波気泡検出センサ20の構造例と、脱血チューブ11の一部分の断面を示している。
超音波気泡検出センサ20は、本体20Bと、この本体20Bに保持されたセンサユニット21有している。センサユニット21は2つの送受信トランスデューサ21A,21Bを有している。
センサユニット21の2つの送受信トランスデューサ21A,21Bは対向して配置されている。
第1センサユニット21の2つの送受信トランスデューサ21A,21Bは、超音波受信強度の変化から、気泡サイズ(気泡の大きさ)を検出する。
図2(A)に示すように、脱血チューブ11内を通る血液DBには気泡が無い状態、いわゆる非気泡検出時には、超音波気泡流量検出センサ20の例えば第1センサユニット21の一方の送受信トランスデューサ21Aから他方の送受信トランスデューサ21Bへの超音波伝達時間と、他方の送受信トランスデューサ21Bから一方の送受信トランスデューサ21Aへの超音波伝達時間との伝達時間差から、コントローラ10が脱血チューブ11内を通る血液DBの流量(吐出流量)を算出することができる。
同様にして、第2センサユニット22の一方の送受信トランスデューサ22Aから他方の送受信トランスデューサ22Bへの超音波伝達時間と、他方の送受信トランスデューサ22Bから一方の送受信トランスデューサ22Aへの超音波伝達時間との伝達時間差から、コントローラ10が脱血チューブ11内を通る血液DBの流量(吐出流量)を算出することができる。このように、第1センサユニット21と第2センサユニット22が設けられているので、超音波気泡流量検出センサ20は、血液の流量値をより確実に測定することができる。
一方、図2(B)に示すように、脱血チューブ11内を通る血液DBには気泡BLが存在する気泡検出時には、超音波信号強度が気泡BLにより減衰されることから気泡BLは、超音波受信強度(NRSA)の変化(減衰)から、一例として0.1ccの気泡BLの存在と気泡BLのサイズ(大きさ)を検出することができる。
次に、図1に戻って、体外循環用血液学的パラメータモニタ測定セル(以下、モニタ測定セルという)70について説明する。
図1に示すこのモニタ測定セル70は、脱血チューブ11の途中において脱血チューブ11の外側に着脱可能に配置されている。モニタ測定セル70は、ディスポーザブル部品であり、脱血チューブ11の途中において、好ましくは超音波気泡流量検出センサ20の上流側であって、しかも超音波気泡流量検出センサ20に対して接近した位置に配置されている。モニタ測定セル70は、血液BDに対して非接触で光学的に、酸素飽和度(%)、ヘマトクリット値(%)、そしてヘモグロビン(g/dL)の数値を測定することができるセンサユニットである。
このように、モニタ測定セル70が、好ましくは超音波気泡流量検出センサ20の上流側であって、しかも超音波気泡流量検出センサ20に対して接近した位置に配置されている理由は次の通りである。超音波気泡流量検出センサ20が血液の流量を測定する前の段階で、モニタ測定セル70はその流れる血液のヘマトクリット値を常時測定することで、そのヘマトクリット値に基づいて、超音波気泡流量検出センサ20から得られる血液の測定流量値を補正して、補正した血液の流量値を得ることができる。
モニタ測定セル70は被検体から脱血された脱血チューブ11内の血液についてヘマトクリット値を測定し、超音波気泡流量検出センサ20は脱血チューブ11内の血液の測定流量値を得ることができる。モニタ測定セル70は超音波気泡流量検出センサ20に接近して配置されていることにより、モニタ測定セル70は超音波気泡流量検出センサ20の直前に流れる血液のヘマトクリット値を常時測定することで、その得られた正確なヘマトクリット値に基づいて、超音波気泡流量検出センサ20から得られる血液の測定流量値を補正して、時々刻々と変化する患者の血液の特性(密度)の変化に対応して、補正した血液の流量値を得ることができる。
図1に示すモニタ測定セル70の構造例を説明する。モニタ測定セル70は、光プローブ69を有し、光プローブ69は発光部71と受光部72と、マイクロコンピュータ73を有している。例えば発光部71は発光ダイオードであり、受光部72はフォトダイオードである。発光部71は、脱血チューブ11を通る血液BDに光を当てて、受光部72は、血液BDの一部分を通る光の反射を検出して、この検出信号を図1に示すマイクロコンピュータ73に送る。発光部71が放つ光パルスは、直接血液BDに当たり、その血液BD中のヘモグロビンの酸素飽和量に応じた反射強度で反射される。
図1に示すマイクロコンピュータ73は、この反射強度から、酸素飽和度(%)、ヘマトクリット値(%)、そしてヘモグロビン(g/dL)の数値を分析して、酸素飽和度(%)、ヘマトクリット値(%)、そしてヘモグロビン(g/dL)の数値は、図1に示す液晶モニタのようなモニタ装置75に表示できるようになっている。このヘマトクリット値Ht(%)は、血液中に占める血球の体積割合を示す数値である。
図1に示すモニタ装置75とモニタ測定セル70は、体外循環用血液ガス分析装置76を構成している。酸素飽和度(%)、ヘマトクリット値(%)、そしてヘモグロビン(g/dL)の数値は、モニタ装置76を通じて、コントローラ10の制御部100に送られる。
ここでは、モニタ測定セル70は、ヘモグロビンの酸素飽和量に応じた反射強度でヘマトクリット値を測定するが、これに限らない。例えば、ヘモグロビンの酸素飽和量に応じた透過光強度や吸光度からヘマトクリット値を測定しても良い。この場合、モニタ測定セルは、脱血チューブ11を発光部と受光部とで挟み込む構造となる(不図示)。
ところで、図1に示す超音波気泡流量検出センサ20は、上述したように超音波伝搬時間差方式の血液の流量計として用いる場合に、脱血チューブ11内を通る血液BDの特性(密度)が変化すると、血液の測定流量値に測定誤差が生じる。体外循環装置1では、脱血チューブ11内の血液BDの流量を測定する場合に、患者によっては血液BDの密度は異なっている。しかも、例えば体外血液循環手術中に血液が生理食塩水と混ざると、循環される血液BDが薄くなり、体外血液循環手術中では、患者の血液の密度は時々刻々と異なる。
この血液BDの密度(特性)は、時々刻々と変化していることから、血チューブ11内を流れる血液BDのヘマトクリット値が大きいと(血液の密度が高いと)、超音波の往きと戻りにおける血液を伝搬する速度が大きくなり、超音波気泡流量検出センサ20により測定される血液の流量値が、実際の血液の流量値に比べて、小さくなってしまう。逆に、脱血チューブ11内を流れる血液BDのヘマトクリット値が小さいと(血液の密度が低いと)、超音波の往きと戻りにおける血液を伝搬する速度が小さくなり、超音波気泡流量検出センサ20により測定される血液の流量値が、実際の血液の流量値に比べて、大きくなってしまう。
血液BDの密度と、上述した血液BDのヘマトクリット値との関係には、相関性がある。このために、本発明の実施形態の体外循環装置1では、図1に示す体外循環用血液ガス分析装置76のモニタ測定セル70は、脱血チューブ11内を流れる血液BDのヘマトクリット値を常時測定している。このヘマトクリット値の測定結果は、マイクロコンピュータ73から、モニタ装置75を通じて、制御部100に常時フィードバックされる。脱血チューブ11内を流れる血液BDのヘマトクリット値Htは、例えば体外循環前、体外循環5分後、体外循環離脱時では、大きく変化をすることが既に分かっている。そして、制御部100は、超音波気泡流量検出センサ20により測定された脱血チューブ11内を流れる血液BDの測定流量値(吐出流量値)を、後で説明する方式で補正して、補正した流量値を得るようになっている。
ここで、図3を参照する。図3は、一例として、脱血チューブ11内を流れる液体(試験液としての水を例にしている)の温度が15℃と40℃である場合の対応表91,99を、代表して示している。15℃と40℃は、液体(水)の温度の例であり、複数段階の温度について、この換算式あるいは対応表が作成される。
図3(A)と図3(B)は、用意される複数の対応表の代表例として、液体である水の液温が異なる時の異なる対応表91,99をそれぞれ示している。脱血チューブ11内を血液や水が流れる時の血液や水の温度が、超音波の伝搬性に影響を与えるために、温度毎に異なった対応表91,99を準備しておく。図3では、具体的な例として、液温が実際に手術を行う場合の想定される最低の温度を15℃とし、想定される最高の温度を40℃としている例であるが、これに限定されるものではない。
このように、脱血チューブ11に流れる液体(水)の温度は、超音波の伝搬性に影響を与えるために、温度毎に異なった対応表を準備する。
図3(A)は、液体の温度が15℃の場合における、図1に示す脱血チューブ11内を流れるヘマトクリット値Ht:0%の液体と、ヘマトクリット値Ht:40%の液体を比較して示している。最大のヘマトクリット値Ht:40%は5%の食塩水であり、最小のヘマトクリット値Ht:0%は水である。図3(A)において、最小のヘマトクリット値Ht:0%では、液体の流量値の推定誤差値ER1は,ポイントP1で示すように例えば+8.50%である。最大のヘマトクリット値Ht:40%では、液体の流量値の推定誤差値ER2は、ポイントP2で示すように例えば+1.00%である。ポイントP1とポイントP2を結んで得られる直線L1は、傾きAである。ポイントP2は、基準ヘマトクリット値を示している。
そこで、例えばポイントP1についての誤差の補正は、推定誤差値ER1を含むヘマトクリット値を、矢印で示すように0%までに補正して、ポイントP3で示す正しい測定ヘマトクリット値とすることができる。ポイントP2についての誤差の補正は、推定誤差値ER2を含むヘマトクリット値を、矢印で示すように0%までに補正して、ポイントP4で示す正しい測定ヘマトクリット値とすることができる。
また、図3(B)は、液体の温度が40℃の場合における、図1に示す脱血チューブ11内を流れるヘマトクリット値Ht:0%の液体と、ヘマトクリット値Ht:40%の液体を比較して示している。最大のヘマトクリット値Htは40%であり、5%の食塩水であり、最小のヘマトクリット値Ht:0%は水である。図3(B)において、最小のヘマトクリット値Ht:0%では、液体の流量値の推定誤差値ER11はポイントP11で示すように例えば−3.00%である。最大のヘマトクリット値Ht:40%では、液体の流量値の推定誤差値ER12はポイントP12で示すように例えば−8.00%である。ポイントP1とポイントP2を結んで得られる直線L1は、傾きA1であり、この傾きA1は図3(A)に示す傾きAとは異なる。
そこで、例えばポイントP11についての誤差の補正は、推定誤差値ER11を含むヘマトクリット値を、矢印で示すように0%までに補正して、ポイントP13で示す正しい測定ヘマトクリット値とすることができる。ポイントP12についての誤差の補正は、推定誤差値ER12を含むヘマトクリット値を、矢印で示すように0%までに補正して、ポイントP14で示す正しい測定ヘマトクリット値とすることができる。
図3では、一例として、脱血チューブ11内を流れる液体(水)の温度が15℃と40℃である場合の対応表91,99を、代表して示しているが、脱血チューブ11内を流れる液体(水)の温度が、例えば15℃から40℃の間で、20℃、25℃、30℃、35℃のように5℃毎に、あるいはその他に1℃毎に、2℃毎等、任意の温度毎に、複数段階の異なった対応表を用意することができる。
ところで、図1に示す脱血チューブ11内に流れる血液BDの吐出流量値を超音波気泡流量検出センサ20で測定すると、血液BDの測定流量値が得られるが、この得られた血液BDの測定流量値を、モニタ測定セル70により常時測定されているヘマトクリット値Htにより補正して、次に示す補正した流量値Flow_Cを得るようになっている。
この補正した流量値Flow_Cは、次式の換算式で得ることができる。なお、この換算式は、異なる温度についてそれぞれ得られる。この換算式は、血液の測定流量値とヘマトクリット値との関係から補正した血液の流量値を得ることができる。

Flow_C=Flow_M*(1+(Ht_B−Ht_M)*A))・・・換算式

上記式において、補正した流量値:Flow_C、測定流量値:Flow_M、測定ヘマトクリット値:Ht_M、基準ヘマトクリット値:Ht_B、傾き:Aである。
図1に示す制御部100が、液体の温度毎の換算式を記憶している。傾きAは、図3(A)の直線L1の傾きAと,図3(B)の直線L2の傾きA1に例示するように、温度毎に異なる値である。
図3(A)を例にすると、例えば基準ヘマトクリット値は、ポイントP2であり、測定ヘマトクリット値は、ポイントP3である。推定誤差値ER1の値は、ポイントP1である。
図1に示す本発明の第1実施形態の体外循環装置1では、コントローラ10の制御部100が、液体の複数の温度にそれぞれ対応する上述した複数の換算式を予め記憶しているが、図3に示すような複数の対応表91ないし99は記憶していない。制御部100は、複数の換算式を記憶するようにしているので、複数の対応表91ないし99を記憶する場合に比べて、メモリの容量を少なくすることができるメリットがある。制御部100は、例えばすでに説明したように、液温が実際に手術を行う場合の想定される最低の温度を15℃とし、想定される最高の温度を40℃として、その間を任意の温度間隔で設定された複数の換算式を記憶している。
図1に示す体外循環装置1の循環回路1Rを用いて、例えば患者の心臓外科手術を行う場合には、ドライブモータ4がコントローラ10の指令SGにより遠心ポンプ3を動作すると、遠心ポンプ3は、脱血チューブ11から脱血して人工肺2に通して血液中のガス交換を行って血液の酸素化を行った後に、送血チューブ12(送血ラインともいう)を介して患者Pに血液を戻す。
この際に、脱血チューブ11内を流れる血液BDのヘマトクリット値Htは、例えば体外循環前、体外循環5分後、体外循環離脱時では、大きく変化し、例えば、手術中に用いられる生理食塩水により小さくなることがある。
そこで、図1に示す体外循環用血液ガス分析装置76のモニタ測定セル70は、ヘマトクリット値を常時測定して更新しており、体外循環用血液ガス分析装置76のモニタ装置75は測定値として、更新後の新しいヘマトクリット値を、制御部100にフィードバックする。そして、制御部100は、ヘマトクリット値の測定結果と、その時の血液BDの温度から、制御部100は、温度毎上記複数の換算式から、阻血チューブ11内を流れる血液BDの温度に該当する温度の換算式を選んで計算する。これにより、制御部100は、音波気泡流量検出センサ20により測定された脱血チューブ11内を流れる血液BDの測定流量値(吐出流量値)を、常時補正して、補正された血液の流量値を得ることができる。
例えば、図3(A)に示す脱血チューブ11内の液体(血液BD)の温度が15℃である場合には、制御部100は、ヘマトクリット値が0%から40%の範囲内で、傾きAの直線L1に従った換算式を用いて換算することで、遠心ポンプポンプ3の動作による脱血チューブ11内を流れる血液BDの測定流量値(吐出流量値)を、常時補正して、補正した血液の流量値を得ることができる。
また、例えば、図3(B)に示す脱血チューブ11内の液体(血液BD)の温度が40℃である場合には、制御部100は、ヘマトクリット値が0%から40%の範囲内で、傾きA1の直線L2に従った換算式を用いて換算することで、遠心ポンプポンプ3の動作による脱血チューブ11内を流れる血液BDの測定流量値(吐出流量値)を、常時補正して、補正した血液の流量値を得ることができる。
以上説明したように、本発明の第1実施形態では、体外循環装置1では、コントローラ10の制御部100は、液体の複数の温度にそれぞれ対応する上述した換算式を予め記憶している。制御部100は、ヘマトクリット値の測定結果と、その時の血液BDの温度から、制御部100は、温度毎上記複数の換算式から、阻血チューブ11内を流れる血液BDの温度に該当する温度の換算式を選んで計算することで、超音波気泡流量検出センサ20により測定された脱血チューブ11内を流れる血液BDの測定流量値(吐出流量値)を、常時補正して、補正した血液の流量値を得ることができる。
(第2実施形態)
図4は、本発明の体外循環装置の第2実施形態を示す系統図である。
図4に示す第2実施形態の体外循環装置1の構成は、図1に示す第2実施形態の体外循環装置1と同様の構成であるので、その説明を用いる。
図4に示す第2実施形態の体外循環装置1では、コントローラ10は、制御部100とメモリ80を有している。このメモリ80は、対応表群90を記憶している。この対応表群90は、例えば図3(A)に例示する脱血チューブ11内を流れる液体(水)が15℃である場合の対応表90と、図3(B)に例示する脱血チューブ11内を流れる液体(水)が40℃である場合の対応表99と、15℃と40℃の温度間を任意の温度間隔で温度毎に異なった対応表92から98から成る。
図4に示す体外循環用血液ガス分析装置76のモニタ測定セル70は、ヘマトクリット値を常時測定して、体外循環用血液ガス分析装置76のモニタ装置75はヘマトクリット値の測定結果を、制御部100にフィードバックする。
図1の例のように補正した流量値は、第1実施形態のように複数の換算式から選択した換算式で得るのではなく、図4の制御部100は、メモリ80に記憶されているこの対応表群90から、阻血チューブ11内を通る血液BDの温度に対応する対応表(例えば温度15℃の対応表91)を選択する。
そして、制御部100は、選択した対応表を参照する。各対応表は、血液の測定流量値とヘマトクリット値との関係から補正した血液の流量値を得るための表である。すなわち、制御部100は、ヘマトクリット値の測定結果と、その時の血液BDの温度から、温度毎上記複数の対応表91〜99から、阻血チューブ11内を流れる血液BDの温度に該当する温度の対応表を選んで参照することで、超音波気泡流量検出センサ20により測定された脱血チューブ11内を流れる血液BDの測定流量値(吐出流量値)を、常時補正して、補正した血液の流量値を得ることができる。
本発明の実施形態の体外循環装置1は、循環回路1Rに配置されて、循環回路1Rを通る血液の測定流量値を得る超音波信号検出部(超音波気泡流量検出センサ20)と、循環回路1Rに配置されて、循環回路1Rを通る血液のヘマトクリット値を測定する測定部(モニタ測定セル70)と、測定部により測定された血液の密度と相関性のあるヘマトクリット値Htに基づいて、超音波信号検出部から得られる血液の測定流量値を補正して、補正した血液の流量値を得る制御部100と、を有する。これにより、超音波信号検出部により検出される血液の測定流量値は、血液の密度により測定誤差が生じるが、測定部が血液の密度と相関性のあるヘマトクリット値を常時測定して、そのヘマトクリット値に基づいて、超音波信号検出部から得られる血液の測定流量値を補正して、補正した血液の流量値を得る。このため、ポンプを作動して体外血液循環を行う場合に、時々刻々と変化する患者の血液の特性の変化に対応して、血液の流量値を正確に測定することができる。
測定部は、循環回路を通る血液のヘマトクリット値を常時あるいは定期的に測定することができる。これにより、血液のヘマトクリット値を常時あるいは定期的に得ることができ、時々刻々と変化する患者の血液の特性の変化に対応して、血液の流量値を正確に測定することができる。
測定部(モニタ測定セル70)は、循環回路1Rにおいて血液が循環される方向について、超音波信号検出部より上流側に配置されている。これにより、超音波信号検出部が血液の流量を測定する前の段階で、測定部はその流れる血液のヘマトクリット値Htを常時測定することで、そのヘマトクリット値Htに基づいて、超音波信号検出部から得られる血液の測定流量値を補正して、補正した血液の流量値を得ることができる。
好ましくは、測定部(モニタ測定セル70)と超音波信号検出部(超音波気泡流量検出センサ20)は、循環回路1Rの脱血チューブ11に配置され、測定部は超音波信号検出部に接近して配置されている。これにより、測定部は被検体から脱血された脱血チューブ内の血液についてヘマトクリット値を測定し、超音波信号検出部は脱血チューブ内の血液の測定流量値を得ることができ、測定部は超音波信号検出部に接近して配置されていることにより、測定部は超音波信号検出部の直前に流れる血液のヘマトクリット値を常時測定することで、その得られた正確なヘマトクリット値に基づいて、超音波信号検出部から得られる血液の測定流量値を補正して、時々刻々と変化する患者の血液の特性(密度)の変化に対応して、補正した血液の流量値を得ることができる。
制御部100は、血液の測定流量値とヘマトクリット値との関係から補正した血液の流量値を得る換算式を温度毎に有し、制御部100は、温度毎に異なった換算式に基づいて、超音波信号検出部から得られる血液の測定流量値を補正して、補正した血液の流量値を得る。これにより、制御部は、血液の温度に合った換算式を用いることで、血液の測定流量値を温度毎に補正して、正確な補正した血液の流量値を得ることができる。
制御部100は、血液の測定流量値とヘマトクリット値との関係から補正した血液の流量値を得る対応表91ないし99を温度毎に参照可能であり、制御部100は、温度毎に異なった対応表91ないし99を参照して、超音波信号検出部から得られる血液の測定流量値を補正して、補正した血液の流量値を得る。これにより、制御部は、血液の温度に合った対応表を用いることで、血液の測定流量値を温度毎に補正して、正確な補正した血液の流量値を得ることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
1・・・体外循環装置、1R・・・循環回路、2・・・人工肺、3・・・遠心ポンプ、4・・・ドライブモータ、5・・・静脈側カテーテル(脱血側カテーテル)、6・・・動脈側カテーテル(送血側カテーテル)、10・・・制御部としてのコントローラ、20・・・超音波気泡流量検出センサ(超音波信号検出部)、70・・・体外循環用血液学的パラメータモニタ測定セル(モニタ測定セル、測定部)、75・・・モニタ装置、76・・・体外循環用血液ガス分析装置、BD・・・血液

Claims (3)

  1. 循環回路に配置されたポンプを用いて、患者の血液を前記患者の体外で循環させる血液循環装置であって、
    前記循環回路に配置されて、前記循環回路を通る前記血液の測定流量値を得る超音波信号検出部と、
    前記循環回路に配置されて、前記循環回路を通る前記血液のヘマトクリット値を測定する測定部と、を有し、
    前記測定部は、前記血液循環回路において、血液が循環される方向において、前記超音波信号検出部より上流側で且つ前記超音波信号検出部に接近した位置に配置され、
    前記測定部により測定されたヘマトクリット値を前記測定ごとに常時更新して更新後のヘマトクリット値に基づいて、前記超音波信号検出部から得られる前記血液の測定流量値を補正して、補正した血液の流量値を得る制御部とを有することを特徴とする
    血液循環装置。
  2. 前記更新後のヘマトクリット値及び血液温度に基づいて、前記血液の前記測定流量値を補正することを特徴とする請求項1に記載の血液循環装置。
  3. 前記測定部は、発光部と受光部を有し、発光部から血液へ照射された光を受光部が検出することでヘマトクリット値を測定することを特徴とする請求項1に記載の血液循環装置。
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