JP6140974B2 - 落下物防護装置 - Google Patents
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Description
この落石防護装置100は、斜面幅方向に間隔をあけて立設された複数の支柱101と、これら複数の支柱101によって保持されると共にその端部がアンカー102に固定される上側サポートロープ103及び下側サポートロープ104と、支柱101に対してその斜面谷側に配置されると共に上縁及び下縁が各サポートロープに連結される金網105とを備えている。そして、この金網105によって斜面からの落石を受け止め、近隣の道路等に対する落石を防止している。
この防護網は、素線の一つ一つをコイル状に加工し、その隣り合う素線において、一方の素線を他の素線の内側に差し込むと共に、これら素線同士が各ピッチにおいて折れ曲がることなく内接するように特殊編網した防護網である。
すなわち、各素線をその線方向に変形させることに留まらず、その交点で各素線を積極的に折り曲げることで高いエネルギー吸収力を得ている。
前記防護網は、その各素線が螺旋状に形成され、且つ隣合う素線同士が両ピッチ間で折れ曲がることなく交差し、
前記支柱は、斜面山側に空間を隔てて前記防護網を支持していることを特徴とする。
この構成によれば、衝突エネルギーの吸収に伴って防護網が斜面谷側に撓んでも、この防護網と支柱との間に確保された空間によって支柱に対する防護網の衝突が抑制される。
この構成によれば、エネルギーの吸収力に富む網目形状に加え、高張力鋼線の有する引張強度を防護網に与えることでできる。すなわち、柔軟な網目構造を維持しつつ、その破網に対する剛性も高めることができる。
前記防護網は、前記支持部を介して斜面山側に支持されている構成でもよい。
本実施の形態に示す落下物防護装置1は、斜面の下縁(法尻)に沿ってその斜面幅方向(左右方向)に立設される複数本の支柱10と、各支柱10を斜面山側に引きつけて固定するための支柱控えロープ2と、支柱10に対してその上下方向に配索される連結部材である支柱補強ロープ3と、各支柱10に支持されて斜面幅方向に延びる上部横ロープ4及び下部横ロープ5と、これら上部横ロープ4及び下部横ロープ5間に設けられる高張力防護網である高張力金網6と、を備えている。
このブラケット12は、支柱10の頭部と地面直近の上下2カ所に設けられ、支柱10を立てた状態で斜面山側に張り出すように溶接されている。
また、各ブラケット12,12の先端部分には支柱補強ロープ3を結索するためのU字ボルト13が組み付けられている。そして、各ブラケット12,12に支柱補強ロープ3の端部がそれぞれ接続され、両ブラケット12,12は支柱補強ロープ3によって相互に連結されている。
ここで支柱控えロープ2の端部には、支柱10の直径よりも大きい輪(ループ)を有するアイ加工が施されており、支柱頭部が挿通された支柱控えロープ2の端部がこの通しボルト14に引っ掛かることで、支柱控えロープ2は支柱10の頭部から滑り落ちることなく支柱10の頭部に係止される。
上部横ロープ4及び下部横ロープ5は、3×7φ18の鋼製ワイヤロープであり、支柱10の上下に設けられたブラケット12,12を介して支柱10の斜面山側に支持されている。詳細には、ブラケット12に組み付けられた支柱補強ロープ3のアイ加工部分(リング状端部3b,3c)の輪を通すように各横ロープ4,5が配索されている。すなわち、各横ロープ4,5はブラケット12にその線方向の動きを拘束されることなく支持されている。
具体的には、実長1〜2m程のエネルギー吸収ロープ51に対して1.3〜1.5倍程度の余長を有する従来型の汎用鋼製ロープ52を付設し、エネルギー吸収ロープ10の各端部を汎用鋼製ロープ52側にかしめ束ね合わせている。
なお、試験体のロープ仕様は、φ18(3×7 SS/O)、断面積A:134m2、破断荷重RBS:80kN、弾性伸びEL1:5%、塑性伸びEL2:15%(衝突エネルギーを受けた後の伸び EL1<EL2)、ロープ長L1:1〜20mである。
なお、エネルギー吸収ロープとしては、上記表1に示した試験体のロープの他、他の仕様のものを用いることができる。
具体的には、各素線に楕円状の螺旋を描くスパイラル加工を施し、隣り合う素線において、一方の素線を他の素線のピッチ間に順次差し込むように編み込む。また、同様にして他の素線6cを防護網6の幅方向に継ぎ足して網状にする。
各グラフにおいて縦軸は、試験荷重(単位:N)、横軸は、変形量(mm)を示している。
また、本実施の形態に示す高張力金網6の評価結果を図8(a)の実線に示し、比較対象の従来型ひし形金網の評価結果を図8(b)の実線に示す。また、試験体として、各金網を再現した交点強度供試体を使用した。なお、各試験体で再現した網仕様は、交点角度85°φ4の編網で比較した。また、図9に試験体を示している。各試験体60は上下一対の凸型ピース61,61からなり、この凸型ピース61,61間に素線62を編網して目合いを再現している。また、試験体60は各防護網毎に3体準備し、この試験体を試験機にかけて上下に引っ張り荷重をかけることで、その耐荷重を計測する。
すなわち、高張力金網6は耐荷重及び伸びしろが多く、従来型のひし形金網に比べて最大許容荷重で2倍程度高いと言える。
例えば、本実施の形態では 支柱10の下部にヒンジ17を設けて支柱10を設置しているが、例えば、地中に埋設した鋼管杭18を利用して支柱10を設置することもできる。この場合、図10に示すように支柱10の下端から、例えば約1/6を地中に埋設する。埋設する支柱10の下端の長さは上記に限定されるものではないが、具体的には、基礎となる鋼管杭18を地中深くまで差し込み、次いで、この鋼管杭18の内部に支柱10の下端を差し入れ、更にその隙間にコンクリート19を流し込んで支柱10を定着させる。
また、本実施の形態では、本落下物防護装置1を斜面の下縁(法尻)に沿って設けたが、斜面中腹に設けても良い。また、落下物として落石を例に説明したが、本落下物防護装置1は、雪崩、土砂等に対しても有用である。
2 支柱控えロープ
2a ターンバックル
3 支柱補強ロープ
3b,3c 支柱補強ロープのアイ加工部分(リング状端部)
4 上部横ロープ
4a ターンバックル
5 下部横ロープ
5a ターンバックル
6 高張力防護網
6a,6b,6c 素線
6d 素線の交点
8 衝突回避用の空間
10 支柱
11 支柱の本体部分
12 ブラケット
13 U字ボルト
14 通しボルト
16 結合コイル
17 ヒンジ
17a 支軸
18 鋼管杭
19 コンクリート
50 衝撃吸収機構
51 エネルギー吸収ロープ
52 従来型の汎用鋼製ロープ
53 巻付グリップ
60 試験体
61 凸型ピース
62 素線
100 落石防護柵
101 支柱
103 上側サポートロープ
103a ブレーキ装置
104 下側サポートロープ
104a ブレーキ装置
105 金網
110 ループ管
111 緊締部材
Claims (4)
- 斜面からの落下物を受け止める防護網と、この防護網を支持する支柱と、を備えた落下物防護装置であって、
前記防護網は、その各素線が螺旋状に形成され、且つ隣合う素線同士が両ピッチ間で折れ曲がることなく交差し、
前記支柱には、この支柱から斜面山側に張り出された支持部が設けられ、
前記支柱は、前記支持部を介して、斜面山側に空間を隔てて前記防護網を支持していることを特徴とする落下物防護装置。 - 前記空間は、前記支柱に対する防護網の衝突を抑制するための空間であることを特徴とする請求項1に記載の落下物防護装置。
- 前記防護網を斜面幅方向に支持する横ロープと、この横ロープを固定するためのアンカーとを有し、前記横ロープとアンカーとの間には、この横ロープに作用する衝撃を吸収するための衝撃吸収機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の落下物防護装置。
- 前記衝撃吸収機構は、前記横ロープに較べて縦弾性係数が小さく且つ同じ長さで比較したときに、その破断に至る伸びしろが前記横ロープに較べて長いエネルギー吸収ロープを備え、
前記エネルギー吸収ロープは、前記横ロープとアンカーとの間に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の落下物防護装置。
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