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JP6032493B2 - 建物の健全性確認方法 - Google Patents

建物の健全性確認方法 Download PDF

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JP6032493B2 JP2013127021A JP2013127021A JP6032493B2 JP 6032493 B2 JP6032493 B2 JP 6032493B2 JP 2013127021 A JP2013127021 A JP 2013127021A JP 2013127021 A JP2013127021 A JP 2013127021A JP 6032493 B2 JP6032493 B2 JP 6032493B2
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Description

本発明は、建物の健全性を確認するための方法に関する。
建物にセンサを設置し、このセンサからの情報に基づいて建物の損傷、劣化の度合いを把握し、建物の損傷検知や健全性評価を行う構造ヘルスモニタリングが注目されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。また、特に、オフィスビルやマンション等の多層構造の建物に対し、地震発生時の被災状況を早期に且つ精度よく確認(把握)、判定することが求められている。
さらに、特に大地震が発生した後に、建物特性の変化から損傷、劣化の度合い、すなわち、建物の健全性を迅速に評価、判定することが求められており、このため、建物特性の評価に要する計算時間をできるだけ短くすることが必要とされている。
特開2011−132680号公報 特開2001−99760号公報
しかしながら、上記従来の建物の健全性確認方法(構造ヘルスモニタリング)では、建物特性を表現するパラメータがセンサによる観測データに基づく最尤推定値として得られ、一般にその推定に非線形最小二乗法等の繰り返し計算を行う最適化手法を用いている。さらに、各々の繰り返しステップにおいて建物の時刻歴応答解析を行うことになる。このため、上記従来の建物の健全性確認方法では、推定に要する計算時間がどうしても長くなってしまう。
本発明は、上記事情に鑑み、センサによる観測データから建物特性を表すためのパラメータの最尤推定値を精度よく短時間で得られるようにすることを可能にした建物の健全性確認方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の建物の健全性確認方法は、建物の観測層に設置したセンサによる観測データから建物特性を表すためのパラメータとなる最尤推定値を求め、該最尤推定値を用いて建物の健全性を確認する方法であって、建物の設計モデルの質量行列M、減衰係数行列C、剛性行列Kから、下記の式(1)に示す一般固有値問題を解いてj次の固有角振動数wと刺激関数φを得る第1工程と、下記の式(2)に示す確率変数のモデルパラメータ(nはパラメータ数)を用い、剛性分布kを修正する関数△k(θ)を導入することにより、剛性分布をk’=k+△k(θ)に修正するとともに、剛性行列KをK’(θ)に修正する第2工程と、観測層の建物応答絶対角度y(θ)を下記の式(3)で表すとともに、建物応答絶対加速度の確率モデルを下記の式(4)で表す第3工程と、地震時に、下記の式(5)で表す観測データDをセンサから得るとともに、ベイズの定理によってθの事後分布を下記の式(6)で求める第4工程と、下記の式(7)から事前分布のp(θ)、下記の式(8)から尤度関数のp(D|θ)を求める第5工程と、尤度関数を推定値θ(上に^)近傍で下記の式(9)のような正規分布の相似形で近似するとともに、式(9)の両辺の対数をとって下記の式(10)を求める第6工程と、各θそれぞれに−γ,0,γを代入して対数尤度logp(D|θ)を計算し、それを最大化するθ=θを選ぶ第7工程と、各θについて、それ以外のパラメータをθに等しく固定した上で、θ=−γ,0,γに対応する対数尤度logL(θ)を下記の式(11)の2次式で表す第8工程と、式(11)の2次式の係数α=[αααを下記の式(12)、式(13)、式(14)によって求める第9工程と、式(11)を最大化するθ=θ(上に^)を、下記の式(15)と式(16)によって得る第10工程と、各θについて、第8工程から第10工程を行い、下記の式(17)によって、最尤推定値θ(上に^)を得る第11工程とを備えていることを特徴とする。
Figure 0006032493
Figure 0006032493
Figure 0006032493
Figure 0006032493
は、建物に設置されたセンサの数(地動計測用のものを除く)、y(上に^(ハット))(θ)は、M、C、K’(θ)で規定される修正設計モデルに観測された地動uを入力したときの各時刻におけるセンサ設置階の応答絶対加速度であり、その値を期待値として等しい分散σ で独立に正規分布していることを示す。
Figure 0006032493
Figure 0006032493
Figure 0006032493
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Figure 0006032493
c、c’はスケーリング係数、Cは推定値近傍でのθの誤差共分散行列である。
Figure 0006032493
Figure 0006032493
Figure 0006032493
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Figure 0006032493
Figure 0006032493
Figure 0006032493
本発明の建物の健全性確認方法においては、従来の最適化手法による場合と同程度の精度を保ちながら、極めて短い計算時間で最尤推定値の推定が可能になる。よって、建物特性の変化を地震直後に迅速に推定でき、特に大地震後に、建物特性の変化から損傷、劣化の度合い、すなわち、建物の健全性を迅速に評価、判定することができ、有効に利用することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る建物の健全性確認方法において、対象の建物を示す図である。 本発明の一実施形態に係る建物の健全性確認方法において、示す図である。シミュレーション結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る建物の健全性確認方法と従来手法によって求めた最尤推定値を比較した図である。 本発明の一実施形態に係る建物の健全性確認方法と従来手法によって最尤推定値を計算する時間を比較した図である。
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係る建物の健全性確認方法について説明する。
ここで、本実施形態の建物の健全性確認方法は、構造ヘルスモニタリングシステムを用いてオフィスビルやマンション等の多層構造の建物の健全性を確認、把握するための方法に関するものである。
そして、本実施形態に係る建物1は、図1に示すように、複数の振動センサ2、3、4・・・nが異なる階(観測層)に設けられ、これらセンサ2〜nによって地震に伴う振動が検知される。また、各センサの2〜nの検知データ(観測データ)がインターフェイス部5を介してヘルスモニタリングシステムに送信され、ヘルスモニタリングシステム側で、この検知データが地震時の建物の応答としてログデータの形で記憶される。
また、センサ2〜n、インターフェイス部5とともに構造ヘルスモニタリング装置を構成するヘルスモニタリングシステムは、例えば、図2に示すように、システムバス6、CPU(Central Processing Unit)7、RAM(Random Access Memory)8、ROM(Read Only Memory)9、外部情報機器との送受信を行うための通信制御部10、キーボードコントローラなどの入力制御部11、ディスプレイコントローラなどの出力制御部12、外部記憶装置制御部13、キーボード、ポインティングデバイス、マウスなどの入力機器からなる入力部14、LCDディスプレイなどの表示装置や印刷装置からなる出力部15、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置16を備えて構成されている。
CPU7は、ROM8内のプログラム用ROM、あるいは大容量の外部記憶装置16に記憶されたプログラム等に応じ、外部機器との通信を行ってデータの検索や取得、また、図形、イメージ、文字、表等が混在した出力データの処理を実行したり、外部記憶装置16に予め格納されたデータベースの管理を実行するなど、演算処理を行う。また、CPU7は、システムバス10に接続される各デバイスを統括的に制御する。
さらに、本実施形態のヘルスモニタリングシステムでは、建物の健全性を評価するにあたり、建物の観測層に設置したセンサ2〜nによる観測データから建物特性を表すためのパラメータとなる最尤推定値を求めるための推定アルゴリズムがCPU7に搭載されている。
ちなみに、ROM9内のプログラム用ROM、あるいは外部記憶装置16には、CPU7の制御用の基本プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)等が記憶されている。また、ROM9、あるいは外部記憶装置16には出力データ処理等を行う際に使用される各種データが記憶されている。RAM8は、CPU7の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
また、入力制御部11は、キーボードや不図示のポインティングデバイスからの入力部14を制御する。出力制御部12は、LCDディスプレイ等の表示装置やプリンタなどの印刷装置の出力部15の出力制御を行う。
外部記憶装置制御部13は、例えば、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザーファイル、編集ファイル、プリンタドライバ等を記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置16へのアクセスを制御する。
また、通信制御部10は、ネットワークを介して外部機器との通信を制御するものであり、これにより、システムが必要とするデータを適宜インターネットやイントラネット上の外部機器が保有するデータベースから取得したり、外部機器に情報を送信したりすることができる。
そして、本実施形態の建物の健全性確認方法において、まず、建物1の設計モデルの質量行列M、減衰係数行列C、剛性行列Kが与えられており、式(18)に示す一般固有値問題を解いてj次の固有角振動数wと刺激関数φを得る(第1工程)。
Figure 0006032493
ここで、剛性分布kを修正する関数△k(θ)を導入する。これにより、剛性分布がk’=k+△k(θ)に修正され、これに対応して剛性行列KがK’(θ)に修正される(第2工程)。このとき、モデルパラメータは、式(19)に示すように確率変数である(nはパラメータ数)。
Figure 0006032493
一方、センサ設置階(観測層)の建物応答絶対角度y(θ)は式(20)で表され、この建物応答絶対加速度の確率モデルは式(21)で表せる(第3工程)。
Figure 0006032493
Figure 0006032493
は、建物に設置されたセンサの数(地動計測用のものを除く)、y(上に^(ハット))(θ)は、M、C、K’(θ)で規定される修正設計モデルに観測された地動uを入力したときの各時刻におけるセンサ設置階の応答絶対加速度であり、その値を期待値として等しい分散σ で独立に正規分布していることを示している。
そして、地震時に、式(22)で表す観測データDが得られると、ベイズの定理によってθの事後分布が式(23)で求められる(第4工程)。
Figure 0006032493
Figure 0006032493
ここで、従来、p(θ)は、事前分布で、式(24)のような互いに独立で平均が0の正規分布である。また、p(D|θ)は、尤度関数で、式(25)で求められる(第5工程)。
Figure 0006032493
Figure 0006032493
一方、本実施形態の建物の健全性確認方法においては、CPU7の推定アルゴリズムによって、尤度関数を推定値θ(上に^)近傍で次の式(26)のような正規分布の相似形で近似する。ここで、c、c’はスケーリング係数、Cは推定値近傍でのθの誤差共分散行列である。なお、この式(26)のような正規分布の相似形は確率分布ではない。
Figure 0006032493
そして、式(26)の両辺の対数をとって式(27)が得られ(第6工程)、本実施形態の建物の健全性確認方法では、この式(27)が各θの2次式になっていることに注意し、下記の手順1)〜手順6)(第7工程〜第11工程)の手順にて最尤推定値θ(上に^)を繰り返し計算なしで推定する。
Figure 0006032493
手順1):各θそれぞれに−γ,0,γを代入して対数尤度logp(D|θ)を計算し、それを最大化するθ=θを選ぶ(第7工程)。
手順2):各θについて、それ以外のパラメータをθに等しく固定した上で、θ=−γ,0,γに対応する対数尤度logL(θ)を次の式(28)の2次式で表す(第8工程)。
Figure 0006032493
手順3):上記の式(28)の2次式の係数α=[αααを次の式(29)、式(30)、式(31)によって求める(第9工程)。
Figure 0006032493
Figure 0006032493
Figure 0006032493
手順4):上記の式(28)を最大化するθ=θ(上に^)を、次の式(32)を考慮し式(33)によって得る(第10工程)。
Figure 0006032493
Figure 0006032493
手順5):各θについて、上記の手順2)〜手順4)(第8工程〜第10工程)を行う。
手順6):そして、次の式(34)によって、最尤推定値θ(上に^)を得る(第11工程)。
Figure 0006032493
このように、本実施形態の建物の健全性確認方法においては、上記の手順1)から手順4)によって、繰り返し計算を用いることなく、非常に少ない計算量でθの最尤推定値θ(上に^)を推定することができる。
ここで、図3、図4は、実際に本実施形態の手法を用い、θの最尤推定値を推定し、通常の最適化手法と比べ、どの程度の精度を保持しているか、また、計算に要する時間がどの程度短縮されるかを確認した結果を示している。
なお、このシミュレーションでは、モデルパラメータ数をn=2、建物階数を24階、センサ数を3、時刻歴波形長さを4000ステップとしている。また、計算機の仕様は、OS:Windows(登録商標) XP Professional SP3、CPU:Intel Prntium D 3.20GHzである。
実際に本実施形態の手法を用いてθの最尤推定値を推定し、通常の最適化手法と比べた図3では、対数尤度の相対値も等高線表示している。そして、この結果から、本実施形態の手法による推定値は、従来の最適化手法による推定値をよく近似していることが分かる。
次に、計算所要時間の比較結果を示した図4から、従来の手法では推定値を求めるために20秒以上を要するのに対し、本実施形態の手法を用いる約0.4秒しかかからないことが分かる。
したがって、本実施形態の建物の健全性確認方法においては、従来の最適化手法による場合と同程度の精度を保ちながら、極めて短い計算時間で最尤推定値の推定が可能になる。よって、建物特性の変化を地震直後に迅速に推定でき、特に大地震後に、建物特性の変化から損傷、劣化の度合い、すなわち、建物の健全性を迅速に評価、判定することができ、有効に利用することが可能になる。
以上、本発明に係る建物の健全性確認方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 建物
2 センサ(振動センサ)
3 センサ(振動センサ)
4 センサ(振動センサ)
n センサ(振動センサ)
5 インターフェイス部
6 システムバス
7 CPU
8 RAM
9 ROM
10 通信制御部
11 入力制御部
12 出力制御部
13 外部記憶装置制御部
14 入力部
15 出力部
16 外部記憶装置

Claims (1)

  1. 建物の観測層に設置したセンサによる観測データから建物特性を表すためのパラメータとなる最尤推定値を求め、該最尤推定値を用いて建物の健全性を確認する方法であって、
    建物の設計モデルの質量行列M、減衰係数行列C、剛性行列Kから、下記の式(1)に示す一般固有値問題を解いてj次の固有角振動数wと刺激関数φを得る第1工程と、
    下記の式(2)に示す確率変数のモデルパラメータ(nはパラメータ数)を用い、剛性分布kを修正する関数△k(θ)を導入することにより、剛性分布をk’=k+△k(θ)に修正するとともに、剛性行列KをK’(θ)に修正する第2工程と、
    観測層の建物応答絶対角度y(θ)を下記の式(3)で表すとともに、建物応答絶対加速度の確率モデルを下記の式(4)で表す第3工程と、
    地震時に、下記の式(5)で表す観測データDをセンサから得るとともに、ベイズの定理によってθの事後分布を下記の式(6)で求める第4工程と、
    下記の式(7)から事前分布のp(θ)、下記の式(8)から尤度関数のp(D|θ)を求める第5工程と、
    尤度関数を推定値θ(上に^)近傍で下記の式(9)のような正規分布の相似形で近似するとともに、式(9)の両辺の対数をとって下記の式(10)を求める第6工程と、
    各θそれぞれに−γ,0,γを代入して対数尤度logp(D|θ)を計算し、それを最大化するθ=θを選ぶ第7工程と、
    各θについて、それ以外のパラメータをθに等しく固定した上で、θ=−γ,0,γに対応する対数尤度logL(θ)を下記の式(11)の2次式で表す第8工程と、
    式(11)の2次式の係数α=[αααを下記の式(12)、式(13)、式(14)によって求める第9工程と、
    式(11)を最大化するθ=θ(上に^)を、下記の式(15)と式(16)によって得る第10工程と、
    各θについて、第8工程から第10工程を行い、下記の式(17)によって、最尤推定値θ(上に^)を得る第11工程とを備えていることを特徴とする建物の健全性確認方法。
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
    は、建物に設置されたセンサの数(地動計測用のものを除く)、y(上に^(ハット))(θ)は、M、C、K’(θ)で規定される修正設計モデルに観測された地動uを入力したときの各時刻におけるセンサ設置階の応答絶対加速度であり、その値を期待値として等しい分散σ で独立に正規分布していることを示す。
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
    c、c’はスケーリング係数、Cは推定値近傍でのθの誤差共分散行列である。
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
    Figure 0006032493
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