JP6032058B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
このような電動パワーステアリング装置としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、アイドリングストップ機能によりエンジンが自動停止した場合に、運転者に違和感を与えないように操舵アシストを制限して車載電源の電力消費を抑制するものである。
そこで、本発明は、車両の走行状態に応じて、より細やかな制御が可能な電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
アイドリングストップ機能によりエンジンが自動停止しているときは、オルタネータの発電が停止されるため、車載電気負荷にはバッテリのみから電源供給される。上記のようにエンジン停止中に操舵補助制御を制限することで、特にアイドリングストップ車でハンドルを切った状態で渋滞停止した場合などにおいて、バッテリの過剰な電力消費を抑制することができる。したがって、エンジンスタータの作動に必要な電力を確保しておくことができ、次のエンジンの自動再始動を良好に行うことができる。
また、上記において、前記アシスト制限手段は、前記アイドリングストップ制御手段によるエンジンの自動停止前に前記走行状態検出手段で検出した走行状態に応じて、前記操舵補助力の上限値であるアシスト制限値、及び前記操舵補助力の付与を許可する時間であるアシスト許容時間の少なくとも一方を設定することが好ましい。
さらに、上記において、前記走行状態検出手段は、前記走行状態として、イグニッションスイッチをオン状態としてから前記アイドリングストップ制御手段によりエンジンを自動停止するまでの間の平均車速を検出し、前記アシスト制限手段は、前記アイドリングストップ制御手段によるエンジンの自動停止前に前記走行状態検出手段で検出した平均車速が低いほど、前記アシスト制限値を小さい値に設定したり、前記アシスト許容時間を短く設定したりすることが好ましい。
これにより、操舵補助制御が制限されていることを運転者に認識させることができ、運転者に対して違和感を与えるのを抑制することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置を示す全体構成図である。
図中、符号1は、車両のステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
操舵トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気信号で検出し、それを電気信号に変換するように構成されている。
また、車載電源としては、バッテリ15の他にオルタネータ(不図示)を有する。このオルタネータは、エンジンの出力によって発電を行う。オルタネータが発電した電力は、コントローラ14に供給されたり、バッテリ15に充電されたりする。
さらに、この車両には、運転席近傍に報知手段としての警告灯19が設けられている。コントローラ14は、上記アシスト制限制御によりアシスト不可状態となっているとき、これを運転者に報知するために、警告灯19に対して点灯指示信号を出力する。
コントローラ14は、図2に示すように、操舵トルクT及び車速Vsに基づいて操舵補助指令値(操舵補助トルク指令値)を演算する指令値演算部21と、操舵補助指令値を補償する指令値補償部22と、指令値補償部22で補償された操舵補助指令値に基づいて電動モータ13を駆動制御するモータ制御部23とを備えている。また、コントローラ14は、操舵トルクT、車速Vs、及びアイドリングストップ信号Sに基づいて、電動モータ13の電流指令値を制限するアシスト制限部24を備えている。
指令値演算部21は、操舵補助指令値演算部31と、位相補償部32と、加算器33と、安定化補償部34と、応答性補償部35と、加算器36と、を備える。
加算器33は、位相補償部32が出力した位相補償後の操舵補助指令値と、後述する反力/ヒステリシス補償部41が出力したセルフアライニングトルク(SAT)とを加算し、その結果を安定化補償部34に出力する。
加算器36は、安定化補償部34が出力した安定化補償後の操舵補助指令値と、応答性補償部35が出力した応答性補償指令値と、後述する減算器42が出力する指令補償値とを加算し、その結果を指令値演算部21の出力結果である操舵補助指令値として後述する電流指令値演算部43に出力する。
角速度演算部37は、回転角検出部13aで検出したモータ回転角を微分してモータ角速度ωを演算する。
摩擦・慣性補償部39は、角加速度演算部38で演算したモータ角加速度αに基づいて、電動モータ13の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止するための慣性補償値を出力する。
反力/ヒステリシス穂所部41は、操舵トルクT、車速Vs、モータ角速度ω、モータ角加速度α及び操舵補助指令値演算部31で演算した操舵補助指令値を入力し、これらに基づいてセルフアライニングトルク(SAT)を推定演算し、その結果を上記加算器33に出力する。
また、モータ制御部23は、電流指令値演算部43と、減算器44と、電流制御部45と、モータ駆動部46と、を備える。
減算器44は、電流指令値演算部43で演算した電流指令値と、モータ電流検出部13bで検出したモータ電流検出値との電流偏差を演算し、これを電流制御部45に出力する。
モータ駆動部46は、電流制御部45が出力した電圧指令値Eに基づいてデューティ演算を行い、電動モータ13の駆動指令となるデューティ比を演算する。そして、そのデューティ比に基づいて電動モータ13を駆動する。
アイドリングストップ係数演算部47は、アイドリングストップ信号Sと車速Vsとを入力し、図4に示すアイドリングストップ係数設定処理を実行する。このアイドリングストップ係数設定処理は、イグニッションスイッチ16がON状態となったときに実行開始する。
ステップS2では、アイドリングストップ係数演算部47は、車両が停止中であるか、すなわち車速Vsが0であるか否かを判定する。そして、Vs=0である場合にはステップS3に移行し、Vs≠0である場合には後述するステップS5に移行する。
ステップS5では、アイドリングストップ係数演算部47は、車速演算開始してステップS6に移行する。
ステップS7では、アイドリングストップ係数演算部47は、車速Vsに基づいて平均車速Vaveを算出する。ここでは、平均車速Vaveとして、イグニッションONしてからアイドリングストップ状態に移行するまでの間の平均車速が算出される。
一方、前記ステップS8でVave≦V1であると判定した場合には、ステップS10に移行し、平均車速Vaveが予め設定した設定車速V2(例えば、40km/h)を下回っているか否かを判定する。
また、図2のアイドリングストップ制限部48は、アイドリングストップ信号Sと操舵トルクTとを入力し、図5に示すアシスト制限処理を実行する。
ステップS25では、アイドリングストップ制限部48は、前記ステップS24で取得したアイドリングストップ係数Kに対応するアシスト制限信号を、電流制御部45に出力する。アイドリングストップ係数Kに対応するアシスト制限信号は、図6に示すように設定されている。
このように、アイドリングストップ機能によりエンジンを自動停止した際、トリップ内の走行状態に応じて操舵補助制御を制限する。具体的には、上記走行状態として、イグニッションONからアイドリングストップ状態に移行するまでの間の平均車速を算出し、算出した平均車速が低くなるにつれて段階的にアシスト制限値及びアシスト許容時間を小さい値に設定する。
なお、図4のステップS2及びS5〜S7が走行状態検出手段に対応し、図4のステップS3及びS8〜S12、並びに図5のステップS25がアシスト制限手段に対応している。また、図5のステップS26が報知手段に対応している。
運転者がイグニッションスイッチ16をオン状態とすると、バッテリ15からコントローラ14に制御電力が供給され、当該コントローラ14が作動状態となる。このとき、コントローラ14は、運転者によるステアリング操作に基づいて操舵補助制御を行う。
一方、運転者がイグニッションスイッチ16をオン状態とした後、無走行状態を維持し、その後アイドリングストップ状態へ移行した場合には、アイドリングストップ係数KはK=1に設定される。そのため、コントローラ14は、アシスト制限値を0.6に設定すると共に、アシスト許容時間を3秒に設定する。
このように、アイドリングストップ状態に移行したとき、操舵補助制御を通常時と比較して制限するアシスト制限制御を実施する。
そのため、イグニッションON後に無走行状態を維持した場合と、走行履歴がある場合とでは、エンジン停止時のバッテリ15の残存電力に差がある。つまり、イグニッションON後に無走行状態を維持した場合の方が、走行履歴がある場合と比較してバッテリ15の残存電力が低い。
具体的には、イグニッションON後に無走行状態を維持していた場合には、走行履歴がある場合よりも操舵補助力の上限値を小さくする(操舵補助力の上限値の制限量を大きくする)。すなわち、イグニッションON後に無走行状態を維持していた場合には、アシスト制限値を小さな値として、図7(a)に示すようにアシスト上限値を通常時と比較して大幅に小さい値に変更する。一方、イグニッションON後の走行履歴がある場合には、アシスト制限値を大きな値として、図7(b)に示すようにアシスト上限値の制限を緩和する。
このように、走行状態に応じて段階的に操舵補助制御に制限を設けるので、アイドリングストップ状態に移行したときのバッテリ残存電力に応じた細やかな制御が可能となる。
なお、上記実施形態においては、走行状態としてイグニッションONからアイドリングストップ状態に移行するまでの平均車速を用いる場合について説明したが、車速情報に代えてエンジン回転数情報を用いることもできる。さらに、イグニッションONしてからの走行時間と組み合わせて走行状態を検出することもできる。
また、上記実施形態においては、アシスト制限制御として、操舵アシストの上限値の制限と操舵アシストの許容時間の設定の両方を行う場合について説明したが、何れか一方のみでもバッテリ15の消費電力を抑制することができるため、効果的である。
Claims (5)
- バッテリ及びエンジンの回転により発電するオルタネータを有する車載電源と、当該車載電源から電源供給されて、操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動モータと、を備える電動パワーステアリング装置であって、
予め設定されたエンジン停止条件を満足したときに前記エンジンを自動停止し、予め設定されたエンジン再始動条件を満足したときに前記エンジンを自動再始動するアイドリングストップ制御手段と、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記アイドリングストップ制御手段によりエンジンを自動停止しているとき、エンジンの自動停止前に前記走行状態検出手段で検出した走行状態に応じて前記操舵補助制御を制限するアシスト制限手段と、を備え、
前記アシスト制限手段は、
前記アイドリングストップ制御手段によるエンジンの自動停止前に前記走行状態検出手段で検出した走行状態に応じて、前記操舵補助力の付与を許可する時間であるアシスト許容時間を設定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記アシスト制限手段は、
前記アイドリングストップ制御手段によるエンジンの自動停止前に前記走行状態検出手段で検出した走行状態に応じて、前記操舵補助力の上限値であるアシスト制限値を設定することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記走行状態検出手段は、前記走行状態として、イグニッションスイッチをオン状態としてから前記アイドリングストップ制御手段によりエンジンを自動停止するまでの間の平均車速を検出し、
前記アシスト制限手段は、前記アイドリングストップ制御手段によるエンジンの自動停止前に前記走行状態検出手段で検出した平均車速が低いほど、前記アシスト制限値を小さい値に設定することを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記走行状態検出手段は、前記走行状態として、イグニッションスイッチをオン状態としてから前記アイドリングストップ制御手段によりエンジンを自動停止するまでの間の平均車速を検出し、
前記アシスト制限手段は、前記アイドリングストップ制御手段によるエンジンの自動停止前に前記走行状態検出手段で検出した平均車速が低いほど、前記アシスト許容時間を短く設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記アシスト制限手段により前記操舵補助制御を制限しているとき、運転者にこれを報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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