JP6031425B2 - 車両用ホイール - Google Patents
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Description
このホイールは、ウェル部の外周面に立設された縦壁に、前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、ウェル部の一方の立上り部に周方向に延びるように形成され、第1の縦壁面と前記外周面の幅方向で対向する第2の縦壁面と、を備えている。
副気室部材は、これら第1の縦壁面と第2の縦壁面との間に嵌り込んでいる。また、副気室部材は、副気室と、この副気室をタイヤ空気室に連通する連通孔とを有する本体部とを備えている。このような本体部の幅方向の両端には、第1の縦壁面と第2の縦壁面とのそれぞれに係止させる係止部が設けられている。
このような副気室部材は幅方向の断面が左右対称に形成されている。
しかしながら、副気室の容積が減少すると、副気室部材はタイヤ空気室の気柱共鳴音に対する消音効果が低下してタイヤ空気室の気柱共鳴音に起因するロードノイズを十分に低減できなくなる問題を生じる。
また、本発明の車両用ホイールは、後に詳しく説明するように、副気室部材の本体部の上面が第1の縦壁面側から第2の縦壁面側に向けて登り勾配に傾斜していることを主な特徴とする。
以下では、車両用ホイールの全体構成について説明した後に、副気室部材について詳細に説明する。
車両用ホイール100は、図1に示すように、リム11と、このリム11をハブ(図示省略)に連結するためのディスク12とを備えている。
リム11は、図1に示すホイール幅方向Yの両端部に形成されるタイヤのビードシート部(図示省略)同士の間で、ホイール径方向の内側(回転中心側)に向かって凹んだウェル部11cを有している。
図2は、副気室部材10の全体斜視図である。
副気室部材10は、図2に示すように、一方向に長い部材であって、内側に後記する副気室SC(図4参照)を有する中空の本体部13と、この本体部13を後記する第1及び第2の縦壁面16a,16b(図6参照)に係止させる縁部14a,14bと、を備えている。
なお、縁部14a,14bは、特許請求の範囲にいう「係止部」に相当する。
図3(a)に示すように、副気室部材10は、平面視で長い矩形を呈している。本体部13の平面形状は、管体18の形成領域(後に詳しく説明する結合部35の形成領域を含む)を合わせると、副気室部材10の平面形状よりも一回り小さい略矩形を呈している。
内側に後記する副気室SC(図4参照)が形成される本体部13、つまり管体18及び結合部35を除く本体部13は、図3(a)に示す上面視(平面視)で略ハット形状(略凸字形状)を呈している。
ちなみに、これら溝D1及び溝D2は、上板25aと底板25bとを部分的に結合させて後記の仕切り壁W(図4参照)を構成しており、この仕切り壁Wが本体部13の中空部を二分することで、本体部13内には後記する一対の副気室SC(図4参照)が形成される。
管体18は、副気室部材10の長手方向(ホイール周方向X)に沿って延在している。そして、一対の管体18に形成される連通孔20(図3(b)参照)のそれぞれは、一対の副気室SC(図4参照)を個別に外部と連通させている。つまり、副気室部材10は、溝D1及び溝D2を境に2つのヘルムホルツレゾネータ19a,19b同士が一体に形成された構成となっている。
図3(a)中、符号26は、後に詳しく説明する突出部である。符号33aは、上側結合部であり、図3(b)中、符号30は、ビードであり、符号33bは、下側結合部である。これら上側結合部33a、ビード30、及び下側結合部33bについては、次の図4及び図5を参照しながら説明する。
図4及び図5に示すように、副気室部材10の本体部13は、底板25bと、この底板25bとの間に副気室SCを形成する上板25aとを備えている。なお、本実施形態での上板25a及び底板25bを構成する樹脂材料のそれぞれは、同じ厚さとなっているが、これらの厚さは相互に異なっていてもよい。
ちなみに、ホイール周方向Xに延在する管体18の連通孔20は、図4に示すように、ホイール周方向Xの一端側で副気室SCと連通し、他端側で外部に開口している。
連通孔20の断面形状は、特に制限はなく、楕円形、円形、多角形、D字形状等のいずれであってもよい。連通孔20の直径は、断面が円形の場合には、5mm以上が望ましい。また、円形以外の断面形状の連通孔20は、その断面積で同じ断面積の円形に換算して直径5mm以上のものが望ましい。
f0(Hz):共鳴振動周波数
C(m/s):副気室SC内部の音速(=タイヤ空気室MC内部の音速)
V(m3):副気室SCの容積
L(m):連通孔20の長さ
S(m2):連通孔20の開口部断面積
α:補正係数
なお、前記共鳴振動周波数f0は、タイヤ空気室MCの共鳴振動周波数に合わせられる。
これらの下側結合部33bは、底板25bが上板25a側に向かって窪むように形成されたものであり、平面視で円形を呈している。これらの下側結合部33bは、その先端部が、上板25aの上側結合部33aの先端部と一体になって、上板25aと底板25bとを部分的に結合している。
ちなみに、副気室SC内で相互に結合された上側結合部33aと下側結合部33bは、副気室部材10の機械的強度を向上させると共に、副気室SCの容積の変動を抑制して後記する消音機能を、より効果的に発揮させる構成となっている。
なお、本発明においては、このような上側結合部33a及び下側結合部33bを有しない構造とすることもできる。
そして、前記したように、副気室部材10は、仕切り壁Wを境に2つのヘルムホルツレゾネータ19a,19b同士が一体に形成された構成となっている。
なお、仕切り壁Wは、本体部13の中空部を仕切って2つ副気室SCを形成することができればよく、例えば、溝D2を形成することなく溝D1のみで上板25aと底板25bとを接合して形成したものでもよい。また、仕切り壁Wは、溝D1を形成することなく溝D2のみで上板25aと底板25bとを接合して形成したものでもよい。
結合部35は、図4及び図5に示すように、膨出部分13bと管体18との間で上板25aと底板25bとが部分的に一体となるように接合されて形成されたものである。
具体的には、結合部35は、図5に示すように、本体部13の全幅部分13aのホイール周方向Xの端部で上板25aと底板25bとが接合されて1つになって基端35aを形成している。また、結合部35は、この基端35aからホイール周方向Xに向けて延出する途中でホイール径方向Zの外側に突出する屈曲部を形成する屈曲板体で構成されている。ちなみに、本実施形態での結合部35の基端35aと先端35bとは、底板25bと同じ高さで(ホイール周方向Xの同じ湾曲面上に)形成されている。
図6に示すように、縁部14a及び縁部14bは、前記したように、上板25a及び底板25bで形成される本体部13からホイール幅方向Yに延出するように形成されている。そして、縁部14aは、本体部13から第1の縦壁面16aに向けて延出してその先端が第1の縦壁面16aの溝部17aに嵌り込んでいる。また、縁部14bは、本体部13から第2の縦壁面16bに向けて延出してその先端が第2の縦壁面16bの溝部17bに嵌り込んでいる。
図6中、符号SCは、副気室であり、符号MCは、図示しないタイヤとウェル部11cとの間に形成されるタイヤ空気室である。符号26は、縦壁15の切欠き部15aに嵌め込まれる突出部である。符号11gは、後記する第2の縦壁面16b側のハンプ部11f(図7参照)の頂部と縦壁15の頂部とを結ぶ線である。この線11gと副気室部材10の本体部13との位置関係については後に詳しく説明する。
そして、ビードシート部11a,11aがウェル部11cに窪む手前にホイール径方向外側盛り上がったハンプ部11f,11fを有している。
なお、図7中、符号MCはタイヤ空気室である。
したがって、本体部13のホイール幅方向Yの断面において、縦壁15の頂部から第2の縦壁面16b側のハンプ部11fの頂部に向かう線11gは、ウェル部11の外周面11dに対して登り勾配に傾斜している。
また、本体部13のホイール幅方向Yの断面において、副気室部材10の本体部13の上面は、線11gに沿うように形成されている。
したがって、本体部13の上面を構成する平坦部25cは、ホイール幅方向Yの断面において、ウェル部11の外周面11dに対して第1の縦壁面16a側から第2の縦壁面16b側に向けて登り勾配に傾斜している。
なお、図6及び図7中、符号Pは、副気室部材10の上板25aにおける「副気室SCの主要部を形成する上板25a部分」である。この部分Pは、特許請求の範囲にいう「本体部が部分的にはみ出ている」部分に相当する。
図8(a)に示すように、突出部26は、副気室部材10の縁部14aの先端において、ホイール径方向Zの外側(矢印Zの上方)に突出するように形成される切片(ホイール周方向Xに長い直方体)で構成されている。この突出部26のホイール周方向Xの幅は、縦壁15に形成される切欠き部15aに収まる程度の幅で形成されている。
これにより、突出部26は、副気室部材10が縁部14aを介して縦壁15に係止された際に、縦壁15の切欠き部15aに嵌り込むことで、副気室部材10のホイール周方向Xへの回り止めとして機能する。
図9(a)は本発明の実施形態に係る車両用ホイール100において副気室部材10がウェル部11c上に配置された様子を示す模式図であり、(b)は他の実施形態に係る車両用ホイール100において副気室部材10がウェル部11c上に配置された様子を示す模式図である。
符号Bは、カウンタウエイトであり、ウェル部11cに副気室部材10を取り付けたことによって生ずるホイールアンバランス(静バランス)を相殺するものである。
なお、本実施形態でウェル部11cに対する副気室部材10の取付けには、図10(a)及び(b)に示すように、溝部17a寄りの位置で縁部14aをウェル部11cの外周面11dに向けて押圧するプッシャ(押圧装置)60を使用することを想定している。
なお、図10(a)及び(b)中、プッシャ60は、作図の便宜上、仮想線(二点鎖線)で示している。
そして、図10(a)中、仮想線で示すプッシャ60が長さの長い縁部14aに当てられる。符号11dは、ウェル部11cの外周面である。
この際、バネ弾性を有する長さの長い縁部14aは、プッシャ60の押圧力の大きさに応じて撓むこととなる。
一般に、車両の大きさに応じて変動するホイールサイズ(幅)は、車両のブレーキキャリパのホイールに対するクリアランスを考慮して、ウェル部11cの立上り壁面(例えば、第2の縦壁面16b)からハンプ部(例えば、ハンプ部11f)までの長さを調節して設定することが望ましい。
本実施形態に係る車両用ホイール100においては、副気室部材10の本体部13の上面(平坦部25c)は、第1の縦壁面16a側から第2の縦壁面16b側に向けて登り勾配に傾斜している。したがって、この車両用ホイール100によれば、タイヤ21の組付け時に副気室部材10がタイヤ21の組付け作業を妨げない範囲で、或いは副気室部材10がタイヤ21の組付け作業により損傷を被ることのない範囲で、副気室SCをホイール径方向Zの外側に最大限に拡張することができる。よって、この車両用ホイール100によれば、車両の大きさや形態に応じてホイールの径や幅を減少させた場合であっても、副気室SCの容積の必要量を確保できるようになる。つまり、この車両用ホイール100によれば、ホイールの径や幅を減少させた場合であっても、タイヤ空気室MCの気柱共鳴音に対する消音効果に優れ、確実にロードノイズを低減することができる。
これにより、車両用ホイール100は、ホイール径やホイール幅が減少した場合でも、副気室SCの容積の必要量を確保することができるようになる。そして、この車両用ホイール100によれば、副気室SCの容積が減少することによってタイヤの気柱共鳴音に対する消音効果が低下して、ロードノイズを十分に低減できなくなるという問題を解消することができる。
また、前記実施形態では、線18gに対して、本体部13の平坦部25cが略並行するものを想定しているが、本発明は、平坦部25cがウェル部11cの外周面11dに対して、第1の縦壁面16a側から第2の縦壁面16b側に向けて登り勾配に傾斜していればよく、その傾斜角度は、線11gの外周面11dに対する角度と厳密に一致していなくてもよい。
10a 第1の副気室部材
10b 第2の副気室部材
11c ウェル部
11d 外周面
11f ハンプ部
11g 結ぶ線
13 本体部
13a 全幅部分
13b 膨出部分
14a 縁部(係止部)
14b 縁部(係止部)
15 縦壁
15a 切欠き部
16a 第1の縦壁面
16b 第2の縦壁面
17a 溝部
17b 溝部
18 管体
19a ヘルムホルツレゾネータ
19b ヘルムホルツレゾネータ
19c ヘルムホルツレゾネータ
19d ヘルムホルツレゾネータ
20 連通孔
20a 連通孔
20b 連通孔
20c 連通孔
20d 連通孔
21 タイヤ
21a ビード部(タイヤビード部)
25a 上板
25b 底板
26 突出部
35 結合部
60 プッシャ
100 車両用ホイール
MC タイヤ空気室
SC 副気室
X ホイール周方向
Y ホイール幅方向
W 仕切り壁
Z ホイール径方向
Claims (1)
- タイヤ空気室内でヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材をウェル部の外周面に有する車両用ホイールであって、
前記ウェル部の前記外周面に立設された縦壁に前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、
前記ウェル部の一方の立上り部に前記周方向に延びるように形成され、第1の縦壁面と前記外周面の幅方向で対向する第2の縦壁面と、
を備え、
前記副気室部材は、
第1の縦壁面と第2の縦壁面との間に嵌まり込み、
前記外周面側の底板と、この底板との間で副気室を形成する上板と、前記副気室を前記タイヤ空気室に連通させる連通孔とを有する本体部と、
前記本体部の前記幅方向の両端に形成され、前記本体部を前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面のそれぞれに係止されている係止部と、
を備え、
前記本体部の前記幅方向の断面において、前記本体部の上面は前記第1の縦壁面側から前記第2の縦壁面側に向けて登り勾配に傾斜し、前記縦壁の頂部と前記第2の縦壁面側のハンプ部の頂部とを結ぶ線よりも上方に、前記本体部が部分的にはみ出ており、
前記本体部は、前記第1の縦壁面側よりも前記第2の縦壁面側寄りに配置されていることを特徴とする車両用ホイール。
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