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JP6029210B2 - 浴槽パン用排水トラップおよびこの浴槽パン用排水トラップが用いられた浴室ユニット - Google Patents

浴槽パン用排水トラップおよびこの浴槽パン用排水トラップが用いられた浴室ユニット Download PDF

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JP6029210B2 JP2013103811A JP2013103811A JP6029210B2 JP 6029210 B2 JP6029210 B2 JP 6029210B2 JP 2013103811 A JP2013103811 A JP 2013103811A JP 2013103811 A JP2013103811 A JP 2013103811A JP 6029210 B2 JP6029210 B2 JP 6029210B2
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Description

本発明は、浴槽を受ける浴槽パンに取り付けられる浴槽パン用排水トラップおよびこの浴槽パン用排水トラップが用いられた浴室ユニットに関する。
浴室ユニットにおいては、浴槽を浴槽パンで受けるように設置し、万一浴槽自体に亀裂等が入る、あるいは、排水口と排水トラップとを接続する排水管に不備が生じて漏れが発生した場合でも、浴槽パンで漏れた湯や水を浴槽パンの底に設けられた浴槽パン排水口から浴槽パン用排水トラップを経て下水等につながる排水経路に排水することによって、建物の床下等に漏れでないようにしている。
上記浴槽パン用排水トラップは、一般に、封水貯水部を有するトラップ本体と、トラップ本体の封水貯水部からオーバーフローした排水の排水筒部を有し、前記封水貯水部が、オーバーフロー口を有する貯水枡部と、浴槽の排水口に繋がる浴槽排水管の下流側端部が連結される浴槽排水孔と、浴槽パン排水孔とを有する桝蓋部とを備えている。
そして、上記のような浴槽パン用排水トラップとして、浴槽排水の流入によって封水貯水部内の排水の水位の上昇によって、浮き上がり、浴槽パン排水孔を塞いで浴槽からの排水が浴槽パン排水孔を介して浴槽パン内に流れ込まないようにするフロート弁を備え、フロート弁によって浴槽パン側への排水の逆流を防止して、浴槽から直接浴槽パン内に湯や水が漏れないかぎり、浴槽パン内に浴槽からの湯や水が入り込まないようにしているものがある(特許文献1,2)。また、フロート弁に代えて逆止弁を設けたものもある。
特開2001-182118号公報 特開2005-9133号公報
しかし、長期間使用していると、フロート弁や逆止弁、浴槽パン排水孔の周囲等に汚れが付着し、フロート弁や逆止弁が目皿部の下面等に止水面に吸着したり、排水中に含まれる髪の毛などが、フロート弁や逆止弁の止水面に付着したりして、フロート弁によって浴槽パン排水孔を十分に塞ぐことができないおそれがでてくる。
そこで、時折、フロート弁あるいは逆止弁や桝蓋部の浴槽パン排水孔周辺を清掃する必要があるが、清掃に際しては、浴槽側と洗い場側を仕切るエプロン等を取り外さなければならないなど、一般家庭の使用者が行うには、非常に作業性が悪く面倒である。したがって、どうしても浴槽パン内が汚れた状態で放置されがちである。
一方、桝蓋部の浴槽パン排水孔を塞ぐような、弁のないメンテナンスを容易にするようにしたものも見受けられるが、従来のフロート弁を用いないものの場合、浴槽からの排水が多量に封水貯水部内に流れ込浴槽からの排水が多量に封水貯水部内に流れ込でも目皿部の浴槽パン排水孔から浴槽パン内に浴槽からの排水が逆流するおそれがあるため、浴槽パン用排水トラップの封水貯水部の深さを十分にとらなければならず、浴槽パン用排水トラップの高さ寸法が高くなる。
したがって、浴槽パンと浴槽パンを設置する建物躯体床面との隙間を多くとらなければならず、結果として、洗い場パン側の床面高さを上げないと、浴槽パン上に設置される浴槽の跨ぎ込み高さが高くなってしまう。
しかし、洗い場パン側の床面高さを上げると、洗い場の天井高が低くなってしまうとともに、浴室の出入口に脱衣室や洗面室等の隣室の床面FLとの間に段差が生じて、バリアフリー化できないという問題がある。
また、一般的に浴槽パン用排水トラップからの排水経路と、洗い場パンからの排水経路とは、途中で合流し、下水経路に流れるようになっているため、浴槽からの排水が大量に洗い場パン側の排水経路との合流部に流れ込み排水経路内が負圧になると、洗い場パン側の封水が破封して「ゴボゴボ」という破封音が発生するおそれが高い。
したがって、中高層住宅などの集合住宅では、この破封音が階下や隣室に響き、騒音問題となるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みて、浴槽パン用排水孔を塞ぐフロート弁を設けずとも浴槽の排水が浴槽パン側に逆流することがなく、維持管理が容易である上、厚みを薄くして浴槽への跨ぎ込み高さを低くしても洗い場床の低床化を図れるとともに、浴槽の排水時に破封音の発生を防止することができる浴槽パン用排水トラップおよびこの浴槽パン用排水トラップが用いられた浴室ユニットを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明にかかる浴槽パン用排水トラップは、封水貯水部を有するトラップ本体と、トラップ本体の封水貯水部からオーバーフローした排水の排水筒部を有し、前記封水貯水部が、オーバーフロー口を有する貯水枡部と、浴槽の排水口に繋がる浴槽排水管の下流側端部が連結される浴槽排水孔と、浴槽パン排水孔とを有する桝蓋部とを備える浴槽パン用排水トラップであって、前記封水貯水部が、隔壁を介して前記浴槽排水孔を下方から臨み、前記排水筒部につながる第1オーバーフロー口を有する第1封水貯水部と、前記浴槽パン排水孔を下方から臨み、前記第1オーバーフロー口より下流側で前記排水筒部につながる第2オーバーフロー口を有する第2封水貯水部とに仕切られていて、前記第2オーバーフロー口は、前記第1オーバーフロー口からオーバーフローした浴槽からの排水で、前記排水筒部の第2オーバーフロー口より下流側が大気圧より負圧になることによって第2封水貯水部中に貯まった封水が破封状態になるまで第2オーバーフロー口から排水筒部内に吸引排水され、前記第1オーバーフロー口からのオーバーフロー量が前記負圧となる排水量以下となると、第1オーバーフロー口からオーバーフローした排水の一部が第2オーバーフロー口から第2封水貯水部内に封水として流れ込む構造に形成されていることを特徴としている。
また、本発明にかかる浴槽パン用排水トラップは、封水貯水部を有するトラップ本体と、トラップ本体の封水貯水部からオーバーフローした排水の排水筒部を有し、前記封水貯水部が、オーバーフロー口を有する貯水枡部と、浴槽の排水口に繋がる浴槽排水管の下流側端部が連結される浴槽排水孔と、浴槽パン排水孔とを有する桝蓋部とを備える浴槽パン用排水トラップであって、前記封水貯水部が、隔壁を介して前記浴槽排水孔を下方から臨み、前記排水筒部につながる第1オーバーフロー口を有する第1封水貯水部と、前記浴槽パン排水孔を下方から臨み、前記第1オーバーフロー口より下流側で前記排水筒部につながる第2オーバーフロー口を有する第2封水貯水部とに仕切られていて、前記排水筒部は、筒長手方向の一側が閉塞され、閉塞側の端部にその底面より上方で前記トラップ本体側壁面に前記第1オーバーフロー口が開口する第1通水部を有し、この第1通水部の下流側に、底面が前記トラップ本体側に拡幅するように第1通水部より内断面積が大きくなった第2通水部が形成され、この第2通水部の下流側に設けられ、底が第2通水部の底面より低くなり、かつ、内断面積が大きくなった第3通水部が形成されていて、前記第2オーバーフロー口が、前記第2通水部の底面の第1通水部より拡幅した部分の第1通水部側端部を切欠いて前記第2封水貯水部に連通させるように形成されていることを特徴としている。
本発明の浴槽パン用排水トラップは、桝蓋部が、その下面側に浴槽パン排水孔に連通する封水筒を備えていることが好ましい。また、浴槽排水孔に臨むように封水筒を設けるようにしてもよい。
本発明にかかる浴室ユニットは、上記本発明の浴槽パン用排水トラップが、浴槽パンに取り付けられ、その排水筒部が、浴槽パンに連設された洗い場パンに取り付けられた洗い場パン用排水トラップの排水管路に合流するように接続配管されていることを特徴としている。
また、本発明の浴室ユニットは、最も低床化を図れるように、第2オーバーフロー口の下端の高さが洗い場パン用封水トラップの封水最高高さ位置と略同じになっていることが好ましい。
本発明にかかる浴槽パン用排水トラップは、封水貯水部を有するトラップ本体と、トラップ本体の封水貯水部からオーバーフローした排水の排水筒部を有し、前記封水貯水部が、オーバーフロー口を有する貯水枡部と、浴槽の排水口に繋がる浴槽排水管の下流側端部が連結される浴槽排水孔と、浴槽パン排水孔とを有する桝蓋部とを備える浴槽パン用排水トラップであって、前記封水貯水部が、隔壁を介して前記浴槽排水孔を下方から臨み、前記排水筒部につながる第1オーバーフロー口を有する第1封水貯水部と、前記浴槽パン排水孔を下方から臨み、前記第1オーバーフロー口より下流側で前記排水筒部につながる第2オーバーフロー口を有する第2封水貯水部とに仕切られていて、前記第2オーバーフロー口は、前記第1オーバーフロー口からオーバーフローした浴槽からの排水で、前記排水筒部の第2オーバーフロー口より下流側が大気圧より負圧になることによって第2封水貯水部中に貯まった封水が破封状態になるまで第2オーバーフロー口から排水筒部内に吸引排水され、前記第1オーバーフロー口からのオーバーフロー量が前記負圧となる排水量以下となると、第1オーバーフロー口からオーバーフローした排水の一部が第2オーバーフロー口から第2封水貯水部内に封水として流れ込む構造に形成されている。
また、本発明にかかる浴槽パン用排水トラップは、封水貯水部を有するトラップ本体と、トラップ本体の封水貯水部からオーバーフローした排水の排水筒部を有し、前記封水貯水部が、オーバーフロー口を有する貯水枡部と、浴槽の排水口に繋がる浴槽排水管の下流側端部が連結される浴槽排水孔と、浴槽パン排水孔とを有する桝蓋部とを備える浴槽パン用排水トラップであって、前記封水貯水部が、隔壁を介して前記浴槽排水孔を下方から臨み、前記排水筒部につながる第1オーバーフロー口を有する第1封水貯水部と、前記浴槽パン排水孔を下方から臨み、前記第1オーバーフロー口より下流側で前記排水筒部につながる第2オーバーフロー口を有する第2封水貯水部とに仕切られていて、前記排水筒部は、筒長手方向の一側が閉塞され、閉塞側の端部にその底面より上方で前記トラップ本体側壁面に前記第1オーバーフロー口が開口する第1通水部を有し、この第1通水部の下流側に、底面が前記トラップ本体側に拡幅するように第1通水部より内断面積が大きくなった第2通水部が形成され、この第2通水部の下流側に設けられ、底が第2通水部の底面より低くなり、かつ、内断面積が大きくなった第3通水部が形成されていて、前記第2オーバーフロー口が、前記第2通水部の底面の第1通水部より拡幅した部分の第1通水部側端部を切欠いて前記第2封水貯水部に連通させるように形成されている。
したがって、浴槽の湯や水を排水する際に湯や水が第1封水貯水部に流れ込み、第1オーバーフロー口から排水筒部に流入し、排水筒部内に排水が充満し、第2オーバーフロー口より下流側が負圧状態になると、第2オーバーフロー口から第2封水貯水部に貯水された封水が排水筒部側に吸引されて第2封水貯水部の封水が破封状態になる。
すなわち、排水筒部内を流れる排水中に、浴槽パン内の空気が入り込み、洗い場パン用排水トラップの排水管路の合流部で、排水が負圧になって洗い場パン用排水トラップの封水を吸引して浴室内に破封音が発生するということがない。
また、浴槽からの排水量が多い間は、第2封水貯水部の破封状態が保たれるため、浴槽パン排水孔部分に弁を設けなくても、浴槽からの排水が浴槽パン排水孔を介して浴槽パン側に逆流することがない。
そして、排水量が減ってきて、第2オーバーフロー口より下流側が負圧となる排水量以下となると、排水筒部内を流れる排水の一部が第2オーバーフロー口から第2封水貯水部内に流れ込み、再び第2封水貯水部が封水で満たされる。
したがって、浴槽パン側に下水路側からの汚臭が入り込むことを確実に防止できる。
本発明の浴室ユニットは、上記本発明の浴槽パン用排水トラップが、浴槽パンに取り付けられ、前記浴槽パン用排水トラップの排水管路が、浴槽パンに連設された洗い場パンに取り付けられた洗い場パン用排水トラップの排水管路に合流しているので、浴槽の跨ぎこむ高さが低くできるとともに、洗い場床を低床化することができる。
しかも、浴槽から湯や水を多量に排水しても、洗い場パン用排水トラップの封水が破封されることがない。したがって、浴槽の湯や水を排水する際の「ゴボゴボ」という破封音の発生を防止することができる。
本発明にかかる浴槽パン用排水トラップの1つの実施の形態をあらわす平面図である。 図1の浴槽パン用排水トラップの正面図である。 図1の浴槽パン用排水トラップの一部切欠き断面斜視図である。 図1のX−X断面図である。 図1のY−Y断面図である。 第1通水部と第3通水部の内断面積を比較して説明する図である。 第1通水部と第2オーバーフロー口の内断面積を比較して説明する図である。 図1の浴槽パン用排水トラップを用いた浴室ユニットの要部断面図である。 図8の浴室ユニットの浴槽パン用排水トラップと、洗い場パン用排水トラップの接続状態を説明する斜視図である。 図1の浴槽パン用排水トラップの浴槽からの排水が多量に流れ込んだ場合の排水の流れを説明する概略図である。 図1の浴槽パン用排水トラップの浴槽からの排水が減ってきた場合の排水の流れを説明する概略図である。
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図5は、本発明にかかる浴槽パン用排水トラップの1つの実施の形態をあらわしている。
図1〜図5に示すように、この浴槽パン用排水トラップAは、トラップ本体1と、排水筒部2とを備えている。
トラップ本体1は、貯水桝部3と、貯水桝部3の上部を覆う桝蓋部4とを備えている。
貯水桝部3は、図5に示すように、隔壁31によって、第1封水貯水部32と、第2封水貯水部33とに仕切られている。
第1封水貯水部32は、オーバーフロー口32aが、後述する排水筒部2の第1通水部21に設けられた仕切り壁21aに水平方向に長い矩形の孔状に設けられ、オーバーフローライン(孔の下端縁)が、後述する第1通水部21の底面(以下、「第1底面」と記す)21bより高い位置になっている。
なお、第1底面21bから第1オーバーフローラインまでの高さは、第1底面21bと第1ホーバーフローラインまでの間に少しの段差があれば、上限は特に限定されないが、あまり高さを高くすると、浴槽排水の排水速度が遅くならないように、第1オーバーフロー口の開口面積を十分な大きさに確保するには、排水筒部全体の長さを長くするか、排水筒部の天井高を高くするようにしなければならず、トラップ全体をコンパクトにできない。
第2封水貯水部33は、第1封水貯水部32を排水筒部2側を除いて周囲から囲むように平面視Uの字形に設けられていて、後述する第2通水部22を臨む位置に第2オーバーフロー口33aが設けられている。
第2オーバーフロー口33aは、オーバーフローラインが、第2通水部22の底面(以下、「第2底面」と記す)22aと同じ高さになっている。
桝蓋部4は、底板部41を底面に備えた雌ねじ筒部40備えている。
桝蓋部4は、底板部41の下面から第1封水筒42と、第2封水筒43が延設されている。
第1封水筒42は、第1封水貯水部32内に臨む位置に設けられ、上端部が、後述する浴槽8bの排水口(図示せず)に繋がる浴槽排水管P6の下流側端部が嵌合される浴槽排水孔を兼ねている。
第1封水筒42の下端と、第1封水貯水部32の底との間には、隙間が設けられている。
隙間は、封水高さ(第1封水筒42の下端から第1オーバフローラインまでの高さ)が51cm以上確保できれば特に限定されないが、あまり隙間が狭すぎると、浴槽からの排水が流れ込む際に抵抗が大きくなり、排水速度が遅くなるため、10cm以上が好ましい。
第2封水筒43は、第2封水貯水部33内に臨む位置に設けられ、上端に底板部41に穿設された3つの浴槽パン排水孔41aが臨んでいる。すなわち、第2封水筒43は、浴槽パン排水孔41aを介して底板部41の上側と連通状態になっている。
また、第2封水筒43の下端と、第2封水貯水部33の底との間には、隙間が設けられている。
この隙間は、封水高さ(第1封水筒42の下端から第1オーバフローラインまでの高さ)が51cm以上確保できれば特に限定されないが、底板部41の浴槽パン排水孔41aを
通過可能な最大立方体(この実施の形態では、一辺の長さが、浴槽パン排水孔41aの短手方向の寸法を有する立方体)の一辺の長さ以上であればよい。
排水筒部2は、第1通水部21と、第2通水部22と、第3通水部23と、を備えている。
第1通水部21は、前述のように、第1オーバーフロー口32a以外の部分が仕切り壁21aによってトラップ本体1と仕切られていて、第1底面21bが第1オーバーフロー口32aのオーバーフローラインに平行な平坦面になっている。
第2通水部22は、第2底面22aが第1底面21bに継ぎ目なく連続して設けられるとともに、トラップ本体1側に水平に拡幅するように設けられている。
また、第2底面22aは、仕切り壁21aのその一部が切り欠かれて第2オーバーフロー口33aとなっている。すなわち、第2底面22aが第2オーバーフロー口33aのオーバーフローラインとなっている。
第3通水部23は、円筒状になっていて、第2通水部22の第2底面22a部分がこの円筒内に庇状に張出すように設けられて、第2底面22aとの間に段差が生じるようになっている。
なお、この実施の形態では、第2底面22aの下方に第3通水部23側で開口する凹部24が形成されているが、この凹部24は、成形金型の構造上設けられたもので、段差が形成されていれば無くても構わない。
また、排水筒部2は、排水筒部2を筒長手方向に直交する断面でみた、図6および図7に示す第1通水部21の内断面積(以下、「第1通水面積」と記す)aと、図6に示す第3通水部23の内断面積(以下、「第3通水面積」と記す)bと、図7に示す第2オーバーフロー口33aの内断面積(第2通水部22の内断面積から第1通水面積aと仕切り壁21aの断面積とを除いた部分の内断面積、以下、「第3通水面積」と記す)cとが、
b>a>c、b>a+cを満足していればよい。
ただし、ベルヌーイの定理より導かれるP1−P2=ρV2/(V2−V1)の式を用いた場合、上記条件を満足する範囲で、仕切り壁21aを図6および図7で見て左側に移動させて第1通水面積aを小さくしていくと、浴槽排水が第3通水部23に流入したときに発生する負圧は大きくなっていくと考えられるが、第1通水面積aが小さくなるにしたがい、第3通水路cが大きくなっていくので、第2封水貯水部33の封水を引く力が大きくなるとはかぎらない。しかも、第1通水面積aが小さくなると、浴槽排水の排水時間が長くなるため、実用的には、浴槽の満水時の80%の高さまで水が張られた状態から排水完了まで6分30秒以内となるように第1通水面積a,第3通水面積b、第2通水面積cを設定することが好ましい。
一方、仕切り壁21aを図6および図7で見て右側に移動させて第1通水面積aを大きくしていくと、浴槽排水が第3通水部23に流入したときに発生する負圧は小さくなっていくと考えられるが、第1通水面積aが大きくなるにしたがい、第3通水路cが小さくなっていくので、第2封水貯水部33の封水を引く力にはあまり問題はない。しかし、第3通水路cを小さくしずぎると、排水完了時には元の封水高さまで水位が戻りきらないようになるおそれがある。
つぎに、図8にこの浴槽パン用排水トラップAを用いた本発明の浴室ユニットの1例を示す。
すなわち、この浴室ユニットは、浴槽パン用排水トラップAが、図に示すように、浴槽パン8aの排水口80を底板部41の上方に臨ませ、浴槽パン固定部材82の雄ねじ筒部82bを雌ねじ筒部40にねじ込んで、浴槽パン用排水トラップAのトラップ本体1の周縁とフランジ部82aとの間でシール材81を介して排水口80の周縁を水密に挟み込むことによって浴槽パン8aに取り付けられている。
また、第3通水部23には、図9に示すように、フレキシブル管P1の一端部が外嵌接続されている。
プレキシブル管P1は、Y型管継手P2に接続されている。
Y型管継手P2は、図示していないが、その排水経路につながる側(図9の矢印側)が少し低くなるように取り付けられている。
Y型管継手P2は、第1短管P3は、45°エルボP4,第2短管P5を介して洗い場パン用排水トラップ7に接続されている。
洗い場パン用排水トラップ7は、図8に示すように、洗い場パン9に取り付けられている。
なお、図8,9中、71は、洗い場パン用排水トラップ7のお洗い場パン9の排水口から着脱自在な封水筒である。
この浴室ユニットは、上記のようになっており、浴槽排水管P6を介して浴槽8b内の湯や水が排水されると、湯や水が、浴槽パン用排水トラップAの浴槽排水孔である第1封水筒42を介して第1封水貯水部32に流入する。
第1封水貯水部32に入った排水は、通常、第1オーバーフロー口32aから排水筒部2の第1通水部21に入り、第2通水部22および第3通水部23を介して排水経路に排水される。
そして、図10に示すように、浴槽8bに湯や水が満たされていて、浴槽8bからの排水量が多く、第2オーバーフロー口33aより下流側(第3通水部23側)で負圧が発生すると、第2封水貯水部33に溜まった封水が、第2オーバーフロー口33aを介して第3通水部23側に吸引排水されて、第2封水貯水部33が破封状態になる。
第2封水貯水部33が破封状態となると、浴槽パン8a内の空気が、浴槽パン排水孔41a,第2封水筒43および第2封水貯水部33を介して第2オーバーフロー口33aから吸引されて排水管部2内を流れる浴槽8bからの排水中に空気が混ざり込む。
したがって、浴槽8bからの排水が続いている状態では、浴槽パン8a内の空気が排水中に常に吸引された状態となり、フロート弁を設けなくても、浴槽8bからの排水が第2封水貯水部33側に逆流して、浴槽パン8a内に流れ込むことがない。
そして、フロート弁や逆止弁が設けられていないので、浴槽パン排水孔の周囲等に汚れが付着し、フロート弁や逆止弁が桝蓋部4の下面に吸着したり、排水中に含まれる髪の毛などがフロート弁や逆止弁の止水面に付着したりする問題もない。
しかも、排水中への空気の流入によって、洗い場パン用排水トラップ7からの排水の合流部で負圧になることが防止される。したがって、浴槽8bからの排水量が多くても、洗い場パン用排水トラップ7の封水が吸引されて破封し、この破封による洗い場パン用排水トラップ7における「ゴボゴボ」という破封音の発生を防止することができる。
すなわち、中高層住宅に用いた場合に、上記のようなゴボゴボと破封音が隣室に響くという騒音問題を解消することができる。
一方、図11に細い矢印で示すように、浴槽8bからの排水量が減り、第1オーバーフロー口32aからオーバーフローする排水量が、第1通水部21に第3通水部23内が負圧にならない第1通水部21が満水にならない排水量以下になると、第1通水部21から第3通水部23へ流れ込もうとする排水の一部が、第2オーバーフロー口33aが、第2底面22aの一部を切り欠かれたように形成されているので、第1通水部21を通り、第2通水部22へ流れ込んだ排水の一部が第2オーバーフロー口33aから第2封水貯水部33に封水となるように流れ込む。
したがって、長期間浴槽を使用せず、封水が蒸発してしまわない限り、下水等の汚臭が浴槽パン排水孔41aを介して浴室内に流れ込むことがない。
また、排水筒部2は、第2底面22aと第3通水部23の底との間に段差が設けられているので、この段差によって第3通水部23から排水が逆流することを防止できる。すなわち、第2封水貯水部33への逆流が防止される。
したがって、フロート弁を設けなくても、洗い場パン側からの排水が逆流して、浴槽パン8a側へ入り込むことがない。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施の形態では、第1封水筒が設けられていたが、浴槽排水孔のみを桝蓋部に設け、浴槽排水孔に嵌合される浴槽排水管の下端部が封水筒を兼ねるような構造としても構わない。
また、上記の実施の形態では、浴槽排水管が、その下端部を、浴槽排水孔を介して第1封水筒に嵌合させることによってトラップに連結されていたが、たとえば、浴槽排水管の下端部を桝蓋部の表面に接着等によって固定することによって連結するようにしても構わない。
以下に、本発明の具体的な実施例を説明する。
(実施例1)
以下の構成の、図1〜5に示す浴槽パン用排水トラップAと同様の形状をしたを浴槽パン用排水トラップAを作製した。
〔浴槽パン用排水トラップA〕
第1封水筒42と、第1封水貯水部32の底面との隙間:11mm
第2封水筒43と、第1封水貯水部32の底面との隙間:5mm
第1オーバーフロー口32aの開口面積:20.7cm2
第1ホバーフロー口32aのオーバーフローラインと、第1底面21bとの高低差:5mm
第1通水部21の第1通水面積a:316mm2
第3通水部23の第3通水面積b:855mm2
第2オーバーフロー口33aの第2通水面積c:103mm2
第2底面22と、第3底面23との最大高低差:8.5mm
浴槽パン排水孔41aの短手方向の寸法:4.8mm
上記構成の浴槽パン用排水トラップAおよび洗い場パン用排水トラップ7を排水筒部2の第1底面21bが水平面となるとともに、図7に示すH1とH2が、H1=185mm、H2=51mmになるように組み込み、以下のようなテストを行った。
また、浴槽8bの跨ぎ込み高さは450mmとした。
(テスト1)
浴槽満水80%のときの排水量で浴槽排水管P6から第1封水貯水部32に排水を流入させるとともに、洗い場パン側から20L/分の排水量で排水を流し、洗い場パン用排水トラップ7側で破封が起こらないか否かと、浴槽パン用排水トラップ側への逆流の有無をテストしたところ、洗い場パン用排水トラップ7側での破封はなく、破封音もなかった。また、逆流もなかった。
(テスト2)
浴槽8b内に満水量の80%まで水を張った状態で浴槽8bの排水栓を開放して排水量で浴槽排水管P6から第1封水貯水部32に排水を流入させ、浴槽パン8a側への逆流の有無を調べたところ、逆流は認められなかった。また、排水完了までの時間は、6分2〜4秒であった。そして、一旦、破封した第2封水貯水部33には、排水完了30秒前に第2オーバーフロー口33aから排水が逆流し、排水完了時には元の封水高さまで水位が戻った。
(テスト3)
浴槽ハ゜ン排水孔41aを上方から塞ぐように、ワセリンを底板部41上の3mmの厚みに堆積させた状態にし、浴槽8bに満水状態まで水を張った状態で浴槽8bの排水栓を開放して排水量で浴槽排水管P6から第1封水貯水部32に排水を流入させたところ、排水によってワセリンに穴が開き、通気されることが判り、排水によって第2封水貯水部33内が破封状態になることが確認できた。
上記実施例1のテスト結果から本発明の浴槽パン用排水トラップAを用いれば、フロート弁や逆止弁を用いなくても、浴槽88bbからの排水時に浴槽パン8b側の排水の逆流湯がなく、躯体床から建物床面FLまでの高さH1=185mmという低床化を達成することができることがよくわかる。
また、排水完了時には、第2封水貯水部33内が封水で満たされた状態に戻るため、封水が蒸発によりなくならない限り、下水等の汚臭が浴槽パン側へ流れ込まない状態を常に確保できることがわかる。
(実施例2)
〔浴槽パン用排水トラップB〕
第1通水面積aが小さくなるように、仕切り壁21aを図6および図7でみて左側に4mm移動させて、第1通水面積aを267mm2、第2通水面積cを170mm2となるようにした以外は上記浴槽パン用排水トラップAと同じ条件で浴槽パン用排水トラップBを作製した。
上記構成の浴槽パン用排水トラップBおよび洗い場パン用排水トラップ7を排水筒部2の第1底面21bが水平面となるとともに、図7に示すH1とH2が、H1=185mm、H2=51mmになるように組み込み、以下のようなテストを行った。
また、浴槽8bの跨ぎ込み高さは450mmとした。
(テスト1)
浴槽満水80%のときの排水量で浴槽排水管P6から第1封水貯水部32に排水を流入させるとともに、洗い場パン側から20L/分の排水量で排水を流し、洗い場パン用排水トラップ7側で破封が起こらないか否かと、浴槽パン用排水トラップ側への逆流の有無をテストしたところ、洗い場パン用排水トラップ7側での破封はなく、破封音もなかった。また、逆流もなかった。
(テスト2)
浴槽8b内に満水量の80%まで水を張った状態で浴槽8bの排水栓を開放して排水量で浴槽排水管P6から第1封水貯水部32に排水を流入させ、浴槽パン8a側への逆流の有無を調べたところ、逆流は認められなかった。また、排水完了までの時間は、6分30秒であった。そして、一旦、破封した第2封水貯水部33には、排水完了30秒前に第2オーバーフロー口33aから排水が逆流し、排水完了時には元の封水高さまで水位が戻った。
(実施例3)
〔浴槽パン用排水トラップC〕
第1通水面積aが大きくなるように、仕切り壁21aを図6および図7でみて右側に4.5mm移動させて、第2通水面積c部分の底辺の長さが5mm、第1通水面積aを385mm2、第2通水面積cを40mm2となるようにした以外は上記浴槽パン用排水トラップAと同じ条件で浴槽パン用排水トラップCを作製した。
上記構成の浴槽パン用排水トラップCおよび洗い場パン用排水トラップ7を排水筒部2の第1底面21bが水平面となるとともに、図7に示すH1とH2が、H1=185mm、H2=51mmになるように組み込み、以下のようなテストを行った。
また、浴槽8bの跨ぎ込み高さは450mmとした。
(テスト1)
浴槽満水80%のときの排水量で浴槽排水管P6から第1封水貯水部32に排水を流入させるとともに、洗い場パン側から20L/分の排水量で排水を流し、洗い場パン用排水トラップ7側で破封が起こらないか否かと、浴槽パン用排水トラップ側への逆流の有無をテストしたところ、洗い場パン用排水トラップ7側での破封はなく、破封音もなかった。また、逆流もなかった。
(テスト2)
浴槽8b内に満水量の80%まで水を張った状態で浴槽8bの排水栓を開放して排水量で浴槽排水管P6から第1封水貯水部32に排水を流入させ、浴槽パン8a側への逆流の有無を調べたところ、逆流は認められなかった。また、排水完了までの時間は、5分23〜25秒であった。そして、一旦、破封した第2封水貯水部33には、排水完了30秒前に第2オーバーフロー口33aから排水が逆流し、排水完了時には元の封水高さまで水位が戻った。
(参考例)
浴槽パン用排水トラップCより仕切り壁21bをさらに右側に0.5mm移動させた浴槽パン用排水トラップDを作製したが、浴槽パン用排水トラップDの場合、第2封水貯水部33の破封には問題なかったが、排水完了時には元の封水高さまで水位が戻らなかった。
A 浴槽パン用排水トラップ
1 トラップ本体
2 排水筒部
21 第1通水部
21a 仕切り壁
21b 第1底面
22 第2通水部
22a 第2底面
23 第3通水部
24 凹部
3 貯水桝部
31 隔壁
32 第1封水貯水部
32a 第1オーバーフロー口
33 第2封水貯水部
33a 第2オーバーフロー口
4 桝蓋部
40 雌ねじ筒部
41 底板部
41a 浴槽パン排水孔
42 第1封水筒(浴槽排水孔)
43 第2封水筒
7 洗い場パン用排水トラップ
71 封水筒
8b 浴槽
8a 浴槽パン
80 排水口
81 シール材
82 浴槽パン固定部材
82a フランジ部
82b 雄ねじ筒部
9 洗い場パン
P1 フレキシブル管
P2 Y型管継手
P3 第1短管
P4 45°エルボ
P5 第2短管
P6 浴槽排水管
a 第1通水面積
b 第3通水面積
c 第2通水面積

Claims (6)

  1. 封水貯水部を有するトラップ本体と、トラップ本体の封水貯水部からオーバーフローした排水の排水筒部を有し、
    前記封水貯水部が、オーバーフロー口を有する貯水枡部と、
    浴槽の排水口に繋がる浴槽排水管の下流側端部が連結される浴槽排水孔と、浴槽パン排水孔とを有する桝蓋部とを備える浴槽パン用排水トラップであって、
    前記封水貯水部が、隔壁を介して前記浴槽排水孔を下方から臨み、前記排水筒部につながる第1オーバーフロー口を有する第1封水貯水部と、
    前記浴槽パン排水孔を下方から臨み、前記第1オーバーフロー口より下流側で前記排水筒部につながる第2オーバーフロー口を有する第2封水貯水部とに仕切られていて、
    前記第2オーバーフロー口は、前記第1オーバーフロー口からオーバーフローした浴槽からの排水で、前記排水筒部の第2オーバーフロー口より下流側が大気圧より負圧になることによって第2封水貯水部中に貯まった封水が破封状態になるまで第2オーバーフロー口から排水筒部内に吸引排水され、前記第1オーバーフロー口からのオーバーフロー量が前記負圧となる排水量以下となると、第1オーバーフロー口からオーバーフローした排水の一部が第2オーバーフロー口から第2封水貯水部内に封水として流れ込む構造に形成されていることを特徴とする浴槽パン用排水トラップ。
  2. 封水貯水部を有するトラップ本体と、トラップ本体の封水貯水部からオーバーフローした排水の排水筒部を有し、
    前記封水貯水部が、オーバーフロー口を有する貯水枡部と、
    浴槽の排水口に繋がる浴槽排水管の下流側端部が連結される浴槽排水孔と、浴槽パン排水孔とを有する桝蓋部とを備える浴槽パン用排水トラップであって、
    前記封水貯水部が、隔壁を介して前記浴槽排水孔を下方から臨み、前記排水筒部につながる第1オーバーフロー口を有する第1封水貯水部と、
    前記浴槽パン排水孔を下方から臨み、前記第1オーバーフロー口より下流側で前記排水筒部につながる第2オーバーフロー口を有する第2封水貯水部とに仕切られていて、
    前記排水筒部は、筒長手方向の一側が閉塞され、閉塞側の端部にその底面より上方で前記トラップ本体側壁面に前記第1オーバーフロー口が開口する第1通水部を有し、
    この第1通水部の下流側に、底面が前記トラップ本体側に拡幅するように第1通水部より内断面積が大きくなった第2通水部が形成され、
    この第2通水部の下流側に設けられ、底が第2通水部の底面より低くなり、かつ、内断面積が大きくなった第3通水部が形成されていて、
    前記第2オーバーフロー口が、前記第2通水部の底面の第1通水部より拡幅した部分の第1通水部側端部を切欠いて前記第2封水貯水部に連通させるように形成されていることを特徴とする浴槽パン用排水トラップ。
  3. 排水筒部は、筒長手方向に直交する面で切断して見て、第1通水部の内断面積をa第3通水部の内断面積をb、第2オーバーフロー口の内断面積をcとしたとき、b>a>cおよびb>a+cを満足する請求項2に記載の浴槽パン用排水トラップ。
  4. 桝蓋部が、その下面側に浴槽パン排水孔に連通する封水筒を備えている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の浴槽パン用排水トラップ。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の浴槽パン用排水トラップが、浴槽パンに取り付けられ、その排水筒部が、浴槽パンに連設された洗い場パンに取り付けられた洗い場パン用排水トラップの排水管路に合流するように接続配管されていることを特徴とする浴室ユニット。
  6. 第2オーバーフロー口のオーバーフローラインの高さが洗い場パン用封水トラップの封水のオーバーフローラインと略同じ高さになっている請求項5に記載の浴室ユニット。
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