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JP6029201B2 - 液晶ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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JP6029201B2 JP2012068392A JP2012068392A JP6029201B2 JP 6029201 B2 JP6029201 B2 JP 6029201B2 JP 2012068392 A JP2012068392 A JP 2012068392A JP 2012068392 A JP2012068392 A JP 2012068392A JP 6029201 B2 JP6029201 B2 JP 6029201B2
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Description

本発明は、液晶ポリエステルの製造方法に関するものである。
溶融時に液晶性を発現する液晶ポリエステル樹脂は、耐熱性及び加工性に優れることから、各種用途分野で使用されている。
液晶ポリエステルは、対応するモノマーである芳香族ヒドロキシカルボン酸またはエステル化合物を重縮合させることで得られる。得られる液晶ポリエステルを高分子量化すると、機械的強度の向上を図ることができ、種々の使用用途において好適に用いることができる。しかし一方で、所望の分子量にまで高分子量化させると、得られるポリマーが高粘度であるために反応容器から排出し難く、連続生産が困難となるという課題がある。
この課題に対し、例えば特許文献1のような重合方法が知られている。特許文献1に記載された方法では、まず、反応容器からの排出を容易に行うことが可能な分子量まで、反応容器内で重縮合を行い、重合体を溶融状態で回収して固化させ、次いで、固相反応で所望の分子量にまで重合させて高分子量化する。これにより、液晶ポリエステルの高分子量化と生産性の向上とを実現している。
また、このような重合方法に用いられる製造設備として、特許文献2に示すような構成が知られている。特許文献2に記載された装置では、重合槽(反応容器)で重合された重合体を、冷却用のベルトクーラー上に排出して固化させるとともに下流側に移動させ、ベベルトクーラーの下流側端部に設けられた粉砕機で、固化した重合体を粉砕する構成となっている。これにより、後段の固相反応用に微細化された重合体の粒子を容易に得ることができる。
特開2001−72750号公報 特開2008−248095号公報
上記特許文献2に記載された装置を用いる場合には、反応容器から、安定した連続的な重合体の排出が必要となる。重合槽からの重合体の排出が連続的に行われると、ベルトクーラー上では、固化した重合体が連続的に帯状に繋がり、下流の粉砕機に連続的に供給されるため、安定して重合体の粒子を得ることができる。一方、反応容器からの重合体の排出が不連続となると、ベルトクーラー上では固化した重合体が繋がらず、複数の円板状の塊が形成されやすい。このような形状の重合体の固体が形成されると、固体が粉砕機に嵌合し、粉砕機を閉塞させてしまい、生産性が低下する。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、溶融重合を行う反応容器から溶融状態で連続的に重合体を排出することを可能とし、安定的な製造を可能とする液晶ポリエステルの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の液晶ポリエステルの製造方法は、式(I)で表される化合物を65モル%以上80モル%以下、式(II)で示される化合物を20モル%以上35モル%以下の割合で混合(但し、式(I)で表される化合物と、式(II)で示される化合物との合計量を100モル%とする)し、260℃以上350℃以下の温度条件において、生じる副生成物を留去しながら重縮合させるステップと、重縮合反応で生成するプレポリマーを、反応容器から連続的に払い出しながら、払い出した前記プレポリマーを一方向に逐次移送し、移送の過程で固化させるとともに、固化した前記プレポリマーを、移送方向下流に設けられた粉砕機で連続的に粉砕するステップと、得られるプレポリマー粒子を固相状態のまま不活性気体の流通下において熱処理して固相重合するステップとを含み、前記副生成物は、前記式(I)で表わされる化合物および前記式(II)で表わされる化合物が有するRおよびXが脱離し結合した化合物を含み、前記重縮合させるステップでは、留去した前記副生成物の量が、式(I)で表される化合物および式(II)で示される化合物が化学量論的関係で反応したときに生じる前記副生成物の理論量に対して、95%以上となるまで反応を続けることを特徴とする。
(但し、Rは水素原子、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基またはベンゾイル基を示し、Xはヒドロキシ基、オルガニルオキシ基、ハロゲン原子、アシルオキシ基を示し、Rは塩素原子、臭素原子またはアルキル基を示し、xは0から4のいずれかの整数である。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。xが2以上である場合、Rは同一でもよく、互いに異なってもよい。
式(I)は、R,R,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
(但し、RおよびXの定義は、式(I)におけるそれぞれの定義と同じである。式(I)と式(II)におけるRおよびXは、互いに同一でも異なってもよい。
、Rは、それぞれ塩素原子またはアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、yが2または3の場合、複数のRは互いに同一または異なる。zは0から3のいずれかの整数であり、zが2または3の場合、複数のRは互いに同一または異なる。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。)
本発明においては、前記副生成物は脂肪酸を含み、前記重縮合させるステップでは、留去した前記脂肪酸の量が、前記理論量に対して95%以上となるまで反応を続けることが望ましい。
本発明においては、前記式(I)で表わされる化合物として、4−ヒドロキシ安息香酸、前記式(II)で表わされる化合物として、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用い、前記式(I)で表わされる化合物および前記式(II)で表わされる化合物が有するフェノール性の水酸基を、該水酸基の当量以上の無水酢酸でアセチル化した後に重縮合させることが望ましい。
本発明においては、熱処理するステップの後に、加熱溶融して造粒することが望ましい。
本発明の液晶ポリエステルの製造方法によれば、溶融重合を行う反応容器から溶融状態で連続的にプレポリマーを排出することが可能となり、また、プレポリマーを粉砕する時の装置の閉塞を抑制することができる。そのため、液晶ポリエステルを安定して連続的に製造することが可能となる。
液晶ポリエステルの製造装置における一部の構成を示す概略図である。
以下、図1参照しながら、本発明の実施形態に係る液晶ポリエステルの製造方法について説明する。なお、以下の図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
(液晶ポリエステルの製造装置)
図1は、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法を実施する液晶ポリエステルの製造装置を示す概略図であり、装置構成全体のうち一部の構成を示す図である。
本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法は、(i)反応容器においてモノマーを重縮合(溶融重合)させるステップ、(ii)重縮合して得られた重合体(プレポリマー)を固化して粉砕してプレポリマーの粒子を得るステップ、(iii)粒子を固相状態のまま熱処理(固相重合)するステップ、を有している。図1に示す装置では、(i)(ii)のステップを行う。
図1に示す製造装置1は、プレポリマーPを重合する重合装置10と、重合装置10から排出されたプレポリマーPを冷却しながら水平方向に移送する冷却装置20と、冷却されたプレポリマーPを粉砕する粉砕装置30と、を有している。粉砕装置30で粉砕されたプレポリマーPは、不図示の固相重合設備に送られて固相重合される。すなわち、重合装置10では、上記(i)のステップを行い、冷却装置20および粉砕装置30では、上記(ii)のステップを行い、不図示の固相重合設備では、上記(iii)のステップを行う。
重合装置10は、重合槽(反応容器)11と、重合槽11内に設けられ内容物を攪拌する攪拌機12と、重合槽11の下部に設けられ内容物の排出量を制御するバルブ13と、を有している。また、重合槽11の上部には、重縮合中に生じる副生成物Bを含む物質を留去して回収する回収装置14が設けられている。回収装置14は、一端が重合槽11に接続された配管141と、配管141の他端が接続されたタンク142とを有し、配管141中には、重合槽11側から蒸発する副生成物Bを冷却する第1冷却器143,第2冷却器144が設けられている。
冷却装置20は、ダブルベルト式クーラーであり、無端ベルトである上側ベルト21および下側ベルト22を上下に密接して配置し、上側ベルト21と下側ベルト22との間にプレポリマーを挟んで、移送しながら冷却する装置である。
上側ベルト21および下側ベルト22は、耐食性を有する金属製のベルトであり、例えばスチールベルトである。上側ベルト21および下側ベルト22は、不図示の冷却用の水によって冷却される。
上側ベルト21は、第1ローラー23、第2ローラー24の間に巻き掛けられ、これらのローラーの間に張設されている。同様に、下側ベルト22は、第1ローラー25、第2ローラー26の間に巻き掛けられ、これらのローラーの間に張設されている。
重合装置10で重合されるプレポリマーPは、冷却装置20において下側ベルト22の上面(図中、符号Aで示す)に排出される。上側ベルト21および下側ベルト22は、各ローラーの駆動により、プレポリマーPを上側ベルト21と下側ベルト22との間に挟みながら下流側に移送する。プレポリマーPは、冷却装置20に挟まれて移動する間に冷却され、固化する。
上側ベルト21および下側ベルト22の間の隙間は、1mm〜2mm程度が好ましい。また、上側ベルト21および下側ベルト22の長さおよび移送速度は、プレポリマーPの冷却目標温度に応じて設定される。
冷却装置20で冷却され移送されるプレポリマーPは、粉砕装置30に供給される。粉砕装置30は、上流側に設けられた第1粉砕機31aと、下流側に設けられた第2粉砕機31bと、プレポリマーPの飛散防止のためのカバー33とを有している。
第1粉砕機31aおよび第2粉砕機31bは、円筒状の芯材の軸方向および周方向に、無数の棒状、突起状または鈎状の粉砕歯が付設された回転体であり、芯材を中心軸として回転することで、板状に固化したプレポリマーPを粉砕する。
ここで、重合装置10からプレポリマーPを排出する際に、連続的に排出できない場合、例えば、断続的にプレポリマーPが冷却装置20に供給されると、冷却装置20では、プレポリマーPが円板状に固化することがある。このようなプレポリマーPが粉砕装置30に供給されると、第1粉砕機31や第2粉砕機32の粉砕歯の間にプレポリマーPが嵌合し、閉塞させるおそれが生じる。
なお、本明細書において「連続的に排出」とは、プレポリマーPがとぎれることなく連続的に排出されることを意味している。このような状態でプレポリマーPが排出されると、冷却装置20上では、プレポリマーPが一つにつながった帯状の固体となり、粉砕装置30へ安定的に連続供給される。
従来は、プレポリマーPの排出を容易にするためには、プレポリマーPの粘度が上がりすぎないように重合を制御することが必要であると考えられていた。そのため、プレポリマーPの重合転化率(モノマー総量に対する生成ポリマーの割合。残存モノマーが無くなれば重合転化率100%)が高いと粘度上昇につながることから、連続的に排出させるためには不利であると考えられていた。
しかし、発明者が安定的な製造を可能とする液晶ポリエステルの製造方法について検討したところ、従来とは異なる観点から、反応容器から溶融状態で連続的にプレポリマーを排出することが可能であることを見出し、本実施形態の発明に至った。
(液晶ポリエステルの製造方法)
以下、液晶ポリエステルの製造方法について、詳細に説明する。
本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法は、式(I)で表される化合物を65モル%以上80モル%以下、式(II)で示される化合物を20モル%以上35モル%以下の割合で混合し、260℃以上350℃以下の温度条件において、生じる副生成物を留去しながら重縮合させるステップと、重縮合反応で生成するプレポリマーを、反応容器から連続的に払い出しながら、払い出した前記プレポリマーを一方向に逐次移送し、移送の過程で固化させるとともに、固化した前記プレポリマーを、移送方向下流に設けられた粉砕機で連続的に粉砕するステップと、得られるプレポリマー粒子を固相状態のまま不活性気体の流通下において熱処理して固相重合するステップと、を含み、副生成物は、式(I)で表わされる化合物および式(II)で表わされる化合物が有するRおよびXが脱離し結合した化合物を含み、前記重縮合させるステップでは、留去した前記副生成物の量が、式(I)で表される化合物および式(II)で示される化合物が化学量論的関係で反応したときに生じる前記副生成物の理論量に対して、95%以上となるまで反応を続けることを特徴としている。
(但し、Rは水素原子、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基またはベンゾイル基を示し、Xはヒドロキシ基、オルガニルオキシ基、ハロゲン原子、アシルオキシ基を示し、Rは塩素原子、臭素原子またはアルキル基を示し、xは0から4のいずれかの整数である。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。xが2以上である場合、Rは同一でもよく、互いに異なってもよい。
式(I)は、R,R,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
(但し、RおよびXの定義は、式(I)におけるそれぞれの定義と同じである。式(I)と式(II)におけるRおよびXは、互いに同一でも異なってもよい。
、Rは、それぞれ塩素原子またはアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、yが2または3の場合、複数のRは互いに同一または異なる。zは0から3のいずれかの整数であり、zが2または3の場合、複数のRは互いに同一または異なる。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。)
なお、Xに含まれるオルガニルオキシ基として好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基である。
また、式(II)中、Rは、ナフチレン基における5位、7位、8位に結合可能な置換基であり、Rは、ナフチレン基における1位、3位、4位に結合可能な置換基である。
ここで、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kgf/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
上記式(I)で表わされる化合物の例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ホルモキシ安息香酸、4−アセトキシ安息香酸、4−プロピオニルオキシ安息香酸などの芳香族カルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−アセトキシ安息香酸メチル、4−アセトキシ安息香酸フェニルなどの芳香族カルボン酸エステルが挙げられ、特に4−ヒドロキシ安息香酸または4−アセトキシ安息香酸が好ましい。
上記式(I)で表わされる化合物について、その他の芳香族ヒドロキシカルボン酸の誘導体としては、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、カルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
また、上記式(I)で表わされる化合物の例としては、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸などを、ガスバリア性を向上する目的で併用することもできる。これらは、式(I)においてRが水素原子でありXがヒドロキシ基である化合物であるが、もちろんR,Xが、上述した置換基である誘導体を併用することとしても構わない。
上記式(II)で表わされる化合物の例としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸などの芳香族カルボン酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、または6−アセトキシ−2−ナフトエ酸メチルなどの芳香族カルボン酸エステル、が挙げられ、特に6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸が好ましい。
上記式(II)で表わされる化合物について、その他の芳香族ヒドロキシカルボン酸の誘導体としては、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、カルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
また、上記式(II)で表わされる化合物の例として、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−4,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸などを、ガスバリア性を向上する目的で併用することもできる。これらは、式(II)においてRが水素原子でありXがヒドロキシ基である化合物であるが、もちろんR,Xが、上述した置換基である誘導体を併用することとしても構わない。
さらに、本実施形態においては、得られる液晶ポリエステルの物性や加工性に重大な影響を与えない範囲で、3−ヒドロキシ安息香酸、3−ホルモキシ安息香酸、3−アセトキシ安息香酸、3−プロピオニルオキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸メチル、3−ヒドロキシ安息香酸プロピル、3−ヒドロキシ安息香酸フェニル、3−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、3−アセトキシ安息香酸メチル、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸、4’−アセトキシビフェニル−4−カルボン酸等を併用することができる。
以下、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法について、ステップ毎に詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、モノマーを重縮合させるステップで得られる重合体を「プレポリマー」と称し、プレポリマーを固相状態のまま熱処理するステップで得られる重合体を、目的とする「液晶ポリエステル」と称する。
(重縮合させるステップ)
まず、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法における「重縮合させるステップ」について説明する。
本ステップにおいては、上記の式(I)で表わされる化合物と、式(II)で表わされる化合物と、を反応容器中で重縮合反応させる。この時、これらの化合物を反応容器へ混合した状態で仕込むこととしてもよく、別々に仕込むこととしてもよい。
ここで、式(I)で表わされる化合物、または式(II)で表わされる化合物として、フェノール性水酸基を有する化合物を用いる場合(Rが水素原子である場合)には、重縮合反応に先だって、フェノール性水酸基の反応性を上げるための反応を行っておくことが好ましい。このような反応としては、例えば、フェノール性水酸基と無水酢酸などの酸無水物との反応によるエステル化反応が挙げられる。このような反応は、重縮合反応を行う反応容器と別の反応容器で行うこととしてもよいが、重縮合反応を行う反応容器と同一の反応容器で行い、引き続き重縮合反応を行うこととすると操作が簡便になるため好ましい。
このようなエステル化反応においては、上記の式(I)で表わされる化合物または式(II)で表わされる化合物が有するフェノール性水酸基に対し、好ましくは当量以上、より好ましくは1.03倍当量以上1.3倍当量以下の無水酢酸などの酸無水物を反応させるとよい。
その際、エステル化反応を行う反応容器は、チタン、ハステロイB等の耐腐食性を有する材料の使用が可能である。また、目的とする液晶ポリエステルが高い色調(L値)を必要とする場合は、反応容器の内壁の材質がガラスであることが好ましい。反応混合物と接する反応容器の内壁がガラス製であるならば、反応容器全体がガラス製である必要はなく、例えば、グラスライニングされたSUS製等の反応槽等を使用することも可能である。例えば、大型の生産設備においては、グラスライニングされた反応槽を用いることが好ましい。
本実施形態における重縮合反応は、不活性気体、例えば窒素雰囲気下で、常圧または減圧の条件下で行うことができるが、不活性気体の雰囲気下で常圧にて行うことが好ましい。プロセスは回分式、連続式、またはそれ等の組み合わせを採用できる。
本発明における重縮合反応の温度は、260℃以上350℃以下の範囲であり、好ましくは270℃以上330℃以下である。温度が260℃より低いと反応の進行が遅く、350℃を越えると分解等の副反応が起こりやすい。なお、反応槽が多段に分割、または切られている場合には、最も高い反応温度が本発明で言うところの重縮合反応温度である。
重縮合反応の時間は反応条件等により適宜決められるべきであるが、該反応温度において0.5時間以上5時間以下が好ましい。多段階の反応温度を採用しても構わないし、場合により、反応途中で、あるいは重縮合反応温度に達したら直ぐにプレポリマーを溶融状態で抜出し、回収することとしても構わない。
重縮合反応は、無触媒下でも十分進行するが、必要に応じて触媒として、Ge、Sn、Ti、Sb、Co、Mn等の酸化物、酢酸塩等の化合物を使用することとしてもよい。例えば食品用途のように、使用用途によっては重合後に触媒成分の除去が必要な場合もあり、当該用途で用いる液晶ポリエステルの重合においては無触媒が好ましい。そのため、使用用途に応じて触媒使用の可否を選択するとよい。
重縮合反応において、反応容器の形状は公知のものを用いることができる。用いる攪拌翼は、縦型の反応容器の場合、多段のパドル翼、タービン翼、モンテ翼、ダブルヘリカル翼が好ましく、中でも、多段のパドル翼、タービン翼がより好ましい。横型の反応容器では、1軸または2軸の攪拌軸に垂直に、種々の形状の翼、例えばレンズ翼、眼鏡翼、多円平板翼等が設置されているものが良い。また、翼にねじれを付けて、攪拌性能や送り機構を向上させたものも良い。
反応容器の加熱は、熱媒、気体、電気ヒーターにより行うが、均一加熱という目的で、反応容器だけでなく、攪拌軸、翼、邪魔板等の反応容器内の反応物に浸漬する部材も加熱することが好ましい。
このような重縮合においては、式(I)で表わされる化合物および式(II)で表わされる化合物が有するRおよびXが脱離し結合した化合物が、反応の副生成物として生じる。例えば、Rがアセチル基であり、Xがヒドロキシ基である場合、副生成物として脂肪酸が生じる。本ステップにおいては、この副生成物を留去しながら、留去した副生成物の量が、式(I)で表される化合物および式(II)で示される化合物が化学量論的関係で反応したときに生じる副生成物の理論量に対して、95%以上となるまで重縮合反応を行う。以下の説明においては、留去した副生成物の量の理論量に対する割合を「回収率」と称することがある。
図1に示す重合装置10では、重縮合反応で生じる副生成物を留去する回収装置14が設けられているため、タンク142に留去された副生成物の量から、副生成物の回収率を求めることができる。
なお、酢酸や無水酢酸の留去と共にモノマーなど他の物質も留去されることがあるが、他の物質の量が酢酸や無水酢酸の量と比べて非常に少ない場合には、捨象して取り扱うこととしてもよく、他の物質の含有量を考慮した上で留去した副生成物の量を算出することとしても構わない。
ところで、一例として、式(I)で表わされる化合物として、4−ヒドロキシ安息香酸、式(II)で表わされる化合物として、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用い、両化合物のフェノール性水酸基を無水酢酸でエステル化した後に重縮合を行う場合、重縮合の副生成物として脂肪酸である酢酸が生じる。酢酸は、重縮合反応の温度条件下では蒸発しやすく留去しやすいため、重縮合反応の進行と酢酸の留去とは概ね同時に進行する。したがって、副生成物の回収率(酢酸の回収率)から、重縮合反応の重合転化率を概算することもできる。
以上のようにして重縮合を行い、プレポリマーを得る。
(プレポリマーの粒子を得るステップ)
次いで、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法における「プレポリマーの粒子を得るステップ」について説明する。
本ステップでは、まず、上記重縮合反応によって得られるプレポリマーを、反応容器から溶融状態で排出し回収する。
プレポリマーを溶融状態で取出す場合、不活性気体雰囲気中、例えば窒素雰囲気中で実施するのが、得られる液晶ポリエステルの色調が悪化せず好ましいが、水分が少ない場合は空気中で実施してもよい。また、プレポリマーを溶融状態で取出す際、反応容器を窒素等の不活性ガスにより、好ましくは0.01MPa以上0.30MPa以下、より好ましくは0.02MPa以上0.20MPa以下に加圧する。加圧して払い出しをすることで、副生物の生成が抑えられ、重縮合反応の平衡がポリマー生成側に傾かないため、プレポリマーの分子量上昇が抑制され、結果、抜出し時のポリマーの流動温度の上昇を抑えることができる。
プレポリマーを回収するための設備としては、公知の押出機、ギヤポンプが挙げられるが、単なるバルブだけでも良い。上述の流動開始温度にまで重合が進行したプレポリマーは、取出された後しばらくすると固化するので、目的に応じて、ストランドカッターやシートカッターでカットしたり、粉砕したりすることが可能となる。また、大量のプレポリマーを短時間に取出し、固化し、粉砕する手段として、特開平6−256485号公報に記載された定量供給装置を経てダブルベルトクーラーで冷却する方法等が挙げられる。
また、プレポリマーを回収した後の反応容器の洗浄方法としては、特開平5−29592号、特開平5−29593号公報に記載されたグリコール類とアミン類とのいずれか一方または両方を用いた方法が挙げられる。
次いで、得られたプレポリマーを公知の粉砕機で粉砕することで、粒子径が3mm以下、好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.1mm以上0.4mm以下の粒子(粉末)とする。粒子径が3mmを越えると、表面層と内部との間で、重合速度、未反応原料の反応の結果生じた副生物の拡散時間が異なることから、分子量分布が広がるおそれがあり、また、揮発成分が十分除去されないために発泡やガス発生の原因となるおそれがあることから好ましくない。ここで、粒子の「粒子径が3mm以下」とは、粒子が目開き3mmの篩を通過する大きさであることを示す。
以上のようにして、プレポリマーの粒子を得る。
(熱処理するステップ)
次いで、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法における「熱処理するステップ」について説明する。
本ステップでは、不活性気体の流通下においてプレポリマーの粒子を固相状態で熱処理し、固相重合を行って目的とする液晶ポリエステルを得る。これにより、未反応原料を除去するとともに、分子量を上げることができ、液晶ポリエステルの物性を上げることができる。
固相重合時の昇温速度、および最高処理温度は、生じる液晶ポリエステルの粒子を融着させないような条件とする。融着を起こすと、表面積が減少し、重縮合反応や低沸点成分の除去が遅くなり好ましくない。
固相重合の昇温速度は、0.05℃/分以上0.25℃/分以下であることが好ましく、0.10℃/分以上0.20℃/分以下であることがより好ましい。
固相重合の最高処理温度は、好ましくは200℃以上310℃以下の範囲、より好ましくは230℃以上300℃以下の範囲に設定する。200℃未満の温度では、反応が遅く処理時間がかかるため不経済であり、310℃を越えると、粉体粒子同士が融着したり、溶融するため固相状態が保持できなかったりするため好ましくない。
固相重合を行う装置としては、不活性気体の流通下で重合させることが可能であれば、既知の乾燥機、反応機、混合機、電気炉等、粉体を加熱処理することが可能な種々の装置を用いることができる。中でも、不活性気体の流通下で固相重合を行うために、密閉度の高いガス流通式の装置が好ましい。
不活性気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガスから選ばれるものが好ましく、さらに好ましくは窒素である。不活性気体の流量は、固相重合装置の容積、粉末の粒径、充填状態等を勘案して決められるが、反応容器1m当たり2m/hr以上8m/hr以下、より好ましくは3m/hr以上6m/hr以下である。不活性気体の流量が2m/hr未満では重合速度が遅く、8m/hrを越えると、粉末の飛散が起こる場合があるため好ましくない。
固相重合の時間としては、1時間以上24時間以下が好ましい。
以上のようにして、目的とする液晶ポリエステルを得ることができる。
本実施形態の製造方法により得られる液晶ポリエステルは、下記の繰り返し単位(A)を繰り返し単位全体の20モル%以上80モル%以下、下記の繰り返し単位(B)を繰り返し単位全体の20モル%以上80モル%以下の割合で含む。
(但し、Rは塩素原子、臭素原子またはアルキル基を示し、xは0から4のいずれかの整数である。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。xが2以上である場合、Rは同一でもよく、互いに異なってもよい。繰り返し単位(A)は、Rが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。nは(A)の繰り返し数を示す整数である)
(但し、R、Rは、それぞれ塩素原子またはアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、yが2または3の場合、複数のRは互いに同一または異なる。zは0から3のいずれかの整数であり、zが2または3の場合、複数のRは互いに同一または異なる。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。)
このような液晶ポリエステルは、流動温度が好ましくは210℃以上320℃以下、より好ましくは220℃以上300℃以下、さらに好ましくは230℃以上280℃以下である。該流動温度が320℃を越えると、加工温度が350℃を越えることがあり、好ましくない。
更に、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法では、上述の方法で得られる液晶ポリエステルを、加熱溶融し造粒することとしてもよい。造粒の形態はペレット状が好ましい。
液晶ポリエステルの粒子を造粒してペレットを製造する方法としては、一般に使用されている一軸または二軸の押出機を用い溶融混練し、空冷または必要に応じて水冷した後、ペレタイザー(ストランドカッター)でペレットに賦形する方法が挙げられる。溶融均一化と賦形が目的のため、汎用の押出機が使用できるが、L/Dの大きい押出機を用いることが溶融均一化の観点からは好ましい。溶融混練に際しては、押出機のシリンダー設定温度(ダイヘッド温度)は200℃以上350℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは230℃以上330℃以下、更に好ましくは240℃以上320℃以下である。
また、ペレット状の液晶ポリエステルを得る方法は上記方法には限らない。例えば、「プレポリマーの粒子を得るステップ」において、溶融状態のプレポリマーを溝付きの平行ローラー上に排出してストランド状(紐状)に賦形した後、切断して粒径3mm以下のペレットとし、該ペレットを熱処理することで、ペレット状の液晶ポリエステルとしてもよい。
なお、本実施形態の製造方法で製造される液晶ポリエステルには、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。このような無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、モンモリロナイト、石膏、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウム繊維等が例示される。これらの無機充填剤は、フィルムの透明性や機械強度を著しく損なわない範囲で用いることができる。
また、本実施形態の製造方法で製造される液晶ポリエステルには、必要に応じて、さらに、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機もしくは有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、またはフッ素樹脂などの離型改良剤など、各種の添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができる。
以上のような構成の液晶ポリエステルの製造方法によれば、溶融重合を行う反応容器から溶融状態で連続的にプレポリマーPを排出することが可能となり、また、粉砕装置30でのプレポリマーPの閉塞を抑制することができる。そのため、液晶ポリエステルを安定して連続的に製造することが可能となる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[流動開始温度]
液晶ポリエステルの流動開始温度は、フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500型)を用いて測定した。液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kgf/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を、流動開始温度として測定した。
(実施例)
攪拌翼として三段のパドル翼を有する攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた200Lの反応器に、窒素雰囲気下で無水酢酸 35.5kg(0.348kmol)を入れた後、p−ヒドロキシ安息香酸31.0kg(0.224kmol)、2−ヒドロキシ6−ナフトエ酸17.2kg(0.092kmol)を入れ、さらに反応器内に、酢酸0.100kgに4.8gの1−メチルイミダゾールを混合した混合液を添加した。その後、窒素ガス気流下で140℃まで昇温し、温度を保持して60分間、還流させた。
その後、酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、140℃から280℃まで3時間かけて昇温し、280±2℃で保持した。系外に留出する酢酸の回収率(後述)が95%以上となったことを確認した上で、反応器の底弁を開き、プレポリマーをダブルベルト式クーラー(日本ベルティング製)に供給して、ベルトクーラーへのプレポリマーの供給状況、および、ベルトクーラー出口にあるピンクラッシャーでの粉砕状況を観察した。実施例として、払い出し時の副生酢酸の量が異なる5水準を採用した。
[酢酸回収率]
酢酸の回収率は、重合反応中に系外に留去する物質を、反応器に接続された還流冷却器で回収し、回収した物質の質量に基づいて、下記式から求めた。式中、量の単位はすべてkgである。
なお、回収した物質には、重縮合反応で副生成物として生じる酢酸と、重縮合反応に先だって系内に投入し、未反応のまま留去された無水酢酸と、留去されたモノマー成分と、が含まれる。本実施例においては、回収した物質に含まれるモノマー成分の割合を測定し、回収した物質の1質量%未満であることを確認した。したがって、本実施例においては、モノマー成分を捨象して(モノマー成分は含まれないものとして)酢酸回収率を算出した。
ここで、「酢酸量(理論値)」は、モノマーとして用いるp−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ6−ナフトエ酸のフェノール性水酸基がすべて量論でアセチル化されたとして、重合転化率が100%となった場合に生じる酢酸の量である。
また、「未反応無水酢酸量(理論値)」は、モノマーとして用いるp−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ6−ナフトエ酸のフェノール性水酸基がすべて量論でアセチル化された場合に、系内に残存する未反応の無水酢酸の量である。
(比較例)
系外に留出する副生酢酸の量が、理論収率の95%未満であることを確認した上で、反応器の底弁を開きプレポリマーをベルトクーラー上へ払い出しを行ったこと以外は、実施例と同様にして行った。比較例として、払い出し時の副生酢酸の量が異なる3水準を採用した。
実施例および比較例について、評価結果を下表1に示す。
観察の結果、実施例の5水準では、いずれもプレポリマーがベルトクーラー上に連続的に供給された。また、ベルトクーラー上で冷却されたプレポリマーは、帯状に連続した固体となり、ベルトクーラー出口にあるピンクラッシャーを閉塞させることなく、厚み1mm〜2mmの板状に破砕された。
一方、比較例の3水準では、いずれもプレポリマーがベルトクーラー上に不連続に供給された。そのため、ベルトクーラー上で冷却されたプレポリマーは、複数の円板状の固体を含み、ベルトクーラー出口にあるピンクラッシャーを閉塞させた。
これらの結果から、本発明の有用性が確かめられた。
1…製造装置、10…重合装置、11…重合槽、12…攪拌機、14…回収装置、20…冷却装置、30…粉砕装置、31a…第1粉砕機、31b…第2粉砕機、P…プレポリマー

Claims (3)

  1. 式(I)で表される化合物を65モル%以上80モル%以下、式(II)で示される化合物を20モル%以上35モル%以下の割合(但し、式(I)で表される化合物と、式(II)で示される化合物との合計量を100モル%とする)で混合し、更に無水酢酸を加え、130〜160℃でアセチル化反応を進行させるステップと、
    260℃以上350℃以下の温度条件において、アセチル化反応で生じた副生酢酸、重縮合反応で生じる副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら重縮合させるステップと、
    重縮合反応で生成するプレポリマーを、反応容器から連続的に払い出しながら、払い出した前記プレポリマーを一方向に逐次移送し、移送の過程で固化させるとともに、固化した前記プレポリマーを、移送方向下流に設けられた粉砕機で連続的に粉砕するステップと、
    得られるプレポリマー粒子を固相状態のまま不活性気体の流通下において熱処理して固相重合するステップとを含み
    前記重縮合させるステップでは、留去した前記副生酢酸および前記未反応の無水酢酸の量が、式(I)で表される化合物および式(II)で示される化合物が化学量論的関係で反応したときに生じる前記副生酢酸の理論量および未反応の前記無水酢酸の理論量の合計量に対して、95%以上となることを確認するまで反応を続け、
    前記粉砕するステップでは、留去した前記副生酢酸および前記未反応の無水酢酸の量が、前記合計量に対して95%以上となったことを確認した後に、前記プレポリマーを前記反応容器から連続的に払い出すことを特徴とする液晶ポリエステルの製造方法。
    (但し、Rは水素原子、Xはヒドロキシ基を示し、Rは塩素原子、臭素原子またはアルキル基を示し、xは0から4のいずれかの整数である。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。xが2以上である場合、Rは同一でもよく、互いに異なってもよい。
    式(I)は、R,R,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
    (但し、RおよびXの定義は、式(I)におけるそれぞれの定義と同じである
    、Rは、それぞれ塩素原子またはアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、yが2または3の場合、複数のRは互いに同一または異なる。zは0から3のいずれかの整数であり、zが2または3の場合、複数のRは互いに同一または異なる。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。)
  2. 前記式(I)で表わされる化合物として、4−ヒドロキシ安息香酸、前記式(II)で表わされる化合物として、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用い、
    前記式(I)で表わされる化合物および前記式(II)で表わされる化合物が有するフェノール性の水酸基を、該水酸基の当量以上の無水酢酸でアセチル化した後に重縮合させることを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステルの製造方法。
  3. 熱処理するステップの後に、加熱溶融して造粒することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
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