JP6028285B2 - ナトリウム二次電池正極材料、該ナトリウム二次電池用正極材料の製造方法、該ナトリウム二次電池用正極材料を用いるナトリウム二次電池用電極、該ナトリウム二次電池用電極を備える非水系ナトリウム二次電池、及び該非水系ナトリウム二次電池を用いる電気機器 - Google Patents
ナトリウム二次電池正極材料、該ナトリウム二次電池用正極材料の製造方法、該ナトリウム二次電池用正極材料を用いるナトリウム二次電池用電極、該ナトリウム二次電池用電極を備える非水系ナトリウム二次電池、及び該非水系ナトリウム二次電池を用いる電気機器 Download PDFInfo
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Description
しかしながら、電荷担体であるリチウムは希少金属であり、またその資源が南米や中国に偏在しているため、原料価格が高く、原料の安定供給にも不安がある。
特許文献2には、リチウム含有複合酸化物から電気化学的にリチウムを脱離した正極と負極にナトリウム金属を用いたナトリウム二次電池が開示されている。
しかし、ナトリウムイオンはリチウムイオンと比較して、イオン半径が約1.3倍大きいため、充放電に伴う正極材料の体積膨張・収縮変化が大きく、ナトリウムイオンの吸蔵量も少なくなる。従って、これら従来のナトリウム二次電池においては、十分な充放電容量と、十分な容量維持率が得られていないのが現状である。
本発明の非水系ナトリウム二次電池はさらに、硫化スズ負極と、六フッ化リン酸ナトリウムが溶解したEC系電解液とを備えることが好ましい。
この正極材料を活物質として用いることにより、従来に比して充放電容量と容量維持率に優れるナトリウム二次電池とすることができる。
格子定数や回折ピークの比が、この範囲を外れるナトリウム二次電池正極材料を正極活物質としてナトリウム二次電池を構成すると、充放電容量が小さくなってしまい、また放電サイクルを繰り返すと放電容量が下降してしまい容量維持率が悪化するため、好ましくない。
これら元素M2は、組成式1:NaA(MnBM1C)ODで表される遷移金属酸化物固溶体の結晶中において、主として、元素M1の一部と置換してM1サイトに存在するものである。このため、M1イオンサイズに近いイオンサイズの元素が好ましい。
M2とM1の総モル数に対するM2のモル数の原料組成における比をTとし、T=M2/(M2+M1)とすると、Tが0.01〜0.1の範囲であることが好ましい。
上記組成式において、フッ素元素Fは、組成式2:NaA(MnBM1CM2E)ODの結晶中に存在するOの一部と置換してOサイトに存在するものであり、フッ素元素Fが置換した遷移金属酸化物固溶体は、初期の充放電容量は若干低下するものの、充放電サイクル特性が約5〜10%向上し、同時に、放電電圧が0.02〜0.1V程度上昇する。但し、フッ素元素Fの置換量が多くなるとNaとF間の結合エネルギーが強まり、Naイオンの挿入・脱離が起こりにくいため、正極容量が低下する。
フッ素元素Fの置換量であるGは0.01≦G≦0.2の範囲であればよいが、フッ素元素Fの置換効果を十分に発揮させるためには、0.01≦G≦0.05の範囲であることが好ましい。
これにより、レート特性を向上させることができる。
次に、本発明のナトリウム二次電池用正極材料の製造方法について説明する。
本発明のナトリウム二次電池用正極材料の製造方法において、「電気化学的に」とは、物質間の電子の授受とそれに付随する諸現象によるものを言い、「化学的に」とは、物質間の化学反応によるものを言う。
例えば、電気化学的に製造される方法としては、非特許文献1ではLiFePO4を正極とし、対極をLi箔とした半電池を作製し、充電することによりLiを脱離し、その後、充電後の正極と対極をNa箔とした半電池を作製しNaを挿入する方法などが挙げられる。化学的に製造される方法としては、特許文献3や非特許文献2および3に記載されるように、NO2BF4、NO2PF6またはMoF6を溶解したアセトニトリル溶液中にリチウム化合物を分散させ、化合物中からリチウムを脱離し、その後ヨウ化リチウム等の溶解したアセトニトリル溶液中でリチウムを挿入する方法などが挙げられる。
まず、高リチウム含有遷移金属酸化物からリチウムを脱離させる(引き抜く)。その一例として以下の方法が挙げられる。
この充電は、4.6〜5.0V(vs.Li/Li+)まで行われることが好ましい。
これにより、高リチウム含有遷移金属酸化物中のリチウムを多く脱離させることができ、高リチウム含有遷移金属酸化物中にリチウムが残留してしまうことを防止することができる。
よって、出発物質である高リチウム含有遷移金属酸化物中のリチウムは、出来る限り脱離させることが好ましい。
Liが脱離した正極は周りにLiイオンが付着しているので、これを洗浄により除去することが好ましい。洗浄は第1半電池の電解液と同じ溶媒を用いることが好ましいが、電解質を溶解できる溶媒であれば特に制限はない。
次いで、上記工程によりLiが脱離した第1半電池の正極を正極とし、Na金属を負極として第2半電池を作製する。この第2半電池を放電することにより、Naを第2半電池の正極に吸蔵させることができる。
この放電は、カットオフ電位1〜2V(vs.Na/Na+)の範囲内であることが好ましい。
放電時のカットオフ電位が小さいほど、吸蔵させるナトリウムの原子数を多くすることができ、充放電容量の大きな正極とすることができる。但し、カットオフ電位が1V(vs.Na/Na+)未満であると、Na含有遷移金属酸化物固溶体の基本骨格に留まらない余剰のナトリウムが電極表面に析出しやすくなるため、電池を組み立てた時に短絡する可能性がある。
一方、放電時のカットオフ電位が2V(vs.Na/Na+)以上であると、吸蔵するナトリウムの原子数が小さくなり、十分な放電容量を有する本発明の正極材料を得ることができない。
従って、放電時のカットオフ電位は、1〜2V(vs.Na/Na+)の範囲内まで行われることにより、電池を組み立てた時に短絡することなく、十分な充放電容量を得るこ
本発明のナトリウム二次電池用電極は、本発明のナトリウム二次電池正極活物質及びバインダー、必要に応じて導電助剤を含むことができる。
例えば、上記正極活物質に加えてバインダーおよび必要に応じて添加される導電助剤等を含有させた混合物(正極合剤)に、適当な溶剤(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水、アルコール、キシレン、トルエン等)を加えて十分に混練して得られる正極活物質合剤ペースト組成物、正極活物質合剤スラリー等を、集電体表面に塗布、乾燥し、更にプレスすることで、集電体表面に正極活物質含有層を形成し、第一半電池の正極とすることができる。
上記の水系バインダーのうち、CMCが好適に用いられる。CMCをバインダーとして用いると、正極の高温耐久性が向上するだけでなく、出力特性も改善される。
これは、CMCは高温の電解液中で膨潤しないため、電極抵抗の上昇を抑えるとともに、結合力が弱まらないからであると考えられる。
水系バインダーのみでも、十分な正極特性は得られるが、アクリル樹脂を含有させることで、充放電にともなう体積膨張・収縮を抑制し、正極のサイクル寿命特性が向上する。
しかし、アクリル樹脂の含有量が多すぎると、イオン導電性と電子伝導性が乏しくなり、十分なレート特性が得られなくなる。また、少なすぎると、十分な結着力を得られない。
従って、アクリル樹脂を含有する場合、CMC100重量%に対して10〜50重量%含有することが好ましく、15〜30重量%含有することがさらに好ましい。
なお、箔状の集電体であっても、予め、集電体表面上にプライマー層を形成することで高容量化を図ることができる。プライマー層は、活物質層と集電体との密着性が良好で、且つ導電性を有しているものであればよい。例えば、炭素系導電助剤を混ぜ合わせた結着材を集電体上に0.1μm〜50μmの厚みで塗布することでプライマー層を形成できる。
なお、プライマー層は箔状の集電体だけに効果があるのではなく、三次元基材でも同様の効果がある。
本発明のナトリウム二次電池用正極に組み合わせる負極は、ナトリウムイオン電池で使用される負極であればよく、ナトリウムの吸蔵および放出が可能な負極活物質を含有する電極であればよい。
例えば、ハードカーボン、Mg、Al、Si、P、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、W、PbおよびBiから選択される一種以上の元素、これらの元素を用いた合金或いは酸化物、ハロゲン化物、カルコゲン化物などであればよい。
なかでも、ナトリウムの吸蔵および放出が可能な負極活物質(Y)、NaαXβおよびバインダーを含有するものであることが好ましい。ただし、Xは、F、Cl、Br、I、O、S、SeおよびTeから選択される一種以上の元素、αは1〜2、βは1〜5である。
ここで、ナトリウムの吸蔵および放出が可能な負極活物質(Y)は、初期の充電においてナトリウムイオンを吸蔵することができ、且つ、その後の充放電時においてナトリウムイオンを吸蔵・放出することができるものであれば特に限定はされない。例えば、Na、ハードカーボン、Mg、Al、Si、P、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、W、PbおよびBiから選択される一種以上の元素、これらの元素を用いた合金が好ましい。
ここで、「YとNaαXβが分子レベルで均一に混合されている」とは、YαXβをナトリウム還元すると、YとNaαXβに分解され、YとNaαXβが均一に混合された状態を意味する。
YとNaαXβが分子レベルで均一に混合していることで、充放電によるYの膨張・収縮応力を効果的に緩和できる。
T=MB/(MA+MB) (1)
ただし、(1)式中の各記号の意味は下記の通りである。
MA:負極活物質(Y)のモル数(mol)
MB:NaαXβのモル数(mol)
(1)YαXβ〔但し、YはSnまたはGeの一種または二種、XはF、Cl、Br、I、O、S、SeおよびTeから選択される一種以上の元素、αは1〜2、βは1〜5〕と、バインダーとを含むスラリーを得る工程、
(2)前記スラリーをアルミニウム集電体に塗布し、これに熱処理を行って負極前駆体を得る工程、および、
(3)前記負極前駆体の活物質層上に金属ナトリウムを圧着した後、20〜150℃の温度で1時間以上保持する熱処理を行う工程。
本発明のナトリウム二次電池用電極からなる正極を用い、本発明の非水系ナトリウム二次電池とすることができる。
本発明の非水系ナトリウム二次電池は、上記正極と、上記負極を用いることができる。
電解液は、電解液の溶媒としては、特に限定されないが、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネートのような環状カーボネート系、テトラヒドロフランなどのエーテル系、ヘキサンなどの炭化水素系、γ−ブチルラクトンなどのラクトン系、などを用いることができる。このうち、レート特性の観点から、EC系電解液を備えることが好ましい。
通常、ECは常温では固体であるため、EC単独では電解液としての機能を果たさない。しかし、PC、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などとの混合溶媒とすることで、常温でも使用可能な電解液として機能する。
EC系の電解液の溶媒としては、EC(エチレンカーボネート)‐DEC(ジエチレンカーボネート)、EC‐DMC(ジメチルカーボネート)が好適に用いられ、特にEC‐DECが好適に用いられる。
1.Liの脱離
Li1.2(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O2を正極、Li金属を負極、支持塩として1mol/L LiPF6を含有したEC‐DECを電解液として用いた半電池を作製し、4.6V(vs.Li/Li+)まで充電した。
Liが脱離した状態の正極を取り出し、ジメチルカーボネートで洗浄し、電極に付着しているLi電解質を除去した。
洗浄後の電極を正極に、Na金属を負極に、支持塩として1mol/L NaPF6を含有したEC‐DECを電解液に用いた半電池を作製し、1V(vs.Na/Na+)まで放電した。また2V(vs.Na/Na+)まで放電した場合も行った。
Li1.2(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O2(試料A)と、上記電気化学的手法により合成されたNaA(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O2(試料B)を、X線回折測定器(MAC Science社製、CuKα1線λ=1.54056Å)を用いてX線回折測定を行い、結晶性を評価した。試料A,B夫々のXRDパターンを図1に示す。
また、この(104)面のピーク強度は層間に存在するナトリウム量に依存するため、ナトリウム量が多いほど16°付近において観察される(003)面に比して相対強度が大きくなる。
試料Bにおいて、I(104)/I(003)は1.2であった。
この図1のXRDパターンから、試料A,Bの格子定数を求めた。結果を下記表1に示す。
正極組成は、活物質90質量%、AB5質量%およびPVdFバインダー5質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)した。対極として、試験電極計算容量の約50倍の容量を有している金属ナトリウム箔を用い、セパレータとしてガラスフィルタ、電解液として1mol/L NaPF6(EC:DEC=1:1 vol.%)を具備したコインセル(CR2032)を作製した。
図2は、電気化学的に作製したNaA(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O2の充放電特性である。下の図はカットオフ電位2−4.2V(Na/Na+)、上の図はカットオフ電位1−4.2V(Na/Na+)の場合である。
カットオフ電位2−4.2V(Na/Na+)の場合、初期放電容量は252mAh/gであり、放電容量から計算される挿入されたNaの原子数Aは0.83であった。
カットオフ電位1−4.2V(Na/Na+)の場合、初期放電容量は275mAh/gであり、放電容量から計算される挿入されたNaの原子数Aは0.91であった。
この結果から、放電時のカットオフ電位が低いほど、吸蔵されるNaの原子の数が増加し、初期放電容量も増加することがわかる。
上記電気化学的手法によるNaA(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O2の合成方法において、第一半電池でのLi脱離時のカットオフ電位を4.1、4.0、3.8、3.6、3.3V(Li/Li+)とすることにより、NaALiJ(MnBM1C)ODで表されるナトリウム含有遷移金属酸化物中のLi原子の数Jが夫々0.13,0.16,0.27,0.43,0.59である化合物を得た。
このXRDパターンより、リチウム量J=0〜0.4において結晶構造は単一相であり、0.4を超えると結晶構造は二相となることがわかった。
正極組成を活物質:AB:PVdF=90:5:5 質量%、対極としてNa箔、電解液として1mol/L NaPF6(EC:DEC=1:1 vol.%)、集電体としてAl箔(20μm)を用い、カットオフ電位2−4.2V(Na/Na+)で充放電し、NaALiJ(MnBM1C)ODの各J量における初期放電容量を測定した。
その結果を、下記表2に示す。
バインダーは、PVdF、CMC(カルボキシメチルセルロース)、及びCMCにアクリル樹脂を加えた3種類について調べた。
上記電気化学的手法(4.6V充電(vs.Li/Li+)後、2V放電(vs.Na/Na+))により得られたNaA(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O2を活物質とし、正極組成は、活物質90質量%、AB5質量%およびバインダー5質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)した。対極として、試験電極計算容量の約50倍の容量を有している金属ナトリウム箔を用い、セパレータとしてガラスフィルタ、電解液として1mol/L NaPF6(EC:DEC=1:1 vol.%)を具備したコインセル(CR2032)を作製し、カットオフ電位2−4.2V(Na/Na+)で60サイクルまで充放電を行った。
図5は、アクリル樹脂をバインダーに用いた電極の60℃環境下における充放電曲線である。
上記電気化学的手法(4.6V充電(vs.Li/Li+)後、2V放電(vs.Na/Na+))により得られたNaA(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O2を活物質とし、正極組成は、活物質90質量%、AB5質量%およびPVdFバインダー5質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)した。対極として、試験電極計算容量の約50倍の容量を有している金属ナトリウム箔を用い、セパレータとしてガラスフィルタ、電解液として1mol/L NaPF6(EC:DEC=1:1 vol.%)を具備したコインセル(CR2032)を作製し、放電レート0.05C〜1Cで15サイクルまで充放電を行った。
図7は、遷移金属酸化物固溶体に0,5,10,20質量% Na3V2(PO4)3を添加した正極のレート特性を示すグラフである。
従って、Na3V2(PO4)3を正極材料に添加することにより、レート特性が向上することがわかる。
電解液は、下記表5の組み合わせを用いた。
上記電気化学的手法4.6V充電(vs.Li/Li+)後2V放電(vs.Na/Na+))により得られたNaA(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O2を活物質とし、正極組成は、活物質90質量%、AB5質量%およびPVdFバインダー5質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)した。対極として、試験電極計算容量の約50倍の容量を有している金属ナトリウム箔を用い、セパレータとしてガラスフィルタ、電解液として1mol/L NaPF6(EC:DEC=1:1 vol.%)を具備したコインセル(CR2032)を作製し、放電レート0.05C〜1Cで12サイクルまで充放電を行った。
従って、支持塩としてはPF6>ClO4 −であり、溶媒としてはEC‐DEC≒EC‐DMC>PCであることがわかる。
上記電気化学的手法(4.6V充電(vs.Li/Li+)後2V放電(vs.Na/Na+))により得られたNaA(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O2を活物質とし、正極組成は、活物質90質量%、AB5質量%、CMCバインダー4質量%、アクリル樹脂1質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)した。
また、ハードカーボンを負極活物質とする負極を作製し、同様に全電池試験を行った。条件は、SnSをハードカーボンに変更した他同様である。
表6にNaA(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O2正極とナトリウムがドープされたSnS負極またはハードカーボン負極とを組み合わせたナトリウムイオン全電池の60℃環境下におけるサイクル寿命試験結果を示す。
1.Liの脱離
Li1.2(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O1.98F0.02を正極、Li金属を負極、支持塩として1mol/L LiPF6を含有したEC‐DECを電解液として用いた半電池を作製し、4.6V(vs.Li/Li+)まで充電した。
Liが脱離した状態の正極を取り出し、ジメチルカーボネートで洗浄し、電極に付着しているLi電解質を除去した。
洗浄後の電極を正極に、Na金属を負極に、支持塩として1mol/L NaPF6を含有したEC‐DECを電解液に用いた半電池を作製し、2V(vs.Na/Na+)まで放電した場合も行った。
得られたNaA(Ni0.10Mn0.45Co0.25)O1.98F0.02の充放電特性を測定した。
正極組成は、活物質:アセチレンブラック(AB):ポリフッ化ビニリデン(PVdF)=90:5:5 質量%、対極としてNa箔、電解液として1mol/L NaPF6(EC:DEC=1:1 vol.%)、集電体としてAl箔(20μm)を用いた。
1.Liの脱離
Li1.2(Mn0.45Ni0.35)O2を正極、Li金属を負極、支持塩として1mol/L LiPF6を含有したEC‐DECを電解液として用いた半電池を作製し、4.6V(vs.Li/Li+)まで充電した。
Liが脱離した状態の正極を取り出し、ジメチルカーボネートで洗浄し、電極に付着しているLi電解質を除去した。
洗浄後の電極を正極に、Na金属を負極に、支持塩として1mol/L NaPF6を含有したEC‐DECを電解液に用いた半電池を作製し、2V(vs.Na/Na+)まで放電した場合も行った。
得られたNaA(Mn0.45Ni0.35)O2の充放電特性を測定した。
正極組成は、活物質:アセチレンブラック(AB):ポリフッ化ビニリデン(PVdF)=90:5:5 質量%、対極としてNa箔、電解液として1mol/L NaPF6(EC:DEC=1:1 vol.%)、集電体としてAl箔(20μm)を用いた。
1.Liの脱離
Li1.2(Mn0.45Fe0.35)O2を正極、Li金属を負極、支持塩として1mol/L LiPF6を含有したEC‐DECを電解液として用いた半電池を作製し、4.6V(vs.Li/Li+)まで充電した。
Liが脱離した状態の正極を取り出し、ジメチルカーボネートで洗浄し、電極に付着しているLi電解質を除去した。
洗浄後の電極を正極に、Na金属を負極に、支持塩として1mol/L NaPF6を含有したEC‐DECを電解液に用いた半電池を作製し、2V(vs.Na/Na+)まで放電した場合も行った。
得られたNaA(Mn0.45Fe0.35)O2の充放電特性を測定した。
正極組成は、活物質:アセチレンブラック(AB):ポリフッ化ビニリデン(PVdF)=90:5:5 質量%、対極としてNa箔、電解液として1mol/L NaPF6(EC:DEC=1:1 vol.%)、集電体としてAl箔(20μm)を用いた。
1.Liの脱離
Li1.2(Mn0.45Co0.3W0.05)O2を正極、Li金属を負極、支持塩として1mol/L LiPF6を含有したEC‐DECを電解液として用いた半電池を作製し、4.6V(vs.Li/Li+)まで充電した。
Liが脱離した状態の正極を取り出し、ジメチルカーボネートで洗浄し、電極に付着しているLi電解質を除去した。
洗浄後の電極を正極に、Na金属を負極に、支持塩として1mol/L NaPF6を含有したEC‐DECを電解液に用いた半電池を作製し、2V(vs.Na/Na+)まで放電した場合も行った。
得られたNaA(Mn0.45Co0.3W0.05)O2の充放電特性を測定した。
正極組成は、活物質:アセチレンブラック(AB):ポリフッ化ビニリデン(PVdF)=90:5:5 質量%、対極としてNa箔、電解液として1mol/L NaPF6(EC:DEC=1:1 vol.%)、集電体としてAl箔(20μm)を用いた。
1.Liの脱離
Li1.2(Mn0.45Ni0.05Co0.25Ti0.03Zr0.02)O2を正極、Li金属を負極、支持塩として1mol/L LiPF6を含有したEC‐DECを電解液として用いた半電池を作製し、4.6V(vs.Li/Li+)まで充電した。
Liが脱離した状態の正極を取り出し、ジメチルカーボネートで洗浄し、電極に付着しているLi電解質を除去した。
洗浄後の電極を正極に、Na金属を負極に、支持塩として1mol/L NaPF6を含有したEC‐DECを電解液に用いた半電池を作製し、2V(vs.Na/Na+)まで放電した場合も行った。
得られたNaA(Mn0.45Ni0.05Co0.25Ti0.03Zr0.02)O2の充放電特性を測定した。
正極組成は、活物質:アセチレンブラック(AB):ポリフッ化ビニリデン(PVdF)=90:5:5 質量%、対極としてNa箔、電解液として1mol/L NaPF6(EC:DEC=1:1 vol.%)、集電体としてAl箔(20μm)を用いた。
Claims (18)
- 空間群R−3m(No.166)の結晶構造を有する遷移金属酸化物固溶体であって、
格子定数が2.80Å≦a≦3.00Å、16.4Å≦c≦17Åであり、(003)面と(104)面の回折ピークが1.1≦I(104)/I(003)≦1.3であるとともに、
組成式1:NaA(MnBM1C)ODで表され、
前記組成式1の数Aが0.7〜1.2、数Bが0.4〜0.6、数Bと数Cとの和が0.7〜1.0、数Dが1.8〜2.2であり、M1は、Fe、Co、Ni、Nbからなる群から選択される一種以上である、
ことを特徴とするナトリウム二次電池正極材料。 - 空間群R−3m(No.166)の結晶構造を有する遷移金属酸化物固溶体であって、
格子定数が2.80Å≦a≦3.00Å、16.4Å≦c≦17Åであり、(003)面と(104)面の回折ピークが1.1≦I(104)/I(003)≦1.3であるとともに、
組成式2:NaA(MnBM1CM2E)ODで表され、
前記組成式2の数Aが0.7〜1.2、数Bが0.4〜0.6、数Eが0.01〜0.1、数B、数C及び数Eの和が0.7〜1.0、数Dが1.8〜2.2であり、M1は、Fe、Co、Ni、Nbからなる群から選択される一種以上、M2は、Ti、V、Zrからなる群から選択される一種以上である、
ことを特徴とするナトリウム二次電池正極材料。 - 空間群R−3m(No.166)の結晶構造を有する遷移金属酸化物固溶体であって、
格子定数が2.80Å≦a≦3.00Å、16.4Å≦c≦17Åであり、(003)面と(104)面の回折ピークが1.1≦I(104)/I(003)≦1.3であるとともに、
組成式3:NaA(MnBM1CM2E)ODFGで表され、
前記組成式3の数Aが0.7〜1.2、数Bが0.4〜0.6、数Eが0.01〜0.1、数B、数C及び数Eの和が0.7〜1.0、数Dが1.8〜2.2、数Gが0.01〜0.2であり、M1は、Fe、Co、Ni、Nb、Moからなる群から選択される一種以上、M2は、Ti、V、Cr、Zr、Wからなる群から選択される一種以上である、
ことを特徴とするナトリウム二次電池正極材料。 - 空間群R−3m(No.166)の結晶構造を有する遷移金属酸化物固溶体であって、
格子定数が2.80Å≦a≦3.00Å、16.4Å≦c≦17Åであり、(003)面と(104)面の回折ピークが1.1≦I(104)/I(003)≦1.3であるとともに、
組成式4:NaALiJ(MnBM1C)ODで表され、
前記組成式4の数Jが0〜0.4、数Jと数Aとの和が0.7〜1.2、数Bが0.4〜0.6、数Bと数Cとの和が0.7〜1.0、数Dが1.8〜2.2であり、M1は、Fe、Co、Ni、Nbからなる群から選択される一種以上である、
ことを特徴とするナトリウム二次電池正極材料。 - Na3V2(PO4)3を含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載のナトリウム二次電池正極材料。
- 活物質として、請求項1乃至5のうちいずれかひとつに記載のナトリウム二次電池用正極材料を含むことを特徴とするナトリウム二次電池用電極。
- 導電助剤及びバインダーをさらに含み、前記活物質と前記導電助剤と前記バインダーとの合計を100重量%とした場合、前記バインダーを1〜25重量%含み、前記バインダーがカルボキシメチルセルロース(CMC)であることを特徴とする請求項6記載のナトリウム二次電池用電極。
- 前記バインダーがさらに、CMC100重量%に対してアクリル樹脂を10〜50重量%含有することを特徴とする請求項7記載のナトリウム二次電池用電極。
- 請求項6乃至8のうちいずれか一つに記載のナトリウム二次電池用電極からなる正極を備えることを特徴とする非水系ナトリウム二次電池。
- 硫化スズ負極と、六フッ化リン酸ナトリウムが溶解したエチレンカーボネート(EC)を含む電解液とを備えることを特徴とする請求項9記載の非水系ナトリウム二次電池。
- 負極が硫化スズを含有する合金化合物であることを特徴とする請求項10記載の非水系ナトリウム二次電池。
- 請求項10又は11に記載の非水系ナトリウム二次電池を用いることを特徴とする電気機器。
- 請求項1乃至4のうちいずれか1つに記載のナトリウム二次電池正極材料の製造方法は、
出発物質として高リチウム含有遷移金属酸化物を用い、
前記高リチウム含有遷移金属酸化物から、リチウムを電気化学的あるいは化学的に脱離させ、次いでナトリウム吸蔵させることからなる
ことを特徴とするナトリウム二次電池用正極材料の製造方法。 - 組成式5:Li K (Mn B M1 C )O D で表され、前記組成式5の数Kが1.0〜1.2、数Bが0.4〜0.6、数Bと数Cとの和が0.7〜1.0、数Dが1.8〜2.2であって、前記M1は、Fe、Co、Ni、Nbからなる群から選択される一種以上である高リチウム含有遷移金属酸化物を出発物質とし、
前記高リチウム含有遷移金属酸化物から、リチウムを電気化学的あるいは化学的に脱離させ、次いでナトリウム吸蔵させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のナトリウム二次電池用正極材料の製造方法。 - 組成式6:Li K (Mn B M1 C M2 E )O D で表され、前記組成式6の数Kが1.0〜1.2、数Bが0.4〜0.6、数Eが0.01〜0.1、数B、数C及び数Eの和が0.7〜1.0、数Dが1.8〜2.2であって、前記M1は、Fe、Co、Ni、Nbからなる群から選択される一種以上であって、前記M2は、Ti、V、Zrからなる群から選択される一種以上である高リチウム含有遷移金属酸化物を出発物質とし、
前記高リチウム含有遷移金属酸化物から、リチウムを電気化学的あるいは化学的に脱離させ、次いでナトリウム吸蔵させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のナトリウム二次電池用正極材料の製造方法。 - 組成式7:Li K (Mn B M1 C M2 E )O D F G で表され、前記組成式7の数Kが1.0〜1.2、数Bが0.4〜0.6、数Eが0.01〜0.1、数B、数C及び数Eの和が0.7〜1.0、数Dが1.8〜2.2、数Gが0.01〜0.2であって、前記M1は、Fe、Co、Ni、Nb、Moからなる群から選択される一種以上であって、前記M2は、Ti、V、Cr、Zr、Wからなる群から選択される一種以上である高リチウム含有遷移金属酸化物を出発物質とし、
前記高リチウム含有遷移金属酸化物から、リチウムを電気化学的あるいは化学的に脱離させ、次いでナトリウム吸蔵させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のナトリウム二次電池用正極材料の製造方法。 - 前記高リチウム含有遷移金属酸化物を正極、Li金属を負極として第1半電池を作成し前記第1半電池を充電することによりLiを前記第1半電池の前記正極から脱離させる工程と、このLiが脱離した前記第1半電池の前記正極を正極、Na金属を負極として第2半電池を作成し前記第2半電池を放電することによりNaを前記第2半電池の前記正極に吸蔵させる工程とを備えることを特徴とする請求項13乃至16のうちいずれかひとつに記載のナトリウム二次電池用正極材料の製造方法。
- 前記充電が4.6〜5.0V(vs.Li/Li+)に達するまで行われ、前記放電が1〜2V(vs.Na/Na+)に達するまで行われることを特徴とする請求項17記載のナトリウム二次電池用正極材料の製造方法。
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