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JP6023769B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、耐石噛み性能及び耐偏摩耗性能を向上しうる空気入りタイヤに関する。
下記特許文献1は、耐石噛み性能を向上するため、タイヤ周方向にのびる主溝の両側の溝壁を、溝底側の急傾斜部と、トレッド踏面側の緩傾斜部とで形成し、緩傾斜部のタイヤ半径方向高さを主溝の長手方向に沿って変化させた空気入りタイヤを提案している。
特開2010−18125号公報
しかしながら、小石の多い砂利道等の不整地路面を走行する機会の多い空気入りタイヤでは、耐石噛み性能をより一層向上させるとともに、耐偏摩耗性能を向上させることが望まれている。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、耐石噛み性能をより一層向上しうるとともに、耐偏摩耗性能を向上しうる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部に、複数の屈曲部を有してタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる少なくとも1本の主溝が設けられた空気入りタイヤであって、前記主溝は、タイヤ軸方向の溝底幅が増加と減少を繰り返しながらタイヤ周方向にジグザグ状にのびる溝底と、前記溝底からトレッド踏面へのびる一対の溝壁面とを含み、前記溝底は、前記溝底幅が最大となる最大部と、前記溝底幅が最小となる最小部とが前記主溝の前記屈曲部に交互に表れ、前記各溝壁面は、溝内に凸となる複数の出隅コーナ部を含み、前記各出隅コーナ部の前記トレッド踏面側には、面取部が設けられていることを特徴とする。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記面取部は、前記トレッド踏面と、前記出隅コーナ部を構成している溝壁面とに跨る斜面であるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記面取部は、前記出隅コーナ部を構成している溝壁面を仮想延長したときの稜線が前記トレッド踏面と交差する仮想頂点から、0.5〜3.0mmの範囲のタイヤ軸方向の距離を隔てるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記面取部のタイヤ半径方向の長さは、前記主溝の溝深さの25%〜60%の範囲であるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記溝底のジグザグ振幅は、前記主溝の溝縁のジグザグ振幅よりも大きいのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記各溝壁面は、溝内に凹となる複数の入隅コーナ部を含み、前記最大部及び前記最小部において、前記出隅コーナ部のトレッド法線に対する傾斜角度は、前記入隅コーナ部のトレッド法線に対する傾斜角度よりも大きいのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記主溝の前記最大部には、前記溝底を隆起させた隆起部が設けられており、前記最小部には、隆起部が設けられていないのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に、複数の屈曲部を有してタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる少なくとも1本の主溝が設けられている。主溝は、タイヤ軸方向の溝底幅が増加と減少を繰り返しながらタイヤ周方向にジグザグ状にのびる溝底を含んでいる。溝底は、溝底幅が最大となる最大部と、溝底幅が最小となる最小部とが主溝の屈曲部に交互に表れている。このような主溝によれば、例えば、主溝の最小部に噛み込んだ石は、主溝の接地時の開閉に伴う最大部と最小部の押圧力の差により、徐々に最大部へと移動する。最大部に移動した石は、主溝との噛み合いが弱くなるため、主溝外へと排出される。従って、本発明の空気入りタイヤは、優れた耐石噛み性能を発揮しうる。
また、主溝は、溝底からトレッド踏面へのびる一対の溝壁面を含んでいる。各溝壁面は、溝内に凸となる複数の出隅コーナ部を含んでいる。出隅コーナ部のトレッド踏面側は、剛性が相対的に小さく、部分的な欠けが生じ易い。出隅コーナ部に、欠けが生じた場合、欠けを起因とした偏摩耗が生じる。各出隅コーナ部のトレッド踏面側には、面取部が設けられている。このような面取部は、出隅コーナ部のトレッド踏面側の部分的な欠けを抑制しうる。このため、出隅コーナ部に生じる偏摩耗を抑制でき、耐偏摩耗性能を向上しうる。さらに、面取部は、主溝の最小部及び最大部において、主溝のタイヤ軸方向幅を大きくし、ひいては、耐石噛み性能をより一層向上しうる。
本発明の一実施形態のトレッド部の展開図である。 図1のショルダー主溝の拡大図である。 図1のX−X断面図である。 (a)は、図2のショルダー主溝の溝底の拡大図であり、(b)は、図2のショルダー主溝の溝縁の拡大図である。 図1のY−Y断面図である。 図1のショルダー主溝の付近の部分斜視図である。
以下、本発明の実施の一形態が、図面に基づき説明される。
図1には、本発明の一実施形態を示す空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」と言及される場合がある。)のトレッド部2の展開図が示されている。本実施形態の空気入りタイヤは、例えば、トラック・バス等の重荷重用として好適に利用し得る。
図1に示されるように、トレッド部2には、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝が設けられている。本実施形態の主溝は、トレッド端Te側をのびる一対のショルダー主溝3と、タイヤ赤道C上をのびる1本のセンター主溝4とで構成されている。但し、本発明のトレッド部2は、このような3本の主溝に限定されるものではなく、少なくとも1本の主溝が設けられていれば良い。
本明細書において、前記「トレッド端」Teは、外観上、明瞭なエッジによって識別しうるときには当該エッジとする。しかしながら、エッジが識別不能の場合、正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷してキャンバー角0°で平面に接地させたときのトレッド部2の接地面の最もタイヤ軸方向外側の位置である。
前記「正規状態」とは、タイヤが、正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の状態である。本明細書及び特許請求の範囲において、特に断りがない場合、タイヤの各部の寸法は、正規状態での値である。正規状態において、トレッド端Te、Te間のタイヤ軸方向距離はトレッド幅TWとして定義される。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、例えば、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、例えば、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
図2には、図1の右側のショルダー主溝3の拡大図が示されている。図2に示されるように、ショルダー主溝3は、ジグザグ状に連続してのびている。ショルダー主溝3は、例えば、タイヤ周方向の一方側に傾斜する第1溝部3Aと、第1溝部3Aとは逆向きに傾斜する第2溝部3Bとをタイヤ周方向に交互に含んでいる。ショルダー主溝3は、第1溝部3Aと第2溝部3Bとが交差する複数の屈曲部7を有している。このようなショルダー主溝3は、タイヤ軸方向のエッジ成分を有するため、トラクション性能を向上させるのに役立つ。従って、本実施形態のタイヤは、小石の多い砂利道等の不整地路面でも安定して走行することができる。
図3には、図1のX−X断面図が示されている。図3に示されるように、ショルダー主溝3のタイヤ軸方向の溝幅Wsは、トレッド部2の陸部の剛性と耐石噛み性能とをバランス良く確保するために、例えば、トレッド幅TW(図1に示す)の2%〜8%の範囲で定められるのが望ましい。同様の観点より、ショルダー主溝3の溝深さD1は、例えば、15〜25mmの範囲で定められるのが望ましい。
ショルダー主溝3は、溝底8と、溝底8からトレッド踏面2aへのびる一対の溝壁面10、10と、各溝壁面10とトレッド踏面2aとが交差する溝縁9とを含んでいる。溝底8と各溝壁面10とが円弧を介して接続されている場合、溝底8は、ショルダー主溝3の最大溝深さD1の90%の溝深さ位置で挟まれた領域として定義される。但し、溝底8と各溝壁面10とが明瞭なエッジを形成する場合、前記エッジで挟まれた領域を溝底8とする。
図4(a)には、図2のショルダー主溝3の溝底8の拡大図が示されている。図4(a)に示されるように、溝底8は、タイヤ軸方向の溝底幅Wが増加と減少を繰り返しながらタイヤ周方向にジグザグ状にのびている。本実施形態の溝底8は、タイヤ周方向の一方側に傾斜する第1底部8Aと、第1底部8Aとは逆向きに傾斜する第2底部8Bとをタイヤ周方向に交互に含んでいる。
本実施形態の第1底部8Aは、タイヤ周方向の一方側から他方側に向かってタイヤ軸方向の溝底幅Wが漸増する略台形状である。第2底部8Bは、タイヤ周方向の一方側から他方側に向かって溝底幅Wが漸減する略台形状である。これにより、溝底8の第1底部8Aと第2底部8Bとの各接続位置には、溝底幅Wが最大となる最大部12と、溝底幅Wが最小となる最小部13とがタイヤ周方向に交互に形成される。但し、第1底部8A及び第2底部8Bは、略台形状に限定されるものではなく、例えば、円弧状、即ち、溝底8としては、タイヤ周方向に波形状のジグザグ状にのびるものであっても良い。
上述のショルダー主溝3によれば、例えば、ショルダー主溝3の最小部13に噛み込んだ石は、ショルダー主溝3の接地時の開閉に伴う最大部12と最小部13の押圧力の差により、徐々に抵抗の少ない最大部12へと移動する。最大部12に移動した石は、ショルダー主溝3との噛み合いが弱くなるため、やがてショルダー主溝3の外方へと排出される。従って、本発明の空気入りタイヤは、優れた耐石噛み性能を発揮しうる。
図2に示されるように、本実施形態の溝底8のジグザグピッチは、溝縁9のジグザグピッチと等しく、溝底8の最大部12と最小部13は、ショルダー主溝3の屈曲部7に交互に表れるように形成されている。
本実施形態の溝底8の最大部12は、ショルダー主溝3の屈曲部7のタイヤ軸方向内側に凸となるジグザグ内側頂部11Aに設けられている。一方、最小部13は、屈曲部7のタイヤ軸方向外側に凸となるジグザグ外側頂部11Bに設けられている。最大部12の近傍の陸部は、最小部13の近傍の陸部に比して剛性が小さい。このため、最大部12を、ジグザグ外側頂部11Bよりも旋回走行時の横力の影響が小さいジグザグ内側頂部11Aに設けることにより、耐偏摩耗性能の低下が抑制される。
上述の作用を効果的に発揮させるため、最小部13の溝底幅Wbは、最大部12の溝底幅Waの50%〜80%の範囲であるのが望ましい。
図4(b)には、図2のショルダー主溝3の溝縁9の拡大図が示されている。図2、図4(a)又は図4(b)に示されるように、溝底8のジグザグ振幅V1は、溝縁9のジグザグ振幅V2よりも大きく形成されている。溝底8のジグザグ振幅V1は、溝底8の溝底幅Wの中間位置を結ぶ溝底中心線8cで定義され、本実施形態では、片振幅として示されている。溝縁9のジグザグ振幅V2は、溝縁9、9間のタイヤ軸方向の中間位置を結ぶ溝縁中心線9cで定義され、本実施形態では、片振幅として示されている。
このようなショルダー主溝3は、溝壁面10のタイヤ法線方向に対する傾斜の角度が、ショルダー主溝3の長手方向に沿って変化する。このため、ショルダー主溝3内に噛み込んだ石に作用する押圧力の方向がショルダー主溝3に沿って異なり、ショルダー主溝3内に噛み込んだ石は、さらに移動し易くなる。従って、本発明の空気入りタイヤは、例えば、大きな横力が作用する旋回走行時等、ショルダー主溝3内への石噛みが生じ易い場合であっても石噛みを抑制でき、優れた耐石噛み性能を発揮しうる。
溝底8のジグザグ振幅V1が、溝縁9のジグザグ振幅V2がよりも過度に大きい場合、タイヤ軸方向のエッジ成分が大きくなり、十分な耐石噛み性能が得られないおそれがある。このため、溝底8のジグザグ振幅V1と溝縁9のジグザグ振幅V2との比(V2/V1)は、例えば、20%〜50%の範囲であるのが望ましい。
上述の作用をより効果的に発揮させるため、溝底中心線8cのタイヤ周方向に対する角度θ1は、例えば、10〜40度の範囲であるのが望ましい。同様の観点から、溝底中心線8cの角度θ1と、溝縁中心線9cのタイヤ周方向に対する角度θ2との差(θ1ーθ2)は、例えば、10〜30度の範囲であるのが望ましい。
図2に示されるように、ショルダー主溝3の各屈曲部7において、溝壁面10は、ショルダー主溝3内に凸となる出隅コーナ部15と、ショルダー主溝3内で凹となる入隅コーナ部16とを含んでいる。
一般に、出隅コーナ部15のトレッド踏面側は、剛性が相対的に小さく、部分的な欠けが生じ易い。この欠けが生じた場合、出隅コーナ部15には、欠けを起因とした偏摩耗が生じるおそれがある。この対策として、出隅コーナ部15のトレッド踏面側には、面取部22が設けられている。面取部22は、出隅コーナ部15のトレッド踏面側の部分的な欠けを抑制し、偏摩耗を抑制しうる。さらに、面取部22は、ショルダー主溝3の最小部13及び最大部12において、トレッド踏面側のタイヤ軸方向幅を大きくし、噛み込んだ石が容易に排出され易くなる。従って、耐石噛み性能も向上される。
上述の作用を効果的に発揮させるために、本実施形態の面取部22は、トレッド踏面と、出隅コーナ部15を構成している溝壁面10の2つの面とに跨る略三角形状の斜面として形成されている。
図5には、図1のY−Y断面図が示されている。図6には、図1の右側のショルダー主溝3の付近の部分斜視図が示されている。ここで、図3のX−X断面は、ショルダー主溝3の最大部12の断面であり、図5のY−Y断面は、ショルダー主溝3の最小部13の断面である。図3、図5又は図6に示されるように、面取部22による作用をより効果的に発揮させるため、面取部22は、仮想頂点Gから、0.5〜3.0mmの範囲のタイヤ軸方向の距離W2を隔てるのが望ましい。ここで、仮想頂点Gは、出隅コーナ部15を構成している溝壁面10の2つの面10a、10bを仮想延長したときの稜線S1がトレッド踏面2aと交差する点である。
面取部22のタイヤ軸方向の距離W2と同様の観点から、面取部22のタイヤ半径方向の長さD2は、ショルダー主溝3の溝深さD1の25%〜60%の範囲であるのが望ましい。
本実施形態では、耐石噛み性能を高めるために、例えば、溝底8のジグザグ振幅V1(図4(a)に示す)を確保することが有効である。このような観点から、本実施形態のショルダー主溝3の溝壁面10は、最大部12において、出隅コーナ部15のトレッド法線nに対する傾斜角度α1が、入隅コーナ部16のトレッド法線nに対する傾斜角度β1よりも大きいのが望ましい。また、最小部13においても、出隅コーナ部15のトレッド法線nに対する傾斜角度α2が、入隅コーナ部16のトレッド法線nに対する傾斜角度β2よりも大きいのが望ましい。
また、本実施形態では、最小部13での出隅コーナ部15のトレッド法線nに対する傾斜角度α2は、最大部12での出隅コーナ部15のトレッド法線nに対する傾斜角度α1よりも大きいのが望ましい。これにより、最小部13に噛みこんだ石に対する出隅コーナ部15の反力が、最大部12の石に対する出隅コーナ部15の反力よりもタイヤ半径方向外側方向を向く。このため、最小部13において押圧力を大きく緩和することができるので、最小部13の石が移動し易くなり、耐石噛み性能がさらに向上する。
最小部13での出隅コーナ部15の傾斜角度α2が、最大部12での出隅コーナ部15の傾斜角度α1よりも過度に大きい場合、最小部13の溝底幅Wbが小さくなり、最大部12及び最小部13における陸部の剛性段差が大きくなり、耐偏摩耗性能が悪化するおそれがある。このような観点より、最大部12での出隅コーナ部15の傾斜角度α1と最小部13での出隅コーナ部15の傾斜角度α2との差(α2−α1)は、好ましくは、1.5〜6.0度である。
上述の作用を効果的に発揮させるために、最大部12での出隅コーナ部15の傾斜角度α1は、好ましくは8度以上、より好ましくは11度以上であり、好ましくは20度以下、より好ましくは16度以下である。また、最小部13での出隅コーナ部15の傾斜角度α2は、好ましくは14度以上、より好ましくは15度以上であり、好ましくは22度以下、より好ましくは19度以下である。
最大部12での入隅コーナ部16のトレッド法線nに対する傾斜角度β1は、最小部13での入隅コーナ部16のトレッド法線nに対する傾斜角度β2以下である。これにより、出隅コーナ部15と同様に、溝底幅Wbが小さいため石を噛み込みやすい最小部13において、入隅コーナ部16の反力が、最大部12の入隅コーナ部16の反力よりもタイヤ半径方向外側を向く。このため、最小部13が石を保持する力が減少し、石が移動し易くなる。
最大部12での入隅コーナ部16の傾斜角度β1が、最小部13での入隅コーナ部16の傾斜角度β2よりも過度に小さい場合、出隅コーナ部15の場合と同様に、最大部12及び最小部13における陸部の剛性段差が大きくなり、耐偏摩耗性能が悪化するおそれがある。このような観点より、最大部12での入隅コーナ部16の傾斜角度β1と最小部13での入隅コーナ部16の傾斜角度β2との差(α2−α1)は、好ましくは、1〜4度である。
上述の作用を効果的に発揮させる観点より、最大部12での入隅コーナ部16の傾斜角度β1は、好ましくは2度以上、より好ましくは2.5度以上であり、好ましくは7度以下、より好ましくは6度以下である。また、最小部13での入隅コーナ部16の傾斜角度β2は、好ましくは2.5度以上、より好ましくは3度以上であり、好ましくは10度以下、より好ましくは7度以下である。
図2又は図3に示されるように、本実施形態のショルダー主溝3には、例えば、溝底8を隆起させた隆起部20が設けられている。このような隆起部20は、ショルダー主溝3が石を噛み込んだ際に圧縮変形し、その復元力により、ショルダー主溝3内から石を排出するのに役立つ。
本実施形態の隆起部20は、例えば、最大部12のみに設けられている。即ち、本実施形態の隆起部20は、最小部13には設けられていない。最大部12の近傍の陸部剛性は、最小部13の近傍の陸部剛性に比して小さい。このため、最大部12に隆起部20を設けることにより、最小部13の近傍の陸部の剛性と、隆起部20の設けられた最大部12の近傍の陸部の剛性とがバランス良く確保され、耐偏摩耗性能がより一層向上される。
本実施形態の隆起部20は、溝底8のジグザグ状に沿ってのびている。このため、隆起部20は、最大部12で屈曲するV字状に形成されている。このような隆起部20は、溝底8の剛性を高め、溝壁面10の変形を効果的に抑制し、ひいては、耐石噛み性能をさらに向上しうる。
隆起部20のタイヤ軸方向の幅W1は、例えば、最大部12の溝底幅Waよりも小さく形成されている。このような隆起部20は、剛性が小さく抑制されるため、石が噛み込んだ際の圧縮変形が容易となり、ひいては、噛み込んだ石をより効果的に排出しうる。
隆起部20の幅W1が過度に小さい場合、隆起部20の剛性が過度に低下し、隆起部20に欠けが生じ易くなるとともに、隆起部20の復元力が低下し、石を効果的に排出できないおそれがある。また、溝壁面10の変形を効果的に抑制できないおそれもある。このような観点から、隆起部20の幅W1は、好ましくは、最大部12の溝底幅Waの20%以上、より好ましくは25%以上であり、また好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下である。
上述の作用を効果的に発揮させるために、隆起部20のタイヤ半径方向の高さH1(図3に示す)は、例えば、ショルダー主溝3の最大溝深さD1の5%以上、より好ましくは10%以上であるのが望ましい。隆起部20の高さH1が過度に大きい場合、隆起部20が噛み込んだ石と接触する機会が多くなり、隆起部20に欠けやクラックが生じ易く、この場合、隆起部20の復元力が低下し、耐石噛み性能が悪化するおそれがある。このため、隆起部20の高さH1は、好ましくは、ショルダー主溝3の最大溝深さD1の25%以下、より好ましくは20%以下である。また、同様の観点より、隆起部20のタイヤ周方向の長さL1は、例えば、ショルダー主溝3のジグザグピッチの20%〜40%の範囲であるのが望ましい。
図1に示されるように、本実施形態のセンター主溝4は、タイヤ周方向にジグザグ状にのびている。センター主溝4は、例えば、溝底4aと、溝底4aからトレッド踏面へのびる一対の溝壁面4c、4cと、各溝壁面4cとトレッド踏面とが交差する溝縁4bとを含んでいる。各溝壁面4cは、溝内に凸となる複数の出隅コーナ部4dを含んでいる。
センター主溝4は、溝底4aの溝底幅がタイヤ周方向に亘って一定に形成されるのが望ましい。本実施形態のセンター主溝4は、溝底4aのジグザグ振幅と、センター主溝4の溝縁4bのジグザグ振幅とが同じである。
センター主溝4のタイヤ軸方向の溝幅Wcは、例えば、トレッド幅TWの2%〜8%の範囲に形成されている。センター主溝4の最大溝深さは、例えば、15〜25mmの範囲に形成されている。
本実施形態のセンター主溝4は、耐石噛み性能をより一層向上し、耐偏摩耗性能を向上するため、ショルダー主溝3と同様に、各出隅コーナ部4dのトレッド踏み面側に、面取部23を設けるのが望ましい。
本実施形態のトレッド部2には、さらに、タイヤ周方向にジグザグ状にのびる複数の細溝が設けられても良い。また、トレッド部2には、例えば、センター主溝4とショルダー主溝3との間、及び、ショルダー主溝3とトレッド端Teとの間にそれぞれ陸部が区分され、各陸部に、タイヤ軸方向にのびる複数の横溝を設けても良い。このような横溝は、例えば、トラクション性能や排水性の向上に役立つとともに、各陸部の剛性バランスを高め、耐偏摩耗性能の向上にも役立つ。
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施しうるのは言うまでもない。
図1の基本パターンを有するサイズ11R22.5のタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、テストされた。なお、比較例1のタイヤには、面取部が設けられていない。
各試供タイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
トレッド幅TW:218mm
ショルダー主溝・センター主溝の溝幅:13.2mm
ショルダー主溝・センター主溝の溝深さ:21.6mm
<耐石噛み性能>
各試供タイヤが、下記の条件で、2−D車(バス)の全輪に装着され、テストドライバーが、上記車両を砂利道を含む路面のテストコースを30000km走行させた。その後、後輪のショルダー主溝に噛み込んだ石の個数を調べた。結果は、石噛み個数の逆数で評価され、実施例1の値を100とする指数で表示されている。数値が大きいほど良好である。
リム(全輪):22.5×8.25
内圧(全輪):830kPa
無積載荷重
<耐偏摩耗性能>
上述の耐石噛み性能後、前輪のタイヤのトレッド部の肩落ち摩耗・段差摩耗・軌道摩耗等の摩耗状態がテストドライバーの目視により観察された。結果は、最も良い摩耗状態のタイヤを5点満点とする5点法で表示している。数値が大きいほど良好である。
Figure 0006023769
Figure 0006023769
Figure 0006023769
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テストの結果、実施例のタイヤは、比較例に比べて耐石噛み性能及び耐偏摩耗性能が向上していることが確認できる。
2 トレッド部
3 ショルダー主溝
7 屈曲部
8 溝底
10 溝壁面
12 最大部
13 最小部
15 出隅コーナ部
22 面取部
W 溝底幅

Claims (7)

  1. トレッド部に、複数の屈曲部を有してタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる少なくとも1本の主溝が設けられた空気入りタイヤであって、
    前記主溝は、タイヤ軸方向の溝底幅が増加と減少を繰り返しながらタイヤ周方向にジグザグ状にのびる溝底と、前記溝底からトレッド踏面へのびる一対の溝壁面とを含み、
    前記溝底は、前記溝底幅が最大となる最大部と、前記溝底幅が最小となる最小部とが前記主溝の前記屈曲部に交互に表れ、
    前記各溝壁面は、溝内に凸となる複数の出隅コーナ部を含み、
    前記各出隅コーナ部の前記トレッド踏面側には、面取部が設けられていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記面取部は、前記トレッド踏面と、前記出隅コーナ部を構成している溝壁面とに跨る斜面である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記面取部は、前記出隅コーナ部を構成している溝壁面を仮想延長したときの稜線が前記トレッド踏面と交差する仮想頂点から、0.5〜3.0mmの範囲のタイヤ軸方向の距離を隔てる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記面取部のタイヤ半径方向の長さは、前記主溝の溝深さの25%〜60%の範囲である請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記溝底のジグザグ振幅は、前記主溝の溝縁のジグザグ振幅よりも大きい請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記各溝壁面は、溝内に凹となる複数の入隅コーナ部を含み、
    前記最大部及び前記最小部において、前記出隅コーナ部のトレッド法線に対する傾斜角度は、前記入隅コーナ部のトレッド法線に対する傾斜角度よりも大きい請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記主溝の前記最大部には、前記溝底を隆起させた隆起部が設けられており、前記最小部には、隆起部が設けられていない請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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