以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例である撮像装置の外観斜視図である。
撮像装置100の上面には、電源ボタン110、レリーズボタン130、閃光装置などの撮影アクセサリーを取り付けるアクセサリーシュー140が設けられている。レンズマウント150は、不図示の撮影用レンズの取り付け部である。
撮像装置100はレフレックスミラーを持たないミラーレスタイプの撮像装置であるため、ライブビュー表示のため撮影待機の状態でシャッタ幕は開いている。そのため、図1に示されるように撮影用レンズを取り外した状態において撮像素子3の撮像面は露出している。
図2は、撮像装置100のブロック図である。
フォーカルプレーンシャッタ2は、撮影光路上において撮像レンズ1と撮像素子3との間に設けられ、撮像素子3の電子先幕動作と連動して撮像素子3を露光する時間を調節する。
撮像素子3は、CMOSイメージセンサ等が使用され、被写体からの光を結像する撮像レンズ1により結像された被写体像を光電変換する。撮像素子3によって生成され出力されるアナログ画像信号は、AFE(Analog Front End)4によりデジタル信号に変換される。AFE4から出力されるデジタル画像信号は、DSP(Disital Signal Processer)5によって各種画像処理や圧縮・伸張処理などが行われる。
記録媒体6は、DSP5により処理された画像データを記録する。表示部7は、液晶ディスプレイ(LCD)等が使用され、撮影した画像や各種メニュー画面などを表示する。
撮像素子駆動回路8は、撮像素子3を駆動制御する。RAM10は、DSP5と接続されており、画像データなどを一時的に記憶する。シャッタ駆動回路11は、フォーカルプレーンシャッタ2を駆動する。
CPU9は、AFE4、DSP5、撮像素子駆動回路8、シャッタ駆動回路11の制御を行う。
91は撮像装置100の電源電圧を検出する電圧検出手段、92は撮像装置100の装置内部の温度を検出する温度検出手段、93はフォーカルプレーンシャッタ2内部に備えられた状態検出手段である。94は、レンズ制御手段で撮像レンズ1の焦点距離、絞り径、射出瞳径、射出瞳と撮像素子の距離等のレンズ情報をCPU9に出力するとともに、CPU9による制御に応じて絞り、レンズ等を駆動する。各検出手段の検出結果はCPU9に入力される。
次に、撮像動作の説明をする。図3は撮像素子3の全体構成図、図4は撮像素子3の1画素内の回路図である。
画素領域PAには、画素部20がp11〜pknのように行列上に配置されている。
ここで、画素部20の1画素内の回路図を図3を用いて説明する。
フォトダイオード(以下、PDと表す)41は、入射した光信号を光電変換し、露光量に応じた電荷を蓄積する。
PD41に蓄積されている電荷は、転送ゲート42の信号txをHighレベルにすることでFD(フローティングディフュージョン)部43に転送される。
FD部43は、フローティングディフュージョンアンプ44(以下FDアンプと表す)のゲートに接続されており、FDアンプ44でPD41から転送されてきた電荷量が電圧量に変換される。
FDリセットスイッチ45の信号resをHighレベルとすると、FD部43がリセットされる。また、PD41の電荷をリセットする場合には、信号txと信号resを同時にHighレベルとすることで、転送ゲート42及びFDリセットスイッチ45を両方ONし、FD部43経由でPD41のリセットを行うことになる。
画素選択スイッチ46の信号selをHighレベルとすることにより、FDアンプ44で電圧に変換された画素信号が画素部20の出力voutに出力される。
図3に戻り、垂直走査回路21は、res_1,tx_1,sel_1等の駆動信号を各画素に供給する。これらの駆動信号は、それぞれ各画素のres、tx、selに接続される。各画素の出力voutは、列毎に垂直出力線22を介して列共通読出し回路23に接続されている。
ここで、列共通読出し回路23の回路図を図5を用いて説明する。
垂直出力線22は、列毎に設けられ、1列分の画素部20の出力voutが接続されている。垂直出力線22には電流源24が接続されており、電流源24と、画素部20の各画素内のFDアンプ44によってソースフォロワ回路が構成される。
画素部20から読み出される画素信号Sは、信号tsをHighレベルにすることにより、S信号転送スイッチ51を介してS信号保持容量53に記憶される。
画素部20から読み出されるノイズ信号Nは、信号tnをHighレベルにすることにより、N信号転送スイッチ52を介してN信号保持容量54に記憶される。
S信号保持容量53、N信号保持容量54はそれぞれ列共通読出し回路23の出力vs、vnに接続されている。
図3に戻り、列共通読出し回路23の出力vs、vnには、それぞれ水平転送スイッチ25、26が接続されている。
水平転送スイッチ25、26は水平走査回路27の出力信号hsr*(*は列番号)によって制御され、信号hsr*がHighレベルになることにより、S信号保持容量53、N信号保持容量54の信号がそれぞれ水平出力線28、29へ転送される。
水平出力線28、29は差動増幅器30の入力に接続されており、差動増幅器30ではS信号とN信号の差分をとると同時に所定のゲインをかけ、最終的な画像信号を出力端子31へ出力する。
水平出力線リセットスイッチ32、33は信号chresがHighになることによってONされ、それぞれの水平出力線28、29はリセット電圧Vchresにリセットされる。
次に、図6を用いて撮像素子3の静止画読み出し走査について説明する。図6は撮像素子3のリセット走査及び静止画読み出し走査における1行あたりの動作を示すタイミングチャートである。ここではi行目のデータを読み出すものとして説明する。
まず、信号sel_iをHighレベルにしてi行目の画素の画素選択スイッチ46をONする。
その後、信号res_iをLowレベルにしてFDリセットスイッチ45をOFFし、FD部43のリセットを開放する。
次に、信号tnをHighレベルにして、N信号転送スイッチ52を介してN信号保持容量54にN信号を記憶する。
続いて信号tnをLowにし、N信号転送スイッチ52をOFFした後、信号tsをHighレベルにしてS信号転送スイッチ51をONすると共に、信号tx_iをHighレベルにすることで転送ゲート42をONする。
この動作により、選択されているi行目のPD41に蓄積されていた信号がFDアンプ44、画素選択スイッチ46を介して垂直出力線22へ出力され、更に、S信号転送スイッチ51を介してS信号保持容量53へ記憶される。
次に、信号tx_i、tsをLowレベルにして転送ゲート42、S信号転送スイッチ51を閉じた後、信号res_iをHighレベルにしてFDリセットスイッチ45をONし、FD部43をリセットする。
ここまでの動作によって、i行目のN信号及びS信号を、それぞれS信号保持容量53及びN信号保持容量54へ記憶する動作を終了する。
続いて、S信号保持容量53、N信号保持容量54に蓄えられたS信号、N信号を撮像素子3から出力する動作が行われる。
まず、水平走査回路27の出力hsr1がHighレベルになることにより、水平転送スイッチ25、26がONされ、S信号保持容量53、N信号保持容量54の信号が水平出力線28、29と差動増幅器30を介して出力端子31に出力される。
水平走査回路27は、各列の選択信号hsr1、hsr2・・・、hsrkを順次Highにすることにより、i行目の全データを出力する。
なお、信号hsr1〜hsrkによって各列の信号が読み出される間には、信号chresをHighレベルにすることで水平出力線リセットスイッチ32、33をONし、一旦、水平出力線28、29をリセット電圧Vchresのレベルにリセットする。
以上で1行の読出し動作が終了する。この動作を各行で繰り返すことによって、撮像素子3の全行の信号が読み出されることになる。
次に動画撮影、あるいは電子ビューファインダー機能のためのライブビュー撮像動作を説明する。
まず、撮像素子3のリセット走査を開始し、各行の蓄積を順次開始する。
リセット走査の開始から所定時間経過後には動画読み出し走査を開始する。このリセット走査の開始〜動画読み出し走査の開始の時間が電子シャッタ時間となる。このリセット走査と動画読み出し走査は、フレームレートの制約から、例えば3行に1行ごとに行を間引いて実施される。このため、リセット走査や動画読み出し走査に要する時間は、静止画読み出し走査に要する時間より短くなり、それぞれ30フレーム/秒などの1フレーム時間内に終了することが可能となっている。
図7は、撮像素子3のリセット走査及び動画読み出し走査における1行あたりの動作を示すタイミングチャートである。ここでは、リセット走査が行われている行をj行目、動画読み出し走査が行われている行をi行目として説明する。
まず、リセット走査行では、信号res_jはHighレベルに、信号sel_jはLowレベルにそれぞれ保持されている。この状態で信号tx_jをHighレベルにすることにより、j行目のPD41はリセット状態となる。次に、信号tx_jをLowレベルにすることで、PD41のリセットは終了され、蓄積状態に入る。
動画読み出し走査行では、図6で説明した静止画読み出し走査と同じ動作が行われるため説明は割愛する。
この動作を行毎に繰り返すことにより、リセット走査・動画読み出し走査が行われる。また、1フレーム目のリセット走査・動画読み出し走査の後には、2フレーム目以降のリセット走査・動画読み出し走査が同様に繰り返される。
次に、フォーカルプレーンシャッタ2について説明する。
図8は、フォーカルプレーンシャッタ2の分解斜視図である。図8(a)はフォーカルプレーンシャッタ2を撮像レンズ1が取り付けられる側(以下、正面という)から見た分解斜視図、図8(b)は撮像素子3が取り付けられる側(以下、背面という)から見た分解斜視図である。
シャッタ地板201は、不図示のカメラ本体の内部に固定されており、羽根群230の駆動機構を構成する各部品が取り付けられている。
羽根駆動部材202およびカムギア(チャージ部材)203は、それぞれシャッタ地板201の軸201aおよび201bに回転可能に軸支されている。
羽根駆動部材202が回動可能に支持されているシャッタ地板201の軸201aの外周には不図示の駆動バネが配置されている。この駆動バネは羽根駆動部材202を図9(a)中の反時計回り方向(羽根群230の走行方向)に付勢している。
補助地板205は、シャッタ地板201の軸201a、201bの先端に係合されて取り付けられている。
フォトセンサー207は、補助地板205に取り付けられている。羽根駆動部材202の遮光部202cがフォトセンサー207を遮光することにより、羽根駆動部材202の回転位置を検出する。羽根駆動部材202の回動によって、羽根群230は展開、重畳するのでフォトセンサー207が羽根駆動部材202の回転位置を検出することで、羽根群230の開口部201dでの位置を検出することが可能となる。すなわち、フォトセンサー207は、状態検出手段93の一部として機能する。
ヨーク210とコイル211は、それぞれ補助地板205に不図示のビスにより固定されている。
モータ(駆動源)220は、撮影光軸と同一方向の出力軸をシャッタ地板201の取付面201cに配設されている。モータ220は、駆動電圧を変更することで駆動速度を制御することができる。本実施形態では、シャッタ駆動回路11がモータ220に印加する電圧をPWM制御することで、チャージ動作の速度制御を実現している。
モータ220から減速ギア列221を介して伝達される駆動力によって、カムギア203を回動させると、羽根駆動部材202がカムギア203に従動して回動する。このとき、駆動バネをチャージするチャージ動作と、駆動バネのチャージを解除するチャージ解除動作とを行うことができる。
カバー板206は、シャッタ地板201の背面側に固定されている。カバー板206の中央部にはシャッタ地板201の開口部201dと略一致した位置に開口部206aが設けられている。シャッタ地板201とカバー板206の間には羽根群230を配置する羽根室が形成されている。
羽根群230は1番羽根231、2番羽根232、3番羽根233、主アーム234及び副アーム235で構成されている。
各羽根は、黒色塗料を含有するポリエチレンテフタレートから成り、主アーム234と副アーム235に回転可能に軸支され、平行リンクを形成している。
主アーム234および副アーム235は、それぞれシャッタ地板の軸201eおよび軸201fに回転可能に軸支されている。
主アーム234には、羽根駆動部材202の駆動ピン202aと係合するための穴234aが設けられている。駆動ピン202aは、シャッタ地板201に形成された溝部201gを貫通して穴234aと係合している。
副アーム235には羽根ガタ寄せバネ236が図8(b)において時計回りすなわち羽根群230の走行方向に掛けられている。
次に、フォーカルプレーンシャッタ2の構成について図9を参照しながら詳細に説明する。図9は、フォーカルプレーンシャッタ2を正面から見た場合の羽根群230の動作図である。なお、図面の見易さのために補助地板205は省略している。
図9(a)は、羽根駆動部材202のオーバーチャージ状態、すなわち、撮像装置100が停止している状態を示している。また、図9(b)は羽根群230の走行前待機状態、図9(c)は羽根群230の走行完了状態を示している。図9(d)は、羽根駆動部材202のチャージ準備完了状態を示している。 羽根駆動部材202の回動によって駆動ピン202aが溝部201gに沿って移動すると、主アーム234が回動して羽根群230を展開、重畳させる。この羽根群230の動作によって、開口部201dを開閉させることでフォーカルプレーンシャッタ2を通過する光束を制限している。ここで、羽根駆動部材202は、溝部201gによって回動範囲が制限されている。
羽根駆動部材202にはアマチャ支持部202bが設けられており、アマチャ支持部202bに形成された不図示の貫通孔部には、貫通孔部の内径よりも大きなフランジ部を有し、アマチャ212に対して一体的に取り付けられたアマチャ軸213が係合している。アマチャ軸213は、アマチャ212の吸着面に対して略直交方向に延びている。
アマチャ212とアマチャ支持部202bの間であって、アマチャ軸213の外周には、不図示の圧縮バネが配置されており、アマチャ212およびアマチャ支持部202bを互いに離す方向(図9の上下方向)に付勢している。
コイル211に電圧を印加すると、ヨーク210に磁力を発生させることができ、この磁力によってアマチャ212を吸着することができる。
カムギア203に形成されたカムトップ領域203aとカム傾斜領域203bは、カムギア203の回動に応じて、羽根駆動部材202に設けられたチャージコロ204に当接して、羽根駆動部材202を回動させる。
ここで、カムギア203の正面図である図10を用いて、カムギア203の構造について説明する。カムギア203の一方面には、カム部203aが形成される。図10に図示するように、カム部203aには、カムトップ領域203a−1、カム傾斜領域203a−2、カムボトム領域203a−3およびチャージ領域203a−4の4つの領域に分割される。
次に、撮像動作について図11を用いて説明する。
図11は、フォーカルプレーンシャッタ2及び撮像素子3の各構成部品の動作タイミングを表わした図である。なお、図11中の(1)〜(11)は、各動作状態に対応している。
図11の(1)では、フォーカルプレーンシャッタ2は図9(a)のようにオーバーチャージ状態であり、羽根群230は重畳されているため、被写体光束を通過させる状態である。
撮像装置100では、ライブビュー撮像動作が行われ、撮像素子3に入射した被写体像が不図示の画像表示部に表示されている。
レリーズ動作の開始(図11(2))により、CPU9がシャッタ駆動回路11を制御することで、シャッタ駆動回路11がコイル211に通電し、ヨーク210に磁力を発生させ、ヨーク210とアマチャ212を吸着状態にする。
ヨーク210とアマチャ212を吸着状態にした後、シャッタ駆動回路11がモータ220に通電し、カムギア203を反時計方向に回転させる。チャージコロ204は、カムギア203のカムトップ領域203a−1をトレースする状態からカム傾斜領域203a−2をトレースする状態へ移る。チャージレバー260は、カム傾斜領域203a−2をトレースすることで徐々にオーバーチャージ状態が解除される。そして、チャージコロ204aがカムボトム領域を203a−3をトレースする状態になると、図9(b)に示す羽根群230の走行前待機状態へと移行し、シャッタ駆動回路11はモータ220への通電を停止する(図11(3))。
CPU9が撮像素子駆動回路8を制御することで、撮像素子駆動回路8は撮像素子3の全画素をリセット状態にする(図11(4))。具体的には、信号res_1〜res_nをLowレベルに、信号tx_1〜tx_nをHighレベルにし、1行目からn行目の全ての画素部20のPD41をリセット状態にすることによって行われる。
その後、CPU9が撮像素子駆動回路8を制御することで、撮像素子駆動回路8は電子先幕走査を開始する(図11(5))。図11(4)から図11(5)の期間は、撮像素子3の全画素リセット状態が継続される。
ここで、電子先幕走査とは、全画素がリセット状態となっている撮像素子3に対して1ラインずつ電荷蓄積を開始することである。具体的には、垂直走査回路21が信号tx_*をn行目から1行目に向かって順にLowレベルにしていく。これにより、各行のPD41はリセットが順次解除され、蓄積状態に入る。
1ラインずつ電荷蓄積を開始する走査パターンは、羽根群230の走行特性に合わせた走査パターンとなっているので、撮像素子3のどのラインでも均一な蓄積時間(露光時間)となる。CPU9がシャッタ駆動回路11を制御することで、電子先幕走査を開始した後、設定されたシャッタ秒時に対応する時間間隔をあけてから、シャッタ駆動回路11がコイル211への通電を切る。これによって、ヨーク251とアマチャ212の間に働いていた吸着力は消滅し(図11(6))、羽根駆動部材202は、駆動バネの付勢により時計方向に回動し始める。これにより、開口部201dは図9(c)のように被写体光束を遮断された状態となる(図11(7))。
フォーカルプレーンシャッタ2の羽根群230の走行が終了し、撮像素子3が完全に遮光されると、CPU9が撮像素子駆動回路8を制御することで、撮像素子駆動回路8が静止画読み出し走査を開始する。静止画読み出し走査では、図6で説明した1行毎に画像信号の読み出し動作を繰り返すことにより、各画素のPD41に蓄積された電荷が1行目から順次読み出される。このとき、画像信号の読み出しが完了していない領域は、光束を遮断した状態にしておく必要がある。
ところで、カムギア203には、図9(c)に示すように次のチャージ動作を行うまで(チャージコロ204と当接するまで)にモータ220の空走区間となる空走角度θが設けられている。空走角度θは、撮像装置100の電源電圧や撮影環境の温度などによってモータ220のオーバーラン角度が大きくばらつく。そのため、モータ220のオーバーラン角度が最も大きくなったときでもチャージコロ204がカムギア203に当接しないように十分な角度を有するように設計されている。
しかしながら、カムギア203の空走角度θが大きいとチャージ時間が長くなってしまう。そこで、本実施形態では、画像信号の読み出し期間内に、モータ220にPWM制御によって実効電圧が変更された電圧を印加して、カムギア203を回転させている(図11(8))。これによって、カムギア203の空走角度がθとなる状態(図9(c))からカムギア203の空走角度がθ’となる状態(図9(d))までカムギア203が回転する。このとき、羽根群230の走行が完了した直後の状態(図11(7))では、羽根群230が振動しているため、羽根群230の振動を収束させるための第2の所定時間の経過後に空走区間の駆動を開始させる。すなわち、図11(7)から図11(8)までの時間が羽根群230の振動を収束させるための所定時間(第2の所定時間)に相当する。
モータ220にPWM制御によって実効電圧が変更された電圧を印加して、カムギア203の空走角度がθ’となる状態(図9(d))になると、モータ220への電圧の印加を停止し、カムギア203の回転を停止させる。本実施形態では、カムギア203をチャージ動作開始位置の手前で一旦停止させている。
本実施形態では、カムギア203をチャージ動作開始位置の手前で一旦停止させている。したがって、チャージ動作を開始する際には、常にカムギア203が停止した状態からチャージ動作を開始することとなる。カムギア203をチャージ動作開始位置の手前で一旦停止させることなく、チャージ動作を開始してしまうと、チャージ動作を開始する際のカムギア203の回転速度が一定にならず、チャージ時間が一定にならない。
画像信号の読み出し開始(図11(7))から第1の所定時間が経過すると、モータ220に電圧を印加してチャージ動作を開始する。
本実施形態では、画像信号の読み出し開始(図11(7))からチャージ動作の開始(図11(9))までの間に、モータ220を駆動してカムギア203の空走角度を小さくしている。したがって、チャージ動作を開始する際には、カムギア203の空走区間が短くなり、チャージ時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、カムギア203の空走角度がθとなる状態(図9(c))からカムギア203の空走角度がθ’となる状態(図9(d))までの間、モータ220にPWM制御によって実効電圧が変更された電圧を印加している。これによって、モータ220の停止位置精度が高くなり、空走角度θ’をより小さくすることが可能となる。
画像信号の読み出し開始から第1の所定時間後(図11(9))、CPU9がシャッタ駆動回路11を制御することで、シャッタ駆動回路11はモータ220に通電を行って、カムギア203を反時計方向に回転させる。これによって、羽根駆動部材202をねじりコイルバネの付勢力に抗して時計方向に回転し、チャージ動作を行う。このとき、羽根群230は徐々に重畳され、画像信号の読み出しが終了したラインから順に開口部201pを開いていく。すなわち、本実施形態では、全画素の画像信号の読み出しが終了する前に、開口部201pを開き始める。この際、羽根群230が開いた部分から漏れ込んだ光が、静止画読み出し走査がまだ到達していない行の画素に入射しないように、チャージ開始のタイミングを設定している。
全画素の画像信号の読み出しが完了した(図11(10))後、羽根群230は重畳を完了し、開口部201dは開放状態となる。そして、シャッタ駆動回路11はモータ220への通電を停止する(図11(11))。これによって、羽根駆動部材202は再びオーバーチャージ状態となる。
図11(9)−(11)までのチャージ時間は、カムギア203がチャージ準備完了状態である空走角度θ’からのチャージ動作であるため、空走角度θ-θ’の時間は短くなる。これにより、カメラの1コマに有する時間となる(2)から(11)までが短くなり、カメラの撮影速度を上げることが可能となる。
チャージ動作が終了すると、CPU9は、電子ビューファインダー機能のためのライブビュー撮像動作を開始する。
次に、撮像素子3が画像信号を読み出しているときの羽根群230と撮像素子3の画像信号読み出し位置との関係について詳しく説明する。
図12は、撮像素子3の画像信号を読み出しているときの構成部品の位置関係を表わした図である。図13は、撮像素子3の画像信号の読み出し位置と羽根群230の先端の位置を表わした図である。図13の時間T4のときの構成部品の位置関係が図12の状態である。
図12(a)において、画像信号の読み出しラインの下側は羽根群230の開放動作が完了した領域で、撮像素子3が露光されている領域である。また、画像信号読み出しラインの上側の黒い部分は羽根群230の開放動作が行われていない領域で、撮像素子3が遮光されている領域を示す。
図13(a)図中の一点鎖線は、撮像素子3の画像信号の読み出し位置を示しているとともに、羽根群230の先端の位置を示している。例えば、時間T4のとき、一点鎖線の下側は羽根群230の開放動作が完了した領域であるとともに撮像素子3の画像信号の読み出しが完了した領域であり、撮像素子3は露光されている。また、一点鎖線の上側は羽根群230の開放動作が行われていない領域であるとともに撮像素子3の画像信号の読み出しが行われていない領域であり、撮像素子3は遮光されている。
しかしながら、図12(a)、13(a)の関係が成り立つのは、撮像素子3に対して垂直に光線が入射するいわゆる平行光の場合であり、実際の撮像レンズ1を通過した光は撮像素子3に対し角度を持って入射するために、図12、13の場合とは異なってくる。
そこで、図12(b)、13(b)を用いて入射光が実際の撮像レンズ1を通過した場合についての説明する。
図12(b)において、撮像レンズ1の射出瞳の下端から出て羽根群230の下端bを通る光線Cは撮像素子3の画像信号読み出しライン上方の間隔β(t)の位置に達する。したがって、画像信号読み出しラインから間隔β(t)の領域では、画像信号の読み出しが行われていない状態で露光されるため画像信号に影響を与えてしまう。
間隔β(t)は、撮像レンズ1の射出瞳径をD、撮像レンズ1の射出瞳と撮像素子の距離をL、羽根群230と撮像素子の距離をx、撮像レンズ1の光軸と画像信号の読み出し位置との距離をh(t)とすると、
β(t)=x(D/2−h(t))/(L−x)
で表される。
この状態を図13(b)を用いて説明する。一点鎖線は画像信号読出しラインであり、二点鎖線は、画像信号読出しラインに各時間における画像信号の読み出しが行われていない領域で露光された間隔β(t)だけ上乗せした位置を結んだ線で、実際に露光されている位置の上限を示している。
時間T4’からT4までの間に着目すると、間隔β(t)で示される領域が画像信号が読み出されていない状態で露光されていることになる。図に示すように、画像信号の読み出しが行われていない領域で露光される時間は、撮像素子3下端の0から撮像素子3上端のT5−T5’まで増加する。
そこで、これらの問題を解決する方法について図12(c)、13(c)を用いて説明する。
図12(b)で説明したように、撮像レンズ1の射出瞳の下端から射出された光線Cは、羽根群230の下端から漏れ込み、静止画読み出し走査がまだ到達していない行の画素に入射し画像信号に影響してしまう。
そこで、仮に羽根群230の下端から光が漏れ込んだとしても、画像読み出しが行われていない画素が羽根群230からの漏れ光が届く領域外になるように、静止画読出し走査が完了している行の画素に入射するようにすればよい。具体的には、羽根群230の下端を画像信号読み出しラインより光軸方向と垂直な方向において所定の間隔α(t)だけ下側に位置するように制御すればよい。
間隔α(t)は、撮像レンズ1の射出瞳径をD、撮像レンズ1の射出瞳と撮像素子の距離をL、羽根群230と撮像素子の距離をx、撮像レンズ1の光軸と画像信号の読み出し位置の距離をh(t)とすると、
α(t)=x(D/2−h(t))/L
で表される。
この状態を図13(c)を用いて説明する。一点鎖線は画像信号読出しラインであり、二点鎖線は、画像信号読出しラインから間隔α(t)だけ下がった位置になるように制御された羽根群230の位置の上限を示している。
すなわち、各時間において羽根群230の先端の位置が二点鎖線より下側であれば、画像信号読み出しラインから上の画像信号の読み出しが行われていない領域が露光されることはない。
したがって、画像信号読出しラインと羽根群230の先端とが上述した所定の間隔を保つことで、画像信号の読み出しと並行して、羽根群230のチャージ動作を並行して行うことが可能になる。
また、画像信号読み出しラインと羽根群230の先端との間隔α(t)は、時間T3の0から時間T5のγまで増加する。なお、γは撮像素子の上端を遮光するための撮像素子の上端と羽根群230の間隔になる。
次に、画像信号読出しラインと羽根群230が所定の間隔を保ちながらチャージ動作を行う際の羽根群230の制御について説明する。
<第1の実施形態>
図14は、電圧検出手段91にて検出される電源電圧と羽根群230の開放速度の関係を示す図である。
図14に示すように、羽根群230の開放速度は電圧が高くなるにつれて増加し、羽根群230の開放速度は電圧Aのときの最低速度VAから電圧Cのときの最高速度VCまで変化する。
本実施形態では、電圧検出手段91によって、撮像装置100の電源電圧を検出しているので、検出される電源電圧に応じて羽根群230の開放動作の開始タイミングを制御している。
図15は、本実施形態における撮像素子3の画像信号の読み出し位置と羽根群230の先端の位置を表わした図である。図15にて、ラインD、E、Fは、それぞれ電源電圧が電圧A、B、Cの場合の時間Tにおける羽根群230の先端の位置を示している。
検出される電源電圧が電圧Cのときには、画像信号読み出しが終了する時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子3の上端から間隔γ以上離れた位置になるようにしなければならない。そこで、羽根群230が開放動作開口を開始する時間(チャージ動作の開始タイミング)をT6に設定している。このとき、羽根群230の先端が撮像素子3の上端に達する時間はTFである。
チャージ動作の開始タイミングは、以下の条件を満たすように設定されている。(1)チャージ動作は、画像信号の読み出し動作を開始した後であって、画像信号の撮像素子の電荷読み出しが完了する前に開始される。(2)チャージ動作中には羽根群の先端が画像信号の読み出し位置から所定の距離だけ離れた状態で羽根群が前記開口部を開放する。
さらに、本実施形態では、検出される電源電圧が電圧Cより低い場合、羽根群230の開口を開始する時間を早くして、時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子の上端から間隔γ以上の位置になるように設定している。具体的には、検出される電源電圧が電圧Aのときには、画像信号読み出しが終了する時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子3の上端から間隔γ以上離れた位置になるように羽根群230が開放動作の開口を開始する時間をT6’’に設定している。検出される電源電圧が電圧Bのときには、画像信号読み出しが終了する時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子3の上端から間隔γ以上離れた位置になるように羽根群230が開放動作の開口を開始する時間をT6’に設定している。
すなわち、検出される電源電圧が基準より高い場合には、撮像素子3の画像信号の読み出し動作を開始する時刻T3から第1の時間が経過した後、チャージ動作を開始している。検出される電源電圧が基準より低い場合には、撮像素子3の画像信号の読み出し動作を開始する時刻T3から第2の時間が経過した後、チャージ動作を開始している。第2の時間は第1の時間より短く設定される。なお、本実施形態では、電圧Bを基準としている。
このような制御を行うことにより、検出される電源電圧に関わらず、羽根群230が開いた部分から漏れ込んだ光が、静止画読出し走査がまだ到達していない行の画素に入射し、静止画の信号に影響してしまうことが発生しない。
また、羽根群230の開放動作が終了するTD、TE、TFから動画撮影あるいはライブビュー撮影を開始できる。図15にて、ラインA’、B’、C’は、画像信号の読み出しが完全に終了してから羽根群230の開放動作を開始する場合であって、それぞれ検出される電源電圧が電圧A、B、Cとなる場合の時間Tにおける羽根群230の先端の位置を示している。図15に示されるように、羽根群230の開放動作が終了するTD、TE、TFは羽根群230の開放動作が終了する時間TC’、TB’、TA’より早くなる。したがって、、再び撮像動作を開始するまでの時間を短くすることができる。
<第2の実施形態>
本実施形態では、第1の実施形態と同様に電圧検出手段91により検出される電源電圧に応じて羽根群230を制御している。
図16は、本実施形態における撮像素子3の画像信号の読み出し位置と羽根群230の先端の位置を表わした図である。図16にて、ラインGは、電圧Aの場合の時間Tにおける羽根群230の先端の位置を示している。
検出される電源電圧が電圧Aのときには、時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子の上端から間隔γ以上の位置になるように羽根群230の開放動作を開始する時間T6’’を設定している。このとき、時間TGで羽根群230の先端の位置は撮像素子3の上端に達する。
電源電圧が電圧Aより高い電圧B、電圧Cとなると、羽根群230の開放速度が速くなり、時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子3の上端から間隔γの距離より離れた距離を保つことができなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、検出される電源電圧が電圧Aより高い場合には、モータ220の印加電圧が電圧Aと略等しくなるように、モータ220に印加する電圧を変更する。本実施形態では、電圧制御手段の一例として、シャッタ駆動回路11がPWM制御によってモータ220に印加する電圧を変更している。これによって、本実施形態では、電源電圧が電圧Aより高い場合にも、時間Tにおける羽根群230の先端の位置は、ラインGで示されるように動作する。すなわち、電源電圧が電圧Aより高い場合であっても、時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子3の上端から間隔γの距離より離れた距離を保つことができる。
また、羽根群230の開放動作が終了するTFから動画撮影あるいはライブビュー撮影を開始できる。
<第3の実施形態>
本実施形態においては、撮像装置の温度を検出する温度検出手段92により検出された温度に応じて羽根群230の動作を制御している。
図17は、温度検出手段92にて検出される温度と羽根群230の開放速度の関係を示す図である。
図17に示すように、羽根群230の開放速度は温度の上昇とともに増加し、羽根群230の開放速度は温度Jのときの最低速度VJから温度Lのときの最高速度VLで変化する。
図18は、本実施形態における撮像素子3の画像信号の読み出し位置と羽根群230の先端の位置を表わした図である。図18にて、ラインJ、K、Lは、それぞれ検出される温度が温度J、K、Lの場合の時間Tにおける羽根群230の先端の位置を示している。
検出される温度が温度Lのときには、画像信号読み出しが終了する時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子3の上端から間隔γ以上離れた位置になるようにしなければならない。そこで、羽根群230が開放動作の開口を開始する時間(チャージ動作の開始タイミング)をT6に設定している。このとき、羽根群230の先端が撮像素子3の上端に達する時間はTLである。
検出される温度が温度Lより低い下がっていると電圧検出手段91が検出した場合、羽根群230の開口を開始する時間を早くして、時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子の上端から間隔γ以上の位置になるように設定している。具体的には、検出される温度が温度Jのときには、画像信号読み出しが終了する時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子3の上端から間隔γ以上離れた位置になるように羽根群230が開放動作の開口を開始する時間をT6’’に設定している。検出される温度が温度Kのときには、画像信号読み出しが終了する時間T5における羽根群230の先端の位置が撮像素子3の上端から間隔γ以上離れた位置になるように羽根群230が開放動作の開口を開始する時間をT6’に設定している。
すなわち、検出される温度が基準より高い場合には、撮像素子3の画像信号の読み出し動作を開始する時刻T3から第1の時間が経過した後、チャージ動作を開始している。検出される温度が基準より低い場合には、撮像素子3の画像信号の読み出し動作を開始する時刻T3から第2の時間が経過した後、チャージ動作を開始している。第2の時間は第1の時間より短く設定される。なお、本実施形態では、温度Kを基準としている。
このような制御を行うことにより、検出される温度に関わらず、羽根群230が開いた部分から漏れ込んだ光が、静止画読出し走査がまだ到達していない行の画素に入射し、静止画の信号に影響してしまうことが発生しない。
また、羽根群230の開放動作が終了するTJ、TK、TLから動画撮影あるいはライブビュー撮影を開始できる。図18にて、ラインA’、B’、C’は、画像信号の読み出しが完全に終了してから羽根群230の開放動作を開始する場合であって、それぞれ検出される温度が温度J、K、Lとなる場合の時間Tにおける羽根群230の先端の位置を示している。図18に示されるように、羽根群230の開放動作が終了するTJ、TK、TLは羽根群230の開放動作が終了する時間TC’、TB’、TA’より早くなる。したがって、再び撮像動作を開始するまでの時間を短くすることができる。 以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。