JP6003010B2 - 電磁波遮蔽用複合材料、電子機器用筐体及びバッテリーケース - Google Patents
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また、それと同時に電子機器の用途では、薄型化や小型化と軽量化が要求されており、特に車載用電子機器では燃費向上の要求からも、軽量化が重要となっている。
本発明において用いる炭素繊維は、好ましくは単繊維を100〜50000本集束剤により集束したものである。この炭素繊維は、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維のいずれでもよい。炭素繊維に高弾性が必要であるときには、ピッチ系炭素繊維を用いるのが好ましい。
次に、炭素繊維と複合化するマトリックス樹脂について説明する。
これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<繊維混抄マット状成形体>
熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維強化合成樹脂製の繊維強化樹脂成形体部分を製造する手法として、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂も繊維状にしておき、炭素繊維と樹脂繊維からなる繊維混抄マット状成形体(不織布)とした後、熱プレスして樹脂を溶融させて成形するのが好ましい。ただし、マトリックス樹脂の一部を平均粒径0.1〜100μm特に0.5〜20μm程度の粉体を用いてもよい。
上記の繊維混抄マット状成形体を、当該混抄マット状成形体中の熱可塑性樹脂の短繊維の流動開始温度(Tf)以上においてプレス成形することにより繊維強化樹脂成形体が製造される。
なお、上記溶融プレスを所定の金型内で行なう等により、溶融プレスと賦型プレスを同時に行ない、繊維混抄マット状成形体から繊維強化樹脂成形体を直接成形してもよい。
また、繊維強化樹脂成形体としての面方向の熱伝導率は5〜60W/mKが好ましく、より好ましくは20〜40W/mKである。
熱硬化性樹脂を用いた炭素繊維強化合成樹脂製の繊維強化樹脂成形体部分を製造する手法として、炭素繊維からなるマット状成形体(不織布)を作成した後に液状の熱硬化性樹脂を含浸させ、樹脂を硬化させて成形するのが好ましい。
上記の炭素繊維マット状成形体をRIM成形機、RTM成形機等の一般的な繊維強化樹脂成形体の成形装置を用いて金型内にセットした後に液状の熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱処理を行なうことにより樹脂を硬化させて成形することにより繊維強化樹脂成形体が製造される。
また、繊維強化樹脂成形体としての面方向の熱伝導率は5〜60W/mKが好ましく、より好ましくは20〜40W/mKである。
本発明の電磁波遮蔽用複合材料の繊維強化樹脂成形体部分の厚さは、好ましくは、0.2〜8mm特に0.5〜5mmである。繊維強化樹脂成形体部分の厚さが過度に小さいと電磁波シールド特性が低くなると共に、材料の剛性や強度が低く、破損や切断などを生じやすく実用性に劣る。繊維強化樹脂成形体部分の厚さが過度に大きいと、電磁波遮蔽用複合材料の重量が大きくなる。
金属層部分の金属としてはアルミ、アルミ合金、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、鋼、銅、銅合金などが例示される。アルミ合金としては、Al−Mg系であるA5052等の5000番台やAl−Cu系であるA2014等の2000番台、ダイカスト用のAl−Si−Cu系合金(JIS規格 ADC12やADC10等)などを用いることができるが、これに限定されない。金属層部分の厚みは0.02〜2mm特に0.05〜1.5mm程度が好適である。金属層部分の厚みが0.02mmよりも小さいと磁界シールド性が低Hz領域(特に10MHz以下)で低下する。金属層部分の厚みが過度に大きいと、電磁波遮蔽用複合材料の重量が大きくなる。
電磁波遮蔽用複合材料は、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品、フラットパネルディスプレイなどの電子機器の筐体や、バッテリーケースなどに好適に用いることができる。この電磁波遮蔽用複合材料は、軽量で高剛性であるところから、特に自動車に搭載される車載用の大型のバッテリーケースに好適である。筐体やバッテリーケースの形状に特に制限はない。
溶剤を用いて成形体の樹脂部分を溶解させたのちに白色シート上に移し、乾燥させた後に、光学顕微鏡により観察する。このとき、残存する樹脂材料は白色シートにより観察されなくなり、結果として炭素繊維からなる黒色繊維のみが観察されるようになる。この炭素繊維をランダムに1000本選択し、繊維長さを測定する。
また、以下の実施例及び比較例における電磁波遮蔽用複合材料の物性の測定方法及び評価方法は次の通りである。
電磁波遮蔽特性については、実施例及び比較例で作製した成形体を15cm□の大きさに切り出した測定サンプルを用いて東京都立産業技術センターのAgilent4396Bを用いてKEC法により0.1〜1000MHzの範囲において測定した。測定結果に基づくシールド特性評価としては、0.1、1、10、100、1000MHzのすべての測定結果において電界特性及び磁界特性の両特性ともに2mm厚みアルミニウム板の値に対し80%以上の値を示すものを○とし、その値に満たないものを×として評価した。
密度については、実施例及び比較例で作製した成形体を10cm×10cmのサイズに切削した後に重量測定し、更にサンプルの厚み及び縦横の長さをマイクロメーター及びデジタルノギスを用いて厚みは0.01mm、縦横の長さは0.1mmの精度まで測定し、算出した。
膨張係数については、TMA120C(エスアイアイナノテクノロジー製)を用い、実施例及び比較例で作製した成形体から面内方向に長さ×幅=10mm×6mmの大きさで測定サンプルを切り出し、JISK−7197により荷重0.1g×断面積で昇温2℃/分で測定した。
曲げ強度及び曲げ弾性率については、万能材料試験機(UH−10 島津製作所製)を用いて測定した。実施例及び比較例で作製した成形体からJIS―K7074に基づき所定の大きさのサンプルを切り出し、ロードセル100kNによりクロスヘッド速度5mm/分で4点曲げ試験により測定した。
炭素繊維としてピッチ系炭素繊維(商品名「ダイアリード6371T」、三菱樹脂株式会社製、引張弾性率640GPa、6mmカットファイバー、密度2.1g/cm3)を用い、マトリックス樹脂として共重合ポリエステル繊維(商品名「N701Y」、クラレ製、5mmカットファイバー、融点130℃、密度1.38g/cm3)を用いた。強化繊維60重量%とマトリックス樹脂繊維40重量%とを配合した後にエアレイド式の不織布作製装置を用いて目付け1000g/m2の混抄マット状成形体(以下マットAと略記)とした。このマットAの炭素繊維の重量平均繊維長さは0.8mmであった。
実施例1において作製したマットAを4枚積層した後に蒸気式熱プレス成形装置により温度200℃、クリアランス4.0mmにおいて加圧保持時間10分で予熱した後に面圧10MPa、クリアランス2.0mmの加圧条件下で冷却プレスすることにより厚み2.0mmの繊維強化樹脂成形体を作製した。
実施例1において作製したマットAの積層枚数を8枚とした後に蒸気式熱プレス成形装置により温度200℃、クリアランス6.0mmにおいて加圧保持時間10分で予熱した後に面圧10MPa、クリアランス4.0mmの加圧条件下で冷却プレスすることにより厚み4.0mmの繊維強化樹脂成形体を作製した。
実施例1において作製したマットAを2枚積層した後に蒸気式熱プレス成形装置により温度200℃、クリアランス3.0mmにおいて加圧保持時間10分で予熱した後に面圧10MPa、クリアランス2.0mmの加圧条件下で冷却プレスすることにより厚み2.0mmの繊維強化樹脂成形体を作製した。
アルミニウム板(A5052)の厚さ2mm品をブランクとして、同様の測定方法により評価した。この評価結果を表1に示す。
実施例1において作製した繊維強化樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
実施例1において作製したマットAを4枚積層した後に蒸気式熱プレス成形装置により温度200℃、クリアランス4.0mmにおいて加圧保持時間10分で予熱した後に面圧10MPa、クリアランス2.2mmの加圧条件下で冷却プレスすることにより厚み2.2mmの繊維強化樹脂成形体を作製した。
実施例1において、繊維強化樹脂成形体の代わりに厚み2.0mmのPET樹脂プレート(PETEC6010 タキロン(株)製)の上下面に厚さ0.1mmのアルミニウムシートを積層し、蒸気式熱プレス成形装置により温度280℃、クリアランス2.2mmにおいて加圧保持時間10分で予熱した後に面圧10MPa、クリアランス2.0mmの加圧条件下で冷却プレスすることによりアルミニウムシートを貼り合わせ、厚み2.0mmの電磁波遮蔽用複合材料を作製した。この電磁波遮蔽用複合材料の評価結果を表1に示す。
2 繊維強化樹脂成形体部分
3 金属層部分
Claims (10)
- 炭素繊維及びマトリックス樹脂を含有する繊維強化樹脂成形体部分と金属層部分とが積層された電磁波遮蔽用複合材料において、
該繊維強化樹脂成形体部分は、炭素繊維と熱可塑性樹脂繊維とが複合化された混抄不織布を熱プレス成形したものであり、厚さが0.2〜8mmであり、重量平均繊維長0.5〜100mmの炭素繊維をランダム分散状態で20〜80重量%含有しており、
該炭素繊維は、引張弾性率が400GPa以上のピッチ系炭素繊維であり、
該金属層部分が、厚みが0.02〜2mmのシートであることを特徴とする電磁波遮蔽用複合材料。 - 請求項1において、前記金属層部分同士の間に前記繊維強化樹脂成形体部分を介在させるか、又は前記繊維強化樹脂成形体部分同士の間に前記金属層部分を介在させたサンドイッチ構造を有することを特徴とする電磁波遮蔽用複合材料。
- 請求項1において、1層の前記繊維強化樹脂成形体部分と1層の金属層部分とが積層されていることを特徴とする電磁波遮蔽用複合材料。
- 請求項1において、前記繊維強化樹脂成形体部分と金属層部分とが交互に積層された多層積層構造を有することを特徴とする電磁波遮蔽用複合材料。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記金属層部分がアルミニウム又はアルミニウム合金よりなることを特徴とする電磁波遮蔽用複合材料。
- 電磁波遮蔽材を有する電子機器用筐体において、該電磁波遮蔽材が請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽用複合材料よりなることを特徴とする電子機器用筐体。
- 請求項6において、該電磁波遮蔽材が絞り成形されていることを特徴とする電子機器用筐体。
- 電磁波遮蔽材を有するバッテリーケースにおいて、該電磁波遮蔽材が請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽用複合材料よりなることを特徴とするバッテリーケース。
- 請求項8において、該電磁波遮蔽材が絞り成形されていることを特徴とするバッテリーケース。
- 請求項8又は9において、車載用バッテリーケースであることを特徴とするバッテリーケース。
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