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JP6094453B2 - 空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スライド式ドアを備える空調装置に関するものである。
特許文献1に、スライド式ドアの組み付けのための空調ケースの構造が記載されている。特許文献1の従来技術では、空調ケースをドア近傍の分割面で、第1ケース部と第2ケース部とに分割可能とし、第1ケース部にガイド溝および挿入口を設け、第2ケース部に蓋部材を設けている。ガイド溝は、ドアを支持するとともに、ドアの移動をガイドするものである。挿入口は、第1ケース部のうちガイド溝のドア移動方向端部に設けられている。 これによれば、第1ケース部の挿入口からドアを挿入した後、第1、第2ケース部を組み付けることにより、挿入口を蓋部材で塞ぐことができる。
特許第3767060号公報
上記した特許文献1の従来技術は、第1ケース部のガイド溝端部に挿入口を設けるとともに、第1ケース部の挿入口を第2ケース部の蓋部材で塞ぐ構造のため、ドア近傍にケース分割面を形成する必要が生じる。このため、空調ケースのレイアウトに制限が発生し、空調ケースの設計の自由度が低いという問題がある。
そこで、本発明者は、図19A、19B、19Cに示すように、空調ケースのうちガイド溝60のドア移動方向途中の部位に挿入口を設けることを検討した。図中のY方向がドア移動方向である。ここで、ドア移動方向途中とは、図20に示すように、ドア40の移動範囲内のことである。この検討例では、ドア40の挿入口として、ドア40を挿入可能な大きさの溝欠損部63をガイド溝60に形成している。図19A、19B、19Cの順に示すように、この溝欠損部63からドア40を曲げながら挿入することにより、ガイド溝60にドア40を組み付ける。溝欠損部63は、空調ケースの内側にあるため、蓋で溝欠損部63を覆う必要がない。この検討例の構造によれば、ドア近傍にケース分割面を形成する必要がなくなるので、上記した問題を解消できる。
しかし、この検討例では、以下に説明する問題が生じることがわかった。この検討例では、ドア40として、板状のドア本体部41と、複数のドア支持部42とを有するものを用いている。ドア本体部41は、ガイド溝60の溝幅よりも薄い板状である。複数のドア支持部42は、ガイド溝60の内壁と接触してガイド溝60に支持される部分であり、ドア本体部41のドア幅方向端部に設けられている。複数のドア支持部42は、ドア本体部41のドア移動方向の一端側から他端側にわたって所定間隔で配置されている。
このため、ドア40の位置によっては、ドア支持部42が溝欠損部63に対向する位置となり、ドア支持部42がガイド溝60に支持されない状態が発生する。
具体的には、図19Cに示すように、ドア移動方向におけるドア本体部41の最先端側に位置するドア先端のドア支持部42aが、溝欠損部63内に位置するとき、ドア先端のドア支持部42aはガイド溝60に支持されない状態となる。この状態で、車両が未舗装路や石畳路を走行する等により、室内ユニットに外部から振動が入力されると、ドア本体部41の先端側部分が共振して空調ケースをたたくことによる連続した打音、すなわち、ガタツキ異音が発生してしまう。なお、図19Cでは、ドア先端側から1番目のドア支持部42aのみが溝欠損部63内に位置する場合を示しているが、上記した問題が発生するのは、この場合に限られない。図19Cの場合よりもドア支持部42同士の間隔が狭く、ドア先端側から連続して並ぶ複数のドア支持部42が溝欠損部63内に位置するときも、同様の問題が発生する。
また、図20に示すように、ガイド溝60のうちドア移動方向で溝欠損部63を挟んだ溝欠損部63の両側の部位に、ドア支持部42a、42cが位置するとともに、溝欠損部63内にドア支持部42bが位置するときも、溝欠損部63内に位置するドア支持部42がガイド溝60に支持されない状態となる。この状態においても、室内ユニットに外部から振動が入力されると、ガタツキ異音が発生してしまう。なお、図20では、1つのドア支持部42が溝欠損部63内に位置する状態を示しているが、複数のドア支持部42が溝欠損部63内に位置する状態のときも同様の問題が発生する。
なお、これらの問題の対策として、ガイド溝60のうちドア40の移動範囲外に溝欠損部63を設けることが考えられるが、この場合、ガイド溝60のうち溝欠損部63を設けた範囲は、ドア作動時にドア40が位置せず、無駄なスペースとなってしまうため、好ましくない。
本発明は上記点に鑑みて、ドア先端側のドア支持部が溝欠損部内に位置するときのガタツキ異音の発生を抑制することを第1の目的とする。また、ガイド溝のうち溝欠損部の両側の部位にドア支持部が位置するとともに、溝欠損部内にドア支持部が位置するときのガタツキ異音の発生を抑制することを第2の目的とする。
上記第1の目的を達成するため、請求項1、2に記載の発明では、ドア移動方向におけるドア先端側から1番目のドア支持部(42a)が溝欠損部内に位置するときに、ガイド溝のうち溝欠損部よりもドア先端から離れた側に位置するドア支持部のうち溝欠損部に最も近いドア支持部(42b)が、関係式を満たすように配置されており、
この関係式は、ドア本体部のドア先端からドア支持部のうちドア先端から離れた側の端部までの距離をA(単位:mm)とし、ドア本体部のドア幅をL(単位:mm)としたとき、
A≦90−0.2Lであることを特徴としている。
本発明者は、上記した関係式を満たすときに、ガタツキ異音の発生を抑制できることを本発明者が行った実験結果から見出した。したがって、本発明によれば、ドア先端側のドア支持部が溝欠損部内に位置するときのガタツキ異音の発生を抑制できる。
上記第2の目的を達成するため、請求項2、3に記載の発明では、ガイド溝のうち溝欠損部よりもドア移動方向一側およびドア移動方向他側の両側の部位に、ドア支持部(42a、42c)が位置するとともに、溝欠損部内にドア支持部(42b)が位置するときに、ドア支持部のうち溝欠損部よりも一側と他側のそれぞれで溝欠損部に最も近い2つのドア支持部が、関係式を満たすように配置されており、
この関係式は、2つのドア支持部における互いに離れた側の端部同士の距離をD(単位:mm)とし、ドア本体部のドア幅をL(単位:mm)としたとき、
D≦2(90−0.2L)であることを特徴としている。
本発明者は、上記した関係式を満たすときに、ガタツキ異音の発生を抑制できることを本発明者が行った実験結果から見出した。したがって、本発明によれば、ガイド溝のうち溝欠損部の両側の部位にドア支持部が位置するとともに、溝欠損部内にドア支持部が位置するときのガタツキ異音の発生を抑制できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態における車両用空調装置の室内ユニットの断面構成を示す図である。 図1中のエアミックスドアを空気流れ上流側から見たときのエアミックスドアの正面図である。 図2中のIII−III線断面図である。 第1実施形態におけるエアミックスドアおよびガイド溝の要部断面図である。 第1実施形態におけるエアミックスドアおよびガイド溝の要部断面図である。 2つのドア支持部の距離およびドア幅と、ガタツキ異音の発生の有無との関係を示す図である。 第2実施形態におけるエアミックスドアおよびガイド溝の要部断面図である。 第2実施形態におけるエアミックスドアおよびガイド溝の要部断面図である。 第3実施形態におけるドア支持部の平面図である。 図9中のX−X線断面図である。 第4実施形態におけるドア支持部の平面図である。 図11中のXII−XII線断面図である。 第5実施形態におけるドア支持部の平面図である。 図13中のXIV−XIV線断面図である。 第6実施形態におけるドア支持部の平面図である。 図15中のXVI−XVI線断面図である。 第7実施形態におけるドア支持部の平面図である。 図17中のXVIII−XVIII 線断面図である。 検討例におけるエアミックスドアおよびガイド溝の要部断面図である。 検討例におけるエアミックスドアおよびガイド溝の要部断面図である。 検討例におけるエアミックスドアおよびガイド溝の要部断面図である。 検討例におけるエアミックスドアおよびガイド溝の要部断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本実施形態の車両用空調装置の室内ユニットは、車室内のインストルメントパネル(計器盤)の車両前方に配置されるものである。
図1に示すように、室内ユニット1は、空調ケース10と、エバポレータ20と、ヒータコア30と、エアミックスドア40と、モードドア51、52、53とを備えている。なお、図1中の上下前後の矢印は、室内ユニット1が車両に搭載された状態での方向を示している。
空調ケース10は、車室内に向かって送風空気が流れる空気通路を構成している。この送風空気は、図示しない送風機によって形成される。空調ケース10は、エバポレータ20と、ヒータコア30と、エアミックスドア40と、モードドア51、52、53とを収容している。また、空調ケース10は、その空気流れ最下流部に、デフロスタ開口部11、フェイス開口部12、フット開口部13が形成されている。
デフロスタ開口部11は、空調ダクトを介して、ガラスの内表面に向けて開口するデフロスタ吹出口に連なっている。デフロスタ開口部11を通過した送風空気は、デフロスタ吹出口から吹き出される。フェイス開口部12は、空調ダクトを介して、乗員上半身に向けて開口するフェイス吹出口に連なっている。フェイス開口部12を通過した送風空気は、フェイス吹出口から吹き出される。フット開口部13は、空調ダクトを介して、乗員下半身に向けて開口するフット吹出口に連なっている。フット開口部13を通過した送風空気は、フット吹出口から吹き出される。
エバポレータ20は、冷凍サイクルを構成する構成部品であり、送風空気と冷媒とを熱交換して送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。ヒータコア30は、エンジン冷却水等の熱源と送風空気とを熱交換して送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。ヒータコア30は、エバポレータ20の空気流れ下流側に配置されており、エバポレータ20通過後の送風空気を加熱する。
空調ケース10の内部には、エバポレータ20通過後の冷風がヒータコア30を迂回して流れる冷風通路14と、ヒータコア30通過後の暖風が流れる暖風通路15とが形成されている。また、空調ケース10の内部には、冷風通路14の空気流れ上流側に、冷風通路14に向かう空気が通過する第1開口部14aが形成されており、ヒータコア30の上流側に、ヒータコア30に向かう空気が通過する第2開口部15aが形成されている。
エアミックスドア40は、第1開口部14aの開口面積と第2開口部15aの開口面積とを調整して、冷風通路14を流れる冷風と暖風通路15を流れる暖風の風量割合を調整するものである。本実施形態では、エアミックスドア40は、エバポレータ20の空気流れ下流側であって、冷風通路14およびヒータコア30の空気流れ上流側に配置されている。
エアミックスドア40として、スライド式ドアが用いられている。エアミックスドア40は、空調ケース10の内壁面に設けられたガイド溝60に支持されており、このガイド溝60に沿って移動する。ガイド溝60は、風下側を凸とする円弧状に延びている。このため、エアミックスドア40も風下側を凸とするように湾曲している。エアミックスドア40には、従動側ギヤ43が、空調ケース10に支持された円形の駆動側ギヤ70と噛み合うように設けられている。駆動側ギヤ70はドア幅方向に延びる駆動軸71を有する。駆動軸71の両端部は、空調ケース10に設けられた図示しない軸受け穴により回転自在に支持されている。駆動軸71は、図示しないサーボモータ等のドア駆動装置によって回転するようになっている。駆動側ギヤ70の回転によって、エアミックスドア40が移動する。エアミックスドア40およびガイド溝60の詳細については後述する。
モードドア51、52、53は、各開口部11、12、13を選択的に開閉することにより、車室内に向けて所定の吹出口から空調風を吹き出す吹出モードを切り替えるものである。本実施形態では、モードドア51、52、53として、片持ちドアが用いられている。
次に、エアミックスドア40およびガイド溝について、図2、3を用いて説明する。図2は、図1中のガイド溝60に支持された状態のエアミックスドア40を空気流れ上流側から見た図である。図2では、図3中のガイド部64を省略している。なお、図1中のエアミックスドア40は、図2中の従動側ギヤ43を通る断面を図示したものである。図3中のエアミックスドア40は、図2中のドア支持部42を通る断面を図示したものである。
図2、3に示すように、エアミックスドア40は、ドア本体部41と、ドア支持部42と、従動側ギヤ43とを有している。
ドア本体部41は、ガイド溝60の溝幅よりも薄い板状であり、その平面形状は、四角形である。ドア本体部41は、弾性を有する樹脂材料で構成されている。樹脂材料としては、PP、POM、PBT、ABS等が挙げられる。
ドア支持部42は、ガイド溝60の内壁と接触してガイド溝60に支持される部分であり、ドア幅方向Xでのドア本体部41の端部に、ドア移動方向Yに沿って複数設けられている。ドア幅方向Xとは、ドア移動方向Yに垂直な方向である。ドア支持部42は、ドア本体部41の風上側の表面から突出している。ドア支持部42は、ドア本体部41と同じ樹脂で一体成形されており、ドア本体部41よりも厚い厚肉部によって構成されている。ドア支持部42をドア移動方向Yで連続した形状とせず、間隔をあけて複数配置することで、ドア本体部41は曲げ変形可能となっている
従動側ギヤ43は、ドア幅方向Xでのドア本体部41の端部のうち、ドア支持部42よりもドア幅方向内側に配置されている。従動側ギヤ43は、ドア本体部41の風上側の表面に、ドア移動方向Yと平行に延びるように設けられている。従動側ギヤ43は、ドア本体部41と同じ樹脂で一体成形されている。
このような構成のエアミックスドア40の製造方法としては、樹脂の射出成形またはそれに準ずる成形方法が採用されるが、樹脂の切削等によって製造してもよい。また、ドア支持部42と従動側ギヤ43は、ドア本体部41と別体として成形された後、接着により、ドア本体部41と一体化されてもよい。
図2、3に示すように、ガイド溝60は、エアミックスドア40の端部を支持するとともに、エアミックスドア40の移動をガイドするものである。ガイド溝60は、ドア移動方向Yに延びている。図3に示すように、ガイド溝60は、空調ケース10の内壁面から突出した2つの突出壁61、62によって構成されている。
図1〜3に示すように、ガイド溝60は、溝の一部が欠損した溝欠損部63を有している。溝欠損部63は、突出壁62の一部を切り欠いた形状である。溝欠損部63は、ガイド溝60のドア移動方向途中の部位に設けられている。溝欠損部63は、エアミックスドア40を曲げながら挿入可能な大きさである。溝欠損部63を構成するガイド溝60の開口端部には、エアミックスドア40を挿入する際にエアミックスドア40をガイドするガイド部64が連なっている。本実施形態においても、図19A、19B、19Cの順に示すように、溝欠損部63からエアミックスドア40を曲げながら挿入することにより、ガイド溝60にエアミックスドア40が組み付けられる。
ここで、本実施形態では、下記の関係式を満たすように、ドア支持部42が配置されている。
図4に示すように、ドア移動方向Yで隣り合う2つのドア支持部42における互いに離れた側の接触端部同士の距離をC(単位はmm)とする。ここでいう接触端部とは、ドア支持部42のうちガイド溝60の内壁と接触する部位の端部である。また、ドア移動方向Yでの溝欠損部63の長さをB(単位はmm)とする。溝欠損部63の長さとは、溝欠損部63を構成するガイド溝60の上側開口端63aと下側開口端63bとのドア移動方向Yに沿った距離である。
このとき、ドア先端側から1番目、2番目のドア支持部42a、42bは、下記数式1を満たすように配置されている。
C≧B・・・(数式1)
これにより、1番目、2番目のドア支持部42a、42bは、1番目のドア支持部42aが溝欠損部63内に位置するとき、2番目のドア支持部42bがガイド溝60のうち溝欠損部63よりもドア先端から離れた側に位置する関係となる。1番目のドア支持部42aが溝欠損部63内に位置するとは、ドア支持部42aのうちガイド溝60と接触する接触部の全域が溝欠損部63内に位置し、ドア支持部42aがガイド溝60に支持されない状態を指す。2番目のドア支持部42bがガイド溝60のうち溝欠損部63よりもドア先端から離れた側に位置するとは、2番目のドア支持部42bのうちガイド溝60と接触する接触部の少なくとも一部がガイド溝60内に位置し、ドア支持部42bがガイド溝60に支持される状態を指す。
さらに、ドア本体部41のドア先端から2番目のドア支持部42bのうちドア先端から離れた側の接触端部までの距離をA1としたとき、2番目のドア支持部42bは、下記の数式2を満たすように配置されている。
A1≦90−0.2L・・・(数式2)
また、ドア先端から3番目以降のドア支持部42は、次のように配置されている。例えば、図5に示すように、ドア先端から3番目のドア支持部42cは、2番目のドア支持部42bとの距離Cが上記数式1を満たすように配置されている。これにより、ドア先端から2番目のドア支持部42bが溝欠損部63内に位置するとき、1番目と3番目のドア支持部42a、42cがガイド溝60のうち溝欠損部63よりもドア移動方向一側(上側)およびドア移動方向他側(下側)の両側の部位に位置する関係となる。このように、ドア支持部42が溝欠損部63内に位置するとき、溝欠損部63内に存在するドア支持部42は1つとなる。
そして、1番目と3番目の2つのドア支持部42a、42cにおける互いに離れた側の接触端部同士の距離をD1としたとき、2つのドア支持部42a、42cは、下記の数式3を満たすように配置される。
D1≦2(90−0.2L)・・・(数式3)
上記した数式2は、本発明者が行った評価試験の結果から導き出されたものである。この評価試験では、上記した距離A1が種々の大きさに設定されたエアミックスドア40を準備し、各エアミックスドア40を装着した空調ケース10に振動試験機で振動を与え、ガタツキ異音の発生の有無を評価した。この試験では、図4に示すように、エアミックスドア40の位置を、ドア先端から1番目のドア支持部42aが溝欠損部63内に存在する位置とした。振動試験機の試験条件は、加振振動を1Gとし、共振周波数を0〜100Hzの間で変化させた。評価は、ガタツキ異音が聞こえたか否かにより行った。その結果を図6に示す。図6中の○は、ガタツキ異音が抑制されていたことを示し、図6中の×は、ガタツキ異音が発生したことを示している。
図6に示すように、ドア幅Lが300mmの場合、距離A1が20mm、30mmのとき、ガタツキ異音が抑制され、距離A1が40mm、60mmのとき、ガタツキ異音が発生した。このことから、距離A1を30mm以下とすることで、ガタツキ異音の発生を抑制できることがわかった。
そして、下記の理由により、ドア幅Lが300mmの半分である150mmの場合、距離A1を60mm以下とすることで、ガタツキ異音の発生を抑制できることが推測される。エアミックスドア40のドア長さを変更せず、ドア幅Lを半分にすると、ドア重量が半分になる。1番目のドア支持部42aが溝欠損部63内に位置するときに、2番目のドア支持部42bが支持しなければならないドア先端側部分の重量が半分になれば、振動を抑制できる距離A1が2倍の長さになることが推測される。
これらより、図6に示すように、(A1、L)=(30、300)、(A1、L)=(60、150)の2点を通る直線(A1=90−0.2L)上およびこの直線よりも下側の領域であれば、ガタツキ異音の発生を抑制できることが推測される。
また、上記した数式3は、下記の通り、数式2から導き出されたものである。
上記した数式2は、エアミックスドア40の位置が、図4の状態となるドア位置のときの試験結果から導き出されたものである。このドア位置では、2番目のドア支持部42bが、ドア本体部41のうち2番目のドア支持部42bよりも先端側(図中上側)の部分を支持する状態となる。したがって、数式2は、ガタツキ異音の発生を抑制できる範囲内で、1つのドア支持部が支持可能なドア被支持部分の最大長さを規定している。
これに対して、エアミックスドア40の位置が、図5の状態となるドア位置のときでは、1番目と3番目の2つのドア支持部42a、42cが、ドア本体部41のうち1番目のドア支持部42aと3番目のドア支持部42cの間のドア被支持部分を支持する状態となる。このため、ガタツキ異音の発生を抑制できる範囲内で、2つのドア支持部が支持可能なドア被支持部分の最大重量は、ドア支持部42が1つのときの最大重量の2倍となることが推測される。これにより、距離D1を、数式2の右辺の2倍以下とすれば、ガタツキ異音の発生を抑制できることが推測される。
本実施形態では、図2に示すように、ドア移動方向におけるドア支持部42の長さEを全て同じとし、複数のドア支持部42を均等に配置している。そして、距離C、距離A1、距離D1については、例えば、L=300mm、B=25mm、E=3mmとするとき、C=28mm、A1=30mm、D1=53mmとすれば、上記数式2、3を満たす。
したがって、本実施形態では、ドア先端側から2番目のドア支持部42bが、上記した数式2を満たすように配置されているので、ドア先端側から1番目のドア支持部42aが溝欠損部63内に位置するときのガタツキ異音の発生を抑制できる。
また、本実施形態では、ドア先端側から1番目と3番目のドア支持部42a、42cが、上記した数式3を満たすように配置されているので、2番目のドア支持部42bが溝欠損部63内に位置するときのガタツキ異音の発生を抑制できる。なお、ドア先端側から4番目以降のドア支持部42についても、3番目のドア支持部42cと同様に配置することで、同様の効果が得られる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、溝欠損部63内に1つのドア支持部42が位置する場合を説明したが、本実施形態では、溝欠損部63内に2つのドア支持部42が位置する場合を説明する。
本実施形態においても、ドア支持部42の長さEは全て同じであり、複数のドア支持部42は全て同じ間隔で配置されている。そして、本実施形態では、図7、8に示すように、隣り合う2つのドア支持部42の距離Cを、溝欠損部63の長さBよりも小さく設定している(C<B)。さらに、ドア支持部42が溝欠損部63内に位置するとき、溝欠損部63内に2つのドア支持部42が存在するように、複数のドア支持部42が配置されている。
具体的には、図7に示すように、ドア先端側から1、2番目のドア支持部42a、42bが溝欠損部63内に位置するとき、ドア先端側から3番目のドア支持部42cがガイド溝60のうち溝欠損部63よりもドア先端から離れた側(図中下側)に位置するように、3つのドア支持部42a、42b、42cが配置されている。そして、3番目のドア支持部42cのドア先端から離れた側の接触端部までの距離をA2としたとき、3番目のドア支持部42cは、下記の数式4を満たすように配置されている。
A2≦90−0.2L・・・(数式4)
この数式4は、上記した数式2の距離A1を距離A2に置き換えたものである。1番目のドア支持部42a全体が溝欠損部63内に位置するとき、第1実施形態では、2番目のドア支持部42bがドア本体部41の先端側部分を支持する支点となっていたのに対して、本実施形態では、3番目のドア支持部42cが支点となる。そこで、数式2の距離A1を距離A2に置換した数式4を満たせば、第1実施形態と同様の効果が得られることが推測される。
また、図8に示すように、本実施形態では、ドア先端側から2番目と3番目のドア支持部42b、42cが溝欠損部63内に位置するとき、1番目と4番目のドア支持部42a、42dがガイド溝60のうち溝欠損部63よりもドア移動方向一側およびドア移動方向他側の両側の部位に位置するように、4つのドア支持部42a〜42dが配置されている。そして、1番目と4番目のドア支持部42a、42dにおける互いに離れた側の接触端部同士の距離をD2としたとき、4番目のドア支持部42dは、下記の数式5を満たすように配置される。
D2≦2(90−0.2L)・・・(数式5)
この数式5は、上記した数式3の距離D1を距離D2に置き換えたものである。第1実施形態では、1番目と3番目のドア支持部42a、42cがドア本体部41を支持する支点となっていたのに対して、本実施形態では、1番目と4番目のドア支持部42a、42dがドア本体部41を支持する支点となる。そこで、数式3の距離D1を距離D2に置換した数式5を満たせば、第1実施形態と同様の効果が得られることが推測される。
なお、ドア先端側から5番目以降のドア支持部42についても、4番目のドア支持部42dと同様に配置することで、同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
本実施形態は、第1、第2実施形態に対してドア支持部42の形状を変更したものである。その他の構成については、第1、第2実施形態と同じである。
図9、10に示すように、本実施形態のドア支持部42は、ドア本体部41から板片421が突出した形状であって、板片421のドア移動方向一端421aが固定され、ドア移動方向他端421bが自由とされた片持ち板バネ形状を有している。そして、ドア支持部42が弾性変形した状態で、エアミックスドア40がガイド溝60に挿入される。このため、本実施形態では、ドア支持部42の弾性力(復元力)によって、エアミックスドア40がガイド溝60に強固に支持される。
本実施形態によれば、ドア先端のドア支持部42aが溝欠損部63内に位置するとき、ドア支持部42が有するバネ形状によって、ドア本体部41が強固に支持されるので、第1、第2実施形態と比較して、ガタツキ異音の発生をより抑制できる。
(第4実施形態)
図11、12に示すように、本実施形態のドア支持部42は、ドア本体部41から板片422が突出した形状であって、板片422のドア移動方向両端422a、422bが固定された両持ち板バネ形状を有している。なお、他の構成は、第1、第2実施形態と同じである。本実施形態も、ドア支持部42がバネ形状を有するので、第3実施形態と同様の効果を奏する。
(第5実施形態)
図13、14に示すように、本実施形態のドア支持部42は、2つの片持ち板バネがドア移動方向に並んだ形状を有している。各片持ち板バネは、ドア本体部41から板片423、424が突出したものであり、ドア支持部42の外側に位置する板片423、424の一端423a、424aが固定され、ドア支持部42の中央に位置する板片423、424の他端423b、424bが自由とされている。なお、他の構成は、第1、第2実施形態と同じである。本実施形態も、ドア支持部42がバネ形状を有するので、第3実施形態と同様の効果を奏する。
(第6実施形態)
図15、16に示すように、本実施形態のドア支持部42は、ドア本体部41から側壁と円筒上面425を有する円筒状に突出し、さらに、円筒上面425の中央部425aが突出した形状である。円筒上面425が弾性変形することから、ドア支持部42はバネ形状を有している。なお、他の構成は、第1、第2実施形態と同じである。本実施形態も、ドア支持部42がバネ形状を有するので、第3実施形態と同様の効果を奏する。
(第7実施形態)
図17、18に示すように、本実施形態のドア支持部42は、ドア本体部41から板片426が突出した形状であって、ドア幅方向Xにおける板片426のドア内側端部426aが固定され、板片426のドア外側端部426bが自由とされた片持ち板バネ形状を有している。なお、他の構成は、第1、第2実施形態と同じである。本実施形態も、ドア支持部42がバネ形状を有するので、第3実施形態と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
(1)第2実施形態では、溝欠損部63内に2つのドア支持部42が位置する場合を説明したが、溝欠損部63内に3つ以上のドア支持部42が位置する場合も同様に、ドア支持部42の位置を設定すればよい。
すなわち、ドア先端側から1番目のドア支持部42aを含む複数のドア支持部42が溝欠損部63内に位置するときに、ガイド溝60の溝欠損部63よりもドア先端から離れた側の部位に位置するドア支持部42のうち、溝欠損部63に最も近いドア支持部42が、次に示す第1関係式を満たすように配置されていればよい。
A≦90−0.2L
ここで、式中のAは、上記した数式2、4のA1、A2に対応し、ドア本体部41のドア先端からドア支持部42のうちドア先端から離れた側の端部までの距離である。式中のLは、ドア本体部41のドア幅である。A、Lの単位はmmである。
また、ガイド溝60のうち溝欠損部63よりもドア移動方向一側およびドア移動方向他側の両側の部位に、ドア支持部42が位置するとともに、溝欠損部63内にドア支持部42が位置するときに、溝欠損部63よりも一側と他側のそれぞれの部位で溝欠損部63に最も近い2つのドア支持部42同士が、次に示す第2関係式を満たすように配置されていればよい。
D≦2(90−0.2L)
ここで、式中のDは、上記した数式3、5のD1、D2に対応し、2つのドア支持部における互いに離れた側の端部同士の距離である。式中のLは、ドア本体部41のドア幅である。D、Lの単位はmmである。
(2)上記した各実施形態では、隣り合う2つのドア支持部42の距離Dやドア支持部42の長さEをドア全体で均一としたが、これらの寸法をドア本体部41のドア先端側の部位とドア先端から離れた側の部位とで異ならせてもよい。
(3)上記した各実施形態では、第1関係式と第2関係式の両方を満たすように、ドア支持部42の配置を規定したが、少なくとも一方を満たすように規定すればよい。これにより、ドア先端側のドア支持部が溝欠損部内に位置する場合と、ガイド溝のうち溝欠損部の両側の部位にドア支持部が位置するとともに、溝欠損部内にドア支持部が位置する場合の少なくとも一方のガタツキ異音の発生を防止できる。
(4)上記した各実施形態では、ドア上端側がドア先端側となる場合を説明したが、ドア下端側がドア先端側となる場合においても、上記した各実施形態と同様に、ドア支持部を配置すればよい。
(5)上記した各実施形態では、本発明のスライド式ドアを、エアミックスドア40に適用したが、モードドア51、52、53に適用してもよい。
(6)上記した各実施形態では、ガイド溝60が、2つの突出壁61、62によって構成されていたが、1つの突出壁と、その突出壁に対向する対向壁となる空調ケース10のケース端部とによって構成されていてもよい。この場合も、突出壁に溝欠損部63が形成される。
また、ガイド溝60は、突出壁でなく、空調ケースの内壁面に設けられた凹部によって構成されていてもよい。この場合、溝欠損部も空調ケースの内壁面に設けられた凹部によって構成される。例えば、溝欠損部を構成する凹部は、空調ケースの分割面に連なるように設けられ、分割面からスライド式ドアが挿入される。
(7)上記した各実施形態では、エアミックスドア40は、その全体が曲げ変形した状態でガイド溝60に支持されていたが、エアミックスドア40が平坦な形状で、ガイド溝60に支持されるようにしてもよい。この場合、エアミックスドア40を支持するために、第3〜第7実施形態のように、ドア支持部42をバネ形状とすることが好ましい。
(8)上記した各実施形態では、エアミックスドア40を樹脂で構成したが、樹脂以外の材料、例えば、金属材料、木材等で構成してもよい。ただし、エアミックスドア40を曲げながら溝欠損部63に挿入するためには、ドア本体部41を弾性変形可能な材料で構成することが必要である。
(9)上記した各実施形態では、エアミックスドア40の組み付けを目的として、溝欠損部63をガイド溝60に形成したが、溝欠損部63は、例えば、空調ケースの製造上の制約や異物排出口等の目的で形成されたものであってもよい。すなわち、ガイド溝に、ドア本体部を挿入可能な大きさの溝欠損部が形成されていればよい。
(10)上記した各実施形態では、本発明の空調装置を、車両に搭載される車両用空調装置に適用したが、建物に設置される空調装置等に適用してもよい。
(11)上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
10 空調ケース
40 エアミックスドア(スライド式ドア)
41 ドア本体部
42 ドア支持部
42a ドア先端から1番目のドア支持部
42b ドア先端から2番目のドア支持部
42c ドア先端から3番目のドア支持部
60 ガイド溝
63 溝欠損部

Claims (7)

  1. 空気が通過する開口部(14a、15a)を有する空調ケース(10)と、
    前記空調ケース内に配置され、前記開口部の開口面積を調整するスライド式ドア(40)と、
    前記空調ケースの内壁面に設けられ、前記スライド式ドアの端部を支持するとともに、前記スライド式ドアの移動をガイドするガイド溝(60)とを備え、
    前記スライド式ドアは、前記ガイド溝の溝幅よりも薄い板状のドア本体部(41)と、前記ドア本体部のドア幅方向端部に、ドア移動方向に沿って複数設けられ、前記ガイド溝の内壁と接触して前記ガイド溝に支持されるドア支持部(42)とを有し、
    前記ガイド溝は、ドア移動方向途中の部位に、前記ドア本体部を挿入可能な大きさの溝欠損部(63)が形成されており、
    ドア移動方向におけるドア先端側から1番目の前記ドア支持部(42a)が前記溝欠損部内に位置するときに、前記ガイド溝のうち前記溝欠損部よりもドア先端から離れた側に位置する前記ドア支持部のうち前記溝欠損部に最も近い前記ドア支持部(42b)が、関係式を満たすように配置されており、
    前記関係式は、前記ドア本体部のドア先端から前記ドア支持部のうちドア先端から離れた側の端部までの距離をA(単位:mm)とし、前記ドア本体部のドア幅をL(単位:mm)としたとき、
    A≦90−0.2L
    であることを特徴とする空調装置。
  2. 前記関係式を第1関係式とし、
    さらに、前記ガイド溝のうち前記溝欠損部よりもドア移動方向一側およびドア移動方向他側の両側の部位に、前記ドア支持部(42a、42c)が位置するとともに、前記溝欠損部内に前記ドア支持部(42b)が位置するときに、前記ドア支持部のうち前記溝欠損部よりも前記一側と前記他側のそれぞれで前記溝欠損部に最も近い2つの前記ドア支持部が、第2関係式を満たすように配置されており、
    前記第2関係式は、前記2つのドア支持部における互いに離れた側の端部同士の距離をD(単位:mm)とし、前記ドア本体部のドア幅をL(単位:mm)としたとき、
    D≦2(90−0.2L)
    であることを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
  3. 空気が通過する開口部(14a、15a)を有する空調ケース(10)と、
    前記空調ケース内に配置され、前記開口部の開口面積を調整するスライド式ドア(40)と、
    前記空調ケースの内壁面に設けられ、前記スライド式ドアの端部を支持するとともに、前記スライド式ドアの移動をガイドするガイド溝(60)とを備え、
    前記スライド式ドアは、前記ガイド溝の溝幅よりも薄い板状のドア本体部(41)と、前記ドア本体部のドア幅方向端部に、ドア移動方向に沿って複数設けられ、前記ガイド溝の内壁と接触して前記ガイド溝に支持されるドア支持部(42)とを有し、
    前記ガイド溝は、ドア移動方向途中の部位に、前記ドア本体部を挿入可能な大きさの溝欠損部(63)が形成されており、
    前記ガイド溝のうち前記溝欠損部よりもドア移動方向一側およびドア移動方向他側の両側の部位に、前記ドア支持部(42a、42c)が位置するとともに、前記溝欠損部内に前記ドア支持部(42b)が位置するときに、前記溝欠損部よりも前記一側と前記他側のそれぞれの部位で前記溝欠損部に最も近い2つの前記ドア支持部が、関係式を満たすように配置されており、
    前記関係式は、前記2つのドア支持部における互いに離れた側の端部同士の距離をD(単位:mm)とし、前記ドア本体部のドア幅をL(単位:mm)としたとき、
    D≦2(90−0.2L)
    であることを特徴とする空調装置。
  4. ドア移動方向で隣り合う2つの前記ドア支持部における互いに離れた側の端部同士の距離をC(単位はmm)とし、ドア移動方向での前記溝欠損部の長さをB(単位はmm)としたとき、前記ドア支持部が、C≧Bを満たすように配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の空調装置。
  5. 前記ガイド溝は、前記空調ケースの内壁面から突出した1つの突出壁(62)と、その突出壁に対向する対向壁(61)とによって構成され、
    前記溝欠損部は、前記突出壁の一部を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の空調装置。
  6. 前記スライド式ドアは、曲げ変形した状態で前記ガイド溝に支持されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の空調装置。
  7. 前記複数のドア支持部は、バネ形状を有し、
    前記スライド式ドアは、前記ドア支持部の弾性力によって前記ガイド溝に支持されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の空調装置。
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