以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
(絶縁性粒子付き導電性粒子本体)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を断面図で示す。
図1に示す絶縁性粒子付き導電性粒子1は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体2と、絶縁性粒子付き導電性粒子本体2の表面を被覆している被膜3とを備える。被膜3は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体2の表面に付着している。被膜3は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体2の表面全体を覆っている。
絶縁性粒子付き導電性粒子本体2は、導電性粒子11と、導電性粒子11の表面上に配置された複数の絶縁性粒子15とを備える。複数の絶縁性粒子15は、導電性粒子11の表面に付着している。絶縁性粒子15は、絶縁性を有する材料により形成されている。
被膜3は、導電性粒子11の表面と、絶縁性粒子15の表面とを覆っている。被膜3は、導電性粒子11の表面を覆っている第1の被膜部分3aと、絶縁性粒子15の表面を覆っている第2の被膜部分3bとを有する。第1の被膜部分3aと第2の被膜部分3bとは、連なっている。第1の被膜部分3aは、導電性粒子11における絶縁性粒子15が接触していない部分において、導電性粒子11の表面を覆っている。第2の被膜部分3bは、絶縁性粒子15における導電性粒子11が接触していない部分において、絶縁性粒子15の表面を覆っている。
導電性粒子11は、基材粒子12と、基材粒子12の表面上に設けられた導電層13とを有する。導電層13は、導電部である。導電層13は、基材粒子12の表面を覆っている。導電性粒子11は、基材粒子12の表面が導電層13により被覆された被覆粒子である。導電性粒子11は表面に導電層13を有する。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を断面図で示す。
図2に示す絶縁性粒子付き導電性粒子21は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体22と、絶縁性粒子付き導電性粒子本体22の表面を被覆している被膜23とを備える。被膜23は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体22の表面に付着している。
絶縁性粒子付き導電性粒子本体22は、導電性粒子31と、導電性粒子31の表面上に配置された複数の絶縁性粒子15とを備える。絶縁性粒子15は、導電性粒子31の表面に付着している。
被膜23は、導電性粒子31の表面と、絶縁性粒子15の表面とを覆っている。被膜23は、導電性粒子31の表面を覆っている第1の被膜部分23aと、絶縁性粒子15の表面を被覆している第2の被膜部分23bとを有する。第1の被膜部分23aと第2の被膜部分23bとは、連なっている。
導電性粒子31は、基材粒子12と、基材粒子12の表面上に設けられた導電層32とを有する。導電層32は、導電部である。導電性粒子31は、基材粒子12の表面上に複数の芯物質33を有する。導電層32は、基材粒子12と芯物質33とを被覆している。芯物質33を導電層32が被覆していることにより、導電性粒子31は表面に、複数の突起34を有する。芯物質33により導電層32の表面が隆起されており、複数の突起34が形成されている。
図3に、本発明の第3の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を断面図で示す。
図3に示す絶縁性粒子付き導電性粒子41は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体42と、絶縁性粒子付き導電性粒子本体42の表面を被覆している被膜3とを備える。
絶縁性粒子付き導電性粒子本体42は、導電性粒子11と、導電性粒子11の表面上に配置された複数の絶縁性粒子45とを備える。絶縁性粒子45は、導電性粒子11の表面に付着している。すなわち、絶縁性粒子が異なることを除いては、絶縁性粒子付き導電性粒子41は絶縁性粒子付き導電性粒子1と同様に構成されており、絶縁性粒子付き導電性粒子本体42は絶縁性粒子付き導電性粒子本体2と同様に構成されている。
絶縁性粒子45は、絶縁性粒子本体45aと、絶縁性粒子本体45aの表面を覆っており、かつ高分子化合物により形成されている層45bとを有する。層45bの存在により、導電性粒子11に対する絶縁性粒子45の密着性を適度に高めることができる。
層45bは、絶縁性粒子本体45aの表面全体を被覆している。従って、導電性粒子11と絶縁性粒子本体45aとの間に層45bが配置されている。層45bは、絶縁性粒子本体の表面の少なくとも一部の領域を覆うように存在していればよく、絶縁性粒子本体の表面全体を覆っていなくてもよい。層45bは、導電性粒子と絶縁性粒子本体との間に配置されていることが好ましい。
図4に、本発明の第4の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を断面図で示す。
図4に示す絶縁性粒子付き導電性粒子61は、絶縁性粒子本体62と、絶縁性粒子付き導電性粒子本体62の表面を被覆している被膜23とを備える。被膜23は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体62の表面に付着している。
絶縁性粒子付き導電性粒子本体62は、導電性粒子71と、導電性粒子71の表面に付着している複数の絶縁性粒子15とを備える。
導電性粒子71は、基材粒子12と、基材粒子12の表面上に設けられた導電層76とを有する。導電層76は、導電部である。導電層76は、基材粒子12の表面上に設けられた第1の導電層76aと、第1の導電層76aの表面上に設けられた第2の導電層76bとを有する。導電性粒子71は、第1の導電層76aの表面上に複数の芯物質33を有する。第2の導電層76bは、第1の導電層76aと芯物質33とを被覆している。基材粒子12と芯物質33とは間隔を隔てて配置されている。基材粒子12と芯物質33との間には、第1の導電層76aが存在する。芯物質33を第2の導電層76bが被覆していることにより、導電性粒子71は表面に、複数の突起77を有する。芯物質33により導電層76及び第2の導電層76bの表面が隆起されており、複数の突起77が形成されている。
絶縁性粒子付き導電性粒子1,21,41,61ではいずれも、第1の被膜部分3a,23aにおける厚みは、絶縁性粒子15,35,45の平均粒子径の1/2以下である。
被膜が、導電性粒子を覆っている第1の被膜部分と絶縁性粒子の表面を覆っている第2の被膜部分とを有し、更に第1の被膜部分における厚みが、絶縁性粒子の平均粒子径の1/2以下であることによって、導電接続前に、導電性粒子の表面から絶縁性粒子を意図せずに脱離し難くし、かつ導電接続時に、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離しやすくすることができる。従って、絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導通信頼性を高めることができる。すなわち、絶縁性粒子付き導電性粒子における絶縁性粒子の導電接続前の脱離防止性と導電接続時の脱離性との双方を高めることができる。なお、通常、導電接続時には、導電接続前よりも絶縁性粒子の脱離に影響する大きな力が付与される。
被膜が、導電性粒子を覆っている第1の被膜部分のみを有していたり、絶縁性粒子の表面を覆っている第2の被膜部分のみを有していたりする場合には、導電接続前に、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が意図せずに脱離しやすくなる。例えば、絶縁性粒子付き導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させる際に、導電性粒子の表面から、絶縁性粒子が容易に脱離することがある。さらに、複数の絶縁性粒子付き導電性粒子が接触したときに、接触時の衝撃により、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離しやすくなる。このため、絶縁性粒子付き導電性粒子を電極間の接続に用いた場合に、隣接する導電性粒子間には絶縁性粒子が存在せずに、接続されてはならない隣り合う電極間が電気的に接続されることがある。本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子では、このような問題点を解消できる。
第1の被膜部分における厚みが、絶縁性粒子の平均粒子径の1/2を超えると、導電接続時に、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離しにくくなる。この結果、絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて接続構造体を得た場合に、電極間の接続抵抗が高くなったり、接続不良が生じたりしやすくなる可能性が高まる。
導電接続時に、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離するのを効果的に抑制する観点からは、第1の被膜部分における厚みは薄いほどよい。第1の被膜部分における厚みは、絶縁性粒子の平均粒子径の1/3以下であることが好ましく、1/5以下であることがより好ましい。絶縁性粒子の導電接続前の脱離防止の機能を効果的に果たすためには、第1の被膜部分における厚みは、絶縁性粒子の平均粒子径の1/100以上であることが好ましく、1/20以上であることがより好ましい。
上記絶縁性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
第2の被膜部分における厚みは、絶縁性粒子の平均粒子径の1/2以下であることが好ましく、1/5以下であることがより好ましい。
上記第1の被膜部分の厚みと上記第2の被膜部分の厚みとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の被膜部分の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは20nm以上、好ましくは150nm以下、より好ましくは80nm以下である。上記第2の被膜部分の厚みは、好ましくは10nm以上、より好ましくは40nm以上、好ましくは300nmμm以下、より好ましくは150nm以下である。
導電接続前に、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が意図せずに脱離するのを効果的に防ぐ観点からは、絶縁性粒子付き導電性粒子における複数の上記絶縁性粒子の全個数の内の50%以上が、上記導電性粒子に接触していることが好ましい。絶縁性粒子付き導電性粒子における複数の上記絶縁性粒子の全個数の内の90%以上が、上記導電性粒子に接触していることがより好ましく、95%以上が、上記導電性粒子に接触していることがより好ましい。
導電接続前に、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が意図せずに脱離するのを効果的に防ぐ観点からは、第1の被膜部分と、第2の被膜部分とは連なっていることが好ましい。
導電接続前に、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が意図せずに脱離するのを効果的に防ぐ観点からは、複数の上記絶縁性粒子が、上記被膜により被覆されていることによって露出していないことが好ましい。絶縁性粒子付き導電性粒子は、被膜により覆われておらずかつ露出している絶縁性粒子を有さないことが好ましい。
導電接続前に、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が意図せずに脱離するのを効果的に防ぐ観点からは、導電部の表面に、化学結合を介して、絶縁性粒子が付着していることが好ましい。
また、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面を被膜が被覆していることによって、絶縁性粒子付き導電性粒子における導電層に錆が生じ難くなる。被膜は防錆効果を付与する。このため、絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子の導電性が高くなり、長期間にわたり高い導電性を維持できる。従って、絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導通信頼性を高めることができる。
また、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面を被膜が被覆しており、該被膜が、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物により形成されていることが好ましい。これにより、絶縁性粒子付き導電性粒子における導電層に錆がより一層生じ難くなる。
また、絶縁性粒子付き導電性粒子を5重量%クエン酸水溶液で処理して被膜を剥離することにより、剥離した被膜を含む処理液を得た後、該処理液をろ過することにより得られたろ過液が、リン元素又は珪素元素を50〜10000ppm含むことが好ましい。これにより、絶縁性粒子付き導電性粒子における導電層に錆がより一層生じ難くなる。このため、絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子の導電性が高くなり、長期間にわたり高い導電性を維持できる。従って、絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導通信頼性を高めることができる。
また、導電層に錆をより一層生じ難くする観点からは、絶縁性粒子付き導電性粒子を5重量%クエン酸水溶液で処理して被膜を剥離することにより、剥離した被膜を含む処理液を得た後、該処理液をろ過することにより得られたろ過液は、リン元素を50〜10000ppm含むことが好ましい。導電層に錆をより一層生じ難くする観点からは、絶縁性粒子付き導電性粒子を5重量%クエン酸水溶液で処理して被膜を剥離することにより、剥離した被膜を含む処理液を得た後、該処理液をろ過することにより得られたろ過液は、珪素元素を50〜10000ppm含むことが好ましい。上記ろ過液中の珪素元素又はリン元素の含有量は、より好ましくは100ppm以上、より好ましくは5000ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは500ppm以下である。また、導電接続前に、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離するのをより一層抑制する観点からは、上記ろ過液中の珪素元素又はリン元素の含有量は、より好ましくは100ppm以上である。
上記リン元素及び珪素元素の含有量は、ICP発光分析装置を用いて測定できる。ICP発光分析装置の市販品としては、堀場製作所社製「ULTIMA2」等が挙げられる。
被膜を有する絶縁性粒子付き導電性粒子の場合には、上記リン元素及び上記珪素元素の含有量は、通常、被膜により決まる。すなわち、上記リン元素及び上記珪素元素の含有量は、被膜におけるリン元素及び珪素元素の割合を示す。
被膜は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面に付着していることが好ましい。絶縁性粒子付き導電性粒子では、被膜は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面全体を覆っていることが好ましい。
なお、被膜は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面全体を必ずしも被覆している必要はない。被膜が、導電性粒子を覆っている第1の被膜部分と絶縁性粒子の表面を覆っている第2の被膜部分とを有していれば、第1の被膜部分のみを有するか又は第2の被膜部分のみを有する場合と比べて、導電接続前の脱離防止性及び導電接続時の脱離性をバランスよく高めることができる。また、導電層の表面の少なくとも一部の領域を、被膜が被覆していることにより、特に炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物により形成されている被膜が被覆していることにより、被膜が形成されている部分において、導電層の錆を抑制できる。
以下、被膜の詳細及び絶縁性粒子付き導電性粒子本体の詳細を説明する。
[被膜]
導電部に錆を生じ難くするために、上記被膜は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物(以下、化合物Aともいう)により形成されていることが好ましい。上記アルキル基の炭素数が6未満であると、導電部の表面に錆が生じやすくなる。上記アルキル基の炭素数が22を超えると、絶縁性粒子付き導電性粒子の導電性が低くなる。絶縁性粒子付き導電性粒子の導電性をより一層高める観点からは、上記化合物Aにおける上記アルキル基の炭素数は16以下であることが好ましい。上記アルキル基は直鎖構造を有していてもよく、分岐構造を有していてもよい。上記アルキル基は、直鎖構造を有することが好ましい。
上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有していれば特に限定されない。上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシラン、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオール、及び炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。すなわち、上記炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物Aは、リン酸エステル又はその塩、亜リン酸エステル又はその塩、アルコキシシラン、アルキルチオール及びジアルキルジスルフィドからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。これらの好ましい化合物Aの使用により、導電部に錆をより一層生じ難くすることができる。錆を更に一層生じ難くする観点からは、上記化合物Aは、上記リン酸エステル又はその塩、亜リン酸エステル又はその塩及びアルコキシシランからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましく、上記リン酸エステル又はその塩及び亜リン酸エステル又はその塩の内の少なくとも1種であることがより好ましい。上記化合物Aは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物Aは、導電性粒子と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記化合物Aは、絶縁性粒子と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。被膜は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体と化学結合していることが好ましい。被膜は、導電性粒子と化学結合していることが好ましい。被膜は、絶縁性粒子と化学結合していることが好ましい。被膜は、導電性粒子及び絶縁性粒子と化学結合していることがより好ましい。上記反応性官能基の存在により、及び上記化学結合により、被膜の剥離が生じ難くなる。この結果、導電層に錆がより一層生じ難くなり、かつ導電性粒子の表面から絶縁性粒子が意図せずにより一層脱離し難くなる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩としては、例えば、リン酸ヘキシルエステル、リン酸ヘプチルエステル、リン酸モノオクチルエステル、リン酸モノノニルエステル、リン酸モノデシルエステル、リン酸モノウンデシルエステル、リン酸モノドデシルエステル、リン酸モノトリデシルエステル、リン酸モノテトラデシルエステル、リン酸モノペンタデシルエステル、リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及びリン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩としては、例えば、亜リン酸ヘキシルエステル、亜リン酸ヘプチルエステル、亜リン酸モノオクチルエステル、亜リン酸モノノニルエステル、亜リン酸モノデシルエステル、亜リン酸モノウンデシルエステル、亜リン酸モノドデシルエステル、亜リン酸モノトリデシルエステル、亜リン酸モノテトラデシルエステル、亜リン酸モノペンタデシルエステル、亜リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及び亜リン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記亜リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン及びペンタデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオールとしては、例えば、ヘキシルチオール、ヘプチルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール、ウンデシルチオール、ドデシルチオール、トリデシルチオール、テトラデシルチオール、ペンタデシルチオール及びヘキサデシルチオール等が挙げられる。上記アルキルチオールは、アルキル鎖の末端にチオール基を有することが好ましい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドとしては、例えば、ジヘキシルジスルフィド、ジヘプチルジスルフィド、ジオクチルジスルフィド、ジノニルジスルフィド、ジデシルジスルフィド、ジウンデシルジスルフィド、ジドデシルジスルフィド、ジトリデシルジスルフィド、ジテトラデシルジスルフィド、ジペンタデシルジスルフィド及びジヘキサデシルジスルフィド等が挙げられる。
[絶縁性粒子付き導電性粒子本体]
上記導電性粒子は、少なくとも表面に導電部を有していればよい。該導電部は例えば導電層である。導電性粒子は、基材粒子と、基材粒子の表面上に設けられた導電層を有する導電性粒子であってもよく、全体が導電層である金属粒子であってもよい。なかでも、コストを低減したり、導電性粒子の柔軟性を高くして、電極間の導通信頼性を高めたりする観点からは、基材粒子と、基材粒子の表面上に設けられた導電層を有する導電性粒子が好ましい。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、絶縁性粒子付き導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより絶縁性粒子付き導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積を大きくすることができる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。さらに、導電性粒子が、全体が導電部である金属粒子である場合、該金属粒子を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。
上記導電部を構成する金属に錆が生じやすいほど、上記被膜による被覆効果が顕著に得られる。ニッケル、銅又はスズにより形成された導電部では、導電部の表面に錆が比較的生じやすい。このような導電部の表面を被膜で被覆することにより、導電部の表面に錆が生じるのを効果的に抑制できる。上記被膜による被覆効果が効果的に得られるので、上記導電部は、ニッケル、銅又は錫を含んでいてもよい。
なお、導電部の表面には、酸化により水酸基が存在することが多い。一般的に、ニッケルにより形成された導電部の表面には、酸化により水酸基が存在する。このような水酸基を有する導電部は被膜と化学結合する。
上記導電層は、1つの層により形成されていてもよい。導電層は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電層が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性をより一層高めることができる。
上記基材粒子の表面に導電層を形成する方法は特に限定されない。導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電性粒子の平均粒子径は、0.5〜100μmの範囲内であることが好ましい。導電性粒子の平均粒子径は、より好ましくは1μm以上、より好ましくは20μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積を充分に大きくすることができ、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電層の厚みは、0.005〜1μmの範囲内であることが好ましい。導電層の厚みは、より好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.3μm以下である。導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、充分な導電性を得ることができ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子を充分に変形させることができる。
上記導電層が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電層の厚みは、特に最外層が金層である場合の金層の厚みは、0.001〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。上記最外層の導電層の厚みのより好ましい下限は0.01μmであり、より好ましい上限は0.1μmである。上記最外層の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電層による被覆を均一にでき、耐腐食性を充分に高めることができ、かつ電極間の接続抵抗を充分に低くすることができる。また、上記最外層が金層である場合の金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
上記導電層の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子又は絶縁性粒子付き導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
導電性粒子は、導電部の表面に突起を有することが好ましく、該突起は複数であることが好ましい。絶縁性粒子付き導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。導電部の表面に突起を有する絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜を効果的に排除できる。このため、電極と導電部とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、電極間の接続時に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性粒子を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。
基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記導電性粒子は、基材粒子の表面上に第1の導電層を有し、かつ該第1の導電層上に第2の導電層を有していてもよい。この場合に、第1の導電層の表面に芯物質を付着させてもよい。芯物質は第2の導電層により被覆されていること好ましい。上記第1の導電層の厚みは、0.05〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。導電性粒子は、基材粒子の表面上に第1の導電層を形成し、次に該第1の導電層の表面上に芯物質を付着させた後、第1の導電層及び芯物質の表面上に第2の導電層を形成することにより得られていることが好ましい。
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質を構成する金属は、上記導電部(導電層)を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
複数の上記突起の平均高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができる。
上記絶縁性粒子は、絶縁性を有する粒子である。絶縁性粒子は導電性粒子よりも小さい。絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続すると、絶縁性粒子により、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の絶縁性粒子付き導電性粒子が接触したときに、複数の絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子間には絶縁性粒子が存在するので、上下の電極間ではなく、横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で絶縁性粒子付き導電性粒子を加圧することにより、導電部と電極との間の絶縁性粒子を容易に排除できる。導電性粒子の表面に突起が設けられている場合には、導電部と電極との間の絶縁性粒子をより一層容易に排除できる。
上記絶縁性粒子を構成する材料としては、絶縁性の樹脂、及び絶縁性の無機物等が挙げられる。上記絶縁性の樹脂としては、基材粒子として用いることが可能な樹脂粒子を形成するための樹脂として挙げた上記樹脂が挙げられる。上記絶縁性の無機物としては、基材粒子として用いることが可能な無機粒子を形成するための無機物として挙げた上記無機物が挙げられる。
上記絶縁性粒子の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
熱圧着時の絶縁性粒子の脱離性をより一層高める観点からは、絶縁性粒子は、無機粒子を含むことが好ましく、シリカ粒子であることが好ましい。絶縁性粒子が表面に上記高分子化合物により形成されている層を有さない場合には、絶縁性粒子は、無機粒子であることが好ましく、シリカ粒子であることが好ましい。絶縁性粒子本体の表面が上記高分子化合物により形成された層により覆われた絶縁性粒子を用いる場合には、絶縁性粒子本体は、無機粒子であることが好ましく、シリカ粒子であることが好ましい。上記無機粒子としては、シラス粒子、ハイドロキシアパタイト粒子、マグネシア粒子、酸化ジルコニウム粒子及びシリカ粒子等が挙げられる。熱圧着時の絶縁性粒子の脱離性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子はシリカ粒子を含むことが好ましく、上記無機粒子はシリカ粒子であることが好ましい。シリカ粒子としては、粉砕シリカ、球状シリカが挙げられ、球状シリカを用いることが好ましい。また、シリカ粒子は表面に、例えばカルボキシル基、水酸基等の化学結合可能な官能基を有することが好ましく、水酸基を有することがより好ましい。無機粒子は比較的硬く、特にシリカ粒子は比較的硬い。このような硬い絶縁性粒子を有する絶縁性粒子付き導電性粒子本体を用いた場合には、絶縁性粒子付き導電性粒子本体とバインダー樹脂とを混練する際に、導電性粒子の表面から、硬い絶縁性粒子が脱離しやすい。しかしながら、本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、硬い絶縁性粒子を用いたとしても、上記混練の際に、被膜により硬い絶縁性粒子が脱離するのを抑制できる。上記高分子化合物により形成されている層は、例えば柔軟層としての役割を果たす。
上記高分子化合物により形成されている層における高分子化合物又は重合等により該高分子化合物となる化合物としては、重合可能な反応性官能基を有する化合物であることが好ましい。該重合可能な反応性官能基は、不飽和二重結合であることが好ましい。例えば、絶縁性粒子本体の表面上で不飽和二重結合を有する化合物(高分子化合物となる化合物)を重合反応させてもよく、また高分子化合物と絶縁性粒子本体の表面の反応性官能基とを反応させてもよい。上記高分子化合物又は該高分子化合物となる化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物及びビニル基を有する化合物等が挙げられる。絶縁性粒子付き導電性粒子を分散する際などに、導電性粒子の表面から絶縁性粒子の脱離を抑制する観点からは、上記高分子化合物又は該高分子化合物となる化合物は、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基からなる群から選択された少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。なかでも、絶縁性粒子の脱離をより一層抑制する観点からは、上記高分子化合物又は該高分子化合物となる化合物は、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート及びジメタクリル酸エチレングリコール等が挙げられる。
上記エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びレゾルシノールグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記ビニル基を有する化合物の具体例としては、スチレン及び酢酸ビニル等が挙げられる。
上記高分子化合物の重量平均分子量は、1000以上であることが好ましい。上記高分子化合物の重量平均分子量の上限は特に限定されないが、上記高分子化合物の重量平均分子量は20000以下であることが好ましい。該重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での値を示す。
絶縁性粒子の表面に上記高分子化合物により形成されている層を形成する方法は特に限定されない。絶縁性粒子本体の表面の少なくとも一部の領域を覆うように、高分子化合物又は高分子化合物となる化合物を用いて、高分子化合物により形成された層を形成し、絶縁性粒子を得ることが好ましい。上記高分子化合物により形成されている層の形成方法の一例としては、ビニル基などの反応性官能基を表面に有する絶縁性粒子本体に反応性二重結合と水酸基とを有する化合物を絶縁性粒子本体の表面上で重合させる方法等が挙げられる。ただし、この形成方法以外の方法を用いてもよい。
上記絶縁性粒子本体と上記層とは化学的に結合していることが好ましい。この化学的結合には、共有結合、水素結合、イオン結合及び配位結合等が含まれる。なかでも、共有結合が好ましく、反応性官能基を用いた化学的結合が好ましい。
上記化学的結合を形成する反応性官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、シラン基、シラノール基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基、ニトロ基、水酸基、カルボニル基、チオール基、スルホン酸基、スルホニウム基、ホウ酸基、オキサゾリン基、ピロリドン基、リン酸基及びニトリル基等が挙げられる。中でも、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
絶縁性粒子の脱離をより一層抑制し、接続構造体における絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子本体として、反応性官能基を表面に有する絶縁性粒子本体を用いることが好ましい。絶縁性粒子の脱離をより一層抑制し、接続構造体における絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子本体として、反応性官能基を有する化合物を用いて表面処理された絶縁性粒子本体を用いることが好ましい。絶縁性粒子の脱離をより一層抑制し、接続構造体における絶縁信頼性をより一層高める観点からは、反応性官能基を表面に有する上記絶縁性粒子本体と、高分子化合物又は該高分子化合物となる化合物とを用いて、上記絶縁性粒子本体の表面の反応性官能基に、上記高分子化合物により形成された層を化学的に結合させることにより、上記絶縁性粒子本体と上記層とが化学的に結合している上記絶縁性粒子が得られていることが好ましい。
上記絶縁性粒子本体が表面に有する上記反応性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、水酸基、ビニル基及びアミノ基等が挙げられる。上記絶縁性粒子本体が表面に有する上記反応性官能基は、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、水酸基、ビニル基及びアミノ基からなる群から選択された少なくとも1種の反応性官能基であることが好ましい。
上記絶縁性粒子本体の表面に上記反応性官能基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物及びビニル基を有する化合物等が挙げられる。
上記絶縁性粒子本体の表面に上記反応性官能基であるビニル基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、ビニル基を有するシラン化合物、及びビニル基を有するチタン化合物、及びビニル基を有するリン酸化合物等が挙げられる。上記表面処理物質は、ビニル基を有するシラン化合物であることが好ましい。上記ビニル基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン及びビニルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。
上記絶縁性粒子本体の表面に上記反応性官能基である(メタ)アクリロイル基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物、及び(メタ)アクリロイル基を有するチタン化合物、及び(メタ)アクリロイル基を有するリン酸化合物等が挙げられる。上記表面処理物質は、(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物であることも好ましい。上記(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物としては、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び(メタ)アクリロキシプロピルトリジメトキシシラン等が挙げられる。
上記絶縁性粒子は、上記絶縁性粒子本体と高分子化合物又は該高分子化合物となる化合物とを用いた混合による摩擦で形成されていないことが好ましい。また、上記絶縁性粒子本体の表面が上記層によりハイブリダイゼーション法を用いて被覆されていないことが好ましい。混合による摩擦やハイブリダイゼーション法を用いて絶縁性粒子が形成されている場合には、絶縁性粒子本体の表面上から層が脱離しやすくなる。また、絶縁性粒子の表面に、混練時に形成された層の破片が付着しやすくなる。このため、絶縁性粒子付き導電性粒子の導電部の表面上で脱離した層や層の破片が付着し、接続構造体における導通信頼性が低下しやすい傾向がある。従って、絶縁性粒子の脱離をより一層抑制し、接続構造体における絶縁信頼性及び導通信頼性をより一層高める観点からは、混合による摩擦で絶縁性粒子は形成されていないことが好ましく、ハイブリダイゼーション法を用いないことが好ましい。
上記絶縁性粒子を得る際に、上記絶縁性粒子本体100重量部に対する上記高分子化合物又は該高分子となる化合物の使用量は、好ましくは30重量部以上、より好ましくは50重量部以上、好ましくは500重量部以下、より好ましくは300重量部以下である。上記高分子化合物の使用量が上記下限以上及び上記上限以下であると、良好な層を形成できる。
上記高分子化合物により形成された層の具体的な製造条件の一例としては、以下の製造条件が挙げられる。
先ず、水などの溶媒100〜500重量部中に、反応性官能基を表面に有する絶縁性粒子本体1〜3重量部、反応性二重結合と水酸基とを有する化合物0.1〜20重量部(好ましくは0.1〜1重量部)、架橋剤0.01〜5重量部(好ましくは0.01〜1重量部)、分散剤0.1〜5重量部(好ましくは0.1〜3重量部)及び熱重合開始剤0.1〜5重量部(好ましくは0.1〜3重量部)を加える。次に、スリーワンモーターで撹拌しながらオイルバスで熱重合開始剤の反応温度以上まで昇温し、重合を開始し、その状態を5時間以上保持して反応させる。その後、遠心分離機を用いて、未反応の化合物を除去して、絶縁性粒子本体の表面が上記層により覆われている絶縁性粒子を得る。
上記導電性粒子及び上記導電部の表面に絶縁性粒子を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。ただし、ハイブリダイゼーション法では、絶縁性粒子の脱離が生じやすい傾向があるので、上記導電性粒子及び上記導電部の表面に絶縁性粒子を付着させる方法は、ハイブリダイゼーション法以外の方法であることが好ましい。なかでも、絶縁性粒子が脱離し難いことから、導電部の表面に、化学結合を介して絶縁性粒子を付着させる方法が好ましい。
本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子において、絶縁性粒子は、導電性粒子の表面に、ハイブリダイゼーション法により付着されていないことが好ましい。
なお、図6に示すように、ハイブリダイゼーション法を用いた従来の絶縁性粒子付き導電性粒子101では、導電性粒子102の表面の絶縁性粒子103が付着している部分102a以外の部分102bにも高分子化合物104が付着する。これは、ハイブリダイゼーション法では、圧縮剪断力がかかり、絶縁性粒子の付着と脱離とが繰り返し起こり、徐々に絶縁性粒子が付着するためである。圧縮剪断力により、絶縁性粒子の高分子化合物により形成された層が剥がれて、剥がれた高分子化合物が、導電性粒子の表面の絶縁性粒子が付着している部分以外の部分に付着する。導電性粒子の表面の絶縁性粒子が付着している部分以外の部分に付着した高分子化合物は、導電性粒子の体積抵抗率を高くしたり、電極間の接続抵抗を低下させたりする。また、図6に示す絶縁性粒子付き導電性粒子101の表面を被膜により被覆した場合でも、導電性が低くなり、電極間の接続抵抗が低くなりやすい。
上記導電性粒子及び上記導電部の表面に絶縁性粒子を付着させる方法の一例としては、以下の方法が挙げられる。
先ず、水などの溶媒3L中に、導電性粒子を入れ、撹拌しながら、絶縁性粒子を徐々に添加する。十分に撹拌した後、絶縁性粒子付き導電性粒子を分離し、真空乾燥機などにより乾燥して、絶縁性粒子付き導電性粒子を得る。
上記導電部は表面に、絶縁性粒子と反応可能な反応性官能基を有することが好ましく、被膜と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。絶縁性粒子は表面に、導電部と反応可能な反応性官能基を有することが好ましく、被膜と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記被膜は表面に、導電部と反応可能な反応性官能基を有することが好ましく、絶縁性粒子と反応可能な官能基を有することが好ましい。これらの反応性官能基により、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が意図せずに脱離し難くなり、更に導電性粒子の表面及び絶縁性粒子の表面から被膜が剥離し難くなる。さらに、導電部の表面を被膜により充分に被覆でき、更に絶縁性粒子の表面を被膜により充分に被覆できる。
上記反応性官能基として、反応性を考慮して適宜の基が選択される。上記反応性官能基としては、水酸基、ビニル基及びアミノ基等が挙げられる。反応性に優れているので、上記反応性官能基は水酸基であることが好ましい。上記絶縁性粒子付き導電性粒子本体は表面の少なくとも一部の領域に、水酸基を有することが好ましい。上記導電性粒子は表面に、水酸基を有することが好ましい。上記絶縁性粒子は表面に、水酸基を有することが好ましい。上記被膜は表面に水酸基を有することが好ましい。
絶縁性粒子の表面と導電性粒子の表面とに水酸基がある場合には、脱水反応により絶縁性粒子と導電性粒子との付着力が適度に高くなる。
上記水酸基を有する化合物としては、P−OH基含有化合物及びSi−OH基含有化合物等が挙げられる。絶縁性粒子の表面に水酸基を導入するための水酸基を有する化合物としては、P−OH基含有化合物及びSi−OH基含有化合物等が挙げられる。
上記P−OH基含有化合物の具体例としては、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート及びアシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。上記P−OH基含有化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記Si−OH基含有化合物の具体例としては、ビニルトリヒドロキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリヒドロキシシラン等が挙げられる。上記Si−OH基含有化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
例えば、水酸基を表面に有する絶縁性粒子は、シランカップリング剤を用いた処理により得ることができる。上記シランカップリング剤としては、例えば、ヒドロキシトリメトキシシラン等が挙げられる。
(絶縁性粒子付き導電性粒子の製造方法)
本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子の製造方法は、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面を被覆するように被膜を形成する工程を備える。上記導電性粒子を覆っている第1の被膜部分と、上記絶縁性粒子の表面を覆っている第2の被膜部分とを有するように、かつ上記第1の被膜部分における厚みが、上記絶縁性粒子の平均粒子径の1/2以下であるように、上記被膜を形成する。
本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子の製造方法では、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面に、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物(化合物A)を用いて、上記絶縁性粒子本体の表面を被覆するように被膜を形成することが好ましい。
上記化合物Aを用いて、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面に被膜を形成する方法としては特に限定されず、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面に、上記化合物Aを含む溶液を付着させる方法等が挙げられる。
上記化合物Aを含む溶液における溶媒は、水であることが好ましい。上記化合物Aを含む溶液における溶媒は、テトラヒドロフラン、並びにメタノール、エタノール及びプロパノール等のアルコール等の有機溶剤を含んでいてもよい。絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面に上記溶液を付着させた後、溶媒は必要に応じて除去される。
上記化合物Aを含む溶液における上記化合物Aの含有量は、所望の被膜が得られるように適宜調整される。上記化合物Aを含む溶液100重量%中、上記化合物Aの含有量は0.5〜3重量%の範囲内であることが好ましい。
例えば、導電部の表面又は絶縁性粒子の表面に、上記化合物Aと反応可能な反応性官能基が存在する場合には、該反応性官能基と、上記化合物Aとを反応させ、上記導電部の表面及び絶縁性粒子の表面に上記化合物Aを化学結合させることができる。
絶縁性粒子付き導電性粒子本体が表面の少なくとも一部の領域に水酸基を有し、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面の水酸基に、水酸基を有する炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物(以下、化合物A1ともいう)を反応させて、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面を被覆するように被膜を形成することが好ましい。また、導電性粒子が表面に水酸基を有し、該導電性粒子の表面の水酸基に、上記化合物A1を反応させて、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面を被覆するように被膜を形成することが好ましい。絶縁性粒子が表面に水酸基を有し、絶縁性粒子の表面の水酸基に、上記化合物A1を反応させて、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面を被覆するように被膜を形成することが好ましい。さらに、導電性粒子の表面及び絶縁性粒子の表面がそれぞれ水酸基を有し、導電性粒子の表面及び絶縁性粒子の表面の水酸基に、上記化合物A1を反応させて、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面を被覆するように被膜を形成することが好ましい。これらの好ましい態様で被膜を形成することにより、導電部の表面を被膜により充分に被覆でき、更に絶縁性粒子の表面を被膜により充分に被覆できる。従って、導電部に錆がより一層生じ難くなり、被膜が剥離し難くなり、更に絶縁性粒子が意図せずに脱離し難くなる。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、本発明の絶縁性粒子付き導電性粒子と、バインダー樹脂とを含むか、又は本発明の絶縁性粒子付き導電性粒子の製造方法により得られた絶縁性粒子付き導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
上記絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、絶縁性粒子と導電性粒子との表面が特定の被膜により被覆されているので、絶縁性粒子付き導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させる際などに、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離し難い。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂としては、一般的には絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記絶縁性粒子付き導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記絶縁性粒子付き導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。バインダー樹脂中に絶縁性粒子付き導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、バインダー樹脂中に絶縁性粒子付き導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、絶縁性粒子付き導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びにバインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、絶縁性粒子付き導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト又は導電フィルムとして使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムとして使用される場合には、該導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
本発明に係る導電材料は、導電ペーストであることが好ましく、異方性導電ペーストであることがより好ましい。異方性導電ペーストなどの導電ペーストは取り扱い性及び回路充填性に優れている。導電ペーストを得る際には絶縁性粒子付き導電性粒子に比較的大きな力が付与されるものの、上記被膜の存在によって導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離するのを抑制できる。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は10〜99.99重量%の範囲内であることが好ましい。バインダー樹脂の含有量は、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、より好ましくは99.9重量%以上である。バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に絶縁性粒子付き導電性粒子を効率的に配置でき、導電材料により接続された接続対象部材の導通信頼性をより一層高めることができる。
上記導電材料100重量%中、上記絶縁性粒子付き導電性粒子の含有量は0.01〜20重量%の範囲内であることが好ましい。上絶縁性粒子付き導電性粒子の含有量は、より好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。絶縁性粒子付き導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
(接続構造体)
本発明の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて、又は該絶縁性粒子付き導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。さらに、本発明の絶縁性粒子付き導電性粒子の製造方法により得られた絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて、又は該絶縁性粒子付き導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、該接続部が上記絶縁性粒子付き導電性粒子により形成されているか、又は該絶縁性粒子付き導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料(異方性導電材料など)により形成されている接続構造体であることが好ましい。絶縁性粒子付き導電性粒子が用いられた場合には、接続部自体が絶縁性粒子付き導電性粒子によって形成される。すなわち、第1,第2の接続対象部材が絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子により電気的に接続される。
図5は、図1に示す絶縁性粒子付き導電性粒子1を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
図5に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、絶縁性粒子付き導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。図5では、図示の便宜上、絶縁性粒子付き導電性粒子1は略図的に示されている。絶縁性粒子付き導電性粒子1にかえて、絶縁性粒子付き導電性粒子21,41,61を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は上面52a(表面)に、複数の電極52bを有する。第2の接続対象部材53は下面53a(表面)に、複数の電極53bを有する。電極52bと電極53bとが、1つ又は複数の絶縁性粒子付き導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が絶縁性粒子付き導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記積層体を加熱及び加圧する際に、導電性粒子11と電極52b,53bとの間に存在していた絶縁性粒子15を排除できる。例えば、上記加熱及び加圧の際には、導電性粒子11と電極52b,53bとの間に存在していた絶縁性粒子15が溶融したり、変形したりして、導電性粒子11の表面が部分的に露出する。なお、上記加熱及び加圧の際には、大きな力が付与されるので、導電性粒子11の表面から一部の絶縁性粒子15が剥離して、導電性粒子11の表面が部分的に露出することもある。導電性粒子11の表面が露出した部分が、電極52b,53bに接触することにより、導電性粒子11を介して電極52b,53bを電気的に接続できる。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料はペースト状であり、ペーストの状態で接続対象部材上に塗布されることが好ましい。上記絶縁性粒子付き導電性粒子及び導電材料は、電子部品である接続対象部材の接続に用いられることが好ましい。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記絶縁性粒子付き導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子は、特にガラス基板と半導体チップとを接続対象部材とするCOG、又はガラス基板とフレキシブルプリント基板(FPC)とを接続対象部材とするFOGに好適に使用される。本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子は、COGに用いられてもよく、FOGに用いられてもよい。本発明に係る接続構造体では、上記第1,第2の接続対象部材が、ガラス基板と半導体チップとであるか、又はガラス基板とフレキシブルプリント基板とであることが好ましい。上記第1,第2の接続対象部材は、ガラス基板と半導体チップとであってもよく、ガラス基板とフレキシブルプリント基板とであってもよい。
ガラス基板と半導体チップとを接続対象部材とするCOGで使用される半導体チップには、バンプが設けられていることが好ましい。該バンプサイズは1000μm2以上、10000μm2以下の電極面積であることが好ましい。該バンプ(電極)が設けられた半導体チップにおける電極スペースは好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。このようなCOG用途に、本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子は好適に用いられる。ガラス基板とフレキシブルプリント基板とを接続対象部材とするFOGで使用されるFPCでは、電極スペースは好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子(平均粒子径3.01μm、導電層の厚み0.2μm)を用意した。
また、ゾルゲル法を使用して作製したシリカ粒子(平均粒子径200nm)の表面をヒドロキシトリエトキシシランで被覆し、水酸基を表面に有する絶縁性粒子を得た。この絶縁性粒子を純水30mLに分散して、絶縁性粒子を含む分散液を得た。
1Lのセパラブルフラスコに、純水250mLと、エタノール50mLと、上記導電性粒子15重量部とを入れ、十分に攪拌し、導電性粒子を含む液を得た。この導電性粒子を含む液に、絶縁性粒子を含む分散液を、超音波を当てながら10分間かけて滴下した。その後、ろ過し、真空乾燥機により100℃で8時間乾燥させ、絶縁性粒子付き導電性粒子本体を得た。
純水25gとエタノール25gとの混合液中に上記絶縁性粒子付き導電性粒子本体10重量部とリン酸モノヘキシルエステル0.5重量部とを入れ、50℃で1時間攪拌した。その後、ろ過し、真空乾燥機により100℃で8時間乾燥させ、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面に、上記リン酸モノヘキシルエステルにより形成された被膜を有する絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。集束イオンビームを用いて、得られた導電性粒子の薄膜切片を作製し、透過型電子顕微鏡FE−TEM(日本電子社製「JEM−2010FEF」)を用いて、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)により、リン酸モノヘキシルエステルにより形成された被膜の状態を観察し、かつ被膜の厚みを測定した。上記被膜は、導電性粒子の表面と絶縁性粒子の表面とを被覆していた。導電性粒子の表面を被覆している第1の被膜部分と、絶縁性粒子の表面を被覆している第2の被膜部分とは、連なっていた。第1の被膜部分と第2の被膜部分との厚みは同じであった。第1の被膜部分における厚みは、絶縁性粒子の平均粒子径の1/5以下であった。複数の絶縁性粒子の全てが、導電性粒子に接触していた。絶縁性粒子付き導電性粒子では、全ての絶縁性粒子が露出していなかった。
(実施例2)
実施例1と同じ導電性粒子(平均粒子径3.01μm、導電層の厚み0.2μm)を用意した。
また、ゾルゲル法を使用して作製したシリカ粒子(平均粒子径200nm)の表面をビニルトリエトキシシランで被覆し、ビニル基を表面に有する絶縁性粒子を絶縁性粒子本体として得た。
水200mL中に、上記絶縁性粒子本体1重量部と、メタクリル酸0.22重量部と、ジメタクリル酸エチレングリコール0.05重量部と、開始剤(和光純薬工業社製「V−50」)0.5重量部をスリーワンモーターで十分に攪拌しながら70℃まで昇温し、70℃で6時間保持して、上記モノマーを重合させた。
その後、冷却し、遠心分離機で固液分離を2回行い、余分なモノマーを洗浄により除去し、高分子化合物により表面全体が被覆された絶縁性粒子を得た。次に、得られた絶縁性粒子を純水30mLに分散して、絶縁性粒子の分散液を得た。
1Lのセパラブルフラスコに純水250mLと、エタノール50mLと、上記導電性粒子15重量部とを入れ、十分に攪拌し、導電性粒子を含む液を得た。この導電性粒子を含む液に、超音波を当てながら上記絶縁性粒子の分散液を10分間かけて滴下した後、40℃に昇温し1時間攪拌を行った。その後、ろ過し、真空乾燥機により100℃で8時間乾燥させ、絶縁性粒子付き導電性粒子本体を得た。
得られた絶縁性粒子付き導電性粒子本体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。上記被膜は、導電性粒子の表面と絶縁性粒子の表面とを被覆していた。導電性粒子の表面を被覆している第1の被膜部分と、絶縁性粒子の表面を被覆している第2の被膜部分とは、連なっていた。第1の被膜部分と第2の被膜部分との厚みは同じであった。第1の被膜部分における厚みは、絶縁性粒子の平均粒子径の1/5以下であった。複数の絶縁性粒子の全てが、導電性粒子に接触していた。絶縁性粒子付き導電性粒子では、全ての絶縁性粒子が露出していなかった。
(実施例3)
樹脂粒子10gをエッチング処理した後、水洗した。次に、樹脂粒子に硫酸パラジウムを加え、パラジウムイオンを樹脂粒子に吸着させた。パラジウムが付着された樹脂粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(三井金属社製「2020SUS」、平均粒子径200nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着した樹脂粒子を得た。芯物質が付着した樹脂粒子の表面に、無電解ニッケルめっきによりニッケル層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面に芯物質が付着しており、樹脂粒子と芯物質との表面がニッケル層により被覆されている導電性粒子を得た。この導電性粒子の平均粒子径は3.02μmであり、導電層の厚みは0.2μmであった。この導電性粒子は表面に、突起を有していた。
得られた導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例4)
リン酸モノヘキシルエステルを、リン酸モノオクチルエステルに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例5)
リン酸モノヘキシルエステルを、リン酸モノドデシルエステルに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例6)
リン酸モノヘキシルエステルを、リン酸モノヘキサデシルエステルに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例7)
リン酸モノヘキシルエステルを、ヘキシルトリエトキシシランに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例8)
リン酸モノヘキシルエステルを、オクチルトリエトキシシランに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例9)
リン酸モノヘキシルエステルを、ドデシルトリエトキシシランに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例10)
絶縁性粒子の作製:
ゾルゲル法を使用して作製したシリカ粒子(平均粒子径200nm)の表面をビニルトリエトキシシランで被覆し、反応性官能基であるビニル基を表面に有する絶縁性粒子を絶縁性粒子本体として得た。具体的には、シリカ粒子10重量部を水とエタノールとが重量比1:9で混合された液400mlにスリーワンモーターを用いて分散させて、第1の分散液を得た。次いでビニルトリエトキシシラン0.1重量部を水とエタノールとが重量比1:9で混合された液100mlに分散させて、第2の分散液を得た。その後、上記第2の分散液を上記第1の分散液に10分かけて滴下し、混合液を得た。滴下後、得られた混合液を30分攪拌した。その後、混合液をろ過し、100℃で2時間乾燥した後、ふるいで篩うことにより、絶縁性粒子本体を得た。
水200mL中に、上記絶縁性粒子本体1重量部と、高分子化合物となる化合物であるメタクリル酸2重量部と、高分子化合物となる化合物であるジメタクリル酸エチレングリコール1重量部と、開始剤(和光純薬工業社製「V−50」)0.5重量部と、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王社製「エマルゲン106」)1重量部とを配合し、超音波照射機を使用して十分乳化させた。その後、スリーワンモーターで十分に攪拌しながら70℃まで昇温し、70℃で6時間保持して、上記モノマーを重合させた。
その後、冷却し、遠心分離機で固液分離を2回行い、余分なモノマーを洗浄により除去し、高分子化合物により表面全体が被覆された絶縁性粒子を得た。次に、得られた絶縁性粒子を純水30mLに分散して、絶縁性粒子を含む分散液を得た。なお、上記絶縁性粒子の分散液の状態で、高分子化合物により被覆された絶縁性粒子の平均粒子径は324nmであった。
絶縁性粒子付き導電性粒子の作製:
絶縁性粒子を含む分散液として、得られた絶縁性粒子を含む分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例11)
高分子化合物となる化合物を、メタクリル酸2.5重量部と、ジビニルベンゼン1.2重量部とに変更したこと以外は実施例10と同様にして、絶縁性粒子を含む分散液を得た。なお、上記絶縁性粒子の分散液の状態で、高分子化合物により被覆された絶縁性粒子の平均粒子径は335nmであった。
絶縁性粒子を含む分散液として、得られた絶縁性粒子を含む分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例12)
シリカ粒子の表面をメタクリロキシプロピルトリエトキシシランで被覆し、メタクリロイル基を表面に有する絶縁性粒子を絶縁性粒子本体として得たこと、並びに高分子化合物となる化合物を、酢酸ビニル2.2重量部と、N,N−メチレンビスアクリルアミド1.0重量部とに変更したこと以外は実施例10と同様にして、絶縁性粒子を含む分散液を得た。
なお、絶縁性粒子本体を得る際に、シリカ粒子10重量部とメタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.1重量部とを用いたこと以外は実施例10と同様の方法で、絶縁性粒子本体を得た。また、上記絶縁性粒子の分散液の状態で、高分子化合物により被覆された絶縁性粒子の平均粒子径は326nmであった。
絶縁性粒子を含む分散液として、得られた絶縁性粒子を含む分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例13)
導電性粒子として、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面に芯物質としてニッケル粉体(100nm)が付着しており、かつニッケル粉体が付着したジビニルベンゼン粒子の表面上にニッケルめっき層(導電層)が形成されている導電性粒子(平均粒子径3.03μm、導電層の厚み0.21μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例14)
高分子化合物となる化合物を、メタクリル酸0.4重量部と、ジメタクリル酸エチレングリコール0.05重量部とに変更したこと以外は実施例10と同様にして、絶縁性粒子を含む分散液を得た。
なお、上記絶縁性粒子の分散液の状態で、高分子化合物により被覆された絶縁性粒子の平均粒子径は248nmであった。
絶縁性粒子を含む分散液として、得られた絶縁性粒子を含む分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例15)
ハイブリダイゼーション法を使用して絶縁性粒子付き導電性粒子本体を得たこと以外は実施例2と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。なお、ハイブリダイゼーション法では、ハイブリダイザー(奈良機械製作所社製「NHSシリーズ」)を用いて、50℃、12000回転/分の条件下で、絶縁性粒子と導電性粒子とを混合し、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例16)
被膜を形成する際の材料の使用量を変えて、第1の被膜部分における厚みを、絶縁性粒子の粒子径の1/3(67nm)にしたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例17)
導電性粒子として、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面に芯物質としてシリカ粉体(平均粒子径200nm)が付着しており、かつシリカ粉体が付着したジビニルベンゼン粒子の表面上にニッケルめっき層(導電層)が形成されている導電性粒子(平均粒子径3.03μm、導電層の厚み0.21μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(実施例18)
被膜を形成する際の材料の使用量を変えて、絶縁性粒子付き導電性粒子を5重量%クエン酸水溶液で処理して前記被膜を剥離することにより、剥離した被膜を含む処理液を得た後、前記処理液をろ過することにより得られたろ過液の、リン元素濃度が53ppmとなるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(比較例1)
実施例1で得られた絶縁性粒子付き導電性粒子本体である絶縁性粒子付き導電性粒子。すなわち、比較例1では、実施例1で得られた絶縁性粒子付き導電性粒子本体に被膜を形成せずに、実施例1で得られた絶縁性粒子付き導電性粒子本体自体を絶縁性粒子付き導電性粒子として用いて後述する評価を行った。
(比較例2)
ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子(平均粒子径3.01μm、導電層の厚み0.2μm)を用意した。
純水25gとエタノール25gとの混合液中に上記絶縁性粒子付き導電性粒子本体10重量部とリン酸モノヘキシルエステル0.5重量部とを入れ、50℃で1時間攪拌した。その後、ろ過し、真空乾燥機により100℃で8時間乾燥させ、導電性粒子の表面に、上記リン酸モノヘキシルエステルにより形成された被膜を有する導電性粒子を得た。上記被膜は、導電性粒子の表面を被覆していた。
また、ゾルゲル法を使用して作製したシリカ粒子(平均粒子径200nm)の表面をヒドロキシトリエトキシシランで被覆し、水酸基を表面に有する絶縁性粒子を得た。この絶縁性粒子を純水30mLに分散して、絶縁性粒子を含む分散液を得た。
1Lのセパラブルフラスコに、純水250mLと、エタノール50mLと、上記導電性粒子15重量部とを入れ、十分に攪拌し、導電性粒子を含む液を得た。被膜を有する導電性粒子を含む液に、絶縁性粒子を含む分散液を、超音波を当てながら10分間かけて滴下した。その後、ろ過し、真空乾燥機により100℃で8時間乾燥させ、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。得られた絶縁性粒子付き導電性粒子では、上記被膜は、絶縁性粒子の表面を覆っていなかった。
(比較例3)
被膜を形成する際の材料の使用量を変えて、第1の被膜部分における厚みを、絶縁性粒子の粒子径の2/3にしたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(評価)
(1)絶縁性粒子付き導電性粒子におけるリン元素又は珪素元素の含有量の評価
実施例及び比較例の絶縁性粒子付き導電性粒子1重量部を5重量%のクエン酸水溶液(5重量%のクエン酸を水95重量%に溶かした液)100重量部に入れ、40℃にして30分間攪拌して処理液を得た後、該処理液をろ紙によりろ過することによりろ過液を得た。実施例1〜18及び比較例1〜3の絶縁性粒子付き導電性粒子では、クエン酸水溶液による処理の後、絶縁性粒子付き導電性粒子本体の表面に付着していた被膜は剥離していた。
ICP発光分析装置(堀場製作所社製「ULTIMA2」)を用いて、得られたろ過液におけるリン元素又は珪素元素の含有量を測定した。
(2)接続構造体の作製
実施例及び比較例の絶縁性粒子付き導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」)に添加し、分散させ、異方性導電ペーストを得た。
L/Sが30μm/30μmであるITO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmである銅電極パターンが下面に形成された半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、1MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で完全硬化させ、接続構造体を得た。
(3)導通評価(上下の電極間)
得られた接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続抵抗の平均値が2.0Ω以下であり、かつ導電性粒子の表面の絶縁性粒子が付着している部分以外の部分に、高分子化合物が付着していない場合を「○」、接続抵抗の平均値が2Ω以下であるものの、導電性粒子の表面の絶縁性粒子が付着している部分以外の部分に、高分子化合物が付着している箇所がある場合を「△」、接続抵抗の平均値が2Ωを超える場合を「×」として結果を下記の表1に示した。
(4)絶縁評価(横方向に隣り合う電極間)
得られた接続構造体において、隣接する電極間のリークの有無を、テスターで抵抗を測定することにより評価した。抵抗が500MΩを超える場合にリーク無しと判定して結果を「○」とし、抵抗が500MΩ以下の場合にリーク有りと判定して結果を「×」として下記の表1に示した。
(5)防錆評価
上記絶縁評価で作製した接続構造体を、85℃及び相対湿度85%の条件で放置した。放置開始から、100時間後に上記同様に電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。上記の導通評価時の接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が150%未満であった場合を「○」、接続抵抗(放置後)の平均値が150%以上上昇した場合を「×」として、結果を下記の表1に示した。
(6)導電接続前の絶縁性粒子の脱離防止性
また、絶縁評価で得られた異方性導電ペーストにおいて、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離しているか否かを観察した。絶縁性粒子の脱離防止性を下記の基準で判定した。
[脱離防止性の判定基準]
○:導電性粒子の表面から脱離した絶縁性粒子の割合が極めて少ない(脱離した絶縁性粒子の個数割合が10%未満)
△:導電性粒子の表面から脱離した絶縁性粒子が少しある(脱離した絶縁性粒子の個数割合が10%以上、40%未満)
×:導電性粒子の表面から脱離した絶縁性粒子が多くある(脱離した絶縁性粒子の個数割合が40%以上)
(7)導電接続時の絶縁性粒子の脱離性
上記導通評価により得られた接続構造体において、導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離せずに又は脱離後に、電極と導電性粒子との間に挟み込まれている絶縁性粒子が存在するか否かを評価した。
[絶縁性粒子の脱離性の判定基準]
○:電極と導電性粒子との間に挟み込まれている絶縁性粒子が存在しない
×:電極と導電性粒子との間に挟み込まれている絶縁性粒子が存在する
結果を下記の表1に示す。下記表1において、被膜の厚みは、絶縁性粒子の粒子径を基準として、該絶縁性粒子の粒子径を1としたときの厚みを示す。なお、実施例1〜15,17,18では、被膜の厚みは、絶縁性粒子の粒子径の1/100以上であった。
上記表1に示すように、比較例1の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた防錆評価では、抵抗値が150%以上上昇していた。これは、導電層の表面に錆が生じたためである。
また、実施例1〜14,16〜18の絶縁性粒子付き導電性粒子では、導電性粒子の表面の絶縁性粒子が付着している部分以外の部分には、高分子化合物は付着していないことを確認した。なお、実施例15では、物理的/機械的ハイブリダイゼーション法を用いているので、導電性粒子の表面の絶縁性粒子が付着している部分以外の部分に、高分子化合物が付着している箇所があった。このように、導電性粒子の表面の絶縁性粒子が付着している部分以外の部分に高分子化合物が付着していると、場合によっては、導通信頼性が低くなる可能性がある。
また、実施例1〜18の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた異方性導電ペーストでは、比較例1の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた異方性導電ペーストと比較して、導電性粒子の表面から脱離した絶縁性粒子の割合が極めて少なかった。特に、実施例1の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた異方性導電ペーストでは、比較例1,2の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた異方性導電ペーストと比較して、導電性粒子の表面から脱離した絶縁性粒子の割合が極めて少なかった。これは、実施例1〜18の絶縁性粒子付き導電性粒子では、上述した被膜が形成されているために、絶縁性粒子の脱離が抑制されたと考えられる。また、実施例1〜15,17,18の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた異方性導電ペーストでは、実施例16の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた異方性導電ペーストと比較して、導電性粒子の表面から脱離した絶縁性粒子の割合が少なかった。なお、実施例16と実施例18との導電接続前の脱離防止性の評価結果はいずれも「△」であるが、導電性粒子の表面から脱離した絶縁性粒子の割合は、実施例18の方が、実施例16よりも少なかった。
さらに、実施例2の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた異方性導電ペーストでは、実施例1の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた異方性導電ペーストと比較して、導電性粒子の表面から脱離した絶縁性粒子の割合が少なかった。これは、実施例2の絶縁性粒子では、絶縁性粒子の表面が、高分子化合物により形成された柔軟な層により被覆されているために、絶縁性粒子の脱離が抑制されたと考えられる。
また、比較例3では、電極と導電性粒子との間に挟み込まれている絶縁性粒子が存在していたが、導通性に影響しない程度であり、導通評価の評価結果は「○」であった。